●西村(智)委員 西村智奈美です。
けさの理事懇談会で、きょうの午前中の質疑をもって質疑終局、そして、この委員会で働き方関連法案の採決、これが提案をされ、野党が反対する中で委員長が職権でそのことをお決めになりました。とんでもないことです。
私たちは、この間、さまざまなエビデンス、これをもう一回きちんとしてほしい、そして、それが信頼に足るものだという説明を厚生労働省からしていただいた上でないときちんとした議論ができない。
そしてまた、高度プロフェッショナル制度については本当に多くの問題があります。先ほども、高橋委員が、その時間をどうやって管理するのか、一体、本当に産業医がそういった労働時間の規制までできるのかという観点からも御質問をされました。
私は、この高度プロフェッショナル制度、やはり導入してはいけないと、この間、議論を聞きながら改めて強く思いました。
過労死の御家族の皆さん、本当に連日、毎日、この厚生労働委員会に傍聴に来られて、過労死をなくしたい、もう大切な家族の命をなくすのは自分たちだけで十分だと、本当にそれを食いとめるために高度プロフェッショナル制度は導入しないでほしい、そのことを強く願って毎日毎日この厚生労働委員会に足を運んでおられるんです。
なくした命は返ってきません。高プロを導入して過労死が出たら、一体、誰が責任をとるんですか。加藤大臣、あなたですか。私は、加藤大臣がここで英断をもって、高プロを削除する、こういうふうに言っていただきたい、こういうふうに改めて思いますが、大臣、いかがですか。
●加藤国務大臣 高度プロフェッショナル制度の必要性については、これまで申し上げておりますのでもう重ねて申し上げませんけれども、加えて、高度プロフェッショナル制度においては、長時間につながるのではないか、こういう懸念ももちろんお示しをいただいている中において、まず要件を課して、そしてその上で健康確保措置等を講じることによってそうした御懸念にも対処し、本当に真にそうした自律的に働いていただける方、そういった方がそうした環境をつくることによってより創造性の高い仕事をしていただける、そういう環境をつくっていこう、こういう趣旨でございます。
●西村(智)委員 撤回しないということですね。
大臣は、過労死の御家族の会の皆さんとも面談をされましたよね。そこでどういうお話を聞きましたか。高プロを削除してほしい、長時間労働を是正してほしい、そういうふうにお話をされたんではないですか。大臣はその話をどういう気持ちでお聞きになっていたんですか。私は、その話を本当の意味で受けとめていたら、高プロはやはりやめようと。自律的な働き方、それは例えば、今でいえばフレックス制、それから規制をきちんと強化した上での裁量労働制、こういったもので十分対応は可能なんです。そのことを検討せずして高プロありきで議論が進んできた、このことに私は厚生労働大臣としての資質を大変強く疑うところであります。
そして、けさ、理事会で本当に衝撃のデータ、資料がまた配付をされました。本当に驚きました。
平成二十五年度労働時間等総合実態調査に係る精査結果、もともとは一万一千五百七十五件であったデータの中から、異常があったということで、二月の段階で裁量労働制に係る一千五百二十六件のデータが削除をされました。その後、異常値が見つかったということで、九百六十六の事業場のデータも削除されました。
その削除されたデータ、これは二割のデータが削除されたんですけれども、残りの八割のデータを私たちがもう一回見直したら、残っている数字の中にもおかしいものがあるということ、これを長妻委員が先日質問をされました。また、その後、尾辻かな子委員も質問をされました。
尾辻委員の質問、大臣も覚えておられますよね。そこに山越局長がいて、山越局長も答弁をされていたんです。
つまり、何だったか。五六八四事業場と五七〇〇と通し番号のついている事業場の、一日、一週、一カ月、一年の時間外労働の時間が全て同じだった、こんなことあり得るんですかといって尾辻委員は質問をしたんです。そうしたら、山越局長は、理論上あり得ますと言いました。本当に、どんな理論かと思うんですよ。加藤大臣も同様のことを質問されましたけれども、精度が一定程度上がったと言って、それ以上のことはお答えにならなかった。
つまり、厚生労働省そろって、このデータはもう本当にこれでいいんだと、これで終わりにしようということがありありだったわけですね。
