●西村智奈美君 業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
職場におけるセクシュアルハラスメントやマタニティーハラスメント、パワーハラスメントは、労働者の尊厳や人格を傷つける、許されない行為であります。
しかし、連合が2017年に行ったハラスメントと暴力に関する実態調査によれば、職場でセクハラを受け、又は見聞きした人は41.4%、同じくマタハラについては21.4%、そしてパワハラについては45.0%にも上っております。しかも、雇用の入り口に立とうとする就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメント事件が多数発生するなど、まさにセクハラ、マタハラ、パワハラ対策の強化は喫緊の課題となっております。
それにもかかわらず、政府提出法案にはセクハラ禁止規定は設けられておらず、セクハラ、マタハラ、パワハラ対策も不十分な内容にとどまっております。
そこで、我々は、全ての働く人が自分の能力を最大限発揮できる社会を実現するため、セクハラを禁止するとともに、セクハラ、マタハラ、パワハラ対策を強化する三法案を提出いたしました。
以下、三法案の概要を御説明いたします。
まず、業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案について申し上げます。
本法案では、業務等における性的加害言動について、従業者等が、その業務に関連し、又はその業務上の地位を利用して、就職活動中の学生やフリーランスの方を含む他の従業者等に対して行う当該他の従業者等の意に反する性的な言動であって、他の従業者等に精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれがあるものと定義した上で、禁止規定を置いております。
さらに、従業者の懲戒等の措置、指針の作成、相談体制の整備、紛争の迅速かつ適切な解決に資する施策、二次被害の防止、教育、啓発などについても規定しております。
次に、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法案では、他社の従業者からのセクハラ、マタハラに係る対応強化として、事業主に対し、その労働者から他社の従業者によるセクハラ、マタハラに係る相談を受けたときは、他社の事業者に対して対応を求め、又は厚生労働大臣に対して是正を図るように求める義務を課しております。
そして、その実効性確保のため、加害者側の事業主による不利益取扱いの禁止、その違反等の際の厚生労働大臣による公表等の仕組みを設けることとしております。
また、セクハラ、マタハラに関する対処の周知、迅速かつ適切な事後対応その他の事業主が講ずべき措置についても具体的に法律で定めております。
最後に、労働安全衛生法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法案では、パワーハラスメントに関し、事業主は、その従業者に対する周知及び啓発、実態把握、相談体制の整備、パワハラ発生時の迅速かつ適切な被害者保護等必要な措置を講じなければならないこととしております。
さらに、消費者対応業務に係るハラスメントに関し、事業者は、ハラスメントに対処するための体制整備等必要な措置を講じなければならないこととしております。
そして、指針の策定、助言、指導及び勧告、公表、調査研究、国の援助等について規定しております。
以上が、三法案の提案の理由及び内容の概要であります。(拍手)