■西村(智)委員
西村智奈美です。きょうは、私は、保育料の値上がり問題と、保育人材の確保について質問したいと思っています。
まず、塩崎大臣に伺いますが、実は、昨年9月から保育料が実際に大幅に値上がりをした世帯がありました。月2万5千円とか月3万円、保育料が実際に値上がりした世帯がありましたけれども、こういう状況を大臣は御存じでしたか。
■塩崎国務大臣
今、9月というお話でありますけれども、4月というケースもあるというふうに聞いているわけでありますが、保育料が上がったという事例については、子ども・子育て支援新制度の施行に伴って、保育料の算定の基礎となる世帯の課税所得の算定に際して、平成22年の年少扶養控除廃止に関する取り扱いが変更されたことなどが関係しているというふうに考えられておりまして、この変更は、改正前後で保育料に極力影響が出ないよう配慮をしながら行ったわけでございます。
ただし、例えば3人以上子供を有する場合に、保育料の負担が重くなるケースもあり得ると承知をしているところでございます。
■西村(智)委員
そのとおりなんですね。昨年の3月31日に、子ども・子育て支援法施行令に伴いまして通知が出ております。内閣府令ですが、年少扶養控除廃止による調整方法を行うことで、不利益変更が出てくる世帯が出てくるということで、この通知は、経過措置を講じて、経過措置によって判定された階層区分に基づく利用者負担の上限額を、当該支給認定保護者の利用者負担の上限額とすることができると。つまり、何を言っているかといいますと、再計算、再算定をし直して、扶養控除が廃止される前の状態で算定をするというその経過措置をとることができる。その場合には、国の方からも、その経過措置をとっている自治体に対しては支援をしますということだったんです。
ところが、この措置は、夫、妻、子2人の世帯をモデル世帯として設定をされました。ですので、そういった子供2人の世帯につきましては、年少扶養控除廃止前とおおむね同じ程度の保育料となるように、利用者負担額算定の基礎となる市町村民税所得割額が設定されたんですけれども、子供が3人以上の世帯においては負担増となるケースがある、実際にあったということなんです。
どうしてこういうことが起きてしまったんですか。内閣府に伺います。
■高鳥副大臣
西村委員にお答えをいたします。
まず、保育料が上がる要因でございますけれども、毎年9月に保育料が改定されるわけでありますが、過去の収入に基づいて算定をされるため、前年度の収入が上がれば保育料も上がるということがまず一つございます。
そして、今ほどお話がございましたけれども、昨年9月に年少扶養控除のみなし適用を行う経過措置を講ずることをやめた自治体があったということなど、複数の要因が考えられ、その要因ごとに影響の実態について把握することは困難であるわけであります。
年少扶養控除のみなし適用の廃止について申し上げれば、子供が3人以上いる世帯においては負担増となるケースがあり得るものと想定をされたため、市町村の判断により、既に入園している子が卒園するまでの間に限り、年少扶養控除のみなし適用を行う経過措置を講ずることを可能としているところでございます。
■西村(智)委員
一点、今の答弁を伺った上で確認したいのは、今、現に入園している子供たちが卒園するまでの間は経過措置をとることが可能だと。つまり、これから入ってくる子供たちについてはその経過措置の適用はないということで、確認してよろしいですね。
■高鳥副大臣
御指摘のとおりでございます。
■西村(智)委員
つまり、値上がった状態のまま、今いる子供たちが卒園をしていってしまえば、新しく入ってくる子供たちについては全てが新しい算定方式になって、3人以上の子供のいる世帯においては保育料が今のまま大幅に値上がっている自治体が実際にあるということなんです。
これは、昨日いろいろヒアリングを行いました。実際に、どのくらいの自治体で、どのくらいの世帯の皆さんが保育料が上がっているということを把握しているのか。これは、内閣府、きちんと調査をしているでしょうか。
これは、やはり国が、子育て支援は大事だ、環境整備もやりましょうと言っているからには、最低限それくらいはやっていてしかるべきだと思ったんですけれども、この状況、全国的な、経過措置をとっている、とっていない、あるいは値上がりをしている状況ということについては、内閣府は調査をしていますか。
■高鳥副大臣
お答えをいたします。
子ども・子育て支援新制度における保育所等の利用者負担額の算定に当たっての年少扶養控除のみなし適用については、まず、市町村の事務負担が大きいということがございます。そして、年少扶養控除廃止後、一定の期間が経過していること、今後、他の税制改正が行われれば、再計算が相当複雑になる可能性、これらを考慮いたしまして、新制度の実施主体となる市町村の御意見も踏まえつつ、子ども・子育て会議で御議論いただいた上で、廃止することといたしたものでございます。
