■西村(智)委員
西村智奈美です。きょうは、まず、B型肝炎特措法についての質疑ということで、平成23年6月の基本合意によってスタートしたこの給付金の仕組みでありますけれども、その当時推計されていた給付金支給対象者数は約45万人でありました。実際の患者さんが4.5万人、無症候性キャリアの方が約40万人というふうになっていたわけですけれども、平成28年1月末の時点での提訴者数は約3万人、うち和解者が約2万人と、推計を大きく下回っているという現状にあります。
これはやはり、大変大きな問題といいましょうか課題、今回、5年を踏まえて延長されるに当たっても、大きな数の相違といいましょうか違いがあるというふうに思います。
一点、まず確認をさせていただきたいのが、この平成23年の6月の基本合意のときに、慢性肝炎、軽度肝硬変、肝がん、重度肝硬変、死亡、それぞれ何人というふうに推計をされていたか、そして、この五年間の提訴者数はそれぞれ何人だったか、これを伺いたいと思います。
■塩崎国務大臣
平成23年に基本合意書を締結した際の和解対象となる方の推計値でございますが、まず慢性肝炎の方は37000人、軽度の肝硬変の方は2300人、重度の肝硬変または肝がんの方は2300人、お亡くなりになられた方は4500人ということで、合計4万6100人と推計をしておりました。
それに対して、平成27年8月末時点で提訴をされた方につきましては、まず慢性肝炎の方は9300人、軽度の肝硬変の方は1100人、重度の肝硬変または肝がんの方は2800人、亡くなられた方あるいは御遺族の方は1100人で、合計1万4300人となっております。
■西村(智)委員
数字を挙げていただいて、やはり、重度肝硬変それから肝がんの方については、ほぼ推計どおりといいましょうか、推計を上回る数字でありましたけれども、それ以外の方々については、推計よりも少ない数字、極めて少ない数字と言っていいかというふうに思います。
この理由を厚生労働省としてどういうふうに分析をしているか。無症候性キャリアの方であれば、先ほど井坂委員が御指摘になられた、例えば、血液検査なりそういったものが行われていないということが考えられるわけですけれども、実際に症状が出ている方々が提訴をされていないということについては、何らかの理由でちゅうちょされているのではないかというふうに思うんですけれども、この点についてどういうふうに分析をしておられますか。
■塩崎国務大臣
確かに、症状が、あるいは自覚がありながら提訴をされないという方がおられるという御指摘でございます。
推計と実際に提訴された方の差、比較をいたしますと、42万人となっておりますけれども、その理由としては、まず、まだ制度が十分知られていないということ、それから、訴訟の手続が煩雑であると感じておられること、そもそも、今の大きな母数でいけば、自分が感染者であると気づいていらっしゃらないことなどが考えられるわけでありますけれども、御指摘のとおり、国を相手に提訴すること自体に抵抗感があるというようなこともお聞きをしているわけであります。
やはり、提訴をしていただくためには、引き続き、先ほど申し上げたとおり、地方自治体、医療機関の御協力を得ながら、給付金制度の周知の徹底、そして広報、それから、提訴を検討中の方へのきめ細やかな相談支援を保健所や検査を実施する医療機関において行っていただく、あるいは、肝炎ウイルス検査の周知自体もやはり大事かなというふうに思っているわけでございまして、こういったことを積極的にやっていきたいと思っております。
自覚されているのに提訴されていないということについては、先ほど申し上げたように、制度を御存じでない方も中にはおられると思いますが、踏み出すには手続が煩雑と感じていらっしゃる方々が多いかなというふうに思っているところでございます。
■西村(智)委員
制度があるにもかかわらず、大変残念な状況であります。
基本合意のときには、5年間で約1.1兆円の給付金が必要になるだろうと。このときには5年間での提訴率は100%であろうというふうにも見込んでいた中での推計額でありましたけれども、きょう資料としておつけしておりますが、給付金基金の歳入歳出実績、なかなか歳入もまた歳出も伸びていっておらないという状況ですので、いかにきちんとこの基金がその目的を果たすように機能していくのか、いかせるのか、これはやはり厚生労働省として極めて大きな責任を負っていると私は思います。
ウイルス検査を国民の半分が受けておられないという状況も、これまた問題だというふうに思いますし、また、予算の執行状況を見ますと、肝炎対策予算それから給付金、いずれも余り芳しいというふうには言えません。本当にこの給付金の制度が必要な人が、しかるべき人がきちんと提訴をして、十分な司法救済を受けていくということが私は必要だというふうに思います。
