●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
私、四月に、健保組合のことについてといいますか健康保険のことについて、質問主意書を提出させていただきました。通り一遍の回答が政府答弁として出てまいりまして、きょうは改めてそのことについて伺いたいと思っております。
高齢者医療のための拠出金負担が増加して、財政の厳しい多くの健保組合が既に解散をしているし、これから解散するおそれがあるというふうに言われています。こういったところが協会けんぽに移行すれば、多額の国庫負担が発生することになって、国民皆保険そのものに重大な影響を与えかねないという、本当に急速な変化が今起きている真っただ中だと思います。大変深刻な結果を招きかねないというふうに私は思うのですが、大臣はこのことをどういうふうに受けとめておられるんでしょうか。
●加藤国務大臣 まず、健保組合は、労使協調の枠組みの中で、保険料率の設定、付加給付を実施するなど自主自立で運営をいただいておりますし、また、保険者と事業主の距離が近いことを生かして、事業主とも連携した保健事業を実施しているなど、医療保険制度の重要な担い手というふうに認識をしております。
そうした中で、近時、一部の健保組合が解散を検討している、割と規模の大きいところが、そういった報道もあり、そのことについては厚生労働省としても重く受けとめているところであります。
ただ、他方、健保組合全体の最近の財政状況については、赤字組合の割合は減少傾向にあり、また、保険料率の伸びも鈍化をし、また、義務的経費に占める高齢者医療への拠出負担割合の伸びは横ばいないし漸増で推移しているということで、健保組合財政がここに来て急激に悪化をしているという状況ではないというふうに思いますが、ただ、これから、急速な高齢化や医療の高度化によって毎年医療費が増加をしております。中長期的に見て、健保組合に限らず、医療保険全体についても保険料の引上げが必要な状況にはあるというふうに考えております。
そういった中において、健保組合がその財政を健全に保っていけるように、これまでも種々の財政支援措置をさせていただいております。また、加えて、なるべく悪化する前に対応していこうということで、その手法等についても健保連とも今検討を進めているところでございます。
●西村(智)委員 それでしたら、ぜひお答えをいただきたいと思っておりますのが、今、保険料率一〇%以上の健保組合が三百十三組合に上っております。そんな中であっても、健保組合を維持して加入者への保険給付や保健事業を守るために努力を重ねているというところが多いわけですけれども、当然、こういったところが拠出金負担が増加していけば、既に起きているように、解散ということを検討しなければいけなくなってくるおそれも強いというふうに思っております。
そこで、大臣、数字でお答えいただきたいと思っておるんですけれども、仮に今、保険料率が一〇%を超えている三百十三の組合が解散した場合、協会けんぽの保険給付費等に対する国庫補助率一六・四%の部分への財政影響は具体的にどの程度になってくるでしょうか。
●加藤国務大臣 まず、健保組合が、保険料率が一定の水準になったことをもってそれが直ちに解散につながるとは必ずしも言いがたいんだろうと思います。そのときの社会経済情勢や、また被用者保険全体の保険料率の動向なども踏まえながら、また、その保険組合の積立金や付加給付も含めた個々の健保組合ごとの財政やあるいは事業運営の状況等々によって変わってくるのではないかというふうに思うところでございます。
したがって、御指摘の財政影響について、必ずしも、今一〇%を超えているところが全て解散するということを前提のようにしてお示しをするのはいかがなものなのかというふうに考えておりますが、今委員御指摘のように、協会けんぽに対しては給付費等の一六・四%の国庫補助が行われているわけでありますので、解散した健保組合の全加入者が協会けんぽに移行するとすれば、国庫補助額は解散した組合の給付費等の一六・四%増加するということが想定をされるところであります。
●西村(智)委員 想定されるので、どのくらいの数字なのですかということを聞いたわけなんですけれども、それもお答えにならない。
私、やはり大臣、ちょっと危機感が薄いというふうに思います。健保組合の問題については、大臣も、質問主意書、それから委員会での答弁で、指導、相談体制を構築していくというふうに答弁はされているんですけれども、じゃ、具体的にどういったことをやっていくのか。
