●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
きょうは、ようやく障害者雇用水増し問題についての参考人質疑が午前中に行われました。閉会中に発覚したこの問題、閉会中審査も求めてまいりましたけれども、与党の側からは、受け入れないということで、臨時国会が始まって、きょうということになりましたけれども、本当に、もっと早く御意見を伺っていれば、きちんと、検証ももっと中身の濃いものになったであろう、そしてまた、政府が決定する基本方針ももっとしっかりしたものになったであろうということを考えますと、本当に残念でなりません。遅かったというふうに思います。
先ほど阿部委員が、障害者権利条約から障害者政策委員会、障害者基本法等々のことを引いて、私たち抜きで私たちのことを決めないでという、国際的にも何度となく繰り返されてきたこのフレーズをもとに、障害当事者の皆さんから、やはり入っていただいた上での議論が必要だったのではないか、こういうふうに質問されました。私も全く同感です。
それと同時に、やはり今回のことは、この障害者雇用の水増し、言ってみれば偽装、これを霞が関全体でやっていたということに対する不信なんですね、国民の側からあるのは。その不信を払拭するためには、やはり私、お手盛りの検証であってはならなかったんだというふうに思っているんです。
しかし、今回の検証委員会は、事務局は厚生労働省の内部でありましたし、また、当事者の意見はそこには入らなかった、検証の中には。そして、第三者としての弁護士さんたちからも、入ってもらって検証をやったということなんですけれども、もっとほかにやりようがあったというふうに思うんです。
午前中、私も参考人の皆さんにお伺いいたしましたら、五人の方のうち、たったお一人だけ、いや、もうこれまでのことはいいから、これからのことを考えてほしいというふうにおっしゃった方、お一人だけいらっしゃいましたけれども、あとの四人の方は、やはり検証はもっとしっかりやるべきだというふうにおっしゃっておられました。
根本大臣、もう一回、この検証、第三者性をきっちりと担保した上で、しかも当事者の皆さんの声を聞きながらやる。補充的に、今からでも遅くはないと思います。やる必要があると思いますけども、いかがでしょうか。
●根本国務大臣 検証委員会は、第三者的な検証委員会として専門的にしっかり検証してもらうということで、検証委員会がつくられました。そして、検証委員会の目的、これは、実態や原因を明らかにする、これが大きな目的であります。その意味で、松井委員長、福岡高検の検事長を中心に、弁護士、あるいは行政監察についての有識者、障害者施策に造詣の深い有識者の方々から、第三者の立場から専門的な知見で検証していただきました。
検証委員会では、再点検により減少した通報対象職員に関する全数調査、そして、人事担当部局に対する書面調査、そして、全ての対象機関に対するヒアリング調査、延べ七日間、合計約三十五時間、直接情報収集するための通報専用窓口の設置、そして、これらの調査をもとに多角的に分析を行って精力的に議論をしていただいて、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至った原因を明らかにし、私は、その役割を果たしていただいたものと思います。
●西村(智)委員 本当に原因は明らかになったんですか。本当にこの検証委員会の調査報告で、なぜ水増しがこれほどまでに大量に長期間にわたって行われてきたか、その原因が本当に根本大臣は明らかになったと思っていらっしゃいますか。
検証委員会の中に出てくる文言は何か。関心が低かった、意識が低かった、積極性がなかった、恣意的だった、ずさんだった。言ってみれば、こういうふうに感覚的な言葉だけが並んでいて、それが原因で、一体どういう対策を打てるというんですか。
私はやはり、今回の検証、本当に政策の総括あるいは政策の検証をやるのであれば、こういう感覚的な言葉が並んでくる検証結果ではなくて、もっと、どこに問題があったのか、はっきりと誰が見てもわかるような、そして、霞が関に対して今国民は本当に大きな不信の目を向けています、それが払拭されるような検証であるべきだったんだ、私はそういうふうに思っています。
今までも厚生労働省には、たびたび障害者雇用について、こういった問題が起きる前に見直しをするべきタイミングがいろいろあったと思います。田畑委員がさっき指摘をされておられましたけれども、例えば、平成十七年の障害者雇用促進法が改正されたときに改定されたガイドライン、このときは、精神障害者が含まれる、対象者になるということで、障害者の把握・確認ガイドラインというものが策定をされました。
それから、平成二十六年、このときは、労働者健康福祉機構、ここで障害者の雇用の水増し問題が起きていた。このときには、塩崎大臣が、障害者雇用を推進する責任がある行政当局にとって決して看過できないというふうに言って、完全に厚生労働省から独立した第三者委員会をつくって、問題を徹底的に解明をした。こういうことをやはりやるべきだというふうに思うんです。やることをやれば必ず結果は出る。
