●西村(智)委員
西村です。きのうに引き続いて質問をさせていただきます。
きのう、私、学童保育で働く人たちの指導員の皆さんの収入がいわゆる百三十万円の壁を突破したときに、いきなり月額二万数千円の社会保険料がかかってくるのは酷ではないかというお話をさせていただきました。大臣からの答弁は残念ながらちょっと冷たくて、私もきのうの夜は悶々としておったんですけれども、もう一回、改めて質問をしたいと思います。
厚生労働省は、今回の学校休業に伴う学童保育の時間延長などの影響で、指導員の方の収入がどれほど実際に変化しているかということは把握していないそうであります。これは確認をいたしました。まあ、今の時点で当然のことだというふうに思うんですけれども。
ただ、大臣も、きのうは、お地元の方からそういうお話があったというふうにもお聞きをしましたし、実際にそういった壁という制度が現状である以上、この要請に伴って学童保育を例えば午前中からあけた、そして、例えば数万円だと思うんですよ、この期間中、午前中からあけて収入が上がるといっても。そんな、十万も二十万も収入が上がるなんというわけではない、もっとふえるというわけではないと思いますので、この影響で収入が例えば百三十万の壁を少し突破したとしても、ぜひそこは配慮をしてもらいたいというふうに思って、もう一回お伺いをいたします。
仮に月額二万数千円の保険料の負担がふえるということになれば、これはやはりかなり酷だし、かなりの負担になってくるというふうに思うんですけれども、大臣、これについてどういう認識をお持ちですか。(発言する者あり)
●加藤国務大臣
まず、手元の資料ですけれども、平成二十八年度に実施した放課後児童クラブの経営状況に関する調査では、職員の収入は二百七十・〇万円という数字が出てきております。
今委員御指摘のように、それはさまざまな方がおられる、そういった事情はわからなくはないところではありますけれども、ただ、こういったものは一律でやりませんと公平な執行というのができなくなるというふうに思います。
●西村(智)委員
きのうの答弁よりまた更にちょっと冷たさが増しちゃって、これはどうしたらいいものかと思うんですけれども、もう一回答弁してもらえませんか、この認識です。
確かに、収入がふえたというのは、それは一律、そうだと思いますよ。思うんだけれども、でも、今回のことについては、学童保育をあけなければいけないということで、そんなに急にアルバイトをふやすわけにもいかないし、感染防止策もとらなければいけないし、今まで来ていなかった子供たちも来るようになるし、学校の先生が来るといったってそんなにすぐにはうまくいかないしということで、今までは午後だけだった人たちが、例えば午前中から出てくるということで対応せざるを得なかった人たちに、月額二万数千円の保険料がまたかかりますというのはさすがに酷じゃないですか。
もう一回、大臣、その認識だけ答弁してください、認識だけ。これは私はちゃんと回答をもらっているので。(発言する者あり)
●盛山委員長
では、時計をとめてください。
〔速記中止〕
●盛山委員長
動かしてください。
加藤厚生労働大臣。
●加藤国務大臣
被扶養者の年間収入の確認については、過去の収入、現時点の収入、又は将来の収入の見込みなどから今後一年間の収入を見込むとされているところであります。このため、一時的に所得が上昇したことのみをもって直ちに被扶養者認定を取り消したり、これは前回も申し上げたと思いますが、認定後の事情変更により被扶養者の要件を満たさないことになった場合に、認定時点にさかのぼって被扶養者認定を取り消したりするといった運用は行われていないというふうに承知をしています。
●西村(智)委員
ということは、つまり、そういった運用を行っていただくことによって、一時的に所得が上昇した被扶養者の生活に急激な変化が生じないよう努めていくということで確認させていただいてよろしいですか。
●加藤国務大臣
一時的に所得が上昇したということで、まさに先ほど申し上げた、一時的に所得が上昇したことのみをもって直ちに被扶養者認定を取り消したりはしないということであります。
●西村(智)委員
大臣のお考えはいかがですか。今回の学童保育、これは政府の要請で休校になりました、学童保育はあけますということで判断をされました。ですので、学校を休校になった子供たちが午前中から学童に行きます。それはやはり事情のあることだというふうに思うんですよ。大臣のお考えとして、こうした事情がある中で、一時的に収入がふえたという方についても同様の取扱いになるということでよろしいですか。
●加藤国務大臣
これは、申しわけないんですけれども、非常に技術的な話になっていくんですね。実際、現場で、最終的には個々の判断です。コロナがあるから一律的に、学童だから一律でということはあり得ないと思います。個々の判断になる。
ただ、その判断をどうするかは、ちょっと申しわけないんですけれども、私がしゃべれる力を持っていないので、まさにこういった問題は担当局長を呼んでいただいて、ふだんどうやってやるのかとか、そういったことをしっかり御質問いただいた方が、いいかげんなことを言って、これを見ている方に間違ったインフォメーション、情報を与えてもいけませんので、ぜひ、そういったことを含めて、きちっと説明をさせていただいた方がいいんだろうと思います。
