■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
大臣、冒頭、通告はないんですけれども、このところ株価が非常に大きく変動していますので、その点に関連して一点伺いたいと思います。
先週からですか、六日連続で株価が下落しているということで、私が心配をしているのは、年金積立金の株式で運用されているお金であります。
私たちは、GPIFのポートフォリオの変更はそもそも反対でしたし、またその後も、GPIFの水野理事をこの場にお呼びして、しっかりとした議論をさせていただきたいと思っておりましたけれども、いまだにそれがかなわずという中で、国内株式の比率が今一体どうなっているのかということはやはり国民に明らかにされるべきだと思いますし、またその上で、年金の積立金が本当にこれから先どうなっていくのかということを改めて議論する場をぜひ設けてもらいたいというふうに思います。
お伺いしたいのは、国内株式の比率が六月末の時点でどうなっているのか。これがいつ公表されるかという点について、たびたび八月末であるという答弁はされているんですけれども、もう八月末なんです。これはいつ公表されますか。そしてまた、それを受けてどのように厚労省として対応していかれるのか。
私は、ガバナンスもあわせてやるべきだと大臣がたびたび答弁をされているからこそ、やはりこの問題というのは一度しっかりと議論するべきだというふうに思っていますけれども、この点、二点伺いたいと思います。
■塩崎国務大臣
GPIFには法律でもって運用の基本哲学が課せられているわけであって、それは、専ら被保険者のために安全かつ効率的な運用を行うべし、こういうことになっているわけで、GPIFにおいてそれを経済情勢を踏まえた上でやっていただいているというふうに思っていますし、それで、デフレ状態ではなくなっていく、もう既になくなっているわけでありますが、新たな経済情勢のもとで、新しい基本ポートフォリオをもって今運用していただいているというふうに理解をしているところでございます。
その上で、六月末の運用の実績についての発表はいつなのかということでありますが、これは、GPIFの方で作業をしているので、作業が完了次第公表するということを三谷理事長が言っておられたと思いますが、八月末までにということでありますから、早晩そういう発表が行われるものだというふうに思っております。
一方で、ガバナンスの話も頂戴をいたしました。
これは、私は何度も申し上げているように、また日本再興戦略の中でも運用改革を行うとともにガバナンスの改革も行うということが書かれているわけでありまして、既に、基本ポートフォリオを発表した際に、法律改正がなくてもできることを目いっぱいやるということで、運用委員会を中心に考えていただいて、内部の管理をきちっとするという新たな場もできた上でガバナンスは強化をされつつあると思いますが、なお、年金部会で始まっておりますガバナンスについての考え方についてさらに議論を深めていただくということがこれからお願いしなければいけないことだというふうに思っております。
■西村(智)委員
本当に、やはり他人事のように聞こえるんですね。
あれだけ大きなお金をGPIFが運用して、そして株式市場にそれが投入されて、今まさにその株価がああいう状態になってしまうと、株というのはいいときもあれば悪いときもある、これはもう私たちが当初から言っていたことであって、だからこそ、国民にその点についてはきちんとオープンにした上で、GPIFのあり方、ガバナンスのあり方、これもしっかりとあわせて議論させてもらいたいというふうに言っていたんですけれども、相変わらず、もう八月の末になってもそれができていないという状況は極めて無責任だと思いますし、そして、その数値についてはきちんと出された上で、また私ども改めてGPIFの議論はさせていただくことになりますので、ぜひその点はよろしくお願いをいたしたいと思います。
きょうは、年金情報流出問題の集中質疑ということで、検証委員会の甲斐中委員長にお越しをいただいております。どうもありがとうございます。
委員長、実はこの検証委員会は、大臣がこれまで委員会の中で、中間報告が八月の中ごろに出てくるというふうに答弁をしておられたんです。今回いただいたものは検証報告書というふうにだけ表題が書かれていました。これは中間報告ですか。
■甲斐中参考人
この報告書の性格は、事実上の最終報告ということで考えております。
なぜそうしたのかと申し上げますと、この問題は非常に国民の関心も高くて、できるだけ早期にきちんとした形の報告書を提出したいと思っておりました。いろいろ調査した結果、当面、私どもの調査した結果で本事案の原因究明と再発防止策は十分提言できるというふうに思ってこういう形にいたしました。
