●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
大臣、まず、今のデータのやりとり、尾辻委員とそれから山越労働基準局長とのやりとりを聞いていて、どんなふうにお感じになりましたか。
論理的には確かにあり得る話かもしれません。一事業場の時間外の労働時間が全部同じとか、一日も一カ月も一週間も一年も全部同じとか、それから、違う事業場であるにもかかわらず、上段と下段になっているものが一日から一年まで全部同じとか、普通に考えたらこんなことはあり得ないよなというデータが次から次へと出ているわけですよ。これで本当にデータの信憑性は高まったとお考えでしょうか、大臣自身が。
●加藤国務大臣 今のやりとり、例えばゼロ、ゼロ、ゼロというお話がありましたけれども、例えば、大企業でも三六協定を結んでいないところもあるわけでありますから、そういうところは残業をしないということになるわけであります。
そういった意味で、今回は、論理的におかしいというもの、これは除外をするということでエラーチェックをさせていただいて、今の御指摘については、それぞれあり得る可能性があるということでありますから、それはその中に現存させていただいている、こういうことであります。
●西村(智)委員 論理的にはあり得る、そこまでは私も認めましょう。だけれども、実際問題、こんな、偶然でないと、それこそ天からやりが降ってくるような確率で一緒の数字が出ているということ自体、本当におかしいことだと思うんですよ。
ですから、これは改めて確認をしていただきたい。同じことを申し上げ、委員長にこれは理事会の協議事項として要求したいと思います。
●高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。
●西村(智)委員 それで、私もきょう、幾つも質問したいことがあります。
まず、先日、愛媛県から参議院の予算委員会に提出された資料についてです。先ほども池田委員がこの点について質問をされました。
加藤官房当時副長官が、加計学園と平成二十七年の二月にお会いになった。その面会記録が報告として上がってきているということで、加藤内閣官房副長官のコメントとして1、2、3、4というふうに書かれております。
加藤大臣は、会ったことはお認めになっておられる。それで、お話しになったことも、正確には記憶はしていないけれども、大体こういう1、2、3、4、このような内容のことをおっしゃったのではないかということは、そこは確認させていただいてよろしいですか。
●加藤国務大臣 言われたというのは、1から4、私が言ったということでありますか。
むしろ、先ほどから申し上げているように、ちょっとつまびらかなことは正直言って残っていないので、断定的なことは申し上げられませんが、基本的には、向こうからるる説明があって、それについて私がいわば感想に近いようなことを申し上げたということはあったかもしれませんが、私の方から先に、これはこうだ、あれはこうだといったことを言い得る私自身の知識といいますか、そういう状況にはなかったというふうに認識をしております。
●西村(智)委員 恐らく、私も大臣おっしゃるとおりだと思うんです。恐らくは、加計学園側から何がしかのお話があって、要請もあったのかもしれない。それに対して加藤官房副長官は、その当時、お会いになる前に恐らく事前のレクや事前の情報収集をいろいろされていたんだと思うんですけれども、それを受けとめて、1から4のことまではおっしゃったということだと思うんです。
愛媛県は当然、又聞きの話だとしても、それを改めて改ざんする必要もないわけですから、私は、ここに書かれていることは、やはり加藤官房副長官が、ニュアンスの違いはありますよ、例えば、強力な反対運動があると言ったことも、もう少し違う言い方だったのかもしれません。あるいは、文科大臣の対応も影響かというのも、もうちょっと違う言い方だったのかもしれません。いろいろな語尾の違いはあるとしても、大体内容としてはこういうことをおっしゃった。
だとすると、やはり愛媛県の、今回、参議院の予算委員会に提出された資料というものは、真実のことが書かれているのではないかというふうに見るのが私は普通だと思うんです。
中村知事が今回これを公開したことによって、中村知事にとってのメリットはないわけですよね。むしろ、このことを、これを出すことによって、いろいろなリスクを知事は想定したと思います。だけれども、それでもこの公文書を出してこられた。ということからすると、やはり安倍総理一人がここに書かれている内容について否定しているということが、どうしても解せないんです。
この内容について、今、先日公開された、参議院の予算委員会に提出をされた愛媛県の公文書の中で、唯一これを否定されているのは、安倍総理一人なんですね。加計学園とは会っていない、当然あそこに書かれている言葉も言っていないということなんでしょう。これはやはり大臣、おかしいと思いませんか。
