■山本博司委員
公明党の山本博司でございます。本日の予防接種法案につきまして、質問を申し上げたいと思います。
法案に入る前に一つ、感染症の中でも、古来、人類にとって最も恐るべき狂犬病につきまして、まずお聞きを申し上げたいと思います。
狂犬病は、効果的な治療方法もなく、発症するとほぼ100%死亡する感染症でございます。すべての哺乳類が感染をし、人が感染をした場合には興奮や麻痺などの神経症状を起こし、また呼吸器障害を起こして、大変悲惨な死に方だとも言われております。
国内では狂犬病患者は1957年を最後に確認をされておりませんけれども、日本は今この狂犬病をめぐりまして大変危機的な状況にあると言われております。日本のように患者が発生していない国はまれでございまして、世界では毎年5万5000人が狂犬病で死亡しております。
そこで、狂犬病とはどういう病気なのか、そして海外での狂犬病の現状につきまして改めてお伺いを申し上げたいと思います。
■足立厚生労働大臣政務官
まず、狂犬病とはどういう病気なのかということから入りたいと思いますが、原因は狂犬病ウイルスでございます。これ、意外と潜伏期が長くて、1か月から3か月。そして、初期症状というのはいわゆる余りはっきりしない症状、発熱とか食欲不振とかいうことを経て、その後、神経症状が出る時期がございます。非常に強い不安感であるとか、あるいは水を怖がるとか、あるいは風を怖がるとか、そういった症状が出た後に全身のけいれんとか、あるいは昏睡とか麻痺とかいう形になって、発症した場合はほとんど100%亡くなってしまうと、そういう疾患でございまして、今委員から1957年という話がございました。国内発生については昭和31年、動物では32年、これが最後でございますけれども、御案内のように、平成18年にフィリピンで犬にかまれて、その後適切な治療を受けないまま帰国した方がお二人亡くなっております。
ということで、海外の状況ですが、WHOの報告によりますと、年間約5万5000人が発病している、インドでは約1万9000人、中国では約2100人など、アジアでは多数の患者さんが確認されております。狂犬病の発生がない国は、日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドということでございます。
この問題は、当然、グローバル化の中で海外へ行かれる方も非常に多いわけでございます。警戒すべき感染症の一つであることは間違いないことでございますので、その侵入防止対策、国内での蔓延防止対策というものをしっかりしていかなければいけないという認識でございます。
■山本委員
どうもありがとうございます。
今、足立政務官からお話がありましたように、2006年にフィリピンに滞在をしている間に犬にかまれてウイルス感染をした日本人2人が帰国後に狂犬病を発症して亡くなっているわけでございます。
今日は外務省の政務官の方も来ていただいておりますけれども、本年の3月12日に渡航者への安全対策の情報の発信をされておりますけれども、こうした海外へ渡航される方々、安全対策の情報発信の概要につきまして、どのような形で体制を取られているのか、このことを御報告いただきたいと思います。
■西村外務大臣政務官
先ほど足立政務官からも答弁ありましたとおり、狂犬病は一部の国を除いて全世界に分布している病気でございますので、外務省としては、厚生労働省とも連携して、海外に渡航する予定の邦人及び在留邦人に対して、世界における狂犬病の発生状況、ワクチン接種等予防方法や、海外で万一動物にかまれてしまった場合の対策等について情報提供を行っております。こういったことを通じて、海外に渡航、滞在する際の注意喚起を行っております。
先ほど委員が御指摘くださった3月12日の海外安全情報ですけれども、これは海外安全ホームページ、外務省のホームページからアクセスできますけれども、そこに掲載をしておりますし、また在外公館のホームページでも注意喚起を行い、かつ在留邦人向けメールマガジン、これ今69公館において行っておりますけれども、こういったことを通じて、常時、情報提供と注意喚起を行っているところでございます。