現在の労働者健康福祉機構における障害者雇用、今どういうふうになっていますか。これは政府の方で、参考人で結構です。
●坂口政府参考人 お答え申し上げます。
今、委員の御指摘の独立行政法人労働者健康安全機構でございますが、現在の障害者の雇用の状況でございますが、二十九年六月一日現在の障害者の雇用率は二・八六%ということになっております。
●西村(智)委員 わかりますよね、二・八六。きちんとうみを出して、そして検証して、対策をとるというふうにきっぱりとけじめをつけたところは、その後もこうやって障害者雇用をきちんとやれているんですよ。
今回のような、言ってみれば甘々の、検証委員会の事務局に言わせれば、そうではないというふうに言うと思いますけれども、結局何か、積極的ではなかったとか恣意的だったということで、言ってみればお茶を濁されるような検証報告であるとすれば、これまた、逆に言うと恐ろしいことだと思います。霞が関の人たちが、積極的でなかったとか恣意的だった、あるいは関心が低かったという理由で、違法行為をこれほど簡単にやっていたということですから、それはそれで私は恐ろしいことだというふうに思うんですよね。
今回の発覚した事柄の中では、例えば、国交省で死者すらもカウントされていたり、あるいは、外務省では精神障害を身体障害でカウントしていたりという事例がありました。
私は、やはりもう一回、各府省に対しても、例えば、人事担当者へのヒアリングをもう一回改めて行う、あるいは決裁文書を全て再チェックする、このくらいのことをやらなければいけないのではないか、こういうふうに思っていますが、いかがでしょうか。
●根本国務大臣 今、委員のお話でありますが、検証委員会では、私が先ほど申し上げましたが、精力的に検証していただきました。そして、具体的に検証に当たってどういう方法をとるか、これは検証委員会でお決めいただきました。これは第三者委員会ですから。そして、検証委員会は、もう繰り返しになるから避けますが、可能な限りの実態把握を行っております。
特に検証委員会では、検証委員会の報告書では、具体的な各行政機関の問題点、これは具体的に検証委員会で提起されております。
例えば、検証委員会の報告書では、退職した職員を長年にわたり漫然と多数計上していた国土交通省、あるいは、手帳の保持を確認することなく精神障害者を多数計上していた外務省、これを含めて、不適切計上の方法に特異性が認められた行政機関、これについて検証をしていただいております。
そこで、もちろん私もそう思いますけれども、これは、法令の勝手な解釈や、あるいはまことにずさんな事務処理だとか、あるいは障害者の雇用促進に向けての真摯な努力がなされてきたかについて甚だ疑問を抱かざるを得ないと大変厳しい指摘がなされておって、私も全くそのとおりだと思います。
具体的に、それぞれの省庁ごとの問題点、ここは検証委員会において検証していただいたものと思います。
●西村(智)委員 大臣の言葉どおり、検証委員会の指摘が大変厳しいものだったというふうに私も理解いたしましょう。しかし、それを本当に今、各府省がどういうふうに捉えているかなんですよ。
今月の中旬に、新聞報道で、水増しをした省庁が処分をしないという記事がありました。障害者雇用を水増ししていた数として最多の国税庁も、それにかかわってきた職員の処分は行わないということで報道されていたわけです。
私、本当にそうかなと思って、ここに、記事に出ていた各府省に照会をしてみました。本当に処分はしないんですか、本当にその処分を決めたんですか、あるいは、その処分のことについて、処分するとかしないとかいうことについて公表しましたかというふうに質問をしましたら、それぞれの役所からペーパーで回答が来まして、具体的にその私の質問に対する答えというのはないんだけれども、みんな判で押したように同じ答えが返ってきているんですよ。文書の「てにをは」は多少違いますよ。
関係閣僚会議において総理から各大臣に指示があった、官房長官としても発言があった、これを受けて、各大臣から事務次官や官房長に、再発防止と障害者雇用推進に全力で取り組むように注意と指導があった、今後もしっかりと取り組んでいきたい、こういう三段落のパターンですね。全部同じなんですよ、きょう資料でおつけしていますけれども。こういうことからしても、みんなやはり同じようなひな形があって、それを回しているとしか私には見えませんでした。
それから、各府省が今回のことについてどれだけ本気で取り組んでいるのか。根本大臣は、やはり所管をしている省庁だから、それはもうしっかりとやるということで、所信表明演説でも述べられましたけれども、総理がまず述べられませんでしたよね。ことしの臨時国会の冒頭の所信表明演説のときに、このことについて一言もおっしゃいませんでした。
