■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
総理、総理はパートで働いておられる女性が一体どのくらいのお給料を平均して受け取っているというふうにお思いですか。
私は今、NHKの朝ドラを見ております。江戸の幕末から女子の教育を非常に進める、最後は女子大学を日本で初めてつくった広岡浅子さんという方がモデルになっているドラマです。お手伝いさんがいらっしゃる家で生まれたからこそ、ああいったさまざまな商い的なこともできたのかな、教育に熱心に取り組むこともできるようになったのかな、こういうふうに思いますけれども、それでもあのヒロインには、庶民に寄り添って、ともに汗を流して、そして一緒に苦しみを分かち合おう、そういう姿勢があったというふうに思うんです。
ところが、安倍総理を見ていて、私は残念ながらそういうふうには感じられません。今閣僚の席を見ておりましても、失礼ながら、二世、三世の大臣が非常に多い。総理みずからも三世でいらっしゃいます。こういった庶民の感覚がわからない政権であるからこそ、私は、臨時国会も開かないことも平気だし、TPPに参加交渉しないといってうそをつくことも平気だし、安全保障法制もごり押しをするし、そして軽減税率を導入して社会保障の財源に大きな穴をあけるということも平気だし、こういうことなんじゃないかというふうに思うんです。
それで、きょう確認をしたいのは、先日8日の予算委員会に対する安倍総理の答弁についてであります。
総理はこういうふうに答弁をされました。山井議員への答弁ですが、実質賃金の減少についてでありますが、パートで働く人がふえていく、働いていなかった妻が働き始めたら25万円、例えば私が50万円。つまり何を言っておられるかというと、パートで働く妻が月25万円、そして夫、男性の方が50万円、それで収入が75万円にふえて、足して二で割るから実質賃金の減少が、そういうふうになって平均が下がるんですと。
何かこの話を聞いていて、ちょっとおかしな説明だなというふうに思っておりましたら、帰ったら、その日、直後からネットでさまざまな批判や疑問が渦巻いておりました。一体、パートの現状をわかっているのか、25万円ももらえるパートがどこにあるのか、あったら教えてほしい、こういうことなんですね。
かわって私の方から伺いたいと思います。総理は、パートの月収、大体平均してどのくらいもらえるというふうに思っておられますか。
■安倍内閣総理大臣
まず、私の答弁を正確に聞いていただきたいと思います。
私、パートとは言っていません。言っていません。ちゃんと見ていただきたいと思います。
私は、例えば私が50万円のときは、家庭では、安倍家の平均というのは50万円になります。しかし、妻が働き始める、例えば25万円で働き始めたら安倍家の収入は75万円になりますが、平均は75割る2になるわけでありますから、これは50を下回っている。そうなりますと、平均賃金は下がったかのごとく見られるけれども、それはそうではなくて、大切なことは、安倍家の収入は75万円にふえたわけでありますから、つまり、これは総雇用者所得で見なければならない、こういうことであります。
これを私は申し上げたわけでございまして、大切なところは、ポイントはそこなんですよ。それをちゃんと見ていただきたい、このように思うわけでありまして、50プラス、25を足して、それを2で割ったところが、これは平均になりますが、50より下がってしまう、こういうことでございます。
そこで、今の質問でありますが、パートであれば8万円か9万円ということであろう、こう思うわけでありますが、まさに私が例として申し上げましたのは、いわば平均賃金という見方、平均の実質賃金という見方、一人一人に割り戻していくのが果たしてそのときの経済の現状を正しく見るのかという例で申し上げたわけでございます。そこのところをちゃんと見ていただきたい、こう思う次第でございます。
■西村(智)委員
先ほどの総理の答弁、まだやはりおかしいんですね。実質賃金が下がっていくというのは、これは指数の話ですから、足して2で割って単純に下がっていくという話ではないはずなんです。
