■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
一般質疑ということで、三十分時間をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。
まず冒頭、昨日の夕方、閣議で、名づけられた名前は平和安全法制、私たちはこれは日本が戦争できる国にするための法制だというふうに思っておりますけれども、これが閣議決定をされました。聞くところによりますと、新法を含めて十本もの法律が一本の法律として、物干しざおのようにぶら下がって提出をされてくる、そして、極めて乱暴なやり方だと思いますけれども、審議が始まってくるというようなことだそうでありますけれども、実は、提出されようとしているこの新法の中で、医療、宿泊、施設の利用など、厚生労働省及びこの厚生労働委員会にかかわってくると思われる部分が非常に大きいというふうに私は思っています。
まず、昨日の閣議決定に抗議をしつつ、今後、この議論の中では、厚生労働省も、あるいはこの厚生労働委員会も非常に重要な議論の一翼を担っていかなければいけないというふうに思っておりますので、そのことはまず冒頭申し上げておきたいと思います。
そして、二点目ですけれども、先ほど大臣から、委員会の冒頭、一〇・一ペーパー問題について、答弁が間違っていたということで、その訂正とおわびの発言がありました。私は、そのこと自体は了として受けとめたいというふうに思います。
しかし、問題は、既に配られてしまったそのペーパー、厚生労働省の中で冬に作成されて、そして、なぜ九月一日に労働者派遣法の改正案が施行されなければいけないかという、その本当に重要な問題について説明するペーパーで、多くの議員、複数の議員のところに説明資料として回られているという実態が既にあるということなんです。
ですから、厚生労働省は、このペーパーが間違っていたということで、二月中に配付したこの資料について、ようやくゴールデンウイークになって、改めて資料を作成し直して、何と各議員のところに、今度、説明して回り直すということではなくて、ポストに入れてそれで終わりというようなやり方でありますから、これは私はとても大きな失態だというふうに思います。
ぜひここは、もう一回説明をし直す、そして、労働者派遣法が、きちんとみんなが同じ前提で、頭の中がきちんと整理された状態で法案審議に入れるようにということを、まず冒頭、強く申し上げたいと思います。
またこの点については我が党の他の委員からも質問があるかというふうに思いますので、そちらの方で議論をお願いいたします。
さて、先ほど法案の質疑ということで一時間質疑が行われまして、労働者派遣法の改正案について幾つかの議論がありました。
私は、労働者派遣法は、多様な働き方を働く人たちに提供するという極めて耳ざわりのよい言葉で飾り立てられてはおりますけれども、労働者の権利、そして女性の権利ということからすれば、やはりこれは大変大きな問題がある制度だというふうに思っております。
この労働者派遣制度ができ上がった過程は、まさに日本が右肩上がりの経済成長を続けていた時代で、そしてその中で、男性が外で仕事をし、女性は家庭の中で家事や育児や介護をする、こういう性別役割分業意識というものが根強くあった。そこにもってきて、スキルを持った女性もいらっしゃるわけであります。専門的な業務、通訳ですとか、いろいろなその仕事をされている方々がいらっしゃる中で、自分の都合のいい時間帯を使って外に出て働くということは、まさに性別役割分業意識とぴったり鍵穴が合うように、マッチしたように社会の中に広がってしまった。
それがどんどんどんどん専門業務以外のところにも広がってきてしまって、今や本当に、一つの職場の中で正社員の方もいれば派遣労働者の方もいる、またパートやアルバイトの方々もいる、そして、一人一人がどのような仕事をしているかを全く問わず、責任の重さがどうであるかを問わずに、雇用形態が違うということで分離、分割されてきてしまった。そしてその中で、均等待遇というものが置き去りにされて、均衡待遇というものだけが議論の俎上にのってきたということで、本当に雇用が分断されてきた数十年間だったというふうに私は思っているんです。
ですから、今回は、この労働者派遣法の改正案の中で、常用代替の防止ということ、それから臨時的、一時的であるという原則、この労働者派遣の原則である二つの原則が、派遣業務の制限が撤廃されたこと、そして派遣期間の制限がなくなってしまったこと、このことによって本当に大きくねじ曲げられてしまったというふうに思っています。大変大きな問題であります。
