■西村(智)委員
西村智奈美です。
きょうは、また大変残念なことから総理に質問をしなければなりません。
この間の閣僚の不適切発言、そして、2012年問題とも言われます、初当選が2012年であった若手議員の皆さんのこれまた政治と金をめぐる問題等々の不祥事であります。
具体的に幾つか私も調べてまいりましたけれども、特に2012年に初当選をされて政務官についておられる方々の政治と金をめぐる問題、大変残念な事例が幾つも挙げられております。
ひとつには、大岡敏孝財務政務官、政治資金規正法の規定額を超える企業献金を受け取っておられました。加藤寛治農林水産政務官、これは、彼が県議であった時代に、不正処理された政治資金の問題で罰金の略式命令を受けて県議を失職しておられます。また、藤丸敏内閣府政務官、赤坂の議員宿舎の水道光熱費を政治資金から支出していたという問題。また、星野剛士内閣府政務官、公正取引委員会から独禁法違反で課徴金納付命令を命じられた企業から寄附を受けていたり、また、お祭りの景品として豪華景品をプレゼントしていたという報道もございました。宮内秀樹国土交通政務官、寄附をした側と寄附を受けた側との政治資金収支報告書の食い違い、また、経歴に記されていない建設会社から報酬を受けていたという事実。そしてまた、堂故茂文部科学政務官、彼は参議院議員でありますが、みずからが代表を務める政党の支部に寄附をして、それをもとに所得税の還付を受けていたということでありました。これはまさに2012年問題であります。
そして、昨日は、丸山和也参議院議員が大変ひどい発言をされた。差別発言です。なおかつ、我が国の主権国家としてのありようを根底から否定するおそれが強い発言もされました。アメリカの五十一番目の州になったらどうなのか、あるいは、アメリカの大統領を指して、黒人、奴隷であったということまで発言をされておられた。
外交問題にいまだなっていないということはせめてものことではありますけれども、昨日、この発言について記者会見を開いた丸山議員の発言を聞いて、私はさらに唖然といたしました。批判されるのは不条理だというふうに言っておられたんですね。
これはもう自民党の、与党としてのおごりの体質そのものだと断言をしなければなりません。
総理、総裁として、今回の一連の2012年問題と言われる数々の問題、そして丸山参議院議員のこの発言について、総理はどう感じていらっしゃいますか。
■安倍内閣総理大臣
みずからの行動については、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が責任を持つべきであります。国民の信頼なくして政治は成り立たないわけでありまして、一人一人が国民の厳しい目が向けられていることを自覚し、その信頼を失うことのないよう、みずからを律していかなければならないと考えております。
内外の課題が山積する中で、政権与党として、今後さらに緊張感を持って国政を力強く前進させ、しっかりと結果を出すことによって国民への責任を果たしていく決意であります。
■西村(智)委員
私は、具体的な事例についてどう思いますかというふうに伺ったんです。一般論について伺っているのではありません。しかも、今の総理の答弁は、私が先週10日に質問したときに返ってきた答弁と全く同じでございます。
総理はその日もおっしゃいました、信なくば立たずです、政治家みずからがきちんと説明責任を果たしていくことが大事ですと。そう答弁されて、わずか一週間ですよ。一週間しかたっていないのに、またこのような発言がなされてしまって、そして、まさに与党のおごりだ、こういう批判もされている。
私は、やはりここはもう一度真剣に受けとめて、そしてもう二度とこのようなおかしな発言がありませんということを断言すべきではないか。そこは、きちんと総理みずからの口でおっしゃっていただかないと、また同じことが繰り返されると思いますが、どうですか。
■安倍内閣総理大臣
国会議員は、それぞれの選挙区、あるいは選挙において国民から選ばれている、この自覚を持たなければならない、このように思うわけでございます。その中において、みずからを律していく、そして、その発言は影響力を持つということをかみしめながら発言をし、そして行動していくことが求められていくんだろう、このように思います。