それから、総理は、雇用が増加する過程においてパートで働く人がふえていく、こうした一人当たりの平均賃金が低く出ることになるわけだというふうに、明確にパートというふうに答えているんですよ。ですから、そこは逃げないでいただきたいというふうに思います。ちゃんと真正面から、自分の文脈がそういうふうに読み取れるということで、これはきちんと議事録を精査してください、書いてあるわけですから。ここはちゃんと私はそういうふうに申し上げたい。
それと、実際に、では、仮にパートだとしても、女性が月25万円手取りでもらうのに一体どのくらい総収入が必要だというふうにお考えですか。今まで休んでいた人たちが急に働き始めて、手取りで25万得る、これは相当大変ですよ。
私、社労士の人に計算してもらいました。これは例を置かないといけないので、私の地元で事務に従事する扶養家族なしのケースということですと、手取りで25万を受け取ろうとすると、総収入は30万を超えるんです。30万を超える。これは、企業の負担額、企業がその人に関して払うということでいうと、35万円ぐらいになるんですよ。
今まで休んでいた人が働き始めるということであれば、よほどのスキルのある、経験のある、専門的な知識やノウハウがあるということであれば別ですけれども、なかなか時給はそんなに高くはないというふうに思うんですね。
そうすると、仮にパートで一カ月でこの手取り25万を受け取ろうとすると、時給1900円くらいでないと30万にならないんですよ。時給1900百円。一体そういう仕事は本当にどこにあるのか。私も本当に素朴に疑問に思っていますし、ネットで、そういう仕事があったら本当に総理に紹介してほしいというふうに言われているんです。ぜひ、総理、お願いします。
■安倍内閣総理大臣
先ほど申し上げましたように、私の答弁の答弁書を正確に見てください。
いいですか。パートということを申し上げたのは、いわば、一人当たりの実質賃金が下がっているではないかということの説明において、景気がよくなって景気回復局面においては、今まで働いていなかった、つまり所得がゼロだった人たちが働き始める、しかし、その中においては、例えばパートから働き始める人がいますねということを申し上げたわけであります。
そして、私と妻との関係においては、私が50万で妻がパートで25万とは申し上げていませんよ。それは、パートというのはその前の説明でしょう。それを……(発言する者あり)違いますよ。静かに、山井さん、少しは静かに聞いてくださいよ。私は今、冷静に指数の説明をしているんですから、ちゃんと聞いて……(発言する者あり)では、それを全部読んでください。
私が説明したのは、まさに……(発言する者あり)ちゃんと、では、全部読んでください。私が説明したのは、まさに回復局面においては一人当たりの賃金で見るのは正しくない、こう申し上げたわけであります。
つまり、ゼロの人たちが働き始めれば、それは最初はパートとか比較的低い給料から始まるということで始めたわけでございます。そこで、例えばという例を使って安倍家で説明をしたわけでありますが、ここで50万円、25万円という例を示しましたが、このとき、私は50万円で妻はパートで25万とは申し上げていないのは当然のことであります。言っていませんよね、それは。もし……(発言する者あり)では、全部読んでみてくださいよ。
ですから、私が申し上げたかったことは、総雇用者所得と一人当たりの賃金との違いについてわかりやすく説明しただけの話でありまして、つまり、私が50万円で、私しか働いていなかった場合は安倍家の平均は50万円になりますが、50万円とそして妻が働き始めて25万円を足せば37・5万円になるわけでありますから、50万円から下がっているように見えますけれども、つまり総雇用者所得は75万円である、こういうことであります。
また、西村智奈美議員はこの内閣のメンバーの経歴等々についてお話をされたけれども、大切なことは経歴ではないんですよ。結果を出すことですよ。
私たちは、110万人、雇用をふやしたんですよ。そして、高校生については23年ぶりの内定率を確保しているんですよ。若い人たちが心配しなくても済むようになったんですよ。失業率も、まさに正社員の有効求人倍率は過去最高になっているということは申し上げておきたい、こう思う次第でございます。記録をとり始めてから過去最高になっています。私の地元の山口県においても、正社員の有効求人倍率は0・9になっている。皆さんのときとは全く違う状況を私たちは生み出している。
