■西村(智)委員
おはようございます。民主党の西村智奈美です。雪の中、皆さん、朝早くからお疲れさまでございます。
きょう、私は、税制、そして社会保障の面から閣僚の皆さんに御質問したいと思います。
政権交代して2年半たちますけれども、この間、民主党のマニフェストに対しては、ばらまき四Kなどと言われまして、随分と批判をされてきました。ですけれども、これは、明確な政策目的を持った所得の再分配政策である、そしてそれは、この間広がってきた格差や貧困に対して適切に手を打つべき政策であったというふうに私は思っておりまして、ぜひこれは今後とも継続をしていかなければいけないものだというふうに考えております。
きょう、皆さんのお手元に資料を何枚かお渡ししております。まず、1枚目をごらんいただきたいと思うんですけれども、これは、昨年の末に開かれました政府の税制調査会で配付された資料からでございます。
これを見ますと、経年で給与収入の分布がどういうふうに変遷してきたかということがわかるわけですけれども、昭和60年から平成9年にかけて、いわゆる所得の高い層がふえてきたということがおわかりいただけるかと思います。他方、平成9年から平成22年にかけては、所得の比較的低い層の方の割合がふえてきたということでございます。
これはどういうことをもたらしているかということなんですけれども、この間、ここ20年間くらい、税制というものは随分同じような形で累進緩和が進んでまいりました。税率構造はフラット化したままであったということで、その上の四角に書いてあるんですけれども、「結果として、個人所得課税による所得再分配機能が低下している。」というふうにここは明確に書かれております。
平成22年の厚生労働省の国民生活基礎調査の概況によりましても、景気拡張期、ここの昭和60年から平成9年にかけての間は、ちょっとこれは別の話になりますけれども、いわゆる貧困率が高まってきた、そして、データがある1985年以降は、平成21年に貧困率が最悪になった。これは、政権交代後の平成22年の厚労省の発表でそういうふうに言われております。
ここ20年、やはり貧困率というのは我が国の中で上がってきた。それを実は国際的にも証明しているデータがございます。それが2枚目以降ですけれども、これは東京大学の大沢真理先生からお借りしたデータです。
ちょっとコピーを縮小しまして2枚のものを1枚にしたんですけれども、上の方が、OECD諸国の貧困率を高い方から順に並べたものです。日本を見ますと、上から4番目ということで、ワーストクラスの貧困率を日本はOECD諸国の中でも示しているということ。
また、その貧困率が一体どのくらい、例えば税や社会保障の再分配によって改善されたかということを示しているのが下の表なわけなんですけれども、これは貧困削減率というふうに呼んでおりますが、ここにおいても我が国は、見ていただくと、下の表ですが、貧困削減率は極めて低いという状況をあらわしています。これは何かといいますと、我が国の税制や社会保障制度が実は貧困の削減には余り寄与していないということが示されております。
そして、次のページを見ていただきますと、これは貧困削減率を世帯の類型別で見たものなんですけれども、成人全員が就業している世帯において、貧困削減率は何とマイナスになっております。つまり、税や社会保障の再分配をくぐって貧困削減率がマイナスになるというのは、これは日本だけであるということ。そしてまた、その下の方を見ていただきますと、子供についての貧困削減率を見ますと、やはりOECD諸国で唯一、貧困削減率がマイナスになっているということ。これは、かつて国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんも「子どもの貧困」という本で明らかにされていたことだと思います。
この結果、何が起こってきたか。結局、ここ20年くらいの税制というのは、先ほど申し上げましたように累進緩和が進んできた、その結果、再分配機能が衰えてきた。言うまでもありませんが、ここ約20年の税制というのは自民党政権下で行われてきたわけでございます。
この中で、このグラフを幾つか見てきまして言えるのは、比較的低所得で子育てをしている世帯がこの間最も大変な思いをしてきたということなんだと思うんです。実際それは、政権交代直前、いろいろなケースが報道されました。母子家庭の方々の大変な御苦労、また、例えば離職などによって子供さんが高校で勉強を続けることを中断せざるを得なかったというようなこともいろいろ報道されまして、やはりここは大変大きな問題である。