その意味におきましては、政府・与党という立場はより一層重たいんだろう、こう思う次第でございまして、今後とも、与党、身を引き締めて当たっていきたい、このように考えております。
■西村(智)委員
丸山和也参議院議員は、自民党の法務部会長も務めておられるそうなんです。報道によれば、憲法審査会の委員はやめられるということは明らかになっておりますけれども、自民党の法務部会長として、まさに法務委員会等々の議案をさばき、そして法案の賛否についても決する、その責任者であろうと思います。
このような人権意識が欠如している人に、法務部門の会長をこれからも任せるつもりですか。
■安倍内閣総理大臣
個々の議員の発言について、一々私はコメントはいたしません。
今後、それぞれ議員が自覚を持ちながら、みずからを律していくことが大切ではないか、このように思います。
御党においても、安倍総理大臣が睡眠障害になるように頑張る、こう発言した方がいるではありませんか。いちいちこんなことを私は取り上げたいとは思いませんが、睡眠障害に悩む人たちにとって大変な発言ですよ。しかも、私をそういう状況に陥れよう、そう考えているんですか、民主党の皆さんは。そういうことも含めて、国会議員は身を引き締めていくということが大切であろう。
これも、はっきりと言って、人権問題ではありますよ。私にだって家族がいるんですから、おまえを病気にしてやろうと民主党で決議をしているということを聞いて、私は……(発言する者あり)決議をするべきだ、決意を示すべきだ……(発言する者あり)でも、決議をしていないのであれば、その後どうしたかということについてもこの場で述べていただいてもいいんだろうと思いますよ。
文部科学大臣をやっていた方がそういう発言をしたというから、私は大変驚いたわけであります。そういう決意をここで示そうということをおっしゃったのは事実であろう、こう思うわけであります。
いずれにせよ、こうした発言も含め、あるいは我が党の発言も含め、みずからが、国会議員はそれぞれが身を引き締めていくことが大切なのではないか、このように思う次第でございます。
■西村(智)委員
総理、すりかえないでいただきたいんですね。
睡眠障害の件の発言については、おわびをいたします。また、発言者もそのようにおわびをし、この発言は撤回いたしました。
しかし、今回の丸山参議院議員の発言については、委員会で、まだ議事録の修正、削除、これは正式に行われていないというふうに承知をしております。また、開き直っているんですよ。私は批判されるのは不条理だというふうに言っているわけですから、ここは全く問題の質が違うというふうに思います。
もう一度伺います、総理。
人権意識をきちんと啓発していく、それが法務省の極めて大事な仕事の一つであり、昨日、法務大臣もそのように答弁をしておられました。その法務部門の部会の会長である丸山和也参議院議員が、このような人権意識が欠如した発言をし、そして、そのことを全く反省したそぶりも見せていない。議事録は修正するとは言いましたけれども、これについて、批判されるのは不条理だと言っていることは、やはり余りにおかしくないですか。
これについて、もう一度処分をきちんと考えていただきたい。どうですか。
■安倍内閣総理大臣
先ほど私が例として挙げました睡眠障害の話については、私に対する謝罪は一切ございません。そして、撤回についても、そうした障害を持っておられる方々を傷つけるとすれば申しわけないということであって、私を睡眠障害にしようということについて、私に対しては一言も今までなかったわけでありまして、一切の謝罪はなかったということは申し上げておきたいというわけでございます。
そして、もちろん話は別であります。しかし、皆さんも、それぞれ胸に手を当てながら、みずからを一人一人が律していくことが大切だろう、このように思うわけであります。
そして、丸山議員の一昨日の発言については、既に丸山議員自身が、誤解を与える発言をしたことを謝罪し、発言を撤回しており、党としても、谷垣幹事長から議員本人を注意したと承知しているところであります。
いずれにせよ、これは与党、野党を問わず、ここにいる議員も含めて、みんなでそれぞれがしっかりと胸に手を当てながら、人権を侵害するような発言をしてはならないということは当然のことでありますが、自分たちの発言は影響力があるんだということをしっかりと肝に銘じながらそれぞれが発言をしていきたい、いくべきだろう、このように思う次第でございます。
