●西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラム、西村智奈美です。
まず、今回の問題、私は言語道断のことだと冒頭申し上げたい。そして、そのことを厚生労働省が隠蔽し、今なお、そのアリバイ的な調査をやったということで早期に幕引きを図ろうとしている、このことについても強く抗議をしたいと思っています。
事は、政府の基幹統計がゆがめられ、それによって国民の皆さんに大変迷惑をかけたということ、そして、その原因について、全く今回の報告書によっても明らかになっていないということ、私はこれだというふうに思っております。
きょうは、限られた時間でありますので、ポイントを幾つかに絞って質問していきたいと思っていますが、今回の件、私、やはりどうしても、昨年一月の裁量労働制のデータ問題と重ね合わせて見てしまうんですね。
このときに、政府はそれまで、裁量労働制のデータが誤っているということを、かなりの期間認めようとはしませんでした。しかし、国会で審議が行われるや、もうこれはだめだということでデータを撤回し、そして法案から裁量労働制の拡大の部分を削除した。このときに、厚生労働省内にある監察チームというものが立ち上がってといいますか、そこにこのデータの作成プロセスの検証が任されて、たしか六月ごろだったと思いますけれども、動き始めた。監察チームの報告が出たのが、私の記憶だと、多分二カ月近くかかっているんですよね。
厚生労働省の中の問題であって、そして常設されている監察チームの検証ですら二カ月近くかかっているにもかかわらず、今回、第三者性を高めたと言われる特別監察委員会で、なぜ七日間の審議で、協議でこのような報告書が出てくるのか。アリバイ的な報告書だという疑いを持たざるを得ません。最初からこういったスケジュールがありきで、十七日に一回目をやって、二十二日に報告書を出して、きょうの閉会中審査で一定のけりをつけて、通常国会が始まったら予算委員会は無難にスタートしよう、こういう意図があったんじゃないか、こういうふうに疑わざるを得ません。
このことについて一つ一つ伺っていきたいと思っておりますが、まず一つ最初に伺いたいのは、やはり給付の問題です。今回のこと、大変多くの国民の方に影響が出ております。この給付、本当に全員に行き渡ることになるのかどうか、私は疑問です。
まず一点伺いたいのは、相談ダイヤルですね。今設置をされているということなんですけれども、どういうふうな内容で、何件ぐらい今かかってきているのか、そして、この費用については、年内の予備費とかほかの事務費からの工面ということで執行されているんでしょうか。
●根本国務大臣 まず、相談ダイヤルについては、一月十一日から開設をしました。
追加給付に関するお問合せ、これについては、専用ダイヤルはおおむね百回線以上設置し、最大百八十四回線を確保して対応しています。そして、フリーダイヤルで、平日は、日中働いておられる方々を想定して、八時半から二十時まで問合せを受け付けております。また、土曜日、日曜日、祝日は、平日にはお電話ができないような方々を想定して、八時半から五時十五分までの間、お問合せを受け付けしております。その実績については、一月十一日からきのうまでに四万二千七十三件であります。
そして、主な相談の内容ですが、いつ支給されたか、どの給付が対象となるのか、自分が追加給付の対象かどうかを調べる方法はないのか、これが主な相談内容であります。
相談ダイヤルに関する経費については、平成三十年度の既定予算を活用しているところであります。
●西村(智)委員 来年度予算は、今度は百九十五億円の事務費が予定されているということであります。
ちょっとこれは資料できょうお配りをしておりますが、一枚目が毎月勤労統計の再集計等に伴う厚生労働関係事業の見直しの影響ということで、事務費合計百九十五億円というふうに書かれております。うち、平成三十一年が約九十六億円ということなんですけれども、これについてはどういった財源で捻出することになるのでしょうか。
●根本国務大臣 追加給付に要する百九十五億円の事務費については、各制度の保険料を財源としております。
