●西村(智)分科員
西村智奈美です。新型コロナウイルス感染症対策について質問させていただきます。
大臣、それから脇田所長、連日お疲れさまでございます。しかし、国民の間には言い知れぬ不安が広がっております。その理由の一つは、私はやはり政府の情報発信、ここにあると思っております。わからないならわからないなりにリスクコミュニケーションをとるというのは非常に大事なことだと思っておりますし、また、政府として、エビデンスに基づいた議論をきちんとしているんだということを国民に明らかにしてもらいたい。
国民の皆さんは、実は薄々気づいておられることがあるんです。本当はこうなんじゃないかというふうに思っていることを、ずばりと政府の方から情報発信がないがゆえにますます不安になって、そして、感染をした人たちへの排除といいますか、差別までも生んでしまうようなことになってしまっている。これは大変ゆゆしきことだというふうに思っておりますので、本日、私は、本当はこうじゃないかというふうに国民が素朴に思っていることに対して、明確に政府の方から答弁をいただきたいというふうに思っております。
まず冒頭、加藤大臣にお伺いしますけれども、先ほど、冒頭申し上げたエビデンスに基づいた情報発信、これが重要であるということは大臣は認識として持っておられますか。
●加藤国務大臣
エビデンスに基づいた分析、そして専門家による分析、それを専門家の方から発信をしていただく、あるいは専門家会議で確認をして発信をしていただく、これは非常に大事だと思っていますし、加えて、さまざまな発生をしたことについて、私どもはできる限り速やかに、どういう事象であっても国民の皆さんにお知らせすべく努力をさせていただいているところではありますが、今委員から、さまざまな不安がある、リスクコミュニケーションの仕方の問題、いろいろ御指摘をいただいておりますので、その辺はしっかり踏まえながら今後対応させていただきたいと思います。
●西村(智)分科員
その点で確認をさせていただきたいのが、先ほど岡本委員からも質問のあった、クルーズ船での対応についてであります。
二月十五日に、専門家会合の第一回目が開催されました。十九日に二回目が開催されました。いずれも、大臣と脇田先生、お二人で記者会見をされておられるんですけれども、十五日の専門家会合の後で、脇田座長の方からは、船内の感染管理は十分にできていたという判断をこの会議でも判断したというふうに述べておられるんです。
しかし、先ほど来ありますように、下船をした人の中から国内でも感染者が出ているし、先ほど、国外に帰国された皆さんについてはカテゴリーがごちゃごちゃになっている可能性もあるというふうに大臣からは答弁がありましたけれども、実際に、オーストラリア、イスラエルだけじゃなくて、アメリカ、それからイギリスとアイルランドですか、そのほかにもあるのかもしれませんけれども、そういったところからの感染者が出ているということからすると、船内で感染管理が十分に行われていたのは本当なのかなというふうに、国民の皆さんはまずそこを疑うわけなんです。
これはシンプルにお伺いしますけれども、検疫中の船の中でやはり感染が起きていたというふうに見るのが相当ではないかというふうに思うんですけれども、脇田座長にお伺いをいたします。
●脇田政府参考人(国立感染症研究所長)
お答えさせていただきます。
クルーズ船の乗客の方々につきましては、症状のある感染者数を発症日ごとに確認をしております。それはエピカーブと申しますけれども、それを確認いたしまして、二月の一日に最初の患者さんの報告があり、そして二月五日以降に隔離をされたということになっております。二月五日以降、感染拡大防止の措置が適切にとられて、二月七日に発症者のピークになったわけですけれども、徐々に発症者が減少しているという事実から、船内における乗客の隔離が有効に行われているということを確認をさせていただいております。このことから、検疫中の船内において乗客の中で感染が拡大していたということは断言はできないというふうに判断をしております。
もちろん、発症した方と同室の乗客の方、それから乗務員の方におきましては船内での感染があったという状況は我々としても判断をしているところですけれども、新たに発生をした患者さんにつきましては、船内での行動などの状況を調査して、感染経路については今後検討する必要があるというふうに考えております。