そのために、今後さらにどういう措置を厚生労働省としてとっていくのか。特に、今後、時間の経過とともにますます提訴が困難になってくるということが予想されます。提訴要件として、母親、兄弟の血液検査が必要だということもありますので、さらに困難になっていくという状況の中で、ここは本当に真剣に取り組んでいかなければいけないと思いますけれども、大臣の取り組みに向けての考え方を改めて伺いたいと思います。
■塩崎国務大臣
お配りいただいた資料にもありますように、確かに、予算と給付金のいずれも芳しくないという御指摘をいただきましたが、肝炎は御本人の自覚のないままに感染をしていることもございますが、この早期発見、早期治療につなげるとともに、給付金の対象者を早期かつ確実に給付金に結びつけるために、全ての国民が少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受けることができるように、検査の勧奨それから検査体制の整備ということを進めることが重要だということは先ほど来申し上げているとおりでございます。
特に、給付金を受けるための要件というのが幾つかありますけれども、母親などの検査結果が重要でありますけれども、こうした証拠が散逸しないうちにできるだけ早く感染を自覚し、提訴していただくことが重要であるわけでございますが、母子感染でないことを示していただくといったようなことが要件としてあるわけでございますので、こういったことをクリアしていただかなきゃいけないというのが一つあるのかなと思います。
このため、給付金の対象世代を含めて、広く国民に対して、先ほど申し上げた「知って、肝炎プロジェクト」を杉さんたちにお願いして、できる限り必要性を広く知っていただくという努力はしているわけでございますし、また、都道府県、市町村における医療機関への検査の委託の活用で、できるだけ国民の身近なところでの検査が可能になるように、利便性を上げて、検査体制を整備するということもあわせ大事なんだろうなというふうに思うわけでありますけれども、何よりも、やはり認識を持っていただくことが大事ではないかというふうに思いますので、さらにまた努力をしていかなければならないというふうに思います。
■西村(智)委員
これまで以上にこの救済制度の周知徹底を図っていただいて、なおかつ、やはり原告団とも協力していただくことが必要になろうと思います。特に、国を相手に提訴するというのは、これはやはり心理的には非常にハードルの高いことだと思いますので、ぜひそういう意味で、救済漏れがないように、努力をもう一段高くしていただきますように要請をしたいというふうに思います。
それで、きょうは熊本地震についても私は質問したいと思っております。
この厚生労働委員会でも、お亡くなりになられた方々への黙祷もささげさせていただきました。
既に我が党としても対策本部を立ち上げ、現地の被災状況の確認、どのような支援が可能なのかということについて現地調査も行っているところでありますけれども、政府としても、厚生労働省としても対応をしていただいているということ、ありがたく思っております。
厚生労働省からは、まず最初に現地に派遣されたのは水道の調査のための職員であった、熊本市、益城町に派遣をしたということですけれども、その後、厚生労働省現地対策本部が県庁内に設置されたということで、そこに吸収されるという形になったんでしょうか。
それで、先日、重徳議員がこの委員会で、現地の市町村にやはり厚生労働省の職員を派遣するべきではないかという趣旨の質問をされました。私も実はそのように思っております。
今回、厚生労働省の現地対策本部が設置されたということですけれども、どういう目的で、どのくらい派遣しているのか。また、内閣府で設置しております被災者支援チーム、ここにも厚生労働省から人員が出ているというふうに思いますけれども、それとの関係性と申しましょうか、実際の権限がどのような違いがあるのかということについて、まず伺いたいと思います。
■塩崎国務大臣
今、政府として、先般、被災者生活支援チームを送りましたが、厚生労働省からは2人、現地で活動をしております。4月20日から2名の職員を大津町というところと西原村というところに派遣をしておりまして、これは政府全体としてやっておりますので、私どもが選んで市町村に行っているわけではなくて、これは割り振りで、当番のような形で、厚労省からの2人はこの二つのところに行くように、こういうことで、所管分野にかかわらず現場のニーズをしっかりと把握して、被災者生活支援チーム、一つの情報としてまとめて、国との間の連絡役を果たしているわけでございます。