また、住所データがない等の理由によって追加給付の連絡ができない場合には、国民の皆様にお申出を呼びかけ、申出に基づき追加給付を行うこととしております。こういうことから、結果として、平成三十一年度中に全ての追加給付が終了するとは限らないものと考えておりまして、後年度の負担の可能性も考慮した上で、平成三十一年度予算に平成三十一年度所要額として九十六億円計上をしております。
平成三十一年度に必要となる事務費については既定の事務費等の節減により財源を捻出したところでありますが、いずれにしても、被保険者などの負担する保険料の将来的な引上げにつながらないよう、所要の財源については、引き続き、既定の事務費の節減を行うことによって確保していきたいと考えています。
●西村(智)委員 国の不祥事で出たこういった案件の後始末をするのに保険料を使うというのは、これはどういうことでしょうかね。私は、それはやはり国民の理解は得られないというふうに思うんですよ。ここはきっちりと、どういうふうに捻出するのかということを改めてもう一回教えていただきたい。
それから、来年度以降、もしかしたらまた平成三十三年度以降も、例えば周知をするとかシステム改修をするとか、確認のための人件費が必要とか、こういったことが出てくる必要性があるんじゃないかというふうに思うんです。
次のページに事務費の見込みということで書いてありますけれども、百九十五億円のうちの九十九億円は後年度以降に回っていく可能性もある、あるいは、後年度以降になっていけばなっていくほど、もっと事務費等々がふえていく可能性があるということなんじゃないでしょうか。
いつまでかけてこれをやるのか、大臣、ぜひここは明確に教えていただきたい。
●根本国務大臣 現段階でどの程度事務費が必要かということで、百九十五億円と想定をしております。追加給付については、追加給付が必要な方にはとにかく給付をさせていただくということで考えておりますので、現段階の追加給付に係る事務費は百九十五億円と今予定をしております。
●西村(智)委員 ですので、確認ですが、百九十五億円という事務費は今後ふえていく可能性があるか、そして、その財源を保険から更に出すという可能性があるか、この点について答えてください。
●根本国務大臣 現段階でこのぐらいの事務費がかかるだろう、これは当然想定の上で出しているわけですが、追加給付の実績がどうなるか、これは現時点で明確に申し上げることはできませんので、要は、考え方としては、名寄せ作業をしたり、あるいは追加給付の実績、こういうものは支給実績が出てきますから、こういう状況の中で、必要があれば見直すことになると思います。
●西村(智)委員 今の御答弁は、百九十五億円という事務費がふえる可能性があり、そして、それを保険料から出す可能性もあるということを否定されなかったということでよろしいですね。
●根本国務大臣 これはあくまでも現段階での見積りですから、ふえる可能性もあるし、場合によっては減る可能性もあるだろうという性格の予算の見積りだと思います。
●西村(智)委員 ふえる可能性があるということでした。
それで、ちょっとこの辺、非常に曖昧で、このところ、例えば追加給付になる方の人数も一千九百七十三万人から二千十五万人にふえるとか、あと、給付の額もふえるとかいうことがいろいろ言われていて、一体、じゃ、二千十五万人というのはどういう方々なんだろうというふうに、ここはやはり疑問に思うんですよ。
二千十五万人というその算定根拠、それから追加給付が七百九十五億円になるというその算定根拠、どこからどこまでの期間のどういう方々が対象になるのか、ぜひ教えてください。
今、最初に、相談ダイヤルに四万人を超える方が相談の電話をかけておられるというふうに答弁がありました。私の知人も、何人かやはりかけているんですよ。そのときにどういう答えが出てくるかといったら、追加支給が始まる時期が示されない、追加支給の可能性はあります、その場合は文書で通知が送られてきますと。
結局、何か、こう言ったら申しわけないんですけれども、かけてもかけなくても出てくる情報は同じですから、これでは国民の皆さんの不安はより一層高まるだけだというふうに思うんですよ。
