■西村(智)委員
民進党・無所属クラブの西村智奈美です。
通告の順番を少し変えまして、厚生労働副大臣から、お越しいただいておりますので、乳児ボツリヌス症のことから御質問したいと思います。
ことしの2月に、生後6カ月の赤ちゃんが、蜂蜜を飲ませられていたということから、乳児ボツリヌス症を発症いたしまして死亡したという大変悲しいニュースがありました。
蜂蜜は、乳児ボツリヌス症と因果関係が認められている唯一の食品であるということで、知っている人は知っているんだけれども、なかなかまだ、広く知られているか、また定着しているかというと、そうではないところもあったがゆえに今回の事件が起きてしまったのだというふうに思います。
まず、消費者庁担当大臣にお伺いをいたしますけれども、この件について、消費者庁としてどのような対応をとったのか伺いたいと思います。こういった悲しいことが起きないように、どのようなことを行ったのか、また、今後も同様の事案の発生防止に向けて必要に応じて対応を行っていくというふうに、私、レクを受けておりますけれども、どういったことを想定しているのか、伺います。
■松本消費者および食品安全担当国務大臣
このたび、蜂蜜を摂取してボツリヌス症を発症し乳児が亡くなったという事例が発生したのは、大変痛ましいことでございます。
本件に関しまして、消費者庁といたしましては、ツイッター及び子ども安全メールを発出し、1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう注意喚起を行いました。また、厚生労働省や農林水産省においても、ツイッターや各自治体への通知を通じまして注意喚起に努めていると承知をしております。
同様の事案が発生しませんよう、今後とも、機会を捉えて、関係省庁と連携しつつ、繰り返し必要な情報提供に努めてまいりたいと存じます。
■西村(智)委員
先ほど、大臣、繰り返し周知をというふうにおっしゃってくださいましたけれども、そこが大事なところだと思うんですね。これほど因果関係がはっきりしているものを繰り返し周知していくということ、また、必要と思われるところに、必要と思われる人に全て届かなければ、それは何の意味もありません。
どういった方法で今後その周知を図っていくのか。ツイッター等々も、利用している方もいれば利用していない方もいらっしゃると思います。霞が関から発信される情報には余り目も向けないという方も多いのではないかと思います。どういうふうに周知をしていきますか。
■松本国務大臣
全ての保護者に情報提供することを目的として、厚生労働省は、母子健康手帳に「はちみつは乳児ボツリヌス症を予防するため、満一歳までは使わない。」と記載することを通知で求めていると承知をしております。
消費者庁といたしましては、関係省庁等と連携をいたしまして、今後も、機会を捉えてSNSを活用した注意喚起を繰り返し行うとともに、子ども安全メール、またツイッターの登録者数の増加に努めるほか、都道府県の消費者行政部局への周知依頼、全国の消費生活センターへの情報提供等、さまざまな手法を通じて、多くの保護者の方々に情報が届けられるよう努めてまいりたいと思います。
■西村(智)委員
母子手帳に、確かに「はちみつは乳児ボツリヌス症を予防するため、満1歳までは使わない。」というふうに記載をされています。
この項目は、母子手帳における任意記載事項ということで厚生労働省が示しているものでありまして、ほぼ全ての自治体がそのような記載を含めて母子手帳をつくっておられるということですけれども、この文面がどこに出てくるかというと、離乳食のページに出てくるんですね。離乳食の進め方の目安、離乳食のポイント、こういった項目に出てきまして、今回蜂蜜を摂取していたのは離乳食の前の子供さんでいらっしゃるので、どうだかわかりません。わからないけれども、離乳食のところまで月齢が達していない方の保護者はそのページを見ないことが多いのではないかというふうに思うんです。
また、満1歳までは使わないというふうに記されていますけれども、実際に母子手帳でどういうふうに書かれているか。私の手元にあるものを見ましたら、使いませんというふうに書かれていました。これは禁忌事項なのかどうかよくわからない書き方になっていると思うんですね。
これはやはりもう一度検討していただいた方がいいのではないか、記載内容を、記載場所も含めて、このように思いますけれども、厚生労働副大臣に伺います。
■古屋厚生労働副大臣
このたび、蜂蜜を摂取してボツリヌス症を発症し乳児が亡くなったという事例が発生したのは、大変痛ましいことだと私も思っているところでございます。
1歳未満の乳児につきましては、乳児ボツリヌス症を予防するため、蜂蜜を与えないよう、昭和62年以降、通知を発出するとともに、母子健康手帳や蜂蜜製品への表示などを通じて注意喚起を行ってまいりました。母子健康手帳では、今委員御指摘のように、蜂蜜は乳児ボツリヌス症を予防するため満1歳までは使わないと記載することを通知で求めるとともに、母子健康手帳の副読本等でも周知を行っております。私も今回確認をしてみました。
