●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
もう既に何人かの方が質問されておられますけれども、まず最初に、委員長、今回の健康増進法の審議入りの極めて異例なあり方について、私、一言申し上げなければなりません。
国会の会期末で、参議院先議の医療法、医師法が既に衆議院に送付されている中で、衆議院と参議院をあわせて考えれば、成立の見込みがこの六月二十日までの会期内ではとてもないこの健康増進法をなぜ先に審議しなければいけないのか、私は全く理由がわかりません。
オリンピック・パラリンピックへの対応ということで急ぐんだということであれば、もっとこの法案の優先順位を先にするということが十分にできたはずです。それをやらずして、最後の会期末でこういうふうに押し込んでくるというのは、私は、とてもおかしいというふうに言わざるを得ません。
理事会の中でも既にこれを協議をしておりますけれども、私はやはり、医療法、医師法を先に、参議院先議でしたから、これをきちんと六月二十日までの会期内に仕上げないといけないですから、しっかりと議論を、そっちの方を先にやるべきだったということを、まず一言申し上げたいと思っております。
それで、今回の健康増進法ですけれども、私は、今回の法改正、一つには、先ほどのように、時間切れの中で無理やり押し込んでくるということが大変おかしいということと、昨年一回、考え方が取りまとまっているはずなのに、そこから大幅に後退した内容になっているということについては、これはやはり苦言を呈さないといけないというふうに思っております。
もう既に指摘がされておりますけれども、受動喫煙防止ということであれば、屋内全面禁煙こそがその対策であって、それが国際標準なのだということは、もう多くの方が指摘されていることであります。
また、屋内における主要なPM二・五の発生源として言われているのがたばこである。しかも、たばこが原因となって、受動喫煙で、国立がんセンターの推計によれば、年間一万五千人の方々が亡くなっていると。これは本当に大変な数字だと思います。ですので、これはもう緊急で対策をとっていかなければいけないということだと私自身も承知しておりますけれども、しかし、今回の法案、いろいろやはり抜け穴があるということでは、とても褒められた内容ではないなというふうに思うんです。
まず一点、私、どうしてもひっかかるので、大臣にその意味を聞かせてもらいたいと思っていることがあるんですけれども、条文の中で、望まない受動喫煙という言葉がたびたび出てまいります。第一条のところから、第一条の中の第二十五条のところから、望まない受動喫煙という言葉が出てくる。この望まない受動喫煙というのは何を意味するんでしょうか。
●加藤国務大臣 まず、受動喫煙というのは、法律に書いてありますが、「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされる」ということであります。
屋内において受動喫煙にさらされることを望まない方、すなわち非喫煙者がそのような状況に置かれることのないようにするということ、また、子供など二十歳未満の方々、患者など、受動喫煙による健康影響が大きい方々が主たる利用者となる施設について受動喫煙対策を一層徹底する、これを基本的な考え方にさせていただきました。
この望まないというのがついている理由としては、やはりここをはっきりしていく必要があるということで、例えば喫煙室内で喫煙をしている者の受動喫煙は、これは対象としないということでありますので、まさにたばこの煙にさらされるのが嫌な方、その受動喫煙を守る、それをより明確にするという意味において、望まないという言葉をつけたところであります。
●西村(智)委員 喫煙所にたばこを吸いに行った人がほかの人が吐き出した煙を吸い込む、これは、私は、多分この法律の中でいえば、外に漏れないように機械を設置しなきゃいけないということですから、それはそもそもあり得ない話だと思うし、万が一ほかの人の煙をたばこを吸いに行った人が吸うとしても、それは、その方は、自分でたばこを吸いに行って、そのほかの人のたばこの煙も吸っているわけだから、それは受動喫煙防止という対象にするのかどうかというのは、ここは一つ論点としてあるというふうに思うんですね。
では、望まない受動喫煙ということですけれども、受動喫煙がいろんな疾患の原因になっているということは、これはもう確立している。しかも、家庭の中で、親とかあるいは妊婦さんがたばこを吸うことによって乳幼児突然死症候群の原因になるということもわかっている。
そういう中で、乳幼児が、これは自分にとって望んでいる受動喫煙か、あるいは望まない受動喫煙かということを本当に言えるというふうに思いますか。
私は、望んでいるとか望んでいないとかいうことにかかわらず、やはり政府の法案として、受動喫煙全体を防止するんだという考え方に立たなければいけなかったんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、どう考えますか。
