●西村(智)委員
西村です。私で最後のバッターとなりますので、よろしくお願いいたします。
まず、新型コロナウイルス感染症対策について伺いたいと思います。先ほどもちょっと質問が出ていましたけれども、雇用調整助成金について。
私は、雇用調整助成金、本来であれば、ここに至るまでに、至らないようにさまざまな手だてが講じられることが望ましいというふうには思っていますけれども、やはりここは、言ってみれば最後のセーフティーネットということでスタートしているということは、必要なことだったと思いますし、ぜひ、厚労省としても万全の対応で臨んでいただきたいと思っているものです。
ところが、実は、雇用調整助成金、大臣も御存じのとおり、随分裁量の広い仕組みであって、今回、北海道が現状では特例としてかさ上げされているわけです。
この要件は何か、法的根拠は何かと聞きましたら、法的根拠というよりは、厚労省が要件というものをつくって、その要件を満たしているところにかさ上げをするんだと。北海道以外にもこの後次々と出てくるかもしれないということで、その要件は何ですかということなんですけれども、十万人当たりの患者数が全国平均より相当程度高いとか、クラスターの存在が確認されているということ、そして、その前提として、首長が緊急事態宣言を出しているということだそうであります。
しかし、そもそも、北海道の知事が発出された緊急事態宣言がいかなる法的根拠によるものなのか、そこは極めて弱いというふうに私は思っておりますし、それから、要件についても、十万人当たりの患者数が全国平均より相当程度高いということでいえば、例えば北海道という単位で見れば、確かに北海道での人口十万人当たりの感染率は高いようではあります。しかし、さっきも桝屋さんがおっしゃっていましたけれども、ほかの県でも二倍とか三倍とかというところはあるし、それから、基礎自治体単位で見ますと、北海道の感染率よりも上回っている自治体はあるというふうに思うんですよ。
大臣、ここは端的に伺いますけれども、私は、北海道に認められている特例、やはり今回は本当に全国的な影響が出ていて、総理からの指示で、活動を自粛したり、不要不急の外出を控えたり、いろいろなイベントや仕事がなくなったりということで影響が出ているわけなので、北海道で今認めている特例というのは全国で展開をするべきじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
●加藤国務大臣
これはそもそもスタートしたときに、北海道の中でやはりクラスターが出てきたり、感染防止をしなければならない、そういう意味で、私どもの専門家チームも北海道に行っていろいろな議論をさせていただく、そういった中で、知事が、緊急事態宣言といっても、別に法律に基づくものではありませんけれども、道民の皆さん方に外出を抑制してほしいとか、特に週末については抑制してほしいとか、こういったことを要請したわけであります。そうした要請がなされれば、当然、圏内の、その地域における事業活動、経済活動が抑制される。したがって、雇用調整助成金としてもさらなる対応が必要だということで設けさせていただいて、助成率の上乗せも実施をしたという状況であります。
したがって、そうした北海道と同じような形で自主的な要請をし、そしてそれに基づいて経済活動が一定程度抑制されることが見込まれるのであれば、同様な扱いをしていくというのは当然なんだろうというふうに思います。
●西村(智)委員
結局、今のお話ですと、手を挙げた自治体が対象になる雇用調整助成金のかさ上げ、特例ということになるんだというふうに思うんですよ。
私、ほかの省庁にも全部問い合わせてみましたけれども、北海道のみを特例として、例えば制度のかさ上げとか横出しとかいうふうにやっている支援、助成、措置、こういったものがあるかと聞いたら、ありませんでした。まさにこの雇用調整助成金だけなんです。やはり私は全国展開すべきだというふうに思います。
そこについて重ねて伺いつつ、確認ですけれども、基礎自治体、市町村の単位で例えば緊急事態宣言のようなことを発出したときには、これは対象になりますか。
●加藤国務大臣
経済単位をどういうふうに見ていくのかということなんだろうと思います。要するに、地域を非常に限定するということで、別にそれもないことはないんだろうというふうに思いますけれども、基本的には、私ども、都道府県において、知事がこうした自主的な意味において外出とかイベントとかを含めた要請をされる、そうすると、それに伴っていわば地域内の経済活動が低下をするおそれがある、それを含めて何がしかの支援をしていく必要があるだろうということでつくったのがこの制度だということでありまして、それぞれの地域において感染防止をよりとりやすくしていただく、そういった意味もあるんだろうと思っています。