本件を踏まえまして、厚生労働省からも地方自治体に対して改めて注意喚起をするよう要請をしております。また、母子健康手帳の記載を見直すべきとの御指摘をいただきましたけれども、乳児ボツリヌス症の予防対策につきましては、正しい内容をより多くの方々に発信していくことが重要であると考えておりまして、母子健康手帳だけではなくて、引き続き、ホームページ等で情報を発信するとともに、新生児訪問また乳幼児健診など、さまざまな機会を捉えて保護者に必要な情報を届けてまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
蜂蜜そのものを摂取するだけではなくて、今市販されているお菓子などにも蜂蜜が使われているものはかなりあります。そういったものを食べて、あるいは子供に食べさせて一体これは大丈夫なんだろうかと心配している方々もたくさんいると思います。ぜひそこは、満1歳までの子供が蜂蜜を摂取したら乳児ボツリヌス症になる危険性があるということは正しい情報ですので、ぜひ落ちがないようにしっかりと周知をしていただけますようにお願いをいたします。
古屋副大臣におかれましては、これで結構でございます。ありがとうございました。
それで、今回の国民生活センター法等の一部を改正する法律案についてですけれども、消費者裁判手続特例法が制定されましたときに宿題となっていた事項であって、ようやく適格団体に対してさまざまな権限が新たに付与される、よりディマンドサイドに立った行政ができるということで、私としても喜ばしいことだというふうに思っております。
ただ、今回、この法改正によりまして実現可能となる制度につきましては、本当に活用されるのかどうか、また、使いやすいものになるのかどうか、そういった心配があることも事実でありまして、私は、きょうは、特定適格消費者団体への求償権、求償について、ここに絞って質問をしたいというふうに思います。
お手元に、これは、消費者団体訴訟制度の実効的な運用に資する支援の在り方に関する検討会報告、この抜粋を配付いたしております。
ここで下線を引いている部分が、求償について、いわゆる懸念されていると言われる内容事項なんですけれども、どういうふうに書いてあるかといいますと、「特定適格消費者団体が常に厳格に求償されるのでは仮差押命令の申立てに躊躇を覚える可能性があり、特定適格消費者団体に仮差押命令の申立権限を付与した意義を損なうおそれがある。」というふうに書かれていることを初め、どのくらいの求償が実際になされることになるのだろうか、ここのところを見きわめたいという思いはやはり消費者サイドにはあるんだというふうに思うんですね。
有識者の中からの意見、例えば、団体の過失によって事業者の損害賠償が認められた場合にまで団体がセンターから費用の返済を求められたとすると萎縮効果が大きいのではないかという意見がありましたり、また、実際に訴訟手続を行って二段目の手続に参加するとき、消費者の数は未知数ですけれども、実際には想定した数よりも少ない人数しか申し立てがなかった、結果として過剰な差し押さえと評価されてしまうということも想定されるということになってしまうのではないか。
そこで、私の質問は、では、一体どのケースでどの水準まで、国民生活センターは特定適格消費者団体に対して何をどの程度請求することになるのかということであります。常に費用の全額を請求することになるのか、これはレクの中で、まあそこまではないんじゃないかというようなニュアンスもありましたけれども、ここのところはやはり一定程度はっきりさせていただかないと、団体の方は怖くて踏み切れないというふうに思います。
担保を立てる際にその契約書には具体的に何をどこまで記すことになるのか、伺います。
■松本国務大臣
国民生活センターが担保を立てる場合には、特定適格消費者団体との間で担保を立てる事務に関する契約を締結することを想定しております。その契約書には、仮差し押さえを申し立てようとしている事案の相手方及び内容、特定適格消費者団体の遵守事項及び契約の終了事項等を定めることを想定しております。
国民生活センターが特定適格消費者団体に対して支払いを求める金額を減額するというような場合には、国民生活センターの業務方法書やその細則におきまして運用基準を定めて、それに基づいて国民センターが個別に決定をするというようなことになるものと思われます。
■西村(智)委員
細則によって業務内容を細かく書くということなんですけれども、今ここの手元にないので、実際に、具体的に何をどこまで書きますか、どの水準まで求償するんですかと質問してもお答えいただけないわけです。
私、それでは具体的に幾つかのケースを挙げて、この場合には求償権の行使がなされるのかということについて伺いたいと思います。
具体的にはこういうことです、以下のような事例で立担保をしたセンターが損失をこうむった場合に、特定適格消費者団体に対する求償権の行使がなされるのかどうか。四つ読み上げます。
一つ、特定適格消費者団体が勝訴判決を得たにもかかわらず、その後、相手方事業者により任意の弁済がなされたため、結果的に保全の必要性がなくなった場合。
二つ、特定適格消費者団体と事業者との間で和解が成立し、相手方事業者により任意の弁済がなされたため、結果的に保全の必要性がなくなった場合。