大切なことは、西村さん、結果を出していくことなんですよ。
■西村(智)委員
悲しくなりますね、今の答弁。全く実態がわかっていない。女性で、主婦で、働き始めて25万円もらえる仕事が一体本当にどこにあるのか。強いて言えば、50万円、正社員で得られる男性、女性、正規の社員の仕事というのは、50万円というのは一体どのくらいありますか。例え話だというふうに言うかもしれません。だけれども、そこはやはり基本線を押さえた上で答弁をしていられるかどうかという、まさに安倍内閣の感覚を問うているんですよ。そういう感覚がずれている人が、私は、雇用政策なんかまともにとれないというふうに思います。
それで、結果を出しているというふうに総理はおっしゃいました。ですので、私もあえて聞かせていただきます。
これも8日に総理は答弁されています。民主党政権になって正規の雇用者数が減りました、そして、私たちがそれをプラスに転じました、こういうふうに答弁しておられるんですね。本当かなと。
これは資料でもきょうお配りしていますけれども、正規の雇用者数と非正規の雇用者数の比率です。見ていただくと、大体、長期的な傾向として正規の雇用者数が減少しています。それから、逆に、非正規の雇用者の比率というのは、大体一貫して右肩上がりになっているわけですね。
それで、民主党政権で本当に正規が減ったのか。
確かに、出してもらったペーパーを見ると、民主党政権が始まったのが2009年の9月ですので、そのときの数字と、それから2012年の7月から9月の数字を見ると、これは季節変動もいろいろありますけれども、そこは減少しているんですね。
ところが、その後、安倍政権で正規の職員、正規の人たちがふえたというデータ、根拠になるデータは、安倍政権がスタートした時期とは実は全く重なっていないんです。一時的に見ると、安倍政権がスタートしたのは2012年の12月です、その翌期から見ると、2013年の1月から3月期、がくんと正社員の数が減っています。
これは何でこういうデータのとり方にしたのか、つまり、三年、三年というとり方にしたのかというふうに厚生労働省に聞きましたら、やはり季節変動があるから同じ時期の三年ずつでとらないといけませんと。それはそのとおりだというふうに思うんです。だけれども、あえて、正規の雇用者数が減ったように見える三年間を民主党政権の三年間として当てはめて、そして、正規の雇用者数がふえたように見える、わずか2万人ですけれどもふえていますが、2万人だけれどもふえたように見える三年間を切り取って、そして出してくるというのは、私は、これは非常に恣意的なデータのとり方で、聞いている人に物すごく大きな誤解を与えるというふうに思うんです。こういった恣意的なデータのとり方は今後はやはりやるべきではない。
総理、これは厚生労働省と総務省に聞きましたら、こういうデータのとり方は、実は、それぞれの役所は関知していなかったそうです。官邸でつくったんじゃないですかというような話でした。こういう恣意的なデータのとり方はもうやめていただきたいと思うんですけれども、それは指示していただけますか。
■安倍内閣総理大臣
正確に事実をお示ししております。
2009年の7―9から2012年の7―9、これは四半期で見ているわけでありますが、59万人減ったわけでございますが、2012年の7―9から2015の7―9で、10―12でいけば安倍政権も入ってしまうわけでありますから、安倍政権の入る前の7―9で見ているわけであります。それとまた、残念ながらまだ11月までしか出ていないわけでありますから、10―12では見られませんから、7―9で見るのは当然のことではないか、こう思うわけでありまして、我々がいわば政権をとる前の7―9と政権をとって後の2015の7―9で見れば2万人ふえている。そして、2009年の7―9と2012年の7―9は59万人減っているのも事実であります。