そのほかに、現地対策本部を、厚生労働省は、最初は労働局に置きましたが、今は、早い段階で県庁に移しまして、そちらに人を置いているわけでございます。
今般の地震において、益城町を中心に多くの断水が発生をしておりまして、水道に限って申し上げれば、重要なインフラである水道を何とか早く復旧させようということで、水道課から調査職員を派遣しておりまして、熊本市が一番大きな断水地帯でありました、そこと益城町など被災市町村を巡回訪問しながら現場の状況を把握して、復旧支援につなげるための調査業務を行っております。
そういうことで、二つ、私ども独自に送っているものと、それから、被災者生活支援チームが政府として、その指揮下のもとで厚生労働省の者も2名働いているということでございます。
■西村(智)委員
ぜひ、私からの要望は、女性の職員からも現地に入っていただければ、より女性の視点からの避難生活のサポートができるのではないかと考えておりますので、この点、ぜひお願いしたいと思います。現地に行くのもなかなか体力的にきついところもありましょうけれども、前回の中越地震それから東日本大震災のときも、やはり避難所に入っているところから、そこの目線で改善を図っていくということができますので、既に取り組みをされているということであればそれはそれで結構なんですけれども、ぜひそこは追加でお願いをしたいというふうに思っております。
それで、きょうは内閣府からも来ていただいております。実は、松本副大臣から答弁をいただければと思っておったんですけれども、きょうは四委員会で松本副大臣、引っ張りだこということで、私の方は政府参考人にお越しをいただきました。
福祉避難所の状況について伺おうと思ったんです。災害弱者、恐らく、10万人を超える避難者の方がいらっしゃるということですと、見積もれば数千人から1万人に近い障害をお持ちの方々も避難生活を送っておられると思います。そういった方々の状況がどうなっているのか伺おうと思ったんですけれども、現時点では現場の状況もなかなか把握できないということで答弁が伺えないということなんですが、避難生活の基本となる考え方について、私はぜひ伺いたいと思います。
きょう資料でおつけしている2枚目の右側、新聞記事でございますが、ここに、松本副大臣が蒲島知事に、15日のうち、つまり前震のあった翌日の15日に、屋外に避難している人たちを全員屋内に避難させるように求めた。求めたところ、蒲島知事の方からは、それは実態をわかっていないということで不快感を示されたという報道がございました。
まず伺いたいのは、この15日中の屋内避難を松本副大臣が蒲島知事に要請をした、記事には力説したというふうに書いてありますけれども、この要請は、松本副大臣の独自判断によるものなのか、それともどこかからの指示であったのか、それを確認したいと思います。
■中村政府参考人
お答えいたします。
14日夜の地震発生後、役場駐車場など、屋外で毛布にくるまって過ごす方々が多く見られました。このため、朝晩は冷え込む状況でありましたので、屋内の安全な避難場所を十分に確保し、安心して休んでいただきたいとの思いから、屋内避難を強く訴えたというふうに承知をいたしております。
このような思い自体は、担当職員の多くも共有していたのではないかと思っております。
■西村(智)委員
どなたからの指示ですか。
■中村政府参考人
お答えいたします。
私どもといたしましては、松本副大臣のそういった先ほど申し上げたような思いから、屋内避難を訴えたということと承知をいたしております。
■西村(智)委員
本当に副大臣がそういう思いで一人で判断して屋内避難を要請したんですか。
この記事によると、河野防災担当大臣が今日中に青空避難所というのは解消してくれと強く言ったから、松本副大臣がそのように力説をしたというふうにこの記事には書かれていますし、それから、その日の、15日のお昼の報道で、総理が屋外の避難者をきょうじゅうに屋内の避難所に入れるよう指示したという報道が、これはNHKの報道ですけれども、全国に流れています。総理の指示だったんじゃないですか。
■中村政府参考人
お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、松本副大臣がそのような行動をとったことについては、副大臣の思いからというふうに承知をいたしております。
■西村(智)委員