●加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、今委員からもありましたけれども、例えば喫煙室内で喫煙をされている、その方は喫煙して、同時に受動喫煙もされているというわけでありますから、そういった場合は対象になりませんよと。そういった意味で、そこを明らかにし、何を、どこを守るべきなのかという意味において、たばこの煙にさらされる方の、嫌な方を受動喫煙から守る、そういった意味で、望まない受動喫煙、こういうふうに申し上げているわけであります。
今、乳幼児の場合がありましたけれども、これは基本的に、意思がどっちかと言っても、これはやはり、そうした子供さん方は、これは望まない。しかも、基本的に、子供については、二十未満は、これは喫煙も認められていないということでありますから、当然、そういった方々を守るというのは、これは当然のことなんだろうというふうに思います。
●西村(智)委員 いやいや、おかしい。喫煙所に行っている喫煙者の人たちは、望んでいるから対象外だと。しかし、子供だとかについては、意思が、客観的に、それは望まないというか、望ましくないということなんでしょうね。望ましくないから受動喫煙の害から守るということで、何というか、違うんですよね、つまり。私は、望まないという言葉が入ることで、やはり今私の中でも、例えば、では子供が望むのかとか、そういう質問も出てきかねないというふうに思うんですよ、そういうことを避けるために。
それから、望まない受動喫煙という言葉が、この法律案の中に何回も何回も出てきます。一方で、先ほど大臣も答弁されましたけれども、受動喫煙というのは何かというのをきちんと定義しておられます、法案の中では。「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされること」というふうに定義されている。
これで十分なんじゃないかと思うんですよ。これで十分であって、あえて望まない受動喫煙というふうに書いたことによって、私は、例えば、社長さんが一緒に飲みに行こうというときに、たばこを吸うところに行くけれどもいいよねと言った、それは望まない受動喫煙だけ禁止するんだから、あんた、いいよねと言われれば、やはり、はいと言っちゃわないとという状況に多分なっていくと思うんですよね。
なので、私は、そういうエクスキューズ、余計なエクスキューズをつくらないために、望まない受動喫煙という文言の中の、頭の望まないというのは取るべきじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、どうですか。
●加藤国務大臣 その場合の望む、望まないというと内心の意図の問題がありますので、そこはちょっと別の問題なんだろうというふうに思います。結果的に、本人が望まないにもかかわらず、望めない、しかし私は望みたくないんだけれども嫌々ついていった、そこをどう考えるのかという判断なんだろうと思います。
いずれにしても……(発言する者あり)いや、ですから、そこはどう考えるのかというのは、それは単に、これはハラスメント全体の話にかかわる話だということを申し上げているわけでありまして、それで、先ほど申し上げた、ここは明らかにはっきりさせるということで、もう同じことになりますけれども、喫煙室内で喫煙をしている本人の受動喫煙は対象としないということで、望まないという言葉をつけることによって、そこをより明確化させていただいたということであります。
●西村(智)委員 じゃ、嫌々ついていって無理やり吸わされるたばこの煙については、受動喫煙防止対策はとらなくてもいいということですか、大臣。
●加藤国務大臣 その嫌々ついていくというところが問題なんだろうというふうに思います。ついていかされるということが問題なんだろうというふうに思いまして、本人が受動喫煙を望んでいなければ、まさに望まない受動喫煙に該当するというふうに思います。
●西村(智)委員 私、重ねて、これは単なる受動喫煙であるべきだと思います。望まないというふうにつけた瞬間に、いろんな言いわけ、言いわけと言ったらあれなんだけれども、エクスキューズを許すことになってしまうと思います。だから、これは絶対に削除すべきだということを一つ申し上げたい。
それから、きょう、資料を何枚かおつけしているんですけれども、(五)の「非喫煙者における受動喫煙防止対策が推進されることを望む場所」というところから見ていただきたいんですけれども、どこで受動喫煙の防止対策が推進されることを望みますかというふうに聞かれると、やはり一つには飲食店が出てくる。次に路上とか子供が利用する屋外の空間ということで、私も大体こういう感じかなというふうに思うんですけれども、では、飲食店での受動喫煙対策というのはどの程度行われているのか。
今回は四つの類型に分かれて対策をとった、しかも、表示をさせるとか、いろいろなことが言われている。お客さんに対してのことがメーンで言われているんですけれども、従業員に対する受動喫煙防止対策というのも、これは私、大変重要だというふうに思うんです。
