●西村(智)分科員
立憲民主党の西村智奈美です。
大臣、お疲れさまです。よろしくお願いいたします。
私、地元が新潟でございます。新潟市は、ことし、例年にない大雪でした。
新潟ですと言うと、雪が大変でしょうと言われるんですけれども、私のところは海の近くですので、実は、山の方が大雪になっていても、ふだんはそんなには多くないところなんです。ところが、ことしは、典型的な里山ということで、北陸地方を中心に本当に大変でした。いつもですとどかっと降るのが一日ぐらいで終わるんですけれども、ことしは二日続いて、センター試験にもぶつかったということもあって、市内は大混乱でした。それだけではなくて、新潟県内のほかの自治体も大変混乱をいたしました。
今回、特別交付税を繰上げ交付していただいた、きょう決定されて発表されたということで、私も資料をいただきましたけれども、二百十八億円。感謝いたします。しかし、もうちょっと欲しかったです、正直に申し上げると。
新潟市の例で申し上げますと、今の時点で既に除雪費七十五億円の見込みです、年度末までで。例年の同じ時期と比較しても二・三倍ということですので、今回は新潟市内も五・五九億円でしたか、ということだったんですけれども、三月の本交付と言ったらいいのかわかりませんが、三月の特交の交付のときには、ぜひ、これまた除雪に対する配慮を含めてお願いしたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
●野田国務大臣
今お話のあったとおり、本年度は本当に、御地元の新潟県を始め福井県等々でも大変な降雪量がございまして、今おっしゃったように、ふだん積もらない、ふだんはどうにかしのげる地域でも大変な積雪を迎えて、本当に、私自身も直接たくさんの地方自治体の代表の方から除排雪の経費についての御要望を承ってきたところです。
今、少なかったと言われましたけれども、平年を大きく上回る大雪に見舞われた団体など百六十三市町村を対象に、本来三月に交付すべき特別交付税の一部を、二百十九億円を繰り上げて交付することを決定して、二十六日に現金交付をする予定です。
実は、今回の特別交付税の繰上げ交付は、対象団体の数は過去二番目の多さ、そして交付額は過去最高の規模となりました。
地方団体の除排雪経費については、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には三月分の特別交付税により措置をしているわけですが、総務省として、引き続き、それぞれの地方団体の除排雪経費の実態を丁寧に把握して、しっかりこれからも対応していきます。
●西村(智)分科員
ぜひ、よろしくお願いいたします。
国土交通省の方からもお越しいただいていて、伺いたいんですけれども、雪寒地域道路事業費補助、これは当初では百四億円というふうに聞いております、平成二十九年度で。既に二月の十六日に国交省から、追加補助の要望の調査が自治体に依頼されたということでありますけれども、これはどの程度追加になるという見込みでしょうか。
●高橋大臣政務官
委員御指摘の自治体に対する除雪補助の問題でございますが、まず、道府県・政令市そして市町村に対しまして、雪寒寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づいて、例年、年度当初に社会資本整備総合交付金をまず配分いたします。これは、道府県も政令市も市町村も共通です。
その上で、道府県それから政令市への支援といたしまして、例年三月には、この年度当初の交付金とは別に、除雪費を補助金として配付しております。今年度は、補助金として国費百四億円を計上しておりますが、降雪の状況等を踏まえて、これらの百四億円の財源で適切に対処してまいりたいというふうに思っています。これは道府県と政令市です。
市町村へはまた別の仕組みでございますので。それはよろしいでしょうか。
●西村(智)分科員
それも伺いたいと思っております。幹線市町村道除雪費補助臨時特例措置、これについても各自治体から非常に要望が強いというふうに伺っております。これについてはどうでしょうか。ぜひお願いしたいと思うんですが。
●高橋大臣政務官
委員よく御存じですので細かな制度のお話はいたしませんけれども、この臨時特例措置に関しましては、二月十六日から、支援の検討に必要な降雪状況でありますとか除雪費の執行状況等を把握する調査を開始をいたしました。それを今、調査を取りまとめているところでございます。
一日も早く取りまとめをいたしまして、そしてこの結果を踏まえまして臨時特例措置を行っていきたいというふうに考えております。
●西村(智)分科員
二月の十六日から調査が始まったということで私も承知しておりますけれども、ぜひ、これは一日も早く取りまとめをしていただいて、各自治体が安心して年度末を迎えることができるように、しっかりと重点配分をお願いしたいというふうに思っております。
除雪に関しては以上で終わりまして、野田大臣、ちょっと話題がかわるんですけれども、SOGIという言葉を御存じでしょうか。
