■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
まず、きょうの委員会が委員長の職権によって立てられたことに対して抗議をしたいと思います。
公平公正な委員会運営でしっかりと審議時間をとり、多くの国民が注視する中でこの委員会が運営されていかれますように、冒頭、ぜひ要望をさせていただきたいと思います。
先ほど来、我が党の議員からさまざまな質問がありましたけれども、例の一〇・一問題のペーパーについて、私からも一言申し上げたいと思います。
この内容は、なぜこの法案を九月一日に施行しなければならないかという理由を説明する、私はやはりこの法案の肝となる極めて重要なペーパーだと思っています。
それが、派遣労働者の約四二%が失業するかもしれないという記載があるものがその理由として示されていたわけですので、誤った情報によって、言ってみれば、この法案を九月に施行しなければいけないという理由が浸透させられてしまっているというところがやはり私は大きな問題だというふうに思います。
その中身についてもいろいろあるんですけれども、まずは、このペーパーの作成そのものについて、実は今、阿部委員からもメモをいただきまして、私も、この作成の経過についてはやはりいま一度明らかにしていただきたいというふうに思っています。
一つは、作成のための会議が、いつ、何回、出席者が誰で、ペーパーの原案を作成した担当者が誰で、何種類つくったのかということ。
そして二つ目には、ペーパーとして成案を見た後の処理。決裁のプロセスや最終責任者は誰であったのかということ。
そして三つ目は、実際の使用状況。どの議員に、いつ、誰が配付したのか、また、そのとき受けた質問や意見はどのようなものであったのか、それは伺いたい。
そして四つ目、最後として、撤回までのプロセス。これは誰の判断で撤回をすることにしたのか、決裁者の責任や管理者の責任はどうであったのか。
これは公文書のあり方として非常に重要なものだというふうに思いますので、ぜひこの点については理事会の方に提出をしていただきたいというふうに思います。
■渡辺委員長
理事会で協議いたします。
■西村(智)委員
それで、私はきょうは、政務三役の皆さんのこの連休中の海外出張についてお伺いをしたいと思っています。
先ほど山井委員からの質問で、塩崎大臣、ドイツを訪問されたと。出張というのは、大体、予定したものが予定していたとおりにいくばかりではないから、会いたいと思っていた人に会えないということもありますし、また急な変更もあるかというふうには思いますけれども、やはり大臣が出張されるということであれば、事務方は相当力を入れて日程調整を事前にするものだというふうに思うんです。
それで、会えなかった方がいらっしゃるというのはとても残念なんですけれども、少しお伺いをしたいのは、政務三役の出張について、やはり行ってこられた後ですから、どなたと会って、どういう話をしてきて、またどういう成果が得られたのかということについてはお伺いをしたいと思ってお伺いするんですが、塩崎大臣、ドイツ、スイスへ出張された五月の五日に、ILOの事務局長、そしてWHOの事務局長、また世界エイズ・結核・マラリア対策基金の方々との会談が予定されていたかというふうに思いますけれども、このお三方とは会えたでしょうか。
■塩崎国務大臣
おかげさまで会えました。
■西村(智)委員
それでは、ILOの事務局長はガイ・ライダーさん、私も、ITUCの書記長であったときに一度お目にかかったことがあります。非常に見識の高い立派な事務局長さんだというふうに思いますけれども、彼からは、日本の法律の成立過程について何か言及はありましたでしょうか。
つまり、今回のこの通常国会に提出されている、一つには労働者派遣法、そしてもう一つは労働基準法、この成立過程と申しましょうか、法案作成過程でいいますと、私は、やはり労政審の議論というのはかなりないがしろにされてきているというふうに見ているんです。
一つは派遣法ですね。労政審で建議が出てきたものをベースに法案はつくられているということなんですけれども、この通常国会で出てきた修正された法案は労政審は通っていません。
もう一つ、労働基準法は、これはもう労働側からの反対意見が付されているということですから、やはりILO条約で言うところの政労使三者構成原則、これは今、日本の中ではかなり危うくなってきているのではないかというふうに懸念をしているんですけれども、その点、ILOで何かおっしゃられましたでしょうか。
■塩崎国務大臣
労政審のロの字も出なかったです。
むしろ、アベノミクスはすばらしいという話をガイ・ライダーさんがおっしゃって、世界経済のあり方について随分お話がありました。特に、アメリカ経済はまあまあ成長しているけれども、中国がスローダウンをしているとか、いろいろお話がございましたが、しかし、これは西村先生も政府におられたからわかると思いますけれども、外交というのはやはり言っていいことと言って悪いことがございますので、なかなかそういうことをたくさん言うわけには、私としても、先方の了解を得ないとお話ができないというふうに思います。
何をお話ししたかぐらいは、テーマぐらいは、お話はもちろん私の一存でも大丈夫かと思うので申し上げれば、日本の経済、それからアメリカ、中国、ヨーロッパ、そして南米の経済、さすがに、我々はついつい南米とか中南米の話を忘れてしまいますけれども、世界の経済の動向というものに物すごく敏感で、よく考えていらっしゃるんだなと。中で、日本の経済の再生というものには大変な関心を持っておられて、アベノミクスがどこまでやれるのか、うまくやっていただけるのかということを期待を持ってお話をいただいたというふうに思いました。
