■平(将)委員
大臣の所信表明の中に、今回の二件の承認案件について、演説の中で触れていらっしゃいます。「複雑化する世界情勢のもとで、適切な貿易管理の実施は極めて重要です。本国会においては、昨年実施した北朝鮮との間の輸出入の全面禁止措置について、国会承認を求めております。これらの措置を通じて、諸懸案の解決に向けた我が国の断固たる姿勢を示してまいります。」と大臣はおっしゃられておりますが、北朝鮮はなかなか一筋縄ではいかない相手だと思います。自公政権のときは、対話と圧力という大原則の中でさまざまな交渉、取り組みを行ってきたわけでありますが、この対話と圧力の基本姿勢、これは政権交代によって立場は変わったのか変わらないのか。まず大臣、その後外務省、お願いします。
■直嶋国務大臣
やはり毅然として臨まなければいけない場面では毅然として対処をするということでございます。したがって、基本的には前政権と大きな変化はないというふうに受けとめております。
■西村外務大臣政務官
拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、日朝平壌宣言に基づいて、不幸な過去を清算して国交正常化を図るという前政権からの方針は変わりはございません。政権交代によって、変えるべき政策は変える、しかし継続すべきものは継続するというのは基本的な考え方だと思います。
諸懸案の一日も早い解決に向けて、具体的行動を北朝鮮から引き出すべく、引き続き国連安保理決議等に基づく措置を着実に実施して、関係国と連携して最大限努力してまいりたいと考えております。
先ほど委員は、対話と圧力という言葉、フレーズを御紹介されましたけれども、対話も圧力もともに手段でありまして、目的ではないと考えております。考え得るあらゆる方策を使って一日も早い解決に最大限努力してまいります。
■平(将)委員
国連安保理決議に基づいてさまざまな措置を連携してやっていく、国際協力をやっていくというのは極めて大事なことでありますが、その辺、具体的にお伺いをしていきたいと思います。
まずは、対北朝鮮の経済制裁については、日本としては独自の制裁措置、輸入輸出を全面禁止するということで、結果、輸出入額は、もうほぼゼロになったんだと思います。他方、日本だけが輸出入を制限しても、周りの韓国や中国がその分貿易量がふえて補完をしていれば、これは実際に、北朝鮮経済に打撃を与えて交渉に引っ張り出すというのが基本的なスキームだと思いますが、日本がやめている分、周りの国々が手を差し伸べていたら、ほとんど意味はないんだと思います。
先ほど、国際協調が大事だとおっしゃいましたけれども、それでは、中国と北朝鮮の貿易、韓国と北朝鮮の貿易量、現状はどうなっていますか、把握していますか。
■西村外務大臣政務官
北朝鮮との輸出入の全面禁止、こうした制裁措置というのは日本独自の措置でありまして、中国、韓国は、北朝鮮との輸出入に係る独自の措置を講じているわけではありません。関連する安保理決議に基づく義務は誠実に履行している旨、明らかにしているところであります。
そこで、中国及び韓国の対北朝鮮貿易額でありますけれども、両国の貿易統計によりますと、昨年、2009年の中韓の対北朝鮮貿易額は、2008年と比べてそれぞれ減少しております。現実の貿易はさまざまな要因によって決まってくるわけですので、我が国との貿易額が著しく減少したからといって、それで北朝鮮と第三国との貿易額が増加するということではないと考えております。
我が国の対北朝鮮措置は、核問題を初めとする諸懸案の解決に向けた強いメッセージであります。中国、韓国の貿易額がふえたとしても、直ちに我が国の対北朝鮮措置の効果が否定されるものではないと考えております。
■平(将)委員
それは直ちに否定されるものではないかもしれませんが、効果が薄れるのは間違いないのであって、中国、北朝鮮間の貿易量も減っている、韓国、北朝鮮間の貿易量も減っていると。
日本がそもそも既存でやっていた貿易量と比べて、その減少額はどうなのか。どのぐらい減っているのか。それは持っていますか。何となく減っているということなんでしょうか、それとも数字で持っているんでしょうか。
■西村外務大臣政務官
中国とで申しますと、対北朝鮮輸出額は、2009年の数字で約19億、これは前年比でマイナス7%。輸入額でいいますと約8億ドル、これは約4%の増でございます。合計して約4%の減。