明確に、二千十五万人の方々はどこからどこまでの期間でどういう方々なのかというのをぜひ示していただきたい。
●根本国務大臣 今回の追加給付は、一つは、雇用保険関係については基本手当、これはいわゆる失業手当であります、高年齢者雇用継続給付、育児休業給付などの雇用保険給付を平成十六年八月以降に受給された方、労災保険関係については傷病(補償)年金、障害(補償)年金、遺族(補償)年金、休業(補償)給付などの労災保険給付や特別支給金などを平成十六年七月以降に受給された方、船員保険関係については障害年金、遺族年金などの船員保険給付を平成十六年八月以降に受給された方、こういう方々が対象となる可能性があります。
これらの追加給付に関する対象となる人数及び追加給付の見込みについては、例えば雇用保険について言いますと、毎月勤労統計の再集計値及び給付のための推計値、これを新たに算出いたしました。この毎月統計の再集計値と給付のための推計値の算出に伴って、賃金日額については上限額と下限額を設定しておりますので、これが動くことによって、上限額、下限額に張りついている層を推計した上で、そして、その層に対して平均的な給付額を乗ずることで所要額の算出をしております。
その他の制度についても、私が今申し上げました同様の考え方に基づいて算出しているところであります。
このほか、事務費や加算額を勘案して、影響の出る各制度の影響額の合計金額として七百九十五億円、そして、今私が申し上げた受給される方の延べ対象人数として二千十五万人を算出したところであります。
●西村(智)委員 今の説明を聞いて、ああ、自分は該当するなとか、該当しないなとか、わかる方はいられるんでしょうかね。いないと思いますよ、今の大臣の説明じゃ。
明確に言わないと、この相談ダイヤルに本当に不安を持ってかけてくる人だけがふえていって、しかし、その回答が、もうちょっと待ってください、通知が来るまで待ってくださいということでは、これはもう、消えた給付金ということになるんじゃないですか、最後は。本当に必要な人に払い切れるんですか。どうなんでしょう。
先ほど大臣からも答弁がありました。これからの作業の進捗によっては事務費がふえてくるかもしれない。いつまでかかるかわからないわけですよね。対象になる人も、二千十五万人というか件というかということなんでしょうけれども、データがない期間がありますよね。捨てられている、あるいは紛失している、そこの部分についてどういうふうに計算するのか、ここもまだ何にも明らかにされていない。
これは、給付金が宙に浮いて、最後は消えてしまうんじゃないですか。大臣、どうですか。
●根本国務大臣 まず、先ほどの前段のお話について申し上げますと、私が追加給付の、ある種、概念的に言うと三つの類型について申し上げましたのは、例えば失業手当、これは平成十六年八月以降に受給された方ですよと。そうすると、その方が、自分はいつ失業給付を受けたのか。これは、十六年八月以降に失業給付を受けた方と申し上げておりますので、失業給付をかつて受けられた方がいつからいつまで少なくとも失業給付を受けていたということ、いつの時点で受けたかというのはそれぞれ個々人で私は違うと思いますので、そこは十六年八月以降に受給された方に追加給付をしますという、今そのお知らせをしているわけです。
その意味で、私が先ほど申し上げたことは、実は細かく言えばそういうことですから、そこは個別の皆様の状況に応じて、失業手当であれば十六年八月以降に受給された方が対象になるし、労災保険については十六年七月以降に受給された方になるし、例えば傷病年金とか、あるいは、船員保険も十六年八月以降に受給された方ですから、実はそういう方々が対象になるということであります。とにかく、追加給付が必要な方に対しては給付を実施する方針で取り組んでまいります。
そして、住所などをこちらが把握しているものについてはお知らせをした上で対応するということになりますが、住所データがない受給者の方や、あるいは転居などで住所が不明となった受給者の方については、住基ネットやハローワークで所管している求職情報などの活用も含めて、さまざまな手法を検討しながら対象の方の住所を特定し、追加給付を行っていきたいと思います。