■西村(智)委員
総理みずからが問題をすりかえ、そして開き直っているということは、これは大変なことだと私は思います。
今回の件については、私、もう一度重ねて申し上げたいと思いますが、私は、一週間前もこの件、質問をして、総理も、信なくば立たず、襟をみずから正すんだというふうにおっしゃっていたんですよ。それからわずか一週間でこういう発言が出てきているということが、それが与党のおごりの体質そのものであって、そしてそれを総理も開き直って認めてしまっているということは、これは大変な問題だというふうに思います。改めてそのことは強く指摘をしておきます。
さて、きょうは私、社会保障の件についてということでもありますので、今回の軽減税率の問題について質問したいというふうに思います。
軽減税率は、私は、はなから否定をするものではありません。税制抜本改革法の中にも、総合合算制度、それから給付つき税額控除、これと並んで、検討する項目の一つとして挙がっておりましたので、検討することそのものはやらなければいけなかったというふうには思うんですね。
ところが、問題は、そのほかの二つの選択肢であったはずの給付つき税額控除とそれから総合合算制度、これについて、まともな検討が行われた形跡が全く残っていない。全く残っていない中で、なぜか軽減税率ありきというその解決策だけが先にあって、そして、それについてのいろいろな議論が去年の年末にかけてずっと行われてきたということだと思っております。
そして、この軽減税率は、私は、やはり制度的には大変大きな欠陥があるし、そして、今回決まったとされる内容を見ても、その欠陥は全く払拭されていないというふうに言わなければなりません。
ひとつには、低所得者対策には全くなっていないということ、逆に高所得の皆さんに対するお得感が非常に強いということ。それから、社会保障のための財源、これは見つかっていないですよね。1兆円の穴があく中で、総合合算方式をやめたから残りは6千億円ですという話はありますけれども、これを安定的に、しかも恒久財源として見つけるというのはなかなか大変ですよ。そういった財源の穴がいまだに放置されているということ。それから、議員定数の削減もされていないという中で、本来これがセットであるべきだったのに、軽減税率と一緒に消費税の引き上げが自動的に決まっているということ等々、いろいろありますけれども、そういった問題点を押し切って、三党合意も踏みにじられて、自公政権は軽減税率の導入をさっさと決めてしまわれたわけなんです。
理由は何だろうかと、いろいろ答弁も私も読み返してみました。そうしたら、一言、痛税感の緩和だというのがその理由のようなんです。しかし、この痛税感という言葉も非常に曖昧だし、それを緩和するために支払わなければいけない代償は、私は余りにも大き過ぎるというふうに思います。
それで、これについては、先日、我が党の古川元久委員、そして昨日、神山洋介委員が、幾つかの事例を挙げて、この軽減税率についての考え方を整理しようというふうに試みて、いろいろ質問をされました。きょうは私、その事例を受けて、さらに整理をして伺っていきたいというふうに思います。
これまでの答弁を聞いていますと、販売時点で消費者の意思確認をして、それに基づいて、10%の税率とするのか、それとも8%の据え置き税率とするのか、それを決めるのだということでした。販売の時点で確認をするというのは、先日答弁で初めて明らかになったことでありますし、例えば福袋などについては、1万円を超えるものが10%で、1万円以下のものがその中身によって決まってくるというような話、これも大変混乱すると思いますけれども。いろいろありましたが、一つずつ伺っていきたいと思います。
これは、何のためにするかといいますと、先ほど公明党の委員の方からも、一つ一つ整理をしてもらうことが、消費者にとってわかりやすい話になるし、またその線引きがよりクリアになるということもあってしようとする質問ですので、ぜひ麻生大臣に一つ一つ答えていただきたいというふうに思います。
①と書いてあるものです。
例えば、おまけがつくセットで販売されている商品というものもありますよね。ティッシュボックスがメインであるんだけれども、果物ジュースがおまけでついているというケースはあるでしょう。それから、逆に、果物ジュースがメインの商品なんだけれども、ティッシュボックスがおまけでついていますよという販売の仕方もあるでしょう。