ところが、けさになって、異なる通し番号でデータが全て一致している六件について、実は、コピーが混在していて、同一の調査票を二重に集計していたというこのデータ、けさになって出てきたんですよ。
あり得ない。何回目だと思っているんですか。こんなデータでどうやって議論しろというんですか。
そして、私たちがこのデータの精査のために費やした質問の時間、どれくらいの時間になるとお思いですか。それに対する答弁もいいかげんだった。だから、余計に質問時間を費やさなきゃいけなかったんです。少なくとも、この前の尾辻委員の質問時間は返していただきたい。少なくともですよ。
そして、訂正後の集計結果は、全事業場が一万八百六十三事業場であったものが、今は九千七十七事業場になっているんですよ。
大臣、これは、もう一回データを、原票に当たって、もう一回もとから精査をし直してください。それが終わらなければ、採決などできません。
けさになって、また誤ったデータが出てきた。これを出発点として労政審の議論が始まって、閣議決定されて、今ここで法案審議されている。その法案の採決の前に、もう一回データの精査をやり直してください。
●加藤国務大臣 まず、西村委員から家族会のお話がありました。家族会の皆さんからは、高プロの問題、それからもう一つは、長時間労働是正で百時間未満とすることに対する大変強い懸念もお示しがありました。そして、それについては、それぞれ必要性等、ここでもお話をしていることを申し上げさせていただいたところでございます。
それから、今の件については、異なる通し番号にもかかわらず一致しているものがあるという指摘がございました。そして、それについて改めて、そうしたものがほかにないかということを調査して、六事業場について二重に集計されていることがあったということでありますので、そうした事態になっていますことは、改めておわびを申し上げたいというふうに思います。
ただ、それについては、今回の精査においては、もともと、原票と私どもが打ち込んだ電子データについてのチェックをし、突合作業をし、その上で、修正したデータにおいて論理チェックの作業をしたというプロセスでありますので、そこについての問題というよりは、その以前に関する問題だったということで、そこを想定していなかったことは我々も今後は反省していかなければならないというふうに思います。
その上で、今お出しをさせていただいたデータを見ても、中小企業における時間外の割増し賃金の適用について、あるいは罰則つきの長時間労働の規制についてのその必要性については何ら変わるものはない、こういうふうに考えております。
●西村(智)委員 大臣、答えてください。私は、もう一回、原票に当たって、データの精査、調査をやり直していただきたいというふうに申し上げました。これをやるつもりはないということですか。
●加藤国務大臣 ですから、今回の問題は、私どもが精査させていただいた電子データと原データのチェック、そして、それによって修正されたデータにおける論理チェック、この範囲の外で実はあったわけでありまして、もともとの原データの中にそうしたコピーをとったものが混入をしていたということでありまして、そこをきちんと整理できていなかったということは、我々は反省をしていかなきゃいけないと思いますけれども、精査したプロセスにおいて、何らあれがあったわけではないということで、改めてそこを精査するということは考えておりません。
●西村(智)委員 もう本当にむちゃくちゃで、言葉がありません。
精査した後の話を言っているのではなくて、私は、もう底なし沼じゃないですか。これで大丈夫だと思って、新しいデータが出てきた、これが本当なのかなと思ったら、また違うデータが出てくる。こっちが、もうちょっと、じゃ、これについてはチェックしてくださいと言ったら、また違うデータが出てくる。そして、この同じ事業場のものが二枚混在していたというのは、尾辻委員が先日質問して、そのときに、理論上はあり得ると言っていた。理事会でも、担当者が来て、十の十二乗分の一の確率ですけれども、ゼロではありませんと言っていたんですよ。本当に、こういう形で、私たちは何を信じたらいいのかわからないですよ。
