■中井委員長
これより会議を開きます。
平成24年度一般会計予算、平成24年度特別会計予算、平成24年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
これより締めくくり質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
西村智奈美さん。
■西村(智)委員
おはようございます。民主党の西村智奈美です。
予算委員会も、86時間というかつてないほどの長時間に及ぶ審議、そのうち34時間が集中審議ということでございました。大変中身の濃い議論をリードしてくださった中井委員長に、まずは敬意と感謝を申し上げたいと思います。公平かつ円満で、そして、時には大胆でありながら、緻密に委員会を運営していただいたこと、本当に、振り返ってみても大変学ぶところが多かったなというふうに思っております。
さて、今回の予算案でありますが、政府全体として、現下の情勢に極めて細かく配慮された予算案になっているというふうに思います。
日本再生重点化措置の上積み、そして、他党からはばらまきなどと評されておりますけれども、きちんと所得の再分配に目配りをした子ども手当や高校無償化、そして農業の戸別所得補償のこと、これは効果が高いし、評価もされておりますので、継続すべきだと思います。あわせて、地域自主戦略交付金、沖縄一括交付金の拡充、また、再生可能エネルギーの研究開発等々も含まれておりまして、これは切れ目なくやっていく必要があります。ですから、期日内にきちんと成立させるということが極めて肝要だと思います。
あわせて、そういう直接的な影響だけではなくて、このことが世界に向けて発する政治的なメッセージにもやはり配慮しなければいけないと思います。
先日、日銀が、さらなる金融緩和とインフレターゲットの導入を発表いたしました。これに、米国の動きや、また、欧州の債務危機に対する支援の発表等々もありまして、今、我が国の円高、デフレも極めてよい局面に入りつつある、そういう期待が持てるわけであります。
あわせて、先日、参考人質疑の中で、犬飼参考人が、世界から日本への信頼、信用、期待を失うようなことがあれば、日本と日本経済と日本企業にとって大きな痛手となるというふうなことを指摘されておられました。
市場の信認を確保するということは極めて重要であって、そういう観点からも、この予算案を年度内に成立させる、期日内に成立させるということの持つ意義は大きいと考えますけれども、財務大臣の見解を伺います。
■安住国務大臣
本当に長時間の御審議を中井委員長初め与野党の皆さんにいただきまして、本当にありがとうございました。
今御指摘がありましたように、何とか中期財政フレームで定めた財政規律を守り、同時に、歳出の削減によって捻出をいたしました1兆円規模で、日本再生重点化措置というものを講じたわけでございます。さらに、今度の予算で重要なことは、3兆8000億の引き続き復興に係る予算を盛り込みました。これは、与野党の合意で特別会計の法律も今般、出させていただいているわけでありますが、被災地の復興のために、いち早く、この予算を年度内にぜひ、御審議の上、成立を図っていただければと思いますので、参議院でも引き続き私の方からも強く要請をしたいと思います。
欧州の深刻な財政危機の御指摘は全くそのとおりでございますので、市場の厳しい目に我々はさらされている、そういう厳しい認識の上に立って、財政運営に対する予測可能性というものを高めて、市場から不安を持たれないように、しっかりとこの運営というものをしていきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
政治の停滞というのは、やはり市場にもマイナスのイメージ、印象を与えることになりますので、そうならないように、私たちも力を合わせて取り組んでまいりたいと思います。
さて、復興大臣にお伺いをいたします。
東日本大震災の発災からもうすぐ一年を迎えることになります。先ほど財務大臣からもお話がありましたように、新年度予算案の中で約3兆8000億の復興特会ということで、集中復興期間に19兆円の復興事業費が必要だとされてまいりましたけれども、補正予算と新年度予算を合わせると、大体この19兆円に達したということではないかと思います。
復興庁が発足いたしまして、ワンストップサービスが可能になりました。ぜひ、これからこの強みを生かして、さらに復興を加速化していただきたいと思いますが、大臣の復興に向けた決意を伺います。