では、ほかの大臣はどうか。どのくらいの大臣が、この障害者雇用の水増し問題について、みずからの省として問題を自覚して、それで所信表明として発言をしているか。大臣、どのくらいの大臣がそういうふうにされているか、御存じですか。
●根本国務大臣 私も一つ一つ確認しているわけではありませんが、例えば記者会見の場とか、特にこの事案が起こってから、委員からもお話ありましたけれども、十月二十三日の関係閣僚会議、総理から各大臣に対して、今回の事態を深く反省し、真摯に重く受けとめ、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底して、再発防止にしっかりと取り組むよう強く指示がありました。私もその場におりましたから。
そして、同日の閣僚懇談会においても、官房長官から各大臣に対して、組織として二度とこのような事態が生ずることのないよう、事務方幹部に対してしっかりと注意と指導を行っていくよう指示されました。私も、その同日に私から事務次官、職業安定局長に強く指導を行いましたし、全部局の幹部を集めて、しっかり取り組めという訓示をしました。
ですから、それぞれ各大臣に対して強く指示がなされておりますので、それぞれの大臣はそれをしっかりと肝に銘じて対応していただいていると私は思います。
●西村(智)委員 しかし、所信表明演説というのは、そのときの国会の冒頭で大臣が、まさにこういう姿勢で行政をやっていこうということを述べられる。私たちは、それをやはりちゃんとよく聞いて、それで、その上で質問もさせていただくわけですから。
この水増し問題については、今年度と来年度で四千人を確保するという計画にもなっていますから、ことしの秋の臨時国会であって当然だ、夏に発覚をした問題で、関係閣僚会議で基本方針が確認されて、そしてこの臨時国会ですから、出て当然だと思ったんですけれども、二十人いらっしゃる大臣、総理を含めて二十人、大臣いらっしゃいますけれども、発言をされたのは、根本大臣を含めてわずか三人です。わずか三人です。麻生大臣、河野大臣、先ほど外務省とおっしゃいましたね、根本大臣、この外務大臣もです。柴山大臣、吉川大臣、世耕大臣、石井大臣、国交省とさっきおっしゃいましたね、原田大臣、岩屋大臣、菅内閣府担当大臣、渡辺大臣、山本大臣、宮腰大臣、平井大臣、茂木大臣、片山大臣、櫻田大臣、誰もこのことについて言及していないんですよ。
果たして、こんなことで、大臣から例えば次官や官房長などに出た指示が本当に実行されるのか。私は甚だ疑問です。ですから、そこはもう一回、大臣、これは関係閣僚会議でも結構なんですけれども、もう一回、本当にやるんだという、やるならやるということを、指示を出していただかなければいけないというふうに思います。
これから、合理的な配慮、これも各府省からやっていただかなくてはなりません。午前中もいろいろ、本当に、あっ、こんなこともあるのかという話がありました。キーボードを使いにくい人が自分のキーボードを持ち込もうとしたら役所の規則で持ち込めなかったとか、それから、障害者用のトイレが、男性の障害者であるのに、女性用のトイレの中に障害者用のトイレがつくられたとか、それから、先ほど阿部さんからもありましたけれども、目の見えない方が通勤のときに同行の支援が使えない、サービスが使えないとか、こんなことがないように、やはり合理的配慮をしっかりと制度化して、予見できるようにしておくべきだというふうに私は思うんです。
それからもう一つ、これは提案も兼ねて申し上げます。
やはり公務部門においても、民間の法定雇用率未達の企業に対する納付金制度と同様なペナルティー制度、これが私はあった方がいいというふうに思います。これは午前中の参考人の意見を踏まえての質問ですので、通告はしておりませんけれども、大臣、この点、いかがでしょうか。
これは、税金から税金に対して納付するというのはおかしな話じゃないかという御意見もあったんですけれども、しかし、それを、例えばその府省の中の担当している部局とか担当している課とか、そういったところで限定されている予算の中から納付金を支払うということにすれば、これはやはり一定の何がしかのプレッシャーにはなると思うんですけれども、検討していただけませんでしょうか。
●根本国務大臣 納付金制度の性格ですけれども、法制定当時に、昭和五十一年にこれは導入されました。これはやはり、事業主がそれぞれ社会連帯のもとで障害者雇用をしましょうということで、納付金制度というのも導入されました。
納付金制度というのは、そもそも、障害者の雇用に伴う経済的負担を調整し、特に事業主間、納付金、義務づけられていますから、経済的負担の調整と事業主間の公正な競争条件を確保しようとするもの、これが実は納付金制度の趣旨であります。
その意味では、同じような仕組みを国の機関を対象とするということは、納付金制度の本来の趣旨が、私が今申し上げましたように、経済的負担の調整と事業主間の公正な競争条件の確保、こういうことで導入しておりますので、こういう趣旨を国の機関に導入するというのは、私はなじまないのではないかなと思います。
