■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。きょうは、雇用保険法等の一部改正案ということで、私は、育児・介護休業法について主に質問させていただこうと思います。
今回の法律、やはり5本の法律が一本に取りまとまっているということは、十分な審議が難しいのではないかなというふうに思うんですね。本来であれば分けて議論するべきであったということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。
それで、育児・介護休業法については、労政審等でもさまざまな議論がなされまして、建議が取りまとめられました。その中において、このように書かれております。
「労働者の仕事と育児の両立に関しては、その困難さが、女性の継続就業及びその活躍を阻害する一因となるとともに、子どもを持ちたいという希望を妨げ、少子化の要因の一つともなっている。」ちょっと途中は省略しますけれども、「とりわけ、パートタイム労働者・派遣労働者等が、育児休業を取得しながら継続就業をしている割合が、正規雇用労働者と比較して低いという状況にあり、」、比較して低いなんという状況ではなくて、これは過日、私が大臣に質問したときに、正規の女性の育児休業取得率がどのくらいで、非正規の方の取得率がどのくらいでというのをお答えいただけなくて、当時の山本副大臣が慌ててレスキューに入ってくださったというときがありましたけれども、とにかく低い。「その中でも有期契約労働者の育児休業取得促進が求められているところである。」と。「加えて」、「男性の育児休業取得率は低く、男性の職場での両立支援制度の利用促進のための取り組みが必要となっている。」これは非常に重要なことだと思います。
我が国は、ILO条約156号、それから勧告も165号と受けておりますね。この中では、「直接的であるか間接的であるかを問わず、婚姻していること又は家族的責任に基づく差別待遇を防止するための措置が採用され及び適用されるべきである。」というふうにも書かれております。つまり、働き方にかかわらず、全ての人たちが仕事と生活、家族的責任との両立を図られなければならないという趣旨であると私は理解をしております。
そこで、一問目、お伺いしたいのは、この育介休法は、雇用している労働者のみならず、雇用しようとする労働者も対象とすること。したがって、募集、採用段階での差別からの保護も含むというふうにすべきだと考えますけれども、見解を伺います。
■塩崎国務大臣
今、西村委員からILO百五十六号条約についてお触れがございました。
これは、1995年に日本も批准をして、御指摘のとおりでありますが、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、イタリアなどはまだ批准をしていないようでありますけれども、今お話があったとおり、家族的責任を有する男女の労働者についての条約ということでございます。
そこで、今お尋ねでございますけれども、育児・介護休業法についてお尋ねがございました。
基本的に、この法律は、育児休業そして介護休業など、育児・介護休業法の制度の利用を通じて労働者が仕事と育児や介護の両立を図ることのできる環境を確保することを目指しているわけでありまして、このため、育児・介護休業法において、労働者がこれらの制度を確実に利用できるように、育児休業の取得等を理由とする解雇、降格など不利益取り扱いの禁止が定められているわけであります。
一方で、今お話がございました、雇用の手前で、つまり募集とか採用とかそういう段階のことでございますが、労働契約締結前の雇用関係がない段階でございますけれども、そしてまた、事業主には採用の自由が存在しているということを考えてみますと、不利益取り扱いの対象とはしていないというふうに理解をしております。
一億総活躍社会を目指す中で、子育てをしながら働きやすい環境の整備をしていくことは、当然、大変重要な課題でありまして、今般の法改正でも、いわゆるマタハラの防止措置の義務づけ等を盛り込んでいるところでもありまして、今後とも、妊娠、出産、子育て等を経ても働きやすい環境の整備に全力で取り組んでいかなければならないというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
今の話は、やはり、「私活躍出来ねーじゃねーか。」ということにつながってくるんじゃないですか。