こういう現実を見ながら政策を立てていくことが大切であって、我々は、政権に復帰したときに、まさに現実を見ながら、それは、民主党の三年間の政策あるいは結果だけではなくてその前も含めて、デフレから脱却をしようという政策を立てたわけでありまして、例えば第一次安倍政権のときには、企業は収益を上げたけれども、残念ながらこれは必ずしも賃金には回らなかった、こうしたことも反省をしながら政労使の会議を立ち上げた。自分たちのことも反省しながら、しっかりとファクトを見詰めながら進めていったということでございますから、皆さんにもぜひそういう態度をとっていただきたいと思います。
■西村(智)委員
全く答えていただいていないんですね。
それで、私が申したいのは、確かにデータはこのとおりです、だけれども、わざわざその恣意的な数値を取り上げて説明するのは今後やめてくださいということなんです。そういったことに対しては何の明確な答弁もないし、やめますということもないし……(発言する者あり)恣意的ですよ。だって、これは違うでしょう、民主党政権の時期と安倍政権の時期と重なっていないですからね。だから、やめてもらいたいと思います。
それで、さっきからそうなんですけれども、長々と答弁される。総理、すごく答弁したかったんだなと思います。そんなに答弁したかったんだったら、通常国会まで待たないで、やはり秋の臨時国会をやるべきだったと思うんですよ。そこできちんと答弁をしていただいた上で、この通常国会に臨んで、補正予算の審議に入っていった方がよかったんじゃないかというふうに思うんですね。
それで、私、今回の補正予算もいろいろ言いたいことがあります。一億総活躍と三世代同居について、それから軽減税率の財源について。
一億総活躍も、アベノミクスがそろそろ陰りが見えてきたということで、何か新しい看板を立てて国民の目をそらさなければいけないということから出てきたんだろうというふうに思いますけれども、それも非常に旧来の看板のかけかえが多い、そして、無理やりつくった新しい看板は極めて雑で、思いつきでつくっているものが非常に多いということをまず冒頭申し上げたいと思います。
それから、軽減税率について、これまでも何度も、何人もの委員の方が議論しておられましたけれども、私は、やはりこの軽減税率というのは、低所得の方々に対する配慮というよりは、結果として高所得の皆さんに対するメリットが非常に大きく出ることになってしまうというふうに思います。これまでも既に示されているデータですが、低所得の方々はやはり消費そのものが多くない、高所得になればなるほど食費にかけるお金もふやすことができるようになるわけですから、その分、軽減税率のメリットも大きくなってくるということです。
その結果何が起きるかというと、社会保障の財源に穴があいてしまうということなんです。その財源を今度どうするのか。いろいろ社会保障の充実、メニューもあります。また、私たちが提案をしている給付つき税額控除、これについても私はまだ諦めていません。この財源の穴、一体、総理はどういうふうに安定的な恒久財源を見つけるおつもりなのか。
まず一つ目として聞きたいのは、この安定的な恒久財源を見つけるのに、誰が担当大臣になって、いつまでに見つけるのか、それを答えてください。
■安倍内閣総理大臣
まず、軽減税率制度については、三党合意を経て成立をした税制抜本改革法において、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から、給付つき税額控除、総合合算制度と並ぶ検討課題の一つとして掲げられています。
そうした中で、軽減税率制度は、給付つき税額控除、総合合算制度といった給付措置とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があり、この点が特に重要であるとの判断により導入を決定したものであります。
これに伴い、他の二つの施策は、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として実施することは考えていないわけであります。(発言する者あり)
なぜ我々がとったかということについても言及されましたから、今答弁をしているわけであります。それは当然、政府の立場として、西村議員が言及されたことについても説明をさせていただきたい、こう思っているところでございます。
その上で申し上げますと、今の御質問でございますが、担当大臣は、これは当然財務大臣になる、副総理・財務大臣になるわけでございます。