●野田国務大臣
申しわけありません。存じていません。
●西村(智)分科員
セクシュアルオリエンテーション、それからジェンダーアイデンティティーの頭文字をとって、SOGIと申します。
大臣にも顧問を務めていただいているLGBTの超党派の議員連盟でヒアリングをしているときに私も初めて知ったんですけれども、つまり、性的指向と性自認、これの略称なんですね。(野田国務大臣「もう一度言ってください」と呼ぶ)性的指向及び性自認です。
これは、大臣はパラリンピックの担当大臣でもいらっしゃるということなんですけれども、オリンピック憲章に、開催国はこの点についてきちんと配慮せよ、こういうことも義務づけられているものなんですけれども、昨今、やはり、いわゆる性的少数者の方々、あるいはそのSOGI、性的指向あるいは性自認に関していろいろなハラスメントもあるというふうに言われております。これは、例えば学校のいじめの問題から始まって、就職のときの差別ですとか、あるいは社会の中でいろいろ人と接するときに受けるハラスメントのようなものが一般的に言われるんです。
そんなことをいろいろお聞きしている中で、彼らのいろいろな要望の中には、そういった差別を解消してほしいということと同時に、同性のパートナーと一緒に暮らしたいとか、あるいは法的な関係を維持したいというような考えを持っておられる方々もやはりいらっしゃるわけですね。
それで、大臣も御存じのとおり、もう既に日本国内の幾つかの自治体で、同性パートナーシップを条例などとして制定しているところがございます。世田谷、渋谷、札幌、ここに至るまで大体六つか七つぐらいだったでしょうか。そういったところで、既に、宣誓とかいうような形で同性でパートナーシップ制度を認めるということをやっている自治体があるんですけれども、実は、同性で一緒にお暮らしになっていらっしゃる方々が一体どのくらいいられるのかということが正確には把握できておりません。
で、これは私も前から伺ってはいたんですけれども、五年に一遍行われる国勢調査で、配偶者の有無をチェックするところがあるんですけれども、例えば、同性同士のところにマーカーがついていたりすると何か正確に把握されないということのようなんです。
大臣、このことを御存じだったでしょうか。
●千野政府参考人
お答えいたします。
国勢調査の調査票には「世帯主との続き柄」という欄がございます。そこに「世帯主又は代表者」「世帯主の配偶者」「子」等となっておりまして、「世帯主の配偶者」という欄があります。その上の方の調査項目に、男女を記載する欄がありますので、例えば女性、女性、世帯主、世帯主の配偶者ということになりますと、現時点では、論理的に間違いだということで処理しております。
●西村(智)分科員
処理されるということは、要するにそれはカウントされないということなんですね。何か私が聞いたところだと、エラーとしてはじかれてしまうというふうにも聞きました。これですと、本当に正確な国勢調査の結果が導き出せないというふうに思います。
国勢調査は、あらゆる国の施策を立案するときのまさにベースとなる統計ですので、正確に把握されるべきものだというふうに思いますけれども、大臣、これは、同性でパートナーとして一緒に暮らしている方が何人いらっしゃるのかというのを把握できるように、何とかこの国勢調査のあり方を変えていただきたい。少なくとも、そういうふうにはじかれるような処理の仕方ではなくて、何がしかの、多分技術的なことなんだと思うんですけれども、把握できるような方法を考えていただきたいと思うんですけれども、次が平成三十二年、二〇二〇年ですので、あと数年余裕があるわけですが、いかがでしょうか。
●野田国務大臣
まず、統計局を預かる総務大臣として、現在の状況について申し上げたいと思います。
今西村委員から御質問がありました国勢調査の調査内容、これについては、国や地方公共団体の施策への利用、国民意識から見た普遍性、妥当性、回答の負担や正確性の確保、各種法令への対応など、さまざまな観点から有識者の御意見をいただき、つまり私たちだけでなく、また統計委員会に諮った上でその内容を決定してきています。
今御指摘のように、一部の地方公共団体で同性パートナーシップ制度を導入しているということは私も承知しておりますが、しかし、日本の現行の法律では同性婚は認めておりません。ゆえに、必ずしもその定義が明確でない中、公的統計でありますから、そことしての正確性の確保の必要性などを考慮すると、今現在は、国勢調査において同性パートナーの実態を把握することは現時点では困難であるかなというふうに考えています。
しかしながら、本件については、将来的な課題として、既に超党派で議員連盟もあり、相当多くの方がかかわっていただくようになってきて、過去に比べれば非常にリアリティーのある政策課題でありますので、今後の国民のコンセンサスや法律のあり方、法制度など、いろいろな本件にかかわる動向というのを注視していきたいな、そんなふうに思っています。