●西村(智)委員
全く答えていただけなかったんですけれども、基礎自治体は対象になりますか。
●加藤国務大臣
基礎自治体単位、要するに、これは経済活動なので、一定の大きさを持って言わないと、そこで働いている方、あるいはどこにいる方という、もちろん都道府県だけでいいかというのはありますけれども、基礎自治体、例えばある町だけということであれば、それは経済として見たときに、基礎自治体で見るのが適切なのかというふうに私は思います。
●西村(智)委員
重ねての主張ですが、私は、やはり、北海道でできる特例ですから、ぜひ全国で同じように措置をしていただきたいと強く要請をいたします。
次に、学童保育について伺います。
追加の財政措置が示されて、それはそれでよかったというふうに思うんですけれども、しかし、学校の休業があって、それに伴って学童保育をあけてくださいという話になって、それで学童保育は人の手当てもしなければならずということなんですけれども、私が伺った事例の中でこういうことがありました。
民間が立ち上げた学童保育で、一事業者が五つの施設を持っておられる。ところが、学童保育もできれば利用を控えてくださいという呼びかけがあったがために、利用料がキャンセルになった。それで、五つの施設を運営しているので、三月分の利用料のキャンセルがすごく高額に上って、人件費が払えないというような事例があるんです。
私、今回の学童保育をめぐるさまざまな問題というのは、政府の方からの指示、要請によってなされていることなので、やはりこの減収分などについては国が責任を持って補填をすべきではないかというふうに思うんです。
学童保育というのは、大臣も御存じのように、本当に豊富な財源で豊富な人手があってやっているというところはないんじゃないでしょうか。そういったところがぎりぎりやっていて、そして、今回の新型コロナウイルス感染症の山を過ぎたときに、子供の安心できる居場所があり続けたね、あり続けることができたねというふうに言えるためにも、やはりここは政府が責任を持つべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
●加藤国務大臣
今回の措置は、むしろ学校が臨時休業になる、したがって、例えばふだん預けておられる方においても、ふだんであれば放課後だけで済むものを、平日ですけれども日中からお願いをしなきゃいけない、そういったことを踏まえて、午前中から運営する場合、あるいは支援の単位を新たに設けて運営する場合について必要な財政措置を講じさせていただいたところでありますし、加えて、その後、人材確保に要する費用等についても、さらなる追加的な財政措置としての加算額も増額をさせていただいているということ、加えて、やはりさまざまなマスクの問題、消毒液の問題もありますから、それについても加算事業を創設して、国庫負担十分の十、こういう補助の措置をさせていただいているということでございます。
今委員御指摘の、使わないでくれというのがちょっと意味がよくわからないんですけれども、基本的には、そういった中で運営していただけるような財政措置を講じさせていただいたということであります。
●西村(智)委員
できるだけ自宅にいてくださいという指示は出ましたよね。ですので、私も学童保育を見に行きましたけれども、やはり集まってくる子供の数が思ったよりは少ないというふうに施設の方ではおっしゃっていました。
ですので、やはりそこは国としてやるべきだというふうに私自身は思うし、もう一つ学童保育について心配なことは、とはいえ、時間を延長して働いている指導員の方がいらっしゃいます。例えば、それまでは午後から出てきた指導員の方が、今度は受け入れるためにということで午前中から出てくる。当然、勤務時間が延びますから、その分収入がふえます。
ですが、学童保育で働いておられる指導員の皆さんの収入は大体どのくらいかというと、全国学童保育連絡協議会などが調査したところでは、年収百五十万円に満たない人たちが、二〇一二年だったか二〇一四年の当時で四六・二%、およそ半数が年収百五十万に満たない状況で働いておられるんです。
その方々が、仮に勤務時間が延びたということで、延ばさなきゃいけないわけですよね、実際、子供たちが来ますから、あけなきゃいけない。すぐにアルバイトなんかを雇えるというような状況でもありません。感染防止策をどうするかとか、あるいは、今度はそれまで学童に来なかった子供たちも来るようになるかもしれないから、その分手厚い対応が必要になったりとかいうことですから、学校の先生がいきなり来て対応できるという話でもないんですね。そうすると、その学童の指導員の方々の収入がふえる、年収として、こういうことが想定されますし、実際、そういう話を伺っています。