一億総活躍というのは、これから働こうとする人も、それから、これから子供が生まれようとする人も、実際に今そのような状況で働き続けている人も、全ての人たちが仕事と家族的責任を両立できるようにしなさいというのが、このILO156号、それから165号勧告、ここが求めていることなんですよ。今の話をそれは対象外だというふうに言ってしまったら、これはまた一億総活躍とは逆行するということになると私は思います。
ですので、今の話は、これ以上大臣に聞いても答えは返ってこないと思いますので、答弁は求めませんけれども、ぜひこれは今後の課題にしてもらいたい。一億総活躍という看板を掲げるんだったらなおさらのことです。そこは強く申し上げたいと思います。
それで、次の質問なんですけれども、育介休法では、権利行使を理由とする不利益禁止と家族的責任を有する労働者に対する配置への配慮、これを求めております。
私は、ここはもう一歩進めて、家族的責任を理由とする差別や不利益を、事実行為、これはハラスメントを含めて、禁止する方向に進めていくべきではないかというふうに考えております。理由は繰り返し申し上げませんけれども、条約がそのことを日本政府に求めているからであります。ぜひその方向で、この育介休法というのを、雇用継続が目的であるというところからもう一段上に上げて方向性を見出せるように検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
■塩崎国務大臣
先生がおっしゃっておられるILOの条約に関連をして今の日本の不利益取り扱いに関する規定ぶりというのを見てみますと、おっしゃるように、特に雇用関係に入る前の、先ほどお話しのように、そこの規定ぶりについては規定がないというところが幾つかありますし、また、雇用関係に入った後も、婚姻あるいは家族的責任を理由とする差別の禁止というのがない。ですから、小さい子がいるから降格させるとか、この類いのことについての禁止規定がないということがございます。
仕事と家庭の両立、確かに一億総活躍社会づくりには不可欠のことでございまして、私どもはそれなりに全力で取り組んでいるわけでありますけれども、現在は、御指摘をいただいたような、家族的責任を有することを理由とする差別の禁止、あるいは不利益な事実行為に対する禁止によってではなくて、育児・介護休業法に定める制度を労働者に確実に利用できるようにすることによって仕事と家庭の両立の実現を図るというのが今の政府のアプローチで参っているわけでございます。
御指摘のような御議論があることはよく承知をしているところでございまして、先生がそれを強くプッシュしていることもお聞きをしておりますけれども、問題は、労政審における議論も含めて、これが大きなコンセンサスに今なっているかというと、まだそういうところまで行っておらずに、今回もこういう形の法改正をお願いしているわけでございますけれども、この問題に今御指摘をいただいたことについても引き続き議論を行っていくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
大臣も、この法律の制度的な限界、それから、それが日本の今の雇用慣行から生じていることをお認めになった答弁だと私は思いました。
実際、今現場で何が起きているか。今回、有期契約の方々も育児休業を取得できるということになりましたけれども、私は、これによってどのくらい進むのか、期待も半分、それから心配も半分、両方あるんですね。
実際、日本の雇用慣行でいえば、やはり、もう何度も申し上げますけれども、性別役割分業の中で、男性が長時間ばりばり働いて、それから女性の方は家事や育児や介護を担う。しかも、そこに加えて女性の活躍促進ですから、それに加えて、また働けということになりますよね。そうすると、もう本当に大変な言ってみれば家族的責任がかかってくる。
しかも、働けと言われた女性たちにどのような雇用環境が待ち受けているかといえば、やはり、例えば、一旦リタイアしてしまうと正規の職というのはなかなか難しいですよ。短期間のつなぎで契約とかあるいは派遣とかいうことにならざるを得ない。そしてそこで、事業主の方からは、何かあれば、機会があれば、ちょっとかえたいということで人員整理の対象にすぐなってしまうということがあることが問題で、今回の育児・介護休業法、私は、先に申し上げますと、評価する面はそれはあります。だけれども、もう一歩進めて、雇用の継続、今現に雇用が継続されている人たちの雇用の継続を目的とするというところからもうちょっと広げてもらって、さっき大臣もおっしゃいました、家族的に責任を有する人たちが仕事との両立がきちんと図れるようにという、そういう意味での対象を拡大するという方向に向けて議論をぜひ始めていただきたい。