そして、国会議員としては、西村委員同様、私はダイバーシティーというのは政治のあるべき姿だと思っているので、差別がないことが前提として、そこに人的差別があるのなら全部取り除いていかなきゃいけないというのが私の政治姿勢なので、そういう中では、同性婚というのは決して、私野田聖子という国会議員としては受け入れて、そしてともに歩んでいきたいものだと思うんですけれども、ただ、やはりその大もとの法律、私たちはやはり国会、立法府の一員ですから、今ある法律がそういう状況であるのならば、そこをやはり国会の中でしっかり議論を進めていかなければならないのかなと思っています。
おまけを申し上げるなら、差別されるマイノリティーとして障害児者というのが古くからあるわけですけれども、実は私自身、障害の子供を持っていて、障害児の実数ってどのくらいあるのかなと聞くと、実はわかっていないんですよ。古くからある障害児の数ですら今現在つかめていないというところを思うと、全般的にやはり、少数者と言われる、マイノリティーと言われる人たちについてはしっかり配慮をしていかなければならないというふうに痛感しています。
●西村(智)分科員
ここに、国勢調査の調査票、サンプルを届けていただいたものがあります。ここに「六 配偶者の有無」といって記載をするところに、「届出の有無に関係なく記入してください」、こういうふうに書かれているのですね。つまり、日本の法律に基づいた婚姻の届出をしていない人でも配偶者としてここに記載をしなさいということですので、同性のパートナーを排除する理由には私はならないんじゃないかというふうに思うんです。
ですから、ここはぜひ、検討会ですか、国勢調査のあり方を検討する検討会、ここの俎上にはのせてもらいたい。そうでなければ、この六のところに「届出の有無に関係なく」と書いてあることとの整合性がつかないというふうに思いますので。
もう一回答弁をいただきたいと思います。
●千野政府参考人
問題は、今は日本では現行、法律では同性婚は認められておりませんので、同性婚の定義が必ずしも明確ではないということで、したがって、その前の、男性、男性、それから配偶者みたいなところが、記入誤りなのか、それともそういう事実なのかというところが判然としないということもございます。
あと、外国の例を我々は調べてございますが、諸外国でも、イギリス、カナダなどは国勢調査の調査票に同性婚パートナーの選択肢がございます。こういう国はどういう国かといいますと、同性婚が法律で合法化されております。したがって、法律の中で明確に定義がされているわけです。
そういうふうな環境になれば我々も同じような対応ができると思いますが、そういったことがどうなるかということをこれから注視していきたいと思います。
●西村(智)分科員
私、この六のところに「届出の有無に関係なく」というふうに書かれているので、そことの整合がとれないのではないですかということなんです。届出の有無に関係なく配偶者がいる人はここにつけてくださいというふうに書かれているわけなので、それは、現行の法制度、日本の国内法にのっとっていないいわゆる配偶者関係と言ったらいいのか、一緒に住んでいる同居パートナーという関係と言ったらいいのか、その人もここに書いてくださいというふうに書いてあるので、それだったら整合性は私はやはりつかないと思うんですよ。
ぜひ、検討会で検討するということはやっていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
●野田国務大臣
いろいろ私の知らないことも教えていただいてありがとうございます。しっかり今のことは問題意識を持って検討させていただきたいと思います。
あと、実は、午前中、逢坂委員とこの場で話をしたときに、逢坂委員が、地方が進んでいるんだ、地方で先進的にやったことが最終的に国の、オール・ジャパンの制度になることがあるというのをおっしゃっていました。今まさに西村委員にこうやって教えていただいている各地方自治体の取組というのはそういうことなのかな。こういうことがどんどん広がっていけば、おのずと今西村委員がおっしゃったようなことも拍車がかかる。総務省は地方自治を応援する役所ですので、ぜひそういうこともしっかり理解を深めていきたいと思います。
●西村(智)分科員
ぜひよろしくお願いいたします。期待しておりますので。局長、よろしくお願いいたします。
続いて、また少し話題をかえまして、今度、原子力防災のことについてお伺いをしたいと思っております。
私の地元新潟県は、世界最大規模の柏崎刈羽原発を擁しております。今、新潟県は、独自の検証をするということで、既にあった一つの委員会に加えて、新たに二つの委員会を加えまして、それを統括する委員会が先日、一月何日だったでしょうか、第一回目が開かれたというところであります。
問題意識は、やはり今の状況で本当に安全な避難計画等々がつくれるのだろうかということだと思います。私も、その点については率直に疑問に思うところが多々あります。きょうは、絞って四つのことについてだけ伺いたいというふうに思っております。