そして、ちょっと長くなりますけれども、次のページを見ていただきますと、税負担の累進性、そして社会保険料の逆進性について示したものがございます。上の方は税負担における累進性ということですが、これはちょっと、大変わかりにくいかもしれませんが、何となく税負担が右の方に少し上がっているような感じがいたしますけれども、所得に対してきちんときれいな累進性があるかといえば、明確にそういうふうには言えない。社会保険料についても、所得に沿ってその負担率はどうなっているかというと、これは逆に明確に下がってきておりまして、所得が上がるほど負担率が下がっていくという明確な逆進性があるということが言えるのではないかと思います。
まず、財務大臣にお伺いいたします。
こういう税制の構造になっていることについての御感想から伺います。
■安住国務大臣
御存じのように、所得税はフラット化をずっとやってきました。ですから、70%を超えるような累進税率の高さだったわけですけれども、これを40%台までならしてきて緩和してきたわけでありますけれども、そうしたことが、今委員御指摘のようなこのグラフにもあらわれていると思います。
そういう中にあって、民主党政権になりましてから、子ども手当等の創設をし、あわせて年少扶養控除等を廃止したり、それから実質的に高校の授業料無償化等をやって、そういう意味では、お金持ちの人の税負担は軽くなりましたけれども、低所得者の皆さんやそういう方々に対しての手当てというのは比較的手厚くやってきたつもりでございます。そういうことは、私は、いろいろな数字には証明されているのでないかなと思います。
今後の課題として、最初の、1枚目のグラフに戻りますけれども、その表を見ていただいてもわかるように、実はやはりお金持ちの、所得の高い人の比率がふえているんですね。逆に、いわゆる中間層が非常に減ってきているという傾向が、むしろ、非常に特徴としてあらわれております。
ですから、総理も、もう一回中間層を、分厚い中間層をつくっていこうということをお話ししておられるわけですから、そうした点からいうと、所得が急激に高い人がふえてきている、1500万以上ですか、こういう方々に対する税のあり方をどうするかというのは、今後、十分やはり議論を行っていきたい。
今回の税制の改正の部分でも、40%のところを、5000万以上ですけれども、5%とりあえず上げましたけれども、今後、こうした累進性について、十分また皆様と一緒に議論をしていきたいと思っております。
■西村(智)委員
20年間かけて行われてきた累進緩和を一気に戻すということはなかなか難しいと思いますけれども、少しずつ時間をかけて、できるところから議論し、確実に取り組んでいただけるようにということを期待いたしております。
また、こうしたデータをもとに、先日、民主党に対する緊急提言に関して行われた院内学習会の際に、大沢真理先生がいろいろなことを提言してくださいました。こうした逆進性に対しては給付つき税額控除を導入するようにということ、これは、先日行われた予算委員会の参考人質疑の中でも森信先生が御指摘くださっていました。また、雇用の非正規化に歯どめをかけて、均等待遇を実現し、被用者社会保険を適用するということ、これについては、先日も参考人の駒村先生が御指摘くださっていました。また、将来は年金一元化をして、その年金に最低保障機能を持たせるということ、子ども手当や高校無償化は堅持して、多様な社会サービスを充実すること、こういうふうな指摘をされておられまして、私もそれは全く同感で、ぜひ進めていきたいと思っているところです。
社会保障と税一体改革担当大臣にお伺いいたしますが、こうした現状の中で、社会保障制度改革において、所得の再分配に対してはどのように取り組んでいくお考えか、伺いたいと思います。
■岡田国務大臣
まず、委員お示しのこのグラフは大変興味深いものであります。特に、所得の少ない方々に社会保険料の負担が非常に重くなっているということ。例えば、国民年金の定額負担ということもあるかもしれません。それから、国保の保険料が払えないという話は、ここ数年、よく聞かれる話でありますが、そういったことをこれは裏づけている資料かなというふうにも思います。
そういう中で、こういった問題にしっかり対応していくために、今回の社会保障・税一体改革の大綱の中では、所得の低い方々の負担に配慮するための保険料軽減、年金の加算などの低所得対策の強化を盛り込んでいるところでございます。それから、非正規雇用の問題、格差を是正するために、働き方に中立的な社会保障制度を目指して、短時間労働者に対する厚生年金、健康保険の適用拡大、生活困窮者対策の推進などによる重層的なセーフティーネットの構築なども盛り込んでいるところでございます。