この精査結果に基づいて、これは長妻委員からの要求で、労政審や国会、それから政党に提出された二次加工データ、これもやり直してほしいということを要求しておりました。先日出てきた資料は、十二件だったでしょうか、そのデータが加工されて労政審に提出されたものがあったということで、一週間前の精査データをもとに二次加工データを直しましたといって、またこれも提出をされたんです。
大変不親切な提出方法でして、新旧の対照がわからないように出てきたんですよ。朝九時に出てきたその資料を高橋委員が短時間で見て、精査前の加工データと精査後の加工データで物すごい時間の乖離があるということを発見して、そのことも質問をいたしました。
私、今回、また六件の事業場のダブりが出てきましたでしょう。もう一回、二次加工データ、やり直してもらえませんか。そして、この新旧対照表も、改めて出し直してもらえませんか。お願いいたします。
●加藤国務大臣 労政審に出したクロス集計等のデータ、これは一緒に出させていただいているというふうに承知をしていますが。(西村(智)委員「これね」と呼ぶ)いやいや、それじゃなくて、今回出させていただいた、もともと最初に出したデータのいわば再々修正したものと、加えて、労政審にクロスで出させていただいた分析のデータ、これも出させていただいているというふうに承知をしております。
●西村(智)委員 これは、じゃ、けさ提出された十二、つまり六事業場のダブりを除いた後の精査結果でクロスをかけたものということですか。
●加藤国務大臣 そういうことだというふうに承知をしております。理事会の方に出させていただいたと聞いております。
●西村(智)委員 じゃ、早目にわかっていたということじゃないですか、事業場のダブりがあったということ。そうでなければ、こんなにきれいに、一緒に、精査結果、精査後のクロス集計のデータが出てくるわけないでしょう。事業場のダブりがあったということをわかっていたんじゃないですか、それだったら。いつわかったんですか。
●加藤国務大臣 きのうの時点で六カ所ということがわかり、それを抜いて、いわゆるコンピューターを回したという言い方をさせていただければ、そういう形で出させていただいた。それが、それぞれの職員が、ある意味で徹夜の方もおられたと思いますけれども、そういう形できょうの理事会に出させていただいたということであります。
●西村(智)委員 六件はきのうわかったと。それで、きのうから作業し始めて、そしてけさきれいにこのように製本されて、みんなカラーで、新旧と上と下にきれいに製本されて出てきているんですよ。
もっと先にわかっていたんじゃないですか。一件目はいつわかったんですか。
●加藤国務大臣 たしか、尾辻委員からそういう質問があって、そしてその後、中で調べた結果として、都合六件、いわゆる電子データ上同じものがあったというものが六件あり、それをもう一回チェックしたら、それはダブりがあったということを確認した上で、その六件を抜いた作業をさせていただいて全体の資料を、今委員お手元の資料を出させていただいた、こういうことであります。
●西村(智)委員 おかしいですね。長妻委員がクロス集計のやり直しをしてくれと言ったときは、何だかたしか、時間がかかると言って、すぐ出てこないような理事会での報告だったんですよ。ところが、今回は、六件の、すぐ入れて、きれいにやって、こうやってすぐ出してきた。きょうの採決を、その不当さを薄めるように、きょうに間に合わせて出してきたんじゃないか、私はそういうふうに疑っております。
大臣、もういいです。もういいです。こんなむちゃくちゃなデータを次々と出してきて、それで国会に議論しろというのは、これは本当におかしい。
与野党ともに、ここは怒らなきゃいけないところじゃないですか。野党がこの間ずっと追及してきて、データがおかしい、裁量労働制のデータもおかしい、このことを追及して明らかにしてきました。与党の皆さんだって、実は、心の中では、こんなむちゃくちゃなデータやってきて本当にどうなんだと思っていますよね。一緒に怒ってくださいよ。そして、こういう状況ではとても採決なんかできないということを、一緒に声を上げてくださいよ。
きょうの採決ありき、ここに目がけて、高鳥委員長も委員会を進めてこられました。そして、厚生労働省も、データを捏造して、隠して、そして改ざんして、提出を時にはおくらせたり、時には早めたりして、本当に、私たち、翻弄されました。こんな状況で、もう審議などできません。
