■米長晴信委員
民主党の米長晴信です。
今非常に激しい論戦を聞いておりましたけれども、本法案は国連安保理の一八七四、これに基づく貨物検査、これに国内法の不備があるということでやっている法案でございまして、例えて言うならば、因数分解を解いているときに微分積分の話をしたというような印象を受けたんですけれども、ただ、それは微分積分も当然国としてやっていかなきゃいけないわけで、その部分は周辺事態の対処を含めた一般法、これを議論すべきだということを大臣自身がおっしゃったわけですから、それはそれでいいかというふうに思います。
ただ、今議論されていたのは、北朝鮮のいわゆる不審船的な武装したものをどう対処するかというような議論まで深く入ってしまいましたけれども、実は、問題なのは一八七四で押さえなきゃいけないという部分で、一般の商船、先ほど大臣は北朝鮮の商船と、北朝鮮のというまくら言葉付いていたけれども、そうじゃなくて、完全な第三国のしかも荷主が実は分かっていないようなそんな事例が多い、それにすら対処できないと。一般の商船のようなものを情報に基づいて検査するということも不備があるということでございますから、ちょっとここは基本に返って、まず今の現行法上どういった不備があるから本法案提出しなきゃいけないかと、改めて確認をさせていただきたい。
■前原国土交通大臣
現行法の下では、北朝鮮特定貨物については検査、そして提出、保管等の措置を行うことができないために、今般当該措置を可能とすべく立法措置を講ずることにしているところでございます。
じゃ、例えばどのようなことが現行法では対応できないかということでございますけれども、内水、領海におきましては、我が国に寄港するが、我が国への輸出輸入貨物を持たない船舶への立入検査とか、あるいは我が国領域内を通過して北朝鮮と第三国間を往来する船舶への立入検査でありますとか、あるいは公海上では、旗国の同意の下、外国船舶を立入検査するとか、まあ様々な項目においてこの法律がなければできないというものがございますので、立法措置をとる中でできるだけその穴をなくしていくということがこの法律の趣旨でございます。
■米長委員
資料一で添付したのが国交省の方からいただきましたこの法案の網羅するところとするものを表しているフローチャートでございまして、今の説明どおり、内水、領海、公海とそれぞれの対処が分かりやすく書いてあるかというふうに思います。
その中で、一番左の二重の箱になっている部分、公海においては旗国の同意がありなしとあって、ない場合は旗国が、これ我が方の範疇の外かもしれませんけれども、旗国が船長に回航を指示するかしないかという部分がありまして、これは一般的には、第三国の国が自分の国のところに回航を指示するということは、普通、常識的にはそうなるというふうに思うんですけれども、ただ、その旗国が北朝鮮自身だった場合、これは北朝鮮が回航を指示するというふうにも思えませんので、この場合は、この安保理決議に基づいてこういった貨物検査等を実行するときにどのように対処されるのか、どのようなことが考えられるのか、教えていただきたいんですけれども。
■三日月国交大臣政務官
今、委員、この資料、御提出いただいた資料一に基づく一番左側のケースですね、これは公海における対処なんですけれども、これは法案の第3条二項に基づいて、旗国の同意及び船長等の承諾を得た上で貨物検査等を実施することとなります。
仮に旗国が同意を与えない場合については、安保理決議第1874号に基づいて、旗国というものが当該船舶に対し検査のために適当かつ都合の良い港に回航するよう指示する義務を負っている。義務を負っておりますので、その義務を履行しない措置を行う場合は、そういった措置をしない場合については、そのような不作為について安保理に報告をしてその履行を求めるということになると思います。
■米長委員
それがやっぱり北朝鮮だった場合に、なかなか命令に従うかどうかという部分もあるんですけれども。
じゃ、ちょっと質問付け加えまして、今日は西村政務官にも来ていただいていますけれども、我が国は法の不備があって本法案を提出をしているわけでございますけれども、例えば、この1874履行に当たって、各国、現行法でいけるのか、あるいはどういった措置をしているのか、ちょっと御紹介いただければというふうに思います。
■西村外務大臣政務官
安保理決議を受けての諸外国の対応でございますけれども、国連等の場で様々な機会をとらえて、各国、関係国との間で意見交換や情報収集を行っております。
貨物検査に関しては、各国とも現行法で対応し、又は新規立法の要否や対応すべき官庁の分担を含めた検討や作業を行っているようでございます。