●加藤国務大臣 まず、先ほどのコメントという意味が、私からのコメントというよりは、そこで、まず先方からそういった説明があって、そういった状況なんですねということですから、ここもどこまで正確なのかということももちろんあります。
ですから、丸めて言えば、その日において、加計学園の獣医師学部の新設について話があったという点についてはそのとおりということは先ほどから申し上げているということであります。
ただ、それはここでの、ここの部分の話でありまして、それ以外が正しいか正しくないかということを私に問われても、当事者じゃないので、何とも申し上げられないということであります。
●西村(智)委員 それでしたら、改めて伺いたいと思います。
これは、丸めて言えば、やはりここに書いてあることを加藤官房副長官はおっしゃったと思うんですよ。随分消極的なことをおっしゃっていますよね。加計学園の提案に対して、獣医学部が反対している、文科大臣もどうのこうの、関係団体からも反発しているというような非常に消極的なことを多分おっしゃったということからしても、私は、加藤大臣自身も、ああ、ここに書かれているようなことを確かに言ったかもしれないなという感じではあると思うんです。官房副長官側に記録が残っているかどうか、それはわかりませんが。
そういう中で、安倍総理の発言のあの部分だけ、あるいは安倍総理が会っていないということに、ただ一人、あの公文書がうそだということを言っているのは安倍総理だけなんですよ。安倍総理にこれはやはり説明責任があるというふうに大臣はお思いになりませんか。
●加藤国務大臣 ですから、それに対して総理は、会っていないという答弁をたしかきのうの本会議でもされていたというふうに承知をしておりますけれども、いずれにしても、今、この点も含めて、いろいろな御疑問に対して、御指摘に対しては、総理が一つ一つ丁寧に答えていくという姿勢を示しておられるわけでありますから、そういった姿勢にのっとって今後とも対応されるものというふうに思います。
●西村(智)委員 これは多くの人たちが大変不自然だというふうに見ています。加藤大臣は会ったこともお認めになっている、そして、ここにコメントも出ていて、随分消極的におっしゃっているので、加藤官房副長官のタイプからしても、恐らくこのようにおっしゃったんじゃないかと思うんですよ。それにもかかわらず、その出てきた文書の中で、本当に安倍総理だけが、あの文書を真っ向から否定しているということなんですよね。これは本当に不自然なことだというふうに思います。
ここは徹底的に、安倍総理に加藤大臣の側からもきちんと説明責任を果たしてもらいたいというふうに進言してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。そうでなければ、加藤大臣から、例えば、先ほどのやりとりにもありました、何か加計学園についていろいろ働きかけをしてほしいと言ったんじゃないですかというような、いろいろな疑いもかかっていきますよね。
やはり、安倍総理本人の、今まさにその言動の信憑性が問われているわけですから、加藤大臣の口からも、ぜひ、安倍総理に対して、説明責任を果たすべきだ、果たしてもらいたい、こういうことを言ってもらいたいんですが、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣 先ほどからお話を申し上げているように、総理も常にそういうふうに言っておられるわけですから、私からそれを追認的に申し上げる必要性はないんだろうというふうに思いますが、ただ、この委員会で委員からそういうふうなことがあったと、そういう御指摘があれば、それは総理にはお伝えいたします。
●西村(智)委員 安倍総理は、口では、説明責任を果たすとおっしゃるんですね、うみを出し切るとおっしゃるんですね。だけれども、どういう手法でそれをやるのか、あるいはどういう場でどういう説明をするのか、一度として、私たちが見ていて、ああ、これが説明責任だなと思えるものってないんですよ。これでうみを出し切ったなと思えるものってないんですよ。
ですから、そこは大臣からもぜひ言っていただきたい。
それで、きょうは私、同一労働同一賃金のことについても質問をしたいと思っております。
今回、働き方改革関連法の中で高度プロフェッショナル制度を削除してもらいたい、それが法案審議の前提だということを言い続けてまいりました。長時間労働を助長して過労死をふやす、こんな仕組みはつくってはなりません。
今必要なのは、ワーク・ライフ・バランスという言葉、多少手あかがついているとすれば、生活時間というものを一人の生活者の一日の二十四時間の中できっちりと確保するという考え方を新たに導入することであって、それを実現するために、例えば、私たちの法案の中では、生活時間そのものを提起させていただいておりますし、インターバル規制も導入してほしいということも言っているわけでございます。
そういう中で、やはり同一労働同一賃金、非常に重要です。私の立場からすれば、男女間の賃金格差を是正するためには、もうちょっと踏み込んで、均等待遇を実現するために、もっと政府案からは踏み込んでもらいたかったというふうに思っておりまして、足りない部分は、ですから立憲民主党の私たちの案に入れ込んだつもりなんですけれども、政府案に対してきょうは伺いたいと思っております。