子供がおうちの人から言われて、ジュースを買ってきてくださいといってお財布を渡されて、買い物に行きました。最初に目に飛び込んできたのがティッシュボックスを売っているもので、そこに果物のジュースがおまけでついているというものでした。ああ、果物のジュースがついているから、じゃあこれを買っていこうということで10%で買った。ところが、お店を出て別のお店の前を歩いていたら、今度はジュースがメインでティッシュボックスがおまけについているという、中身は同じものが売っていて、それはジュースがメインですから8%の据え置き税率、軽減税率が適用になる。
大臣、これはこういうことでよろしいですか。
■麻生国務大臣
具体的な課税の関係につきましては、実際の個別の具体例というものの状況を踏まえて、その都度個別の判断をしていくものだと考えておりますが……(発言する者あり)何がわからないんだよ。
その上で、一般論として申し上げれば、御指摘のように……(発言する者あり)聞く気がないみたいだから、静かにするように言うてくれる、あなたの方から。(西村(智)委員「聞こえます」と呼ぶ)ある程度の量のティッシュボックスを販売する際には、少量のジュースをおまけにつけられるということは見受けられるところでありますけれども、こうした場合は一体商品には当たらず、ティッシュには標準税率10%がかけられて、果物ジュースは無償であるものとして税額は生じないものと考えております。
逆に、ある程度の量のジュースを販売するということになりまして、それに少量のティッシュボックスをおまけにつけられるという場合なのであれば、ジュースには軽減税率の8%が適用され、ティッシュボックスは無償ということであるものと判断をし、税額は生じないものになるというように考えております。
■西村(智)委員
つまり、これが例えば同じ値段だったとしまして、それで、手にしたものが全く同じものであるにもかかわらず、一つのセットは10%、一つのセットは8%、こういった差が出てくるということなんですね。これは、例えば高額なおまけがついても同じということですから、非常にわかりにくいし、不公平感をさらに増すものになるというふうに私は思います。
そして、二つ目の事例ですけれども、福袋です。
これは昨日、一昨日だったでしょうか、答弁で、1万円を超える福袋は10%が課税されると。ところが、1万円以下の福袋については、中身が、食品が多ければ8%になるけれども、食品が少なければ、あるいは入っていなければ10%になるということなんですね。
お店に行って、福袋がたくさん並んでいました。福袋は何が入っているかわからないからお楽しみの福袋なんです。だから、当然中身はわかりません。一つ持ってレジに行きました。
レジの店員さんは、これは8%、10%、どっちを課税したらいいんですか。
■麻生国務大臣
今般の制度案の中において、軽減税率の適用の対象となっております食品と、食品以外の商品が一体となった、いわゆる一体として価格表示をされております、通称一体商品とよく言われるものですが、原則軽減税率の適用対象外としておりますが、その一体商品が一定金額以下、今1万円と思っておりますが、その価格のうち食品部分が主たるものになるということになるのであれば、その全体を飲食料品として扱い、軽減税率8%の適用対象とすることといたしたいと考えております。
御指摘の、食品と食品以外の商品が一体となったいわゆる福袋につきましては、基本的には標準税率10%の適用でありますけれども、福袋の価格が一定金額以下、今1万円と思っておりますが、1万円以下の場合で、その価格のうち食品部分が主であるというものは、軽減税率の適用といたしたいと考えております。
■西村(智)委員
中身がわからないんですね。中身がわからないときに、要するに、どちらが食品が多いものなのか、それから食品の入っていないものなのかということを、何もわからないままレジに持っていって、それで買うわけですよ。どうやってこれは課税するんですか、8%か10%か。
■麻生国務大臣
売る人の側はよくわかっておるわけです。
■西村(智)委員
ということは、消費者の方も、中身が何かあらかじめわかった上で買わなければいけないということになるわけですね。それは福袋というふうになかなか言えないんじゃないかなというふうに思います。
それで、例えば、では三番目のケースのとき。