そして同時に、この財源については、実際に消費税を引き上げる上において、これは間に合わせなければいけませんから、その手当ては、しっかりと手当てをしていく考えでございます。
いずれにいたしましても、我々は穴をあけるということはもちろんないわけでありますし、今まで私たちがさまざまな政策課題についてお示ししたことについては、財源の裏づけがあるものばかりをしっかりとお示ししてきたわけでありまして、それが責任政党であるという矜持のもとに、しっかりと財源をお示ししていくよう議論を深めてまいりたい、こう考えております。
■西村(智)委員
聞いている皆さんも、答えていないなと思っておられる方がほとんどだと思うんですね。いつまでに見つけるのかということについて、総理は全く答えていません。逃げています。答えたくないんでしょうね。
では、担当大臣が財務大臣だということですので麻生大臣に伺うんですが、これまでの総理の答弁を聞いていますと、税収の上振れ分を安定財源として見込んでいるふうな答弁がたびたび聞かれるんです、総理から。自然増もあるというふうに答えているんですけれども、麻生大臣、それでよろしいんですか。
■麻生国務大臣
税収の上振れに関しての御質問だと思いますので、経済状況等によって下振れすることもありますので、安定的な恒久財源とは言えないとたびたび申し上げております。
■西村(智)委員
総理、麻生大臣は想定していないという答弁でしたけれども、総理の答弁と矛盾しているようです。総理、答弁を変更されませんか。
■安倍内閣総理大臣
いわば上振れ財源ということでありますけれども、三年間ずっとこれは上振れている、それ以上これは上振れているわけであります。それをどのように捉えていくかということについて、これはまさに経済財政諮問会議等においても議論をしていくという話を私はしているわけでございます。
財務大臣はもちろん財務省としてのお考えを述べているわけでありますから、当然それは、今までも、上振れする場合があれば下振れする場合もあるのも事実でございます。そうしたことも含めて議論をしていくということを、私は総理大臣の立場として当然申し上げているわけでございます。
また、いわば経済が上振れていく中において、企業の法人税も上がっておりますが、所得税も上がっていく中において、最低賃金も上がってきておりますし、またパートも22年ぶりの高い水準になっているわけでございまして、このように経済全体が底上げされている。この底上げをどう考えるかということについて、これは諮問会議等でも議論をしていくことになる、こう私は申し上げているわけでありまして、上振れする場合もあれば下振れする場合もあるというのは、これは財務大臣と同じでございます。
そして、どのように議論をしていくかということについては、当然、これはそのための経済財政諮問会議でありますから、その議論をここで閉じてしまってはならないわけであります。
■西村(智)委員
矛盾が何かだんだん広がってくる感じがしますね。
麻生大臣は、税収の上振れ分は安定財源ではないという見解を示し、そして、安倍総理は、それに対してうにゃむにゃ、税収が上振れ分していくから、それも含むことも想定されるという答弁をしている。これは閣内不一致じゃないですか。ちゃんと統一見解を出していただきたいと思います。
■甘利国務大臣
諮問会議担当です。(西村(智)委員「諮問会議は聞いていません。聞いていません」と呼ぶ)諮問会議で、今後、どういう財源をどういう方法で確保するかということは議論をしていきます。
■西村(智)委員
経済財政諮問会議のことは、私は今、あえて聞いておりません。担当大臣が麻生大臣だというふうに総理が答弁されたから、私は麻生大臣に聞いたんです。
統一見解を出してください。ここは非常に大事なことです。
なぜかといえば、社会保障の削減も排除されていないということになってくるからなんですよ。消費税は社会保障のために使うと言って、上げておくという判断をした。だけれども、それが社会保障の方に、肝心なところに穴があくということは先に決まって、軽減税率がされるわけですから、これは1兆円の穴があくということが先に決まって、そして、ではその財源をどこで穴埋めをしてちゃんと充実をやるのかということの答弁がないまま、これ以上続けられないですよ。
