●西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。
今回の改正案、もう既に多くの方がおっしゃっていますけれども、8本もの法律を束ねる、厚生労働省の最近の常套手段であります。安倍政権、政府全体の常套手段と言ってもいいかもしれません。 本来であれば、少なくとももう少し小さいくくりにするとか、そういう工夫があってしかるべきだったと思いますし、また、今回、入管法の改正に伴って急遽つけ加えられた内容もございます。こういった拙速な審議ではなく、もっとしっかりと時間をかけて議論できるように、強くそこは要求をしたいと思っております。
早速ですけれども、法案の中身について質問したいと思います。
まず、支払基金法の改正について。
今回、全国で47ある支払基金の審査委員会それから審査事務局の設置場所、これを都道府県に置くという必置規定が廃止されることになります。これに伴っていろいろ懸念されること、それから、もちろんそこから、いわゆるローカルルールというものがどういうふうになっているのか。ここは今、多分いろいろなところで情報の共有はなされていると思いますので、本当のローカルルール、皆さんが言うようなあしきローカルルールというものは私はなくなってきているんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういったものも、今後どういうふうになるのか、しっかりと見ていかなければいけないと思います。
まず一つ目に伺いたいのが、今回の改正案の中で、医療機関等への診療報酬の適正な請求に資する支援というふうに記載をされることになっております。この内容について伺いたいと思います。
●根本国務大臣 支払基金の審査は、レセプトが保険診療ルールに基づいて正しく請求されているか、これを確認し、適正でないと判断した場合には査定を行っております。
このような審査は引き続き重要でありますが、これまで審査によって培われた知見を活用して、医療機関における適正なレセプトの提出に向けた支援を行うことも重要だと考えています。そういう観点から、このような考え方についてまず法律上の理念規定に位置づけました。
そして、今回の改革では、レセプト事務点検業務について、ICTを最大限活用してその効率化に取り組むこととしています。その上で、審査委員や職員は、ICTでは対応できないより高度な医学判断を必要とする審査に加えて、この適正なレセプトの提出に向けた医療機関への支援を重点的に実施していくということとしております。
●西村(智)委員 そういう改正の趣旨であれば、今後の審査委員会の設置場所がどういうふうになるのか、これはやはり極めて重要だというふうに思います。
今までの経験を生かしてもらう、知見を生かしてもらうということからすると、審査委員会は今後、47都道府県に設置するということになりましょうか、大臣。
●根本国務大臣 審査委員会は、引き続き各都道府県に設置することが必要だと考えています。
●西村(智)委員 そこで、じゃ、どういう業務が出てくるのか。社保審の中では審査委員の補助業務を行うというふうに書かれておりますけれども、審査委員の単なる補助業務なのか、それとも支援業務といったようなものをやることになるのか。どういう業務量になるのか伺いたいと思うんです。
●根本国務大臣 審査事務局の業務については、審査委員の補助業務に加えて、審査委員と連携しながら実施する医療機関に対する指導、啓発活動、これが中心になるものと考えておりますが、具体的な業務内容については、今後、支払基金において検討を進めることとしております。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
そこで、今後は全国で10カ所程度、審査事務センターを設置するというふうになっておりますけれども、これはどういう考え方で、10カ所をどこに置くのか、どのくらいの規模のものを置くのか、この点について、今の時点でぜひ厚労省の考え方を伺いたいと思います。
●根本国務大臣 審査に要する費用は国民の拠出する保険料で賄われております。国民負担の軽減の観点から業務効率化を進める必要がありますので、職員のレセプト事務点検業務の効率化にあわせて、その実施場所を全国10カ所程度の審査事務センターに順次集約して組織の合理化を図ることとしています。
これは、現在、支払基金では全国6カ所のブロック単位でさまざまな業務運営が行われていることを基本としながら、職員の通勤が可能かどうかや職員の配転希望状況等を考慮したものでありますが、審査事務センターの具体的な設置箇所数や場所については、集約に伴うコストや建物の規模なども勘案して、今後、支払基金において検討がなされるものと承知をしております。
●西村(智)委員 今後、支払基金の方で検討をということなんですけれども、非常に重要な我が国の健康保険、ここを審査するところでありますので、支払基金の動向をやはり厚生労働省としてもきちんと見守っていく必要があるというふうに思っています。
先ほど吉田委員の質問にもありましたけれども、やはり懸念されるのは、全国10カ所の審査事務センター、ここのところに異動をしなければいけないということも出てくるかと思います。あるいは、スケールメリットが出るんだからということで、整理解雇などという話も出てきかねないと思っております。