それから、このグラフに実は出てこない話として、やはり借金で社会保障を賄っている、そういう問題はこのグラフには出てこない話であります。そういう意味では、やはり世代間の負担の不公平ということも同時に考えていかなければいけない。そういうことで、子ども・子育て対策に対する7000億の新規政策に対する投入ということも、この大綱の中には盛り込まれているということであります。
■西村(智)委員
大臣御指摘になられたように、世代間格差ということも最近少し明るみに出てきまして、私も、これはなかなか大変な問題だなと。社会保障が将来世代に対する安心できる仕組みであるということを示していくためにも、社会保障と税の一体改革はやはり着実に進めていく必要があるだろうと思いますし、私としても全力で応援、お支えをしていきたいと思っております。
岡田大臣はここで結構でございます。ありがとうございます。
続きまして、厚生労働大臣にお伺いいたします。先ほどのグラフで見ていただくと、4枚目、11と書いてあるところですが、社会保険料負担について、これはやはり所得の低い人ほど実は高い率で負担をしている、こういう逆進的であるという図が示されておりますけれども、こういう現状に対して御感想があれば、お伺いしたいと思います。
■小宮山国務大臣
これは先日、予算委員会でも議論になりまして、やはりもう少し所得の高い方に御負担をいただくことが、今上限がございますので、そのあたりの検討も必要だと思っています。
そして、委員が御指摘のこの表の中で、やはり、全員が就労している共稼ぎ、一人親、単身の家庭で、貧困削減率が今の税制、社会保障制度をかけるとマイナスになる、逆に働いているというのは非常に大きな問題だと思っています。
そういう意味では、今、非正規雇用がしっかりとその働きに見合った均等な待遇が受けられるようにとか、短時間の方々にしっかりと社会保険を適用するとか、幾つかのことを今回の改革でもしていますし、先ほどからの子供のいる世帯の貧困ということに対しましては、最初に委員がおっしゃったように、子ども手当とかそれから高校の無償化を入れたことによって、22年度から700万円以下の可処分所得がふえたというようなデータもございますので、そういう意味では、政権がとってきている政策が効果がある方向だというふうに私は思っています。
■西村(智)委員
子育て世帯における可処分所得をふやしている、押し上げているということは本当に大きな効果だと思います。
ちょっとそのことをまた改めてお示しするために、資料の最後のページを見ていただきたいんですけれども、これは財務省からの資料ですが、これも年末の税制調査会で配付された資料の中の1枚でございますが、平成元年の4月と平成22年の現時点との比較で、税負担がどのようであり、さらに、子ども手当と高校実質無償化によってネットの負担がどのくらい変化するかということをあらわしたものでございます。
この計算をするに当たって、何枚か、幾つかほかにパターンがあったんですけれども、子ども手当と高校無償化を見たいがために、夫婦プラス中学生プラス高校生、このケースを資料として持ってまいりました。これを見ていただきますと、黒い太線、両方に書いてありますけれども、確認しましたら、これが子ども手当と高校実質無償化による効果をあらわしているということでございます。
二つのグラフを比較いたしますと、ちょっと下の数字が小さいですが、下が給与収入、それで、給与収入500万円くらいまで、500万円の層で見ていただきますと、ちょうど縦に細い線が入っていますが、ここでいいますと、平成元年の方が負担率が6%、平成22年の方が負担率が7.6%ということになっておりますので、現在の方が年収が500万円くらいまでは負担が重くなっているということがおわかりいただけるかと思います。
ところが、それ以上の年収の方を見てみますと、現在の方が軽いんですね、平成22年の方が。平成元年の方が重くなっております。そして、では、年収500万円以上というのは一体どのくらいの世帯なのかというと、これは1枚目の表を見ていただきますと、年収500万円までの階層は、どうでしょうか、全給与所得者の大体70%超えぐらいでしょうか。この7割の世帯において、この間、以前よりも負担が重いということになっていた。逆に、それ以上の世帯は負担が軽いということが続いてきた。こういうちょっといびつな税制がこの間行われてきたということがおわかりいただけるのではないかと思います。