例えば、米国、韓国、EUは現行法で対応できるとしておりますほか、ロシアについては新たに大統領令を策定して対応してきていると承知いたしております。
■米長委員
各国、現行法ないし例えば大統領令のような、国によって対処は異なるかと思いますけれども、仮に北朝鮮船籍が回航を指示したけれども従わないといった場合に、どこか公海上あるいはどこかの国の領海あるいは内水で抜け道があるような状況なのか、あるいは、各国の法律で北朝鮮船籍、給油とか補給とかいうことができないような仕組みに、これ網羅できているのかどうか、御所見をお伺いしたいと思います。
■西村外務大臣政務官
貨物検査の実施に関連する情報でありますけれども、様々な場をとらえて情報収集を行っているということは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、旗国の同意を取り付ける手段等につきまして、一般的に、一般国際法上の規則や慣行はございません。安保理決議第1874号にも言及はないという状況でございます。
■草川昭三委員
公明党の草川であります。
5月24日、政府は、朝鮮半島情勢の緊迫を受けて安全保障会議を開き、情勢分析と日本政府の対応を協議しておりますが、その概要について簡潔にお答え願いたいと思います。
■三澤康政府参考人(内閣官房内閣参事官)
御指摘の5月24日の安全保障会議でございますが、5月24日午前、李明博韓国大統領が哨戒艦の沈没事案について演説を行ったということを受けまして、同日の3時から総理主宰の下で関係閣僚集まって安全保障会議を開催いたしました。
会議の中では、外務大臣、防衛大臣から情勢報告をいただき、引き続き、20日の連立及び関係閣僚会合以降、本事案を受けて関係各省が行っている措置につき報告がございました。その上で、さらに我が国がとるべき措置について、対応について協議を行いました。
この協議を受けて、鳩山総理から閣僚に御指示をいただきました。主として四項目ございました。まず最初に、韓国を強く支持していくという立場から、国連安保理との対応や国際社会との連携、特に韓国、アメリカ、あるいは日米韓の連携を強化していくということでございます。二つ目は、我が国として新たな対北朝鮮措置の検討を早急に開始することということでございます。三つ目は、まさにこの御審議いただいています貨物検査法案の早期成立に向けて全力で取り組むことということでございます。最後に、引き続き情報収集を強化していくと。国民の安全、安心の確保に万全を期していくということでございました。
■草川委員
外務省に続いてお伺いをいたしますが、韓国の大統領は、今答弁がありました5月24日、哨戒艇が魚雷攻撃で沈没したと断定をした調査報告を踏まえまして、国連憲章違反である、朝鮮戦争の停戦協定など合意を破壊したという談話を発表されまして、これは北の攻撃を軍事的挑発と断じておりますが、中国側はどのようにこれを受け止めているか、外務省の見解を求めたいと思います。
■西村外務大臣政務官
中国側の反応でございますけれども、中国は、外交部の記者会見などを通じて、韓国哨戒艦沈没事案の犠牲者に対して哀悼の意を表した上で、今般の韓国側の調査結果については、科学的かつ客観的な調査をすることに賛同するとしつつ、韓国が発表した調査結果については現在中国は評価中であるという姿勢を示しております。その上で、中国は、関係国が冷静、自制を保ち、関連の問題を適切に処理することを望む、局面が緊張し、エスカレートすることは避けなければならない、これは朝鮮半島の南北双方の根本的利益に合致するとともに、関係国の利益にも合致する旨を表明しております。
■草川委員
非常に政治的な態度だと私は思いますが。
続いて外務省にお伺いをしますが、この大統領談話を受けて、制裁措置として北朝鮮へ貨物検査の実施の厳格履行を求めておられますが、今まで韓国はどのような制裁をやっていたのか、具体的に分かった点だけ御報告願いたいと思います。
■西村外務大臣政務官
韓国側の措置でございますけれども、国連安保理決議第1718号及び1874号に基づいて、主に次のような措置を実施してきたと承知しております。
一つには、船舶検査体制を確立し、実施すること。二つには、軍関連及び核、ミサイル、大量破壊兵器計画関連の特定品目の北朝鮮への輸出禁止措置を実施すること。三つ目には、奢侈品の輸出を規制することでございます。
■草川委員
日韓外相会談が5月16日でございますか、開かれたと思うんですが、この外相会談でこの問題はどのように取り上げられておられるのか、簡潔に御答弁願いたいと思います。