それで、次の、図二十二の一と書いてあるところなんですけれども、料亭、小料理店、バー、スナック、キャバレー、ナイトクラブ、酒場、ビアホールなどのところで、従業員に対して受動喫煙対策をどの程度やっていますかということでいうと、六割のところが特にしていないというふうになっているんですね。
それで、他方、じゃ、今度は職場一般というところで見ますと、一番最後のページですけれども、職場での受動喫煙の有無ということでいうと、あると回答している三四・七%、これは、ほとんど毎日あるところが一三・四、時々あるところが二一・三というふうに書かれているんですけれども、受動喫煙があるというふうに書かれているところで、職場での受動喫煙に関して、不快に感じること、体調が悪くなることがあるかどうか聞いたら、三七%、実に四割近い人たちが、不快に感じている、あるいは体調が悪くなっているというふうに答えているんです。それで、大臣、飲食店あるいは事業場でも受動喫煙が結構日常的に起きている、それがしかも健康被害を起こしているということは、申し上げたようないろいろなデータからも既に明らかになっていることなんですけれども、まず、この解決に向けて、まずはその従業員の皆さんに対して、管理権原者である雇用主になりますね、そうした人たちからの説明が、これは今回の法改正によってきちんと行われるようになるのでしょうか。
●加藤国務大臣 今おっしゃった従業員、雇用主、それから管理権原者と、ちょっと幾つか出てくるので、多少整理させていただきながら答弁させていただきたいと思います。
今回の法案では、施設等の管理者は、喫煙禁止場所に喫煙器具及び設備を設置してはならない責任、また、喫煙可能な場所について二十歳未満の立入りを禁止する等の責任が施設の管理権原者にあるわけでありますが、それに加えて、喫煙可能な場所に掲示を義務づける責任なども負うことになっております。
また、一方、労働安全衛生法においては、事業者に対して、労働者の受動喫煙防止の努力義務を課しているわけであります。このため、雇用主と施設の管理権原者と一致する場合には、当然、雇用主も健康増進法上の責任を負うということになりますが、一致しない場合には、雇用主は労働安全衛生法上の努力義務を負うということであります。
また、既存の小規模飲食店など喫煙可能な場所のある施設で働く、飲食店でのそうしたところで働く従業員については、事業者等に受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、対応の具体例を国のガイドラインによりお示しすること、また、事業主が求人を行う際の明示事項に、職場における受動喫煙対策の状況を追加すること、また、施行の際、現に従業員を使用する者に対し、その実情に応じ、従業員の受動喫煙対策を防止するための適切な措置をとるよう努力義務を課すことにしておりますので、それぞれの施設の管理権原者あるいは雇用主において適切に対応していただきたいと思いますし、また、その旨をしっかりと、まず雇用主等に、さらにそこで働く方々に周知が図れるよう努めていきたいと思います。
●西村(智)委員 雇用主の方は努力義務だけであるということであります。
それで、今回の法改正によって、従業員の募集を行う者に対して、どのような受動喫煙対策を講じているかについて、募集や求人申込みの際に明示する義務を課すというふうに聞いております。どの程度の義務を課すということを今お考えですか。何を明示するか。
●加藤国務大臣 事業主が求人を行う際の明示事項に、職場における受動喫煙対策の状況を追加するということでございますけれども、具体的な内容については、これから検討、整理をさせていただきたいと思っております。
●西村(智)委員 そうしますと、分煙なのか喫煙なのか、それとも、もっと細かい内容まで書くということすらも決まっていないということですね。
私、これは多分、分煙とか禁煙というだけの文言だけが出る状況になるんじゃないかと思っています。もう少し具体的に、従業員の健康を守るという点からすれば、やはり詳しく書くべきだというふうに思うんですよ。この点は省令で定めるということなんですけれども、非常に大事なところだというふうに思います。
そもそも、雇用主が従業員の受動喫煙を防止するという点について、どの程度の責任を今回の法律の中では負わせているんでしょうか。
●加藤国務大臣 先ほどについては、今議員御指摘のように、求人する側がそうした状況がしっかり把握できる、そういった内容にするべく検討させていただきたいと思います。
その上で、まず、雇用主ということになれば、これは、一般的に言えば労働安全衛生法上と先ほど整理をさせていただきましたけれども、ということでございますから、今回の法律上、特にこの労働安全衛生法に伴って改正している部分はございませんから、従前どおり、事業者に対して労働者の受動喫煙防止の努力義務、これを課しておる、それにのっとって対応するということでありますけれども、ただ、それに基づく今ガイドラインがありますけれども、このガイドラインに当たっては、今回、健康増進法上こうした法的な措置がとられるということを踏まえて、その具体的な内容を、もう一回ガイドラインの形でお示しをさせていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。