同一労働同一賃金、これは、働き方改革の実行計画にあるとおり、非正規雇用で働く人の待遇改善によって実現すべきだと考えております。
正社員の労働条件の引下げによる同一労働同一賃金の実現は、法の趣旨に合致しないということでよろしいかどうか。そして、同一労働同一賃金は、正社員の労働条件の引下げによることなく、非正規労働者の処遇改善によって行われるべきことを法律上明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣 同一労働同一賃金の目的は、非正規雇用労働者の待遇のまさに改善ということでありますから、不合理に低くなっている方の待遇の改善は、これは図るべきだというふうに思います。
また一方で、労働条件の不利益変更については、労働契約法上、原則として労使双方の合意が必要とされております。また、労使で合意することなく、就業規則の変更により労働条件を不利益に変更する場合は、労働契約法の規定に照らして合理的な変更でなければならないということで、現行においても、そうした一方的な不利益変更については法的な整備がなされております。
また、同一労働同一賃金に対応するために、労使で合意することなく正社員の待遇を引き下げる、これは望ましい対応とは言えないというふうに思います。
ただ、いずれにしても、各企業において、処遇体系全体を労使の話合いによって確認をし、あるいは構築をし、そして非正規雇用労働者を含む労使でその点を共有していくことが大事だというふうに思っております。
●西村(智)委員 私どもの対案の中では、雇用対策法に、労働者の待遇についての格差の是正が、通常の労働者の待遇の低下によることなく、通常の労働者以外の待遇の改善により行われるようにするというふうに明記をしております。やはり、法律上、きちんとこういう形で書くことが私は必要だと思っております。
次に、非正規労働者が裁判で不合理な待遇差の是正を訴えるためには、自分自身の待遇や正社員との待遇差の内容、理由、こういったものを正確に知っておく必要があります。
その意味で、待遇の説明義務の強化は重要だというふうに思いますが、閣法では、説明方法についての定めがありません。結果として、口頭説明あるいは不十分な資料に基づく説明も容認されてしまうことが懸念されますが、これについてはどう考えておられるでしょうか。
●加藤国務大臣 その点については、今、現行法においても類似の規定があります。
その説明方法については、通達において、口頭によることが原則、説明すべき事項を記載した文書を交付することによってもその義務を履行したと言える、また、口頭による説明の際に、説明する内容等を記した文書をあわせて交付することが望ましい措置である、こうしたことを規定をしているわけでありますから、そういったことを含めて、この法案が成立した段階において、そうした内容も詰めていきたいというふうに考えております。
●西村(智)委員 望ましいというような形で、労使の力関係に結局委ねられるようなやり方ではだめだと思うんです。
書面での説明の義務づけ、それから正社員の待遇に関する説明で用いる資料が既にある場合は同じ資料を用いるとか、そういう形で実効性を担保、確保していく必要があると考えております。私たちの対案では、同じ資料を用いるというふうにもきちんと規定をさせていただいております。
次に、そもそもそういった理由、背景の説明がされていない場合や、説明されていたとしてもその内容が不十分であるなど、待遇の説明義務が十分に果たされていない場合の法的効果、これについて、政府としてはどういうふうに考えておられるでしょうか。
そうなりますと、結果として、労働者が裁判で待遇の不合理性を立証することが不可能になります。これでは、同一労働同一賃金が有名無実化しかねません。説明義務を果たしていない場合の法的効果として、きちんとそのことを、不合理性を基礎づける要素となることを明らかにしておくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣 まず、非正規の雇用労働者が説明を求めたにもかかわらず説明されない場合には、各労働局において指導監督等を行い、待遇差に関する説明が確実に受けられるようにしていくということであります。
他方、今お話がありました、待遇差について事業主が十分な説明をしていない場合に、今申し上げた労働局の対応を待たずに非正規雇用の方が裁判に訴えるということも、これはあり得るというふうに思います。
待遇差に関する説明は、説明を求めた非正規雇用労働者と事業主との間における待遇に関する話合いが前提となり、事業主が十分な説明をしなかったと認められる場合には、当該非正規雇用労働者との間で真摯な話合いはなされていない、あるいはなされているとは言いがたいということになります。
最終的にはこれは司法判断ということになりますが、現在でも、不合理な待遇差か否かの判断に当たっての考慮要素の一つであるその他の事情というのがございますが、これには労使交渉の経緯等が含まれるというふうに解釈をしております。