三つ、特定適格消費者団体が勝訴判決を得て簡易確定手続に移行したが、授権をした対象消費者の数が見込みよりも少なく、結果的に保全された債権額に満たない額の弁済しかなされなかった場合。
四つ、特定適格消費者団体としては相応の根拠に基づいて共通義務確認訴訟を提起したが、主張が認められず敗訴した場合。
それぞれ、いかがでしょうか。
■松本国務大臣
まず初めに、一つ目のケースでございます。繰り返さないでよろしいでしょうか、済みません。(西村(智)委員「はい、結構です」と呼ぶ)
一つ目、結果として保全の必要性がなくなるなどによりまして事業者が損害賠償を求めてきた場合の御質問でありますが、特定適格消費者団体による仮差し押さえ命令の申し立てに過失、いわゆる落ち度がある場合には、国民生活センターが立てた担保は事業者への損害賠償に充てられることから、国民生活センターは担保を取り戻すことができず、この場合には、取り戻すことができなかった金額について特定適格消費者団体に対して支払いを求めるということになります。
このお尋ねのケースは、事業者の任意の弁済という仮差し押さえ命令の申し立て時にはなかった事後的な事情により結果的に保全の必要がなくなったのでありますから、特定適格消費者団体に過失、落ち度はなく、担保は取り戻されるものと考えられます。したがって、国民生活センターが特定適格消費者団体に支払いを求める必要性はないと考えられます。
次に、二つ目のケースでありますが、このお尋ねのケースは、事業者の任意の弁済という仮差し押さえ命令の申し立て時にはなかった事後的な事情により結果的に保全の必要性がなくなったのでありますから、特定適格消費者団体に過失、いわゆる落ち度はなく、担保は取り戻されるものと考えられます。したがって、国民生活センターが特定適格消費者団体に支払いを求めることはないと考えられます。
三つ目のケースでありますが、このお尋ねのケースは、実際に授権をした対象消費者の数が仮差し押さえ命令の申し立て時に見込んだ数より少なかった理由にもよりますが、見込みよりも少なかった理由について特定適格消費者団体に過失、落ち度がない場合は、国民生活センターは担保を取り戻すことが可能であり、国民生活センターが特定適格消費者団体に支払いを求めることはないと考えられます。
そして、他方で、特定適格消費者団体の見込みが甘く、保全された債権額に満たない額の弁済しかなされなかったことについて過失、落ち度があるとされた場合には、国民生活センターは、担保を取り戻すことができなかった金額について特定適格消費者団体に支払いを求めることになるのが原則ということになります。
続きまして、最後の四つ目のケースでございますが、お尋ねのケースは、仮差し押さえの申し立てをした際の根拠にもよりますが、特定適格消費者団体に過失、落ち度がない場合は、国民生活センターは担保を取り戻すことができるため、国民生活センターが特定適格消費者団体に支払いを求めることはないと考えられます。
他方で、特定適格消費者団体としては相応の根拠があると考えていたとしても、事業者から提起された損害賠償請求の裁判で特定適格消費者団体に過失、落ち度があるとされた場合には、国民生活センターは担保を取り戻すことができないため、取り戻すことができなかった金額について特定適格消費者団体に支払いを求めることになるのが原則でございます。
以上が、四つのケースについてのお答えでございます。
■西村(智)委員
今回の法律のベースとなります消費者裁判特例法、これに基づく特定適格消費者団体の訴訟は、そもそもが公益的な活動であります。私、先ほども申し上げたような事例で、相手方事業者が損害賠償請求を行ったために、立担保をしたセンターが損失をこうむった場合、特定適格消費者団体の主張が正当であったと認められた、もしくは、特定適格消費者団体の訴訟提起に重大な過失があったとは認められないにもかかわらず、特定適格消費者団体に対して厳格に求償権が行使されるとした場合、これは、やはり特定適格消費者団体が仮差し押さえの申し立てにちゅうちょを覚える可能性があるのではないか、このように考えますけれども、大臣、どのような見解ですか。
■松本国務大臣
さまざまな案件に対応していかなければならないと思いますが、特定適格消費者団体が悪質な事案に対して仮差し押さえにちゅうちょするということなどがないように、事情によっては、その後の対応ということについて、長期分割あるいは支払い猶予といったようなことも含めて、柔軟な対応ということも必要だというふうに受けとめております。
■西村(智)委員
今、少し踏み込んで御答弁もいただきましたけれども、やはり、仮差し押さえの申し立てに特定適格消費者団体がちゅうちょすることがないように、一定の場合にはセンターによる求償権の行使を猶予ないし免除する、こうした適切な支援策が必要ではないか、これは検討会報告にも提起されている事柄でありますので、ぜひここは、法改正後ということになりましょうけれども、必要ではないかという立場から検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
■松本国務大臣