この廃止に伴う負担増でございますけれども、市町村の判断により、既に入園している子が卒園するまでの間に限り、年少扶養控除等の廃止前の旧税額に基づく利用者負担額を適用する経過措置を講じることを可能としているところでございまして、こうした廃止に至る背景や経緯、経過措置を設けていることを総合的に考慮いたしますと、改めて実態調査を行う必要はないと考えておりますが、多子世帯に係る保育料の問題については、28年度予算におきまして、保育料の軽減として、年収360円未満相当世帯について、多子計算に係る年齢制限を撤廃し、第2子半額、第3子以降無償化を完全実施するとともに、一人親世帯等の保育料軽減、負担軽減として、年収360万円未満相当の一人親世帯への優遇措置として、第1子は半額、第2子以降は無償とすることとしており、所要の経費を計上したところでございます。
■西村(智)委員
今の答弁、とてもびっくりしたんですけれども、自治体の調査を行うつもりはないということですか。そんなことで、子ども・子育てを進めようという内閣府、そして一億総活躍、希望出生率1.8を掲げる安倍政権として、本当にそれでいいと思っているんですか。私は、少なくとも自治体の調査はやるべきだと思います。実際に、今、現に上がっているところがある。
北海道テレビの取材で、子ども・子育て会議の会長の無藤先生へのインタビューがありました。その中で、この第3子の保育料の値上がりについては、子ども・子育て会議では細かいところまでは議論ができなかった、そこまでは承知していなかったというふうに会長みずからがおっしゃっておられました。
また、これも北海道テレビの取材ですけれども、指定都市市長会の会長、林横浜市長も、これは国が責任を持って対応すべきだというふうに述べておられます。実際、政令指定都市の中で、約半数の市がこの問題に対して対応していない。つまり、軽減措置をとっていないとか、あるいは、とっていても、さかのぼって保育料をお返しするということをしていないとか、そういう実態にあるわけですから、ここは少なくとも自治体の調査は最低限やる。
自治事務ですから、それはなかなかやりにくいというふうにもしかしたらおっしゃるかもしれません。ですけれども、やはりここは、子ども・子育て新システムで、本当に苦労に苦労を重ねてスタートした仕組みじゃないですか。こんなおかしな形で保育料が値上がって、第3子以降のお子さんたちに対して保育料が物すごくふえてしまったという状況を本当に放置していいと思いますか。
副大臣、もう一回お答えください。
■高鳥副大臣
お答えをいたします。
先ほど来申し上げているとおり、保育料が上がった要因というのは複数あるわけでございまして、経過措置を取りやめたことによってどれだけ影響を受けた方がおられるかということを、この要因だけで取り出すことは極めて難しいわけでございます。
そして、委員おっしゃったとおり、これは自治体の自治事務ということにされておりますので、内閣府としてはこのことについて調査をする考えはございません。
■西村(智)委員
こんなに無責任な答弁で、私、もうどうしたらいいのかわからないですよ。
保育料が値上がりした要因、確かにそれだけではないと思います。計算の仕方が違うというだけではなくて、それはあるかもしれないけれども、でも、今政府は、幼児教育の無償化を段階的に進めていこうとしているわけですよね。段階的に無償化を進めていこうとしている中で、どうして保育料だけが値上がっちゃうところがあるんですか。こんなの本当に放置していいと思いますか。
年収360万円未満相当の子育て世帯の方々については、確かに平成28年度の予算事業によって、第2子、第3子以降減免される子供たちは出てくると思います。だけれども、世帯年収360万円というと、今大体、世帯年収の中央値が410万円とか420万円ぐらいでしょうから、恐らく、360万といってもほとんどの世帯は対象になってこないのではないか、大多数の世帯は対象になってこないのではないかというふうに思います。
副大臣、もう一回お伺いしますけれども、ここはやはり自治体の調査をやって、でないと、安倍政権が言っていることと実際に行われることが全く逆行しているという、この汚名がこれからも続くことになってしまいます。ぜひ調査はしていただきたい。そのことはもう一回答弁いただけませんか。
■高鳥副大臣
先ほどもお答えしたとおりですけれども、保育料が上がったという要因は複数あるわけでございまして、その点だけで取り出すことは非常に難しいということがございます。