この点は労働政策審議会の建議においても書かれておりますが、この待遇差について十分な説明をしなかったと認められる場合にはその事実、そして、していなかったという事実もその他の事情に含まれ、不合理性を基礎づける事情としてこの司法判断において考慮されるものと考えているところであります。
●西村(智)委員 確認させていただきました。
昨年六月の労政審の建議では、説明義務に関する比較対象となる正規雇用労働者は、職務内容、職務内容・配置変更の範囲等が最も近いと事業主が判断する無期雇用フルタイム労働者とされていますが、労働者が事業主が選んだ正規労働者との比較を納得できない場合にどういう措置をとることができるでしょうか。
また、当初の説明時に比較対象に異議を唱えなかったとしても、裁判では、労働者側が当初とは異なる比較対象となる正規雇用労働者を選定して待遇差の是正を訴えることは可能でしょうか。
●加藤国務大臣 今、二つお話があったと思います。説明をするときの話と訴訟のときの話と、二つあったと思います。
待遇差の説明については、全ての正規雇用労働者との待遇差を説明するということになると、これはなかなか事業主の負担が大きいという問題があります。また、その点を全く自由にするということになれば、全く関係ない、かけ離れた人でもよいのかということで、これ自体が意味のないということになるわけでありまして、パートタイム労働者や有期雇用労働者の指定する者との待遇差の説明を一律に求めるということになりますと、その中身においては、個人情報保護に関する問題もあるという点も指摘をされております。
そこで、建議においては、事業主が業務の内容等が最も近いと判断する者を説明時の比較対象とし、また、最も近いと判断した理由をあわせて説明することが考えられるとしているところであります。
そういった意味で、今回、今お話がありましたように、非正規雇用労働者として事業主の待遇差に関する説明あるいは対象者について納得ができない場合、また、その理由の説明が不十分であって説明義務が履行されていないと考える場合には、労働局に対する、指導等を求めていく。
また、事業主に対して特定の者との待遇差について任意で求めるということも考えられるところでありますけれども、事業主は、非正規雇用労働者から特定の者との待遇差について説明を求められた場合であっても、その特定の者との待遇差について常にそれを説明しなければならないわけではありませんが、他方で、事業主が比較対象として選定した者が最も近いと判断した理由は、先ほど申し上げた、説明をすることが求められているわけでありまして、いずれにしても、説明義務における比較対象となる正規雇用労働者については、建議においても、個別事案に応じた対応を含め、施行に含めて考え方を整理していくとされているところでありますので、法案成立後、労政審における審議、議論をいただいた上で、先ほど申し上げた指針あるいは通達ということで明らかにさせていただきたいというふうに思っております。
また、もう一つ、訴訟のときの話でありますけれども、今回は、非正規雇用労働者と待遇を比較することとなる通常の労働者とは、いわゆる正社員を含む無期雇用フルタイムの労働者でありますけれども、この非正規雇用労働者は、不合理な待遇差の是正を求める際、通常の労働者の中でどの労働者との待遇差について争うかは選ぶことができるものとされているところでありまして、したがって、御指摘のように、例えば説明を受けたときにはAという人であったとしても、そしてBという人については求めなかったとしても、裁判所においては、通常の労働者の中で、例えばBとの比較で待遇差を争うということもできるというふうに考えているところであります。
●西村(智)委員 政省令の中できちんと書き込んでいただくことになると期待をいたしておりますけれども、ちょっと今の御答弁だとまだまだわからないこともあるなというふうに思います。
それで、通常の労働者の定義についてもう少し聞いていきたいんですが、やはり重要なのは、誰と比べて同じ賃金にするかということであります。
誰と比較すべきかということを考えるに当たって、今回の改正案の中によく出てくるのが通常の労働者という言葉なわけですけれども、これはどういう人のことを指すのか、御答弁ください。
●加藤国務大臣 今回の改正案をベースにして申し上げさせていただきますと、通常の労働者とは、いわゆる正社員を含む無期雇用フルタイムの労働者ということであります。
●西村(智)委員 現行の通達では、雇用形態、賃金体系等が通常の労働者の判断基準に入っています。この点は大きな問題だと思います。
長期雇用を前提とするということになれば、今回、新たにパート法に入る有期の人が除外されます。すると、パートで働く人、これは多くは女性ですが、これも除外されることになります。長期雇用だから待遇がいいのだという考え方が法案の趣旨に入っているとすれば、これは同一労働同一賃金などあり得ない。果たして、非正規で働く人の処遇改善につながるのか、これは大きな疑問であります。
