■馳委員
自由民主党の馳浩です。
中国人の観光ビザの問題について、まず西村政務官にお伺いいたしたいと思います。
先日、報道にもありましたが、中国人向けの個人観光ビザの発行要件を七月一日から大幅に緩和する方針と聞いておりますが、その概要とねらいについてお伺いしたいと思います。
■西村大臣政務官
先日、外務省より発表いたしましたけれども、7月1日から、御指摘のように、中国人向け個人観光ビザの要件を緩和いたします。
主な内容といたしましては3つ。まずひとつ目は、申請受付公館をこれまでの3公館から7公館に拡大をして、中国本土における全公館といたします。ふたつ目には、取扱旅行会社を、現行48社ございますけれども、これを290社に拡大いたします。そしてみっつ目に、一定の職業上の地位及び経済力を有する者に対して査証を発給するということでございます。
中国人の訪日観光は、従来から団体観光の形式で実施されております。今回の措置は、昨年七月から開始した個人観光について要件緩和するものでございます。
■馳委員
一言で言えば、金のかからない景気対策。私も石川県でありまして、西村さんの地元新潟県でも、多分、県は中国からの観光客を受け入れてということを取り組みをされているときだと思います。
そこで、ちょっと懸念があったのでお伺いしたいんですが、警察庁に伺います。
要件の緩和による治安上の懸念、例えば、団体旅行の解禁後の中国人観光客の失踪者や犯罪者が多いというふうに聞いておりますが、これまでの統計を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
■高橋美佐男政府参考人(警察庁刑事局組織犯罪対策部長)
中国人団体観光客は、平成12年9月からの開始以降、昨年末までに1128人の失踪者が発生していると承知しておりますが、このうち197人が入管法違反等で検挙されております。
一方、中国人個人観光客は、昨年7月の開始以降、失踪者の発生はないと承知しております。
また、観光客に限った統計資料ではありませんが、短期滞在の在留資格で入国した中国人の昨年中の総検挙人員は345人で、韓国に次いで多い人数となっております。
■馳委員
西村さん、最後にお伺いするんですけれども、今回の緩和策で、中国の中間層にねらいを絞っておりますが、大体どのぐらいが対象になるんでしょうか。
■西村大臣政務官
今回の要件緩和につきましては、ねらいといいますか期待するところは、日中間の人的交流がさらに発展をいたしまして、両国国民の相互理解が一層増進されることでございます。私たちはそのことを期待しております。
どのくらいの層になるのかということでありますけれども、今回の措置によりまして、個人観光のビザ発給対象者は1600万世帯以上ということで、10倍以上になると想定しております。
なお、先ほど委員、中間層というふうにおっしゃいましたけれども、委員の言われるところの中間層、いわゆる中間層、必ずしも中国の中間層を対象としたものではないということを付言したいと思います。
■馳委員
日本的な感覚で中間層という言い方が、私、ちょっと表現がまずかったかなと思います。つまり、個人でも日本に旅行に来ることのできる層、こういうふうな言い方に私も改めたいと思います。
ここで私は千葉大臣の応援団に今からなるんですけれども、西村さんに最後の質問ですよ。今回のビザ発給緩和策において、それは中国国内で公館を7つに増やすとか旅行代理店を290に増やすというのはいいんですよ。受け入れの方は入管業務なんですよ。そうすると、法務省と連携をした上で、外務省として今回の措置をとったんですか。
■西村大臣政務官
当然、入管の受け入れ業務は法務省の方の担当になりますけれども、ビザの申請、そしてその審査については在外公館がやることになりますので、率直に申し上げると、外務省の方もそれなりに人員は必要ということになります。当然、そうした人的な要員の配置が必要になってくるということでありますので、法務省とも協議を行っております。
■馳委員
私は何を言いたいかというと、閣議決定、まだ済んでいないでしょう、来年の国家公務員の採用試験の。まだしていないですよね、閣議決定は。(発言する者あり)けさ、したんですか。済みませんでした。まだ情報が入っておりませんでしたので。報道によると、千葉法務大臣は、刑務官、こういった入国警備官の問題で抵抗しておられたという意味で、私は千葉法務大臣を応援しようと思ってきょうの質問をつくってきたんですよ。
外務省の方から、中国からこうやってたくさん、1600万人、これまでよりも10倍ふえて入ってくる可能性があるということになりますと、対応できますか。まず、そのことをお伺いしたいと思います。
■千葉国務大臣
先ほどお話がございましたが、外務省とも、この問題につきましては、観光立国推進基本計画、観光立国を標榜するという中で、どうやって体制を整えようか、こういう協議はしているところでございます。
今回の緩和によりますと、実は外国人の入国者数は、平成21年はその前年よりもいささか減少しておりました。これは景気後退等の影響もあろうかというふうに思いますが、しかし、その中でも、中国人の入国者については前年比で2%増の123万人余りでございました。減っている中でもふえていたということでございます。
そういう中で、またビザが緩和をされるということになりますと、かなりの入国者数の増加というのがやはり予測をされるということになります。それに対して、ぜひきちっと入国審査が適切に、また不当な者を入国させるようなことになっては困りますので、そこで厳正な入国の審査をするということが必要になってこようかと思います。そうなりますと、人的にも、それから体制も、さまざま整備をしなければなりません。
今、何とかそれに対応しようということで、国際便の運航スケジュールに対応した入国審査官の増配置とか、あるいは応援態勢、こっちからこっちへ、このときだけ応援をするとか、それから、事前旅客情報システム、APISの活用によるチェックの迅速化、それから、審査場の混雑状況の映像表示及び補助員によりあいているブースへできるだけ誘導する、こういうこともやりながら、しかし一方ではテロリスト等の入国などがあってはならない、こういうこともありますので、厳正にやっていきたいというふうに思っております。
何とか入国審査の最長待ち時間を20分以下にしたいという取り組みを進めているところでございまして、今まだ20分以下にはなかなかなってございませんけれども、成田ですと大体20分、21~22分、ちょっと関西の方が多少時間がかかっておりまして、27~28分というあたりでしょうか、こういう状況でございます。
しかし、ふえる中で、これをまたより短くするというのは大変なことではございますけれども、ぜひ、一定の人数の確保、それから先ほど申し上げましたような体制を整備するという形の中で、皆さんに気持ちよく入国をいただくという形をしっかりととってまいりたいと思っております。