私は、きょう、この派遣制度のことについて、そして派遣法の改正案について少し触れながら、その中身についても少しだけ質問をしたいというふうに思っておりますけれども、まず、労働政策審議会の議論の過程についてであります。
今回の労働政策審議会分科会では、派遣業界の代表者の方が二名オブザーバーとして加わって発言をされてきたというふうに聞いております。聞くところによると、その派遣業界の代表者の方が発言しているボリュームが非常に大きい。言ってみれば利害関係当事者でありますよね。そうした方々の発言が極めて長い時間を占めたと言われている労政審でまとめられた建議、それからそれに基づいて今回提出されている法案、これについては私はやはり問題があるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、この点については、大臣はどうお考えですか。
■塩崎国務大臣
今回のこの改正法案に至るまでの審議は、当然のことながら労政審で行われてきたわけでありまして、そこの中で議論を尽くして建議として方向性が示されたわけで、それに従って法律をつくらせていただいている、こういう理解でございますので、公労使、この三者構成による労政審における審議に基づく今回の改正ではないかなというふうに思っておるところでございます。
■西村(智)委員
労政審の中でさまざま議論が行われたということを厚生労働省の側は言うんだというふうに思いますけれども、私はやはり、今回の労働者派遣法というのは、派遣業界の方の意見よりは、むしろ聞くべきは、派遣で働いていらっしゃる方々の実態がまさにみんなが共有する情報として議論されるべきだったのではないか、その実態をつかんだ上で今回の審議会は進められるべきではなかったのかというふうに思います。
残念ながら、大臣も、派遣労働をされていらっしゃる方々の意見はなかなか聞く機会がなかったというふうに漏れ聞いております。法案が作成された後でようやく何人かの方とお会いになったということなそうでありますけれども、それではやはりちょっと遅いんじゃないでしょうか。
だから、この法案の中身は、雇用安定措置という名のもとで、さまざま派遣元あるいは派遣先についていろいろなことが求められてはおりますけれども、言ってみれば絵に描いた餅に終わってしまっている。それが大きな問題だということなのであります。
私は、今回の改正案の中で規定されている雇用安定措置、これについては、実効性は大変疑わしいというふうに思います。
昨日ですか、我が党の部門会議で法案ヒアリングを行いまして、そこで説明を受けたんですけれども、雇用安定措置として、派遣元に対して、派遣期間が一定期間に達する有期雇用派遣労働者については、以下のいずれかを実施する責務を新たに課すということで、一、二、三、四、このように四つの項目が挙がっておりまして、派遣先への直接雇用の依頼をしたときに、直接雇用されなかったときは、そのほかの措置のいずれかを講ずるものとするということになっているんですね。
つまり、これは何かというと、依頼をすればいいということ、あるいは、依頼をして断られたら、それ以上の義務はそこにはもう何も課されていないということなのであります。義務違反に対しては指導するというようにも厚生労働省は言っておりますけれども、私はこれは、厚生労働省が派遣元に対して指導するだけではなくて、本当は派遣労働者の権利としてきちんと書き込まなければいけないということなんだと思うんです。
これは、裁判なんかになりますと、必ず争点になるのはそこです。派遣労働の方が、例えば職場でいろいろな問題が起きて不条理なことが起きた、訴訟に持ち込んだときに、裁判で勝てるかどうかというのは、それがまさに権利として法律に書かれているかというところが大きな肝になるわけですから、そこはやはりしっかりと担保をしなければいけない。
これが、雇用安定措置が図られ、そしてそれによって本当に派遣労働者の雇用が安定するという担保、それが派遣労働者の権利であるということは、今回の改正案のどこに書いてあるのでしょうか。
■塩崎国務大臣
今回の雇用安定措置というのは、今まで、現行法では派遣元は派遣期間終了後の雇用継続を図る責務がなかったというところが、派遣労働の雇用が不安定な原因の一つになっていたというふうに思われるわけでありまして、そして、そういうことを踏まえた上で、初めて、派遣労働者の雇用継続を図る派遣元の責務を創設したというのが今回のこの雇用安定措置でございます。