そして、子ども手当と高校の無償化で負担が軽減されて、右の方の、平成22年の方の黒い線を見ていただきますと、下の方にぐっと下がっているわけですが、これはネットの負担がマイナスになっていることをあらわしておりますが、これは、お聞きしましたら、大体、年収350万円くらいからネットの負担がプラスになっているということでございました。年収350万円くらいといいますと、1枚目の表でちょっと推測いたしますと、大体、給与所得者の50%くらいかなという感じだと思います。それだけの世帯に恩恵がある、所得の低い世帯に対して恩恵があるというのが子ども手当と高校実質無償化の成果なんだと思うんです。
そこで、子ども手当についてなんですが、現在、昨年の8月に合意されました中身に基づいて立法化が行われたものと承知をしております。児童手当法の改正案ということでこの国会に提出をされているわけですけれども、私、ちょっと今、見ておりまして、心配しております。といいますのは、これだけ低所得の方々に対して恩恵のある、効果のある子ども手当が、名前を変えたとしてもここで打ち切られることになってしまっては、本当に大変なことになる。
なかなかおわかりいただけないかもしれないんですけれども、実は、この間、民主党の中でもいろいろ議論をして、政府にも提言をして、従来の児童手当法にはないさまざまな改善策を昨年の特別措置法から盛り込みましたよね。例えば、子供の国内居住要件を設けたりですとか、あるいは施設にいる子供さんたちにも届くようにしたりとか、そういった改善策をいろいろ取り込んできましたが、この児童手当法改正案が3月末までに成立しないときに一体どういうことになるんだろうか、いろいろなことを想像するんですけれども、これはぜひ厚生労働大臣からお答えをいただきたいというふうに思います。
■小宮山国務大臣
今委員もいろいろ、るる御指摘いただいたように、貧困層に大変効果も出てきている今の制度ですけれども、法案が年度内に成立しませんと、4月からは手当額が多くのところで大幅に減額されまして、そして中学生は対象とならないという従前の児童手当法が適用されることになります。それからまた、4月に転居されたりしますと、随時払いはできますけれども、実務上、システム改修ができないので、市町村での支給が困難になる。それからまた、成立の時期によりますと、6月の支給も困難になるのではないかと思っておりますし、今御指摘のありました、これは国会内でも議論いただいて、皆様の御意見も入れて取り組みました国内居住要件ですとか施設内の子供のことですとか、それから保育料や給食費の徴収のことなどが全部行えないということになります。
今回は、御承知のように、超党派の話し合いが進まなかったために、暫定的にと言うとちょっとあれかもしれませんけれども、政府が出させていただいていますが、ぜひ超党派で御議論いただいて、これは当然今出しているものは修正をさせていただきますので、何とか年度内に成立をさせていただくように各党各会派にお願いをしたいというふうに思っています。
■西村(智)委員
ぜひ、私の立場においても、年度内成立に向けては力を尽くしていきたいというふうに思います。思いますが、これはやはり国会での議論ということもありますので、最終的に年度内に成立しないこともあり得る。そうすると、先ほど大臣が御紹介くださったようなさまざまな事態が発生する。
そして、法案が最終的に、年度をまたいだとしても成立をしないということも考えられる。考えたくないですが、考えられる。こうなったときに、本当に先ほど申し上げたようなさまざまな改善点が生かされないことになってしまう。もとの制度に戻る。そして、今まで中学生に支給されていた子ども手当がゼロになってしまうということで、全世帯における実質的な手取りも、これは完全にマイナスになってしまうというふうに思うんです、控除が廃止されていますから。
最終的にこの法案が成立しなかった場合に、どういう課題がありますでしょうか。
■小宮山国務大臣
今委員がおっしゃったとおりでして、特に、先ほどからの、ずっと最初からのお話を見ても、所得の高い方たちに有利であった控除を所得の低い方たちにということで、控除から手当ということを民主党はとってきました。そのために年少扶養控除を廃止していますので、それで子供の手当、児童手当が支払いできないとなると、先ほどからおっしゃっている、特に低所得者の方々の家庭に、お子さんのある家庭に大きな打撃が与えられることになると思います。
昨年8月の議論の中では、超党派で、どういう法律の仕組みにするかとか、それから年少扶養控除もどうするかというようなことを含めて全てお話し合いをいただくことになっていますので、私どもはそれをしっかりと受けとめたいと思いますから、ぜひ、多大な影響が出ないようにお願いをしたいというふうに思います。