●西村(智)分科員
WHOがこういうふうに述べています、船内で予想以上に感染が広がったことは明らかである。米国のCDCは、日本政府の検疫は、公衆衛生上の効果はあったが、船内で感染を防ぐには不十分であったというふうに述べております。
こういうふうに見ますと、船内で二月の五日以降、感染のピークが去ってからも、感染がなかったという立場に立っているのは日本政府だけではないかというふうに思うんですけれども、この点、大臣、いかがですか。
●加藤国務大臣
その辺も、どのくらいが、要するに、二月五日以前に感染があったのか。委員御承知のように、感染と、発症と、そして実際にPCRの結果が出るまで、これはかなり時間差があります。したがって、そういった分析もこれからしていただかなきゃならないと思います。
ただ、今、脇田所長からもお話がありました、乗客というグループについてどうだったのか、乗員というグループについてはどうだったのか、あるいは後から入った政府職員がどうだったのか、これはそれぞれ違っていると思いますし、実際、同室の方、いわゆる濃厚接触者については、もちろんその後も残念ながら同じ部屋におられましたから、その感染が出てきた。あるいはクルーについては、特に、同室のみならず、トイレやシャワールームも一緒だったということもありますから、そこで拡大してきた。そういった事実は少なくともあるというふうには認識しています。
●西村(智)分科員
大変申しわけないんですけれども、今の大臣の答弁は大変言いわけのように聞こえます。
つまり、私が聞いているのは、検疫中の船内で感染が起きていたということではないか、あるいは大臣はそれについてどう思うかということなんです。
乗客と乗員を分けて、そちらの方でカテゴライズしているのはわかりました。ということは、乗客は感染の防止はできたけれども、乗員は防げなかったと認めているということですか。あるいは、同室の人については起こっていたかもしれないということは、これはやはり感染管理ということについては十分できていなかったというふうに政府あるいは専門家会合の方から率直に認めてもらうことが、国民とのリスクコミュニケーションを成り立たせる第一歩だというふうに私は思うんですよ。だって、今、大臣も言葉をちょっとかえて答弁されたんだけれども、WHOとアメリカのCDCは、感染が広がった、そして感染を防ぐには不十分だったというふうに言っているんです。
脇田座長、いかがお考えですか、この点について。感染の拡大は防げなかった、感染の管理は十分にできていたけれどもその効果を十分に上げられなかったということなのか、それとも、十分に感染管理もできていて、そして感染も広がっていなかったということなのか。わかりやすく、国民の皆さんにわかるように答弁してください。
●脇田政府参考人
船内の感染管理の認識におきましては、二月十九日に開催されました専門家会議におきまして、厚生労働省及び船内の活動にかかわった構成員の方々から、船内の区域管理の実施、医療従事者の感染防御、感染症の専門家が常駐していることなど、船内の感染管理の状況について御報告をいただきました。その上で、専門家会議として見解を取りまとめて、船内での感染管理は適切にできていたということを判断いたしたところでございます。
ですから、座長としての観点からいいますと、その見解については適切な議論の上で取りまとめられたというものでございます。
●加藤国務大臣
そこは、先ほど申し上げていますように、乗客の中でも、濃厚接触者等を外した中で、私どもは、先ほどの脇田所長の分析をして、そうした一定の要件がある者については下船をしても大丈夫だという判断、下船をしていただくという判断をしたわけでありますけれども、ただ、委員御指摘のように、確かに、同室者において拡大をしていく、同室者の範囲をちょっと超えますがクルーの中に拡大していた、これは私どもは事実だというふうに認識をしております。
ただ、そこは既に、船の中での隔離をしなきゃいけない、あるいは船の中での拡大防止という選択をせざるを得ない中において、その可能性はもちろん一定程度認識をしながら、今回の感染拡大防止をとらせていただいたということではあります。