その意味では、やはり今さまざまな形で情報を提供しておりますが、この追加給付を受ける方については、さまざまな手法を検討しながら対象の方の住所を特定し、追加給付を行っていきたいと考えております。
●西村(智)委員 いや、大臣の説明を途中まで聞いていると、何か、ある期間中に給付を受けた方と年金を受けた方が全員その対象になるかのような説明に聞こえるんですよね。なんだけれども、その後に来ると、何かその中で対象になる人たちに対してというふうな説明ぶりだと、やはり誰がそうなるのか、あるいは誰が対象にならないのか、これはいつまでたっても明らかにならないと思うんですよ。どうですか。
●根本国務大臣 私が申し上げているように、雇用保険給付については、雇用保険給付を平成十六年八月以降に受給された方、この受給された方は全て対象になります、受給されているから。それから、労災保険関係でも、傷病年金あるいは障害年金、今現にお支払いをしておりますが、これも十六年七月以降に受給された方、この方々は全て対象になるということであります。船員保険関係についても、十六年八月以降に現に受給された方は全て対象になる。これは確認しておきたいと思います。
そして、先生今お話しのように、住所データがない受給者の方などがおられますので、これは、住基ネットやハローワークで所管している求職情報などの活用も含めて、さまざまな手法を検討しながら住所を特定して、追加給付を行っていきたいと思います。
●西村(智)委員 いや、いまだにわからないですよね、これだと。本当に自分が対象になるのか、あるいは幾らの額が戻ってくるのか、そして、いつその給付が受けられるのか。
これは、やはり消えた給付金にくれぐれもならないように、大臣、徹底してやっていただきたいと思いますが、どうですか。どういうお考えですか。
●根本国務大臣 まず、今の段階でどういう方が給付対象になるのか、それを私は申し上げました。そして、それぞれの皆さんが具体的にどの程度の給付額になるのか、これはそれぞれの方の状況ですから、それはきちんと計算をして、そして、いつからということがありましたが、先ほど申し上げましたように、今現に例えば失業給付を受けている方については、これから上積みになるものについては速やかに給付できますから、つまり、そういうそれぞれの給付の性格によって、できる方から速やかに給付をしていくということで、追加給付については最大限の努力をしていきたいと思います。
●西村(智)委員 率直に言って、これはやはり消えた給付金問題ですよ。徹底的にここは、今、政府の統計あるいは厚生労働省の計算そのものに不信の目が向けられています。ですから、やはりその計算の仕方等々についてもきちんと国会で明らかにしていきながら、納得を得てやっていくべきだというふうに私は強く要請したいと思います。
ちょっと時間がなくなってきまして、特別監察委員会の報告について伺いたいと思います。
先ほども質問がありましたけれども、私もこの報告書を読んでみて、肝心のことが書かれていないというふうに思いました。つまり、組織的隠蔽があったのかどうか、そして、組織的隠蔽に関して何がしかの圧力がかかっていたのかどうかということについて、肝心のところの記述がないんですね。
細かいことを一つ一つ質問すればたくさんあるんですけれども、最大の問題点だと私が思いますのは、昨年の一月にいわゆるデータの復元を行い始めたというタイミングで、私はやはり、なぜこのとき公表しなかったのかということが最大の疑問なんですよ。
このことについてちょっと伺う前に、まず大臣にお伺いするんですけれども、この特別監察委員会、どういうスケジュールでやってくれ、そういう要請を特別監察委員会の方にいたしましたでしょうか。十七日に第一回目の会合が開かれて、二十二日にもう報告が出ているんですよ。わずか二回目の会合で報告が出る第三者委員会なんて、しかも七日で報告が出る第三者委員会なんて、私、聞いたことがありません。
大臣からどういう要請をしていたんですか。
●根本国務大臣 一月十七日に開催された第一回特別監察委員会で、私から、今般の毎月勤労統計調査に係る不適切な取扱いについての事実関係をしっかり解明していただきたいということをお願いしたところであります。特に期限を定めずに、厳正な調査の取りまとめをお願いいたしました。ただ、問題の重要性に鑑み、できるだけ速やかに取りまとめをお願いしたいという趣旨は委員長にお伝えしております。