その点については、大臣、いかがですか。もう一度答弁ください。
■塩崎国務大臣
今、いわゆる雇用の継続を旨とする制度から一歩踏み込め、こういう御指摘をいただいたというふうに思います。
大変申しわけございませんけれども、繰り返しになりますが、この育児・介護休業法は、育児休業等の制度を設けるべきことを定めることによって、育児や介護を行うことにより雇用が中断されることにならないように、労働者の雇用の継続を図り、これによって労働者の仕事と育児や介護の両立を図ることを目的としているという体系でつくられた法律でございます。
これは実は、かつて西村先生と議論した際に、例えば里親とか、そういう関係の親子、あるいは親子に準ずる場合のことについても、いろいろ、今はやはり雇用継続ということで話が組み立てられているということもありまして、なかなかうまくいかないということで、これは根本的に、根っこから少し考え直さなきゃいけない部分もあるんだろうと私は思っていますということを申し上げたことを記憶するわけであります。
育児・介護休業法の今申し上げたような趣旨を変更するということは、さっき申し上げたように、この育児・介護休業法の言ってみれば法的組み立ての根幹にかかわる議論でございまして、もちろん、それを変えようということは十分選択肢としてあるわけでありますが、そういう意味では、国会の中あるいは社会のコンセンサスを得ていくということが大事でございますので、労政審でそのような合意が得られるような形に持っていくとするならば、さらに議論を深めるということが大事なのかな、そんなふうに思うところでございます。
なお、例えば有期契約労働者の育児休業取得要件の見直しについて、育児休業制度は雇用の継続を図るための制度であるという趣旨を今回はやはり維持しながら、その中で可能な限り要件緩和をするということになったわけでありまして、育児休業の取得等を理由とする事業主による不利益取り扱いの禁止に加えて、上司、同僚から行われる嫌がらせ等についても防止措置義務というのを新たに設けるという形で、現行の法律の考え方の範囲内で可能な限りの制度見直しを行っておりまして、これらの規定を通じて、仕事と育児や介護の両立ができるような環境整備に最大限の努力をしてまいりたいというふうに思うところでございます。
■西村(智)委員
のらりくらりの答弁なんですね。
派遣や有期の方々、出産して職を失っている方はやはり多いです。現行法ではとれないことになっていますので、これから改正してとれる人が一人でも二人でも出てくればいいというふうに思いますけれども、実際に職を失っている、職を失っているから子供は預けられない、これは保活の話もありますけれども、子供を預けられない、預けられないから働けない、こういうジレンマ。何と言ったらいいんでしょう、なかなか脱することのできないアリ地獄のような状態ですね、そこに今あるんだという実態を、大臣、ここは、直視をすれば、今のようなのらりくらりではなくて、きちんとそこは、目的含めてもう一段進めて議論をしますという答えが返ってきて私はしかるべきだというふうに思います。
それで、ここで次の質問は、建議に、子育て世帯のことについて、延長保育等の子育てサービスの充実を図っていくというふうに記載をされているところがございます。
それは、「育児のための所定労働時間の短縮措置等の対象となる子の年齢の引き上げについて」というところなんですけれども、まずは「保育サービスの充実を図っていくことが重要である。」ということなんですけれども、そのためにも、やはり先ほどのつながりもありますが、待機児童の実態、それから保活の実態、これはやはりきちんと調査をしておく必要があるということで、大臣もこれは調査をするというふうに答弁をされました。
現状で、どういう方法によって、どういう人たちを対象に調査をすることになっているのか、それをお答えください。
■塩崎国務大臣
前回のこの委員会の議論でも、特に保活の調査について申し上げましたけれども、それ以外にもいろいろ調査すべきことがあるということだと思います。