■安倍内閣総理大臣
では、しっかりと整理してお答えをしたいと思います。
まず、軽減税率について1兆円必要であるということであります。このうち4千億円は、総合合算制度をやめるということでございます。これは、2・8兆円の外であります。2・8円の外で処理をするということになるわけであります。この2・8円については、私は、これを減らすことはないということは明言しているとおりでございます。
それとは別に、社会保障制度については、常に、常に我々は合理化をしていく、無駄を省いていく、こういう行為は行っていく。その中において、我々は、毎年毎年増加を5千億円程度に抑えていくように今まで努力して、結果を出してきたわけでございまして、ですから、なぜ私がこういう話をしているかというと、社会保障費を減らさないのかという議論に対しては、そうではないということを申し上げているわけであります。
一方、1兆円との関係におきましては、4千億円が決まって、あとの6千億については財源を捻出していくということでございます。そして、それに対して安定財源を確保していくということの中で、いわば政府でこれからまさに議論していくわけでございまして、その中で、では、安定財源をどのように考えるかということでありますが、基本的には、他の恒久的な税収をこれは考えていくということでございます。このことにつきましては、当然これは財務大臣が担当するということは、先ほど申し上げてきたとおりでございます。
同時に、いわば税収が年々ふえていく中において、どこをいわば発射台とするべきかという基本的な考え方については、これは経済財政諮問会議において議論していくものであろうということについて私は申し上げているわけでございます。
■西村(智)委員
長々長々と関係のないことを答えてくださって、本当にこれで時間を費やすのをやめてもらいたいというふうに思います。
私は、やはりこの社会保障の6千億削減は排除されていないということ、それから、安定財源としては財務大臣は税収の上振れ分は含んでいないということ、ここにはやはり矛盾があると思います。
委員長に要望します。これは、政府としてきちんと統一見解を出していただきたい。そこを理事会で協議していただけませんか。
■竹下委員長
理事会で検討いたします。
■西村(智)委員
それが出てくるということがこの補正予算の採決の大事な前提になってくるというふうに思いますので、きっちりとこの補正予算の審議の期間中に出していただきたいと強く要望をいたしておきます。
それで、軽減税率の話にまた戻るんですけれども、先ほど申し上げましたけれども、これは高所得の人たちほど高い食材、食料をいろいろ買うことができるようになりますので、やはり税の逆進性をより強めるというふうに私は思うんですね。
参議院の本会議で前川委員がキャビアの事例を出しておられました。キャビア、私も調べましたら、高いものだと30万ぐらいするものがあるんですね。お米やみそは日ごろ私たちも食べますし、8%、そこはそこで据え置かれるということは、これは一旦話の前提として是としましても、キャビアにまで8%の据え置き税をこれからも適用し続けるというのは、私はちょっと、やはり政策的にいって、税の累進性というところからいっても問題があるんじゃないかというふうに思うんです。
総理は、キャビアの消費税を今後も8%に据え置くことになるというふうに理解しておられるでしょうか。
■麻生国務大臣
この種の話というのは昔からよくある話で、これを最初に導入したのはイギリスだと記憶しますが、そのイギリスでも同じような議論がなされて、結果としてどこで線を引くかということになりますと、西村先生の御意見、その他の方々の御意見、皆統一しているとは限りませんから、ではイクラはどうだ、何はどうだ、かにはどうだといろいろな話になってくると、その線引きが極めて難しいから、だから加工食品は皆一律ということになったということだと私どもは記憶をいたしております。
■西村(智)委員
私は今そういう話をしているのではないんですね。高所得者の人たちに優遇策をこれからも続けることで本当にいいんでしょうかということなんです。