そうすると、いわゆる例えば百万円の壁とか百三万円の壁、それから百三十万円の壁、百五十万円の壁、税制と社会保険の額が、今度は例えば配偶者控除を外れたり扶養から外れたりということで、国民年金、健康保険、場合によっては介護保険、こういったものの保険料がオンされてくるということになります。これはちょっといかがかというふうに思うんですけれども、大臣、どうですか。
●加藤国務大臣
私も、地元からそういうお話は伺いました。
ただ、これは、いろいろな事情があっても、まさに一律的に、保険であれ、それから税であれ、つくられているわけでありますから、ある人だけ特例的に扱う、しかも、そこにもし給与所得が発生していないのなら別でありますけれども、明らかに所得が発生をされているということであります。そうでないと制度的な公平性も担保することができなくなってくる。それぞれの特殊事情を言い出せば、それはみんないろいろな事情があるんだと思います。
したがって、そこはやはり一律的にやっていかざるを得ないということで、それぞれの、配偶者控除と特別控除、あるいは社会保険料についても一律な扱いをしていかなければ、特例的な扱いというのはなかなか難しいんじゃないかなというふうには思います。
ただ、今お話がありましたように、一時期に所得が上昇したことをもって例えば被扶養者の認定をすぐに取り消すというわけではなくて、一定期間を見ながら判断をされるということは委員御承知のとおりだと思います。
●西村(智)委員
すぐさまということではないというふうにもおっしゃっていただいたんですけれども、ぜひそこのところは厚労省から検討していただいて、ちょっとさすがにかわいそうだと思うんですよ。
それは、いろいろな、私自身だって、その壁の話でいえば、一人一人の個々の働き方はやはり個々の問題だというふうに思いますから、その制度のあり方自体について言えといえば言いたいことはたくさんありますけれども、しかし、現にそういう制度があって、壁があって、壁以下で働いていたのに、いきなり百三十万円を超えたら、例えば年金の保険料とか、それから健康保険、介護保険、地域によっては月額二万数千円ですよ。いきなりこうなっちゃうというのは、それは、子供たちが来るからやはり学童だって出ていかなきゃいけないわけで、それも、国のこういった措置がなければ、その人たちは言ってみれば勤務時間はコントロールできたと思うんですよ。
それが、ここにもってきて、そういう措置だからということで出ていかざるを得なくなった、ここはやはり重く受けとめていただいて、大臣自身として何がしか検討したいというふうに言っていただきたいんですが、どうですか。
●加藤国務大臣
それぞれの事情はわかるんですが、ただ、皆さんいろいろな事情を抱えながら、本来、例えば百三十万以内に抑えようと思っていても、超えるという方はおられると思うんですね。ただしかし、やはりその事情を一つ一つ判断、しんしゃくしていたのではこの保険料であり税というのは運営できないので、一律に所得ということで判断をしていく、こういう仕組みになっているわけでありますから、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
ただ、百三十万の壁があっていいのかどうか、これはまた別の問題として議論していかなきゃいけないと思います。
●西村(智)委員
個々の事情だけではないんです、これは。個々の事情で働いたり働かなかったりということではなくて、学童保育に学校が休業したときの行き場のなかなかない子供たちが行けるということで午前中の勤務時間を長くしなければいけなかったという、言ってみればこれは政府の措置とか要請によって起きている事例なので、そこのところはよく踏まえていただいて、大臣、もう一回検討していただきたいと強くお願いをいたします。
財務省の政務からも来ていただいておりますので伺いたいと思うんですけれども、先ほどの話はあれとして、フリーランスへの支援策についてです。
とはいえ、やはり税金とか保険料というのは前年の収入で決まってくるので、例えばフリーランスや業務委託で働いて前年は収入のあった人たちが、今非常に大変な思いをしておられます。こういった方々への税の減免について、検討の余地はないでしょうか。
●井上大臣政務官(財務大臣政務官)
御質問ありがとうございます。