■西村外務大臣政務官
16日の日韓外相会談でございますけれども、このときはまさに韓国政府を始めとする調査団による調査が進行中でございました。大臣にこの哨戒艦沈没事案について柳明桓長官から調査の現状等について説明がありまして、それに対して岡田大臣から46名の方のお見舞いを申し上げるとともに、韓国政府として各国の専門家が参加した客観的な調査を実施していることを評価したいということを述べ、さらに我が国として、極めて困難な状況の中で毅然かつ冷静に対応されておられる韓国に深い敬意を表しつつ、韓国を支持し、必要な協力を惜しまない旨を伝達しております。その上で、今後の対応ぶりについては、日韓あるいは日韓米で引き続き緊密に連携していくことで一致をいたしております。
■草川委員
続いて、今月末に予定をされております日韓首脳会談の中心的な議題は今のことも含めてどういう扱いになるのか、あるいはまた、かねてから問題になっている竹島問題等々もこの首脳会談の議題になるのかどうか、お答え願いたいと思います。
■西村外務大臣政務官
今月末に予定されております日韓首脳会談でございますけれども、そこにおいては、哨戒艦の沈没事案、そして北朝鮮情勢、また日韓二国間の関係等について議論されることになると思いますけれども、詳細については現在調整中でございます。
■草川委員
外務省にお伺いをしますが、2005年10月に米英の捜査当局は北アイルランドで、精巧な偽100ドル札、スーパーノートを北朝鮮から購入し流通をさせた疑いで関係者を逮捕しています。
言うまでもなく、通貨偽造は国家制度を根幹から揺るがす重大な犯罪行為であることは言うまでもありません。偽札造りは、拉致と同じく、北朝鮮の体制に深く根差した本質的な問題だと指摘をされたのは当然のことだと思います。
マカオの銀行に対する米国の金融制裁は、北朝鮮による偽ドル、麻薬、大量破壊兵器など数々の違法取引で得た利益の資金洗浄に対するものだとされていますが、このときの金融制裁はどうなってしまったんですか。その後、米国は、金融制裁の解除を六か国協議再開の条件とするという北朝鮮の要求に屈し、二か国間交渉に応じ、北朝鮮口座の全面凍結解除、中国銀行への全額移管に合意をしているわけでありますが、この間の経緯と現状を御説明願いたいと思います。
■西村外務大臣政務官
マカオにありますバンコ・デルタ・アジアでございますけれども、米国は、2005年9月、このバンコ・デルタ・アジアを主要な資金洗浄の懸念がある金融機関として認定をいたしました。米国は、2007年2月の六者会合においてこのバンコ・デルタ・アジアに関する金融問題を解決する意思を表明し、その後、2007年4月にマカオ当局は米国との調整を経て北朝鮮関連口座の凍結を解除いたしました。同年六月に北朝鮮関連口座の資金の北朝鮮への送金が実現し、北朝鮮もバンコ・デルタ・アジア問題が解決したとしております。
米国による本件の措置は、通貨偽造や資金洗浄から米国の金融システムを防御するためのアメリカの金融当局による法執行上の措置でございます。米国政府が本件措置を解除いたしましたのは、あくまでもそのような法執行上の観点から行ったものでございます。米国の国内法に基づく判断につきまして我が国としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
■渕上貞雄委員
社民党の渕上でございます。
まず、基本的なことでございますが、提案理由にもございましたけれども、入港禁止処置について、なぜ延長するのか、延長する理由はどこにあるのか、お伺いいたします。
■西村外務大臣政務官
北朝鮮は、拉致問題について2008年8月の日朝合意に従った調査のやり直しなどについて具体的な行動を取っておりません。また、核、ミサイル問題についても、昨年のミサイル発射や核実験を実施するなど、解決のための前向きかつ具体的な行動が取られていないということでございます。
こうした北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案すれば、対北朝鮮措置を継続することが必要であるというふうに判断をいたします。このうち、本年4月13日が期限であった北朝鮮船舶入港禁止及び北朝鮮との間の輸出入禁止の措置については、かかる情勢にかんがみ一年間継続することとしたものでございます。
■渕上委員
次に、この間、入港禁止処置を実施する中で、日本として北朝鮮との関係についてこれまでどのような努力をなされてきておるのでしょうか。さらにまた、一年間延長するということですが、今後どのような取組をなされるのでしょうか。具体的にお教え願いたい。