韓国とでは、対北朝鮮貿易額、輸出額で申しますと、約7億ドル、これは前年比マイナス16%。輸入額は、約9億ドルで、これは約0・2%の増。合計して約8%の減ということでございます。
ちなみに、我が国の輸出入禁止措置の数字でありますけれども、これはどこの数字をとって御紹介したらよろしいのかわかりませんが、平成17年の数字でいいますと、輸入は145億からゼロになった、輸出で申しますと69億からゼロになった、こういうことでございます。
■平(将)委員
繰り返しになりますけれども、減っているのは、北朝鮮の経済がめためただから多分減っているんだと思います。
それで、我々、やる以上は、やはり連携してやらないと、効果は、なくなるわけじゃないけれども半減しますから、この辺の連携をどうしていくのか、また、ちょっと時間がないので次の質問に行きますけれども、その辺の観点をしっかり持っておいていただきたいと思います。
あわせて、国連安保理決議に基づく制裁措置が別途あるわけでありますけれども、この国連安保理決議、核実験、ミサイルの発射からちょっと時間がたちましたので、全体的な世論の関心も大分薄まっているようでありますが、これら安保理決議に基づく措置の諸外国の実施状況というのは今どのようになっているか、教えていただきたいと思います。
これも、先ほど西村外務大臣政務官がおっしゃったように、極めて連携が大事なわけであります。この国連安保理決議に基づく制裁措置、中国、韓国とどう連携をとって取り組みをされているのか、現状を教えてください。
■西村外務大臣政務官
国連安保理決議第1874号に基づく措置及び我が国の独自の措置、引き続き着実に実施しているわけでありますけれども、この国連安保理決議に基づく措置について、関係各国と緊密に連携する必要性は、委員も御指摘のとおりだと考えております。
主要国がこの安保理決議1874号の実施について提出した報告書がございますが、これによりますと、各国とも、武器等の禁輸措置を含めて、おおむね実施済みであると承知をしております。我が国としても、機会をとらえて、国際社会全体がこの決議に基づく措置を着実に実施することの重要性を、事務レベルでもハイレベルでも、関係国との間で確認しているところでございます。
■平(将)委員
とにかく、西村大臣政務官がおっしゃったように、連携が大事なんですよ。国連の安保理決議のもとに連携をする、あと、日本の制裁措置も、できるだけその趣旨に賛同してもらって連携をしてもらうと。
そんな中、昨年10月、温家宝総理が訪朝しまして、北朝鮮はどうもレアメタルがたくさんあるらしくて、それが動機かどうかわかりませんが、さまざまな経済支援を約束してきたという報道があります。
かたや日本が経済制裁を行っているのに、六カ国協議の当事者の中国が、北朝鮮へ行って、あれもやってあげるよ、公共事業も手伝ってあげるよと言ったら、我々がやっていることの効果が極めて意味がなくなってくるんじゃないかと思いますが、この辺の連携は政府としてちゃんととれているんでしょうか。
■西村外務大臣政務官
中国も、先ほど御紹介いたしましたけれども、事務レベルでもハイレベルでも、この点、我が国政府との間では何度も、外務大臣もこの点言明をされておりますし、確認をされてきております。中国側からも、安保理決議を厳格に履行しているという旨は繰り返し表明があります。日中間で、この安保理決議1874号の着実な実施の重要性につきましては認識が共有できているものと考えております。
いずれにいたしましても、日中両国は、六者会合の早期再開、朝鮮半島の非核化、北朝鮮と関係国の関係正常化等を通じた北東アジア地域の平和と安定という目標を共有しております。このことは1月17日に行われました日中外相会談でも確認をされておりますので、引き続きその目標に向けて緊密に連携をしていきたいと考えております。
■平(将)委員
冒頭に連携が大事だというお話がありました、また、ハイレベルでいろいろな会談をされていると言いますけれども、中国がこういう態度だと日本の経済制裁がきかないじゃないですか。それは、共有していますと言うけれども、結果はそうなっていないんじゃないかというふうに思われますよ。これはちょっと再度、中国の北朝鮮に対する経済援助と我々の北朝鮮に対する経済制裁と、しっかりその辺の整合性を持ってやってください。