●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
まず、ちょっと質問、通告していた順番を入れかえまして、学童保育の基準緩和について伺いたいと思います。
どうやら、この学童保育の基準、特に人数と要件のところが、今までは、国が定める基準として、従うべき基準とされていたのが、参酌基準、参酌すべき基準というふうに今月中にも閣議決定されるのではないかというふうに私は心配をしております。
これは、今の子ども・子育ての新システムが始まりますときに、やはり、時代の流れは分権だけれども、とにかく子供のこと、それから命にかかわるところは、しっかりと国として、あるべき基準を示しておかなければいけない。特に学童保育は、異なる年齢の子供たちを多人数、同じ場所で見なければいけない、そういう特殊性もあります。だからこそ、人数と要件については従うべき基準とすべきだということで、実はこれは、当時の自民党の先生方からも大分応援の声をいただいて決めたことなんですよ。
きょう資料にお配りをしておりますけれども、例えば、平成二十四年の衆議院の社会保障と税の一体改革に関する特別委員会議事録、馳浩さん、そういう方向性だということで主張もされておられますし、それから、同じく社保税特別委員会の永岡委員も、全国統一的な指導員の資格の要件というのが必要ではないかというような声もあって、しかも、自民党政権になって以降も、秋葉副大臣は、法律に根拠を置いたという点では一歩、二歩前進したというふうに私ども捉えていると、大変前向きに評価をしておられたんです。
それをなぜ、ここに来て参酌基準へと戻そうということにするのか。私は、すべきではないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
●根本国務大臣 西村委員はよく経緯を御存じで、私も今お話を聞いておりました。
確かに、平成二十四年三月に子ども・子育て新システムに関する基本制度において、「質を確保する観点から、職員の資格、員数、施設、開所日数・時間などについて、国は法令上の基準を新たに児童福祉法体系に設定する。」「国が定める基準を踏まえ、市町村が基準を条例で定める。職員の資格、員数については、現行の事業実態を踏まえ、「従うべき基準」とすることも含め、法案提出までに整理する。」とされていて、これに基づいて、平成二十四年に児童福祉法を改正して、平成二十六年に放課後児童クラブの設備、運営についての基準を定めたところであります。
そして……(西村(智)委員「短目にお願いします」と呼ぶ)もっと短くしますか。では、要するに、定めました。
それで、従うべき基準。要は、当時、基準の制定によって、既に活動していた放課後児童クラブが排除されないようにするとの配慮のもとで、当時の放課後児童クラブの事業実態が、約九五%程度のクラブで二名以上の職員を配置している、約七五%程度のクラブで、放課後児童クラブと同様の基準である児童厚生施設の職員の資格基準を満たした職員を配置となっていたことを踏まえて、従うべき基準といたしました。
今回の措置は、従うべき基準によって人材確保が困難といった地方からの要望を踏まえて、全国一律ではなくて、自治体の責任と判断によって、質の担保を図った上で、地域の実情に応じて運営を可能とするものであります。また、基準については、市町村が地方議会の議を経て、条例によって制定するものであります。
厚生労働省としては、従うべき基準が参酌化された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断によって、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。
●西村(智)委員 私は、先ほど申し上げたように、とにかく子供に関すること、それから命に関すること、これについてはやはり国が基準を定めるべきだと。この学童の基準については、ずっと長い間の議論があって、関係団体、当事者の皆さんからの声があって、ようやく従うべき基準へとなったんですよ。それを参酌する基準というふうに変えたらどうなりますか。報道は既に、基準緩和と書いているんですよ。どのマスコミも、見出しに躍っている文字は、基準緩和です。
これを自治体がどういうふうに捉えるか、それをどういうふうに捉えるのか。それを考えると、私はやはり、従うべき基準としておくべきだというふうに思います。それを改めて強く申し上げたいというふうに思っております。
そして次に、もう一点だけ、ちょっと一般的に伺いたいのは、東京医科大学の女子受験生に対する点数の差別問題、ありました。
これは本当に信じられないような手法で、全員の点数、受験生の点数に〇・八を掛けて、何浪以上の人はもう加算しない、女子受験生にも加算しない、現役の人たちには加算するとかというような仕組みで、何か、女子に〇・八を掛けるというのは、これは明らかに差別だということで、多くの女性も男性も怒っているわけなんですけれども、実は、厚生労働省の中でも、女性医師を〇・八人分としてカウントしていたという驚くべき実態があったということがわかりました。