それから、十七日に第一回ですが、もともとこの特別監察委員会というのは、より中立性、客観性を明確にするために、有識者だけで構成される監察委員会というのを新たに立ち上げました。これは事務方も入らない監察委員会。
その前から、この問題については、我々もずっと、この事案がどうして生じたか、あるいはどういう事実関係か、これは精力的に実態把握に努めておりますし、それから、監察チーム、常設。監察チームは、事務方と有識者で構成される監察チームというのがありますから、その監察チームの委員の皆様も入って、十七日以前にも、どういう事実があったのか、これはずっと作業を続けておりますので、どういう事実があったのかというある程度の基礎的な資料は、そこは用意はされております。
やはりあのとき大事だったのは、私も途中段階では、例えば一月十一日に公表したときは、今その段階で公表できるものを公表しました。ただ、その時点でまだ明確ではなかったのは、こういう事案が起こったときの職員の動機や目的、そして職員の認識、これが明らかになっておりませんでしたので、そこに力点を置いて調査を進める、私は、一月十一日の時点でもそういうことは申し上げておいたと思います。
要は、この監察委員会では、やはり一番大きな動機になったのは、例えば平成十六年からこういう不適切な取扱いがあった、そういうものは、ある程度は事実関係が明らかになるべきものは明らかになっておりましたので、むしろ、原因がどうかということになると、それぞれの職員の目的、動機、認識、これがポイントですから、ここは監察委員会の皆様にも直接ヒアリングをしていただいて、そしてそこを解明していただいた、これが私は大きな点だと思います。
●西村(智)委員 動機が書かれていないから私たちは問題にしているんですね、この報告について。
それで、さっき大臣がいろいろおっしゃいましたけれども、つまり、監察チームで既にいろいろな調査、聞き取り、基礎的なデータをそろえていた、それがあったから特別監察委員会が短期間で済んだ、こういうことですか。こうだとすると、第三者性を有していたと特別監察委員会は言えないんじゃないでしょうか。
第三者性がある委員会というのは何をするか。まず、調査項目を設定するんです。調査項目、何を調査するか、それから、どういう方法でどういうことを対象に調査するか、それを決めるのが第三者性が担保されているということであって、既に監察チームがこれだけの材料がありますといって出したその上を、監察委員会が何か敷かれたレールの上を走っているということは、これはアリバイづくりのための監察委員会だったんじゃないですか。
●根本国務大臣 特別監察委員会、これは調査の中立性、客観性を高めるとともに、統計に関する専門性も重視した体制とするために、私の指示によって、実は、監察チームは厚生労働省職員と外部有識者により構成されておりましたので、その監察チームを引き継ぐ形でやった。そして、具体的にどういうヒアリングをするか、どういうことを対象にしているか、その企画そして実施は監察委員会にやっていただいたということであります。
●西村(智)委員 監察チームというのは、事務局は厚生労働省が務めているんですよ。主査は官房長です。ですから、事務方が事務方内部のヒアリングをやっていたということなんですよ。その上で特別監察委員会が設置されましたというふうに言ったって、結局、その独立した委員会というのはうそで、監察チームがやってきた作業の上に乗っかっただけの話でしかない、こういうふうにやはり見ざるを得ないんですよ。
どうしてそういうことを指摘しなければいけないかというと、この監察報告の中にやはり肝心なことが書かれていないからなんです。先ほど問題意識を一つだけ申し上げましたけれども、何で復元が始まった去年の一月の時点で公表しなかったのかということについてです。
これは報告書の二十四ページに記載がありまして、資料でお配りをしておりますけれども、ここにどういうふうに書かれているか。真ん中の段落です。