●西村(智)分科員
二月の十五日以降、船の中で仕事をした厚労省の職員も感染しております。ですので、感染の可能性があるということを認識しながらというふうに大臣はおっしゃるのではなくて、やはり船の中で検疫中に感染の可能性はあったと認めてほしいんですが、大臣、もう一回だけ答弁してください。
●加藤国務大臣
それは当然、後から陽性者が出ていますし、そして陽性者に対応しているというわけでありますから、そうした者とおられる、あるいはそうした方を例えば診察する、あるいはそうした方を搬送する、そういった段階においては感染の可能性があったことは間違いない事実だと思います。
●西村(智)分科員
次に、この船は下船が始まっていて、今千人ほど船内に残っているということなんですけれども、私は、やはり、この史上最大の船舶検疫というのは失敗したという認識に立った上で、今後の取組を進めるべきだというふうに思います。
ですので、今も乗組員の方は千人ぐらい残っていらっしゃるということですけれども、この方々に対してもきちんとした感染防止をやっていただきたいということと同時に、下船した方々へのフォローアップを強化するというふうに、先日、大臣は会見でしたかで述べておられました。どういった方々を対象に、何人を対象に、どういう体制で行うのか、教えていただけませんでしょうか。
今でさえ、恐らく、検疫関係の、あるいは健康局関係の厚労省の職員、リソースは大分船内にとられていたんだというふうに思います。そのフォローアップ、今後は、検査とあわせて、治療とそれから予防、こういったところに人間を割いていってもらいたいというふうに思うんですけれども、どういう体制でこれを行うことになりますか。
●加藤国務大臣
下船されて国内におられる方、これが今、私ども、二月二十四日二十三時時点では八百五十七名と把握をしておりますけれども、そうした方に対するフォローアップ、これは基本的に、保健所を通じてこのフォローアップ体制というのをこれまでもしいてきているところであります。それにのっとって、それぞれの保健所、大変御負担をおかけしておりますけれども、そちらの方からチェックをしていく。また、それに当たっては、各都道府県とも情報を共有しながらやらせていただきたいというふうに思います。
それから、委員御指摘のように、確かにこの間、厚労省全体としても、クルーズ船の対応に相当なマンパワーを、あるいはエネルギーを注いでまいりました。それから、実際問題、東京や横浜の病院においても、かなりその受入れをしていただいておりますから、その分だけ埋まっているという事実があります。
その辺も踏まえながら、まさにこれから国内の発生というものが、大変重要な分かれ目に来ているというふうに申し上げておりますけれども、これから増加するということも想定しながら、体制をしっかりと組み直していきたいと思っています。
●西村(智)分科員
それで、もともとのところを考えますと、やはり、あのクルーズ船をなぜ横浜港にとめ置いて、船内で検疫をするという判断をしたのか、ここのところにどうしても戻らざるを得ません。もっと別の選択肢があったはずです。
それを、例えば船外におろして検疫するとか、各国に協力をお願いするとかいうことで、いろいろあったと思うんですけれども、どういう分析をして、どういう検討をして、その経過をきちんと教えていただきたいんですが、その結果として船内で検疫をするという判断になったのか。これは大臣が一番よく御存じのはずです。
●加藤国務大臣
当面は、二月の五日に既にPCR検査をした中から陽性が出てきた、したがって、もともと香港で、乗船された方が陽性反応を示したということから全部スタートしているわけでありますけれども、一定程度感染のおそれがあるということで、私ども、臨船の検疫を更に強めていったということであります。当初は着岸することもできませんでしたけれども、その後、着岸ができるようになる、あるいは、一定程度外洋に行かなきゃいけないという事情を行かなくて済むような状況にしながら対応させてきていただいた、こういう流れであります。
