■大島委員長
西村智奈美君。
■西村(智)委員
民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。
きょうは、民主党は女性デーでございます。私を含めて五名の女性議員が登壇して質問いたしますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。特に、大島委員長、お計らいをよろしくお願いいたします。
■大島委員長
こちらこそ、よろしくお願いします。
■西村(智)委員
さて、安倍内閣は、全ての女性が輝く社会づくりというのを目指しておられるそうです。
実は、この女性の活躍促進は、民主党の野田政権時代にスタートした考え方でございまして、特に、厚生労働省で行われているポジティブアクションなどの中身を拝見しますと、私が副大臣であった当時、小宮山厚生労働大臣のもとでのプロジェクトチームでつくられた、働く「なでしこ」大作戦、これがベースになっているというふうに拝見をいたしました。
民主党政権で進められた取り組みが今継続されている、こういうことなんだろうというふうに思いますけれども、しかし、自民党政権と私たち民主党政権、民主党の考え方の違いというのは、やはりいろいろなところで随所に見えてまいります。
やはり、鳴り物入りで入閣をした女性閣僚お二人が任期途中でやめてしまわれたり、そして、これもまた目玉法案とされていた女性の活躍推進法案が急な解散・総選挙で廃案になってしまった。やはり女性や女性政策というのは人気取りのために使われてしまったのかというふうに、がっかりした女性が多かったというふうに私は思っています。
私たち民主党は、やはり一人一人の女性の人権というものにきっちりと目を向けて、それを尊重して、そして多様性を認め合う、そういう社会をつくるということから、例えば、シングルマザーや非正規で頑張って働いておられる方々、また社会制度のさまざまなひずみの中で苦しんでおられる方々の声にもしっかりと耳を傾けて政策をやってきた、そういう実質をとるやり方をやってきたんだというふうに自負をいたしております。
そういった観点から、私はきょうの質問をさせていただきたいと思っています。
まず一つ目でありますが、政治と金をめぐる問題です。
二〇二〇年までに女性の参画を社会のあらゆる分野で三〇%にする、これは政府目標でございます。残念ながら、政治の分野、政策決定分野においてはこの取り組みはちょっとおくれているようでありまして、やはり女性にとって政治というのは少し遠いところにあるのではないかという感覚があるのかもしれません。しかし、それでも少しずつふえている女性議員ですから、また女性閣僚ですから、やはり、今までとは少し違う、政治と金をめぐる問題についてもしっかりと説明責任を果たしていく、そういうことを通じて、政策決定過程においても女性をふやしていくというような手伝いができるんじゃないかなというふうに思っております。
さてそこで、あべ農水副大臣にお伺いをいたします。
あべ俊子政策研究会、これはあべ農水副大臣の後援会のような組織だというふうに拝見をいたしますけれども、この平成二十四年分の収支報告書を拝見いたしましたら、政治活動費からお中元代として二十四万六千二百七十円の支出が一月の五日に見られております。
あべ農水副大臣は、お中元を一月に贈っていたんでしょうか。お中元の定義とあわせてお答えください。
■あべ副大臣
西村委員にお答えいたします。
あべ俊子政策研究会、私の団体でございますが、お中元の記載の点でございます。
これは年末にお贈りしているものでございますが、計上が一月になってしまったということの記載ミスでございます。
■西村(智)委員
一月の五日の支出なんですけれども、これは単なる記載ミスですか。一月でしたら、お歳暮の支払いで一月にずれ込むというのはわかるんですけれども。
では、お中元とお歳暮の定義について教えてください。
■あべ副大臣
申しわけございません。お歳暮とお中元の記載ミスでございます。
■西村(智)委員
この平成二十四年分の収支報告書には、そのほかに、七月と八月にお中元代として四十四万六百四十七円。そうしますと、合計で六十八万六千九百十七円、これがお歳暮代ないしはお中元代として支出をされているわけです。
平成二十三年には、お中元代として二十三万五百九十円。
平成二十五年には、お中元代が三万三百八十円、それからお歳暮代が二十三万六千八百円、それで合計二十六万七千百八十円。