そして、多子世帯への子育て支援、これは、幼児教育無償化の段階的推進ということは方向性は出しておりますので、その中で引き続き検討してまいりたいと思います。
■西村(智)委員
段階的な幼児教育、保育料の減免というのは予算事業なんですね。法律事業ではありません。しかも、今回、社会保障と税の一体改革の中で、当初1兆円だと見込まれていた子育て、保育に係る予算は0.7兆円に削られてしまい、プラス、余分があれば何とか追求して保育の質の確保もやりたいと言っていた0.3兆については、まだ財源が見つかっておりません。つまり、お金は、どこにも安定的な財源としては存在していないんです。
来年度の予算は100億円。この根拠を聞きましたら、何だかよくわからないんですけれども、つかみ金かなというふうに私は思いました。そうすると、来年度以降だって厳しい予算編成になってくるわけでしょう。軽減税率でもう既に1兆円もお金がなくなっちゃう、社会保障のお金がなくなっちゃっているわけですから、ここはやはりきちんと手当てをするということをしないと、さらに多子世帯で保育料が値上がったままだという世帯が皆さんの町にいらっしゃるということになるんですよ。いいんですか、本当にそれで。私は、この点については改めてまた伺っていかなければいけないと思います。
副大臣、きょうは省にお帰りいただいて、調査は何とかするという方向で、加藤大臣の説得もぜひお願いをしたいと思います。
それで、次は、保育人材の確保について伺いたいと思います。
子育て支援員というのをスタートさせるということで伺いました。今年度から事業がスタートして、この子育て支援員の研修が各自治体において始まっているということのようなんですけれども、厚労大臣に伺います。塩崎大臣に伺います。
この研修の実施状況、今はどのような人たちがどういう研修を行っておられるのか、それについて伺います。
■塩崎国務大臣
今先生から御指摘のありました子育て支援員研修、これは、子ども・子育て支援新制度のもとで実施をされます小規模保育それから家庭的保育等において、子供が健やかに成長できる環境や体制が確保できるように、地域の実情とかあるいはニーズに応じて担い手となる人材を確保することを目的として、平成27年度に創設をしたところでございまして、今年度においては、都道府県それから市町村を実施主体として、地域保育コース、それから放課後児童コースなど、子育て支援の内容に応じた各コースの研修が255の自治体において実施をされ、約2万4千人の方々が受講をされる見込みとなっているところでございます。
この子育て支援員研修は、小規模保育等の子育て支援分野の各事業に従事をしている方、それから地域において子育て支援の仕事に関心を持つ方を対象として、子育て経験などを生かして、子育て支援の分野で支援の担い手となっていただけるよう、必要な研修を実施しているところでございます。
引き続き、子育て支援員研修の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
■西村(智)委員
答えていただいていないんですけれども、私は、今どのような人たちがどういう研修を受けていらっしゃるのか、つまり、子育て支援員として活躍されると期待される人たちはどのくらいの固まりでどのくらいいらっしゃるのか、それについて、今年度からスタートしている事業ですから、もう今年度もあと1カ月で終わりです、そろそろ把握していらっしゃるんじゃないか。
これは、政府の産業競争力会議で発案がされたのは、もう今から約2年前。閣議決定されて、ここで、これもどうかと思いますけれども、育児経験が豊富な主婦等が活躍できるようにということでスタートさせたこの子育て支援員の研修制度でありますので、そろそろ姿が見えてきていないとおかしいんじゃないかと思いますが、どうですか。
■塩崎国務大臣
先ほど申し上げたように、子育て経験などを持っていらっしゃる方で御関心のある方が応募してきてくださっているというふうに聞いておりまして、多様なバックグラウンドの方々がおられるというふうに聞いております。
そういう方々が全国で約2万4千人、255の自治体におられて、研修を受けつつあるということだというふうに聞いておるところでございます。
■西村(智)委員
大臣、これで本当に保育人材の確保につながるというふうにお考えでしょうか。
私は、幾つかのところ、ヒアリングをしてみたんですけれども、実は、この研修を自治体が本気でやっているかといいますと、どうも疑わしいところがあります。
今回の子育て支援員の研修、国から2分の1の補助が出ますけれども、2分の1は自治体で負担しなければいけないということで、予算的に厳しいということであったり、あるいはテキストが有料ですとか、いろいろな問題があって、自治体の方は、どうも子育て支援員について、少し、国ほどにはというか、政府ほどには積極的ではないというふうに私は受けとめております。