その中で、今委員御指摘のように、海外の話もありました。例えばアメリカが、しかし、今の中でやるのが適切だという判断が途中で下されていることは委員も御承知のところだと思います。それから同時に、では、我が国でこれだけの、三千七百人の方を一人一人管理できる場所があるかというと、残念ながらそういう施設もありません。それから、そうした状況の中で、最終的に、このクルーズ船の中で、必ずしも条件はよくないわけでありますけれども、一定の管理をしていかなければならないという判断の中で対応させていただいた、こういう経緯であります。
●西村(智)分科員
それについて私も反論はありますけれども、きょうは時間も限られておりますので、また次のときにぜひ質問をさせていただきたいと思います。
次に、PCR検査について伺いたいと思います。
午前中も山井委員から質問がありました。三十七・五度以上が四日続いたら相談をしてください、その相談で、都道府県の判断によってPCR検査が受けられる。実際のところは、一日わずか数十件程度しかPCR検査が行われていない。
しかし、これは大臣も会見等で述べておられますけれども、私が聞いたのは三千五百、四千近い数字の一日のPCR検査の可能数があるということなんですけれども、三千五百件可能だと言う割には、一日当たり数十件しか行われていないというのは、極めて規模が小さいと思います。
三十七・五度以上で四日以上というのと、それから、妊婦さんは早目に相談してくださいというふうな相談の目安というのが出されましたから、恐らく各地の相談ダイヤルはパンク状態じゃないかと思うんです、なかなかかからない。そういう中で、かかったとしても、なかなか検査を受けさせてもらえないという状況にあるんじゃないかというふうに私は思っております。
まず、この三千五百件の数字なんですけれども、これの根拠は一体何でしょうか。ここに民間に依頼できる部分というのが含まれているかどうか、それをお答えください。
●加藤国務大臣
三千八百と申し上げた中には、国立感染研が四百、検疫所というのが羽田、成田、横浜等十三カ所ありますが、そこで五百八十件、いわば公的機関で九百八十件。地方の衛生研究所で、今、八十三カ所中七十四カ所で体制ができているということで、約千八百件。民間検査会社が五社で九百件。大学で、これは二大学で百五十件というのが、これまで説明させていただいたところであります。
その後、現在、医学部の附属病院等で百カ所から検査を行いたいというお話がありますので、感染研から、まず、必要な試薬等のセット、これを送らせていただいているところであります。また、民間検査機関からも、十社を超えるところからお話がありますので、そういうところにも検査キットを送らせていただいて、まずは試しといいますか、やれる体制をつくっていただいて、やれるところから逐次具体的な検査をやっていただきたいというふうに思っています。
●西村(智)分科員
感染研の脇田所長にお伺いしますけれども、他国、海外から日本に検査キットが届けられた、それも感染研に届けられたという情報があります。この事実関係について教えてください。
●脇田政府参考人
中国大使館を通しまして、中国から検査キットを受け取りました。
●西村(智)分科員
今、それはどういう状況になっていますか。
●脇田政府参考人
感染研におきまして性能試験を実施して、その結果を厚生労働省に報告をしたというところになります。
●西村(智)分科員
大臣、その結果を受け取って、どうされますか。(加藤国務大臣「ちょっと待っていただけますか」と呼ぶ)
●後藤主査
では、ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
●後藤主査
それでは、速記を起こしてください。
加藤厚生労働大臣。
●加藤国務大臣
感染研からは同等というお話をいただいておりますので、あとは、もともとある供給力と中国からの輸入、これはよく調整していきたいと思っております。
ただ、申し上げておきたいのは、今、PCR検査が、先生の認識ではなかなか進まない背景には、試薬がボトルネックになっているわけではないというふうには思います。
●西村(智)分科員
簡易キットだというふうに……(発言する者あり)簡易キットではない。
ちょっと確認させてください。届いたのは何でしょうか。
●脇田政府参考人
リアルタイムPCRのキットでございます。ですので、感染研で開発をしたリアルタイムPCRキットと性能を比較して、同等性があるという判断をしました。