財源の半分以上が高所得の方々の軽減税率に充てられてしまうわけですし、私はやはりこういう政策判断は正しくないというふうに思います。やるんだったら、徹底的に細かく、これは据え置き税率、あるいはこれは10%というふうにやるか、それとも、私たちはこの間ずっと給付つき税額控除というのを提案し続けてきました。これこそが本当の意味での安定的な、そして恒久的な低所得者対策になるというふうに私は確信をしております。
ぜひ、これはやめるか、あるいは、もう一度、給付つき税額控除も選択肢にあるということを踏まえた上で議論してもらいたいというふうに思いますが、総理、いかがですか。総理です。総理、答えてください。
■麻生国務大臣
指名されたのは私。
軽減税率制度につきましては、御存じのように、御党も入られた上で、みんな、三つ案が出たでしょう、あのとき。その中の三つをいろいろ我々は議論して……(西村(智)委員「そうですよ。そのうち、ちゃんと検討されなかったじゃないですか、給付つき税額控除が」と呼ぶ)着席してしゃべらないことね。我々としては、総合合算制度と給付つき税額控除と軽減税率と三つありましたよね、御提案なさった御本人だからよく御存じと思いますが。そのとおりに、中で、その三つの中から軽減税率をいろいろ検討した結果、痛税感等々を考えてこの方がいいのではないかという結論を出したということなのであります。
そういった意味で、消費税そのものの負担が直接軽減されない等々いろいろなことがあるので、今のような、給付つき等々いろいろなものよりこの軽減税率の方がいいという結論に達して、我々は合わせて対応しているということであろうと思っております。
また、いろいろな問題の中に過誤支給とか不正受給とかいろいろな問題があったのは、これはイギリスも同じでしたから、そういった意味では、他国のものもいろいろ勉強させていただいた上で、我々として、この軽減税率というのは高所得者だけを除外するというのもなかなか技術的には難しいというような結論もありますので、この問題があることはもう重々承知の上で、我々はいろいろな計算をした結果、この軽減税率をとらせていただくという結論になったということです。
■西村(智)委員
事業主の皆さんも、軽減税率、すごく苦労されると思いますね、いろいろなシステムの変更。
また、財務省も、実は軽減税率の導入には反対だったというふうに聞いております。本当に、麻生総理、軽減税率でいいと思っておられるのかどうか。そこは本心じゃないことを今答弁されたと思いますけれども、ぜひ、これは立ち戻って、やはり私は、給付つき税額控除が本当にいいと思います。
これまでどういう検討を経て軽減税率に落ちついたのかということも全く明らかになっておりませんので、ここはぜひその交渉過程といいましょうか、検討過程を明らかにしていただいた上で、また議論させてもらいたいと思います。
そこは、どういう議論の経過を経て軽減税率に落ちつくことになったのか、これもぜひ、委員長、ペーパーで出していただきたいと思います。
■竹下委員長
理事会で協議をいたします。
■西村(智)委員
お願いいたします。
それで、時間がありませんので、三世代同居について伺いたいと思います。
先ほど玉木委員が、三世代同居は実は豪華住宅建築支援なのではないかということを指摘されました。実際に対象になる家が木造で、三世代かどうかというのは実は問わないということも指摘をされましたし、また、トイレを二つ、お風呂を二つつくる、本当にすごい豪華なおうちになるなというふうに私も思いながら聞いていましたけれども、私がこの件について伺いたいのは、本当に三世代同居を進めることで出生率が上がるのでしょうかということなのです。その論拠は一体何でしょうか。
総理、先ほど玉木委員の示された資料の中でもありますけれども、石井国土交通大臣に、三世代の近居、同居を促進する住宅政策を検討して実施しなさいと、まさに肝いりでこの三世代同居を推進するということを述べて、旗を振ってこられたわけなんですね。総理、本当に、この三世代同居を促進することで出生率が上がるというふうに考えておられるその根拠をぜひお聞かせください、教えてください。
■加藤国務大臣
先ほどから総理からお話がありましたけれども、今回は、希望出生率1・8の実現、すなわち、結婚しやすい、あるいは子供を産みやすい、育てやすい、そういう環境をつくっていこうということの一環ということであります。