きょう、これも資料でお配りしておりますけれども、医療従事者の需給に関する検討会、第四回医師需給分科会というものです。
ここで、皆さん、ごらんください。配偶者なしの人が、女性医師、仕事量は一〇〇%。何か、すごい感覚的なんですけれども。配偶者ありで子供なしの人が九〇%。子供あり中学生未満、これが五〇%。子供あり、中学生未満の子供なし、六〇%。それで、全部掛け合わせると七九・四から八〇・一%となるから、女性医師の労働時間を踏まえた仕事量は〇・八であると。これをもとに需給の計算をしているんですよ、厚生労働省は。おかしくないですか。何で女性だからといって〇・八になるんですか。こういうところをやはり直していかないといけない。
それで大臣、この分科会の資料、私は、これは明らかにおかしいと思うんですけれども、大臣の考えを伺いたいのと、それから、今、医師の働き方について、見直しの議論が厚生労働省の中で行われているというふうに思います。そのときには、医師の過労とか長時間労働、これをどう是正するかという観点だけじゃなくて、女性の医師がどうやったら働き続けることができるか、ジェンダー平等の視点から医師の働き方改革の議論も進めていくべきだ。そうでないと、ますますこんなおかしなことが続いていきますし、医学部の入学定員というのは、それがそのまま結局医師になっていくわけですよね。女性の医師も、これじゃなかなかふえていかない。ふえていったところで、こんなカウントのされ方をしているというのは本当におかしなことだと思います。
どうですか、大臣、お聞かせください。
●根本国務大臣 ちょっと経緯を含めて申し上げたいと思います。
御指摘の、今の資料の、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において平成二十八年に実施した医師需給推計、これについては、平成二十年、二十一年度からの医学部定員増の臨時増の取扱いについて早急に結論を得るためのものであって、限られた時間の中で、参考人の意見を踏まえた、一定の前提に基づく推計を行ったものであると認識しています。
参考人の御意見ですが、参考人から提出されたのは、三十代から五十代の男性医師の仕事量を一日当たり医師の仕事量の基準として設定して、女性医師は育児等を勘案して〇・八倍、六十歳以上の高齢医師はその〇・八倍として見込むなどの前提を置いたものです。そして、これは女医会の会長さんから、こういう提案がありました。
一定の前提に基づく推計であったために、医師の働き方、勤務状況等の実態について、より精度の高い推計を行い、必要な医師数を推計するプロセスが必要であったものと認識しております。
今、同分科会において、平成三十年には、新たに実施した医師の勤務実態調査に基づく、性別、年齢別の勤務時間を勘案した医師需給推計を実施し、二〇二〇年度以降の医師養成数について、五月三十一日に第三次中間取りまとめを行ったところであります。
今後の医師の働き方については、現在、医師の働き方改革に関する検討委員会において議論を行っているところであります。
●西村(智)委員 少なくとも平成二十八年のこのデータはおかしかったと、私は、大臣もそういう認識を持って当然だと思うんですよ。だけれども、今、それについて何も発言がなかったですし、また、勤務時間に応じて需給の計算を細かくしたというお話でしたけれども、それだったら、いつまでたっても女性医師が働きやすい環境を整えることはできないんじゃないですかと私は言いたいんです。
つまり、現状でやはり女性の医師、いろいろなライフサイクルで、一時的に職を引かなければいけないときもあると思います。だけれども、もうそういった人たちを含めて供給をやっていかなければいけない時代だし、そういうことを、どうやったら厚生労働省として図っていけるのかという前提で考えていかないと、需給の計算をするときにも、やはり私はそういう視点というのは必要だと思いますので、そこは強く申し上げておきたいと思います。
それで、時間がありません。水道法、私、改めて質疑の時間をとってもらいたいと思っています。参議院で、本当に立法の事実が全くないということが明らかになりました。
大臣、もう一回伺いますけれども、厚生労働省がこの法案をつくるときに、再公営化した事例として三つの事例だけを取り上げて、そこから共通している項目を抽出して、それに対応するように法律をつくったという、今のようなお話でした。でも、本当に三例だけで検証が十分にできたというふうに大臣はお考えですか。