やはりそういったことはまずないようにということと、それから、地元で採用されている方も多いと聞いていますので、そういった方々のワーク・ライフ・バランス等にも配慮した設置そして運営になるように、支払基金の動向等を厚労省としても注視していくべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
●根本国務大臣 一昨年の7月に支払基金業務効率化・高度化計画を策定いたしましたが、本計画に基づいて業務効率化を着実に進め、遅くとも2024年度末段階で現行定員の20%程度、800人程度の削減を計画的に進めることとしています。
800人分の業務削減については、職員の業務負担を減らすことを通じて対応していくということを考えています。具体的には、査定につながる可能性の高いレセプトを抽出するためにコンピューターチェックの精度を向上させること、判断が明らかなレセプトについて、請求受け付け時点で職員の目視確認の対象から除く機能をシステム導入すること等により対応していくということで対応したいと思います。
一方、具体的な定員削減の方法については、定年退職者等の退職者と新規採用職員などの雇用を調整していくことにより対応可能と考えています。このため、整理解雇が必要となるとは考えておらず、支払基金においてもそのような考えであるものと承知しています。
さらに、支払基金の職員の人事配置については、支払基金において職員の意向をしっかりと聞きながら丁寧に対応を進めていくよう、国としても指導していきたいと思います。
●西村(智)委員 随分長かったです。後半部分の答弁だけいただければ十分でした。
ぜひ厚労省としても注視していっていただきたいと要請をいたしたいと思います。
それでは次に、健康保険法の方なんですけれども、やはり、先ほどもずっと質疑、答弁を伺っていまして、内外無差別原則が本当に貫かれるんだろうかということ、あるいは、言い方をかえれば、厚労省の中で本当に内外無差別原則を貫こうとしているのかということが大変疑わしいというふうに言わざるを得ないと思いながらきょうは聞かせていただいていました。
法改正の部分から先に質問をさせていただきたいと思います。
今回、健康保険法の改正で国内居住要件を導入する。これについては、私たちの手元に配られた資料ですと、社会保険方式でやっている各国、ドイツ、フランス、韓国ですね、中国もそうなんですけれども、そういった中で、ドイツ、フランス、韓国、ここが日本と比較対象になるだろうということで例示をいただいている資料なんです。
ここで、国内居住要件はそれぞれあるし、そして他方、日本に生活の基礎があると認められる者については例外的に要件を満たすということにするから大丈夫ですというふうに説明をいただいているんです。
では伺いますけれども、日本国内に住所を有しない者のうち、日本に生活の基礎があると認められる者というのは一体どういう人のことを指しますか。
●根本国務大臣 現時点では、これまで日本で生活しており、渡航目的に照らして今後再び日本で生活する蓋然性が高いと認められる者、一時的な渡航である者であって、渡航目的が就労でない者とすることを考えています。
●西村(智)委員 それで、例外となる者の詳細は省令で規定するということなんですけれども、今いただいている資料ですと、留学生や海外赴任に同行する家族など、先ほど言った、今後再び日本で生活する蓋然性の高い者等を例示する予定だというふうに書かれています。
きのう私、厚生労働省に、このくらいは立法事実としてデータを持っているんだろうというふうに思って聞いたんですけれども、実はとっていなかった。それで、けさ間に合ったというので、改めて質問したいと思います。
ちょっと大臣、時間がないので短くお答えいただきたいんですが、ドイツ、フランス、韓国、ここで、留学生それから海外赴任に同行する家族、こういった方々は国内居住要件の例外的取扱いになっているか、それぞれ簡単にお答えをいただきたいと思います。
●根本国務大臣 ドイツ、フランス、韓国は、いずれの国も被扶養者に国内要件を課していますが、留学により海外に居住する場合は引き続き適用対象とする取扱いになっていると承知をしています。
現時点で把握している範囲でお答えすると、ドイツでは、EU等に留学する場合、EU等で利用できる欧州疾病保険カードにより滞在国での医療に保険が適用されますが、その他の国の場合の取扱いについては確認できておりません。
フランスでは、EU等に留学する場合、欧州疾病保険カードにより滞在国での医療に保険が適用され、その他の国に留学する場合でも滞在国での医療費の償還が可能とされております。そして、いずれについても、留学の期間に制限はありません。これがフランスのケース。
韓国については、具体的な条件は確認できておりませんが、被保険者の子が海外に留学する場合は引き続き適用対象としていると承知をしております。
●西村(智)委員 海外赴任に同行する家族のことについては今答弁がなかったんですけれども、私の方で申し上げていいですか。