政策統括官(当時)Hは、担当室長だったFから、全数調査を行っていないという説明を受けた、その際、H政策統括官が、しかるべき手続を踏んで修正すべきという旨を指示したと述べているが、統計技術的な問題となる復元は当然行われていると思い込んでいたというふうに述べているということなんです。
私、このしかるべき手続というのは何だったのか、何を指してこのHがしかるべき手続というふうに言っていたのか、そこを確認しなければ、公表するという意図がこの時点で厚生労働省の中にあったのかなかったのか、そこを明確に知る手がかりになっているというふうに思うんですよ。
大臣、ここは確認されていませんけれども、これについて私は確認をとるべきだというふうに思います。大臣はいかがお考えですか。
●根本国務大臣 今委員が報告書を引用されたように、御指摘のHの指示については、報告書では、当時の担当室長Fから東京都の規模五百人以上の事業所について全数調査を行っていない旨の説明を受けて、公表資料とそごがあるのであれば、しかるべき手続を踏んで修正すべき旨を指示したと述べております。そして、報告書にも書いてあるとおり、統計技術的な問題となる復元は当然行われていると思い込んでいたと述べており、その後の処理はFに委ね、放置したと記載されています。
このような経緯からいいますと、その指示は公表資料の記載内容を修正すべきとの趣旨と考えられますが、しかし、いずれにしても、部下であるFへの適切な業務指示及びその後のフォローアップなどを何ら行うことなく放置し、引継ぎもしなかったことから、これは適切な対応を行う機会を逃したと認められると思います。
●西村(智)委員 ですから、私は、ここでHが、政策統括官が何と言っていたのか。それで、このしかるべき手続というのは一体何ですかね。ここを疑問に思いませんか、大臣。そこを確認すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
●根本国務大臣 事実関係を言いますと、三十年一月時点の、これは規模五百人、東京都の五百人以上事業所の調査を抽出調査で現に行っていたわけですが、平成三十年一月以降の調査では実は規模五百人以上事業所の調査は全数である旨、総務省に提出した調査計画には全数調査である旨が書いてあるんですね。
ですから、しかるべき手続を踏んで修正すべきというのは、公表資料の記載内容を修正すべきとの趣旨と私は考えられる、これを見ればですよ。それはそごがあるわけだから。私は、このような経緯からいえば、公表資料の記載内容を修正すべきとの趣旨だと考えられると思います。
●西村(智)委員 ちょっと、何ですか、それ。統計委員会への提出資料だけ変えればいいということですか、今の。
もう一回これは確認をとってもらわないと困りますよ、大臣。大臣だって、今、何とかだと思いますよと、口から出任せのような答弁をしないでくださいよ。はっきりと調べて、もう一回確認して答弁してください。(発言する者あり)
●冨岡委員長 席に着いてください。
●根本国務大臣 報告書にも書いておりますが、統計技術的な問題となる復元は当然行われていると思い込んでいたと述べているんですよ。技術的な問題となる復元は当然行われていると思っていたと述べているんですね。と思い込んでいたということですから、そうなると、だから、全数調査ということで承認はとっていますから、それは全数調査と言っているので、そこはそごがあるだろうということで、修正すべき旨の指示をしたことだと思われるということです。
●西村(智)委員 要は、法律違反をしていることをもう一回上塗りして、それを何か更に二重の意味で法違反をしろという指示をしたということですか。
大臣、その、思っているというようないいかげんな答弁はやめてくださいよ。この監察委員会は大臣のもとに設置された委員会でしょう。きょうだって、委員長は、他党の方が参考人招致で要求されましたけれども、来られないんですよ。大臣が答えるしかないじゃないですか。
はっきり答えてください。でなかったら、もう一回やり直してください。委員会の質疑はできないですよ、これ以上。
