■長尾敬委員
民主党の長尾敬でございます。
ファン・ジャンヨプ、金賢姫両氏の訪日というのは、いわば、私も前回質問に立たせていただいたとき、日本、韓国、加えて米国、これは真剣にこの問題に取り組んでいるというメッセージを送るという部分については、今回、韓国政府の大変な理解があってこそ実現できたというメッセージを送れたという点については、私も大きな評価をさせていただきたいと思っております。
また、先ほど大臣の方から、データベースの構築から物事がすべて始まった、鳩山政権初めての、当初の御苦労であったということでございますが、私は、今回、民間情報の活用等について、本日、西村大臣政務官にもお越しをいただいておりますので、質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、外務省にお尋ねしたいんですが、日本のある著名なジャーナリストが平成16年の8月に、金永日外務次官、鄭泰和日朝国交正常化交渉担当大使らと、直接北朝鮮に行って取材を行い、続く平成19年の10月にも再度訪朝され、楊亨燮最高人民会議常任委員会副委員長、宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使らと面談取材がなされたという報道がございました。
外務省は、その中身も含めて、当時これをどのように把握していらっしゃったでしょうか。政務官よろしくお願いします。
■西村大臣政務官
ただいま御指摘いただいた報道については承知をしておりますけれども、報道の内容についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
■長尾委員
続きまして、同じ延長線上の質問になりますが、実はこの著名なジャーナリストは田原総一朗氏でございますが、この一連の取材の中で非常に重大な証言がなされているということ。宋日昊大使が、こう取材に答えられました。残念ながら8人の中には生存者はいないが、私は生存していると信じておりますけれども、それ以外に複数の日本人がいる、日本側が制裁を解けば交渉に応じる用意があると話をしていたことを、外務当局はこれらの民間情報を把握されていますか。同じような質問ですが、政務官よろしくお願いします。
■西村大臣政務官
御質問いただいた点についてでございますけれども、政府としては、認定被害者以外にも拉致の可能性を排除できない人が存在するという認識に基づいて、いわゆる特定失踪者の事案も含めて調査と捜査に全力を挙げるとともに、北朝鮮に対してすべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国を強く求めてきているところでございます。
■長尾委員
外務省の取り組み姿勢というのは重々理解をしているつもりでございます。
ただ、今回、民間の情報として、このような報道がなされたという事実がある中で、いわば複数の日本人というのは、いわゆる特定失踪者であると推測ができる。つまり、ここは北朝鮮が17名以外の日本人の存在を認めたという点では非常に見逃すことのできない民間情報だと私は思っております。
ですから、外務省においても、こういった民間の情報を、どのようにアンテナを張っていただいて今後の問題解決に向けて進んでいっていただけるのかということについて、私は、今後、非常に今までのあり方では危惧をするところがあります。
今申し上げたような情報について、今後、外務省として対応する用意はあるでしょうか。政務官よろしくお願いします。
■西村大臣政務官
重ねての質問でございます。報道の内容についてのコメントは、外務省の立場としては差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、拉致問題対策本部を中心に情報収集と分析が行われていると承知しておりますし、また、外務省としても2008年の日朝実務者協議において特定失踪者に関する情報の提供は北朝鮮側に求めてきているところでございます。
今後とも関連する情報の収集に努める、これはもう当然のことでありますので、それとともに、認定被害者はもとより、北朝鮮が現実に拉致したすべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国を北朝鮮側に強く求めてまいりたいというふうに考えております。
■長尾委員
北朝鮮側に強く求めていく、この姿勢は理解できますし、当然のことだと思うんですが、実は求め方だと思うんですね。何か出してくれないかという求め方なのか、こういう情報が公の情報としてあるいは民間の情報としてあるのだけれども、これについてはどうなのだというような、差し迫る、要は迫る、提案型の外交交渉というのを実際行っていただけるのかどうかというのは、これもまたいろいろな事情で外交交渉の内容については表にしていただけないのかもしれませんけれども、その辺の交渉については、強く強く求めていただければというふうに思います。