保育行政を進めるに当たっては、やはり利用者のニーズというもの、それから、一方で、これは多くは市町村が運営をしているわけでありますけれども、市町村がつかさどっている、あるいはみずから運営をしている、そういうところの実情というのを的確に把握していかなければならないと思っています。
このため、まず、これは、保育園などの利用に当たっての難しさ、困っていらっしゃること、改善提案等々、国民の声を幅広くいただけるように、私ども厚生労働省のホームページに近々そういうコーナーを設けて、意見募集をぜひお願いしたいというふうに考えております。
それから、いわゆる保活、例えば、育児休業を早目に切り上げて比較的入所しやすいゼロ歳児で入所をする、あるいは、ポイントを上げるために認可外の保育園に入所したりするという保活の実態調査につきましては、この間は山尾先生から、サンプル調査でもいいからやるべし、こういうことで、やりますということを申し上げたわけであります。
今、どういう調査の手法、あるいは対象者、また、お尋ねする項目、この詳細を鋭意詰めているところでございまして、そう時間を置かずに保活についての実態調査も行ってまいりたいというふうに考えております。
それから、さっき申し上げた、市町村がいろいろ情報とか意見を持っておられるわけでありまして、また、逆に提案をしていただけるかもわからないということもあって、普通は都道府県を通じていろいろやっていますが、市町村から直接にいろいろな御意見あるいは情報をいただけるような特別のメールアドレスを開設しようということも決めておりまして、もう近々それもスタートすることになっております。
また、入所決定が、今、三次決定ぐらいまで来ているようでありますけれども、この月末に向けて、今、待機児童の解消に向けて市区町村が鋭意頑張っていただいております。その作業が一段落した四月の早い段階で、各市町村と意見交換の場を設けようというふうに考えておりまして、今後の施策の中で、それらからの上がってくる声をぜひ生かしていきたいというふうに考えております。
■西村(智)委員
私がきょう質問している趣旨は、やはり現行の育休法の目的規定のままだと、どうしても、対象に入らない人たち、それから子供たちが出てくるのではないかということが懸念されるので伺っているわけです。ぜひ実態調査はしっかりと、サンプル調査でも結構です、やっていただきたいと思います。
その上で、保育基準は、より広範囲な子供たちを対象にできるようにすること。また、労働市場への参入を予定している親、つまりこれから働こうとする人たちも保育サービスを受けることができるようにすること、これは条約の勧告にもあります。また、障害のある子供さんを持つ親が、保育サービスを受けられないために待遇を不利益に変更させられたり、雇用を失ったりというふうにしないようにするということを確保すべきである。ここは、ちょっと時間がないので要望だけ、要求だけ申し上げておきます。
それで、さらに深刻なのは、私は一人親世帯だと思っています。
今回、建議においては、この一人親世帯、一人親に対する記述として、このように書かれています。「経済的支援や子育て支援をはじめとする様々なニーズがあることを踏まえ、子の看護休暇の日数や育児休業の期間の延長により対応するのではなく、」「総合的な支援により対応すべき」ということなんですね。
しかし、私は、これではやはり不十分だと思います。一人親の現状は、何か本当に、時間給で働いている方も多いですし、ダブルジョブ、トリプルジョブも少なくありません。実際に私もそのような方からお話を伺ってまいりましたけれども、つまり、そういう人たちというのは、時間給で働いていると、休めば休んだだけ給料が減っちゃうわけですよね。そうすると、これまた別の話になりますけれども、児童扶養手当の現況届を出しに行くのも、これは時間がかかったりしてその分休まなきゃいけないから、その分マイナスが生まれちゃったりしているんですよ。
配偶者の支えなく家族的責任を負担しているわけですから、そういったことを理由として不利益な取り扱いを受けないように、それを禁止すること、それから、自立して生計を営まなければならない立場に配慮して、不合理な労働条件の格差を解消すること、それから、合理的配慮に欠ける雇用上の不利益を受けないということ、こういった権利を私は徹底する必要があるというふうに思います。
これについて、大臣はいかがお考えでしょうか。それこそが一人一人の実態に寄り添った政策だと思いますけれども、いかがですか。