指導や相談、かなり形式的なことだというふうに思います。従来の負担軽減策あるいは財政支援策、こういったことについても充実や強化が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣 今委員御指摘のように、現行、財政が悪化した健保組合に対する財政支援ということで、健保組合の高齢者医療への拠出金負担の増加の緩和を図るための補助金の交付、あるいは、現に財政が逼迫している組合に対して、三年間での経常収支均衡などを目指した財政健全化計画の策定、実施に関する指導とそれに対する財政支援など、財政的に逼迫した組合へ直接的なそうした財政的な支援を行うとともに、法律に基づき、健康保険組合連合会でありますが、調整保険料を徴収し、その財源を活用して、財政基盤が脆弱な健保組合に対する支援を行っているところでございます。
それに加えて、先ほど少し申し上げましたが、財政が悪化する前段階から健保組合に対する指導、相談体制を実施していく必要があるということで、例えば、健保組合の財政状況を把握するための評価指標、財政基盤の強化が必要な健保組合の抽出方法、具体的な支援や働きかけの方法、これらについて健保連とも相談を行っているところでありますので、健保組合の予算編成の時期になります秋ごろを念頭に置きながら、この検討を進めていきたいというふうに考えているところであります。
●西村(智)委員 指導、相談、極めて形式的だと思います。ですので、それに加えて、本当の意味でこれで維持ができるのだという具体策を私はやはり政府が示す必要があると思うんですね。
政府の改革工程表では、本年度中に結論を出すべき事項として幾つかのことが挙げられています。つまり、後期高齢者の窓口負担、外来時の定額負担、薬剤の自己負担、金融資産を考慮した負担のあり方等ということなんですけれども、こういったことの現在の検討状況についてお聞かせください。
●加藤国務大臣 今お話がありました後期高齢者の窓口負担のあり方を始め、その検討項目については、経済・財政再生計画改革工程表において、平成三十年度末までに結論を得ることとされておりますので、昨年の秋以降から、社会保障審議会医療保険部会において議論を行っていただいているところでございます。これらは、いずれも患者負担のあり方にかかわる重要な課題でもあります。医療保険制度を取り巻く環境や医療費の動向などを踏まえたきめ細かな検討を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
この検討項目の中でも、特に後期高齢者の窓口負担のあり方については、高齢者の負担にかかわる重要なテーマでありますので、医療保険制度の持続可能性の観点も踏まえつつ、高齢者の方々の生活や負担能力に応じたきめ細かい配慮を行いながら、必要な方に必要なサービスが提供されていくよう、引き続き社会保障審議会医療保険部会などにおいて丁寧に検討させていただきたいと思っております。
●西村(智)委員 ちょっと時間の関係で先に進みますが、平成二十九年度に特別負担調整が導入されております。拠出金負担が重くて財政力が平均以下の保険者のみを対象とした仕組みですけれども、国費百億円というふうに固定されているために、軽減効果が十分なのかどうか、私は不十分だというふうに思いますが。具体的に、二十九年度の基準率は拠出金割合四八・三%でありましたけれども、三十年度は四九・二%に上昇しています。
拠出金負担が多くなれば年々基準率が上昇することになりますので、十分な軽減効果を得るというためには、負担増に応じて百億円というこの枠を拡大するか、基準率を固定するという必要があるのではないかというふうに考えますけれども、この辺、予算上の措置あるいは法改正について伺います。
●加藤国務大臣 委員御承知のように、平成二十九年度に被用者保険の拠出する後期高齢者支援金を保険者の財政力に応じて負担いただく総報酬割を全面導入した際に、被用者保険の負担を軽減するため、その財源を用い、補助金の増額とあわせて創設された仕組みであります。
今、特別負担調整の規模の拡大や基準率の固定といった、これは結果的に国費の増額につながるわけでありますので、その財源をどうするかということについては慎重に検討していかなければならないと思います。
いずれにしても、高齢者医療制度における拠出金や被用者保険への支援のあり方については、高齢者医療費の動向、また、健保組合も含む各保険者や国、地方の財政状況、これらも踏まえながら、丁寧に検討していくべきものと考えております。