●西村(智)委員 諸外国、ドイツやフランスなどでは導入されている仕組みでもあるということ、公的部門、公務部門にも導入されているということですから、そのくらい検討すると言わないと、民間の人たちも怒っていますよ。自分たちにはペナルティーを科しておいて、国は何もおとがめなしかということですよ。それで、これが社会全体にやはり悪い影響も与えます。やはり、障害者を含めての共生社会を実現するという、その先導役ですから、厚労大臣は。そこはしっかりとやっていただきたい、検討もしていただきたいと思います。
ちょっと時間が限られてきましたので、きょうは法務省からもお越しいただいております。例の、技能実習生の聴取票、これは本当にずさんな調査、そしてずさんな集計の仕方で、私、もうびっくりしました。
より高い賃金を求めて失踪したという人が、失踪の理由の八七%と聞かされていたのに、実は低賃金だという理由で、六七%に修正をされた。しかも、その低賃金という中に、契約賃金以下のものが含まれていたり、あるいは最低賃金以下のものが含まれていたり、あるいは、単なる低賃金と書かれていても、計算すれば最低賃金を割っているケースが多々あるということで、これは、政務官をヘッドにして何かチームがつくられるということなんですけれども、データのこういった誤り、私から言えばやはり偽装です、改ざんですね、改ざん。この問題を小さく見せようとしてやった改ざんがなぜ起きたのか。そしてこのチームで何を明らかにするのか。そして、このチーム、本来であれば、法案提出前にしっかりと検証されてしかるべき問題だったというふうに思います。なぜこのタイミングなのか。その三点、お答えください。
●門山大臣政務官 まず、タイミングについてでございますが、大臣からの指示があったのが先週の金曜日ということで、この段階で、私の方が議長として、このプロジェクトチームを発足するという運びになりました。
このようなミスが生じた理由及び経緯ということでございますけれども、これは、故意というふうには我々は認識しないんですけれども、計算上のミスが、集計ミスが生じてしまったということを、私らも報告を受けた次第でございます。
このミスが生じた理由でございますけれども、対外的にそもそも公表することを予定して作成したものではなくて、内部用の報告書をつくるに当たり、地方入国管理局からの報告結果を取りまとめて作成していたものであって、担当者において改めて聴取票の現物と突き合わせるなどの精査を行うという意識が薄く、以後、この誤った集計ミスに基づいて資料を作成していたことが原因であったというふうなことが現状では判明しているところでございます。
●西村(智)委員 何で八七%という数字が出てきたのか、本当に疑問ですね。どこをどういうふうにカウントしているのか。本当に、こういったことがはっきりしないままで法案の審議に入っていくと、またこれだけで時間をとられてしまう。何か、どこかで聞いたような話ですね。前の国会で、厚生労働委員会で裁量労働制のデータについて、どれほど時間をかけて議論したかということを考えれば、そのことで時間が終わっちゃうことにならないように、しっかりと審議はしていかなければいけない問題だというふうに思います。
それで、きょうは、新たな在留資格によって、介護業において、今後、五万人から六万人を受け入れるというふうに一覧表の中で出てきております。これは、どういう根拠でこのような数字を算出されているんでしょうか、教えてください。
●谷内政府参考人 お答えいたします。
今、議員がおっしゃいました、介護業におきまして今後五年間で五万人から六万人の外国人の受入れ見込みとなっております見込み数の考え方でございますけれども、介護分野におきましては、二十九年度の調査でございますけれども、約一六%の施設等が外国人材の活用を希望しているという調査結果を基本にいたしまして、外国人材の受入れ対象となる施設等の数が全国に約十一・三万カ所あるということを踏まえて試算しております。
また、試算に当たりましては、受入れ施設の受入れに向けた準備が必要である点を考慮いたしまして、制度開始五年目までの間に段階的にふえていく。例えば、一年目は受入れを希望する施設の四分の一が、また、二年目から三、四年目にかけては二分の一、四年目から五年目にかけましては受入れを希望する全ての施設が受入れを開始するとの仮定を置いて試算したものでございます。
●西村(智)委員 何か雲をつかむような話ですよね。五万とか六万という数字は、私は、介護業の有効求人数あるいは有効求人倍率、これからすれば甚だ低い数字だと思うんです。単純に有効求人数だけから算出すれば、もっと多くの人員が必要になると思うんですけれども、それを低く算定している。この理由等については、また後で聞きたいというふうに思います。
今現在、介護業で働いている人たちの性別は大体どういう形になっていますか、教えてください。