■塩崎国務大臣
今の御指摘は、先ほど冒頭に先生が御指摘になられたILOの条約にも深くかかわることだというふうに思っています。
いわゆる一人親であるがゆえに差別をされるということを禁止するという考え方だというふうにも思えるわけでございますので、そのような考え方について、先ほど申し上げたように、今の法的枠組みの中では禁止規定がないということでございますので、そこをどう考えるのかという問題だろうと思います。
一人親を含めて、今の育児・介護休業法は、労働者が育児休業制度等を確実に利用できるように、育児休業の取得などを理由とする解雇などの不利益取り扱いを禁止するということを規定するということがまず第一点。それから、今回の法案におきまして、先ほども申し上げましたけれども、上司、同僚などが育児休業の取得等を理由として嫌がらせなどを行うことについても、事業主が防止措置を講ずる義務を課すということにいたしました。
今お話がありましたように、先生がこうすべきという、一人親がゆえの差別の禁止ということを法律に書き込めということだろうと思うんですが、一人親であるかないかにかかわらず、家族的な責任を有することを理由とする差別の禁止を現行法上規定するというのは、さっき申し上げたように、私もいろいろ、以前に、いわゆる里親とかそういうところでの問題などを申し上げましたけれども、現行の、今の法律の枠組みでいきますと、今先生が御指摘のような差別禁止の形にはなっていない法的枠組みの中で、それを規定するということに挑戦をしないといけないことになるわけで、それについては、さっき申し上げたように、労政審の中でも、なかなかこれは、意見の一致が見られている、あるいは議論が深められたということも余りまだお聞きをしておりませんので、これは、引き続き、先生の御指摘も踏まえて議論を深めていくということが大事なのではないかというふうに思うところでございます。
■西村(智)委員
均等分科会では、子の看護日数について、延ばすという議論はあったんですね。私は、ぜひ、大臣が論点を明らかにしていただいた上で、均等分科会で議論が進むようにしてもらいたいというふうに思います。
あわせて、仮に子の看護休暇の日数を延ばすということであれば、これはやはり経済的には損失は出てくるわけです。つけ加えての質問ですけれども、そういった家族的な責任、例えば看護のための欠勤、こういったものに対する雇用保険からの所得保障、これは一人親家庭にとっては本当に切実な問題だと思います。大臣はどうお考えですか。
■塩崎国務大臣
雇用保険制度というのは、一定以上の労働時間を超えた働く方を広く被保険者として、保険料を負担する被保険者の失業とかあるいは休業による所得喪失リスクに備えるためのものでありまして、給付の対象とするためには、保険料の負担者を初め、広く社会的なコンセンサスを得ることが必要であるわけであります。
このため、一人親家庭であることに着目をしたいわば福祉的な給付を雇用保険において行うことにつきましては、保険料の負担をされる方などの理解を得ることが必要でありまして、なかなかそれは、そう簡単ではないかもわからないというふうに私どもは考えておりまして、ここは少し、負担という考え方を慎重に検討を深めていくことが大事なのではないかなというふうに思っております。
一人親の就業を通じた自立支援については、昨年12月に、私ども、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクトというのを決めたことはもう御案内のとおりでありますけれども、その中で、子育て、生活に関する内容から就業に関する内容までワンストップで相談できるような体制を整備することから始まって、放課後児童クラブ等の終了後に学習支援等を行うことが可能な居場所づくりなどなど、一人親家庭の就業の促進に全力を挙げようということでいろいろ政策を入れ込んだわけでございます。
法律が、今先生の御指摘になった方向で、議論で結論が出ないとしても、やるべきことは直ちにやっていかなきゃいけないということでございますので、今そのようなことで対処させていただいているということでございます。
■西村(智)委員
言葉も出ませんけれども、ぜひ検討していってもらわなければ困ります。