御指摘いただいておりますいわゆるフリーランスについて、明確な定義はなされておりませんけれども、おおむね、雇用契約ではなくて業務委託契約などにより働かれている方のことを指し示すということでお答えをさせていただきたいというふうに思います。
こういう方々に対する支援として、三月十日に決定いたしました緊急対策の第二弾において、まず、学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応で、保護者の休暇取得支援として、新たな助成金制度を設立する、それから、個人で就業する予定であった方にも一部の要件を満たす場合に支援を実施するということが一点。
それから、個人向けの緊急小口資金等の特例を設置するということが二点目。
それから、資金繰り対策等に万全を期するため、売上げが急減した個人事業主、フリーランスも含めますけれども、中小・小規模事業者に対しての実質無利子、無担保の融資を行う。
この三点で対応させていただければというふうに思っております。
以上です。
●西村(智)委員
検討しないということなんでしょうか。
大臣、フリーランスの方の保険料についても同じ質問をさせていただきたいと思います。減免などについて、考えられないでしょうか。
それと、先ほどもありましたけれども、フリーランスの方への支援があす発表されるということなんですけれども、これは厚生労働省のホームページを見るしかないということですか。確認させてください。
●加藤国務大臣
まず保険料の関係ですけれども、これは多分国民年金と国民健康保険に入っておられる方が多いんだろうと思います。
国民健康保険は、収入減少等の特別な事情のある場合には保険者の判断によって保険料を減免することが可能でありますが、ただ、都道府県に対して保険者が、条例に基づく徴収猶予等について周知を適切に対応するようお願いをしているところであります。これは都道府県ごとに違ってまいります。
それから、国民年金保険料は、失業や事業の休廃止をされた場合については適用できるという仕組みにはなっておりますけれども、失業しているわけでもないし、事業をやめたわけでもないという方については、いわば一定の仕事はされている、就労はしているということについては減免をする仕組みには今なっていないということでありますので、今般の小口の貸付資金等々をうまく活用していただくということに、減免ということについて言えば、なるということであります。
それから、新たな制度のPRでありますが、あしたからスタートいたします。これについては、我々のハローワークとかそういったところにもそうしたパンフレットを置かせていただいて、PRには努めていきたいと思っています。
●西村(智)委員
それでは、法案の質疑に入りたいと思います。
非常に内容がたくさんあって、論点も多岐にわたりますので、本来であれば、束ね法案ではなくて個々に、一本ずつ審査、審議すべきだというふうに思います。
まず、私の方からは、高年齢者雇用安定法について伺いたいと思います。
先ほどもありましたけれども、就業確保措置、これがやはり私も大問題だというふうに思うんです。しかも、これが問題なのは、就業確保措置については、雇用と非雇用を組み合わせて措置するということにした場合、過半数代表者の同意が必要ではないということなんだそうです。
法案のつくり方からいえば、雇用が六十五歳から七十歳まで延長されているので義務は果たしているとみなされるということなんだろうと思うんですけれども、やはり、この間、先ほどありましたフリーランスの話一つをとってみても、大臣も、フリーランスへの支援は、非常に個々の状況がさまざまで、例えばどういうふうに所得の捕捉とかをしたらいいのか、困難だというようなお話もありました。もちろん勤務時間もそうだと思います。
そういったいわゆる非雇用の働き方をふやすという流れを政府は今まで多様な働き方ということでもてはやして、それを拡大する方向に法改正をしてきたんですけれども、私は、今回の高年齢者雇用安定法の改正もそういう流れに乗っかっちゃって、やはり本来労働法制としてあるべき形から外れていっちゃうんじゃないかというふうに思うんですね。少なくとも、雇用と非雇用を組み合わせた場合においても過半数代表の同意は要件とするべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣
六十五歳までは定年の廃止、定年の延長又は継続雇用ということで対応するということでありますけれども、六十五歳以上については、やはりそれぞれの方の状況も違っているところであります。