お中元とお歳暮のオンパレードなわけでありますけれども、お中元やお歳暮を贈るということが、あべ副大臣の政治活動なのでしょうか。
■あべ副大臣
お歳暮とお中元に関しましては、私が政治活動を行う上で特にお世話になっている自民党本部の職員の方々、また、国会議員事務所の方々にお贈りしているものでございまして、政治活動というふうに考えられるものと思っております。
■西村(智)委員
先ほど私、冒頭申し上げましたけれども、やはり、女性議員ないしは女性閣僚というのは政治と暮らしを近づける存在でなければいけないと思いますので、今のような説明で、本当にそれが、政治活動から支出するものが適正なのかどうか、ここは私、よくよく考えてみる必要があるというふうに思うんですね。
本当に、あべ農水副大臣の政治活動というのはお歳暮やお中元を贈ることなんでしょうか。
■あべ副大臣
お中元とお歳暮を贈ることが政治活動として必要だということでございますが、それは、お歳暮とお中元を贈ることが政治活動ということではなく、政治活動をしていく上で必要な経費と私ども考えておりまして、特に、党の職員、また、さまざまなところで私が政治活動をしていく上で、一人で政治はできないという観点から、私ども政治活動の一環として考えてございます。
■西村(智)委員
大変恥ずかしいといいましょうか、これを堂々と収支報告書に政治活動費として記載されるということが、私は本当にどういうものかというふうに思うわけですね。
ちょっと話はかわりますけれども、靖国神社社務所に、同じく平成二十五年だったと思いますが、政治活動費から献灯代として二十一万二千円が支出をされております。
例えば、高市大臣、靖国神社に参拝されていらっしゃいますよね。その是非については私も申し上げたいことはありますけれども、それについてはとにかく、さておき、高市大臣は、参拝されるときには個人として参拝し、玉串料はポケットマネーから支出をされているというふうにおっしゃっておられます。
あべ農水副大臣は、これを政治活動費から支出している。このような支出がふさわしいというふうにお考えでしょうか。
■あべ副大臣
西村委員にお答えいたします。
今回の、この平成二十四年の政治資金収支報告書に入っております靖国神社の献灯代の件でございますが、政治活動の支出として問題ないと考えておりまして、靖国神社、選挙区外でもございますので、その点におきましても問題はないと考えて、支出したところでございます。
■西村(智)委員
そこはよくよく高市大臣からも御指導いただいた方がいいのではないかというふうに思いますけれども。
こうした支出の中身一つ一つというのは有権者の目に触れるわけでありますし、やはり、政治家が政治活動費としてこのような使い方をしているということは、議員活動として、あるいは政治活動として私はふさわしくないというふうに思います。ぜひ、そこは適正な支出がされるように、今後はしっかりとチェックをしていってもらいたいというふうに思います。
週末、私も地元に帰りまして、いろいろな方とお会いをしました。そうしたら、やはり皆さんの話題は、政治と金をめぐる問題、一体どうなっているのと。特に女性の方からの嫌悪感といいましょうか、すごく疑問視する声が大変多かったわけであります。
この間、西川前大臣は、法的には問題はないとおっしゃりながら辞任をされました。しかし、まだわからないことがあります。
それは、彼が恐らくみずから公表したんだというふうに思いますけれども、関連会社等報告書、この訂正を行い、それと同時に、所得等報告書については記載がなかったわけですけれども、それを訂正したということで、その訂正の中身は、二月の二十八日に報道されたものによりますと、また、これは所得等報告書、閲覧してきたものでございますけれども、雑所得として五百七十三万九千二百四十七円がございます。その内訳は、厚生、共済、企業年金、そして出演料、講演料というふうになっておりましたが、この講演料のところに、括弧として、顧問料を含むというふうに、これは先月、二月二十七日の時点で追加記入をされたということのようでございます。
追加記入されたということになりますと、最初からここの部分に本当に入っていたのか、それとも、入っていなかったんだけれども、後から説明を合わせるためにあえて書き加えたものではないか、そういう疑いもあるわけでありまして、私は、ここは徹底的に事実を解明しておく必要があるというふうに思います。