それで、介護休暇の方に質問を進めますけれども、介護休暇、それから介護の半日休暇の場合、これは所得の保障がないということになっています。このことについては、私は、一人親に対する支援と同様に、今後の検討課題とすべきだというふうに考えますけれども、これについての大臣の考えはいかがでしょうか。
■塩崎国務大臣
介護休業につきまして、この期間中に賃金収入の全部または一部を喪失する状態を放置することは、失業にもつながってしまうので、失業に準じた雇用保険制度上の保険事故と保険の世界では捉えるということで、介護休業給付を雇用保険から給付しているということになっているわけでありまして、例えば、介護休業を5日間など短期間取得をして介護休業給付を受給するということも可能でありますけれども、これは、介護休業が制度上、長期間取得できるものであることによるものでございます。
他方で、介護休暇、この休暇の方は、介護休業とは別に、より短期の休業ニーズに対応するために取得をすることができるものでございます。この介護休暇については、給付の対象とするか否かについては、今回御提案申し上げている中でもお示しをしているように、失業リスクをカバーする雇用保険制度の基本的な考え方、先ほど申し上げたとおりでありますが、これを踏まえて議論され、今回はこのような形にさせていただいているわけでございます。
引き続きそれは検討はすべきでありますけれども、なかなか一筋縄でいくことではないというのが今までの議論の結果ではなかろうかというふうに思っております。
■西村(智)委員
一筋縄ではいかないということはわかった上で質問をしていますので、前向きなのか後ろ向きなのかということを答えていただければ十分なんです。長い答弁は結構です。
それで、有期労働者の育児休業について伺いたいと思います。
今回は、本当に、10倍という開き、格差のある正規、非正規の育児休業の取得率の差、これを、ようやく着目していただいて、1歳6カ月まで雇用の見込みがある場合は要件を満たしますよということになったんですけれども、この期間の満了ということ、あるいは契約の更新の有無ということについて、やはり私は確認をしておかなければいけないことは幾つかあると思います。
それぞれ聞いていると時間がないので、全てまとめて聞かせていただきますけれども、要は、こういう場合は育休の取得の要件を満たしているという判断でよろしいかということで、三つ申し上げます。
一つ目、過去、契約更新の実績があったり、同種の労働者が契約を更新して働いている場合、これは、契約が満了することが明らかでない、つまり要件を満たすというふうに考えてよいか。
二つ目、業務の基本的な性質が臨時的、一時的でない場合には契約満了が明らかでないものと判断してよいか。要件を満たすかどうか。
三つ目、日本の有期雇用活用の実態は長期、臨時となっています。要するに、通常、恒常的に必要な職務であっても臨時というふうに雇用管理区分をやって、しかし、結果として長期に雇用し続けるということになっているために、原則として、契約満了が明らかでないというふうにその場合は推測する、そういうふうに判断してよろしいかどうか。
三つ一緒にお答えください。短くお願いします。
■塩崎国務大臣
三つのケースについてお尋ねがございました。
まず、一つ目、二つ目でございますが、契約更新の実績があったり、あるいは同種の労働者が契約を更新して働いている場合、それから、業務の基本的な性質が臨時的、一時的でない場合であっても、労働契約に更新回数や契約期間の上限が設定されていることも考えられますので、一律に契約が満了することが明らかではないと言うことはできないと考えているところでございます。
また、育児休業や介護休業が取得できるかどうか、これにつきましては、原則として、個別の労働契約の内容を踏まえて判断をされることになります。
したがって、先ほど御指摘をいただいた三番目のケースの場合には、日本における有期契約雇用の活用の実態がどのようなものであったとしても、そのことをもって、個別の労働契約について契約満了が明らかでないものと推測することは困難であるというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
ぜひ、難しいのはわかりますけれども、ここのところがポイントだと思うんですよ。要は、法律が成立したら、省令や指針、ガイドラインということになっていくわけですよね。そこでの書き方が問題なので、もう一回聞かせていただきたいと思います。
一番目と二番目のケース、これについては、では、省令なり指針なりに書いていただけるということでよいでしょうか。