独立行政法人労働研、いわゆるJILの調査、二〇一九年の六十代の雇用・生活調査によると、起業による自営業をしたいとか、起業以外の自営業をしたいとか、そういった希望を持っている方もいらっしゃるわけでありまして、そういった意味で選択肢を広げていくということで、今回、雇用以外の措置も設けさせていただいております。
ただ、その中で、今委員御指摘のように、単独で、いわゆる創業支援等措置の場合には過半数代表等との同意が必要だというふうにさせていただいておりますけれども、雇用の措置と組み合わせた場合には同意をとる必要がないということになってはおります。
ただ、私どもとしては、高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針というのがありますが、その策定に当たって、雇用の措置とあわせて雇用以外の措置を講ずる場合においても過半数代表者等との同意を得ることが望ましい旨を盛り込むといったことも、労働政策審議会において議論していただきたいというふうには考えております。
●西村(智)委員
ぜひ、過半数代表者等との同意を得ることが望ましいということについて労政審で議論する、それはそれで一つ意味のあることかと思うんですけれども、やはり同意を得ることを要件とすること、これについて前向きに議論するべきだというふうに思うんです。
もともとの話をすれば、本当に過半数代表の同意というのがどういうふうに担保されるのかというような問題はこれありなんですけれども、就業措置をつくるというときに、私はそこの同意というのは最低限必要なものだというふうに思うんです。
それで、例えばなんですけれども、事業主が非雇用を選んで委託契約で働く人に業務に従事してもらう場合と、それから、定年延長によって労働契約に基づいて社会貢献活動をする場合と、いろいろなケースが考えられると思うんです。定年延長して社会貢献活動というのをやるケースもあると思うんです、また他方で、非雇用を選んで委託契約で業務をやっていただく場合とがあると思うんですけれども、さっきもありましたけれども、その二つが同じ仕事をしていた場合に、労働者保護という点からは、しかし、労働法制に入る入らないでこれは著しい差が出るわけなんです。
それで、労働者側が例えば雇用契約による就労を希望していたとしても、事業主の方が委託契約であるというふうに提示した場合、それを委託契約でどうですかというふうに言った場合に、労使の合意に至らないということも想定をされます。こういうケースにおいて、事業主の方は七十歳までの就業計画を提示しているわけですが、七十歳までの就業計画を提示しているということをもって、事業主は努力義務を果たしたというふうに言えるんでしょうか。(発言する者あり)
●盛山委員長
とめてください。
〔速記中止〕
●盛山委員長
時計を動かしてください。
加藤厚生労働大臣。
●加藤国務大臣
今回の改正は、七十歳までの就業機会の確保について、事業主に対して、五つの選択肢のうちいずれか一つの措置を講ずるよう努力義務を課すものであります。
過半数代表者等の同意を得て創業支援等措置を導入した場合には、それで努力義務を果たしたこととなるが、労働者の多数が雇用継続を求める場合は、過半数代表等の同意が得られないことになるので、その場合は雇用による措置を講ずることといったことが求められることになるというふうに考えます。
●西村(智)委員
なるほど。それで、事業主がそのように非雇用による就業を求める際には、労使合意を得る努力をすることになっています。それが同意しなかったらだめだという話、今大臣が答弁をされました。この内容によっては、労使の間でトラブルになっていくということも想定をされます。ですので、私は、やはりこの労使合意の内容については書面でしっかりと残して労働局などに提出させる、そういう必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、これはトラブル回避策として必要なことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣
そういった、いわば手続と言うとあれですけれども、そういった同意をどういう形でとったのかというのをどう残していくのかということなんだろうと思いますけれども、それについても、先ほど申し上げた指針の策定の中において、どういったものを盛り込んでいくのか、今御指摘のあった点も踏まえて、労働政策審議会でしっかり議論をさせていただいて対応させていただきたいというふうに思います。
●西村(智)委員