この三世代同居、近居の環境整備は、家族において世代間で助け合いながら子や孫を育てることができることを希望する方に、その選択肢を提供する。
これは内閣府の調査なんですけれども、理想の家族の住まい方で、半数以上が、祖父母、すなわち三世代で近居、同居を理想としている。特に、近居を理想とする割合が約3割、同居を理想とする割合は約2割ということでありますから、やはりそうした環境をつくっていくということが、今、結婚し、子供たちを産み育てやすい、そういったことにつながっていく、こういうふうに考えております。
■西村(智)委員
私は、出生率と三世代同居が関連するという根拠を教えてくださいというふうに申し上げたんですけれども、今全く示されませんでしたね。希望出生率1・8に向けて、だけれども、三世代同居を希望している人が2割くらいいらっしゃるから。何かよく説明になっていないと思うんですよ、これは。
私はいろいろ調べてみました、なぜ、この三世代同居で出生率を上げようというその話が出てきたのか。加藤大臣が主宰しておられる一億総活躍社会に関する意見交換会というのが開かれていまして、ここで、伝統的家族が出生力が高いんだということが資料として示されているわけなんです。
その資料をきょう皆さんのお手元にもお配りしているんですけれども、これはある研究者のデータなんです。ちょっと年代は古いんですが、出生力ということで根拠になっているのがこの数字だと思うので、あえてこれを持ってきていますけれども、夫方の親と同居すると、確かに、第一子から第二子、第三子へと進むにつれて出生力というか出生率が上がっていっているんです。ところが、妻方の親と同居していると逆に下がっていっているんです。下がっていっているんです。
政策としては、夫の親と同居するのか、妻の親と同居するのか、これはわからないし、強制することなどできっこありません。逆に、私、同居を進めていくと、変な話ですけれども、子供の数が減っちゃうんじゃないか、出生率が下がっちゃうんじゃないかというふうに思うんですけれども、総理、どういうふうにお考えになっておられますか。総理です、総理。
■加藤国務大臣
この資料は、御指摘のあります国民会議に御参加された方から提出された資料だということでありまして、これをどういうふうに読むのかというのはあると思います。たまたま私のところも妻と同居しておりますが、娘が四人いるということもございます。それぞれの状況によってそこは違うんだろうと思います。
それから、別の資料でありますけれども、これは厚生労働省25年度厚生労働白書にございますけれども、そこでは、同居、近居、別居の別に見た完結出生児数ということでは、やはり同居、近居の方が別居よりも高い、こういう数字も出てきております。
先ほど申し上げましたのは、同居をさせるとか勧めるということではなくて、同居を希望する方々にそうした希望が実現できる状況をつくっていくということでありますので、そうした状況ができることによって、今申し上げた、結婚しやすい、あるいは子供を産み育てやすい、そういった環境につながっていくもの、こういうふうに考えております。
■西村(智)委員
実は、三世代同居促進というのは、補正予算だけじゃなくて税制にも入っているんですね、来年の。それで、そこの内閣府の書きぶりを見ますと、子育ても支援するようにできるし、また介護も、三世代同居の中で副次的に社会保障費が安く済むということでメリットがありますということなんです。つまり何が書かれているかというと、これまで嫁や妻がおうちの中で家事、介護、育児、こういったものに縛られていた、それを社会化しようということで介護保険が始まり、介護の社会化というのが進んでいた流れとまさに逆行することが言われているんですよ、ここで。女性の活躍促進と全く真逆です。
しかも、これは、同居している世帯ほど実は介護の離職率が高いというデータも既に出ています。これはまた機会を改めて質問させていただきたい。
ですから、私は、この三世代同居工事促進、豪邸建築支援、これにも反対である、そして、そこは削除していただいた上で補正予算の審議を改めてさせていただきたい、このことを申し上げて、終わります。