■木村仁委員
せっかくJICAの理事さん、あるいは政務官でいらっしゃいますか、来ていらっしゃっておりますので、昨年11月及び本年4月におけるJICAの仕分についてお聞きしておきたいと思います。
これは私は本当に、JICAそのものについての存在を疑っているわけではなくて、むしろ仕分の仕事そのものが木を見る必要がない、枝葉だけ見ればいいというような感じの節約志向の仕分になった結果ではないかと思いますが、まず、去年11月と本年4月に一体どのような仕分の結論を得られたのでしょうか、理事さんにお願いします。
■橋本栄治参考人(JICA理事)
11月と4月と2回にわたって事業仕分が行われまして、コストの面であるとか、あるいは施設の問題であるとか調査研究の問題といった点について御指摘を受けてございます。
仕分作業において指摘されました点につきましては、JICAとしては真摯かつスピーディーに事が運ぶように努力しておる最中でございまして、例えば、既に実施しました点につきましては、航空運賃の削減、割引航空券やエコノミークラスの導入を基本とするというようなことで年間約17億円、あるいは契約における一般競争入札の拡大等により年間約18億円の経費を削減できる見込みとなっております。こういった努力を現在傾けております。一方、アジアの経済成長戦略やアフガニスタンでの平和構築、アフリカにおける人間の安全保障、そういった局面において、このODAを戦略的に展開するためにこういった努力も現在傾けておるところでございます。
■木村仁委員
全国各地にあります国際センターの統合、あるいは研修員手当の引下げ、あるいは海外協力隊の縮減あるいは廃止、エコノミー化、ラスパイレス指数を100に下げよと、こういう指摘が行われておりました。
国際センター等の統合についてはJICAとしては検討が進んでいない、あるいは極端に言えば抵抗しておられるように思いますが、その点はいかがですか。
■橋本参考人
現在、JICAは北海道から沖縄までセンターがございますし、事業仕分では六つのセンターが具体的な名称とともに候補に挙げられてございますけれども、地元との関係や、先ほど先生の御指摘のありました雇用の問題等も考えながら、現在、公益法人の仕分等々の関係も見極めつつ、関係省庁の方と調整を図っておるところでございます。
■木村仁委員
国際センター等の統合を、帯広と札幌に二つあるというようなことは若干気にはなりますけれども、しかし、全国的にこの施設があって、各国の訪問者が全国的に地理的に散らばって日本で研修を受けるということは極めて重要なことであって、これを仕分の対象になったからといってまじめにお考えになる必要は私はないと思います。枝野大臣が笑いますから御答弁しにくいと思いますけれども、これは言いっ放しにいたしますが。
それから、研修員の手当についても、9000円を4千何百円、何円かかなり引き下げるという結果、50億という節減をしておりますという説明がありますけれども、こういうものを引き下げるのは愚の骨頂でありまして、これは、わざわざ日本に研修に来た人には少し良い思いをさせて日本を好きになって帰ってもらわなきゃ困るわけだと私は思いますから、そういうことをけちる必要はない。
それから、全体としてJICA及び外務省のODA関係の予算について申しますと、平成九年度をピークとしてもう今や半分になっているわけでしょう。そして、コンクリートから人へというスローガンを国内の話かと思ったら国際的にも適用して、コンクリートは認めないと。人間の安全保障ということでそっちの方も重要ではありますけれども、コンクリートでなければ事態が良くならないレベルの国というのはたくさんあるわけで、だから、コンクリートから人へという理念をこういう仕分に使って、そしてJICAあるいはこれは外務省の予算だと思いますけれども、これを制約するということは非常に私は遺憾なことであると考えますが、御感想を、政務官、お述べいただきたいと思います。大臣が隣におられることは余り気にしなくてもいいです。
■西村外務大臣政務官
御感想ということで御質問いただきましたので、お答えをいたしたいと思います。
鳩山内閣の下で、行政刷新会議が事業仕分を行い、これによってJICAも仕分の対象となりました。
先ほど、どういう仕分結果であったか、そしてどういうフォローアップを行っているかということは先ほど理事から御答弁申し上げたとおりでありますけれども、昨年の仕分で申し上げますと、その結果をしかるべく本年度予算に反映させてきたところでございます。また、本年の事業仕分においては、またJICAに関するフォローアップ、そしてまた職員宿舎等が取り上げられましたけれども、当省として本年の事業仕分の結果について誠実にフォローアップをしてまいりたいと考えております。
確かに、ODAの予算は14年間減少の一途をたどり、ピーク時に比べますと4割減少しております。しかし、ODAというのは、我が国が国際社会の平和と安定に貢献し国際社会における発言力及び信頼を高めるために重要な外交手段であると認識をしておりますし、国際社会の中でG8を含めて開発というのが非常に重要なアジェンダになってきておりますので、何とかして日本のODAの国際競争力を高めていきたいと。そのために、現在、ODAの在り方について夏までをめどに基本的な見直しを行っております。
事業仕分及び見直しの結果も踏まえて、ODAを戦略的かつ効果的に実施してまいりたいと考えておりますけれども、やはり外交、これは委員も外務の副大臣をお務めになっておられたことがあると思いますので十分に御認識されていると思いますけれども、やはり国民の理解と信頼なくしては強力な外交というのを実現することはできません。これは岡田大臣が常々申しているとおりであります。
また、事業仕分についても、国内センターなどについては、これは行政刷新会議が今行っている仕分作業、具体的な作業を通じて将来像がきちんと示されることになると思いますので、外務省といたしましても、行政刷新会議とよく連携を取り、この見直しの結果をきちんとフォローアップをしていきたいと考えております。
■木村仁委員
ODAの国際的地位がどんどん低くなって、今やトップであったものが5位、6位、そしてGNIに占める比率も22番、ほとんどどんじりにあるという状態でありまして、これに対して、中国のODAにおける目覚ましい制約ない実行、そういうことを考えてまいりますと、大変危機的な状態にあるのではないかと思います。特にサブサハラの諸国には日本の外交使節団も非常に希薄である。
そういうことを考えると、私は、このODAについていろんな仕分をしたりすることは、それは節約ということでいいと思いますけれども、大きな部分に切り込んでいくことは大変危険であるということを申し上げて、同僚の時間に食い込んでおりますので、これで終わりたいと思います。