●西村(智)委員 大臣の答弁を聞いていますと、やはりスピード感が非常に遅いと思います。健保組合が協会けんぽに移行したときに財政の影響はどうかということについても具体的にはお答えになりませんが、私、これが本当に進んでいったら大変なことになると思いますので、ぜひ強い危機感を持って改革を進めていただきたいというふうに考えております。
きょう、もう一点質問したいと思っておりますのは、いわゆるセクシュアリティー教育のことについてです。文科省政務官からもお越しいただきました。
実は、立憲民主党のジェンダー平等推進本部というのがありまして、ここで、日本とヨーロッパの女子大学生の方からセクシュアルヘルスのことについてヒアリングをさせていただきました。
その際に、ヨーロッパには普通にあることが日本ではない、ヨーロッパで、例えばユースクリニックなどのように、若い人たちが街角に行って、自分の体のこと、あるいは自分の身の上に起きたこと、こういったことを気軽に相談できるというクリニックが街角にあるし、適切な正しい情報をそこで得ることができるというふうになっているんだけれども、日本に来てそれがないということで、なんでないのプロジェクトという名前で活動しておられる方々なんですけれども、私も改めていろいろと調べてみました。
資料でお配りしておりますけれども、日本の国内で人工妊娠中絶の実施率は、やはり若い世代で、大変残念ながら高いです。率でいうと、二十歳未満の方で人口千人当たり五・〇、これは人口に割り戻して換算いたしますと、一日当たり約四十人の二十歳未満の方が人工妊娠中絶をされているという数字なんですね。
それから、梅毒です。梅毒って今もあるのかというふうに皆さん思われるかもしれないですけれども、ここ数年で爆発的にふえているんですよ。二〇一一年から比べますと、男性の罹患が六百五十、女性が百七十だったのが、二〇一六年で男性が三千百八十九、女性が千三百八十六。しかも、若い世代の罹患が急速にふえているということで、これは母子感染もしますから大変危険なことだというふうに思います。
ちょっと、きょうはいろいろ聞きたかったんですけれども、時間があと八分しかありませんので、まず文科省にお伺いしたいんですけれども、私は、このなんでないのプロジェクトの方々も言っておられたんだけれども、適切な段階で適切な正しい情報を教えていくというか提供していく、それはやはり必要なことだというふうに思うんですね。
ところが、これも資料につけておりますけれども、例えば中学校の学習指導要領などを見ますと、性的接触というふうに書かれていて、例えば性交とか避妊とか人工妊娠中絶とか、こういう言葉は学習指導要領の中には書かれていないんです。こういった言葉というのは、中学校で言っちゃだめなんですかね。
●宮川大臣政務官 学校における性に関する指導は、学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関し正しく理解し、適切に行動がとれることを目的として実施をされております。体育科、保健体育科、特別活動を始めとして、学校教育活動の全体を通じて指導することとしております。
また、指導に当たっては、発達段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることに配慮するとともに、集団で一律に指導する内容と個々の児童生徒の抱える問題に応じ個別に指導する内容を区別して指導することとしており、具体的な単語の一つ一つ、今委員がおっしゃったような単語の一つ一つに対する指導の可否が決められているわけではございません。
文部科学省では、このことを踏まえて、学校における性に関する指導の充実を図ってまいりたいと思っております。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
私、ヒアリングの後、改めて、ユネスコが作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」というものも手にとって見てみました。
日本国内で今まで性教育に関していろいろな話があるたびに、例えば、寝た子を起こすな的な話があったり、あるいは、セクシュアリティー教育、性教育をしたら、逆に、初交年齢、初めて性交をする年齢を早めちゃうんじゃないかというような議論があったりしたんですけれども、これを読みますと、ほかの国の例でも、エビデンスベースでそういったことは全くないというふうに書かれているんですよ。セクシュアリティー教育が初交年齢を早めるということはまずめったにないということを明らかにしている、まずめったにないというのは、英語を日本語にしたから多分こういうことになっているんだと思うんですけれども、九九・九%ないということですね。