それで、非雇用による就業の合意内容についてなんですけれども、報酬や就業期間、それから経費の負担、こういったことは当然書かれることだというふうに思うんですけれども、それすらも書かれないケースもあるのかな。高齢者が安全に就労するための企業主の措置内容でありますとか、それから、なぜ雇用ではなく委託契約でなければいけないのか、そのことを客観的、合理的に理由をきちんと記載するということが必要だというふうに考えます。これについては、大臣、いかがですか。
●加藤国務大臣
まずは、一点目にありましたけれども、高齢者就労ということになれば、特に安全の面をしっかりやらなきゃいけないということは当然のことだと思います。
厚労省においても、労使が取り組むべき内容をまとめたガイドラインを作成しているところで、その周知啓発を通じて高齢者の安全と健康確保のための労使の取組を促進しているところでありますし、さらには、さまざまな補助金も用意しているところであります。
今回の議論においても、当然、こうした面を踏まえながら、省令あるいは指針、運用計画は省令ということになりますけれども、指針等の中において、運用計画にどう盛り込んでいくのか、中において、今お話があった安全配慮といいますか安全衛生面の対応、これもしっかりと盛り込んでいくべく、労政審で議論をしていただきたいと思います。
それから、今おっしゃった理由というのは、雇用でない措置をとった合理的理由といっても、これは選択の問題なので、なかなかちょっと難しいのではないかなという感じはしないではありませんが、いずれにしても、国会でいただいた件については、労政審において、そうした御意見も踏まえて、どう対応すべきかも含めて、御議論はいただきたいと思います。
●西村(智)委員
しっかりお願いいたします。
さっきちょっと長く申し上げた中で私が申し上げたのは、定年延長して例えば社会に貢献する活動をするケースもあれば、同じ仕事の中身なんだけれども業務委託で仕事をやってもらうとか、結局、同じ仕事をしているんだけれども形態が全く違うというようなケースが出てきかねないというふうに思うんですね。そうならないように、きちんと合理的な理由を記載するということは必要だというふうに思います。
それで、次が労働災害のことなんですけれども、労働災害、やはり高年齢になるに従って発生率は非常に高くなります。男性で二倍、女性で五倍。しかも、一回傷病などに遭うと治るまでに時間がかかる。これはやはり高齢者に特有の転倒とか墜落とかいろいろあるからだというふうに思うんですけれども、しかし、高年齢の労働者に向けて労働災害防止対策に取り組んでいる事業所は、労働安全衛生調査報告によりますと五五・七%しかありません。およそ半数近くの事業所が、高年齢の労働者のための労働災害防止対策に取り組んでいないということなんです。
これを踏まえてなんですけれども、大臣、先ほどガイドラインをつくりましたというふうにおっしゃいました。これは、雇用か非雇用かを問わず、請負の人にも事業主から、このガイドラインに基づいて対応を求めるという理解でよろしいですか。(発言する者あり)
●盛山委員長
時計をとめてください。
〔速記中止〕
●盛山委員長
時計を動かしてください。
加藤厚生労働大臣。
●加藤国務大臣
請負契約により高齢者を就業させることの想定される事業者、事業者団体に広くこのガイドラインは周知をして、取組を促していきたいというふうに思っております。
●西村(智)委員
それで、雇用している労働者が被災した場合には労働者死傷病報告を労働基準監督署に提出しなければいけないということになっておりますけれども、非雇用による就業の場合は、この報告書の提出義務がかからないということになります。
ですけれども、さっき大臣おっしゃったように、雇用、非雇用、請負の人、こういった働き方を問わず、高齢者が働きやすい職場環境のためのガイドラインというのが、何というか、対象になってくるということですので、今後の対応策を考える上でも、やはり非雇用の人たちにもこの労働者死傷病報告の提出を求めていくということが必要になるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣
先ほど他の委員に局長から答弁させていただいたというふうに記憶をしております。
基本的には労働者死傷病報告そのものの対象にならないのは委員御指摘のとおりでありますけれども、こうした対象になるような事案が生じたことについて事業主から報告をしていただく、このことは非常に大事ではないかというふうに思っておりますので、それについても、どういう仕組みの中でやるかということを含めて、よく労政審の中で議論していただきたいと思います。
●西村(智)委員
時間になりましたので、きょうは終わります。
ありがとうございました。