●西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。
おとといの質問で、大臣から、いわゆる対象者のことについて私が質問した際に、雇用促進法の対象者の枠組みについてということでいろいろ長い御説明をいただきました。しかし、やはり残されている課題は非常に多いと思っております。
たまたまなんですけれども、きのう私も、ああ、こういうこともあるのかと思って知ったんですけれども、吉田ドクターに伺えばそうだというお話なんでしょうけれども、何か、眼瞼けいれんといって、目があけられない障害の方がいらっしゃって、これは障害者手帳がとれない。制度の谷間にあって、要するに、障害者手帳がとれる方は、目はあいているけれどもという前提があるがゆえに、目がそもそもあけられないという方は手帳がとれない。まさに手帳制度の谷間に落ちてしまっているというようなことも知りました。
また、参考人の御意見の中でも、実際に障害者手帳をとるかどうかというところで非常に悩んだ、あるいは、御家族の御意見もあったりしてちゅうちょしたというようなケースもあるということですと、手帳を持っている方を法定雇用率の算定の基礎とするというだけではやはりそろそろ限界なのかなというふうに私自身は思っております。
法体系も大きく変わって、いわゆる医学モデルから社会モデルへと大きく転換をしてきている、こういうことからしても、そろそろこの法定雇用率の算定のあり方について、ここは一回やはりしっかりと見直していく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
●根本国務大臣 委員の今の御意見は、私も、ある意味でそういう課題があるというのはよく認識しております。
障害者雇用促進における障害者は、多くは申し上げませんが、定義としてはいわゆる社会モデルと言われるようなものですから、この点自体は、障害者の定義は障害者雇用義務制度に比べると非常に広い定義になっていますから、障害者手帳所持者に限らず、職業相談あるいは職業紹介等の支援の対象となる、これが前提です。そして、障害者雇用義務制度は、法的公平性と安定性を確保するという観点から対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるようにする趣旨から、対象障害者の条件として、原則として障害者手帳等を所持しているということにしております。
今話がありましたように、対象障害者の範囲、今の手帳に谷間がある、あるいは障害者手帳をとることについてちゅうちょする方もおられる、こういう課題も御指摘をいただきました。
障害者雇用分科会においてこれは検討されて、次のような指摘もあったところであります。「手帳のみに関わらず働きづらさを抱える障害者に対しては一定の支援が必要。ただ、手帳制度によらない支援の方策は、専門家も入った検討会を設置して、中長期的に議論して欲しい。その際、現在働いている障害者の不利益にならないよう配慮しつつ、働きづらさに応じた支援が可能となるよう、就労能力や職業適性に関する判定の在り方もあわせて検討して欲しい。」こういう指摘があります。
このため、ことしの2月に障害者雇用分科会で取りまとめられた意見書において、「諸外国における仕組みも参考にしつつ、労働施策と福祉施策の連携を進めながら、引き続き検討することが適当」とされております。
こういった指摘も踏まえて、今後、適切に対応していきたいと思います。
●西村(智)委員 ということは、中長期的な議論は必要だけれども、諸外国の例も参考にしながら、これから厚生労働省として、分科会あるいはその他の専門的な議論の場になるかはわからないですけれども、そういう場で議論はスタートをするというふうに、大臣、おっしゃっていただけますか。
●根本国務大臣 そういう対応をしていきたいと思います。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
次に、除外率のことについて伺いたいと思っております。
法定雇用率の問題とも関係する流れで伺いたいと思っているんですけれども、平成14年の法改正のときに、これは廃止するということが決定をされました。平成16年の4までに廃止をするということで決まりました。ところが、いわゆる除外率といいますか、特定の業種については配慮が必要だということで、段階的に減らしていく、平成16年の4月には廃止するということで決まっていたんだけれども、平成22年に最後の引下げが行われて以降、いまだに何も動いていないんですね。平成22年ですから、もう今から10年前になります。
これはいつになったら動いていくんですか、大臣。このままの状況をいつまで続けるおつもりでしょうか。
●根本国務大臣 今、除外率制度については、経過措置として除外率を引き下げ、縮小し続ける、こういうことになっているわけでありますが、この除外率制度の経過措置については、労働政策審議会障害者雇用分科会において、廃止すべきという意見や、障害者の方々がつくのは難しい職種が残っていることは事実であり、経過措置ということであったとしても一定割合残しておくというのは政策として必要という意見など、多岐にわたる指摘がなされております。これらの議論を踏まえて、二月に取りまとめた意見書においては、除外率の廃止については引き続き検討することが適当であるということとされました。