それから、問題は研修のあり方なんです。
実は、研修を検討する場面に、子育て支援員となって実際にかかわることになる現場の人が入っていない。つまり、現場のことをわからない人たちで研修内容を検討していて、そのもとで研修が行われて、実際に、きょうは資料もおつけしませんでしたけれども、子育て支援員研修の体系というのを見ますと、地域保育コースとか、地域子育て支援コースとか、いろいろありますけれども、この研修は非常に短時間で終わってしまう。
例えば、小規模保育それから家庭的保育、また事業所内保育、ちょっと一時預かり保育はおいておくとしましても、今申し上げた三つの保育の形というのは、言ってみれば、子供たちとすごく濃密な時間を過ごすことになるわけですよね。だけれども、そういった方々も、合計で、基本研修を除いて大体20時間ぐらいの研修を受ければ、すぐ子育て支援員として、今申し上げたような、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育で仕事ができるようになる。しかも、定員内の職員としてカウントをされて仕事ができるようになるということなんです。
こういう制度は、私は実は、余りよろしくないんじゃないか。
つまり、確かに、ファミリー・サポート・センターなどで、ボランティアで、善意で、研修を受けた人が2時間くらい子供と一緒に遊ぶという意味では、これも同じ20時間くらいの研修なんですね、20時間くらいの研修を受けて子育て支援員となって、そしてそういう子供の遊び相手となるというのは、これはあると思うんです。
だけれども、今申し上げたような、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育というのは、言ってみればすごくハードな仕事だと思うんですよ。恐らく、こういうところでは、ゼロ歳児、1歳児、2歳児、こういった子供が多いんだろうというふうに思いますし、はいはいをする子供と、立ち上がって走り回る子供と、同じ施設の中で、しかも余り広くないと思われる施設の中で一緒に預かることになるので、これは例えば普通に年齢別の保育をやっている大きな施設の保育所と比べても、やはり高いスキルが必要になってくる、逆に、もっとそれよりも高いスキルが必要になってくるのではないかというふうに思うんですね。
そういった人たちをつくるこの子育て支援員研修も、本当にこの20時間の研修でいいのでしょうかということが私の質問なのであります。
このような制度設計、私は、ちょっと根本的に間違っているんじゃないか、もう少しばらけさせるとか、目的をきちんと明確にするとか、そういう形にしていくべきではないかというふうに思いますが、大臣の答弁を求めます。
■塩崎国務大臣
もともと、この子育て支援員の制度そのものは、小規模保育とか家庭的保育などにおいて、半分は保育士さんでありますけれども、それに加えて子育て支援員ということで、多様な保育を行おうということだったと思っております。
今、20時間の研修のお話をいただきまして、それで十分なのかということでございますが、当然、保育士の正式な資格をお持ちの方よりは研修の時間は少ないというのはそのとおりでありまして、そもそも、ですから、先ほど申し上げたように、多様な保育のあり方としてこういう形を考え出されたというふうに理解をしているわけでありまして、これで終わりということでは決してなくて、保育士さんを含めて、それぞれまたOJTで学ぶということが大事になってくるわけでございます。
あるいは、小規模保育事業あるいは事業所内の保育事業の一部において、保育を行う者の二分の一以上が保育士であるという最低基準があるわけでございますので、そういった配置基準上の定めを守りながら、保育士とともにチームを組んで、保育の担い手として活躍をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
研修時間20時間で、比較すれば短い、比較すればどころの話じゃないですよ。
保育士になるために、今どのくらいの勉強をされるか、当然、大臣、御存じですよね。きちんとした専門的な知識を持って、実習も出て、そして資格を取って、保育士になって、仕事をされておられるんです。
今、大臣は、20時間で短いかもしれませんがなんておっしゃいましたけれども、短いどころじゃないですよ。短いどころじゃないですよ、20時間。これで、今申し上げた、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育で、実質的には保育士と同様の仕事をしていただくということになるわけですから、これは私はやはり大きな問題だというふうに思います。
