■黒岩委員
おはようございます。
きょうは、貨物検査法案と特定船舶入港禁止法の入港禁止措置の承認案件、この二つについて質問をさせていただきます。
まずは、入港禁止措置の承認案件について、私の方から閣議決定部分についての質問をし、この後、同僚議員の川島議員から入港禁止法の本体について質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
6年前に特定船舶入港禁止法が成立しまして、その3条2項において、じゃ、入港禁止の目的は何なの、特定の外国ってどこなの、特定の船舶は一体どういったものなのといって、1号から7号にわたる、すなわち7項目を閣議決定しなければならないと。これは3条2項に規定してあるわけです。
4年前にこの閣議決定がされてから、実は今回で8回目の閣議決定がなされたわけですけれども、しかし、残念なことに、ここ3年間、直近の5回は、全くもって単純に期間の延長をするだけで、他の項目については今までどおり、まさにマンネリ化した状況なんですね。
しかし、きょうは外務省の西村政務官に来てもらっていますけれども、昨今、この極東では、韓国の哨戒艦の沈没事案があったりとか、いろいろと、この極東をめぐる国際情勢も変わっている。当然、北朝鮮との二国間の関係も非常に、刻一刻と変化を見せている。にもかかわらず、なぜ閣議決定が直近3年間、一切この本体部分、法律で規定されている本文の部分は何にも変更されずにここまで来ているのかという問題意識を私は持って、何点か質問をいたします。
まず第一点、聞きますけれども、この最大の閣議決定事項である入港禁止の目的、この目的に、実は拉致問題、拉致という言葉が一切明記されていません。これは一体なぜなのか、まずお答えください。
■西村外務大臣政務官
黒岩委員も私も同じ新潟でございますので、拉致問題には本当に強い意欲を持って委員も取り組んでおられることだというふうに拝察をいたしますけれども、実は、現在行っている北朝鮮船舶の入港禁止措置は、法律上、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときに発動することができるとされており、閣議決定の記述ぶりは、その契機となった核実験実施発表に言及しつつ、同法の規定ぶりを踏まえたものとなっております。
一方で、入港禁止措置を決定するに当たっては、北朝鮮が拉致問題の解決に向けて具体的な行動をとってこなかったことも当然判断材料の一つとなっており、閣議決定文中の「その後の我が国を取り巻く国際情勢」の中には、拉致問題をめぐる現在の状況も既に含まれております。
また、こうした趣旨をより明確にするために、官房長官の発表におきまして、北朝鮮が拉致問題について具体的な対応をとっていないことに言及をしております。
いずれにいたしましても、政府としては、拉致問題を含む諸懸案の解決に向けて、北朝鮮が具体的な行動をとることを粘り強く求めていく方針でございます。
■黒岩委員
西村さんの答弁、私も事務方から聞かせてもらっています。
ただ、要するに、16年にこの法律ができたときのそれ以降の事実関係がそんなに進んでいないというような表現を外務省の事務方が言うんですけれども、でも現実には、直近でいったら、もう08年の時点でこちらから拉致の被害者のさまざまな調査を投げかけた、その再調査をしないという、これは外務省も指摘していますよ、非常に不誠実な対応が返された。こういったことが刻一刻、この閣議決定というのは今1年単位で行っていますから、この1年の間にもいろいろなことが起きているわけですね。
ですから、今の答弁で、すなわち入港禁止の理由に入れなくてもいいよということは、私は論理必然ではないと思っていますので、最後は西村さんも、今後は前向きに検討だと言いますので、今後の北朝鮮の拉致に関するさまざまな事象が起きたときには、これはやはり本体である入港禁止の目的の中に入れていただきたいと思っております。
では、2番目の質問に行きます。
貨物検査法が今回制定されるきっかけとなったのは、昨年4月の北朝鮮のミサイル発射、そして5月の核実験、これが大きな契機となって、国連の制裁決議が発動されたわけです。このようなまさに大きな事実が起こったにもかかわらず、またもや、入港禁止の目的、ここに加えられていないわけですね。何で、これほど大きな事態がこの1年以内に生じたのにもかかわらず、閣議決定の本文に何ら変更がないのか、この点についてもお聞かせください。
■西村大臣政務官
