■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
まず冒頭、きょうの委員会の開催について、一言抗議を申し上げたいと思います。
私たち民主党は、今回の労働者派遣法の審議入りに、まだその前提条件が整っていない、大臣のたび重なる答弁の撤回そして謝罪、そして厚生労働省内部の、担当者によりますたび重なる間違ったペーパーの配付、そしてその撤回や新たなペーパーの提出、本当に私たちは何をもとにしてこの法案の理解をしたらいいのか、何をもとに議論をしていったらいいのか、極めて一人一人の理解が曖昧な、ばらばらな状況の中で、入ることはできないと主張してまいりました。
しかし、今回、委員長職権できょうの委員会開催が立てられましたので、私たちは、もう本当に苦渋の思いでありますけれども、出席をして質疑に立ちたいというふうに考えておりますが、まず冒頭、委員長、今後このような職権立てによります委員会開催が頻繁に行われることがないように、円満な理事会の運営、そして厚生労働省に対する叱責をお願いしたいと思います。
■渡辺委員長
ただいまの御指摘に対しまして、真摯に受けとめ、さらに、今後、公正かつ円満な委員会運営に努めていきたいと存じます。
■西村(智)委員
私たちがなぜ労働者派遣法の審議入りは認められないという立場をとっているかと申しますと、やはり、いわゆる一〇・一問題についてのペーパーなんですね。
この問題は、実は問題でも何でもない。確かに、経済界の側から見れば、都合よく使ってきた派遣労働者を手放さなければいけない、あるいは、それを盾に、労働契約申し込みみなし制度を発動されて、裁判、訴訟を起こされるかもしれないという意味では、そこは問題だというふうに思うんです。
だけれども、派遣労働者の側から見れば、このみなし制度が発動されるということについて、本当に期待をしている人たちがいらっしゃるというこの現実を考えたときに、私は、一〇・一問題というのは、問題でも何でもなくて、この法案に対する立ち位置をはかる、言ってみれば、物差しというかバロメーターのようなものだというふうに思っております。
労働者の側から見れば、この申し込みみなし制度というのは、言ってみれば、期待というか待望するものである。しかし、このことについては、このペーパーの中では何ら説明をされてこなかったわけでありますし、非常に重要な点でありますので、このことについて私も幾つか質問をしたいというふうに思います。
お手元に資料を配付しております。
大臣、大臣が予算委員会でごらんになったのは、この一枚目の1のペーパー、この一種類であるというふうに理解してよろしいですね。
■塩崎国務大臣
足立先生が御質問された二月二十三日の際に配られた、今先生御指摘の、お配りの一番目のこの書面を二月の二十三日に初めて見ました。
■西村(智)委員
私たち、昨日の部門会議で担当者からいろいろ事情を聴取いたしまして、昨日の夜に、このペーパーについて、時系列的なことも含めて資料を提出してもらいました。
その中では、いわゆる一〇・一問題ペーパーについては、適宜リバイスを加えながら使用しているというふうに記載をされていました。適時リバイスを加えて、その都度、この議員にはこのペーパー、この議員にはこのペーパーという形で、全く違うものが配付されていたということですから、それぞれの議員が、言ってみれば、違う理解のもとでこの法案の九月一日施行の必要性というものを理解しているということなんです。
逆に言うと、私たちは九月一日に必ずしも施行する必要はないというふうには思っていますけれども、そういう理解が個々の個人で別々のものが存在するということなんですけれども、これはやはり大変大きな問題だと思います。
大臣、適時リバイスを加えながら使用されてきたこのペーパーについては、何種類あるというふうに思っておられるでしょうか。
■塩崎国務大臣
いわゆるこの一〇・一問題で作成した資料は、大きく三種類でありますけれども、当初作成した補足説明資料をもとに、適宜編集をした、リバイスをしたものが他に二種類存在いたしますので、合計五種類今あるというふうに思います。
それは、御要望に基づいて出したものが一番最後にお配りいただいているものだと思います。その手前が、マスコミ用につくるという簡潔版もございます。(発言する者あり)静かにしていただけますか。
そういうものも含めると五種類ということで、当初の作成資料は、もう御案内のように、法案担当課において、昨年の冬ごろ、法案の施行日の説明を行う際の補足資料として使用する目的で作成されたものであって、それをわかりやすい説明資料とするため、適宜リバイスを行ってきて、三月の十七日の資料というのがあると思いますが、これが、記者に対して派遣法改正案に関して説明をする中で、現行制度のまま十月一日を迎えた場合に起こり得る問題を説明する目的で作成したものでございます。
■西村(智)委員