今回の改正案における雇用安定措置は、同じ職場で三年派遣で働いた方が引き続き就業することを希望する場合には、雇用の安定を図るための措置を講ずることを派遣会社に新たに義務づけるものでございますけれども、今、労働者の権利としての位置づけはどうだ、こういうお尋ねでございましたが、これは、労働者派遣法がそもそも事業を規制する法律でございまして、法制的には、労働者の権利として位置づけるものではなくて、派遣会社の措置義務として位置づけるものでございます。
労働者派遣事業については、現在四分の三が届け出制となっておりますけれども、今後は全て許可制とすることとしておりまして、許可制を通じて雇用安定措置の履行もしっかりと確保してまいりたいというふうに考えておりまして、今、権利として条文化がどこにされているのかという御質問に対しては、これは事業規制法でございますので、派遣会社の義務として定められているということでございます。
■西村(智)委員
大臣みずから、今、実効性がないということをお認めになった、権利としては書かれていないということをお認めになったわけであります。
ですから、雇用安定措置というふうに名前を変えても、看板をかけても、これは何の実効性もない、また、これをもって本当に派遣で働いていらっしゃる方々が安定した職場で安心して働き続けることはできないということが明らかになった、残念ながら、そう申し上げざるを得ません。
そして、キャリアアップ支援というのも、今回は、新たな支援策といいましょうか、推進をされるということであります。
しかし、これも先ほどと同じ話なんですけれども、派遣労働者の方一人一人に着目をしたときに、先ほどの雇用安定措置、そして私が今から話をしますキャリアアップ支援、これは、本当にもっと実効性のあるものとして書き込まなければ、うそじゃないか。名前だけ、キャリアアップ支援だとか雇用安定措置だとか言っておきながら、それは業を支援するものであるということにとどまってしまっているわけですから、派遣で働いている方々には、言ってみれば、どれくらいのその後の労働条件の向上に実際つながるかということは全く見えないわけですね。
このキャリアアップ支援についてなんですけれども、これも私は本当に不思議に思っています。
派遣元が派遣労働者に対して教育訓練とかキャリアコンサルティングを行う、そういった義務違反に対しては厚生労働省がまた指導するということなんですけれども、これは、派遣元が、みずからが持っている派遣労働者に対して本当に中身のある教育訓練あるいはキャリアコンサルティング、こういったものを実行してくれることになるんでしょうか。私は、そこは大変疑わしいと思います。
なぜかといいますと、例えば登録型派遣は、教育訓練などを幾らやっても、その投資をどのくらい回収できるかというのは、登録でその都度ということになりますから、これはなかなかわからないわけであります。
例えば、派遣労働者に対して派遣元が一生懸命教育訓練をやったというときに、競合しているほかの会社からフリーライドされたりしてしまったらということを考えると、私は、派遣元自身に派遣労働者に対する教育訓練をやるインセンティブというかメリット、これはなかなか生まれないと思うんですよ。
そこを厚生労働省が、指導とか、あるいは許可制にするからということで、申請だとか更新だとかということをちらつかせながら指導するということでは、これは新たなイタチごっこを生むだけで、本当に派遣労働者のための制度ではないというおそれがあります。
これについては、大臣、どうお考えですか。
■塩崎国務大臣
先ほどの話にちょっと戻りますけれども、何人かの方々あるいは何社かの方々から私も派遣の実態、派遣で働くことの実態についてもお話を聞きましたが、やはり今までの状況を見てみると、先生今御指摘のとおり、必ずしもキャリアアップの努力を派遣元はしていないケースが散見をされるというか結構あったということは、私も問題意識として持っておりました。
そこで、今回このような法改正をさせていただいて、今まで、例えば正社員化のためにキャリアアップをするということを派遣元に対しては何ら義務化をしていなかったわけでありますけれども、今回は、教育訓練あるいはキャリアコンサルティングを許可要件として、教育訓練等を義務として創設すること自体が、今までとは全く違う措置として大きな意義があると私たちは思っています。
なおかつ、この許可要件という前提は、何度も言っているように、今回は、四分の三が届け出だったものを一〇〇%許可制にするということでありまして、許可をする際に、そもそもキャリアアップに向けた教育訓練等の仕掛けを持っていないところは許可をされないということにまずなるわけであります。