■西村外務大臣政務官
今まで繰り返し申し上げていることのまた繰り返しになるかもしれませんけれども、政府としては、日朝平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図る方針でございます。
この諸懸案の一日も早い解決に向けて具体的な行動というものを北朝鮮から引き出す必要があります。そのために、引き続き関係国と連携して最大限努力してまいりたい、これまでも努力はしてまいりましたが、これからもしてまいりたいと考えております。
拉致、核、ミサイル、いずれも容認できない問題でありまして、この度の措置延長を含めて、国連安保理決議第1874号などに基づく措置や我が国独自の措置を着実に実施していきたいというふうに考えております。
また、一年延長することによる意味といいますか、そのことの結果についてお尋ねがありましたけれども、先ほど申し上げたように、この諸懸案の解決のために重要なことは、やはり何といっても、北朝鮮に対して解決に向けた具体的な行動を取ることこそが自らの利益になることであるということを理解させることだと思います。そのために、経済的効果に加えて、具体的な行動を求める我が国の立場を明確にすることに意味があると私は考えております。
■渕上委員
延長することによっていかに実効性があるのかについてお伺いいたしますが、一年間延長することによって北朝鮮との関係改善に関してどの程度実効性を持つとお考えでしょうか。
■西村外務大臣政務官
特定船舶入港禁止特措法に基づく北朝鮮船舶の入港禁止措置により、平成18年10月14日以降は、北朝鮮船舶の我が国への入港実績はゼロとなっております。対北朝鮮措置の北朝鮮経済全体に対する効果を確定的に評価することは困難でありますけれども、北朝鮮の厳しい経済状況と併せ考えた場合に、こうした措置は北朝鮮に対して一定の効果を及ぼしていると考えております。
加えて、北朝鮮に対する措置の政治的意義にも着目いたしますれば、今般延長した特定船舶入港禁止措置法に基づく北朝鮮船舶の入港禁止措置も、北朝鮮に対して諸懸案の解決に向けた具体的な行動を引き続き求める我が国の立場を明確にする効果があると、このように考えております。
■渕上委員
改めてお伺いをいたしますが、本年4月9日の閣議決定では、その他入港禁止の実施について必要な事項として、必要な人道上の配慮を行うとありますが、必要な人道上の配慮とはどのようなことを想定されているのでありましょうか。また、法令の執行に支障を及ぼさないようにするとは、どのような場合を考えられているのでしょうか。
■西村外務大臣政務官
閣議決定中の文言についてでございますけれども、必要な人道上の配慮を行うと確かにございます。これは、災害や事故など緊急に入港を必要とする場合を想定したものでございます。
また、法令の執行に支障を及ぼさないようにするという文言についてでございますが、これは、北朝鮮籍船舶に対して捜査を行う必要が生じた場合に、捜査上の観点から本邦の港に入港させることなどを想定しているものでございます。
■渕上委員
これまで入港禁止に関する閣議決定を見ますと、平成18年10月の閣議決定から、必要な人道上の配慮、法令の執行に支障を及ぼさないようにするという決定がなされておりますけれども、この間、これらに当てはまるような具体的な事実はあったのでしょうか。
■三日月国交大臣政務官
平成18年10月14日以降、北朝鮮籍船舶の本邦港湾への入港は確認されておらず、法令の執行に支障を及ぼさないようにするために北朝鮮籍船舶を入港させた実績はございません。
■渕上委員
貨物検査についてお伺いをいたしますが、法案では、貨物検査を行うのは、我が国の内水、領海又は公海にある船舶が北朝鮮特定貨物を積載をしていると認めるに足りる相当な理由があるときとしていますけれども、北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由をどのように確認されるのでございましょうか。また、だれがその判断をされるのでしょうか。次にまた、どのような指揮命令系統でなされるのでしょうか。公海における検査については旗国の同意が必要とされていますが、どの時点で同意を取り付けるのでしょうか、お伺いをいたします。
■三日月国交大臣政務官
四つのことを問われました。