関連して伺いたいんですけれども、通常の労働者の定義というものが書かれているパート法、現行法の第二条の通達には、比較対象者の選定方法についても詳細な規定が盛り込まれておりますが、これは今回の改正でも維持されるという理解でよろしいでしょうか。
●加藤国務大臣 現行のパートタイム労働法の通達において、例えば、事業所において同じ業務に従事する者の中にいわゆる正規型の労働者がいる場合は、当該正規型の労働者等々を通常の労働者としているという規定があります。
ただ、今回の改正法では、パート・有期労働法の適用単位を事業所単位から事業主単位に変更しているということ、それから、有期フルタイム労働者も保護対象とし、無期フルタイム労働者等を比較対象としているということ、こうした点がございますから、そうした変更点を踏まえて、今の通達、それについては必要な見直しはあるというふうに思います。
●西村(智)委員 法律の性格も変わるということで、比較対象者の選定方法についてもこれまた今後変わってくるということなんですね。ここはとても大事なところだと思います。
誰と比較するのか、誰と同一の賃金とするのか、誰と不合理な格差がないと判定するのか、ここがずれてしまうと、非正規で働く人たちの実質的な待遇改善にはつながらない、つまり、今回の改正が意味をなさなくなってしまうというふうに思います。
ですが、今の答弁ですと、現行の通達がなくなってしまう可能性もあるということですよね。通達がなくなれば、誰と比較すればいいのか、具体的な手がかりはなくなります。働く人の側としては、誰と比較をすればいいのかわからなくなるのではないでしょうか。
加えて、厚生労働省としても、誰に行政指導してよいのかわからなくなるのではないでしょうか。今の御答弁ですと、今回、法律を改正したとして、行政指導は恐らくこれまでどおり行っていくということだと思います。通達をなくして行政指導ができるのか。全ての非正規で働く人が裁判を起こせるわけではない以上、行政指導というのが本当に重要な救済手段だというふうに思うんです。
通達は維持すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。それから、行政指導への影響はないのか。この点について伺います。
●加藤国務大臣 先ほど、別に今の現行通達をなくすということを申し上げたのではなくて、現行の通達において、今回改正をした部分、これを踏まえた必要な見直しをするということを申し上げさせていただいたということでございますので、そういった意味では、引き続き、所要の見直しは当然、法案との整合性をとる必要がありますから、させていただきますけれども、それを踏まえた通達をベースに行政指導等を行っていくということになります。
それから、今後は、これまで事業所という部分もありましたが、これは事業主ということでありますから、指導対象は事業主になるというふうに考えております。
●西村(智)委員 じゃ、行政指導には影響はないということで確認させていただいてよろしいですか。
●加藤国務大臣 そういう意味での対応をさせていただきますので、そうした意味で的確に行政指導が行い得るように措置をしていきたいと思っております。
●西村(智)委員 現行の通達、なくすことはないけれども、見直すことはするということですよね。
ぜひここは、私、やはり本当にこれで同一賃金、均等待遇が実現できるのか、ちょっと疑問に思っております。比較対象者ができるだけ多くの人にわかるように、今の基準を最低限維持しつつ、次の通達の見直しについても議論していっていただきたいというふうに思っております。
関連して、比較対象についてなんですけれども、これも何度か議論になっておりますが、通常の労働者と比較する場合に、一人でも働き方が同じような通常の労働者がおられれば、その方と均等待遇になるということでよろしいでしょうか。
●加藤国務大臣 例えば、あるパートタイムで働く方あるいは有期雇用で働く方について、その事業主のもとにおいて、一人でも職務の内容、職務の内容及び配置の変更範囲が同一の通常の労働者が存在すれば、当該通常の労働者との間での取扱いが問われる、そして、そこにおける差別的な取扱いは禁止をする、こういう規定であります。
●西村(智)委員 個人で構わないということで、よろしいということで確認いただきました。
では、現行のパート法九条は行政指導の対象条文となっておりますけれども、個人の通常の労働者との比較において改正九条違反が認められた場合に行政指導を行うということで、これも確認させていただいてよろしいでしょうか。
●加藤国務大臣 新たな九条ということでございますよね。(西村(智)委員「そうです」と呼ぶ)当然対象になります。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
ほかにも人材活用の仕組み等々についていろいろ質問したかったんですが、ちょっと質問時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。