夕方、子供が学校から帰ってきて、これからちょっと習い事に行こう、塾に行こうということで軽食屋さんに入りました。
最近は、キャッシュで払うということはあるでしょうけれども、みんなカード式の電子マネーのものを持って、それで店頭でピッとやって支払うケースなどはあるわけなんです。
それで、買いに行きました。店内で食べますか、持ち帰りますかと聞かれて、ああ、時間があるから、じゃあここで食べていきますと言って、10%課税されて、それで買った。ところが、はっと時計を見たら、もう時間がなくなってしまっていて、テイクアウトにした方がいいなというふうに思った。ところが、電子マネーで払ってしまいましたから、これはなかなか返金が難しいと思うんですね。8%にしておけばよかったというふうに思っても後の祭り、かわいそうです。
これはどういうふうに対応したらよかったですか、大臣。
■麻生国務大臣
これは前にも佐藤主税局長の方からこれに関連した質問を御答弁申し上げたと思いますが、税法上、軽減税率の適用対象となるか否かというものにつきましては、販売事業者が販売した時点において一義的に判断をされる、すなわち、カウンターのところで判断をされるべきものだと考えております。
したがって、事業者が商品を販売する時点において、お客が店内で飲食をする意思表示を示した場合は、その事実に基づいて適用関係を判断することになりますので、当然のこととして、軽減税率の適用対象外の10%ということになろうと存じます。
なお、一旦店内飲食用として購入した後、テイクアウトということに変更した場合につきましては、税率の適用関係は販売事業者が販売時点において販売するものであることを踏まえれば、顧客に申告することが求められるものではありません。ただし、顧客がみずから申し出た場合には、販売事業者の判断において、当初のハンバーガーの販売をキャンセルして、改めて店内飲食をテイクアウトということにして会計をしていただくことになることは十分にあり得ると思いますので、その場合は、申告をしていただければ、8%ということで打ち直すことを認めるようにいたしたいと思っております。
■西村(智)委員
答弁は前進したと思います。
だけれども、キャッシュだったら返金というものもその場ですぐできるかもしれないけれども、カードでピッと払ったものを返金するのはなかなか大変だと思うんですね。そこのところは、やはり大変大きな手間と混乱を招くおそれは非常に強いということです。
それから四番目。
やはり販売時点で意思の確認が大事だということなんですけれども、忙しい店内です、店員さんが一人しかいないという場合、お客さんがわっと来て、持ち帰りますか、あるいはここで食べますかというふうな問いかけをいちいちするのもなかなか大変だ。
中には、自分の分は持ち帰るけれども子供はここで食べていきますというようなことになると、会計をまた二回に分けてやるのか、それともレジのときに別のやり方をやるのか、いずれにしても大変な手間をかけるということになってしまう。こうなったら、やはり消費者の皆さんだけではなくて事業主の皆さんにも大変大きな混乱がかかってくるということになるんだというふうに思います。
麻生大臣、昨日までの答弁で、混乱するところ、あるいは出前のコストが負担となる事業者は何社か出てくるかもわからないけれども、一つや二つあったとか、100、1000あったとか、いろいろ出てくると思いますよ、それは今の段階では私たちはわかりませんというふうに答弁されておられました。混乱が生じるということは、これは実は麻生大臣も認めておられるわけなんですね。
総理、ここまでで少し伺いたいと思いますけれども、こんな仕組みを導入して、そしてこのような、消費者の皆さんにも混乱をかけるし、事業主の皆さんにも非常に大きな混乱をもたらすことになる、こういう仕組みのままで本当に軽減税率を導入していいというふうにお考えですか。
私、冒頭申し上げましたけれども、軽減税率というのははなから否定するものではないというふうに思います。ヨーロッパは確かに一回導入しました。だけれども、今は、その軽減税率が失敗だったという考え方が中心になっていて、どうやってやめようかというふうに、議論が、流れが変わってきています。
本当にこのままこれをスタートさせていいというふうに思いますか。
■安倍内閣総理大臣