五種類あるということなんですね。本当に、一つの資料がこのように刻々と内容を変えられ、そして、それぞれの議員のもとに別々に配付をされているということなんです。
それでは、大臣にこのペーパーの中身についてお伺いいたしますけれども、この五枚のペーパー、一体どこが違うんでしょうか。どこが変えられてきて、内容的にその意味を変えてきているのでしょうか。
■塩崎国務大臣
先ほど申し上げた記者の分は三月の十七日ですけれども、四月二十八日は、部門会議で御要望があったので、正式に厚労省として出してこいということなのでお出しをしたということでありまして、一番最初のものと、あと二つリバイスしたものがあって、あとは記者に、当然これはお配りをすることは説明の際に必要ですし、それで、四月の二十八日は、民主党の部門会議での御要望に従ってやったということを改めて申し上げたいと思います。
どこが変わったのか、こういうことでありますが、わかりやすい説明資料とするために適宜リバイスを行っていた段階においては、「経済界等の懸念」という見出しが最初のものにはございました。それから、「訴訟が乱発するおそれ」というのが下から二つ目の箱の一番下にございます。こういう記載などを削除し、「予想される問題」という項目も最終版に至るには削除をしているということであります。
記者説明資料の段階では、これはもちろん「経済界等の懸念」という項目を削除したり、それから、「訴訟が乱発」、それから「訴訟につながるおそれ」、これは表現を変えたということでございます。
それから、十月一日以降に考え得る状況として例示をしていた二ケースというのが、一番最初にケース1、ケース2というのがありますが、これについては、不用意な表現もあって、また一般的な表現ではない部分がございますので、適正化をしているわけでございます。
それから、正式見解、一番最後に作成を、要求をいただいてつくらせていただいたものでありますが、この正式見解の資料の段階においては、派遣先の四二%が受け入れをとめるといった誤解を生じるおそれがある表現、これについては記載を削除しているなどの違いがあると承知をしております。
■西村(智)委員
違いがあるということは、これは大臣の指示で1のペーパー、つまりは、「経済界等の懸念」というふうに書かれているものから三枚目のペーパーへと変更させたときに、例えば「訴訟が乱発するおそれ」という文言を変えさせたり、あるいは、「(全体の四二%)の派遣の受入をやめる可能性」という、この「予想される問題」のところを削除したりということですので、大臣の理解としても、訴訟が乱発するおそれなどはないし、また、二十六業務の派遣の受け入れをやめる可能性がなくなったというふうに大臣も理解しているというふうに受けとめてよろしいですね。
■塩崎国務大臣
私が見たのは、この一枚目とそれから最後であって、今回の御要望をいろいろ言われた中で初めて見たのが二枚目、三枚目、そして、記者にお配りをしたというか説明に使ったという、事務的にやっていることについても私は特に見ておりませんでしたので、一枚目ということと、それで、これはもう何度も申し上げますけれども、二月の二十三日に足立先生がお配りになった際に、これは不適切な表現がたくさんあるねというので、そこから使わなくなっていたわけであります。
後に、二カ月ぐらいたってから、民主党の皆さん方から御批判を得、そしてまた、共産党の小池先生から参議院において御指摘を受けたのが四月でございまして、それで最終的には、民主党の部門会議で、正式な厚労省としての説明の資料として紙を出してこいというので、最後に出したということであります。
今御指摘の、表現をどう思ったのかということでありますけれども、先ほど来申し上げているように、誤解を招くし、言ってみれば、大げさな表現で、不正確であったりということで、今のような表現は控えるようにということでございまして、もちろん、それぞれ全く根拠がないことを言っているかというと、そんなことはないと思いますが、しかし、余りにも表現が不適切だということで、これは使わない方がいいと言って使わなかったということでございます。それで、あえてつくれというので一番最後のを出してきた。その途中の二枚は、適宜、審議の際に説明を必要と感じたときに使わせていただいたものだというふうに理解をしております。
■西村(智)委員
今の大臣の答弁を聞いていますと、不適切だというふうには言ったけれども、間違っているというふうには思わないと。そこは微妙なニュアンスの違いだと思うんですけれども、でも、全く立ち位置が違う話だと思うんですよ。
私たちは、この表現はやはり間違っているというふうに思っています。だから、このペーパーの存在そのものが、今回、労働者派遣法の審議の入り口に立つに当たっては、本当に大きな問題、障害になってしまっているということだと思いますし、また引き続いてお伺いいたしますけれども、この点について大臣は、また誤った、間違った答弁、冒頭の発言を、先日の十五日の衆議院厚生労働委員会、この場でされておられます。