●谷内政府参考人 お答えいたします。
介護業で働いておられる方の性別の内訳でございますけれども、二十九年度の介護労働実態調査によりますと、まず、施設等に従事する介護職員でいきますと、割合で申し上げますと、男性が二四・〇%、女性が七三・三%となっております。また、訪問介護員でございますけれども、男性が九・五%、女性が八七・八%となっております。
足して一〇〇%となっておりませんのは、回答なしというものが若干あるということでございます。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
それで、私たちも、この間、介護人材の処遇改善法案などを議員立法で提出をいたしております。政府の方からも、この間、いろいろ取組をいただいてはいるというふうに思いますが、まだまだ、ほかの産業と比べても、介護業あるいは福祉の現場で働く皆さんの給料の引き上がり方は鈍いと思います。
先ほど私、ちょっと具体的な数字を申し上げませんでしたけれども、やはり介護業というのは、有効求人倍率、有効求人数、結構多いと思うんですよ。多いのに、そしてまた政府もそうやっていろいろな誘導策をやっているにもかかわらず、人が集まってこない。人が集まってこない、つまり、需要と供給のバランスがとれていないということだと思うんですよね。これは、介護報酬とか、国の制度が入っているということが、一つのまた別の大きな問題ではあるというふうに思うんですけれども。
今回、新たな在留資格で外国人を受け入れるときに、その待遇は、同じ業種につく日本人と同水準のものを担保するというふうに聞いております。それはそれで当然のことなんだけれども、今現在、介護業でいえば、需要と供給のバランスがとれていない、需要に対して供給が追いついていないのに、賃金がなかなかわっと上がっていかないという中で、供給側だけがふえるということは、言ってみれば、介護業で働く皆さんの賃金水準が低いままに据え置かれるんじゃないか、こういう懸念を私は持っているんです。
先ほど御紹介いただいたように、そこで働いている皆さんは多くが女性だと。ということになると、女性の活躍推進と言っている政府として、これをどういうふうに捉えるのか、それは伺いたい。
それからもう一つ、時間がないので一緒に伺いますけれども、技能実習生の聴取票、最賃以下というケースが大変多くあります。これはやはり労働基準監督署なりがきちんと調査に入るべき事案だというふうに思いますけれども、そこは法務省、厚労省、どういうふうに考えているのか、伺います。
●谷内政府参考人 お答えいたします。
介護業の賃金についてのお尋ねがございましたけれども、今回の新たな外国人材の受入れでございますけれども、生産性向上や国内人材の確保を尽くしたとしてもなお、外国人材の受入れが必要となる分野において行うものであるというふうに承知しております。
御指摘の、介護分野におきます処遇改善の取組につきましても、議員御承知のように、来年の消費税のアップに応じまして、介護サービス事業所におきます勤続年数十年以上の介護福祉士につきまして、月額平均八万円相当の処遇改善を行う方針としております。
こうした人材確保対策を引き続き推進していくことによりまして、他産業と遜色のない賃金水準に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。
●佐々木政府参考人 お答えをいたします。
不当な事案を発見したときに入国管理局としてどうするかというお問いだと思いますけれども、地方入国管理局と労働基準監督署の間に相互通報の仕組みができておりまして、問題事案を発見したときには相互に通報をするということになっておりまして、私ども、審査の現場、退去強制の現場等々でそうした事案を発見したときには、労働基準監督署に通報することにしてございます。
●坂口政府参考人 お答え申し上げます。
今回の聴取票の具体的な内容は承知しておらないところでございますけれども、技能実習生の労働条件に関する情報が含まれるとの御指摘もいただいておるため、今後の対応については法務省とよく検討してまいりたいと思います。
今、法務省の方からもありましたとおり、入管当局と都道府県労働局で通報制度ということの仕組みを設けておりますので、その仕組みに沿って、厚労省では、こうした通報を受けた場合には、実習実施者に立入り等をして、是正を図らせたいと思っております。
今回の聴取票につきましても、出入国管理機関との相互通報制度を適切に運用して、対応してまいりたいと考えております。
●冨岡委員長 もう時間が来ておりますので、簡略に。
●西村(智)委員 先ほどの賃金のことですけれども、今のじゃ全然お答えになっていないんですよ。必ずこれは、また後で時間をとっていただいて議論したいと思います。
ゆめゆめ、来週、この法案が採決などということにならぬように、しっかりと時間をかけて私は議論すべきだと思っておりますので、よろしくお願いします。