先ほど西村議員はいろいろな例を挙げておられましたが、例えばカード決済については、靴をカード決済で買った、しかし、よく見たら、途中で、傷がついていたから払い戻すというときには、これは現金だとスムーズにいくんですが、これは私、実際起こったんですが、これがカード決済であれば、そういうことはなかなか手続は煩雑になる。ですから、先ほど言われたように、軽減税率だけに起こることではなくて、これはカード決済につきまとうことでありますから、殊さらこれが新しく始まるということではないということは申し上げておきたい、こう思います。
また、買いたいものとそれについてくるおまけとの関係において、そもそもほとんど同じような価値のものをおまけにつけるということは基本的にはないだろうと思うわけでありまして、余り現実的な例を示しておられないなというのが私の感想でございます。これは私の感想でございます。
いずれにいたしましても、消費税の軽減税率制度は、税制抜本改革法に基づき、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮として導入するものでありまして、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できる等の利点があり、この点が特に重要であるとの判断により導入を決定したものであります。
そして、今般の法案においては、軽減税率の対象品目を酒類、外食を除く飲食料品等とし、明確に定義をしていますが、消費者及び事業者にとって軽減税率の適用範囲をわかりやすいものとすることが重要と考えており、今後、その具体的な線引きの当てはめについて、通達やQアンドAなどを通じてできるだけわかりやすくお示しをすることとしておりますし、また、事実、ただいま麻生大臣から、今、西村委員が挙げられたさまざまな、これは困るんだろうなということをいろいろと考えられたんでしょうけれども、それについても財務大臣から明確なお答えがあったのではないか、このように思う次第でございまして、今後、事業者においてもできる限り混乱が起こらぬように我々も努力をしていきたい、こう考えているところでございます。
■西村(智)委員
クレジットカードで決済するのとこれはわけが違うんです。軽減税率という新たな仕組みによってさらに消費者と事業者に混乱を招くという話ですから、それは総理、ちょっと説明の仕方が違うと思いますよ。
これは、意思確認が販売時点で大事だということですので、意思確認がなかなか難しいんじゃないかというケースについても想定をしておかなきゃいけないので、あえて出させていただきます。
一つ目は、例えば外国人の方が来られた場合に、これは、店員さんが本当は、8%、10%を判断するのに、ここで食べるのかどうかちゃんと確認をしなければいけません。だけれども、意思が通じないときもあるでしょう。
それから、例えば飛行機の中や新幹線の中などで、移動販売に来る、弁当を売って移動販売をして来る方がいられます。これも、きのうも私、財務省の人に聞いたんですけれども、はっきりしないんですね。ここで食べるか持ち帰るか、これは車内でもちゃんと聞いて、確認して売ることになるでしょうという話なんですね。
それから七番目、これも恐らくあり得る話だと思います。毎日、テイクアウトというふうに言いながら、実は店内で座って食べているお客さんがいたときに、店員さんはどうしようと。これは、意思確認をしているから、もう追っかけていって払ってもらうことはできないということなんだけれども、さすがに毎日となると一体どうしようかねという話は出てくると思います。
それから、障害者雇用を一生懸命やっている企業、障害を持っている人も本当に頑張って仕事になれてやってもらっているのに、今度は意思確認という、非常にまた高度なテクニックを要する接客技術などが要るようになってしまうと、せっかくなれてもらったのにどうしようということをやはりここは考えないといけないということになってくるおそれがあると思います。
どうも、こういう話を続けていくと、やはり、この軽減税率を導入することに伴う混乱やコスト、そして負担が余りに大き過ぎるんじゃないかというふうに私は思うんです。
それで、なぜこれを導入するのかということを聞くと、返ってくる答えが痛税感の緩和ということなんですけれども、果たして、8%に税率を食品に対して据え置くということが私は痛税感の緩和につながるというふうには思えません。
