■大島(敦)委員
修正案提出者に質問をいたします。
修正案では新しく第十六条第二項が加えられておりますが、これを追加した趣旨について御説明をお願いいたします。
■西村(智)委員
障害者がその成長過程において適切な教育を受けられるようにすることは、障害者基本法の趣旨にかんがみて極めて重要なことと思います。この点、極めて細かい配慮をし、十分な情報の提供を行うとともに、本人等の意見を尊重する必要がございます。これは、昨年末取りまとめられました中教審の特別支援教育の在り方に関する特別委員会の論点整理でも明示されているとおりです。したがって、今回、新たに第二項を加える修正をすることといたしました。
新第十六条第二項においては、情報の提供及び意向の尊重について「前項の目的を達成するため、」と規定しております。この文言は、第一項における「障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、」という部分を指しておりまして、それ以降の部分にはかかっておりません。
■山崎(誠)委員
修正案の方で提出者の方にもお聞きをしたいんですが、発達障害の扱いを精神障害に含まれるとした括弧の中の記述の仕方なんですが、これについてお考えをもう一回お聞きしたいと思います。
これはいろいろな考え方があると思うので一概に言えませんが、例えば発達障害を外出しにして四つにする、そのような規定の仕方もあり得るのではないかなと。より具体的にそういう形で定義をしていくメリットもあるのではないかなという意味を込めて、ちょっとお聞きをしたいと思います。
■西村(智)委員
発達障害については、平成十六年に発達障害者支援法が制定され、定義規定も置かれまして、近年、その重要性に対する認識は高まっているところであると思います。
従来、障害は、身体障害、知的障害、精神障害の三つに大別されてきましたが、発達障害については、概念的には精神障害に含まれるものの、これまで障害者基本法においてはそのことが明確にされてきませんでした。そこで、本修正により、精神障害に発達障害が含まれることを明記することとしたものであります。
なお、昨年成立した障害者自立支援法の改正においても、精神障害者に発達障害者が含まれることが括弧書きで明記されております。
そこで、山崎委員御指摘の点なんですけれども、発達障害をどのように位置づけるかについてはさまざまな議論があると私も承知をしております。精神障害や知的障害との関係の整理も含めて、今後の検討課題であるというふうに認識しております。
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■荒井内閣委員長
この際、ただいま議決いたしました本案に対し、西村智奈美さん外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。
西村智奈美さん。
■西村(智)委員
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 国及び地方公共団体は、視覚障害者、聴覚障害者その他の意思疎通に困難がある障害者に対して、その者にとって最も適当な言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段の習得を図るために必要な施策を講ずること。
二 国及び地方公共団体は、子どもの発達に対して、障害の有無にかかわらず、将来の自立に向けて個の特性に応じた一貫した支援がなされるべきものであるとの観点から、障害に気付いてから就労に至るまでの一貫した支援を可能とする体制整備を行うこと。
三 国及び地方公共団体は、発達障害児について、将来の自立と社会参加のため、特性や能力に応じた中等・高等教育を受けられるよう、必要な環境の整備を図ること。
四 国及び地方公共団体は、障害原因の軽減や根本治癒についての再生医療に関する研究開発を推進するとともに、障害者が再生医療を受ける機会を確保するために必要な措置を講ずること。
五 国は、地方公共団体が実施する障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策並びに民間の団体が障害者の自立及び社会参加の支援等に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
六 国は、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況等を勘案し、救済の仕組みを含む障害を理由とする差別の禁止に関する制度、障害者に係る情報コミュニケーションに関する制度及び難病対策に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、法制の整備その他の必要な措置を講ずること。
七 国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
■荒井委員長
これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
■荒井委員長
起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。