■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
私は、安倍政権が女性の活躍促進とか女性が輝く社会を目指すと言っていることはまやかしだと思います。なぜならば、一部の女性が輝くことについては非常に一生懸命であるけれども、困難を抱えている女性であったり、また、今本当にサポートを必要としている一人親家庭であったり、非正規で働いている女性に対しては、今回の労働者派遣法の改悪にも見られるとおり、極めて冷たい態度をとり続けているからであります。
ただ、塩崎大臣にきょう伺いたいと思っていますのは、次の育休・介休法に向けて、現在、厚労省の中で研究会が行われていると聞いております。
私、この前、労働者派遣法の、非正規の方々の育休の取得について質問しました折に、大臣も、非正規の方々の育休の取得条件についてはちょっと問題があるというような答弁も実はしてくださっていました。
大臣に改めて伺いたいと思うんですけれども、やはり、きょう資料でもお配りしていますけれども、非正規で働いている方々の割合というのは、過去二十年以上、ふえてきているわけですね、特に女性。実は、女性の就業率が高くなっているとはいえ、押し上げているのは、非正規の方々が割合としてはふえているということですし、また、資料の一枚目の下につけてあります、働き方別の育休利用状況ですけれども、正規社員の方々は取得がふえてきているんですね、過去二十年。正社員の方の育休取得は過去二十年間ふえているんです。
ところが、パートとか派遣、非正規の方々でいうと、ずっと横ばいが続いている。これは、先日、山本副大臣が御答弁くださいました。正社員の方に比べて、非正規の方の育休取得率は十分の一でしかないと。これを大臣が御存じなかったというのは、私はちょっとショックだったんですけれどもね。
いずれにしても、こういうような状況の中で、やはりこれは、次の改正に向けて取得条件を何とかしていかなければいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
■塩崎国務大臣
実は非正規だけではなくて、一つは、特別養子縁組の際の監護期間の六カ月の話もあって……(西村(智)委員「聞いてないです。聞いてない」と呼ぶ)いや、これは大事な話だから申し上げる……(西村(智)委員「短いので、お願いします」と呼ぶ)ああ、そうか、きょうは十五分しかないんだ。
要するに、そういうところにも問題があって、それから、例えば里親にも認められていないという問題があって、実は同じ問題がこの非正規の問題にもあると私は考えているので申し上げているんです。
それは何かというと、やはりこれは、雇用の継続という観点から仕組まれている制度であるがゆえに、子供の福祉とか、それから、女性の、就業と関係ない、役割の向上とか、そういうことは余り考慮されない仕組みになっているというところが私は問題だということを感じています。
これは全然こんなものには書いていませんので、本質的な問題として、これを解決しない限りはなかなか難しい。ですから、ここに事務方が用意したものを見ると、今の制度のことがいっぱい書いてありますが、それを読んでみたところで余り足しにならないので申し上げませんので、今のようなことを申し上げたということでございます。
■西村(智)委員
里親のことについては、先日、この研究会報告書の案に入ってきそうだということで、中間的に報道もなされているんですよね。(塩崎国務大臣「特別養子縁組だけの話」と呼ぶ)特別養子縁組だということはわかりますけれども、ただ、私は何が申し上げたいかというと、この間、この研究会の報告書案として出ているのは、例えばさっき大臣がおっしゃった里親、半年の試験養育中も育休の取得が可能になるということで「法改正へ」というタイトルがついていたり、それから、これはけさですけれども、介護休業の分割取得も可能になるということで、法を改正して対応する方針ということで、要するに、何が言いたいかというと、次の育休・介休法に向けては、こういう形で、こういう法改正になりそうですよということがもう出てきているんです。
ただ、非常に残念なのが、私、この資料の一枚目につけたように、パートとか派遣の育児休業の取得が過去二十年間にわたってずっと横ばいが続いている、しかも正社員の取得と比べては十分の一、このような状況を、この法改正を行わないということで放置しておくのがいいのかどうかということなんです。
有期契約労働者の育児休業の取得条件については、三つ言われています。一つが、当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上であること。二つに、養育する子が一歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。三つに、当該子の一歳到達日から一年を経過するまでの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかでないこと。
