●西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。
私の地元は新潟市、横田めぐみさんが拉致されたところが選挙区でございます。御家族の皆さん、御友人の皆さん、本当に一日も早い御帰国を待っていらっしゃる、そのために資する時間を、20分ですが、持たせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、菅官房長官と呼んだらよろしいのか、担当大臣と呼んだらよろしいのか、担当大臣ということできょうは要求しておりますので、担当大臣として質問させていただきます。
私、条件をつけずに総理が会うということについては異論はございません。ただ、それを言うべきタイミングが今だったのかということについて、それから、なぜ今こういった状況でそういった発言をされたのかということについては、やはり聞いておかなければいけないという考えです。
菅担当大臣は、先日、ニューヨークでしょうか、開催されたシンポジウムでこんなふうに述べておられます。安倍総理も条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意であると累次の機会に述べています。
私、これを聞いたときに「あれっ」と思ったんです。安倍総理も、当然、菅担当大臣も、直接向き合う必要があるということについては、確かに国会の場面でも累次にわたって答弁をされておられたと記憶をしております。主には参議院の本会議とか決算委員会とか、議事録をたどればいろいろございますけれども、最後は私自身が向き合い、首脳会談を行わなければならない、拉致問題の解決に資する会談としなければならない等々と述べておられましたので、確かに対話をするということについては、その決意は累次にわたって述べておられたんだと思うんですけれども、条件をつけずにということで累次にわたって述べていたのかどうか、ここの事実関係をまず確認をさせていただきたい。
いつ、累次にわたって、条件をつけずに向き合うというふうにおっしゃっていたのですか。
●菅国務大臣 安倍総理は、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要なこの拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は自分自身が金委員長と直接向き合うとの決意を従来から述べてきたというふうに私申し上げました。そして、条件をつけずに向き合うとは、そのことをより明確な形で述べたものであります。
具体的には、5月2日の産経新聞に掲載されたインタビュー、また、5月6日の夜の日米首脳電話会談、その後の総理のぶら下がりの会見、さらに、5月9日の参議院内閣委員会における答弁においてもそのように述べてきたところであります。
●西村(智)委員 果たしてそれを累次にわたってというふうに表現することが適切だったのかどうかだと思うんですね。むしろ、累次にわたって述べてきたということであれば、まさに昨年来からの国会での答弁、これこそが累次の発言だったのではないでしょうか。
何かここに来て急に、新聞紙のインタビューに応じて話させるとか、あるいは、週明けの決算委員会、これは内閣委員会ですか、決算委員会ですか、総理が恐らく入るということは連休前には固まっていた日程だったと思うんです、そこで言わせるということも含めて考えて、恐らく菅担当大臣のスピーチ原稿がこういうふうに書かれたんだというふうに思うんですけれども、私は、やはりこれは累次じゃない。本当に累次にわたって総理が述べてきたのは、直接向き合うということ、核、ミサイル、拉致問題の解決に資する会談としなければいけないということであって、条件をつけずにというのはまさに明確な方針転換だというふうに思うんですよ。
このことについては方針転換であるというふうに、担当大臣、お認めくださいますか。
●菅国務大臣 これも先ほど来御質問に答えさせていただいていますけれども、核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題を包括的に解決をして国交正常化を目指すという基本方針は全く変わっていません。
●西村(智)委員 お答えになっていらっしゃらないと思います。
私、今回の流れをずっと見てまいりましたときに、やはり先ほど村上委員も指摘をされておりましたけれども、六カ国協議の枠の中でとうとう首脳会談、トップ同士の会談をやっていないのは日本だけになりました。