何度も申し上げますけれども、私、子育て支援員という制度そのものを否定しているのではありません。もちろん、善意で子供を例えば2時間とか預かる、そういった形はあっていいと思うし、できればそういった地域ぐるみで子供を育てるという形が整っていけば、今保育にまつわるいろいろな課題もそこから解決に向かっていくということは期待はしています。
だけれども、今申し上げたような、実質的に保育士と同じような仕事をする、人を育てる子育て支援員の研修が20時間というのは余りにもおかしいんじゃないですかということを申し上げております。
それで、今回もう一つ気になりましたのは、この子育て支援員の方が研修を受けた後に、実際にどういう形で御自身の職場を見つけていくのだろうかということであります。
東京都の事例を見てみましたら、東京都は、自分たちでは子育て支援員として研修を受けた人たちに対しては仕事のあっせんなどはしない。しないで、ハローワークに行ってくれという話なんですね。ハローワークに行っていただきますと、事業所の皆さんがどういうふうにそういった方々を見るか。これは私も想像の世界でしかありませんけれども、最終的には、やはりそういった子育て支援員の方々、恐らく多くの方が短時間勤務になっていくのではないか。要するに、時間勤務と申しましょうか、フルタイムではなくて時間勤務でということになってくる、パートとか。
そういうことになると、今度心配になってくるのが、その方々も含めた保育現場での労働条件です。これについて大臣はどういうふうに見ていらっしゃいますか。
■塩崎国務大臣
今お話しの、昨年4月から、子育て支援員など一定の研修を受けた方については、小規模保育事業、それから事業所内の保育事業における保育従事者のほかに、保育所等における保育士の補助など、さまざまな保育の現場で御活躍をいただいていくということが期待をされているわけでありまして、勤務形態などは、これらの方が希望する働き方などにより異なってくると考えられるわけでありまして、先ほど申し上げたように、保育士とチームを組んで常勤として働く方も多く出てくるのではないかと考えております。
これらの方々が、保育現場での経験を通じて、保育士資格の取得を目指してキャリアアップしていくことも考えられておりまして、さらなる処遇の向上につながっていくことも期待をされるわけであります。このため、平成27年度の補正予算において拡充をいたしました奨学金制度の活用促進などによって、これらの方々の保育士資格の取得もしっかりと支援をしていかなければならないというふうに考えております。
■西村(智)委員
何か、ぬえみたいな答弁なんですけれども。
つまり、チームで仕事をする、それはそれでいいことだと思いますが、今政府として最優先に取り組んでいかなければいけないのは、保育の質の向上ですよね。
保育の質の向上というのは何であるかということは、これはもうずっと議論になっていますけれども、最終的には、やはり保育士の待遇改善ですよ。
今、全産業平均と比べても11万円も低い保育士の皆さんのお給料、これをしっかりと確保することによって、スキルがあり、専門的な知識もあり、訓練も受けていて、そして、だんだん継続年数がふえてくればそれだけの経験も積み上がってくる、そういう保育人材、そういう保育士さんたちの確保、これを私は最優先に考えなければいけないと思いますし、今、子育て支援員という中で、家庭的保育とか小規模保育、事業所内保育という、言ってみれば少し小さい空間の中で、研修を受けた方々であっても働けるということになっていけば、私は、保育士の待遇改善に向けたインセンティブがやはり弱まってくる、こういうふうに思います。
私は、ですから、今回の子育て支援員の研修の制度、あり方について、もう一回見直してほしいというふうに思っています。
それから、あわせてもう一点伺いたいのは、教員のOBを、内閣府令を改正して、今度、認定こども園で働けるようになる、するということのようなんですけれども、そのことは事実でしょうか。
■高鳥副大臣
お答えをいたします。
保育士が不足している、これは深刻な実態があるわけでありますが、これに対しまして、厚生労働省の保育士等確保対策検討会におきまして、平成27年12月に、保育の担い手確保に向けた緊急的な取りまとめが出されたところでございます。
この取りまとめに基づきまして、まず、保育所において、保育士と近接する職種である幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭の免許を有している方を一定の範囲内で活用できる旨、平成28年2月に、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準が改正されたところでございます。