■平野(達)国務大臣
間もなく発災から一周年という状況になります。一方で、2月10日、復興庁が発足いたしました。現地では、まだまだ復興のスピードが遅いという御指摘を受けておりまして、これは真摯に受けとめなければならないというふうに考えております。
その一方で、国会での熱心な御議論等々もございまして、復旧復興に必要なさまざまな施策、例えば復興特区、復興交付金制度、あるいは心のケアの対策、あるいは雇用対策、さまざまな道具立てがそろいましたし、あるいは災害復旧についても、災害査定がおりまして、工程表もできました。
こういった施策をフルに活用して、ことしは何としても、復興のつち音がはっきり聞こえる、そういう年にしなければならないというふうに考えておりまして、復興庁はその先頭に立って取り組む必要がある、取り組みたい、そのように考えております。
また、福島については、昨年の冷温停止を受けまして、これから復旧復興の段階に入ってきたというところでございますけれども、福島の復旧復興は、何といっても国の責任がより重いということもございまして、さらに復興庁の役割は大きくなるのではないかというふうに思っておりまして、司令塔としてその役割をしっかり発揮したい、このように考えております。
■西村(智)委員
先般も我が党の委員からの質問がございましたけれども、特に被災した子供たちの心のケア、これはやはり継続してやっていくことが必要だと思います。
また、これは私の地元の話でもありますが、福島からまだ多くの方々が山形県、新潟県等々に避難をして、被災された方々が移ってこられておりますが、先般、平野大臣は、そういった地域の首長さんにもお会いいただいて、本当に真摯に耳を傾けていただきました。そのこともあわせて感謝を申し上げたいと思います。
さて、社会保障と税の一体改革については、集中審議が二回行われまして、大変深い議論が行われたというふうに思います。
先日、私も一般的質疑で質問させていただきましたが、私がそこで申し上げたかったことは、社会保障と税というのは、歳入と歳出の一体改革という側面ばかりではないんだということでございます。所得の再分配を社会保障と税を使ってうまくそこをつなげてやって、貧困率を削減していっていただきたい、これが私の質問の思いだったわけです。
税には累進性が乏しくて、社会保険料においては全く逆進的になっているということも表を使ってお示しさせていただきましたが、そこを正しながら、安心できる社会保障を充実していくということが求められると思います。
今回の社会保障と税の一体改革に盛り込まれている施策の多くは、消費税の引き上げにより財源を確保して実現されるものでありますけれども、24年度予算案においても、例えば在宅医療の充実など、改革に向けた大きな一歩が示されております。その上で、さらに子ども・子育て支援の抜本的な拡充ということも予定をされております。
しかし、この一体改革の全体の絵姿がまだ国民の皆様に十分理解いただけていないのではないかと思っております。
この一体改革の中で社会保障をどう充実していくかということを、24年度予算案で対応するものも含めて、厚労大臣から積極的にPRしていただきたいと思います。
■小宮山国務大臣
今回の社会保障の改革の中では、これまでは高齢者三経費が対象と言われていたものを、子育て支援も入れて四本柱にし、現役世代が支え手だけではなくて、全世代に対応した形にしたというのが特徴でございます。
子供については、幼保一体化などで、就学前の全ての子供たちに質のいい学校教育、保育をということを含めて、地域、家庭までの子育て支援を幅広く支援できるような仕組みを導入しています。
また、貧困のお話がございましたけれども、若年層を中心に非正規がふえている、そうした中で、貧困・格差対策という意味も含めて、短時間労働者への社会保険の適用など、さまざまな政策も盛り込んでいるところです。
来年度予算の中では、待機児さんを解消する先取りプロジェクト、これを実現して子供の保育を充実するとか、お話にあった在宅医療・介護、これを充実するなど、一体改革の方向性に沿って来年度も可能な限りやっていきたいと思っていますし、皆様に御理解いただくために今全国を担当大臣が歩いたりしておりますが、さらに丁寧に御説明をし、後世へのツケ回しをしないことが生活の安心につながって、それは経済の方にもいい効果があるということも含めて、説明をしていきたいというふうに思います。