■西村(智)委員
大臣の出張ということですし、また、先ほどの山井委員の質問の中で、議員の方とお会いになったときにも秘書官はちゃんとついていっておられますよね。議事録といいましょうか、議事録的なメモぐらいは、私はそれは残っているんだというふうに思います。ILOの事務局長との会談でも、それは恐らく作成をされているというふうに思います。
この二つについて、議事録、まあ議事録ということになりますとちょっと大部になるのかもしれませんけれども、そのあたりは、海外出張ということで秘書官が一緒についていっている会談ですので、メモぐらいは出てくるのではないか。それは要求をしたいと思いますけれども、いかがですか。
■塩崎国務大臣
これは先生も御存じで言っているんだろうと思いますから、外交の常識として、そういうものを出すということはまずあり得ないというふうに思います。
■西村(智)委員
いや、あり得なくないですよね。それはお互いに了解をすれば出せる話ですし、逆に、アベノミクスのことについていいと言っていられる会談であれば、それはむしろ出させてくださいというふうに頼むべきではないかと思うんですけれども、そこはぜひ検討していただきたいというふうに思います。
今回の連休中の大臣の出張の成果を検証するという意味でも、そこは非常に大事な部分だというふうに思いますので、いま一度検討してくださるようにお願いをいたします。
続いてですが、橋本大臣政務官、連休中に日・ニュージーランド若手国会議員招聘プログラムというのに参加されていらっしゃいますね。これはどういうプログラムですか。
■橋本大臣政務官
お答えをいたします。
日・ニュージーランドのプログラムですけれども、これはニュージーランド政府が行っている事業でございまして、若手の国会議員として、今回、私がそのお招きをいただいたということでございます。
■西村(智)委員
何人くらい参加されているんでしょうか。
■橋本大臣政務官
私一人でございます。
■西村(智)委員
どういう経過で橋本政務官のところに声がかかりましたか。
これは海外出張というふうに出ておりますので、厚生労働省経由で声がかかるべき話ではないかと思います。また、そうでなければ、いわゆる一般的な政務ということであれば、声がかかっても、私の常識でいうと、そこはやはり辞退をするという流れになるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
■橋本大臣政務官
今回については政務でございます。経緯は、ニュージーランド政府の方で御判断をいただいたということでございます。
■西村(智)委員
政務官でいらっしゃる方が相手国からの政府の招聘で海外に行くということは、私は余り聞いたことがないんですね、実は。それはかからないことが多いと思いますし、仮に声がかかったとしても、政務ではないどなたかが行かれるという方が、そこはやはり適切だったんじゃないかというふうに思っております。
これは、費用はどういう形で支出されたんでしょうか。
■橋本大臣政務官
本来、政務でございますので、政務官としてお答えをするべきことかどうかとまず思います。
と同時に、先ほどお話をいただきましたように、ニュージーランド政府のプログラムということは既に御承知のことと思います。費用はニュージーランド政府の方で支出をいただいているものと承知をしております。
■西村(智)委員
このゴールデンウイークは、衆議院で国民健康保険法等が上がった直後でありました。たしか政務官はその担当でいらっしゃったというふうに思います。連休が明けて、いよいよ労働者派遣法の本格的な議論が始まるという中で、また、参議院でいろいろな法案があるという中で、厚生労働委員長も今回ゴールデンウイークは海外出張はされなかったそうでもありますし、そこはやはり少し自制をしていただくべきだったんじゃないかというふうに私自身は思っております。
行ってこられたということですし、向こうの政府の招待ということですので、それは、ここから先、例えば議事録を出してくださいとか、誰に会ったというふうな話を聞けばよろしいんでしょうけれども、それをやっているとかなりまたこれだけで時間を食ってしまいますので、そこは省略いたしますけれども、ぜひ橋本大臣政務官には、政府としての自覚、今回、とにかくこの厚生労働委員会にはたくさんの法案が付託されているし、されようとしております、その自覚を持ってぜひ公務に当たっていただきたいというふうに思っております。これは私の要望でございます。
もうお一方、永岡副大臣にお伺いしますけれども、永岡副大臣は、この連休中、どちらに行ってこられて、何をされてこられたのでしょうか。
■永岡副大臣
お答えいたします。
このゴールデンウイーク、厚生労働省の公務ではなくて、政務としてタイに行くことがございました。
厚生労働副大臣として、この場でいろいろその内容についてお答えする立場ではないのかなというふうには思いますが。
■西村(智)委員
いや、これは我が党の国会対策委員会で、永岡厚生労働副大臣の海外出張についてということで、政務扱いではありますけれども、出張目的は政治経済事情視察ということでいただいているペーパーをもとに私は質問いたしております。
ですので、どこに行ってこられて、どういう視察をされてこられたのか、明確にお答えください。