そういう中で、キャリアアップに向けての教育訓練をやってもらうということになるわけでございますので、これは今までとは全く違うことでありますし、教育訓練は当然、義務でありますので、有給、無償で行われるということになるわけでありますから、これまでとは違う、全く違うということをまず御認識をいただければありがたいなというふうに思います。
■西村(智)委員
私は、派遣元も業として一つの会社を運営しているわけですから、自分の会社の利益を最大化するためにいろいろなことを考えて経営をやられるというふうに思うんです。その中で、厚生労働省が義務として創設するということなんですけれども、会社自身になかなかインセンティブというものが生まれてこない仕組み、労働者派遣という仕組みの中でもうそれは持って生まれた性格なんですけれども、やはり私は、このキャリアアップ支援も本当に実効性に乏しいものになるというふうに思います。
また、そのことを通じて本当の意味で均等待遇につながるのかということは、どこにも担保されていません。均等待遇につながっていくということがこの法律のどこかに書いてあるのであれば、私は、キャリアアップ支援もそれは意味をなしてくるというふうに思います。雇用安定措置も意味を持ってくるというふうに思います。だけれども、均等待遇というものが全く書かれていない。そして、派遣労働者の皆さんが、例えば何かあったときに派遣元や派遣先に対してそれを権利として要求することができるという仕組みがないわけですから、これはもう絵に描いた餅でしかないというふうに私は断言をいたします。
派遣労働者の実態を、大臣は先ほど何人かの方から聞いたというふうにおっしゃいました。賃金が下がっています。過去十年くらいのスパンで見ても、単価が、時給が下がっている。そして、生活と仕事の両立が非常に難しい。特に女性へのセクハラ、これは大変深刻です。先ほどもありましたけれども、派遣元が派遣先にいろいろな気を使って、何か相談事があったとしても声すら上げられない。また、派遣労働をしている人たちも、何か自分が一言言ったらすぐさま派遣が打ち切られてしまうんじゃないかというその不安で、言い出すことができない。
これは、連合が行った調査でいいますと、例えば、育児休業を申し出る、あるいは妊娠をしたということを申し出るときに、正社員の人は、会社の上司に言うときに少し言いにくいという気持ちがあるんだけれども、派遣で働いている人たちは、正社員の人たちよりももっと高い割合で、やはり自分がそういうことを言い出したら派遣が打ち切られるんじゃないかということを非常に不安に思っていて、言い出しにくいと。保育所に預けられないから、本当は働きたいんだけれども働けないという実態もある、こういうこと。
そして、社会保険の適用ですとか、それに関する差別なんかもさまざまありますし、それから、労災補償を申請したときに、やはり派遣労働者というのは労働の実態がなかなかつかみにくいということもありますから、本当に不条理な働き方を強いられているというのが、私は、今の日本の労働者派遣制度の実態なんだというふうに思います。
今回の改正で、厚生労働省は、これで正社員への道が広がるんだというふうに胸を張っています。しかし、これまでの実態を見ても、派遣社員の方を正社員へと転換した企業は本当にごくわずか、一握りでしかありません。
また、総務省の労働力調査を見てみますと、そもそもが非正規で働いた人が正規社員へと転換される人数は少ないんですけれども、その中でも、例えば平成二十二年から平成二十六年の五年間のスパンをとってみても、派遣社員から正社員へと転換する人の人数は減っているんです。この五年間で半分ぐらいになっているんです、毎年毎年。こういう実態の中で、本当に正社員への登用というのが進むのか。
そして、私は、これからもまた問題になってまいりますいわゆる一〇・一問題、申し込みみなし制度が十月一日から施行されることになっているということで、これに期待をしている派遣労働者の方がやはりいらっしゃるということを大臣はしっかりと受けとめてもらいたい。そういった皆さんの希望を言ってみれば踏みにじるようなことをして、今回、法改正をして、この申し込みみなし制度を言ってみれば潰してしまうような、派遣労働をしている方々の思いを潰してしまうような法改正は、私はやはりあってはならないというふうに思います。
大臣への質問は、今回、改正によって、みなし規定の適用の幅は狭まることに残念ながらなってしまいます。これらを通じて、今私が申し上げたような現状、派遣社員から正社員に転換される人は極めて少ないということ、そういうことを実施している企業も少ないということの中で、本当に正社員への登用というのが進んでくるのかどうか。これについて、本当に大臣は、これから正社員への登用が、今までは減ってきているけれどもこれからは進むんですということを断言することができますか。