三例以外にも、本当は、日本がこの法律をつくるときに、ちゃんと押さえておかなければいけない事実は幾つも幾つもあると思うんですよ。例えば、再公営化するときに改めて住民投票という手続を踏んだところがあったりしたこととか、それから、なかなか、運営権を買い戻すときにすごい莫大なお金がかかったとか、あるいは訴訟になったとか、あるいは、自治体がもう既にノウハウがなくなってしまって、戻そうにも戻せなくなって本当に困難な状況になったとか、そういう事例が三例以外にも私はあるというふうに思っているんです。本当にこの三例だけで検証ができたというふうに考えていますか。
●根本国務大臣 本法案の立案に当たっては、平成二十六年度に、みずから厚労省が調査を実施しました。そして、そこで得られた各国の水道事業の運営形態や制度、官民連携の実施状況、三都市における再公営化の事例等から導き出された教訓を整理いたしました。
我々、二十六年度には、調査対象国で、先進国五カ国、途上国五カ国、そして再公営化調査対象としては今の三カ国ですけれども、それだけじゃなくて、我々もいろいろな事例は、いろいろな文献調査も含めて、あるいは内閣府でもいろいろな調査をしているので、当たり前ですけれども、そういう情報も踏まえて、我々、政策の立案に至りました。
その上で、学識経験者や地方自治体、水道関係団体等を構成員とする審議会の専門委員会において、コンセッション方式のメリット、デメリット、再公営化の事例から得られる教訓、モニタリング方法、事業計画の確認方法、水道料金の変更方法、水道事業認可の考え方など、コンセッション方式導入に当たっての課題などを議論して、報告書を取りまとめて、それをベースに立案をいたしました。
もうちょっといいですか。(西村(智)委員「時間がもうありません」と呼ぶ)じゃ、ちょっと。
御指摘の、ただ、よく三十五カ国百八十都市の再公営化の事例と言われるので、そこも、民間団体の方がさまざまな情報をもとにまとめたものと承知しております。そして、指摘された課題、これは、我々の調査で整理したものと私は同様だと思っています。
一つは、代表的なやつは、民間事業者に求められる水道施設の管理運営レベルや設備投資の内容が不明確だ、そして管理運営レベルの低下や設備投資の不履行が発生した、そして、水道料金の設定方法が不明確であって料金が高騰した、民間事業者に対する監査、モニタリング体制の不備によって、問題の未然防止、発生後の調整が不可能だ、こういうものを我々課題として捉えていますから、ですから、今回の法案では、そういうことがないような仕組みとして提示しております。
具体的には、またお話をしたいと思います。
●西村(智)委員 やはり私は、三例だけで実態ってわからないと思うんですよ。特にこれは古い事例になっていて、世界的には、再公営化の流れが急速に強まったのは二〇一〇年以降だというふうに、参議院の参考人も述べておられました。今、厚生労働省が三例分析したというのは、全部二〇一〇年より前の話ですよね。最近の事例は全く研究していないし、それから、きょう、自治体議会から出ている意見書というのを、ちょっとひな形だけ、ひな形というか、一つだけ持ってきました。
私の地元の新潟県議会が、聞いてください、水道民営化を推し進める水道法改正案に反対する意見書ですよ。自民党の議員の方が三分の二を占める議会で、この改正案に反対する意見書を出しているんですよ。その内容は何かというと、コンセッション方式の導入を促す水道法の一部改正案は廃案にしてくれと書いてあるんですよ。これは新潟県議会だけじゃないんです。同様の意見書を十四の自治体が出しています。一つだけ慎重審議にしてくれというものがありましたけれども、多くは反対する意見書、それで、これを廃案にしてくれと言うんですよね。廃案にしなきゃいけないんじゃないですか。
三例しかやっていない分析は、これはやはり、もっと全世界の事例を私はちゃんと分析しなきゃいけないと思います。大体、民間企業は別に慈善事業をやるわけじゃないですから、スケールメリットのあるところしか参入してこないと思うんですよ。そうなったら、今、本当に、現に水道の基盤強化、どこが必要かといったら、小さい事業体のところですよね。小さい自治体に、あるいは小さい水道事業者のところに、コンセッション事業者が本当に入っていくのか。
私は、善意に考えて、厚生労働省が、まあ大丈夫だろうというふうに言っているように、絶対にうまくはいかない、絶対にうまくはいかない、そういうふうに断言をいたします。断言をいたします。
世界的な潮流は、もう今、再公営化です。日本は、周回おくれの政策を今導入しようとしている。世界的に失敗だったというふうなことが明らかになっているこのコンセッションを、何で今、日本が導入しなきゃいけないのか。
先ほど、初鹿さん、尾辻さんの質疑の中にもありました。利益相反の疑い、大変強いです。また、特定の民間事業者と、日本の政策をつくるときの現場の担当者が、大変密接な関係があったんじゃないかというふうなことも指摘されています。そういったことも一切合財ひっくるめて、もう一回、この法案は廃案にして、そして審議をし直すべきだということを、委員長、改めてお願いをして、私の質問を終わります。