●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
きょうは、五人の参考人の皆様、本当に貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございます。
私どもも、今回の霞が関における障害者雇用の水増し問題については、本当に大きな驚きとともに憤りを持っております。障害者権利条約を批准し、国内法もいろいろ整備をし、障害者雇用促進法をもとに、まさに日本全国での障害者の雇用を促進していこうと旗を振るべき霞が関が、しかし、そして、その中でも特に厚生労働省がこのような水増しを見逃していた、そして放置してきたということは、本当にあってはならないことが起きてしまったというふうに思いますし、今回のことをしっかりと検証して、今後に向けた方針をつくっていかなければいけないというふうに考えているところです。
そういった、この今のタイミングで皆さんからお話しいただいたことは、本当に具体的なこともあり、また、理念的なところで押さえていかなければいけないこともありで、本当に勉強になりました。ありがとうございます。
それで、私の方から、時間も限られておりますので、もしかしたら全員には質問させていただくことが難しいかもしれません。まずそのことをお許しください。
藤井参考人にまずお伺いをしたいと思います。
今回の政府による検証委員会の報告、それから政府の基本方針、これがまさにおっしゃるように、本当にタイミングよく、検証委員会の検証報告が出された直後に、この政府の基本方針が示されているわけでございます。私は、これを見たときに、まず、そもそも障害当事者の皆さんを本当に十分聞いた上で検証が行われたのか、そして基本方針もそういったことを踏まえて行われたのか、非常に強い疑問を持ちました。
それで、検証委員会の報告書を見ますと、おっしゃるとおり、恣意的とは書いてなかったかもしれませんけれども、何か、積極的ではなかったですとか、見逃してきたような、そういった文言、抽象的な、感覚的な文言が並んでおったんですけれども、この報告書、それから基本方針、当事者の声を本当に反映したものだというふうに藤井参考人はお考えになっておられるでしょうか。
●藤井参考人 お答えいたします。
障害者権利条約がなぜすばらしいか。もちろん、内容もすばらしいんですけれども、私も途中で国連に足を運びました。何度も繰り返されたのが、ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちのことを私たち抜きに決めないで、これが何百遍でしょうね、これが繰り返されました。あの国連の分厚い議場にしみ入るようにこれが響いたんですね。
そういう点でいうと、今回、今起こっている問題というのは、決して私は揚げ足をとるという意味ではなくて、本当の意味で当事者が入ったのかなと。確かに、何回かヒアリングはあったと思うんですけれども、それは一部の団体であります。
九月の六日に、加藤当時大臣に申入れをいたしました、御本人にお会いしました。ぜひともこの検証過程に障害当事者の代表を、別に私とは言いません、代表を加えてもらえぬかと。結果的には、それはかなわなかったわけです。
案の定、今おっしゃったように、さっきも言ったように、その内容は、一言で言うと浅薄ではないでしょうか。先生おっしゃった、今でいうと、恣意的という言葉は入っています。そして、意識や、あるいは関心が薄い、この連発でありますね。さっきも言いましたように、私たちが求めているのは、関心が薄いのはなぜか、意識が低いのはなぜか、このなぜかこそが検証のポイントであったと思うんですけれども、ここには言及できなかった。それをもとにしての基本方針であるならば、やはり土台は弱いと思うんです。
私は、改めて、この衆議院、参議院も含めて、立法府において、時間は厳しいんだけれども、再検証の気持ちをぜひ持っていただいて、更に深掘りをしてほしい。
恐らく前代未聞の、この半世紀以上の、こうした不祥事であります。水増しという言葉は大変上品であって、さっきも言われたように、それは、ある面では虚偽、偽装。もしこれが障害者分野でなかったら、もっと社会問題になるのではないでしょうか。そういう点からいっても、ぜひ立法府において本当の検証を、時間の限りだけれども、やってほしいということを切にお願いいたします。
以上でございます。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
それで、ちょっと時間が限られている中なんですけれども、この点について、できましたら、そのほかの参考人の方にも一言ずつ、お考えをお伺いしたいと思っております。
改めて、もう一度、当事者ないしは関係団体、そういったところの声をヒアリングをしながら検証をやり直して、本当になぜこれが起きたのか。今まで政府も、もう何度となく、この障害者雇用のあり方を政府として見直す機会はあったと思うんです。何年か前にもありました、水増しの問題。そのときにもきちんと対応してきたはずなのに、こうなってきてしまっているということを、やはり、今回は本当にその原因をきちんと探るという点で、もし皆さんがその検証の場に加わっていただけるというのであれば、私はぜひ来ていただきたいというふうにも思うんですけれども、その点についても一言ずつ、ほかの方にもお願いしたいと思っております。
検証のし直しについて、阿部参考人からお願いします。
●阿部参考人 阿部でございます。
御指摘のように、検証の中身については、やはり時間的なことということがあるのか、更に検討が深まることが望ましいと思いました。
その中で、障害があって働いている人の声というのも大事ではないか。問題が生じなかった省もあったはずです。そこではどういう仕事をして、そして合理的配慮の提供が行われていたかということ、これはとても大事なことであると思います。