加藤大臣、あなたは不信任です。不信任決議案を提出いたしました。
委員長、確認してください。
●高鳥委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
●高鳥委員長 速記を起こしてください。
この際、暫時休憩いたします。
午前九時四十七分休憩
――――◇―――――
午後四時四十二分開議
●高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。西村智奈美君。
●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
大臣、改めて、私はこの委員会で働き方改革関連法案の採決には反対です。
過労死の御家族の会の皆さん、まだ安倍総理との面談を果たしてはおりません。きちんと安倍総理に面会したいという意向は伝わったようではありますけれども、その後の返答がどうなのか。安倍総理が本当にお会いになるつもりがあるのかどうか。やはり御家族の皆さんは、家族を過労死で亡くしたからこそ、言いたいことが、かけたい言葉があると思うんです。それを語る場をぜひつくっていただきたい。そこから改めて、採決の話は仕切り直していただきたい。こういうふうに思いますが、いかがですか。
●加藤国務大臣 もうあえて申し上げるまでもなく、採決等々、委員会の審議については、私からとやかく申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
それから、その上で、きのう、たしか、総理が入られて、ここでも議論をさせていただきました。その上で、過労死に対しては、二度と起こさない、これにしっかり取り組んでいかなきゃならない、しかし同時に、今この法案の責任といいますかは私の方でやっておりますので、私の方でお話を聞かせていただく、こういう対応であったというふうに承知をしております。
●西村(智)委員 加藤大臣にお話を聞いていただいても何も変わっていないから、だから総理に会わせていただきたいというのがお気持ちなんですよ。
加藤大臣は、家族会の皆さんとお会いになって、何を感じたんですか。何を考えたんですか。高度プロフェッショナル制度について、問題はやはりあるというふうにはお感じにならなかったですか。どうですか。
●加藤国務大臣 私も、家族会の方とお話を、当初の時間を更に延長していただきながら話を聞かせていただいたわけでありますけれども、その中で、過労死ということにおいて、御本人の無念な思い、そして残された家族の悲痛な思い、そういったことも聞かせていただきました。
そして、この高プロと同時に、午前中にも申し上げましたけれども、長時間労働の罰則つきについても、百時間未満という水準についてはいかがなものかという、これに対しても大変強い御懸念もいただきました。
それに対して、それぞれ、高プロに対する必要性と、そして、その中でどういう措置を講じているのか、また、百時間未満についても、御懸念という部分、それはそれなりに受けとめながらも、今回初めてこうした上限つきの罰則が入るんだ、こういうお話をさせていただいたように記憶をしております。
●西村(智)委員 私は、加藤大臣が過労死の皆さんの御家族の話を聞いてどういうふうにお考えになりましたか、お感じになりましたかということを伺っております。どういうふうにお話しになったかということは聞いておりません。どういうふうに考えましたか、過労死された皆さんの御家族の皆さんの声を聞いて。
なくなった命は戻ってはきません。そして、裁量労働制であった方は、一般労働者の方よりも、より実労働時間の認定、真の労働時間の認定が難しくて、寺西参考人も、労災申請から認定までに何年もかかったという方の例を幾つもお話をされました。加藤大臣は、これをどういうふうにお考えになりましたか。
●加藤国務大臣 先ほど申し上げた、思いを受けとめさせていただいて、これまでも申し上げさせていただいておりますけれども、過労死、こうしたことを二度と起こさない、そのためにも長時間労働の是正にしっかり取り組んでいく必要があると。