これは事情によってということしか今申し上げることができないのでありますが、状況によりましては長期分割あるいは支払い猶予によって対応するということとともに、求償の減免の余地も残すなど、柔軟な運用を検討していくということが大変重要だと思います。
■西村(智)委員
せっかくいい御答弁をいただいたのに、肝心の減免の余地があるというところが声が小さくなってしまいましたけれども、大臣、そこははっきりと自信を持って答弁していただいて、今後の検討にぜひつなげていただきたいと思います。
それでは、最後の時間を使いまして、適格消費者団体の認定有効期間の問題について質問させていただきます。
適格消費者団体の認定有効期間、これは6年となっておりますけれども、残念ながら、特定適格消費者団体の認定は3年ごとということになっております。結局、3年ごとということになりますと、特定認定を有する団体にとっては、6年ではなくて3年ごとの事務手続、更新事務ということになりますので、残念ながら事務負担軽減ということにはならない。そういう意味では、今回の法改正の趣旨は残念ながら満たされないということであります。
特定認定を受けているということは、前提として適格消費者団体の認定を受けているということでありますので、特定適格消費者団体の認定有効期間についても、今後、6年というふうに同じように延ばしていく必要があるというふうに考えますが、大臣、いかがですか。
■松本国務大臣
特定適格消費者団体は、特定適格消費者団体としての認定と適格消費者団体としての認定の両方を受ける必要があります。よって、特定認定を受けている適格消費者団体として、そのうちの一方の更新が3年ごとから6年ごとになるということは、事務の負担の軽減ということになるのではないでしょうか。
特定適格消費者団体による被害回復の制度は、昨年、平成28年の10月に運用を開始したばかりでございます。制度の担い手であります特定適格消費者団体は一団体であり、認定の有効期間を更新した団体は今存在をしておりません。また、被害回復のための裁判は1件も起こされていないという状況でございます。
したがって、この特定適格消費者団体の認定につきましては、現時点ではその有効期間を延長するのは適当ではなく、今後の制度の運用状況を踏まえて、必要に応じて検討してまいりたいと思います。
■西村(智)委員
平成28年の10月から施行されている法律です。それ以前のケースについては、これはこの対象にならないということですから、件数がゼロ件だというのも、それは大臣が言ってみてもしようがない。それは、これからいろいろなケースが出てきましょうし、また、それまで、法施行の前までいろいろな問題があってようやくスタートしたこの制度ですから、みんなでつくって活用していきましょうということだと思うんですね。
もう一つ、ちょっと踏み込んで伺いますが、今回の制度の運用開始から10年を経て、適格消費者団体の認定有効期間の延長ということが初めて議論されています。10年たっております。
特定認定は適格消費者団体の認定の上に成り立っている、これはもう改めて言うまでもありませんが、団体としての安定した活動が前提となっていることから、10年も見直しに時間をかける必要はなかったというふうに私は思います。もっと早く延長の検討をするべきではかったか、このようにするべきではないかというふうに考えますが、いかがですか。
■松本国務大臣
適格消費者団体による差しとめ請求の制度は、差しとめ請求権の主体となるものとして適格消費者団体に特別かつ重大な権限を与えたものでございまして、その認定及び更新に当たりましては慎重に適格性を審査する必要がありました。
この制度は、平成19年に運用を開始いたしました。これまでの間、適格消費者団体は認定の有効期間の更新を繰り返しております。また、400件以上の差しとめ請求がなされ、そのうち46件の差しとめ請求訴訟が提起されておりますが、濫訴という事態は生じていないと認識をしております。
このように、適格消費者団体による差しとめ請求の制度は安定的に運用されていると考えられるため、今般、認定の有効期間を延長することとしたものでございます。
特定適格消費者団体の認定につきましては、現時点ではその有効期間を延長するのは適当ではありませんが、特定認定は適格消費者団体の認定の上に成り立っているということも勘案し、今後の制度の運用を踏まえまして、必要な時期に有効期間の延長について検討してまいりたいと思います。
■西村(智)委員
検討していただく、必要な時期にという御答弁をいただきましたので、そこで納得をしたいと思いますが、濫訴なんて起きるわけないんですよ、この制度の中で。
この消費者行政というのは、消費者庁の皆さんももちろん頑張っておられるけれども、各地で頑張っておられる民間団体の皆さん、この力の上に成り立っているわけですので、ぜひそこのところを踏まえていただいて、適格消費者団体も全国的にはまだ数も少ないです、地域的なばらつきもあります、こういったことをぜひ解消するために消費者庁としても一生懸命努力をしていただいて、しっかりと消費者の立場に立った行政運営が行われるように要望いたしまして、私の質問を終わります。