そこで、委員長にお願いなんですけれども、既に玉木委員そして後藤委員から西川前大臣の参考人招致の要求がありますけれども、私からも、あえてもう一度お願いをしたいと思います。
この雑所得の内訳となっております厚生、共済、企業年金、出演料、講演料、この全ての項目の中身について、個別にその詳細を明らかにしていただきたい。特に講演料の積算については、一つ一つ明らかにしていただきたい。このようにお取り計らいをお願いしたいと思います。
■大島委員長
理事会で協議いたします。
■西村(智)委員
安倍総理も、福島で先日、この政治と金をめぐる問題については発言をされておりまして、閣内にいようと、与党、野党であろうと、しっかりと説明責任を果たさなければならないということであります。ですから、西川前大臣がこの場でしっかりとそれについて説明をする責任があるというふうに思っております。
また、この点については、通告をしておりませんけれども、塩崎大臣に一点お伺いしたいことがございます。
二〇〇六年に、大臣が代表を務める党支部が、補助金を受給している法人から二百二十四万円の献金を受けておられます。これが発覚したのが今から七年前の二〇〇八年の一月。もう既に長い時間がたっておりまして、このときに、明らかになった当時で返金をした閣僚の方も何人かいらっしゃったようなんですけれども、塩崎大臣はこの二百二十四万円を返金されたでしょうか。
■塩崎国務大臣
通告を受けていないので、ちょっと調べないとわかりませんので、後日、また調べて御報告したいと思います。
■西村(智)委員
よろしくお願いいたします。
それで、私は、今回の政治と金をめぐる問題、これだけ次々と出てきたのは本当に残念だというふうに思っております。
特に、子供の教育を所管される下村大臣のもとで、今なおわからないことがとても多い。加えて、また、新聞報道等によりますと、支援団体の会費が下村文部科学大臣の政党支部に献金として還流をしていたのではないか、そのように疑われるような新聞記事も多々出されております。
私は、この問題については、やはり政治資金の透明化を図るというのが政治資金規正法の立法趣旨であったというふうに思いますので、ここは、任意団体としてではなく政治団体としてきっちりと登録をして、そして国民の皆様の目の前にその流れをさらす、そのことによってその是非を国民の皆さんから判断していただく、そういう方向へと向かわせなければいけないのではないかというふうに思います。
改めて、下村大臣にお伺いをいたします。
これは大変大きな問題になっておりますけれども、任意団体それぞれの御判断だというふうに下村大臣はおっしゃるでしょうが、やはり大臣が関係をされている団体でございます。下村大臣の方から、政治団体へと登録する、そのように促すと申しましょうか、取り計らうと申しましょうか、そのようなことはお考えにはなりませんでしょうか。
■下村国務大臣
まず申し上げたいんですが、新聞記事の、それだけであたかも疑惑があるような質問をすることについては、これはぜひ訂正していただきたいと思います。国会は事実に基づいて議論をする場だと思います。
今御指摘がありましたが、これまでも何度も説明させていただいていますが、改めて説明させていただきます。
東京都の選管に届け出をしている博友会以外の全国にある地方の博友会、これは六カ所ございますが、塾の経営者など民間教育者らの有志の方で構成をする、懇親のための任意団体であります。
地方の博友会は、各地域の有志の皆さんで運営をしておられ、私の事務所の者が一切タッチしているわけではありませんし、また、私自身、財政面を含めたこれら団体にかかわる具体的な運営に関する事柄は一切存じ上げておりません。
地方の博友会の皆さんからは、年に一度ぐらいは顔を見せて仲間に話をしろと言われており、年に一度行って懇親をしているという実態であります。この年に一度程度の懇親会はそのような集まりでありまして、政治目的を持った会合ではありませんし、まして政治資金を集めるような集まりでもありません。実際、地方の博友会から寄附を受けたり、パー券の購入をしてもらったことはありません。
また、私の選挙区は東京十一区でありまして、地方の博友会は選挙区外であるということで、私の政治活動とも無関係でございます。