それから、今お話がありました、労災事案の立証に対して大変御苦労された、こういうお話は承ったところであります。これに対しても、私どもとして、申請が行われた場合については、それぞれ、単なる記録だけではなくて、実際の状況あるいはいろんな話も聞かせていただきながら労災認定に当たっているところでありますけれども、そうした方々の思いもしっかり受けとめながら、この労災認定の作業についても適正にしっかりと取り組ませていただきたい、こういう思いを持ったところであります。
●西村(智)委員 その思いを受け取られたのであれば、大臣がとるべき行動は、法案の中から高度プロフェッショナル制度を削除することではありませんか。
スーパー裁量労働制ですよ。労働時間は管理しなくてもいい仕組みです。時間と賃金が連動しない仕組みが、初めて労働基準法の中につくられちゃうんです。つくられちゃったら、どうやってその人の働いている時間を管理することができるんですか。
ここの委員会でも、本当にいろんな議論がありました。健康管理時間からどうやって真の労働時間を算出するのかとか。あるいは、四週間のうち四日間休ませたら、あとはずっと二十四時間ぶっ続けで二十四日間働かせてもいい仕組みではないかとか。そして、それぞれの成果のはかり方についてはそれぞれの企業の裁量によって任されているとか。時には、産業医が時間についても指導を行うとかいうふうに大臣はその都度その都度口頭で、まあ、国会での質疑ですから、それは答弁はちゃんと議事録に残りますが、その都度その都度口頭で、そういった高度プロフェッショナル制度に対する懸念点について、そのときの答弁をされる。しかし、法律の中には全然担保がないじゃないですか。労災認定すらされなくなってしまいます。
そして、業務の内容も本当に曖昧。年収の要件も、私は、これはアリの一穴で、だんだん引き下がってくるおそれが極めて大きいと思います。対象業務も、幾らだって広げることができる。それは、この委員会の質疑の中でも明らかになりました。
大臣、こんなゆるゆるの仕組みで、高度プロフェッショナル制度というものを労働基準法に書かないでください。もっと労働者の声を聞いて、そして、逆に裁量労働制の規制を強化するとか、そういう方向に向かっていくのが厚生労働省の役目なんじゃないですか。大臣、いかがですか。(発言する者あり)
●加藤国務大臣 いやいや、高度プロフェッショナルについて……(西村(智)委員「そうです」と呼ぶ)ですよね。いやいや、ちょっと違ったことをおっしゃったので、済みません。
高度プロフェッショナル制度については、その都度その都度って、それは、御質問があれば、それに対して、現在の法律、そしてこれから考えている省令等での考え方、そのベースとしては建議等においても書かれておるわけですから、その点を踏まえて御説明をさせてこさせていただいたということであります。
具体的には、もう何回も何回も申し上げておりますけれども、高度プロフェッショナル制度の場合には、業務について、成果と時間との関係が高くない、そして、中身については、もちろん、省令で書かせていただく。それに加えて、書面等による合意に基づき職務が明確に定められていること、また、いわゆる年収要件についても記載をさせていただいて、平均給与額の三倍を相当程度上回る水準以上であるということ、これは法律上の要件になっているわけであります。その上で、働く方の健康確保措置等々についても、さまざまな仕組みを設けさせていただいている。これはこれまで申し上げていますから重複は避けさせていただきますけれども、そういった仕組みを提案させていただいている、こういうことであります。
●西村(智)委員 総理は、高度プロフェッショナル制度を削除するつもりはないというふうに、この前の総理入り質疑のときに明確におっしゃいました。大臣も、削除するつもりはない。
この間、私、厚生労働大臣の答弁を聞いていて、これって本当に厚生労働委員会なのかなと思うときが時々あるんですよ。
それは何かというと、今後、日本の産業構造とか労働生産性の向上のためとか、それを目的にして法律を制定するんだ、法改正を行うんだというような答弁がしばしば聞かれるんですね。私、それって、例えば、経済産業委員会で経済産業大臣が、日本の今後の産業構造あるいは生産性の向上とかそういうことをおっしゃるのであれば、まだわかるんです。だけれども、厚生労働大臣は、労働者の権利を守って健康と命を守る、そのための制度や政策をやるというのが加藤大臣の責務だと思うんです。だけれども、どうも、そういう種類からの話ばかりではない。
