■西村智奈美君
私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成23年度第3次補正予算案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
東日本大震災、そして、この夏から秋にかけての台風、豪雨災害により亡くなられた方々に、衷心より哀悼の意を表するとともに、御遺族、被災された方々に、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。
私たちは、3月11日、この目で、我が国を襲った信じられない光景を目撃しました。多くの人々や家屋が波になすすべなくのみ込まれ、また、今まで経験したことのなかった原子力災害の恐怖に直面する中で、人間の無力さを感じざるを得ませんでした。一方で、奮然として苦難に立ち向かう人々の姿に、人間の力強さを感じ入り、ともに復旧復興に全力で当たっていかねばならないという思いを強くいたしました。
これまで、政府・与党は、被災地の皆様の思いは当然のこと、野党の皆様の意見にも真摯に耳を傾けながら、2回に及ぶ補正予算の編成や予備費の弾力的な活用を通じ、復旧復興に努めてまいりました。そして、このたびの補正予算案は、復興基本方針に基づき、本格的な復旧復興予算として提出されたものであります。
具体的に見ますと、早期復旧に向けた道路、港湾、空港、鉄道、公立学校等の整備事業経費、瓦れき処理に当たって地方自治体が負担する費用について補助を行う関係経費など、生活インフラの復旧のための諸経費が盛り込まれております。
また、被災者の方々を支援するため、震災の影響で低所得となっている方々への貸付事業、就学が困難となった子供等に対する就学援助、授業料等減免、奨学金事業などの被災者緊急支援、被災中小企業者の方々の事業再建及び経営安定のための融資に必要な経費、甚大な被害を受けた漁業者の方々の活動再開、継続のための関係経費等も計上されております。
このように、国ではさまざまな事業を実施いたしますが、他方で、やはり被災地では、さまざまな個別の事情により、柔軟に復旧復興事業を実施することも求められております。
そのための財源に支障を来さないよう、これまでの交付金制度に比べ、自治体にとって使い勝手のよい交付金として、東日本大震災復興交付金が盛り込まれました。この交付金では、地震の影響による地盤沈下など、今後居住することができない地域の方々が移転するための防災集団移転促進事業、土地区画整理事業等が補助対象となっております。
今回の大震災で、私たちは世界でも例を見ない原子力災害に直面しており、福島県では、今なお多くの方々が避難を続けておられます。未知の戦いであります。未知の戦いだからこそ、遺漏なきようしっかりと予算措置をすることが、被災者の方々の不安を一日も早く取り除くことにもなるはずです。
そのためにも、損害賠償、除染、モニタリング、放射性物質除去・低減のための研究事業、放射線治療に関する国際的医療センターの整備など、さまざまな事業が盛り込まれております。
東日本大震災への対応が急がれる中、ギリシャに端を発する世界経済の不安定や、タイの洪水被害により、日本経済には円高などさまざまな余波が生じております。
足元の景気を上向かせることも、日本全体の復旧復興を考えるときには欠かせないものであり、本予算案では、円高対策、景気対策も講じております。具体的には、雇用を確保するため、海外移転など産業の空洞化を防止するための立地補助金、自家発電設備や住宅用太陽光発電施設導入への支援、住宅エコポイントの発行などであります。
また、台風12号などにより生じた甚大な被害からの迅速な復旧のため、土木事業、空港、住宅施設、水道施設などの事業費も計上しております。
加えて、1次補正予算で活用いたしました年金臨時財源の補てん、B型肝炎ウイルス感染者に対する給付金等を支給するために必要な経費が盛り込まれております。
るる御説明申し上げましたように、本予算案は、東日本大震災からの復旧復興に当たっては、極めて緊急性の高いものであります。この思いは、野党の皆様にもともにしていただき、御賛同いただくことができれば、被災者の方々が心から望んでおられる復興を力強く後押しすることができると思います。
また、かかる事業を実施するための財源を確保する関連法案が提出されており、現在、御審議をいただいております。
ヨーロッパで起きている財政問題を見れば明らかでありますが、多額の財政赤字を抱える我が国においては、市場の信認を確保することが大変重要であります。そのため、復興債の発行に当たっては、一般会計と別管理とし、その財源について手当てを行うこととしております。
これら法案を含め、一日も早い成立と、多くの皆様の御賛同をいただきたくお願い申し上げ、私の討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)