●西村(智)分科員
検査で健康被害が出るという話は聞いたこともありませんし、ぜひ、海外のものですぐれたものは私はどんどん使っていくべきだというふうに思います。
それとあわせてなんですけれども、やはりこの検査の件数が少な過ぎます。現に三千八百件なのに毎日百件足らずというのは、やはり人為的に抑えているんじゃないかというふうに思わざるを得ない。これをもう少しふやしていくということを考えていただけませんでしょうか。現行でいえば都道府県が必要と判断した場合にということなんですけれども、医師の判断で行うことができるようにする。
先ほどの午前中の答弁で、保険収載できるようにというようには答弁はいただいたんですけれども、やはりその体制を早急に整えてもらいたい。そのためには、やはり相談の目安、あるいは相談センターに電話のあった方への対応等々をもう一回見直すべきじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。
●加藤国務大臣
相談の目安は、まず診療所に行っていただくという、まさに手おくれにならないという意味もあります。それから、余り早くに来ると、逆に、いろいろな方が待合室にいて、逆の意味で感染を広げてしまうリスク、これはきのうも指摘を受けたところであります。
そういったことを踏まえながら、ああした目安、もちろん、高齢者や基礎疾患のある方は早目早目に対応していただく。ですから、そこでまず受診をしていただく、そして、受診をしていただく中で、やはりこれは肺炎がある、新型コロナウイルスの疑いがあるということであれば今委員御指摘のようにPCR検査を受けていただく、こういう流れをつくっていく必要があるんだろうと思います。
そのために、やはり今、先ほどちょっと申し上げましたけれども、医療機関でPCRができるようにしておくということがすごく大事なんだと思っています。したがって、この能力が一定程度立ち上がれば、一々保健所でチェックをしなくてもそこで検査をしてもらえるとか、そういったことも含めて、我々も積極的にPCR検査を進めていくべきだと思っておりますので、それに向けて、体制をより前に進めていきたいと思います。
●西村(智)分科員
やはり診療所というか病院、医師のところで直接行うことができるようにするというのが、これが早急の課題だと思っておりますので、民間のところにも、ぜひ、これからも依頼を強化していっていただきたいというふうに思います。
時間がちょっとなくなってきましたけれども、きょう、大変残念なことに、午前中、クルーズ船から下船された方のうち、四人目の死亡者が出られたということです。大変残念です。また、これは国際社会に向けても大変大きな影響が出てくることは避けられないというふうに思います。
きょうは外務省にもお越しいただいていますけれども、各国の日本渡航に関する状況、私が聞いているところで、米国や南太平洋の島嶼国等々は危険度を上げたというふうに聞いていますけれども、ざっくり申し上げて、どういうふうになっていますか。
●長岡政府参考人
お答えいたします。
中国を始め各国、地域における新型コロナウイルス感染症の確認を受けまして、一部の国、地域の関係当局は、日本を含めて感染者が所在する国、地域への渡航の禁止、渡航の延期勧告等の呼びかけや、あるいは注意喚起を行っています。また、感染者が所在する国、地域からの渡航者の入国の制限等も行っていると承知をしております。
これまで確認したところでは、ミクロネシア、トンガ、サモア、イスラエル、キリバス、ソロモン諸島、韓国、タイ、ブータン、バーレーン、オマーン及びパラオの十二カ国の関係当局が、日本を含め新型コロナウイルス感染症の感染者が所在する国、地域への渡航の抑制の呼びかけを行っているものと承知しております。また、米国、台湾、豪州の関係当局は、渡航の中止や渡航の延期の勧告ではなく、注意喚起を行っているというふうに承知をしております。
これまでも外務省は、厚生労働省と協力して、東京におきまして、あるいは関係の国の大使館を通じて正確な情報発信に努めてまいりましたが、これからも引き続き、そういう点で努力をしてまいりたいと考えております。
●西村(智)分科員