三番目については、困難ではあるけれども、要するに、実態を見て、あるいは雇用慣行に照らして、できる限り対象とすべきだということを指針で書くというふうに、大臣、約束していただけませんか。
実態というのは、個々の雇用の実態じゃなくて、日本の長期雇用の実態。臨時的、一時的。
■塩崎国務大臣
今聞こえてきたのは、日本の雇用慣行みたいな形のことを御指摘になられて、その考え方も一つあろうかとは思いますが、これは労働契約でありますので、やはり実態を踏まえて判断をしていくということが原則だろうというふうに思いますので、先ほど御答弁申し上げたように、なかなか、歯切れが悪いわけでありますけれども、そういう形で整理をさせていただくということかなというふうに思っております。
■西村(智)委員
いや、本当に歯切れも悪いし、答弁も何かよくないですよ。
ここのところがポイントなんですよ。大臣、わかっておられますよね。有期契約の方の育休の取得、ここの書き方を間違えると本当におかしなことにまたなりますからね。
あわせてぜひ、ちょっときょうは答弁いただけなかったですけれども、引き続き問うていきたいというふうに思います。
もう時間も少なくなってまいりましたので、昨日参考人質疑がありまして、その中で堀越参考人から御指摘があったことについて伺いたいと思います。
彼女は、ケアラーといって、介護を御家族で担っている方々の全国の団体を組織しておられるんですけれども、ちょっと最近介護の担い手が変質してきたと。変質というのは、高齢の方が介護するのではなくて、例えば、子供さん、お孫さん、若い人たちも、例えば小学生の人でもおじいちゃんやおばあちゃんの介護をしているというケースもあるし、10代、20代で、これから就職だとか学校を卒業する時期だというような若年層も介護に当たっているということなんです。
私、その実態を伺いまして、やはり、就活なんかを含む、介護を実際にやっている方々のライフステージに合わせた支援をやっていく必要があるのではないかというふうに思いました。それについてどうお考えになるか。
それともう一つ、やはりここは若年層では特にという話になってくるんですけれども、育児休業と同時に、社会保険料の免除、これによる資格の継続を、特に若年層なんかはしていかなければいけないということなんです。これについて、今後の検討の方向性について、ぜひやってほしいという思いで伺いますが、いかがですか。
■塩崎国務大臣
介護の重要さと、介護休業という雇用保険の世界の中での制度とは、少し峻別をして考えていかなきゃいけないんだろうと思うんです。
先生の御指摘していることは大変重要なことであることはよくわかりまして、介護休業は、対象家族を介護する働いている方々について、今、年齢を問わず取得することができるということで、若い人たちでも働いていればできるという雇用保険の世界のことだと思います。
また、就活を行っているような学生さんなどの若者を含めた家族の介護を行う方々に対しては、これは地域包括支援センターとか労働局において介護サービスや介護休業制度などについてはお披露目をして、啓発もしておりますし、また、地域包括支援センターにおける相談体制をもちろんやっているわけでありますけれども、制度ということであれば、なかなか難しいかな。
それから、社会保険料の免除のお話でございますけれども、これについては、保険料の納付に応じて給付を行うというのが社会保険の原則でありますので、育児休業期間中は、保険料を免除する一方で、免除する期間についても保険料の納付があったものとして、その期間に基づく給付を行うという特例的なことを、育児については、休業期間中、やっているわけであります。
しかし、これは、さっきもちょっと答弁申し上げたように、これからの、将来の制度の担い手となるような次世代の育成という観点から、免除にした期間に係る給付の財源を被用者保険全体で負担していただくということで御理解をいただいているわけでありますけれども、介護休業の期間中の保険料免除については、なかなか、今と同じ、パラレルの議論は難しいのではないかというふうに思っております。
それはやはり、負担をされている方々、拠出をされている方々の御理解を得るということが大事でありますので、年金財政への影響も含めて、今のような形の御提案は少し慎重に検討すべきかなというふうに思います。
■西村(智)委員
ありがとうございました。終わりま