加藤大臣、日本再興戦略で言われていたあの高度プロフェッショナル制度の議論を聞いていて、本当にこれで労働者の権利や健康が守れるというふうにお考えになったんでしょうか。私は、どうも、官邸から言われて、高プロをつくれというその仕事だけを請け負って大臣がやっているように見えます。そして、それは、大臣が以前は担当大臣として取り組んできたテーマでもあったわけであります。ですから、日本再興戦略会議で言われていたこと、あるいは加藤大臣が厚生労働大臣につく前に取り組んでいたこと、それは、労働者保護という厚生労働省の業務とはなじまないところが非常に多いんですよ。その中でつくられようとする高度プロフェッショナル制度が危ないというのは、これは多くの人たちが持って当然の感覚なんじゃないですか。
厚生労働省がこぞってそれをやろうという姿勢も、私は理解できません。労働基準監督署が、人員不足で本当に頑張っていろいろ監督しておられるんだろうけれども、なかなか監督に入っても違法行為を見抜くことができない。その中で高プロなんかつくったら、一体どうなりますか。
高プロをつくって問題が出たら監督するんだ、大臣、そういうふうにおっしゃるけれども、じゃ、何をもって、何の基準をもって監督できるんですか。労働時間は基準にはならないわけですよね。人が死なないとわからない、そういうふうな声も今ありました。そういうことになるんではないですか。
●加藤国務大臣 まず、委員から厚生労働省あるいは厚生労働大臣の役割についてお話がありました。
厚生労働省設置法第三条、ここを申し上げれば……(西村(智)委員「いい、いい」と呼ぶ)いやいや、ここに明確に書いてあるわけですよ。
そこには、「厚生労働省は、国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展に寄与するため、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件その他の労働者の働く環境の整備及び職業の確保を図ることを任務とする。」こういうふうに明確に規定されているわけでありますから、委員御指摘のように、労働者の働く環境の整備をするということももちろん役割でありますが、同時に、職業の確保を図っていくという観点から、今、これまでも申し上げておりますように、どんどん我が国を取り巻く経済、産業の環境が変わっていく中で、それに即応し、次の時代に対応し得る状況をつくって、そして職業や雇用の確保を図っていくということも、これは厚生労働省としての一つの役割だというふうに考えるわけであります。
それから、取締りについての……(発言する者あり)
●高鳥委員長 御静粛に願います。
●加藤国務大臣 それから、取締りについてのお話がありました。
これは、高度プロフェッショナル制度についてそれぞれ規制があるわけでありますから、その規制に違反がないのかどうか、あるいは、さらには事業主の安全配慮義務が、果たしているかどうか、こういった観点から、監督署が行っている過重労働防止対策の一環として、労使で職務内容の見直しを検討するよう求めるなど、助言指導、そういったことも想定をしているところであります。
●西村(智)委員 高度プロフェッショナル制で規制違反があったときに監督に入れるんだという答弁でしたけれども、何をもって、じゃ、規制違反だというふうに判断できるんですか。
時間も管理できない。それから業務も、まあ、これから政省令で書くのかもしれないですけれども。あとは、何がありますでしょうかね。成果ではかるといったって、成果だって、厚生労働省が法律に書くわけではない、それぞれの企業がそれぞれの裁量ではかるものだ。一体、じゃ、何をもって規制違反があるというふうに判断できるんですか。教えてください。
●加藤国務大臣 これから具体的な業務については省令で決めさせていただくということは申し上げさせていただいておりますけれども、そうした省令を定めた形での業務に該当しているのか、あるいは年収要件が達しているか等々、高度プロフェッショナル制度の要件にのっとってそれが行われているかどうか、さらには、年間百四日の休日の確保、あるいは健康管理時間の把握、あるいは長時間労働者に対する本人の申出によらない医師の面接指導の実施、こういった点等々があるわけでありまして、そういった点について、違反がなければ監督指導に入らないというか、監督指導に入った段階でそうした違反があれば指導していく、こういうことになるわけであります。