■永岡副大臣
政務として行きましたタイでございますが、五月の二日、土曜日でございます。それから、帰ってまいりましたのは五日になります、火曜日でございます。に行きまして、現地の、これは観光事業者ですね、タイの方もいらっしゃいましたし、あと、日本人の観光業者との意見交換をいたしました。また、現地の農業者との意見交換もさせていただきました。
以上です。
■西村(智)委員
それは一体どういう方々でしょうか。現地観光事業者との意見交換、現地農業事業者との意見交換などのためというふうに書かれておりますけれども、では、その意見交換にはどういう場面でどういう方々がいらして、どういう話をされたのか、お答えをください。
■永岡副大臣
これこそ政務だと思っております。
ですから、申しわけございませんが、この委員会で答える立場にはないのではないかと思います。
以上です。
■西村(智)委員
これは海外出張ということで与党が提出をしてきた資料ですので、私は、政務だから何も話さなくてもいいということではないというふうに思うんですね。
実際、この連休中に意見交換をされてこられた。これは政務とはいえ、副大臣でいらっしゃいますから、それはやはり厚生労働行政にかかわる何がしかの見聞、こういったものを深めるために、そしてまた日本の内政事情の向上のために行ってこられたことだろうというふうに思いまして、それでお伺いをしているんですけれども。
■永岡副大臣
今、委員の推測に基づいたお話を私は伺わせていただきましたけれども、非常に、私にとりまして有効な意見交換ができたかと思っております。
しかしながら、別に厚生労働畑の話でもございませんし、お答えする必要はないのではないかというふうに考えております。
■西村(智)委員
それでは、今回の海外出張は厚生労働行政とは全く関係のないものであったということでよろしいですか。
■永岡副大臣
私の関心のある分野での話し合いでございました。
■西村(智)委員
では厚生労働行政には関心がないというふうに、裏返すと聞こえてしまうんですけれども、厚生労働行政とは全く関係のない旅をこのゴールデンウイークにされるというほど、私は、今の厚生労働省のあり方、そんなに緩んでいるのかというふうに思うんです。
副大臣がゴールデンウイークに政務と称して、だって、これは海外出張ということで、視察というふうに出て、あえてこれは出ているものですよね。それで、実際に行かれた副大臣は、いや、それは厚生労働行政とは関係ありません、自分の関心のあるところでということですと、この厚生労働省、本当にたくさんの重い案件がある中で、それほど余裕のあることなのかというふうに思うんです。
それでは、永岡副大臣にお伺いをいたしますけれども、今回の海外出張で何か得られた成果、厚生労働行政と関係のないところというふうにお聞きしましたけれども、では、一体何か成果がおありでしたでしょうか。
■永岡副大臣
余りにしつこくお聞きなさいますので、私が感じたことを一つ、厚生労働行政についてお話しさせていただきたいと思います。
タイという国は、軍事政権になりまして、日本から見ますと、政治的なもので大分不安定なものであったというふうに私は認識しておりました。その中で、医療保険につきまして大変私も興味がございましたので、先生が、厚生労働行政に全く興味がないのかというお話もございますが、そんなこともなく、やはり伺ってまいりました。
そうしますと、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、日本では国民皆保険が当たり前でして、所得の多い少ないにかかわらず、余り高くないお金を払って私たちは医療を受けられます。それはタイはどうなのかということをお聞きしますと、やはり、自費で多くのお金をかけて立派な医療を受けられる方もいらっしゃれば、そういう方ばかりではなくて、所得の低い方、そういう方たちは、保険があるけれどもなかなか充実した医療は受けられない、そういう実態を把握してまいった次第でございます。
■西村(智)委員
副大臣は、どこに行って何をしてこられたのかという私の質問には実は正確にはお答えになっていなくて、タイに行かれたときにプーケットに行かれているんですね。バンコクに一泊もせずにプーケットに飛んで、プーケットで二泊されて、そのままバンコク経由で羽田に帰ってこられたということなんですね。非常にうらやましい話ではありますけれども。
やはりそこは政務三役であるという自覚をしっかりと持っていただいて、私は、この現地観光事業者との意見交換あるいは現地農業事業者との意見交換などということが、厚生労働副大臣である永岡副大臣が行かれて、一体どの程度のものができたんだろうかというふうに思うんです。(発言する者あり)失礼ですか。
いや、だって、農業の関係の方々と一体どのような形での意見交換をされたのかということについても今副大臣はお答えになっていないわけですから、私は、しつこいと言われようと、やはりそこは聞かなきゃいけないというふうに思うんです。
このような姿勢で今厚生労働行政が行われているということは、ここはしっかりと反省をしていただきたいというふうに思います。また、今後、さまざまな法案が出てまいりますけれども、重々そこは自覚を強めていただいて審議に当たっていただけますようにお願いをいたします。
そろそろ時間になりましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。
ありがとうございました。