●西村(智)委員
繰り返し申し上げますけれども、私、今回は、政府からの指示によって勤務せざるを得なかった人たちということで申し上げているんです。ですので、先ほど大臣から、一時的な収入をもって換算しないというようなことは答弁をいただきましたので、また引き続き、そこは技術的にどうなるのかということも私は議論していきたいというふうに思います。
それで、雇用保険法についてなんですけれども、たくさんたくさん論点があるんです。
まず、条文の方で、また昨日の続きの高年齢者の雇用安定法なんですけれども、ちょっと気になりましたのが、第六条の第二項の二、高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項について政府の方は基本方針を策定することになっていたんですけれども、これが改正後は、高年齢者の就業の機会の増大の目標に関する事項ということで、変更をされたわけなんです。
これは、今度は雇用の増大ではなくて就業措置もということで、就業のということになったのかというふうに思うんですけれども、やはり私は変えるべきじゃなかったんじゃないかというふうに思うんですよ。なぜこれを就業というふうに変えてしまったのか、その理由を教えていただけますか。
●加藤国務大臣
まさに今委員がおっしゃられたことで、当初は雇用だけだったわけですが、今回は幅広くなって、それを形容するとすれば就業ということが適当だということで、雇用から就業へと文言を変更したということであります。
●西村(智)委員
そうすると、確認です、雇用の機会の増大の目標に関する事項は、今度は基本方針の中で定めなくてもよいということになるんですか。
●加藤国務大臣
高年齢者の就業の機会の増大の目標に関する事項ということですから、就業の中には当然雇用も含まれるということであります。
●西村(智)委員
就業の中に雇用も含まれるということで、確認をさせていただきました。
ただ、ずっとこれは皆さんからの一貫した主張なんですけれども、例えば今の新型コロナの関係で、フリーランスの人たちへのセーフティーネットがないという状況も改めて明らかになっている中で、また、非雇用、委託とかフリーランスとか、そういった労働法制の及ばない働き方をふやそうというのは、私はやはりおかしいというふうに思うんですよね。
なので、やはりここは、法制のかかる仕組みでやるか、それとも全く別の、何というか、それはやっていただければいいというふうに思うんですよ。あえて政府が法律をつくってやるという意味が一体どこにあるのか、やはりいぶかしく思わざるを得ないんです。これを一穴として、また、今実際、フリーランスは多様な働き方ということでふえてきていますけれども、それにあわせて、七十歳までの人たちにおいても新たなカテゴリーをつくって、そういったところからもフリーの人たちをふやそう、そういうことなのかといぶかしく思っている。それはやはり私は引き続き指摘をし続けていかなければいけないことだというふうに思うんですけれども、大臣のお考えとしてはいかがですか。
私は、こういった非雇用就業のあり方を、やはり今回の新型コロナの問題を見ても改めて疑問に思うんですけれども、大臣は、こういった働き方、こういった形態をふやそう、つくろうということで推進をしていくということ、そういうことをお考えなんですか。
●加藤国務大臣
多分、こういう議論というのは、何と比較してというところが非常に大事なような気がするんですね。
今、六十五歳以上の人は何にもないわけです。そうすると、今の中では、今ここで御指摘いただいているような、いわゆる請負的な、事業委託的なことをやっている方もおられるかもしれない、何にもかかっていないですということでいいのかどうか。
それから、やはり七十までの雇用を拡大したい、あるいは働きたいという方々がおられて、その希望を見ると、もちろん雇用という方もいらっしゃいます。でも、それ以外で、自営業でやりたい、フリーランスの方がいいや、いろいろな事情を持っている方がおられるわけですから、そういった希望を見る中で、では、今、お任せじゃなくて、やはり、そういった事業委託というか、請負みたいな形だけれども、ちゃんと事業主は一定の責任を持ってやってくださいねという部分をつくっていくことによって、七十までの働き方をよくしていく、しっかりと確保していく、そういった思いで出させていただいているところであります。
それから、この措置は、それぞれ本人が希望するということが大前提になっているということを申し上げておきたいというふうに思います。
●西村(智)委員
選択であるからいいんだということを大臣はおっしゃりたいのかもしれないですけれども、これまでもそうですけれども、選択すると、大体、いろいろな選択肢を示されることもあるんだけれども、やはりすき間といいますか端っこの方を探して、そういったやり方でやろうやろうというところで泣きを見てきたのが労働者だという、そういったいろいろな事件とかも起きてきているわけですよ。