それから、セクシュアリティー教育は寝た子を起こすかという、そういった懸念については、そうじゃないと。正確な情報を得ることは全ての子供と若者の利益に資するものであるというふうにユネスコの本に書かれているわけなんです。こういったこともぜひ文科省には御承知おきいただきたいと思うんです。
今私が申し上げたような懸念、特に、日本の中で性教育が話題になるたびに、寝た子を起こすとか、それから性教育が初交年齢を早めるとかいう議論があるんですけれども、それはエビデンスはあるんでしょうかね。誰に聞けばいいのかな、文科省ですか、厚労省ですか。
●宮川大臣政務官 今委員が御質問されたことに対する該当データというのは、文部科学省としては把握をしておりません。
しかし、学校教育においては、何よりも、子供たちの心身の調和、この段階を見て、しっかり教育を行っていくのにそれを重視する必要があるというふうに考えております。
●西村(智)委員 さっき私が資料として提出したものでいいますと、二十歳未満の人工妊娠中絶が人口千対で五・〇となっているんですけれども、既に十三歳から〇・一という数字が出ているんですよ、十三歳、十四歳、十五歳。
やはり、こういうことになる前にきちんと教える必要があると思います。だから、少なくとも中学校のときぐらいまでには、私はやはりきちんと、例えば、性交すればこういったリスクがあるとか、こういったことがあり得るとか、あるいは、こうなったときにこうすることも考えられるとか、そういういろいろなことを正しい知識として教えていくというのは、私は大事なことだというふうに思うんですね。
そこで、学習指導要領にも、正しい情報、情報への適切な対処、これが必要であるというふうに書かれているんですけれども、日本の国内で、じゃ、本当に正しい情報というのはどこにあるのかというふうに探してみますと、ないんですね。本当にないんですよ。
私も、地元の自治体でつくられている性教育についてのパンフレットを見てみました。A4の一枚、裏表でぎっしり書こうとするから、内容がやはりすかすかになるんですよ。じゃ、インターネットでと思って調べてみると、例えば避妊といって厚生労働省のページで見ると、断片的な情報が出てくるだけで、包括的なものは何にも出てきません。
子供たちが、例えば、さっき性的接触と私は言いましたけれども、性的接触という言葉は学習指導要領に書かれていて、それは、例えば教えたりするということになると、子供たちは性的接触というのは何だろうと思いますよね。それで性的接触とググってみると、キスも含まれますと書いてあるんですよ。
なので、やはりそういう意味で、正しい情報をどうやったら包括的に得ることができるかと考えると、私、少なくとも、例えば厚生労働省が関係するページでは、例えばそういった性教育に関する正しい情報、そういったものを包括的にアップする必要があるんじゃないかというふうに思っているんです。
別にこれは誰かを責めて言っている話ではありません。そういう情報にアクセスできない若い女の子たちに結局は最後はしわ寄せが行ってしまうということを言いたいんです。だから、そうなる前にきちんと包括的な情報を得るように、そして、若い人たち、知識が不足している若い人たちから、加害者にもならない、被害者にもならない、そういう危険から排除する、そういう必要があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、どうですか。
●加藤国務大臣 委員御指摘のように、若い世代の方が、避妊や性感染症を含めて、最終的には自分の健康管理にもつながるわけでありますが、そういったことに対して正しい知識を身につける、あるいは正しい知識を習得していただく、これは大変大事だと思います。
厚労省では、インターネットなどで発信されている情報の中にはさまざまな情報がありますから、避妊方法や性感染症を含めた思春期の体や心に関する正しい知識の普及啓発のためのリーフレットも作成し、厚労省のホームページにも掲載をしております。
また、性感染症については、やはり同じく厚生労働省のホームページに、主な性感染症の種類ごとの特徴や国民向けのQアンドA等の情報も掲載をしており、インターネット上では性感染症という用語で検索をされ得る状況になっているというふうに承知をしております。
ただ、こういった情報も常に見直しをしていく必要がありますので、委員からも御指摘もございます、国民の皆さんにより情報がわかりやすく伝わっていくような改善を今後とも図っていきたいと考えております。
●西村(智)委員 もっと、済みません、質問は用意していたんですけれども、時間が終わりましたので、また次回の機会をいただきたいと思います。終わります。