中国との首脳会談が、昨年の3月以降、4回開催されています。また、南北首脳会談は、昨年の4月以降、3回開催されています。米朝首脳会談は昨年の6月、これはことしの2月にも開催をされました。そして、ことしの4月にロシアとの首脳会談。まさに日本が、言ってみれば、取り残された状況になってしまって、そして、このタイミングで方針転換をするということが発表をされたのですけれども、このタイミングについても、私はやはりいささかの疑問があります。
重ねて申し上げますけれども、向き合うということ、条件をつけずに向き合うということについて異論はありません。ぜひ成果を出していただきたいと心から願っています。
だけれども、これまた、この連休中に、4日とそれから9日ですか、北朝鮮からの飛翔体が飛んできたタイミング、また、4日のものは単なる飛翔体ということで、弾道ミサイルという断定はされておりませんけれども、9日のものはやはりこれは弾道ミサイルである、国連安保理決議違反であるというふうに我が国政府は明確に認めているわけですから、果たしてこのタイミングで無条件で会うというメッセージが発せられるということは本当によかったのかどうか。
やはり、これは客観的に見ると、いささか場当たり的な対応ではないかというふうに見えるんですけれども、この点、どういうふうにお考えですか。これは外務大臣にも伺いたいと思います。
●河野国務大臣 2002年に5名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、残念ながら、一人の拉致被害者の帰国も実現していないのは痛恨のきわみであります。
ハノイで行われました第2回の米朝首脳会談におきまして、初日の、最初のいわゆるテタテの会談の中で、トランプ大統領から金正恩委員長に、安倍総理の考え方を明確に伝えていただきました。また、その後の少人数の夕食会でも再び拉致問題を提起をしていただきました。
先日の日米首脳会談の中でも、トランプ大統領から、今後も全面的に協力するという力強いお言葉もありました。
そういう中で、この拉致問題の解決は日本が主体的に取り組むことが必要なわけでありまして、御家族が御高齢となる中、一日も早い解決に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく行動していくことが必要だというふうに考えているところでございます。
●西村(智)委員 先ほどの外務大臣の答弁を伺いました。私のそれを聞いた印象は、日米首脳会談で、この間、拉致問題の解決に向けても米国としては協力をする、そういう後押しがあった、そういった流れの中で今回の方針転換があったのではないかというふうに推察をします。
菅担当大臣、この点についてはいかがでしょうか。今回の方針転換の背景には、米国からの後押しがあったということが言えるのでしょうか。
●菅国務大臣 これも先ほどから申し上げていますけれども、総理は、北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は自分自身が金委員長と直接向き合うとの決意、ここは、委員も認められておりますように、従来から述べてきています。条件をつけずに会談を実現をするとの発言は、そのことをより明確な形で総理自身が申し上げたのであります。
いずれにしろ、不幸な過去を清算をして国交正常化を目指す、そのために拉致、核、ミサイル、諸懸案を包括的に解決する、その考え方には変わりはありません。
●西村(智)委員 明確に申し上げたにすぎないということは、では、今回の、安倍総理が五月二日の紙面以降述べておられることは、これまでの方針とは全く変わりがないということでしょうか。
●菅国務大臣 総理は変わりはないと思っています。
●西村(智)委員 それだと、何だかまたちょっと、いかにもその答弁がその場しのぎの答弁のように聞こえます。
私は、条件をつけずに向き合うということは、これは明らかな方針転換だというふうに受けとめています。各党の代表者が集ったNHKの「日曜討論」でも、自民党の岸田政調会長も、公明党の石田政調会長も、これについてはきっちりと説明をしてもらいたいということをお二人とも述べていらっしゃいました。
これは方針転換ではないということですか。もう一回確認させてください。
●菅国務大臣 今私が答弁したとおりであります。
●西村(智)委員 そうしますと、今までと何が変わるのか。
では、今までと交渉方針、あるいはルートを通じてのさまざまな働きかけ、これに何も変化は生じないということなんでしょうか。どうなんですか。
●河野国務大臣 御家族も御高齢になる中、一日も早い解決を目指すという方針に何ら変わりはございません。
●西村(智)委員 いや、何も答えていません。そんなこと誰でもわかっています。
私が伺いたいのは、条件をつけずにというのは、これはやはり明確な方針の転換だというふうに思うんですよ。だからこそ、これだけさまざまなマスコミも方針転換だと書いているし、多くの国民もそういうふうに受けとめています。