ただ、まだ警視庁において捜査中でありますし、機構も共有フォルダの問題などについて調査を継続しているというところでございます。その調査の結果によっては、場合によっては何らかの新しい進展があるかもしれないということも考えられます。その結果、私どもが提言した原因と再発防止策について何らかの考えを変えざるを得ないような場合があれば、再調査するということも考えております。
■西村(智)委員
そうすると、大臣の答弁は間違っていたということですよね。これは中間報告ではなく事実上の最終報告である。
しかも、その後、警察の捜査等々の進展を踏まえて、もし何か必要があればということなんですけれども、この検証委員会は、設置要綱によって任期が今月の八月三十一日までとなっています。ですから、再任とか更新とかいう手続をしないと、この検証委員会は三十一日で消えてしまうということになるわけなんですけれども、大臣、この点についてはどうするんでしょうか。
■塩崎国務大臣
これは、今、甲斐中委員長が御答弁されたように、事情の変更があったりするような場合にはまた継続するということでありますから、これからの任期については甲斐中委員長と御相談を申し上げるということになろうかと思います。
■西村(智)委員
三十一日まであと一週間足らずですので、どうするかということだと思います。
それで、中身について入る前に、まず、検証報告書は本体と要約版というのがあって、要約版とこの検証報告書というのは厚さがほとんど変わらないんですね。大臣、ごらんになりましたよね、要約版と検証報告書。ですので、どこがどう違うのかというのを簡単に探せるぐらいだったので、検証報告書も全部読みました。
それで、一言で言うと、感想は、年金機構に関するいろいろな指摘事項、それから、こういった流出が起きてしまったという要因の分析、その年金機構に関する部分は割と多いなというふうに思ったんです。ところが、厚労省に関する要因の分析ですとか、こういったところがまずかったという指摘の部分は、分量としては余り多くない。
それはどういうことかといいますと、報告書の第二で書かれている認定事実の部分と、第三で原因というふうに書かれている部分とあるんですけれども、認定した事実について、年金機構に関する部分は四ページ弱だったんです、およそ四ページ近く。厚労省に関する部分は三ページ強、三ページを少し超えるくらいだったんです。分量的には似たか寄ったかと思っていましたら、第三の要因分析のところでは、機構に関する部分は三ページ半、結構ボリュームが多かった。ところが、厚労省における要因分析ということでいうとわずか一ページということでして、起きた事象、それから検証委員会が問題として認定した事実のボリュームに比べると、厚労省に向けて要因分析がなされているところがちょっと少ないというふうに私は見たんです。
委員長にお伺いするんですけれども、厚労省の責任追及はやはり引き続きさらにもっと行われていかなければいけない。私は、これは年金機構だけが起こした問題ではなくて、管理監督をする立場である厚労省がやはり責任を負う部分は非常に大きいというふうに思っております。この点について、委員長、いかがお考えでしょうか。
■甲斐中参考人
私どもの提出しました検証報告書につきましては、いろいろな方々からいろいろな御意見をいただいております。ただいま委員からいただいた御意見は、貴重な御意見として承らせていただきます。
ただ、私どもは、あくまでも公正中立な立場から指摘すべきことをきちんと指摘したつもりであります。厚労省の問題点ということにつきましても、報告書の中にきちんと指摘しているつもりでございます。
分量が多いか少ないかということについては、そういう御意見も確かにあろうかと思いますが、一つは、現実に直接問題を惹起した機構と、それを監督する側の厚労省という立場の違いもやはりあろうかと思います。
そういうことで、御意見は承らせていただきます。
■西村(智)委員
これは検証委員会の報告書の中にもありますけれども、セキュリティー部門に専門家がいなかった、こういうことを書かれています。これは厚労省の中でも組織的な問題としてあるというふうに書かれていると私は見受けました。これは大問題だと思うんですね。これは物すごく大きな問題だと思うんですよ。
それについては確かに指摘はされているけれども、では、なぜそういうセキュリティー部門のところに専門家がいなかったのかということ、そして、どうしてこういう大きな流出を防ぐことができるような監督ができなかったのかという分析が検証委員会の報告書の中では全くなされていないというふうに私は率直に言ってお見受けいたしました。そういうふうに読みました。