具体的なタイムスケジュールについては確定しておりませんが、今後、意見書を踏まえ、労働政策審議会において、実態の把握や廃止に向けた進め方も含めて議論を進めていただくこととしたいと考えています。
●西村(智)委員 ちょっと今の答弁は、厚生労働省としては解せないですね。
だって、廃止の方向は決定されているわけですよ。決定されているんだけれども、検討会でそういう意見があったから、では、廃止はしないということですか。大臣、今、厚生労働省として、法律の規定を変える、考え方を変えるということを答弁されたということでよろしいんですか。
●根本国務大臣 厚生労働省として廃止する方向で検討しているということについては、変わりはありません。
●西村(智)委員 だとすると、今の、検討会で何か残した方がいいという意見があったという答弁はおかしいですよ。
検討会でいかなる意見があったとしても、それは厚労省として廃止をするという方向であれば、では、引き続き廃止に向けての検討をするということで、大臣、断言していただけますか。
●根本国務大臣 実態をきちんと把握して、廃止に向けた進め方も含めて議論を進めていただくこととしたいと思っております。
●西村(智)委員 いただけるようにということではなくて、廃止の方向は決まっているわけですから、厚労省としてその廃止の方向に向けて議論を進めるという、ここは大臣の姿勢が問われるんです。大臣がそういう曖昧な答弁をしていたら、いつまでたっても議論の場ではそういった方向になっていきませんよ。
大臣、もう一回答弁してください。
●根本国務大臣 廃止するという方向で、これは引き続き検討したいと思っております。
●西村(智)委員 何かちょっとあやふやで、心配なんですけれどもね。
では、明確に、どういう道筋を経て引き下げるのかということを検討するということでよろしいですか。さっき大臣は、何か検討会で、いや、残した方がいいという意見もあるというふうにおっしゃったけれども、そうではなくて、具体的にどうやったら、廃止、引下げの方向に向けて議論するのだということで私は今受けとめてよろしいんですね。
●根本国務大臣 委員が今おっしゃられたとおりで結構であります。
●西村(智)委員 早急に明らかにしてください、その道筋を。法律でこれは決まっている話ですから、それをまたバックギアに入れるという話であれば、法改正を逆にもう一回しないといけませんよ。それが今回出てこなかったということですから、ぜひお願いします。お願いしますというか、当然やるべきことだと指摘をしたいと思います。
それで、次は認定制度のあり方についてなんですけれども、認定制度については、障害者雇用だけではなくて、厚生労働省の中でもいろいろなものがありますよね。くるみんとか、この前、女性活躍推進法で議論されたえるぼしですとかいろいろな仕組みがあるんですけれども、そういったほかの認定制度等々を見ると、やはり条件というのがいろいろ厳しく設けられていて、まあそうじゃないところもあるんですが、評価項目はこれから多分省令等々で決まってくるんだと思うんですけれども、そういった評価項目を満たしていても認定されない、あるいは取消し、こういったものがほかの制度なんかではあります。
なので、あらかじめ条件等を設定しておく、それで、例えば、こういったときには認定されないことがありますよとか、こういったケースでは取り消されることがありますよというふうに、事前に見える形にしておく必要があると思うんですけれども、大臣、今回の認定制度をつくるに際して、どういうふうにお考えでしょうか。
●根本国務大臣 新たに創設する優良な事業主の認定制度については、労働政策審議会の意見書において、評価項目として例えば次のような項目が挙げられております。障害者雇用の推進体制の整備、募集・採用の取組、職場環境の整備、こういうことが項目として取り上げられております。
また、意見書では、評価の方法として、幅広い評価項目を設定した上で、一定の点数以上となる企業を認定する。幅広い評価項目を設定して、要はポイント制にして、一定の点数以上となる企業を認定するということ。あるいは、設備や制度などのストック又は静的状態だけではなくて、直近の進展状況などのフロー又は動的状態も評価することが適当であるという意見をいただいております。
今委員も触れられましたが、これに加えて、認定の取消し事由については、法案の規定において、認定基準に適合しなくなったと認めるとき、この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき、不正の手段により認定を受けたときとしております。
具体的な仕組みや認定基準については、今後、労働政策審議会において御議論いただいて検討したいと考えております。
●西村(智)委員 ぜひ、あらかじめ何か条件などがわかるようにしておいていただきたいと思っております。
それで、先ほど、評価項目が幾つかあると大臣が読み上げてくださったんですけれども、やはり評価項目にあらわれてこない評価すべきポイントも私は出てくると思うんですね。あるいは逆に、評価項目に出てこないけれども、その事業所にとってマイナスのポイント等もあるんだと思うんです。そこは、ですから、ぜひ条件等を設定するときによくよく留意していただきたいと思うんです。