認められません、今の答弁は。松本副大臣を呼べないから、ちゃんと答弁できる人に出てきてもらってくださいと言って、あなたに来てもらったんです。
もう一回答えてください。誰の指示ですか。
■中村政府参考人
お答えいたします。
何度も繰り返しで恐縮でございますけれども、副大臣の思いというふうに承知をいたしております。
■西村(智)委員
委員長、これは、答弁、全然だめですので、理事会で協議をしていただくか、ないしは、内閣府からきちんと回答が出るまで、私、待たせていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
■渡辺委員長
質問を続けてください。
■西村(智)委員
いや、全然答弁になっていないですよ。どなたかからの指示があったんじゃないかということで私は言っているんですよ。
報道では、河野大臣からの指示、そして、そのお昼の段階で安倍総理からの指示があって、松本副大臣が、その日のうちの屋内での避難を蒲島知事に要請したと。きれいに符合するわけですよね。それを、松本副大臣単体の思いでやったということは、これはあり得ない話だと思います。
それで、万が一、松本副大臣が自分の思いで判断したんだ、そして、そのことを要請したんだとしたら、被災者に全く寄り添っていないということじゃないですか。
地震が起きたときに、何が一番怖いか。しかも、あの震度7ですよ。震度7と聞いたとき、私も身震いしました。余震も続いているということであれば、やはり屋根のあるところで寝るのは怖い。そういうふうに、ほんの少し想像力を働かせれば、そして、被災者に寄り添う態度、姿勢があれば、そんな発言なんて出てくるわけないと思ったんですよ。
だけれども、私、この報道を見たときに、お昼、テレビのニュースを見ていました。安倍総理がそういうふうに言ったというので、もしかしたら地元の自治体からそういう要請があったんだろうかと、ちょっと甘く考えてしまったんです。私、そのときの自分の判断を今は後悔しています、そのときすぐに政府の方に確認をすればよかったと。
実際に私も中越地震を経験していますし、東日本大震災のときも、東京にいて、皆さんと同じように揺れも感じましたから、いかに余震が怖いかというのは、本当に身をもって体験しているという中で、とてもこれは、被災者に寄り添った判断であった、政府の対応であったというふうには言えない。
屋外に避難している人たちがいるという状況は政府にとって不都合だから、それをなくそうという、言ってみれば、パフォーマンス的な発想で指示を出したんじゃないかというふうに、私は本当に懸念をしております。そこは強く申し上げたい。改めて、松本副大臣にも、これは機会があったら質問したいと思います。
もう一つ、松本副大臣は、テレビ会議で河野大臣に対して食べ物を要請したそうです。その是非について、私は今ここでは問いません。
ですが、安倍総理が、やはり17日の午前11時過ぎに、記者団に対してこういうふうに述べています。今日中には70万食を届ける、被災者のお一人お一人に必要な食料、水が届くようにするので、どうか安心をいただきたいというふうに述べられました。ああ、よかったなと、私もそれを見て思いました。70万食が避難所にいる避難者の皆さんに、お一人お一人に直接届くということであれば、それはよかったなと思いましたけれども、実際は、スーパーやコンビニの店頭に品物が並ぶという話だったんですね。
避難所で暮らしている皆さんは、食べ物についても大変な御苦労をされておられます。食物アレルギーのある方、離乳食が必要な方、低たんぱく食でないと病気が悪化する方、あるいは高齢者、なかなかかたいものが食べられないという方、そういういろいろな考え方がある中で、内閣府は、被災者の皆さんへの食事の提供のあり方について、基本的にどういうふうにお考えになっているんですか。
■中村政府参考人
お答えいたします。
避難所における食事というものは、避難生活の健康を維持するに当たって、重要なことの一つと考えております。
このため、食事の提供に当たりましては、発災当初はやむを得ない面もあるかもしれませんけれども、避難期間の経過に伴い、メニューの多様化、適温食の提供、栄養バランスの確保、高齢者や病弱者、アレルギー、文化、宗教上の理由等について可能な限り配慮することが望ましいと考えておりまして、今般の地震においても、避難されている方々が健康を害することがないように食事の提供に努めていくことが重要と考えております。
この点につきましては、自治体向けの指針にも盛り込んでおりますので、改めて働きかけてまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
時間ですので、終わります。