このような位置づけでありますので、私の方から、こうしてほしい、ああしてほしいと言う立場ではありませんが、任意団体のそれぞれの皆さんが独自に判断されることだと思います。
ただ、今回、国会でもこういうふうな議論が出されているということでありますから、それぞれの任意団体が疑惑を持たれないような対処をそれぞれ判断されるというふうに思います。
■西村(智)委員
私は、大臣自身がそのように促すといいましょうか、大臣の関係団体としてのやはり説明責任の部分というものはあると思いますから、それに対してはこれからもぜひ応えていってもらいたい。
今の答弁では、私の質問に対する答えには全くなっていないということは申し上げたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
下村大臣、LGBTという言葉を御存じでしょうか。
■下村国務大臣
性的マイノリティーのことでしょうか。
■西村(智)委員
今、有村大臣か上川大臣からこそこそっとつぶやかれたので、それでおわかりになったのかもしれませんけれども。
L、レズビアン、ゲイ、それからバイセクシュアル、トランスジェンダー、この頭文字をとってLGBT。そのほかにもいろいろな言い方はありますけれども、性的マイノリティー、性的少数者を指していう言葉だというふうに言われております。
こういった方々が、大臣は、日本でどのくらいの人口規模でいらっしゃるというふうに想像されますか。
■下村国務大臣
実際、これは統計をとっているわけではないと思いますので、存じ上げておりません。
ただ、今回、渋谷区で条例を出すということについては報道されております。渋谷区で、男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例、これが報道されておりますので、条例をつくるぐらいですから、かなりの方がいらっしゃるかもしれないというふうには思っております。
■西村(智)委員
下村大臣御指摘のとおり、渋谷区で、今度、パートナーシップ条例案が提案をされる。二月議会も始まったでしょうから、そろそろ提案をされているかもしれません。
アメリカの推計ですと、全人口のうち性的少数者は三から五%程度いらっしゃるのではないかという、これは推計です。しかし、日本では、その現状というのはほとんどわかっていない、実態はわかっていない。
民主党は、先ほど冒頭申し上げましたけれども、多様性を認め合う社会というのを目指しています。私は、今回のこのパートナーシップ条例案が、そういった性的少数者の方々との共生社会に向けて、ある意味大きな一歩になるのではないか、そういう予感がいたしているわけでありますけれども、上川大臣、お伺いいたします。
一人の女性政治家として、この条例案が提案されるというニュースをどういうふうに受けとめられたでしょうか。
■上川国務大臣
今回の報道がございまして、先ほど西村委員も御指摘がありましたけれども、アメリカなどではそうした方たちがいろいろな形でいらっしゃるということにつきましては、私もアメリカに行ったときに実感しておりましたので、今回は渋谷区が動きが出るということでございますが、その動きについては報道を通して承知をしているところでございます。
■西村(智)委員
法務省では、平成二十六年度の啓発活動年間強調事項というのがありまして、これは十七項目あるそうです。このうちの一つとして、性的指向を理由とする差別をなくそう、こういうことも掲げられています。
大臣自身の受けとめ、この条例案についてどういうふうにお考えでしょうか。
■上川国務大臣
今回、渋谷区が、御指摘のような条例案ということで、区議会に提出するという報道がなされているということで承知をしているところでございます。
条例案の内容につきましては、先ほど、パートナーシップについての証明書という御発言がございましたけれども、詳細について承知をしておりませんので、現時点につきまして、法務大臣として条例案につきましての所見ということについては申し上げるということがなかなか難しいというふうに考えております。
■西村(智)委員
一人の女性政治家としてどういうふうにお考えですかというふうに私は伺ったんですけれども、それについての感想が伺えないというのは大変残念です。
高市大臣にも同じ御質問をしたいと思います。
この条例案について、一人の女性政治家としてどのように受けとめておられるでしょうか。
■高市国務大臣