それについて、いいとか悪いとか、そういう意見はいろいろあると思うんです。私は異論はありません。拉致問題の解決に資するのであれば、ぜひそれはやってもらいたいと思っています。とにかく直接会って話をするところからでしか、この六カ国協議の枠組みの中で日本だけが取り残されている状況ですから、これについても私は日本政府は責任があると思いますよ。
ですけれども、とにかくやってもらいたいというふうには思うけれども、であるがゆえに、今回のことは大きな方針転換なんだというふうにまずは認めていただかないと、内外に対する説明がまるっきり違うということになりませんか。菅担当大臣、どうですか。
●菅国務大臣 私自身、先般、訪米をした際にも、米国にもこうしたことを説明を申し上げました。そこは理解をしていただいて、当然、この拉致問題解決のために全面協力をしたいということでもありました。
●西村(智)委員 累次にわたって条件をつけずに会うと言ってきた、それは対外的なアピールである。しかし、国内的には従来の方針と何ら変わりはないというのでは、これは外交方針、なかなか一致しているとは言えませんね。外に向けての発信と内側に対する説明が全く違うというのであれば、これはやはり方針として一貫のものとはとても言えないというふうに私は思います。
そのことは、もうお二人からは幾ら聞いても答弁が出てこないということですので、ちょっと別の角度から質問したいと思います。
私、先ほど申し上げましたけれども、六カ国の枠の中で日本が首脳会談をしないまま最後に残っている、これはやはり日本政府に、ある意味、省みるべきところはあるんじゃないかというふうに思っています。というか、そのことについて外務大臣そして担当大臣としてはどういうふうにお考えになっているのか。
もう一回繰り返します。
六カ国の枠の中で首脳会談がやられていないのは日本だけということになりました。そして、今、総理が条件をつけずに直接向き合うというふうに発表をされておられます。このことについて外務大臣と担当大臣の所見を伺いたいと思います。
●河野国務大臣 別に、取り残されているとも思っておりませんし、特に問題があるとも思っておりません。
●菅国務大臣 私も全く同じで、取り残されているとは思っておりません。
拉致問題解決に向けて、総理を中心に、政府一丸となって、まさに日米を始めとし、諸外国としっかり連携をしながら今進めております。
●西村(智)委員 私は、外交というのはやはり一貫したメッセージを発し続けることが必要だと思っています。ですから、今回、飛翔体ないしは弾道ミサイルの発射についても、日本政府として、国連安保理、各国などに働きかけをしつつ、断固とした抗議をすべきだというふうに思っておりますし、また、北朝鮮における人権状況も改善をしたというふうには聞いておりません。
外務大臣、ことし、人権理事会への共同提出を、EU各国とずっと日本政府は一緒にやってきたわけですけれども、これについて今回は乗らなかった、この理由について教えていただきたい。
●河野国務大臣 第二回米朝会談の結果、あるいは拉致問題などを取り巻く諸情勢を総合的に検討した結果、今回はこのようなことにいたしました。
●西村(智)委員 やはり一貫した主張をしないと成果も出ない、これは私は外交の鉄則だと思います。そこのところが今回はやはりちょっと場当たり的になっているのではないかという印象は拭えないということは申し上げておきます。
最後になると思いますので、一点伺います。
今後のその向き合うに当たって、会談成立までの具体的な道筋を、外務大臣それから担当大臣、それぞれどのように描いていらっしゃるのか。これはルートがどうなっているとかいろいろな話はありますけれども、政府としてどのような具体的な道筋をたどって会談成立というか、会談まで進んでいけるのか、このことについて考えを伺いたいと思います。
●河野国務大臣 先ほど村上委員の御質問にもお答えをいたしましたが、今の段階で対外的に申し上げられることはございません。
●菅国務大臣 今日までもそうですし、現在も拉致問題解決に全力で取り組んでおりますが、今後の交渉等に支障を来しますので、詳細について明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
●西村(智)委員 やはり私は、まずは基本は、内外における外交方針を首尾一貫して、日本政府として明確な主張をし続けることだと思います。その中で、直接的に向き合うということを必ず実現をしていただいて、拉致問題の一日も早い解決につなげていきたい。私も議員の一人としてそのことに力を尽くしていきたいと思っております。
そのことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。