まず、まさに原子力発電所で事故が起きたときに、第一義的には事業者がその対応に当たるということになっておりますけれども、例えば海水を注入しなければいけないというような状況が差し迫ってきたときに、それは、さまざま原子炉を規制する法律もあると思います。そういう中で、海水を注入するというこの重大判断を、一体誰が判断をするのか。第一義的には事業者なんでしょうけれども、それは現場の所長さんということになるのか、あるいは会社の社長なのか、このあたりを確認させていただきたいと思います。
●山田(知)政府参考人
原子炉等規制法に基づきまして原子力規制委員会が定めております規制基準におきましては、海を水源として利用し、重大事故等の収束に必要な水を供給するための手順を整備すること、安全を最優先する方針のもとで、炉心の著しい損傷等を防止するために最優先すべき操作などの判断基準をあらかじめ明確化することなどを要求をしておりまして、審査でその有効性については確認しております。
また、原子力災害対策特別措置法におきましては、原子力事業者は、その事業所ごとに原子力防災管理者を選任し、原子力防災組織を統括させること、原子力防災管理者は、その事業所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てると規定をされてございます。
原子力災害が発生した場合には、この原災法に基づきまして、原子力防災管理者、これは通常、原子力発電所所長になりますけれども、直ちに原子力事業者防災業務計画の定めるところにより、原子力防災組織に原子力災害の拡大を防止するための必要な応急措置を行わせなければならないというふうにされてございます。
●西村(智)分科員
つまり、所長がそれは判断して注入をできるということでよろしいですか。
●山田(知)政府参考人
はい、そのとおりでございます。
●西村(智)分科員
確認させていただきました。
次に、安定沃素剤のことについて伺いたいと思っております。
PAZの中では既に医師の面談等を行いながら住民に安定沃素剤が配布されているというふうに仮定をいたします、そういう前提に立たせていただきますが、問題は、UPZの中における配布をどうやってやるのかということ。これは、私もいろいろ頭の中で考えてみたんですけれども、UPZのそのときの状況といえば、原子力災害対策指針に基づいて屋内退避を指示されている状況だと思います。そういったところに、実際に医師の面談をしながら安定沃素剤を配布することができるのかどうか。ちょっとこれは、ちょっとじゃなくてかなり疑問に思うんですね。
柏崎刈羽の例で申しますと、UPZの中に約四十四万人が住んでおられます。すごい人数で、今回の冬の雪害のときも、道路が、例えば三車線、四車線のところがようやく一車線通れるような状況であったりとか、ホワイトアウト、地吹雪のような状況になって先が全く見えないような状況にもなってしまうわけです。そういう中で、まず避難できるかどうかという問題がある。沃素剤を本当にそういう状況の中で配り切ることができるのかどうか、ここは本当に疑問なんですけれども、この点については見解はいかがですか。
●武部大臣政務官
UPZ内の住民に対しての安定沃素剤の配布の件なんですけれども、これは、原子力規制委員会が策定いたしました原子力災害対策指針におきまして、PAZ外は、全面緊急事態に至った後に、原子力施設の状況やあるいは緊急時のモニタリングの結果などに応じて、避難や一時移転等とあわせて安定沃素剤の配布、服用をするということになっています。
つまりは、屋内にまず退避していただきまして、その後、退避の指示が出たときに、その退避する退避の路上ですとか一次避難所ですとか、そこで安定沃素剤を配布するということになっております。
●西村(智)分科員
なっておりますことは私も承知いたしております。問題は、なっているとおりに本当になりますかということなんですね。
昨日、私の地元の新聞が、安全・安心研究センターが行った住民の意識調査について報道をしました。それはどういうものかと申しますと、UPZ内の人たちにいろいろ、PAZの中の人たちにもそうなんですが、意識調査をやっております。サンプル数が多いか少ないか、あるいは設問項目がどうかということについては私はまだ詳細には確認をしていないんですけれども、しかし、これは、住民の心理からいえば多分こうだろうなと思うような結果がやはり出ていて、つまりは、UPZの中の住民の三割が、避難してくださいという指示が出る前に避難すると答えているんですよ。三割の人たちが。
そうなりますと、恐らく、先ほど申し上げたように道路の状況も一気にがあっと混乱するでしょうし、それから、安定沃素剤が配られているのか配られていないのか、集合場所に集合してくださいと言っても、多分集合しないで避難を開始する人たちがたくさんいる、モニタリングポストのデータを収集して分析するまでもなく逃げちゃうというような人がいる中で、本当にこれは、安定沃素剤の配布と、それから服用の指示、一気に服用してくださいという服用の指示が出ると思うんですけれども、それをちゃんと正確に伝達できるのかどうかということも、これは甚だ疑問だというふうに思うんですね。