こういうふうに三つ言われているんですけれども、ILO条約、百五十六号条約があります。これに基づいての百六十五号勧告というのも出されています。ここでは、正規と非正規の方々に、家庭生活との両立の上で、待遇条件に差があってはいけませんよということを言われているわけですから、私は、ここはやはり育休の取得条件についても差をつけない方が望ましいというふうに思っています。
ただ、これは、有期契約の方々については、さっき私が申し上げた一と三の要件がもう一載せ、要件として載せられているわけですね。無期で働いている人たちは二番目の要件が課せられているだけで、一と三の要件は課せられていません。
これはやはり、私は、将来に向けて、撤廃をしていくような法改正が必要ではないか、そうでないと、ふえている女性の非正規の割合、そして、ふえていかないその中での育休の取得率というこの状況がいつまでたっても改善しないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
■塩崎国務大臣
さっき申し上げたことが本質だと思っていまして、今三つの要件を言っていただきましたが、育児・介護休業法というのは、育児を理由とした雇用関係の終了を防いで、つまり、さっき言った雇用の継続、これが目的なんですね。労働者の雇用の継続を目的としていることから、有期契約労働者については、相当期間雇用の継続が見込まれると考える者に限って育児休業を認めているというのが現状の仕組みなんです。
ですから、さっき申し上げたように、それともう一つ加わっているのは、法律上の親子でないとだめだということがあって、それが特別養子縁組の場合には監護期間でもというのは、早晩それが見えているからということで例外的に認めるという方向の御意見が出ているということのようですが、里親は親子の関係では法律上ないので、そうならないし、何よりも、雇用の継続を目的としているというところでこういう条件が課せられているということでありますので、そこのところをどうするかという、育児休業制度の仕組みを含めて私どもとしては検討しないといけないなということを今考えているわけです。
それともう一つは、先ほど、今検討が政府内で進んでいるじゃないかということですが、これは研究会で進んでいるので、この後、研究会は研究会の意見としてお出しをいただきますが、その後、審議会で正式にかかりますので、そのときは、またもう一回、その研究会の結果を見ながら、新たに議論をするというプロセスが参りますので、ぜひとも御議論を御一緒に賜れればありがたいなというふうに思います。
■西村(智)委員
これは立法府の意思として、一番最新の育休・介休法の法改正のときに、この衆議院の厚生労働委員会で、平成二十一年、附帯決議が付されているんです。そこには、「有期契約労働者への制度の適用範囲の在り方について引き続き検討すること。」というふうに、これは立法府の意思として加えられているわけですから、ここは、大臣、よく認識をしていただきたいと思うんです。
私はなぜ今回の研究会報告を非常に注目してきたかというと、恐らく、この後、労政審の雇用均等分科会でこの研究報告をもとに法改正に向けて議論されていくんだというふうに思うんですけれども、読んでいてよくわからない文章がいっぱいあるんですよ。
もう時間なので、最後にまとめてお伺いしたいと思うんですけれども、これは研究会報告書の案の十九ページのところに、「子が一歳に達する日までの間に、労働契約期間が満了し、かつ、労働契約の更新がないことが明らかである者のみ育児休業が取得できないこととすべき、との意見があった。」というふうに書いてあるんですけれども、これは一体何を意味しているのか。逆の意味として、更新するかもしれないという人は全てとれるということというふうに理解をしていいのかということを伺いたいと思います。
大臣、やはりここは大臣のリーダーシップが必要なところだと思います。労政審の議論に委ねる、大臣はそこに逃げるおつもりかもしれませんけれども、私たち民主党政権のときは、審議会も、あるいはこういった形での研究会も、政務三役が可能な限り出席をしたりして、いろいろな意見を賜りながら一緒に議論はさせていただいてきたんです。そういったことからしても、大臣のリーダーシップが非常に重要だと思うんですけれども、この法改正に向けてそれを発揮していただけるのかどうか、そこをお伺いして、終わりたいと思います。
■塩崎国務大臣
今、報告書案の一部の御指摘がありましたけれども、現在の育児休業の取得要件のうち、子が一歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれることについては、将来の雇用継続の見込みの判断が労働者、事業主ともに困難であること等から、子が一歳に達するまでの間に確実に雇用契約が終了する者以外は育児休業が取得できるようにすべきとの趣旨から御提案をいただいた意見の一つと認識をしているわけでございます。
そういうことで、雇用の継続というのが絶えず育児休業の判断にかかわってくるので、それだけで本当にいいのかということも含めて考えていかなきゃいけないなということで、私もちゃんと審議会の方にもメッセージを発していきたいと思いますし、私は、いろいろな審議会にも、こんな分科会にまで大臣は出たことないというところまで出向いてこれまでもやってきていますので、その辺はきっちりやっております。
■西村(智)委員
終わります。ありがとうございました。