この場は、あくまでも閣僚として、内閣として、国会に責任を持てる答弁をする場所ですから、一人の女性としてということで個人的な見解を聞かれてもなかなか難しゅうございます。
ただ、地方自治法の精神にのっとりますと、総務大臣が地方公共団体が立案をされようとする条例案について見解を申し述べるということは適切ではないと思っております。
ただ、今回の報道されております条例案に限らず、一般論として申し上げます。地方自治法上の解釈を申し上げますと、地方公共団体は、地方自治法第十四条第一項の規定によりまして、法令に違反しない限りにおいて地域における事務等に関して、条例を制定することができます。よって、一般論ですが、条例を立案される場合には、法令との関係を慎重に検討した上で行われるべきものでございます。
なお、仮に、条例に基づく事務の処理が法令に反するようなものである場合には、地方自治法第二百四十五条の五等の規定によりまして、各法令の所管大臣において是正の要求などを行うことができます。
■西村(智)委員
せっかく女性の閣僚でいらっしゃるので、それぞれお考えがおありなのではないかと思って伺ったんですけれども、お二人のいずれからもお伺いできなかったというのは、大変残念です。
男性と女性がともにその個性を生かし、そして互いに支え合ってともに生きていける社会というのは、やはりそこにはさまざまな想像力が求められますし、また、このような性的少数者にもしっかりと想像力を働かせ、思いをいたして政策をやっていくということは、私は必要なことだというふうに思います。
実は、お二人の大臣がお答えにならなかった理由は、私はうっすらとは想像はしております。
実は、昨年の総選挙の前に、ある民間団体が各政党に対してアンケート調査を行いました。性的少数者への施策について問われたそのアンケートの中で、あらゆる政党の中で、唯一、自由民主党だけが、この問題については人権問題として取り組まなくてもよい、そして、性同一性障害者の人権を守る施策は必要だが、同性愛者へは必要ないというふうに答えておられるわけであります。
つまり、政権全体が、党全体がそういう考え方ということですから、お答えにならない、なれないというのも、私はむべなるかなというふうに思うわけでありますけれども、しかし、これは放置できない問題もあるということは、ぜひ理解をしていただきたい。
実は、性的少数者の方々においては、自殺念慮が非常に高いということが指摘をされております。
民間団体の調査によりますと、その子供の七割、性的少数者と言われる方々が、七割が学校でのいじめに遭って、そして三割は自殺を考えたことがあるという実態なんです。
そして、いじめの内容については、言葉の暴力が五三%、無視や仲間外れが四九%、身体的暴力が二〇%、服を脱がされるといった性的暴力が一一%という実態。また、多くの方々、その七二%が一年以上にわたっていじめを受けているということなんです。また、そのいじめをした加害者の側については、大半が同性の同級生なんだけれども、一二%が担任の教師から受けているということなんです。
他方、別の調査によりますと、教師約六千人を対象にしたこの調査では、六割を超える学校の先生が、同性愛や性同一性障害について教える必要を感じながら、授業で取り上げたことがあるのは一四%にすぎないということです。
平成二十四年の八月二十八日に、自殺総合対策大綱というのが閣議決定されております。ここの大綱の中で、性的マイノリティーについて、自殺念慮の割合等が高いというふうに明確に指摘をされており、同時に、教職員に対する普及啓発等の実施がうたわれております。
下村大臣にお伺いいたします。
現在、この大綱に書かれている教職員に対する普及啓発等の実施、これは実際、今学校の現場でどのように取り組まれていられるでしょうか。
■下村国務大臣
お答えいたしますが、我々閣僚は、それぞれの閣僚の立場で出席をしておりますので、個人的な見解を言う立場ではない。別に、これは隠しているとかなんとかいうことではないということについては、私の方からも申し上げたいと思います。
それから、自殺総合対策大綱についてでありますが、早期対応の中心的な役割を果たす教職員に対し、いわゆる性的マイノリティーに関する理解を促進することと、御指摘のようにされております。
これを踏まえれば、教職員が正しい知識を持ち、子供たちのいじめや自殺の未然防止等を進めることは重要であります。また、子供たち自身についても、他者の痛みや感情を共感的に受容できる想像力等を育むことが必要であります。