●根本国務大臣 まず、総務省に承認をとっている調査計画、これは規模五百人以上事業所の調査が全数調査であると書いてある、そしてそれが承認されている。ところが、実際は抽出調査だという報告を受けた。そうすると、計画に全数調査と書いてあるんだから、そこはしかるべき手続を踏んでだから、きちんと修正して公表しろということを指示した。
そして、実は本人は、ここの報告書によれば、統計技術的な問題となる復元は当然行われていると思っているわけですから、そこは抽出調査で復元をしているということをここは公表しろと、そこはそごがあるので訂正して公表しろということだと、ここから思います。
●西村(智)委員 公表しろという言葉がちょっと曖昧に使われていますね、今。統計委員会に対して説明をしろというのか、それとも世間に対して公表しろと言っているのか、そこは非常に曖昧な今の大臣の答弁だったと思います。
これは国民に迷惑がかかっているんですよ。国民に対して説明しなかったらどうにもならないじゃないですか。もう一回これはやり直してくださいよ。強く強く求めます。その点についてだけ答えてください。
●根本国務大臣 今、私が公表という言葉を使ったことについて言及がありましたので、改めて確認させていただきたいと思います。(西村(智)委員「というか、そこに、手元に資料があるんだったら、それも報告書に入れて出してくださいよ、陳述」と呼ぶ)いやいや、違う違う。
●冨岡委員長 まず、大臣が今答えているので。
●根本国務大臣 よろしいですか。
五百人以上、全数となっている計画、これを全数じゃなくて抽出調査としているんだったら、抽出調査と修正して統計委員会に報告して、そしてその旨を一般の皆様に公表するということで私は申し上げました。ですから……(発言する者あり)
だから、全数調査というふうに計画では書いてある、しかしそれは抽出調査としてしているという報告を受けた、そして、報告を受けた本人は復元をしていると思い込んでいたということですから、その計画には全数調査と書いてあるんだから、これは抽出調査として修正して統計委員会にも届けて、そしてその旨を公表するということというふうに私は理解します。
●西村(智)委員 ちょっと委員長、今のはだめ。理解じゃなくて、何と書いてあるか、何と陳述したかというのを要求します。委員長、これはちょっと……(発言する者あり)
●冨岡委員長 静粛に。
西村智奈美君、しっかり質問してください。どうぞ。
●西村(智)委員 いや、もう質問時間がない。
今のはだめですよ。思っているとか考えているとかじゃないんですよ、私が聞きたいのは。正確に、どういうふうに何を言ったかというのをぜひ要求します。これは、委員長、理事会で協議してください。
●冨岡委員長 はい、理事会で今の件についてはお諮りいたします。
●西村(智)委員 もう時間がなくなってきました。
私は、この二〇一八年の一月、データの公表をしなかったということについて、今の大臣の答弁を聞いていても、何か理由を言いたくないんですね。避けているんですよ、公表ということについて。
この二〇一八年の一月といえば、裁量労働制のデータがまさに問題となっていたころであり、それから、財務省、財政諮問会議、あるいは内閣府等々から、数字を出せ、とにかく賃金が上がったというデータがないかというふうに恐らくは言われていたはずなんですよ。それは、財政諮問会議で、麻生大臣の発言でもそういったことが見受けられます。統計上正確な文言ではない、非連続な動きがあるから統計のやり方を見直せという発言もありました。
総雇用所得という統計法上認定されていない言葉も新たにつけ加わって、だからアベノミクスは成功しているというふうにずっと言われ続けてきたんですよ。それを公表するということを避けたかった、そして、実質賃金、賃金を偽装し続けたいというのが政府の意図しているところだったんじゃないか、私はそういうふうに見ています。
ですから、これは、消えた給付金というのも非常に大きな問題ですけれども、国民に公表してきた賃金、そして、アベノミクスで成果が上がってきたとされていること、そのことについてもうそをついていたという賃金偽装の問題なんですよ。このことについて明確に明らかにしない限り、先には進めません。そのことを申し上げて、質問を終わります。