やはり政府の方から適切に情報発信をするということが、私は国際社会に対して長い目で見れば安心を与えるということになると思いますので、ぜひ、そういう立場で大臣からお願いしたいと思います。
あと、駆け足で質問いたします。
治療法についてです。早急に確立をしていただきたい。これは国内外の知見を集めて、ぜひお願いしたいと思います。アメリカではエボラウイルスのお薬が効くとか、中国ではどうだとか、あと、神奈川県知事が要請したインフルエンザのお薬とかいろいろありますけれども、臨床試験を、特にこれは時間をかけないでやっていただきたい。今まで、とかく日本はそういう意味では時間がかかっておりますけれども、国の機関、例えば国際医療研究センターなどを通じて早急にやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
●加藤国務大臣
新型コロナウイルスの治療薬になり得るのではないかと言われている中で、今、エイズで承認されているカレトラ、インフルエンザで承認されているアビガン、エボラ、これは未承認ですが、レムデシビルというのがございます。それぞれについて、観察研究というスキームで、医師が、自分の医療機関の審査を通れば、患者の同意を得てそれぞれ投与するというやり方、もう既にカレトラでも行われております。アビガンでも行われております。レムデシビルではこれから行っていくというふうに承知をしております。
それと加えて、今委員御指摘の治験ということについては、レムデシビルについては、米国との国際共同医師主導治験というのが三月からスタートするという運びになっているというふうになっております。これは、どうしてもレムデシビルを提供していただかなきゃいけないということでもございます。
ただ、レムデシビルそのものについての観察研究、要するに、実際に患者さんに投与して効果を見るというものは、もう既に今月からやるべく、今、段取りが進んでいるというふうに承知をしています。
●西村(智)分科員
抗HIVのお薬などについては、在庫の確認もぜひお願いしたいと思っております。これから感染が拡大していくということになれば、重症者をとにかく救う、そのための取組を最大限にやっていくことが必要だというふうに思っておりますので。
最後に、脇田所長、一点だけお伺いしたいと思います。
先ほど、私、PCR検査の対象者について、例えば相談センターに電話のあった方だけではなくて、もっと、今出ている相談・受診の目安ですとどうしてもハードルが高くて、検査にまで行き着かないんです。今、実際に一日三千八百件可能なところを、もっとマックスのところまで全国で行われる検査の件数が近づいていけるように、もう一回この受診、検査の相談の目安を見直してもらいたいというふうに思うんですけれども、あるいは各保健所に対しての指導を見直すべきだというふうに思うんですけれども、いかがですか。
●脇田政府参考人
目安につきましては、私の方から今こう変えるべきだということではないんですけれども、検査体制におきましては、今、感染研におきましても、迅速検査キットを開発しまして、できるだけ臨床の場で迅速に診断できるキットを鋭意開発をしているところでございます。
●西村(智)分科員
もうそろそろ時間ですので終わりますが、やはりこの間の政府の対応は余りにも後手であったという印象を私は持っております。国民に対して、こうではないかと思っていることについて率直に話していただくこと、それが何よりも信頼確立の第一歩であるというふうに思いますが、きょうは、残念ながら、その点については明確な答弁もいただけませんでした。
今回、基本方針、きょうのお昼に対策本部で決定されたということですけれども、ここにおいてもいま一つ、PCR検査のことについて踏み込んだ記述もありません。
ここは与野党問わずだと思っておりますので、ぜひ、この時期を乗り切っていけるように、重要局面だという認識をしっかりと持っていただいた上で、特に菅官房長官は、二週間前に、マスクが来週はもう十分供給できるんだというふうに言われましたよ、記者会見で。ところが、一週間たっても何にも品薄状況は改善されていない。こういった発言が続くということが、やはり私はこの問題を混乱させるもとになると思っておりますので、十分、対策本部に持ち帰っていただいて、対応をとっていただきたいと申し上げて、終わります。
ありがとうございました。