保育士資格を持つ方が必要になるということは認定こども園でも同様でありまして、保育所との並びにおいて、朝夕の保育教諭の配置の要件の弾力化、それから、小学校教諭免許等の保持者の活用、研修代替要員等の加配人員における保育教諭以外の人員配置の弾力化といった措置を行うべく、認定こども園の基準の改正を予定いたしております。
なお、基準の改正につきましては、平成27年度内に行うべく、現在パブリックコメントを実施しているところでございます。施行日は、平成28年4月1日とする予定でございます。
■西村(智)委員
待機児童を解消し、受け皿拡大が一段落するまでの特例措置ということなんですけれども、私は、これは一度始めてしまったらなかなかやめられない事態になってくるんじゃないかと思います。
政府が今言っている緊急の対応プラン、これで本当に平成29年度末までに50万人分の新たな受け皿を確保できるか、この見通しについて、私は、大変残念ですけれども、怪しいというふうに思っています。そうすると、内閣府令で拡大された、保育士の資格を持っていないけれども認定こども園で働ける人たちをふやすというこの制度、これが、言ってみれば、ずっと継続的に続いていってしまうんじゃないか。このおそれが非常に強いと思うので、いつまでやるのかということについて、ここは明確に答弁をいただきたいと思います。厚労大臣からでしょうか。
■塩崎国務大臣
今の特例の扱いについてのお尋ねがございました。
保育の受け皿整備を進める中で、保育士の有効求人倍率が2倍を超えているような状況でございまして、保育士の確保が難しい状況を踏まえて、先ほど申し上げた、朝夕における保育士配置要件の弾力化などを行うこととしておりますが、待機児童の解消に向けては、待機児童解消加速化プラン、これに基づいて保育の受け皿拡大を進めているところでございまして、今回の特例については、待機児童を解消し、保育士確保が困難な状況の背景にある受け皿拡大が一段落するまでの緊急的、時限的な対応というふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
結局、いつまでにやめるのか、いつまでやるのかということについて、明確な答弁はなかったわけなんです。
最後にもう一回、最初の保育料の問題について、内閣府副大臣と厚労大臣に伺いたいと思います。
私はやはり、これまでの質問の中でも、どうも安倍政権は、一億総活躍とか希望出生率1.8の実現とか言っている割には、保育のこと、保育支援、それから子育て支援については、非常に後ろ向きだ。つまり、保育料が上がっても、それを見過ごすというか無視する。それから、子育て支援員については、やはり、保育の質の充実につながるようにという多くの願いがあるにもかかわらず、それを無視して、とにかく今この急場だけしのごうということで、内閣府令一本で、学校の先生のOBに資格を一時的に与えて保育現場に入ってもらうとか、このように非常に軽んじられているということが私は本当に我慢なりません。
改めて内閣府副大臣と厚労大臣に最後に一点伺いたいのは、やはり、この保育料が上がったという問題は放置できないと思います。実際、今入園している子供たちが経過措置をとられている自治体においても、これから入ってくる子供たちは経過措置の対象外になってしまうということは、これはやはりおかしいというふうに思います。
そういった現実を直視していただいて、来年度以降も、経過措置がとられてきた期間よりも保育料が高くなることがないように、来年度以降というのは再来年度以降もという意味ですが、将来、経過措置がとられていた期間よりも保育料が高くなることがないように、きちんと政府の責任で対応するということをぜひ明言していただきたい。お願いをいたします。
■高鳥副大臣
お答えいたします。
政府といたしましては、委員御指摘の、方向性は決して違っているわけではないと思いますけれども、財源を確保しながら、可能な限り、子育て、また多子世帯における保育料負担軽減について努力をしていきたいと思います。
■塩崎国務大臣
一億総活躍社会づくりの中で、多子世帯への配慮ということは安倍内閣としても優先課題としてやっていることでございますので、引き続き、保育料の負担軽減を含めて配慮してまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
終わりますが、政府がお金がないのよりも、実際に今子育てしている皆さんが大変苦労されているというこの現実の方が重大なんですよ。そのことを私は最後に申し上げて、質問を終わります。