このような観点からは、性同一性障害を有する人などに対する差別的言動が許されるものではないことを子供たちが理解することが重要であるというふうに考えます。
今後とも、適切な生徒指導、人権教育の実施を通じまして、性同一性障害を有する児童生徒などが不登校やいじめの被害者とならないよう、学校における問題行動の未然防止等に努めてまいります。
■西村(智)委員
今答弁を聞かれた方もお気づきかというふうに思いますけれども、性同一性障害についてはさまざまな取り組みをするというふうに下村大臣はおっしゃったわけですね。しかし、私は、性的少数者全体に対する、例えば教職員に対する普及啓発、これについてお伺いをいたしております。
性同一性障害は、これは医学的にと申しましょうか、見方はいろいろ、社会学的にもいろいろありましょうけれども、トランスジェンダーの一類型と見られている、その見方が一般的であります。LGBT全体まで含めますと、とても性同一性障害に対する対応だけでは足りない、十分ではない、こういうことなんですけれども、下村大臣、もう一度お伺いいたします。
性的少数者に対して、自殺総合対策大綱に基づいた取り組みを今後どのようにされていかれるでしょうか。
■下村国務大臣
自殺総合対策大綱において、性的マイノリティーということで明記されております。
文科省の中では、これを性同一性障害等ということで表現をしておりますが、今御指摘のように、それは一部分だけということであれば、改めて、等というふうに入っていますが、文言については検討したいと思います。
■西村(智)委員
法務省の啓発活動年間強調事項の中に、性的指向を理由とする差別をなくそうというふうにもあるわけでありますので、ぜひそこのところは文言の整理をお願いしたい。
先ほど、大臣からはそのようにするというふうに明確に御答弁をいただいたと思いますけれども、確認のため、もう一度お願いをいたします、下村大臣。
■下村国務大臣
文部科学省においては、先ほど申し上げましたが、性同一性障害等という言い方をしているということについて、これが性的マイノリティー全体ではなくてごく一部分を指摘するように見える、聞こえるという話がありましたから、この整理をいたします。
■西村(智)委員
整理をいたしますというその文言については、また後ほど、どういうふうに検討されたかということは、場を改めて伺いたいというふうに思います。
あわせて、大臣にもう一点だけ要望があります。学校での実態調査をやっていただきたいんです。
先ほど大臣は、等について整理をするというふうにはおっしゃってくださったんですけれども、日本で、いまだかつて、どこでも、性的マイノリティーについて面的な調査を行われたことはありません。ですから、アメリカの推計で、例えば人口の三%から五%というふうに言われていても、それはアメリカの数字であって、推計でしかない。日本で面的な調査を学校現場でやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
■下村国務大臣
これは、御指摘のように、国として調査したことはありません。
その中で、学校で調査することになると、言葉の定義の問題等々ありますので、これは政府として全体的にそこから取り組む必要があるかと思いますので、関係省庁と相談する中で、学校で調査する場合については、適切な語彙とか定義とかそういうこともありますので、そういうことをしっかりと、意思疎通といいますか、コンセンサスをつくって、そして検討してみたいと思います。
■西村(智)委員
先ほど申し上げましたけれども、非常に自殺念慮が高い層なんですね。ですから、そこに対してきちんと対応、対策をとっていくために、やはり政治の力で実態を可視化していくということは、私は必要だというふうに思います。ぜひそこは、大臣、また後でお伺いをいたしますので、よろしく御検討をお願いいたします。
次に、労働者派遣法について伺いたいと思います。
私は、今回の労働者派遣法、やはりよくないというふうに思います。経団連には賃金を上げるようになどというアピールは盛んにされておられるようでありますけれども、そもそも労働者派遣法は、例外的なものであった派遣労働を、言ってみれば、だんだんだんだんその間口を広げ、そして今回、労働者派遣法という改悪法案によって、常用代替防止という大原則があった日本の労働法制の基本的な原則を大きくゆがめようとしている。