■塩崎国務大臣
今回の派遣労働についてでありますけれども、もともと派遣労働は多様な働き方の一つであることは言うまでもないわけで、正社員を希望する人もいれば、また逆に、臨時的、一時的な働き方として派遣を積極的に選んでいる方も、私が会った中にも何人かはやはり、むしろ派遣の方がいいんだという、家庭の主婦が働くとかそういう場合の働き方としてはそちらの方がむしろありがたい、フルタイムで働くことは子供の関係で難しいというようなこともおっしゃるわけでありますので、なかなか難しいと思うんです。
しかし、いずれにしても、正社員化を希望している人が正社員への道が開かれるかどうかというお尋ねだと思いますのであれですけれども、派遣会社に関して、今回、今申し上げたように、今までなかったものとして、まず雇用安定措置も導入をすることにいたしました。これは直接雇用の依頼を含むわけであります。それと、正社員化を含むキャリアアップの措置として、先ほど来申し上げております教育訓練、キャリアコンサルティングの実施を、これも新たに法律で義務づけるということをしている中で、派遣就労への固定化を防ぐための措置を強化しているということであります。
先ほど申し上げたとおり、今までがよかったということを決して言っているわけではないわけで、問題があったことはよく理解をした上で、さらによくするためにやろうじゃないかということで今回の改正をさせていただくわけであります。
まず、許可制というのも、今申し上げたように、キャリアアップのための義務を新たに課すという中で、それぞれがキャパシティービルディングをしていただければ、恐らく派遣元も、こうやって義務化されれば、どこが正社員になる率が高いのかとか人数が多いのかとか、当然のことながらこれは競争にもなるというふうに思うんですね。ですから、そういうようなことで新たな義務を課す、そして、許可制を初め新たな規制を強化する、そういう中で、正社員になる手だては今までよりもはるかにふえているというふうに思います。
結果としてどうなるのかということは、さっきお話がちょっとございましたけれども、いろいろな諸要件によって、あるいは御本人の希望にもよりますし、いろいろな形でどうなるかというのは、数字の上でふえるか減るかというのは、それはまた別問題であります。
ただ、今はっきりしていることは、働き盛りの五十五歳以下の方々の中では、たしか八四半期だったと思いますが、正規から非正規になるよりも、非正規から正規になる人の方が多くなっているというのが昨今の事情でございますから、経済全体が伸びている中で今そういうことが起きて、むしろ、非正規ももちろんふえてはおりますけれども、非正規から正規になる方々も大変ふえているということも事実であることを加えておかないといけないというふうに思います。
■西村(智)委員
厚生労働省が義務を課すことによって新たに民間企業の競争が生まれるなどという話は、私は聞いたことがありません。
それから、これで派遣労働者がふえるか減るか、それは経過を見るというような大臣の発言は、非常に無責任だというふうに思います。
私は、やはり今回の労働者派遣法というのは、極めて大きな、制度的といいましょうか構造的といいましょうか、そういった問題をはらんでいるこの日本の雇用慣行の中で、派遣労働者の皆さんが本当に不条理な思いをして働いていらっしゃる、それを解消するものでなければならないというふうに思いますし、また、本来であれば、均等待遇を実現するということ、そして、働いている人の権利を守るために何ができるかということのために今回は知恵を出すべきだったのではないかというふうに思います。
労働条件の提示等々を派遣先が行うということ、これは義務化された。これは一定の評価はできるというふうに思います。だけれども、問題は、労働条件と乖離している派遣労働の実態があるということなんです。それをどうやって把握するのか、それが全く手だてとして含まれていない。
このような改正、制度については、私はもともと、一〇・一ペーパーの問題については、大臣は先ほど謝罪をされましたけれども、厚生労働省は、新しいペーパー、どこをどう直しました、だからこの新しいペーパーに、ここの部分を変更してなりましたということの説明を含めて、もう一回説明をし直して回っていただかないと、法案審議の状況は整わないというふうに思います。
そのことを申し上げて、私の質問を終わります。