ですので、私は、やはり今回の仕組みを導入するのであれば、もっときちっとした保護の仕組み、保険もそうだし、労災もそうだし、あるいは過半数代表の同意ということもそうだし、もっとかちっとした仕組みがなければいけなかったんじゃないかというふうに思うんです。
時間がちょっと限られておりますので、先に進みたいと思いますが、雇用保険の問題です。
今回、雇用保険の保険料率、それから国庫負担の引下げがまた継続されるということになりました。先ほどの質疑では、こうやって新型コロナウイルスのリーマン級以上と言われる影響が懸念をされている中で、本当に大丈夫なのかという質問があったときに、参考人の方からは、問題ありませんという答弁があったんです。本当にそうかなというふうに思うんですけれども。
まず、今回の雇用保険法の改正では、やはり限定的だった、時限的だったはずの引下げについては、本来であれば戻るということになっていなければいけなかったというふうに思うんですよ。前回の法改正のときには、附帯決議、これは衆参どちらもそうですけれども、厳に三年度に限定するというふうになっていたんですけれども、それがなぜ、衆参の附帯決議ですよ、どちらもつきました、それがなぜほごにされてしまって延長するということになったのか、その理由を教えてください。
●加藤国務大臣
そうした決議もいただき、また、附則の中においても、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で附則第十三条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものというふうに明記をしていたところであります。
それはしっかりと踏まえていかなければならないわけでありますけれども、この議論をさせていただいたときの雇用保険の財政の状況、あるいはまた引き続き厳しい国全体の財政状況、そういったことも勘案しながら、当面あと二年ということで暫定措置を延長することを、今回、労政審にもお願いをさせていただき、きのう参考人をされた中でも、職業安定分科会の会長を務められた阿部先生もたしか御出席の中で、苦渋の選択というお話をされておりました。まさにそういった思いを含めながら、こうしたことをお願いさせていただいているということであります。
●西村(智)委員
苦渋の選択、それは労政審の方では苦渋の議論はされたというふうに思うんですけれども、この法案を出してきているのは政府ですから。
それで、雇用保険法の第十五条には、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で暫定措置を廃止するものというふうにも書かれております。ですので、こういった引下げ継続が今回行われてしまうと、政府は本当に安定した財源を確保する気があるのかなというふうに思ってしまうんですけれども、そういったことについては大臣はどういうふうにお考えですか。
●加藤国務大臣
確かに、前回は、前回限りというお話を多分していたというふうに思いますが、それを今回また延長するということでありますので、そのことをしっかり、その重みをしっかりと踏まえながら、この附則が実現できるように努力をしていきたいと思います。
●西村(智)委員
重み重みって、どこまで重みを感じていただければ暫定措置をやめるということになるのか。この暫定措置で国庫負担が縮小されたのが二〇〇七年です。もう今から十年以上前になります。いつやめるのか、暫定措置をいつまで続けるのか、これについて、大臣、明確に答えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。(発言する者あり)
●盛山委員長
時計をとめてください。
〔速記中止〕
●盛山委員長
時計を動かしてください。
加藤厚労大臣。
●加藤国務大臣
まさにそれは附則に書いているとおり、令和四年四月一日以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で附則第十三条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとするということであります。
●西村(智)委員
何か声が小さいのですごく不安なんですけれども、二年ということですね。確認させていただきました。
それで、次に、兼業、副業をしておられる方々への、いわゆるマルチジョブホルダーへの雇用保険について伺いたいと思います。
六十五歳以上の方々という年齢の区分けが行われて、今回、雇用保険適用がなされるということになります。第一歩ということで評価はしたいというふうに思うんですけれども、他方で、六十五歳に満たない方でも、生活のためにやむなくマルチジョブをやっている方がいらっしゃるというふうに思うんです。そういった方々にも適用すべきだというふうに考えるんですけれども、なぜ今回、六十五歳以上の方々に適用範囲を限定したのか、お聞かせください。
●加藤国務大臣
雇用保険は、失業という自分の意思により発生される事故、これは離職という意味においてですね、を保険事故としている。労働者本人の申出を起点として雇用保険を適用する場合には、給付を受けることを見越した者が申出により適用されるおそれ、いわゆる逆選択、あるいは、安易な離職や循環給付のおそれ、モラルハザード、こういったことが懸念されております。