■西村(智)委員
先ほど見ていただいたグラフで、特に我が国においては、子供の貧困ということをずっと言われておりますし、大きな問題だと思います。さらなる貧困を生まないためにも、やはり子供に対する手当は、この制度の継続はどうしても必要でありまして、児童手当法の改正案の早期成立のために私も努力をしたいと思っております。
また、時々言われることですけれども、現金給付だけかということなんですが、現物給付も、今取り組まれている、全ての子供たち、そして全ての子育て家庭のための子ども・子育て新システム、これについてもぜひ実現を図っていけるようにということをお願いしたいと思います。
さて、高校無償化について、文科大臣にお伺いいたします。
従来、私たちは、子供の育ち、学びに対して切れ目のない支援が必要だというふうに考えまして、象徴的には子ども手当、そして高校生になってからは高校の無償化、そしてその先は奨学金制度の充実ということで、シームレスな支援の形というものを考えてまいりました。
高校の無償化については、現在、三党の実務者協議が行われているというふうにお聞きをしておりますけれども、この制度を私は、将来を担う子供たちの育ちと学びを保障するということと同時に、誰一人取りこぼさないための、包摂する社会のための、本当にその最初の部分の大事な政策だと思っています。
かつて、希望格差というようなことも言われまして、いろいろな学業のパイプから子供が取りこぼれてしまう、そしてその先には非常に大きな格差が発生するということで問題になったことがございましたけれども、そういったことがないように、全ての子供たちにひとしく希望が与えられるようにということで大事な政策だと思っていますが、この高校実質無償化について、基本的な理念についてお伺いしたいと思います。
■平野(博)国務大臣
議員も御案内のとおり、この理念ということでございますが、改めて、私は、こういう考え方でこれを導入しているんだということをかいつまんで御報告申し上げます。
第一点は、高等学校においての進学率が98%と、ほぼ100%に近い方々が進学をしている、こういうことであります。すなわち、国民的な教育機関になってきた、こういうことであります。その教育の効果というのはやはり広く社会に還元される、こういう効果もあるわけでございますので、その教育費については社会全体で負担をしていくんだ、こういうのが一つの大きな柱でございます。
二つ目は、高等学校においての教育については、家庭の経済がどういう状態であろうが、何人も意志があれば受けられる体制をつくる、安心して教育が受けられる環境をつくる、こういうことが一つの大きな理念でございますし、今委員がお示しをいただきました、こういう所得の部分の変動がございます。そういう意味では、家庭の経済的負担の軽減を図っていくんだ、こういうことが二つ目であります。
三つ目は、国際的に見ましても、やはり後期の中等教育についての無償化というのがもう世界の常識になっている、こういうことでございますので、そういう大きな考え方、背景のもとにこの施策を進めてきたところでございます。
しかしながら、委員御指摘のとおり、今御議論をいただいている、また、切れ目ないこういう施策をこれからも文科省としては打っていかなきゃならない、かように考えているところであります。
■西村(智)委員
本当に高校無償化については、私はやはり、こういった子供の貧困という点からも、また、先ほど大臣がお答えになられたような世界的な潮流、また教育に対してよい効果が出ているということ等々からいたしましても、継続すべきだと思います。
ちょっとこの前、お聞きしましたら、主要な先進国の中で高校実質無償化を導入していない国は我が国だけ、早いところでは1800年代から。アメリカは、聞きましたら、南北戦争のときに導入した州が多いということで、我が国はそこに、南北戦争の時代に、この分野に関しては今まさに追いついたところかな、そういうふうに思います。
いずれ、ここ二十年間で本当に深刻に進んできた所得の格差、そして貧困の問題、こういったことを解消するために、控除から手当へ、そしてチルドレンファーストという理念で、ともかくも、政策転換を少しずつ今やっているところだと思います。
なかなか急激に変えるわけにはいきませんけれども、ぜひこの二つの政策、子供に対する手当、そして高校実質無償化、これは維持していただいて、あわせて社会保障と税の一体改革を進めて、全ての人のための包摂する社会の実現のために頑張っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。