大臣は、五月十三日の衆議院厚生労働委員会の答弁において、局長、部長が知らなかったと申し上げましたが、実際は局長、部長ともにペーパーの作成について報告を受けており、その発言を訂正して、おわびしますというふうに、冒頭、発言をされました。
昨日、我が党の部門会議で、厚生労働省の局長が、みずから配付をしていた、手渡していたというふうに発言をいたしました。大臣の先日の委員会での冒頭の発言とそごがあります。これは、報告を受けていたのではなくて、みずから手渡していたという表現が正しいわけでありまして、そういうふうに訂正をしなければいけないというふうに思います。
再度、大臣、訂正するつもりはありませんか。
■塩崎国務大臣
先ほどの、今先生御指摘の点については、局長、部長が、一番最初、去年の冬につくったときに知らなかったというふうに私は理解をしていましたけれども、つくっていて、それを部下が使っているということは知っていたということを私は知らなかったので、大変申しわけなかったということを申し上げたわけであります。それで前言を訂正し、おわびを申し上げたということであります。
局長が配っていたということについては、五月十五日の厚生労働委員会において、局長は、記憶は定かではなく断言することはできない旨の答弁を行っているというふうに承知をしているわけで、一方で、昨日の民主党厚生労働部門会議において、問題となった当初の資料をリバイスしたものを配付していたということが、この資料を見て、局長は、配ったことがあることを思い出したということで、そのような旨の発言をしたとのことであって、答弁が虚偽ということではないというふうに理解をしております。
問題となった当初のペーパーについては、私の責任で、繰り返して申し上げますけれども、改めて、一〇・一問題に係る厚生労働省の正式な補足説明資料として示すようにということで御要望が民主党からございましたので、衆参の厚生労働委員会の先生方に配付をしたところでございます。
■西村(智)委員
問題は、先日十五日の厚生労働委員会で、大臣が、「局長、部長が知らなかったと申し上げましたが、実際は局長、部長ともにペーパーの作成について報告を受けており、」という発言、これはやはり間違っているというふうに思うんですよ。
本当はここは、私たちが確認したのは局長なんですけれども、きっちり、それを配付していたということを、言ってみれば、この発言の中では含んでいないわけですから、私は、やはりここは、厚生労働省の中から、済みませんでした、大臣、大臣に先週こういうふうに発言してもらいましたけれども、本当はこういうことなんですと言って答弁を訂正してもらわないと議論が始まらないところだというふうに思います。
大臣、改めて伺います。
もう一回、その事実関係をきちんと整理していただいて、この厚生労働委員会でその大臣の答弁を訂正すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
■塩崎国務大臣
これはもう既に訂正して謝罪を申し上げたわけでありますけれども、去年の冬に局長、部長が知らなかったと私は認識しておりましたけれども、知っていたということで、私は訂正をし、謝罪も申し上げているわけであります。
局長が言っていたのは、この場で答弁を答弁者としてしておりましたのを私は聞いておりましたけれども、自分では配付した記憶がないということを言っていたのでありまして、私が今回、きのう民主党の部門会議に局長が行って、そこで、これでいくと二枚目のバージョンを見せられて、これを配ったということを指摘されて、そこで本人は思い出したということでございますので、そこについては、私の発言自体は、繰り返し、記憶が定かではなく断言することはできないということを局長が言っていましたよということを申し上げたところでございますので、そこについては訂正をする必要はないと思います。
ただ、繰り返し申し上げますけれども、最初の時点で知っていたことを私が知らなかったことは、おわびをして訂正したということであります。
■西村(智)委員
記憶にございませんと言えば全てが丸くおさまるというわけではないんです。これは今後とも追及をしていきたいと思います。
ペーパーについて、私は一つだけどうしても聞きたい。
正式バージョンですと言われたペーパーの中にも、「十月一日以降に想定される状況」として、「訴訟につながるおそれ」があるというふうに書かれています。これは誰が恐れているんですか。厚生労働省ですか。誰が恐れているんですか、「訴訟につながるおそれ」というのは。
■塩崎国務大臣
「訴訟につながるおそれ」というのは、誰かが恐れているわけではなくて、可能性という意味であります。
■西村(智)委員
訴訟につながるのがおそれであるというふうには私は思いません。そのことについてもまた改めてお伺いしたいと思います。
質問を終わります。