先ほどと同様の趣旨となりますけれども、現在行っている入港禁止措置は、法律上、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときに発動することができることになっておりまして、閣議決定の記述ぶりは、その契機となった核実験実施発表に言及しつつ、同法の規定ぶりを踏まえたものとなっております。
閣議決定文中の「その後の我が国を取り巻く国際情勢」の中に、まさに核、ミサイルといった諸懸案を含む北朝鮮をめぐる諸般の情勢が含まれております。
また、こうした趣旨をまた明確にするために、繰り返しになりますけれども、官房長官の発表等においては、平成21年4月のミサイル発射や同年5月の核実験の実施について言及をしております。
閣議決定の理由の中に入っていないということでありますけれども、それをセットとするために、官房長官の発表等でそうしたことについて言及をしているところでありまして、引き続き、北朝鮮が具体的な行動をとることを、こういった談話もあわせて、粘り強く求めていきたいと考えております。
■黒岩委員
官房長官談話で付言しているというようなことは何度もお聞きしているんですけれども、何度も言いますけれども、これは議員立法で法律をつくって、その3条2項で閣議決定に明示すると書いてあるわけですから、この法律事項にある閣議決定にその時々の事象を入れていくというのが、私はやはり政府の姿勢として当然だと思っておるんですね。時間がないので、これは言及するまでにとどめますけれども。
それで、例えば、この特定船舶というものも、法律上は、定義は3類型あるわけですね。ひとつ目は、北朝鮮籍の船。2号船舶と言われるものは、他国の船籍だけれども、北朝鮮に寄港した船、立ち寄った船ですね。3番目は、北朝鮮籍じゃないけれども、北朝鮮がどこかの船をチャーターして自分の特定貨物を運ばせている、そんな可能性のある船、これは3号船舶といいます。しかし、これも、しょっぱなからせっかく法律では3類型を定義しているにもかかわらず、過去8回の閣議決定で、対象船舶というのはずっと1号船舶だけなんですよ。
お聞きしたいのは、2号船舶等に対象を広げるような検討、議論というのはされたのかどうか、この点については御説明いただけますか。
■西村大臣政務官
委員御指摘のとおり、北朝鮮寄港船及び北朝鮮のチャーター船の入港禁止措置については、北朝鮮船舶の入港禁止措置のみでは効果が上がらないような場合のみ発動する補完的なものであるというふうに考えられておりますし、私もそのように考えております。
そこで、現在は、総合的に判断をいたしまして、これらの補完的な措置の発動が必要な状況ではなく、逆に、第2号それから第3号船舶、そういったものを対象にすることにより、第3国の輸出者及び海運事業者並びに第3国から輸入を行う日本の産業に悪影響を及ぼすおそれがありますことから、今回、1号船舶のみという判断にまたなったわけでございます。
■黒岩委員
これも、海上保安庁なんかに聞くと、過去の寄港した履歴というのは、直近の10港まで履歴があると。立ち寄った10港のうちひとつでも北朝鮮に寄ったもの、こういった船まで調べ始めると、これは確かに物すごい手間がかかるし、ある意味、他の国にも外交上大変迷惑を及ぼすかもしれないという説明なんですけれども、これは、例えば直近の1港とか2港に絞れば、そんなに数は多くないんですよ、北朝鮮に寄港している船なんというのは。だから、そういったものに絞ってでも対象を広げていくとか、こういったことを前向きに検討しているという姿勢を私は全然外務省から感じ取れないんですね。とにかく、こういった姿勢については、あくまでも今後前向きに検討していただきたいということは申し上げておきます。
これは、時間の関係上、前原大臣にお聞きしますけれども、閣議決定に行くまでの過程というのは、この内容は、取りまとめは外務省だそうです。加えて、国交省、そして経産省の事務方が打ち合わせをしながら、これを閣議決定にまとめていくんだ、こういうプロセスだそうなんですね。
私、それだけ多くの人たちが集まって、過去5回も全く何にもいじらないというようなことが何であるのかなと。普通だったら、検討していく中で、ここは入れ込もうとか、そういったことがこの閣議決定の中にやはりあらわれるはずだと思っておるんですね。取りまとめは外務省なんですけれども、やはり、国交省の事務方もこれに携わっているわけですから、私は、その最高の権限者である前原大臣から、国民の感覚に立ってメッセージを発信していただきたいんですよ。
拉致問題でもそうです。入港禁止に拉致問題、入っているだろうと多くの方は思いますよ。ミサイルの発射があったり核実験があったら、そういったこともつけ加えられて、これはあくまでも圧力と対話の中の圧力なわけですから、制裁措置も強めていくのかな、こうやって国民は思っているわけですね。これに対するメッセージというのは、あくまでも議員立法でできた本法の条文に沿った閣議決定の本文の中に明示していくべきだと私は思っておるんです。