その中でも、特に痛みを受けるのは、これは女性になってくるんだというふうに私は思います。不安定な働き方だとされる登録型の方は、やはり女性の方が多いわけでありますし、それから、さまざまなハラスメントの被害者にもなっている。先日、最高裁で、セクハラ発言をした方が、懲戒処分は妥当という判決がありましたけれども、あの被害者も派遣労働の方だったわけであります。
この常用代替防止の大原則を事実上放棄しようとしている労働者派遣法、そして女性の派遣労働者をさらに理不尽な状態に追いやる派遣法については、私は、やはり女性の問題であると同時に働く人たち全体の問題だというふうに思いますので、そこは大臣もしっかりと受けとめていただきたい。
大臣、大臣は、派遣労働は労働者を物扱いしているというふうにお考えですか。
■塩崎国務大臣
今、先生から幾つか派遣の問題について御指摘がございました。
まず、御存じでない方もおられるといけないので改めて申し上げておきますと、今申し上げたように、これはもともと一時的、臨時的な扱いとして考案された制度ではないかというふうに思っておりますし、そういう位置づけでございます。
実際、今、全雇用者の中でどのくらいが派遣労働者かといいますと、二%でございます。それから、ニーズとしては、もちろん正社員として働きたいという方と、それから派遣労働者として働きたいという方ももちろん、大体半々ぐらいだというふうに我々は、平成二十四年の派遣労働者の実態調査でも思っております。
今、女性の話がございました。女性の比率は五六%、男性が四四%ということを申し上げておきたいと思います。
常用代替ということについて……(西村(智)委員「最後のところだけ答えてもらえばいいです、大臣。物扱いしていると思いますか」と呼ぶ)
ですから、決してそういうことではなくて、さっき申し上げたように、希望して働きたい、臨時的、一時的ではありますけれどもその方がいいというふうに思っていらっしゃる方が半分、そして、正社員になりたいという人が半分ということは、やはり物扱いをするのではなくて、多様な働き方が求められている中で、選択肢としても選んでいらっしゃるということなので。
もちろん、物扱いをしているようなところがあれば、しっかりと指導をしていかなきゃいけない対象でありますからこそ、今回、規制を強化して、全てを許可制にして、そして許可に合わないような、要件を満たさないようなところについてはしっかりと指導をしていくということで、当然、許可の剥奪ということもあり得るわけでありますから。
当然、今先生がおっしゃったような、物扱いするようなことはあってはならないと思いますし、今あるとすれば、しっかりと指導をしていくための規制を今回強化するということであります。
■西村(智)委員
私は、やはり派遣労働というのは、パート労働やさまざまな契約、有期も含めて、分断された雇用の中であえいでいる人たちがたくさんいる、本当に、つらい思い、苦しい思い、理不尽な思いをしている人たちがたくさんいるということを受けとめなければ、労働法制の審議というのはスタートできないんだというふうに思っています。
本来は、そこのところを厚生労働省がしっかりと受けとめて、法改正なりルールの整備なりをやっていかなければならない。
先ほど大臣は、物扱いをするなどということはあってはいけないんだというふうにおっしゃいましたけれども、実は、厚生労働省の中で、大臣の部下がそのような発言をしておられるわけです。人材派遣業協会というところの新年会で、まさに労働者派遣法の担当者がこういう発言をしておられます。これまで派遣労働というのが、期間が来たら使い捨てだったというふうな物扱いだったと。
こういう認識の中で労働者派遣法の議論をしているんですか。このような考え方を持って労働者派遣法改正案を出してきているとすれば、私たちはとても認めることはできない。大臣は、このような発言をされた部下がいらっしゃるということを御存じだったでしょうか。
■塩崎国務大臣
そういった具体的な発言については存じ上げておりませんが、恐らく、現状の扱いにおいて不十分なことがあるということで、今回、さっき申し上げたように、さまざまな規制強化をして、なおかつ、今まで四分の三だったこの届け出制であったものを全て許可制にした上で、それぞれの規制が有効に機能しているかどうかをしっかりと見ていくということで、さらに働きやすくするようにするということ、そして派遣の方々の立場を守るということをさらに強化していこうという意味で多分言ったんだろうと思うんですが、もしあるならばですよ、表現として的確ではなかったのかもわかりませんが。