ドイツは、海外赴任に同行する家族が国内居住要件の例外とは確認できませんでした。フランスは、海外同行家族は例外的取扱いがされています。韓国は、海外同行家族は例外というふうには確認できませんでした。言ってみれば、一言で言うと、結構ばらばらなんですよね。
日本がなぜこれを今回導入することになったのか。立法事実というふうに質問しますと、先ほどの尾辻委員とか池田委員、あるいは阿部委員の質問にもありましたけれども、ほとんど立法事実らしきものがない。出てきた資料がこれ。これなんだけれども、聞くと、その内容についてはきのうの夜まで調べていなかったというようなことで、これは一体何のためにやる措置、法改正なのかなということを私は思わざるを得ないです。
つまり、例えば海外赴任で同行する家族について、例外的な取扱いとされている国はフランスだけなんですよ。ほかの国は、例外的な取扱いだというふうには確認できなかった。その中で、日本が国内居住要件を入れるというために、何かあえてこのような資料の説明の仕方をしている、それで、省令で今後定めるというふうにしているわけなんですけれども、結果として、実態として、該当する被扶養者というのは、やはり外国人が極めて少なくなってくると思います。
結果として、これは外国人差別になってくるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
●根本国務大臣 今回の法案においては、国内の保険医療機関を受診した場合の保険給付が原則という健康保険制度の基本的な考え方に立ち返り、海外の医療機関を受診した場合の給付は例外であることを徹底する観点や、適正な認定事務を確保する観点から、諸外国との制度比較を行った上で、被扶養者について原則として国内居住要件を設けることとしたところであります。
被保険者との扶養関係だけに着目して、今回の特定技能一号の帯同できない家族などの海外居住者について、引き続き健康保険でカバーするということも一つの考え方としてはあり得ると思いますが、しかしながら、海外で居住する者はその国の公的保障を受けることが原則と考えられる中で、日本で生活する蓋然性が低い海外居住者まで被扶養者とすることについては、健康保険が労使の保険料によって運営されている支え合いの仕組みであることを踏まえれば、保険料を負担する方のコンセンサスが得られるかどうかという観点からは適当ではないと考えております。
●西村(智)委員 国内に来られる外国人の方も保険料は同様に払うわけですよね。保険者の信頼ということであれば、そういう方々からも信頼を得るような仕組みにするということが必要なんじゃないですか。そういう発想がないから、やはりこういうふうに、何だかうまく取り繕おうとするような措置をとろうとしているんじゃないか。
ちょっとこれは通告していませんけれども、資料の中に、今後どういう人が例外的取扱いの対象となるのか例示をするということになっておりますが、例示をもとにして、これは例外的取扱いかどうかというのを保険者がそれぞれの判断で認定する、こういうことになりましょうか。
●根本国務大臣 具体的には省令において定めることとしておりますが、一つは留学生、海外赴任に同行する家族、そして三つ目が、海外赴任中に生まれた子や海外赴任中に結婚した配偶者など、身分関係の変更があって新たに同行家族とみなすことができる者などを規定することを想定しております。
●西村(智)委員 何もお答えになっていない。
例示をもとに保険者が認定をするということになるわけですよね。これはなかなかきついと思いますよ、窓口の人たちも。恣意的に判断することになるのか、あるいは、やり方一つ間違えば、それは差別的な取扱いだということになりかねないわけです。
私、ここはやはりもうちょっときちんと議論した上で、省令の内容も含めて提案をしてもらわないと、とてもとても議論に足る中身ではないというふうに思います。ここはもう一回、後で質問させていただきたいと思っていますので、整理をしておいてください。
それで、法案に直接ではないところなんですけれども、いわゆる受入れ・共生のための総合的対応策というところで、先ほども質問がありましたけれども、社会保険料を滞納した外国人等へはどういうふうになるのか。それは、厚労省の方から法務省に依頼があって、要請があって、それでこの総合的対応策をとるということにしたというお話がありましたけれども、社会保険料を滞納した外国人への対応、きょうは法務省、法務副大臣からお越しいただいていますが、どういうふうになるんでしょうか。日本人と差がありますか。
●平口副大臣 お答えをいたします。
外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図るためには、外国人にも社会保険制度上の義務を適正に履行してもらうことが重要であると認識いたしております。
昨年12月に関係閣僚会議で了承された総合的対応策においては、外国人に対する社会保険制度上の義務の履行を促進するための施策が盛り込まれております。
具体的には、特定技能外国人の在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請に際して、地方出入国在留管理局において、外国人本人及び受入れ機関の社会保険制度上の義務の履行状況を確認することとしております。そして、社会保険制度上の義務を履行せず、一定程度の滞納等があることを把握した場合には、地方出入国在留管理局においてまずは義務を履行するように指導し、それでも義務を履行しない場合には、在留資格の変更や在留期間の更新を認めないということとしております。