まず一つ目。北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときといいますのは、これは積載している疑いがあるという具体的な情報がある場合を指しておりまして、そのような関連情報をどう確認するのかということなんですけれども、この情報源についてその性格上一概に申し上げることというのは困難なんですが、海上保安庁や税関自らが直接情報を入手する場合もあるでしょうし、例えば、外国の関係当局ですとか我が国の関係省庁からその船舶の仕向け港、仕出し港、貨物の内容等の情報がもたらされる場合が想定されると考えております。
また、だれが判断をするのかということなんですけれども、北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由の判断は海上保安庁長官又は税関長が行うこととしております。なお、海上保安庁長官又は税関長がこれらの判断を行うに当たっては、もたらされた具体的な情報の分析等について関係省庁間の連携といったものが必要でありますので、内閣危機管理監が議長を務めます局長級の関係省庁連絡会議を開催するなどいたしまして、知見を有する省庁の協力を得て関連情報の収集の調整、共有、分析等に努めることとしております。
また、指揮命令系統はどうなっているのかということなんですが、法案の第三条にありますように、北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、海上保安庁長官は海上保安官に、そして税関長は税関職員に検査のための必要な措置をとらせるという指揮及び命令を発するということにさせていただいております。
また四つ目。旗国の同意を取り付ける場合、公海上において旗国の同意を取り付けることにつきましては、先ほど申し上げました関係省庁連絡会議における分析等を踏まえて、当該船舶に北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があることを海上保安庁長官が判断した時点で、外交ルートを通じて当該船舶の旗国の同意を取り付けることとさせていただいております。
■渕上委員
領海及び公海においては船長等の承諾を得た上で検査をすることにしていますが、承諾を得られない場合、指示に従わない場合はどのような対応をされるのでしょうか。また、法案では従わなかった者に対して罰則を科するようになっておりますが、このような場合において、どのような罰則を科せるのでありましょうか。
■三日月国交大臣政務官
委員御指摘のとおり、領海又は公海におきまして船長等が承諾しない場合には、船長等に対し、最寄りの港などに回航命令を発して、回航させて、その場所で検査をすることとなります。
仮に、これ、回航命令に従わない場合につきましては、海上保安庁長官による命令に従わないということをもって罰則、これは一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金というものを科すことによって、その実効性を担保しております。
■渕上委員
同意の問題についてお伺いしますが、そもそもここで言われている同意はどのようなものを言われているのでしょうか。また、書面で行うものか、それとも口頭でよいものか、お教え願いたい。
■西村外務大臣政務官
同意についてでございますけれども、書面か口頭か含めて、旗国の同意を取り付ける手続や形式につきましては一般国際法上の規則や慣行はございません。安保理決議第1874号にも、その点言及はございません。
どういう形式でということで、具体的に申し上げますと、旗国から同意を取り付ける際には、慎重を期す観点から、外交当局を通じまして明確な同意の意図を表明する口上書などの外交文書を取り付けるといったことが考えられます。しかし、同時に早急な対応が求められることも事実でありますので、これはなかなかどちらというふうに限定はできないところではないかと思います。
いずれにいたしましても、一般国際法上の規則や慣行はございません。個別具体的な状況に応じて関係国にとって最もふさわしい形式が選択されることになりますが、対象となる船舶の旗国が、我が国が円滑な検査の実施のために必要な措置をとることに同意していることが明確に示されるということが重要であります。
■渕上委員
旗国の同意が得られない場合は、じゃどのように対応されるのでしょうか。
■西村外務大臣政務官
公海上における船舶への検査等について当該船舶の旗国が同意しない場合でありますが、これは安保理決議第1874号に基づいて、当該旗国は当該船舶に対し検査のために適当かつ都合のよい港に回航するよう指示する義務を負っております。また、そのような措置をとらない場合には安保理の制裁委員会に報告されることになります。