ただ、その事実は、私も接しておりませんので、存じ上げておりません。
■西村(智)委員
大臣は、部下の方がそういう発言をされたということを、今の今まで御存じなかったようであります。ぜひ、そこはしっかりと調査をしてください。そして、この予算委員会の中で、その真偽について明らかにしていただきたいと思います。
なぜならば、この労働者派遣法に関連して、例えば、新年度予算の中で、キャリアアップ基金ですとか、さまざま労働者派遣制度に関する見直し等々の関連予算があるわけであります。私たちは、厚生労働省が、そして厚生労働大臣がそのような認識で出してきている労働者派遣法の審議はやはりできない、そういう思いを強くいたしております。大臣、いかがですか。
■塩崎国務大臣
課長が発言したということを今引用されたわけでありまして、私の大臣としての法案提出とは全くレベルの違う話であって、私は、さっき申し上げたような考え方でやろうとしているわけでありますから。
今御要望がございましたように、発言の真偽について調べろということでございますので、それはしっかり調べたいと思いますが、どこでの場所かということを、発言かということを、もう一回ちょっと教えていただくとありがたいなと思いますが。
■西村(智)委員
人材派遣業協会の新年会でございます。一月二十七日でございます。テープもございますので、もしでしたら、お貸しすることもできますので、申しつけてください。
今回の労働者派遣法は、本当に、一生涯派遣をやるための法案だとか、いろいろな言われ方をしておりますけれども、私は、一生涯派遣をさせるための法案であると同時に、正社員をゼロにする、そういう法案でもあるというふうに思っております。
雇用安定措置、これについてはいろいろと措置をとるということでありますけれども、それについて、私は一つ一つその内容を精査いたしました。しかし、キャリアアップをしたところで、それが本当に労働者のその後の労働条件の向上につながるという担保は、残念ながらどこにも見えませんでした。これで本当に、物扱いされているとその担当課長が言っているその派遣労働が本当に人間扱いのものになるのかどうか、私は、そこはしっかりと議論をしていかなければいけないというふうに思います。
それから、常用代替防止、この原則が事実上廃止されるわけですね。そういたしますと、安価な、安い値段の派遣労働にどんどん正社員が置きかわっていってしまう、そういうおそれが非常に強いということなんです。これは、まさに日本の労働の質をさらに劣化させる、分断させると同時に劣化をさせる、そういう中身だというふうに思います。
厚生労働省は、口を開けば、これは許可制にしたからいい法案だ、そしてキャリアアップ支援も含めたからこれで労働者の質もよくなっていくんだというふうにおっしゃいますけれども、どこにもその担保はないじゃないですか。出口が四つあるといったって、そのうち一つとれなければ、そのほかの三ついずれかとればいい、それも、派遣元に対しての義務ではあるけれども、労働者の側の権利ではありません。
そして、その後のキャリアアップが本当に、例えば賃金だけではなくて福利厚生、交通費、それから有給休暇、こういったもので本当に均等待遇になるのかといえば、これは絶対にならない。均衡待遇じゃなくて均等待遇を目指していくべきなんです。まず、その根本が間違っている。
ですから、私は、今回の派遣法については、まさに厚生労働省の中で物扱いというその考え方のもとでこの法案がつくられているのではないか。であるとすれば、ここはきっちりと調査をして、この予算委員会の中で提案をしてもらいたいと思います。
委員長、その点について、お取り計らいをお願いいたします。
■大島委員長
理事会で協議いたします。
■西村(智)委員
こういった点一つ一つ見ますと、本当にどこの点が女性の活躍促進なのだろうかというふうに大変疑わしく思います。
私たち民主党は、真の意味で、一人一人の女性の暮らし、生活、そして人権、こういったものに目を向けて、そして、一人一人の女性が本当の意味で輝く社会を目指していく、そのことを改めて誓って、私の質問を終わります。
ありがとうございました。