●西村(智)委員 どのようなガイドラインになっていくのか、現在では全くわかりません。
それで、例えば、こういうことが起きた場合にはどうなるでしょうか。募集要項を見て、禁煙、喫煙、分煙という表示を見て、あっ、分煙されていると思って、募集に応じて、その雇用主のところで仕事に従事することになりました。ところが、入ってみたら、分煙というのは名ばかりで、圧力で閉鎖するような仕組みにもなっていないし、日常的にたばこの煙が仕事をしているところまで流れてくる。そういう場合に、従業員の方が改善を求めたい、雇用主に対して改善を求めたときに、不利益な取扱いをそれを理由にされるということはないということでよろしいでしょうか。
●加藤国務大臣 まず、今の場合、例えば虚偽であった場合、最初からそういうつもりがないにもかかわらず、そうしていたということであれば、これは職業安定法違反ということになりますので、状況によっては罰則が科せられる、こういうことになります。
また、そうしたことがないように、健康増進法改正後の施行に当たっては、事業主団体などを通じて、従業員の受動喫煙対策の内容、あるいは今お話がありました職業安定法の取扱いについては、これはしっかりと周知をしていきたいと思います。
●西村(智)委員 いや、虚偽ではなくて、例えば分煙と書かれていた場合であっても、その分煙対策が不十分なケースというのはあると思うんですよ。あるいは、例えばアルバイトで入った子供とか、アルバイトじゃなくてもいいです、あそこの喫煙所の灰皿の掃除をしろというふうに命じられて、それを拒否したときなどに、それを理由に不利益な取扱いなどがなされないということは、これは当然のことだと思うんですけれども、それはいかがですか。
●加藤国務大臣 今言ったように、分煙としてなっているにもかかわらずなっていないとすれば、それはまた問題になるわけですけれども、ちょっと、その今おっしゃっているケースがどういう場合に発生し得るのかなということであります。
いずれにしても、従業員が例えば喫煙場所への立入りをしろと命じられて、そして拒絶した場合に、使用者が業務命令違反として従業員の処分等を行うということ、こういうことになると、これは民事上の問題なので、最終的にはケース・バイ・ケースで司法の判断ということになろうと思いますけれども、一般的に申し上げると、使用者の業務命令自体の有効性については、労働契約法第三条第五項の権利濫用禁止の規定に照らして適法なものである必要がありますので、就業規則や労働契約等の内容にのっとった有効なものでなければ、当該業務命令自体が権利濫用として無効とされる可能性があります。
また、当該業務命令に違反したことに対して従業員を降格等の懲戒処分にすることについては、懲戒処分に関する就業規則や労働契約等に明記されている必要があるほか、懲戒処分自体が労働契約法第十五条の懲戒権の濫用規定に照らして適法なものである必要があり、懲戒処分が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的な合理性を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、これは権利の濫用ということで無効になる可能性があると思います。
●西村(智)委員 一言で言えばケース・バイ・ケースということで、はっきりとは答えていただけなかったようなんですけれども、私、やはりこれはいろんなケースが考えられると思うんですよ。分煙であるのに分煙じゃない、煙が出てくるというケースがあるのかということなんですけれども、例えば扉をあけていたりとか、あると思うんですよ。あるいは、禁煙となっているにもかかわらず喫煙をしていたりとか、そういうようなケースの場合に、十分にこれは考えられる。
つまり、従業員の側が、これは何とかなりませんかと申し出たときに、申し出るということは十分考えられるというふうに思いますので、それを想定した上で、ガイドラインないしは今後の政省令の制定などは必要になってくるというふうに思います。
端的に伺いたいんですけれども、今回の法改正によって、職場それから飲食店、こういったところでの従業員の受動喫煙対策というのは本当に可能になるのでしょうか。この後また質問させてもいただくんですけれども、これは結局、経過措置等々がありまして、十分な私は形にはなっていないというふうに思うんですけれども、これで従業員の受動喫煙対策というのは本当に十分だというふうに大臣はお考えなんでしょうか。
●加藤国務大臣 これまでの法案と比べると、今回の法案では、多数の者が利用する施設については原則屋内禁煙となることから、職場や飲食店についても原則屋内禁煙となり、そこで働く従業員の方々の受動喫煙対策も前進することにつながると考えております。