払うときに痛みを感じる程度を減らすことよりも、日本の税制の中で、これはOECDの中でも指摘をされています、日本の税負担率というのはOECDの中で最も低いんですね。最も低いにもかかわらず、痛税感、要するに税負担が重いなというふうに感じる人の割合が、実はすごく高いんですよ。これこそが痛税感じゃないですか。つまり、なぜ痛税感が高くなるかといえば、払っている負担に対して給付が受けられていないという思いから来る痛税感が本当の意味での痛税感なのではないかというふうに私は思うんです。
だから、これだけのサービスが受けられるんだと納得をしていただけるのであれば、私はこの痛税感の問題は、軽減税率を導入して、上っ面の、払ったときの痛税感を緩和するというよりも、もっともっと根本的な解決になっていくというふうに思います。
さて、それで質問なんですけれども、社会保障の充実、これが社会保障と税の一体改革のスタートラインだったはずなんです。ところが、今回、総合合算制度それから給付つき税額控除、まさに低所得の皆さんに対する対応も含めてしっかりやっていこうということで提案をされていたものがさくっとなくなってしまった。これは逆行しているというふうに言えませんか。痛税感を本当になくしていく、軽減していくために、ぜひ、社会保障と税の一体改革の原点に立ち返って、給付と負担のバランスを直していくということをやっていただきたいと思うんですが、どうですか。
■安倍内閣総理大臣
消費税の引き上げにおいて痛税感がないというのであれば、5%から8%に引き上げたときに消費が落ちるということはないんですね。当然、消費税を上げるということは、まさに痛税感を与えるわけであります。痛税感があるからこそ、財布のひもは締まってくるというわけでありまして、10%に上がらないものが、2%というのは大きいですからね、日ごろ使っている飲食料品が2%軽減されるわけでありますから、やはり、これに効果がないということの方が私はおかしいんだろうと思うわけでありまして、まさに上がっていくということは痛税感につながっていくんだろう、こう思う次第でございます。
そして、給付つき税額控除と総合合算制度をやめたではないかと。これはまさに、軽減税率と給付つき税額控除、そして総合合算制度、これは、三党合意の中で、この中からどれをとるかということを検討していこうということだったんだろう、こう思うわけであります。
皆さんは、軽減税率を天下の愚策と今言っているんですが、では、なぜそのとき言わなかったんですか。今、私たちがとったらそういうことを言う。そしてまた、給付つき税額控除についてはこういう問題があると、民主党の財務大臣も答えているわけであります。まさにこれは、皆さん、我々を批判するための批判でしかない。こういう批判のための批判というのは建設的な議論とは残念ながら言えないのではないのかな、こう思っている次第でございます。
いずれにせよ、我々は必要な社会保障の給付はしっかりと行っていくわけでありますし、我々はお約束したことは実行していくということは申し上げておきたいと思います。
■○西村(智)委員
この軽減税率で1兆円財源がなくなります。社会保障の財源がなくなります。それで、年収500万円以上の方々に対する財源の振り分けが六割、まさに大体6千億円ぐらいがなくなってしまうわけなんですよ。
さっきから総理は、児童扶養手当も多子加算を倍増したと言っていますけれども、何度も言いますけれども、倍増じゃないですからね。なおかつ、初年度の予算は28億円ですよ。28億円、わずかそれだけ増額をして、それで倍増というふうに胸を張る。社会保障のお金がなくなって財源に穴があく6千億円は、200年分以上じゃないですか。今回、臨時給付金としても3900億円支払われるけれども、児童扶養手当の加算額は、わずかその1%にも満たないんですよ。
こんなバランスの悪いことをやっていて、しかも、財源、安定的な恒久財源はどうやって出すのかということについて、これは財源がなくなるんですから、今回の税制改変法案とセットで出すのが道理というものじゃありませんか。それを今は出さず、いつ出すのかということも全く言わず、参議院選挙が終わってから、どういうふうになるのかわかりませんという、お化けを待つみたいなことは私たちはできません。
給付つき税額控除の法案も、私たちはしっかり出させていただきます。
そのことを申し上げて、質問を終わります。