その点について、政務官、いかがですか。
●片山政府参考人
原子力災害対策指針の考え方にかかわることでございますので、原子力規制庁の方からちょっと、まず考え方を御説明させていただければというふうに思います。
原子力災害が発生した場合には、要するに、事故を起こした施設により近い地域が放射線の影響をより強く受ける、それから、屋外で行動しているときに放射性物質の放出があった場合に最も強く影響を受けることになります。
したがって、原子力災害対策指針の考え方は、施設により近いPAZについては、予防的に全面緊急事態、つまり放出前に避難をしていただく。より遠いUPZにおきましては、まず屋内退避をして放射線からの防護をしていただくという考え方をとってございます。
それから、安定沃素剤というのは、放射性沃素の吸入による内部被曝の影響を低減するというための防護措置でございますけれども、UPZで実施をする屋内退避で、放射性物質の吸入被曝の影響というのは相当程度低減をできます。例えば、一般的な木造建屋ではその七五%が低減できる、堅固なコンクリート建屋では九五%低減できるということがわかっております。
したがいまして、委員が御指摘になられた安定沃素剤の緊急配布でございますけれども、これは、屋内退避をUPZで行っていて、その後、事故がさらに悪化をして放射性物質の放出があった場合に、まず屋内退避で防護していただいて、その後、緊急時モニタリングの結果で、エリアを特定をして一時的に避難をしていただく。そのときに、UPZの住民の方は屋外で行動することになりますので、追加的に、放射性沃素による吸入被曝の影響を低減するためにまずは安定沃素剤の配布を受けた上で避難を、一時移転をしていただく、こういう考え方を指針はとっているということでございます。
●西村(智)分科員
承知いたしております。承知いたしている上で、しかしそれも、ドクターの面談を経てでないと配布ができないというふうにも聞いておりますので、そこのところは、本当に実務上実際にどういう人員体制で配るのか、配り切ることができるのかということはやはり大きな問題だというふうに思うんですね。
それで、済みません、ちょっと時間が限られてきて、なくなってきちゃう、もう時間がなくなっちゃいました。
安定沃素剤のこともそうなんですけれども、あるいは、避難するときのバスの運転手さんとか、あるいは、複合災害が起きたときに、道路が陥没したりするときに建設業者の人たちにそこを直してもらうということになると思うんですけれども、実際に、例えばこれは事業主、事業者、そういった、バスの会社の人がそんなところにうちの運転手はやらせられないとか、運転手の人たちが、私、そんなところに行きたくないわというふうに言ったときに、頼るのが実動組織だというふうにも伺いました。
じゃ、実動組織の指揮命令系統はどうなっているんですかというふうに伺いましたら、法律でそれぞれ要請を出すことができる、指示することができるというふうになっていて、それ以上の答えは返ってこなかったんですけれども、やはりこれはきちんと法制度なり法整備なりが必要で、外から見えるような形で、こういう組織でいざというときには動けるんだというような形があらかじめ見えるようにしておくべきではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
●武部大臣政務官
緊急時における実動組織に対する指揮命令系統でございますけれども、万が一原発事故が起きまして、災害になるような事態が生じた場合、原子力災害対策特別措置法に基づいて、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣は、関係大臣、関係地方公共団体の長などに指示や要請を行うことができるとされています。
それぞれの、自衛隊を始め海保、消防、警察の実動組織でありますけれども、この実動組織は、この指示や要請に基づいて必要な対応を実施することになります。
なお、各実動組織においては、各実動組織の指揮命令系統に従って適切に対応が行われると認識しております。
●西村(智)分科員
認識しておりますということは、テーブルの上ではそういうふうに認識できるんだけれども、実際に現場で、まさにその事態が発生したときにそういうふうにオペレートするかどうかというのとは全く別物だというふうに思います。
私は、やはり、先ほどの住民意識、こういったものに沿った原子力防災体制でなければならないというふうに思いますし、それはまさに、机の上でつくった計画だけではなくて、本当にその実態に即したものでなければならないというふうに思います。
いずれにいたしましても、私たち立憲民主党は、三月十一日までに、通称原発ゼロ法案を提出する予定でおります。こういった形で、住民の皆さんの気持ちに沿った政治をこれからもやっていきたいと思っておりますことを申し上げて、時間です。質問を終わります。
どうもありがとうございました。