●西村(智)委員 どの基準に対して違反があった場合に監督指導をするんですか。教えてください。
●加藤国務大臣 要するに、今、先ほど申し上げたと思うんですけれども、書面等で同意を得た対象労働者を対象業務につかせているとか、あるいは健康管理時間の把握、百四日の休日の確保等々を要件としているわけでありますから、こうした要件を満たさない場合、この場合には是正勧告等を行っていく、こういうことになるわけであります。
●西村(智)委員 ちょっとよくわからないんですけれども、違反があるということを監督に入ったときに見つけて、それで指導する、こういうことですか。だから、違反というのはどういう内容の違反のことをいうのか。
●加藤国務大臣 まず、もちろん、決議にのっとって届出が行われるわけでありますから、その段階でももちろんチェックをするわけでありますけれども、基本的には、それぞれの事業場に入ったときに、先ほど申し上げた点について違反のそうした事態があれば是正勧告を行っていく、こういうことになるわけであります。
●西村(智)委員 何に対する違反でもってそれは監督できるんですか。
●加藤国務大臣 ですから、例えば書面で同意を得た対象労働者を対象業務につかせているかどうか等々、先ほど申し上げた点について、その要件に該当しているかどうか、それが実際に行われているかどうか、それをチェックして、それがなされていない場合には是正勧告を行っていく、こういうことであります。
●西村(智)委員 それが長時間労働の抑制のためになるんですか。
●加藤国務大臣 一つは、例えば、これから業務の決め方の中で、省令で、例えばその中で、時間等について規制をする、こういったことがないようにということを決めさせていただくわけでありますから、仮に、今委員御指摘のように長時間労働をさせるというようなことになれば、その要件には該当しない、こういうことになるわけであります。
●西村(智)委員 まあ何だか、これはまた後できっちりと議論し、詰めていかなきゃいけないことだと思うんですけれども、私は、高度プロフェッショナル制度って、時間で管理しないんでしょう。時間で管理しないんだから、何の違反があるのか、時間に関しては言えないはずなんですよ。言えないはずなんですよ。(発言する者あり)
●高鳥委員長 済みません。御静粛にお願いします。
●西村(智)委員 健康管理時間を確保するといったって、それは、把握しているか把握していないかだけの話ですよね。健康管理時間、二百時間まででしたっけ、オーケーだったの。(発言する者あり)ああ、そうだ、上限なしなんですよね。そういう中で本当に長時間労働の是正なんてできるんですか。どうですか、大臣。もう一回答えてください。
●加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたのは、業務について省令で決めるわけですから、その省令に違反する形で、例えば、時間に対して規制をし、長時間の勤務を命ずる、こういった場合には、当初の要件に該当しないということでその是正指導の対象になるということを申し上げさせていただいているわけであります。
確かに、委員御指摘のように、時間のみだけで、これに対して、それをいいとか悪いとか、そうした規定ぶりにはなっていないわけでありますけれども、今申し上げた点、それから今お話がありました、健康管理時間が百時間を超えれば医師の面接指導があり、そして、その場合に医師がその今、働き状況に対して指導をすれば、それに対してまた事業主が対応し、そしてその状況を医師に報告をし、それでも言ったとおりにならなければ、また衛生委員会に報告をする、こういう仕組みにもなっているわけであります。
●西村(智)委員 百時間というのは過労死ラインですよ、十分な。そこに至るまで何も措置しないということを今大臣はおっしゃった。その前に過労死されたらどうするんですか。大臣は本当に責任をとれるんですか。私はもう一回大臣に考え直していただきたい。
十二人の労働者に話を聞いただけで、高度プロフェッショナル制度というアリの一穴を絶対にこの労基法の中につくってはいけません。そのことを訴えて、質問を終わります。