どちらかというと、確かに、起こしたのは機構の内部の問題であるから、内部の問題はきちんと指摘をしなければいけないけれども、やはり厚生労働省の組織にも大きな問題があったんだということはきちんと検証委員会の中でも本当にしっかりと分析をして、そしてこの検証報告書の中でそれについても対応すべきだということをしなければならなかったんじゃないかと思うんです。
これはこの間私どもの党の委員からも何度も出ている話なんですけれども、やはり厚労省自身も、みずからの問題として、組織的な問題として、どこに欠陥があったのか、どこにその目詰まりを起こすような原因があったのかということを、今回、年金機構は内部の調査委員会をつくってかなり深いところまで分析をした内部調査報告書を出されたと私は思います。そのような内部の調査報告書を、やはり厚労省としてもみずから分析を行うということ、これが抜本的な対策を厚労省自身がとっていくということにつながっていくというふうに私は思うんです。
客観的に指摘されることは大事だと思います。だけれども、みずから分析をするということ、このことで自己改革というのはできていくのではないか、こういうふうに考えるんですけれども、委員長、いかがですか。
■甲斐中参考人
御質問が二つあったと思います。
一つは、報告書の中できちんとした根本原因の分析がされていないのではないかという御指摘でございます。
受け取り方でございますが、その点は、報告書の十五ページのところ、厚労省全体における、特に幹部層におけるサイバー攻撃の脅威や情報漏えいのリスクについての意識が低かったことに起因するという部分や、それから二十七ページの部分にも、機構及びこれを監督する厚労省のいずれにおいても対応が不十分で、標的型攻撃の危険性に対する意識が不足していたという指摘をしております。私どもはこういう分析をしております。
それから、みずから内部調査を行い、きちんとした対応をすべきではないかということでございますが、この点は、私どもは、指摘した事項について厚労省にきちんと対応していただきたい、こういうことを考え、報告書を提出いたしました。したがいまして、それをどう実行するかということについては、厚労省が私どもの報告を受けてお考えいただく、方法はお任せする、こういうふうに考えております。
■西村(智)委員
報告書の中で、せっかく十五ページというふうにも引いていただきましたので、私の方からも申し上げたいのは、三十五ページに、厚労省の監督体制の整備について書かれている項目、「(2)機構LANシステムに対する監督部署の明確化」というところで、「今回標的型攻撃を受けた機構LANシステムについて、厚労省内部で担当部署が不明確であることは、監督省庁としてあり得ないことである。」このように書かれています。あり得ないことだという指摘がなされている。
一方で、三十二ページのところに、これは要因についてなんですけれども、ここの「(2)機構LANシステムに対する監督体制の欠落」のところで、ちょっと途中省きますけれども、厚労省には、機構LANについて、監督権限がどの課にあるのか不明確であって、どの課室もみずからに監督権限があるとの意識がなかったというふうに書かれています。まあそうだと思うんですね。
私、ここから先は本当にどうかなと思う記述なんですけれども、「これでは、機構LANで何らかの危機的事態があったとしても適切な指揮監督ができないのはやむを得ない。」というふうに書かれていて、確かに、監督権限がはっきりしないからそうなんだという結論にはなるんだろうけれども、やむを得ないという表現は、いささか検証報告書の記述としては適さないんじゃないかと私は思っているんです。
水島理事長にもお伺いをしたいと思うんですけれども、機構の方では、今回、内部の問題に厳しく目を向けて、いろいろなことを調査して内部報告書を出しました。そこで旧社保庁時代から指摘されていた諸問題がありというふうにも書かれていて、私はこの文言を読んで、ああ、ここまで書くのかというふうに率直に思いました。
だけれども、一方で思ったのは、この記述はあえてなくてもいいんじゃないか。つまり、社保庁時代から指摘されていた諸問題というのは、その前段のところで具体的に列記されていましたよね。ルールの不徹底とかガバナンスの弱さとか、いろいろなことが具体的に書かれていたので、あえて旧社保庁時代から指摘されていた諸問題という文言は書く必要もなかったのではないかというふうに私は思うんです。
マスコミは、旧社保庁時代からの体質がこの流出問題を招いたというふうにも書いているところはありました。だけれども、旧社保庁時代の体質だけじゃないと思うんですよ。やはり機構と厚労省が、二つの体質、監督責任が曖昧だという体質、また下から上へ物が上がっていかないということもいろいろありましょうけれども、そういった体質が相まって起きたものであって、社保庁時代からの問題だと言った瞬間に何かちょっと思考停止に陥ってしまう危険性があるんじゃないか、私はそういうふうに思いました。