さはさりながら、今般の改正は、やはりそうしたニーズもあるということで、一定の層を抽出して試行的にまずやってみて、今申し上げた逆選択やモラルハザード等、いろいろな課題がどうなのかといったことをいわば検証しようとしてやるということであります。
では、そのときにどの層を取り上げた方がいいかということでありますけれども、一つは、六十五歳以上であれば、雇用保険による給付体系も一般の被保険者と違って、これは一時金の支給という形になっております。また、定年や継続雇用制度の期間を過ぎて、これまでの職業人生で得られたスキルを生かした多様な就労を目指している年齢層とも考えられる、こういったことから、まずはここでスタートをするということであります。
そこから先については、今回の取扱い、あるいは実際にやってみたことを踏まえて、今後のあり方についてはよく検証し、検討していきたいと思います。
●西村(智)委員
それで、では今後の検証や検討に資するのかということで、実際に今、現状で、そういった要件に該当しそうな雇用保険被保険者は何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。
●加藤国務大臣
今、被保険者になっていないので、これから新たに雇用保険が適用されると見込まれる人は、私どもの試算でしかありませんが、最大で八千人程度ではないかと考えています。
●西村(智)委員
最大で八千人という試算なんですね。最大で八千人ですから、ゼロ人から八千人の間があるということだと思うんですけれども、やはりちょっと検討するには少し少ないのかなという感じはいたします。
いずれにしてもなんですけれども、六十五歳ということで区切って雇用保険の適用をやってみた、それで、例えば、行動変化といいますか、それから財政的な影響とかいろいろなことはあると思うんですけれども、そういったことを見ながら、対象範囲、適用対象を広げていくということについて、拡大をしていく、六十五歳に満たない、六十五歳以下の被保険者についても対象を広げていく、こういう考えは大臣にはおありでしょうか。
●加藤国務大臣
今の段階で対象を広げていくとはなかなか言えませんけれども、まさにこういう試行をしようとしていることは、そういったマルチジョブを持っている方々に、雇用保険について何らかの対応を考えていかなければいけない、こういうことであります。しかも、六十五歳以上であれば、試行ではなくて制度でありますから、試行と申し上げているのはそういうことでもあります。ただ、ここから先の議論の中では、もちろんそういった担保も必要なんですけれども、中には、マルチジョブじゃなくて、シングルジョブでしっかり生活ができるという状況をつくっていくということも一方で大事だというふうに思っておりますので、そこを含めて、全体のあんばいという問題、それから今回の試行がどういう結果になるのか、その辺も含めて検討していきたいと思います。
●西村(智)委員
もう一つお伺いしたいのが、労災認定の基準についてです。
もうずっとお話が出ていますけれども、高年齢の方は、やはり、労働現場での災害死傷病、発生率は高いです。それから、男性、女性、いろいろ特性がありますけれども、転倒といったものも多くなりがちです。また、きのうでしたか、配られた資料の中にもありましたけれども、例えば時間外労働の上限規制なんかについても、年齢が若い人と、それから高年齢の人と、同じでいいのか。今八十時間ということになっていますけれども、その認定基準のあり方については、年齢に応じた考え方があっていいんじゃないかというか、それがあった方がいいんじゃないかというふうに思うんです。
例えば有識者会議の方でまとめられたガイドラインがあって、それは事業主の方からきちんと取り組んでもらうというふうに大臣からきのうも答弁をいただきましたけれども、それをやってもなお発生することはやはりあるというふうに思いますので、年齢に応じた基準のあり方、これについてぜひ考えていただきたいんですが、いかがですか。
●加藤国務大臣
実際の労災の現場で、今の基準を用いながら、どこまでそういうことも加味しながらされているのか、ちょっと私は必ずしも承知をしておりませんけれども、一方で、今、脳・心臓疾患の労災認定基準について、本年度までに労働者の年齢別の脳・心臓疾患の発症に係る医学的な知見を収集しているところでありまして、その結果を踏まえて、令和二年度に有識者検討会を設置し、労災認定基準の内容全般にわたって検討を行っていただくことにしております。したがって、今申し上げたように、労働者の年齢別の脳・心臓疾患の発症に係る医学的な知見の収集においては、属性別に関するそうした文献等々も集めているところであります。
ただ、それを踏まえてどのように議論いただくか、これはちょっと、私が今この段階でこうだああだということは言えないというふうには思っておりますが、いずれにしても、そういう資料を踏まえて、令和二年度から有識者検討会を設置して検討を行っていただきたいというふうに思っています。
●西村(智)委員 時間になりましたので、終わります。
ありがとうございました。