■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
昨日に引き続きまして、外国人家事支援人材について、時間をいただきましたので質問をしたいと思います。
昨日、私は最後の方で、外国人家事支援人材がハラスメントを受けたときにきちんとそれを行政的な手続で解決できるという解決制度と、それから、利用者が契約内容を逸脱した指揮命令を必ず行わないという担保が必要だということ、この二点について、どうこの法律の中では担保されているのかという質問をいたしました。
それに対して、石破大臣は、そういったことがきちんと受け入れられるような体制でなければこの体制は意味をなしませんというふうに答弁されているんですけれども、それでは、きちんと受け入れられるような体制、この制度が意味をなすためのその体制とは一体いかなる体制なのか、そこから伺いたいと思います。
■石破国務大臣
きのうの答弁と重複したら大変に申しわけございませんが、これは法的にどう担保されているかという御質問と、体制はどうなのかという御質問の二つだろうと思います。
体制についてのお尋ねでございますので、外国人家事支援人材、いわゆるそういうような支援をされる外国人の方ですが、苦情あるいは御相談を受け付ける窓口は、受け入れ企業及び地方自治体に設置をするということが必要だと思っております。
そのような人材の保護に関する措置につきましては、現在、関係省庁と調整を行っておるところでございますが、そういう方々がハラスメントを受けるという場合にはそういう相談が必要だ。それで、受けてから相談しても事は遅いので、そういう体制がありますよということを、人材の方にも、あるいはそれをお使いになる方に対しても、こういう仕組みがありますよということをきちんと徹底して、言うなれば抑止力というものはきちんと確保しなければならないと考えております。
■西村(智)委員
私が質問した体制というのは、法的な措置のことも含めてというふうに、その意味を込めて質問したんですけれども、昨日の質問でも、労働基準法及び労働者派遣法、いずれもこの外国人家事支援人材については適用にならないということは明確に答弁がありました。
それで、きのうの続きでちょっと質問いたしますと、特定機関が基準を満たしていない場合には、これは石破大臣、昨日、特定機関が基準を満たしていないというふうに判断をしたときには、新たな受け入れはもうできなくなるんですよ、そういうふうな答弁はあったかと思います。
一方、問題なのは、まさに、では、外国人家事支援人材として日本に入国された方がその後どうなるのかということなんですね。
これについてはどなたにお伺いしたらいいのかあれなんですけれども、一点お伺いしたいのは、新たな受け入れができない、そして特定機関は外国人家事支援人材を雇用し続けることはできませんよと言われたときに、そこと雇用契約を結んでいた外国人家事支援人材は、ほかの特定機関のところに移ることはできるんでしょうか。石破大臣、これは制度の話ですので、石破大臣だと思います。
■石破国務大臣
ですから、それは、受け入れる人材の側に何の非があるわけでもございません。そうすると、その方が雇用契約をほかのところと締結する、そして新たなところと雇用契約を結んで働くということは、これは何らそれを妨げるものではないと考えております。
■西村(智)委員
それでは、移ることができた人は、それはそれで、そのまま日本に在留することができるということでよろしいのかという確認を一つとりたいのと、それから、移る先のない場合に、その外国人家事支援人材の在留についてはどうなるんでしょうか。これは法務省にも伺いたいと思います。
■葉梨副大臣
移ることができた場合、今大臣御答弁ございましたけれども、その場合は、引き続き特定活動という在留資格で在留することができます。
では、移るところがないという外国人についてどうだということなんですが、今大臣からも御答弁ございましたけれども、その外国人の方に責めがあるわけではない。ですから、移るところがなくても、在留資格を直ちに取り消すというようなことは今のところ考えておりません。
■西村(智)委員
これまでのケースですと、例えば、外国人家事支援をするということで、送り出し国のいわゆる調整機関のようなところに違約金契約というようなものを結ばされて、そして多額の、言ってみれば借金を負わせられる形でやってきて、ところが、その契約が途中で不履行になったということで、外国人労働者自身に多額のお金の支払いを求められて窮地に立たされるというようなケースが多々あるわけであります。
これは、世界各地を見ても同様のケースがあるわけですので、そういったことはしっかりと防止をするということはやっていかなければいけない。逆に言いますと、同じようなケースが日本でも起きる可能性は、私は極めて高いというふうに思います。
引き続いて質問したいと思うんですけれども、私、昨日も質問しました。利用者に対して、例えば、違法派遣にならないようにするために、契約内容以外のことは指示してはいけないんですよというようなことですとか、あるいはハラスメント、こういったものを防止するということのために、やはり利用者に徹底的に、徹底的にと言ったらあれですけれども、周知啓発というのはどうしても必要だと思うんですね。
なぜならば、そういったことが行われないという前提で、この外国人家事支援人材の受け入れは制度設計されているからであります。だから、起きちゃいけないことなんですね、そういった違法派遣の状態とか、それからハラスメントだとかというのは。これは起きないように周知徹底はどういうふうにされるお考えでしょうか。
■高階大臣政務官
先生御懸念の点については、私どももしっかりと対応してまいりたいと考えております。
受け入れ先となる利用者がいわゆる偽装請負とならないような遵守すべきポイント、こうしたことをわかりやすく記載したリーフレットなどを作成させていただき、法案が成立した後には、家事支援人材の送り元となる事業者を通じまして配付する等の対応を検討してまいりたいと考えております。