ちょっと雑感ではあるんですけれども、いわば、先ほど申し上げたような民間情報に接したときに、私ならすぐそれに食らいついて、実際それが本当なのかどうなのかということを考えていくというような姿勢も、外務省におかれては積極的にお持ちをいただければというふうに思っております。どうしても待ちのイメージが多いということだけ、ちょっと御指摘をさせていただければというふうに思っております。
■竹内譲委員
公明党の竹内譲でございます。
これは外務省に聞きたいんですけれども、北朝鮮は拉致被害者の再調査の約束を実行しないまま、日朝間協議は二年近くも進展がないわけでございます。その理由は何なのか、また、これをどう打開するのか、これをまずお伺いしたいと思います。
■西村大臣政務官
北朝鮮は、2008年8月の日朝協議におきまして、拉致問題についての調査のやり直しに合意をいたしました。ですが、その年の9月に、福田元総理の辞任発表を受けまして、北朝鮮側から、新政権が実務者協議の合意事項にどう対応するかを見きわめるまで調査開始は見合わせることにしたという連絡がありました。北朝鮮は閉鎖的な体制をとっておりますし、北朝鮮側の意図を云々するということは適切ではないと思いますけれども、現在、言ってみれば、ボールは北朝鮮側にあるというふうに私たちは認識しております。
我が国としては、調査のやり直しが早期に開始されて、生存者の帰国につながるような成果が早期に得られるように、引き続き北朝鮮側に強く求めていく考えでありますし、拉致問題を含む北朝鮮をめぐる諸懸案の一日も早い解決に向けて、具体的行動を北朝鮮側から引き出すべく、引き続き関係国と国際社会と連携して、最大限努力していきたいと考えております。
いずれにしても、すべての拉致被害者の生還を実現すべく、考え得るあらゆる方策を使い、一日も早い解決を目指してまいります。
■竹内委員
こんな報道があるんですね。
今回の金賢姫の訪日に関して外務省のある幹部が、新事実が出ない限り前進は難しい、こういう報道が出ておるわけでございまして、私はけしからぬことだと思うんですね。ボールが向こうにあるんだったら、やはりどんどん要求して、これは中井大臣の話じゃないですよ、外務大臣なり総理大臣が先頭を切ってやらないといけない話だと私は思うんです。
ですから、これは要求すればいいわけで、日朝協議の再開呼びかけをこの2年間で一体何回やったのか、これを私は聞きたいと思うんです。この点はいかがですか。どういうふうにして、どのぐらいの頻度で呼びかけているのか。
■西村大臣政務官
申しわけございませんが、通告がございませんでしたので、今答弁の用意はございません。
■竹内委員
細かい数字をよこせとか、そういうことは通告していませんけれども、しかし、担当なんですから、大事な拉致問題対策委員会なんですから、どんな質問が出ようが答えられるぐらい、外務省は常にその準備をしっかりしておいてもらいたいと思うんですね。
やはり外務大臣に私は委員会にもっと出てきていただきたいと思いますし、日朝協議が始まらないと進まないわけですから、そういう意味で、日朝協議再開に向けての努力を強く要求したい、このように思います。
ほかにもまだまだ通告していた問題がございますけれども、まだ時間がありそうですので、最後に一題だけ申し上げておきます。
外務省にお尋ねいたしますが、やはり何といっても北朝鮮情勢がどうかということが一番大事だというふうに思います。
9月上旬に、後継体制構築の布石とされる44年ぶりの党代表者会を開くと言われております。その目的は何か、そして今後、これがどのような展開に発展するのか、この点につきまして外務省の認識を問いたいと思います。
■西村大臣政務官
北朝鮮が本年6月に朝鮮労働党中央委員会政治局決定書を通じて、朝鮮労働党最高指導機関選挙のための朝鮮労働党代表者会を本年9月上旬に招集するということを決定した旨は発表されております。
その党代表者会の目的等についてのお尋ねかと思いますけれども、さまざまな情報には接しておりますけれども、日本政府として、これについて予断を持って申し上げることは困難でございます。
政府としては、今後とも、各国との情報交換や脱北者を含む関係者から話を聴取することを通じて、北朝鮮内部の状況に関する情報の収集に取り組んでいきたいと考えております。
■竹内委員
いずれにいたしましても、この問題解決のためには、やはり実務部隊としては外務省が一番大事だというふうに私は思っておりますし、しっかりとやっていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。