私が今伺いたいのは、例えば法定雇用率の除外規定対象企業、除外率が適用される対象者、対象事業所であっても、除外規定を用いずに、通常の法定雇用率以上の障害者を雇用しているところもあると思います。そういった率先して取り組んでいる企業を積極的に評価する仕組みであるべきだというふうに考えておりますけれども、そういう工夫もしていただきたい。大臣、いかがですか。
●根本国務大臣 今回新たに設ける障害者雇用に関する優良企業の認定制度、この趣旨は、障害者雇用の取組が停滞している中小企業について、障害者雇用の進展に対する社会的な関心を喚起して、障害者雇用に対する経営者の理解を促進したい、こういう目的で創設するものであります。
労働政策審議会の意見書においては、認定に当たっては、法的義務を果たしていることを前提とすることが適当であるとされております。そしてまた、その上で、認定制度の趣旨を踏まえると、さらに、障害者雇用に関して先進的な取組を進めている事業主を認定することが適切と考えるとされておりまして、ある意味で先進的な取組をどう捉えるかということですが、今の議員の御提案にあったようなことも、先進的な取組を進めているという考え方の中に含まれるのではないかと思います。
具体的な仕組みや認定基準については、今後、労働政策審議会において御議論いただいて検討することとなりますが、御指摘のような除外率認定対象企業に対する評価についてもこの議論の中で検討がなされるものと考えております。
●西村(智)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
あわせて、認定した後の状況ですね。やはり、認定された後はもうされっ放しですよということであってはいけないというふうに思います。ほかの例えばくるみんとか、えるぼしとか、そうなっていないかなと実は私もちょっと心配しているところがあるんですけれども、今回は、認定された後も適時確認作業のようなことが行われて、必要な措置をその時々でとるということで受けとめてよろしいですね、大臣。
●根本国務大臣 優良企業の認定制度の具体的な仕組みとしては、今委員からも御指摘がありましたが、一度認定した後に定期的な更新制とする、あるいは年度ごとの取得にするなどが考えられると思います。
どのような仕組みとするかによって認定後の状況確認や確認する場合の確認方法なども変わってまいりますが、今後、労働政策審議会障害者雇用分科会においては、これらも含めて具体的な制度の内容について御議論いただいて検討していきたいと思います。
●西村(智)委員 それでは、多分最後の質問になるかもしれませんが、障害者活躍促進計画について伺いたいと思っております。
私は、やはり雇用の質の向上というのが、本来であれば今回の障害者雇用促進法改正の重要なテーマであるべきだったんだろうというふうに思うんです。今回、計画をつくるということになったわけですけれども、その計画をつくるに際して、やはり作成のガイドラインが極めて重要になってくる。そこには、雇用の質の向上というものをまずはきちんと入れていただきたいということが質問の一つ。
もう一つなんですけれども、計画を策定するに当たって、やはり障害当事者、団体の皆さん、あるいは地域の関係者の方、そういった方からの意見も踏まえるということが非常に重要だと思います。それも作成のガイドラインに盛り込んでいただきたいと思いますけれども、いかがですか。
●根本国務大臣 法定雇用率達成に向けた障害者の採用、これについては、単なる数合わせとならないようにする必要があると思います。
今回、要は、国及び地方公共団体が、障害者の活躍の場の拡大のための取組を不断に実施するという観点から自律的なPDCAサイクルを確立できるように、これらの機関に障害者活躍推進計画の作成、公表を義務づけることといたしました。
障害者活躍推進計画では、厚生労働大臣が定める作成指針を踏まえて、組織内の体制整備や職場環境整備といった、障害者が活躍しやすい職場づくりや人事管理に関する取組について盛り込むこととしております。
そして、今、指針には、障害者の活躍を推進するため、計画に盛り込むべき事項や指標などについて示すこととしておりますが、指針を定めるに当たっては、今後、公労使、障害者代表を構成員とする労働政策審議会障害者雇用分科会において御議論いただきながら、その内容を検討したいと思っております。
各府省や地方公共団体において障害者活躍推進計画を作成するに当たっても、例えば障害者である職員に対するアンケート調査を行うなどによって障害者である職員にも意見を求めることについて、各府省に働きかけをしたいと思います。
公共団体の計画策定に当たって地域の障害者団体などの関係者からも意見を求めることについては、それぞれの判断にはなりますが、地方公共団体に示していくこととしたいと考えています。
●西村(智)委員 当事者抜きで当事者のことを決めないというのは、まさに障害者政策に関する議論の根本でありますので、ぜひそこは、余り引っ込まないで、厚労省として言うべきことはちゃんと指針において言っていく、そのことを改めて求めたいと思います。
終わります。