また、家事支援人材の送り元となる事業者に対しましても対応が必要ではないかと考えておりまして、この点につきましては、適正に事業を実施することができるよう、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分、これに関する基準等を記載したパンフレットを配付させていただきますとか、あるいは企業を集めての普及啓発の説明会、こうしたものの実施をあわせて検討してまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
事業者に対してだけではなくて、利用者に対して直接、例えば都道府県の労働局それから労働基準監督署で具体的な措置をとるという考えはありますか、それは必要だと思いますけれども。
■高階大臣政務官
まずは、いわゆる偽装請負などの不適正な請負の発生防止に努めること、これを徹底していくということと、必要に応じて、是正等に取り組むための運用を図っていくことが必要かと存じます。
基本的には、家事支援人材の送り元となる事業者を通じた事前の周知啓発の徹底、そしてその上で、外国人家事労働者等から、利用者が契約関係を逸脱した指揮命令を行っている、こういった情報提供が都道府県の労働局に寄せられた場合につきましては、利用者家庭に対して丁寧に是正の必要性を説明するなどの指導も行ってまいりたい、この辺の検討もこの先進めてまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
今、実は厚生労働委員会では労働者派遣法の議論が行われているんですけれども、ここで、例えば労働基準監督官の行政指導等々について、もっとしっかりやれという話も今後出てくるかと思うんです。だけれども、今のお話を聞いていると、大変心もとない。
利用者に対して、何かあったらお願いをするというベースでは、そもそもこの制度設計は、そういった利用者が違法な派遣をさせないということを前提に組み立てられているわけですから、それは何かそういったことが発生してしまったときにちょっとお願いに行ってみましょうか、しかも、極めて業務量の多い、いろいろな紛争解決にも時間がかかる傾向が極めて強くなっている監督署において、私は、そういった対応というのはやはりできないというふうに思います。
私は、今回の制度設計そのものについては、きのうも申し上げましたけれども、まずそもそも立法の目的がほとんど議論されていません。規制改革会議の中で複数の議員の方からそういった話が出たそうでありますけれども、女性の活躍推進といいながら、本当にこの家事支援人材を入れるということの必要性、ニーズというものはきちんと検討されたのか。ニーズがきちんと検討されたのかといえば、その形跡はほとんどないということ。
そして、この法律においては、第十六条の三を見ますと、政令という文言が三回出てきます。それから、指針に委ねるというところが一回。政令と指針に全てを委ねて、枠組みだけは決まっているけれども、実際、どういう法的規制で、どういう人たちを、どういう仕事に従事してもらうために、どういう特定機関に受け入れてやらせるのかということも全く明らかになっていない。
これは大変大きな問題だし、このような状況で外国人家事支援人材を受け入れたら、本当に大変なことになると思いますよ。それは私は強く警告をしたいというふうに思っています。
この種々の問題は、これから逢坂委員も質問されると思いますけれども、やはり日本がILO百八十九号条約の批准がまだできていないということにも関係をしてくると思います。この条約を批准して国内関連法を整備すれば、私が今申し上げたような懸念も、もしかしたら少しは払拭をされるかもしれない。
この点について、考えを伺いたいと思います。
■高階大臣政務官
御指摘のILO第百八十九号条約、この定めるところの家事労働者の中には、個人の家庭においてその家族の指揮命令のもとに家事一般に従事することを本来業務とする者など、労働基準法の適用除外の家事使用人も含まれている状況にございまして、我が国は本条約を批准していない状況にあります。
そこで、本条約を批准するに当たりましては、労働基準法を含め、国内法制等との整合性について検討すべき点がありますことから、慎重な検討が今後必要であると考えてございます。
■西村(智)委員
ぜひ、そのILO百八十九号条約を批准してから、外国人家事支援人材の導入については改めて考え直してもらいたいと思います。それは政務官も同じ考えなのではないでしょうか。
最後に、時間が来ましたので一点伺いたいと思います。
これは、受け入れる我が国の側の問題でもあると同時に、外国人家事支援人材を送り出そうとする送り出し側の問題もあるというふうに思います。本当に、今までもたくさんの人たちが、違約金なども背負わされて送り出されて、そして、その契約が不履行になったからといってその借金を負わせられる。本当に悲惨な状態に追い込まれてしまうんです。そういうことを防止するために、送り出し国側との連携というか話し合い、それを防止するために何をするかということもやはり政府間で調整を行っていくべきではないかと思います。
違約金契約等は、日本国内では違法です。これを行わないことを担保するように、送り出し国側に働きかける考えはないか。もう一つは、人身売買、ヒューマントラフィッキング、こういった問題が起きないように、送り出し国側と調整を行う考えはないでしょうか。外務省に伺います。
■中根大臣政務官
外国人家事支援人材の受け入れに関する制度設計についてということでございますが、外務省としましては、今委員からお話があったことも含めて、内閣府を初めとする関係省庁間でよく協議をいたしまして所要の調整を行ってまいりたい、きちんとした制度になるよう行ってまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
きちんとした制度、本当に、この委員会の中で、答弁の中でも何度も出てきました。それに向けて政府間調整は行うというふうにも答弁はありました。
だったら、申し上げたいんです。もう一回調整をし直してから、改めて出してください。そのことを申し上げて、質問を終わります。