なお、特定技能制度においては、受入れ機関や登録支援機関が一号特定技能外国人に対し社会保険の手続に関する情報を提供するほか、必要に応じて、当該手続を行う関係行政機関の窓口まで特定技能外国人に同行し、手続の補助を行うなどの支援を行うこととしております。
これらの取組により、特定技能外国人による社会保険制度上の義務の適正な履行を確保してまいりたいと考えております。
●西村(智)委員 私、やはり非常に問題だと思うのは、保険料を一定程度滞納した者から、先ほど副大臣の答弁がありました、在留期間更新許可申請等を不許可とする、変更の方も許可しないということがあり得るということなんだと思うんですけれども、事業主が社会保険に加入させなかった場合、これも多分そうなってくるというふうに思うんですよね。そういうケースまでも対象とする、労働者が罰則を受けるというのは、これはやはり私は人権的におかしい、あってはいけないことだというふうに思います。それは指摘なんですけれども、それについてまたお考えがあったらお聞かせいただきたい。
それから、保険料を一定程度滞納した者からというのは、一定程度というのはどのくらいの額ですか。これは、日本の国内の今までの徴収業務の流れでいえば、結構、滞納した人に対しても、何か納付相談をやったり、ちゃんと督促したりとかいろいろな努力を自治体がやって、債権の未回収がないようにというのを努力するわけですよね。やはり自治体もそういうふうにするということを原則として貫いておいた方がいいんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
●平口副大臣 お答えをいたします。
特定技能制度においては、特定技能雇用契約の適正な履行を確保し、特定技能外国人の保護を図るため、受入れ機関の基準として、労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していることを求めております。
したがいまして、受入れ機関が社会保険制度上の義務を履行しない場合は地方出入国在留管理局において指導を行い、それでも義務を履行しない場合には特定技能外国人の受入れを認めないこととしております。
また、受入れ後においても当該義務を履行しない場合は、特定技能外国人の受入れを継続することができなくなるわけでございます。もっとも、この場合でありましても、登録支援機関等の支援を得て、特定技能外国人が他の適正な受入れ機関との間で雇用契約を締結する場合には、在留が認められることとなります。
なお、社会保険の適正な運用を確保するため、在留資格の特定技能で受け入れる外国人については、法務省から社会保険に係る関係機関に勤務先事業所情報等の一定の情報を提供することにより、関係機関において当該情報を活用した社会保険の加入促進が図れるような取組を行うこととしております。
それと、一定の程度の滞納ということについて、どの程度の滞納期間であるかという御質問でございましたが、お尋ねの点につきましては個々の審査における審査手法にかかわるものであるため、具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただきたい、このように思っております。
●西村(智)委員 非常に重要なことなのに、お答えにならないんですね。大変問題だと思いますよ。
ちょっともう時間がありませんので、次の機会にぜひまた質問させていただくとして、後期高齢者医療制度、いわゆる保険料の軽減特例がありましたけれども、今回廃止されるということで、今年度それから32年度、年金収入が80万円以下の高齢者の負担がふえますね、32年度に。幾らふえますか、大臣、お答えください。年金収入8万円以下の高齢者。
●根本国務大臣 年金収入が年額80万円以下の方については、保険料均等割、これは本則では7割軽減となっておりますが、9割軽減と今されてまいりました。その方の保険料金額、全国平均で見ると月額380円程度でありましたが、今年度は月額平均では750円程度になります。
9割軽減とされてきた場合は月額380円程度、そして、今年度を通して見ると、簡単に言いますと、今年度は、月額平均では370円増の750円程度。これは、本年10月からの国庫補助二割分の廃止は年間で見れば一割相当に当たるものなので、こういう数字に今年度はなります。(西村(智)委員「来年度、平成32年度も聞いております」と呼ぶ)
来年度は、月額平均では1130円程度になります。
●西村(智)委員 平成32年度になると、今よりも月額910円ふえるんですね。これは大変大きいと思いますよ。社会保障費が今圧縮されている中であってもこれだけふえちゃう。消費税が上がるタイミングでふえていくわけですよね。大変大きな問題であると思います。
時間になりましたので、残念ながら、これだけ指摘して、きょうは質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。