そして、私も発言させていただきましたけれども、やはり、障害者手帳を持っていることが職場で不利になるのではないかという危惧を聞いたことがありますけれども、それが本当にそういうものなのか。でなければ、プライバシーということはありますけれども、障害者手帳を持っている方々の職位、働いている実績などについても示していただければ、私たちの検討は、なおもっと深まるのではないかと思いました。
以上です。
●有村参考人 私の方からも、実際行政で働いておられた障害者自身の方に御意見を伺うことを切に望みます。
私の方からは以上でございます。
●栗原参考人 今回の件につきましては、本当に、水増し問題、青天のへきれきという感じもしますが、起こってしまったことよりも、今後どうしていくかというのが一番大事じゃないかというふうに思っています。
やはり、指摘をされた事項について、それを一つ一つクリアしていくように、そのためにもやはり合理的な配慮をしながら、戦力として使えるような方法を考えながら雇用していっていただきたい、努めていただきたいというふうに思います。
以上でございます。
●三橋参考人 検証する場合には、毎年、その報告をするときに、どういう形で集計していたかというのを、一番ブレークダウンした、一番最初の現場のところから、きちっと聞いた方がいいと思いますね。
この間、安定局の若い担当の方に聞きましたら、その集計、下から、出先から上がってきた数字を、本庁なりなんなりで集計しますよね。そのところは、皆さん、わからなかったというんですね。ですから、そこを聞いて、把握できなかったといったって、それは把握できないんですよ。もっと出先の報告する人たちに聞いてもらって、どういうふうにやってあなたはこの名前を報告したんですかということを、ぜひ検証してもらいたいと思います。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
やはり、しっかりと根本原因を探さないと対策を打てないというのは、これはPDCAサイクルを回していく上でも必要不可欠なことだと思いますので、私は、やはりもう一回、さまざまな方の声を聞きながら検証をするべきだというふうに思っております。
それで、時間がありますので、もう一問伺いたいと思うんですけれども、五名の方、全員が全員とも、今回、四千七百人ですか、これを今年度と来年度で採用し直すということについて、懸念の声を表明されておられたと思います。拙速であるとか、数合わせであるとかいうふうにおっしゃっておられた。
本当にそのとおりだというふうに思うんですけれども、これはこれとしてまた一つ、今後の私どもの質疑の中でやっていかなければいけないことだと思いますが、皆さんにお伺いをしたいのは、公務部門で数合わせが行われていたということが、結局、なぜこのような形でさらっと検証報告が出てきて、そしてさらっと基本方針が出てきているかといえば、やはり私は、民間部門には、ある意味、ペナルティーがあるんだけれども、公務部門にはそれがないということが、やはり今回の問題を、本当はもっと大きな社会問題であるはずなのに、それよりも何か小さく見えるような感じになっている、その原因の一つでもあるんじゃないかというふうに思うんです。
きょうは、民間の企業でそういった雇用、障害者の雇用を進めておられる方々もいらっしゃいますけれども、できましたらお一言ずつ、民間にはペナルティーがあるけれども公務部門にはペナルティーがないということについて、何か今思うことがありましたらお聞かせをいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
●有村参考人 おっしゃるように、日本の場合、民間には納付金という形で、雇用率が達成されない場合の、いわゆるペナルティーのようなものが存在しますが、我々からも、行政側に対しても同じようなペナルティーがということも考えてはおりますが、ただ、同じように税金で税金を充てられても、本当の意味のペナルティーになるかというところがございます。
ただ、諸外国においては、例えばフランスの場合は、行政に対してもペナルティーを科すというところがあります。その財源がどこから出ているかまではちょっとまだ知りませんが、やはりそういうものがないと回らないということも事実かと思いますので、必要性はあると思いますが、どこから出すかが重要かと思います。
以上でございます。
●藤井参考人 とても大事な今の御意見で、やはり、法的な根拠を持った監視システムと並んで、再発防止策を考えていく場合に大変有効な方法だと思うんですね。ドイツもフランスも納付金制度が公的部門にも課されます。それは税金だというふうに伺っています。
今、有村さん、税金から税金とおっしゃったけれども、国家賠償なども税金から使われていますし、フランス、ドイツ、特にドイツなんかは聞きますと、フランスでもそうですね、自分のところの行政の部署、その予算を使って出しております。ぜひひとつ、検討に値しますので、調査研究をしていただきたい、こう思います。
●西村(智)委員 ほかに特段の御意見がなければ、お二人から御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。
限られた時間、そろそろ参りますけれども、私も、やはり今回のことは本当に大きな問題だったと思います。
厚生労働大臣は、先日、この委員会での所信表明演説の中で、この点について反省とおわびということを言及されましたけれども、私も期待して聞いていましたが、この臨時国会が始まったときの総理の所信表明演説に、この件が一言もありませんでした。これほど霞が関全体そして日本社会全体を揺るがした問題について、あらゆる府省の、まさに行政府の長である総理の口から、この点について何も言及がなかった。あったということすらも発言がなかったということは、本当に残念だったし、悔しいことだったと思っております。
私ども、またそういった状況の中ではありますけれども、今回の問題をしっかりと解決に導いて、そして誰もが暮らしやすい社会をつくっていくために、これからも努力してまいりますことを申し上げて、私の質疑とさせていただきます。
きょうは、どうもありがとうございました。