■西村(智)委員
わかりました。社会保障のための税だという目的と手段の関係ではなくて、社会保障も税も所得再分配のための手段であって、だからこそ、最高税率の見直し、また控除額の頭打ち、また給付つき税額控除なのだということをぜひ閣僚の皆様には訴えていっていただきたいなと思っております。
さて、総合特区制度について伺います。
この委員会の中では余り質問はなかったかと思うんですけれども、新成長戦略を実現するための手段として、総合特区の強力な推進が期待されております。規制改革を重点的に進めるとともに、地域の取り組みに対して、政府が一体となって必要な支援、バックアップを行っていく必要があると思いますが、大臣の見解を伺います。
■川端国務大臣
御指摘の総合特区制度は、国際競争力の強化と地域の活性化のための包括的、先駆的なチャレンジに対して、規制の特例措置にとどまらず、税制、財政、金融措置も加えて総合的に支援をしようとするものでございまして、昨年12月に取りまとめた日本再生の基本戦略においても、総合特区の活用が当面重点的に取り組む施策として位置づけられておりまして、現下の厳しい経済状況において、円高に伴う国内産業の空洞化対策、デフレ対策として、総合特区に対して各地域から大変強い期待が寄せられました。
昨年12月に、全国33カ所、総合特区を指定されましたけれども、これらの区域において取り組みを推進した場合に、試算でありますが、5年後の経済効果は約9兆円、雇用創出効果は37万人という数字も出されております。
このために、各地域の取り組みに当たって、規制の特例措置等の実現に向けては、国と地方の協議を前向きに進めていきたいということと同時に、財政支援についても、政策課題解決に有効な取り組みについては、関係府省との連携を通じて、既存の予算制度や総合特区推進調整費を最大限活用するなどして、総合特区の取り組みを重点的に支援してまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
ありがとうございました。
米軍再編について、一言だけ大臣から答弁をいただきたいと思います。
2月8日に、我が国と米国との間で共同記者発表、報道発表がございました。ロードマップをいわゆる切り離すということでありますけれども、私は、これは、さまざまな懸念の声は聞かれますが、沖縄の負担軽減という点からはよかったというふうに評価いたしております。これについて、大臣の見解、短くお答えいただきたいと思います。
■玄葉国務大臣
短くということでございますので、簡潔に申し上げたいと思います。
おっしゃるとおり、沖縄の負担軽減を先行させる、そしてもう一つは、やはり刻々と変わり得る安保環境に日米ともにしっかりと対応する、そういった観点から、今回、在日米軍再編の調整について議論を進めていくということになりました。
できるだけ、特に土地の返還などについて、可能なものから早期に実現できるように議論を進めていきたいというふうに考えております。
■西村(智)委員
ありがとうございます。
最後に、総理にお伺いいたします。
86時間という長い審議時間、それに比して、総理もこの委員会に御出席され、そして、朝9時開会、5時半閉会ということもたびたびございましたが、その間、一度も席を立たれることなくここに着席をされていたことには、本当に心から敬服いたします。
今回、民主党政権になって3回目の予算編成となったわけですけれども、この予算案にかける総理の思いを率直に語っていただきたいと思います。
■野田内閣総理大臣
西村委員におかれましては、理事として円滑かつ充実した予算審議のためにお骨折りをいただきまして、ありがとうございました。
日本再生重点化枠一兆円、これは日本の成長に資するための予算であります。それから、一次から四次まで復旧復興の予算をつくりましたが、あわせて、今回の二十四年度予算においても三・八兆円の復興予算がございます。早期に復興需要を顕在化していく、そしてスピードアップしていくということは大事だと思います。
いずれにしても、日本再生元年予算でありますので、一日も早い成立を目指して、全力で頑張っていくことを申し上げたいというふうに思います。
ありがとうございました。
■西村(智)委員
終わります。
■中井委員長
西村さん、お褒めいただいてありがとう。
これにて西村さんの質疑は終了いたしました。