もちろん、既存の小規模の飲食店については一定の経過措置を設けておりますけれども、この経過措置の対象となる飲食店で働く従業員についても、先ほど申し上げましたけれども、事業者等に受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるわけでありますし、また、それを踏まえ、対応の具体例を国のガイドラインによって示して助言指導を行っていきたい。
また、事業主が求人を行う際の明示事項に、職場における受動喫煙対策の状況を追加するということになっておるわけでありますから、従業員の受動喫煙対策、望まない受動喫煙が生じないよう、しっかりと対応させていただきたいと思いますし、そういった意味においては前進につながっているものと考えております。
●西村(智)委員 私は、厚労省であれば、望まない受動喫煙だけ防止するというのではなくて、全ての受動喫煙を防止するというふうに言わなければいけないと思うんですよ。これは、先ほど一番最初に私が質問したところにやはりどうしても戻っちゃうんですけれども、望まない受動喫煙と言ったことで、私は、随分法案の中で穴をつくることにつながってきちゃっている、そのための枕言葉だったというふうに思うんです。ですから、この点について、根本的に考え方が違うということを申し上げなければならないところでもあります。
それで、各国と比較して、では我が国はどうなっているのかということなんですけれども、これまでのオリンピック・パラリンピック開催国での受動喫煙防止対策と並べてみますと、我が国の今回の改正法によっても、実は状況は寒いということがよくわかります。
一枚目は、昨年の三月の段階で、当時の厚労省案ということで出されたものでして、このときも、喫煙専用室がなくても喫煙可とする経過措置があるということで、これはこれで一つの論点ではあったんですけれども、今回どういうふうに分類できるのかということで厚労省から書いてもらいましたのが、二枚目の「受動喫煙防止対策 施設類型ごとの取扱い(各国比較) 未定稿」、これは出典が厚生労働省作成資料となっているものであります。
何か、赤い色と緑色の印と色分けされているので、ああ、そこそこできているのかなというふうに皆さん思われるかもしれないですけれども、まず、小中高、医療施設、大学の敷地内禁煙でも、これは注一というふうに書いてあって、屋外で必要な措置がとられた場所に喫煙場所を設置することができるということになっていて、これは完全な敷地内禁煙ではないわけなんです。
それから、官公庁のところも、行政機関というところだけ少し線が細くなって書いてありましたり、飲食店のところも原則屋内禁煙と、本則、原則はそういうことだというふうな書き方なんですけれども、実際には経過措置で、多くの施設が例外的な取扱いになるわけですよね。しかも、その経過措置というのは一体いつまでになるのかということが全く明確になっていない。
この一覧表は、私、せっかく厚労省からつくってもらったんですけれども、残念ながら虚偽の表だというふうに言わなくてはなりません。本来は、次のページにあります、衆議院法制局が作成したような表にならなければおかしい。こういうふうにきちんと正しく認識してもらわなければ、厚生労働省が本当の意味で受動喫煙対策などとれるわけがないというふうに思います。
大臣、これはもう既にいろいろな方から質問がありましたけれども、経過措置については、これはせめて立法者の意思として、あるいは厚生労働省の意思として、いつまでだというふうに、その目安ぐらいはここで述べるべきだというふうに思います。そうでなければ、ここは法案のまさに肝になるところでもありますので、いつまでかということぐらいは言っていただかないと、これは法案審議になりませんよ。どうですか、いつごろまでと考えていますか。
●加藤国務大臣 その前に、委員御指摘の、どこが違うというようなことがあれば、ちょっと後で御指摘をいただければと思います。何か……(西村(智)委員「もう時間がないんです」と呼ぶ)いや、後で結構でございます。
それから、ここについては明文で明確に、「受動喫煙の防止に関する国民の意識及び既存特定飲食提供施設における受動喫煙を防止するための取組の状況を勘案し」ということで書いてありますので、その状況を踏まえて、その段階で法律で定めるということになるわけでありますから、まずはそうした状況をしっかりと把握に努めさせていただきたいというふうに思います。
●西村(智)委員 ごめんなさい、時間が終わっているんですけれども、何がどうなったら経過措置を解除するんですか。
●加藤国務大臣 ですから、受動喫煙の防止に関する国民の意識あるいは既存特定飲食提供施設における受動喫煙を防止するための取組の状況、そういったものがこれからどう変わっていくのか、そういったことを踏まえて判断をしていく、こういうことであります。
●西村(智)委員 全く答えになっていません。
終わります。