理事長、どういうふうにお考えですか、この点について。
■水島参考人
私どもが調査報告書を取りまとめました見方といいますか、これを若干御説明させていただきますと、みずから原因を究明して、再発防止のためにどうすればいいのかということについて徹底的に見詰めてみようということがまず第一点でございました。
今回の原因は標的型メール攻撃に適切に対処できなかったということでございますが、その構造的な要因としては、我々幹部が業務の実態を十分に知っていたかということになりますと、やはり反省しなければならないというふうに考えておりますし、あるいは、現場が本部との間で情報共有を図るべく努力をしてきたかということに関しては、やはりまだまだ努力が不足していた点というのはあるというふうに考えております。それから、インシデントが発生したときに指揮命令系統ができていなかった。あるいは、やはり一番の問題は、ルールが不在だというときに、緊急時に対応できない、幹部が適切な判断ができなかった。これはもちろん私も含めてでございます。あるいはルールの遵守の問題等々でございます。
検証委員会の御報告でも、「危機に際しての組織としての一体的な対応は、平素の組織の在り方がそのまま表れる。」という厳しき御指摘をいただいております。
これらの問題に関しまして、もちろん日本年金機構の問題でありますが、やはり旧社会保険庁時代に指摘をされてきた問題と言葉も含めて同じ面があるということについては、我々として厳しく受けとめて、将来に向けて再出発をしていかなければならないというふうに思ったわけでございまして、これに関して何らかの意図があったということではございません。
また、厚生労働省の関係に関しましても、やはり御報告が担当者レベルにとどまっていたことについては私どもとしても強く反省すべきだというふうに考えておりまして、ルールづくりについて、もう一度原点に戻って行っていかなければならない。
そういう点も含めまして、日本年金機構再生本部を立ち上げまして、それらの問題を徹底的に見詰めて解決をすべく努力をしようということでございます。
■西村(智)委員
そこで、大臣にお伺いしますけれども、私は、やはり今回の問題は、年金機構の問題であると同時に、厚生労働省の問題だと思っています。
セキュリティー専門家がいないということを放置していたこと、そして、やはりもっと私は踏み込んで、なぜ情報が上がっていっていなかったのか、この分析がこの検証委員会の報告書の中では記載がない。これはやはり厚生労働省自身が自律的に内部の調査をしっかりと行って、その上で対応をとるべきだと思います。
あわせて大臣に、検証委員会の報告を受けてみずからの責任のとり方等々を検討するというふうにおっしゃっていました。その点について、今どのようにお考えですか。
■塩崎国務大臣
今回の検証委員会に書かれているものを私、初めて読んだ際に、これは厚労省の問題点について大変厳しい指摘をいただいたなと。それはもちろん、機構のことをたくさん書いてあるというお話がさっきございましたけれども、機構は、厚生労働大臣の監督のもとで、厚生労働大臣と緊密に連携をするということになっている中での問題でありますから、機構の問題イコール厚生労働省の監督の問題でもあるということでありますし、もちろん、先生御指摘のように、先ほど来私もみずから答弁しているように、厚生労働省自身の危機意識もなかった、あるいはきちっとした体制を組めていなかった、決まっていることも有名無実化していてルールが守られなかった等々いろいろあるということを申し上げてきているので、問題があることは、まさに先生御指摘のとおりだと思います。
厚労省としても、私の指示のもとで、今、次官、厚労審が中心となって今回の事案の原因究明そして再発防止について検討して、既にできるものから鋭意実施に移してきているわけでありますけれども、今般、検証委員会の報告書、そしてまた機構の調査報告書、NISCの調査報告書などがまとめられたことを踏まえて、今、再発防止策を鋭意まとめているところでありまして、公表をしてまいりたいと思っております。
けじめにつきましては、もう何度も申し上げているとおりで、今回、検証委員会の報告等々も踏まえて、私自身ももちろんけじめをつけるということを申し上げてきたわけでありますので、そのつけ方とあわせて、今回の事案の職員の処分に関してもこれから適切に対処してまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員
時間ですので終わります。