そこで、大臣、今のやりとりを聞いた中での、もう今回のことはどうこう言いません、次回以降、これは毎年閣議決定があるわけですから、この中でやはり本文に、その時々の情勢の変化を機敏にしっかりととらえているんだ、北朝鮮問題というのは我が国は一つ一つ注視しているんだ、こういった内容を盛り込んでいく、このことについて前向きな姿勢を大臣からいただきたいので、よろしくお願いいたします。
■前原国務大臣
委員御承知だと思いますけれども、2002年の日朝平壌宣言というものの中にも、拉致という言葉は入っていないんですね。しかしながら、その中身については、当然、拉致問題を含む人道的な問題というものを解決するということでありますし、この閣議決定における入港禁止理由というものの中には、日朝平壌宣言というものが引用されているという面もあります。
ダイレクトに拉致という言葉を入れるべきだという黒岩委員の御主張というのは、私、理解できるところでございます。また、今回、8回目になるんですか、8回目の文章で、3回目以降が同じ文言であるということについても、もう少し直近のさまざまな要因を取り入れてということも理解できるところでございます。
いずれにいたしましても、中身について、法律としてやることというのは、同じことをきっちりやる、毅然とした対応をとる。ごめんなさい、7回目ですね。今回7回目の延長です。7回目の延長で8回目の措置ということでありますけれども、やるべきことはしっかりやっていくということであります。
意思として閣議決定の入港禁止理由というものにより明確にあらわせという御意見を踏まえて、今後また、それは関係省庁で議論するときには参考にさせていただきたい、このように思います。
■黒岩委員
大臣、前向きに踏み込んでいただいてありがとうございます。
次に貨物検査法の質問をします。
お手元にチャート図を配らせていただきました。実は、私は、昨年秋の臨時国会で、ひとつひとつ、内水において、領海において、公海においてと、この実効性を聞いていきました。これはある意味机上の論理で、頭の体操でもあるんですけれども、最後、公海において、そこの船は怪しいんじゃないかといったときは、それを検査するには、その船の旗国の同意を得て検査をする。ただ、その同意がない場合は、その旗国は、要するに、日本の検査は嫌だよ、だけれども、例えば自分の国に戻ってきなさいという回航指示をします、こうあるわけです。
ただ、これはここで、回航を指示した場合で終わっておるので、じゃ、回航を指示しない旗国もあるかもしれない、その場合はどうするんですかと。これは、実は前回の質問でも聞いたので、今回、私の方で説明だけさせてもらいます。そうなると、実は、回航指示をしない国については、我が国が国連の制裁委員会に報告する。そうすると、制裁委員会でこの国を、簡単に言えば呼びつけて弁明を求めたり、かなり厳しい措置をすることになっておりますので、結果的には、回航指示をしない国というのはほとんどないであろうというのが、これは私、外務省から承っております。
私が申し上げたいのは、このように、非常に国連決議というものは全体的に網がかかっているということまではよくわかりました。
次に、もう一つの事例をちょっとお聞きしたいんですけれども、じゃ、ある国が、旗国が船に、おまえ、もう日本の検査は受けなくていい、でも、例えば自分の国に戻ってこいといったときに、船長の承諾がとれない場合も論理的にはあり得るわけです。
では、その場合、旗国は回航指示はした、要するに国連決議を遵守している、だけれども船の現場責任者がそれに従わなかった場合、こういう場合はどういった対応が想定されるのか、お答えいただけますか。
■西村大臣政務官
旗国が回航指示をしたにもかかわらず船長が承諾しないという場合でありますけれども、一般論として、旗国の回航指示に船長が従わずに公海にとどまる場合においては、旗国が他国による公海上での当該船舶への検査に同意を与えることがあり得るわけでございます。
また、国連加盟国は安保理決議により、禁止品目を含むと信じる合理的根拠があることを示す情報を当該国が有する場合には貨物検査を実施することが要請されておりますので、船長等が旗国の回航指示に従わず、指示された港以外の港へ寄港したとしても、当該港が所在する国は安保理決議に基づいて貨物検査等の措置を実施することが要請されます。
なお、関連の安保理決議においては、船長の承諾が貨物検査を実施する上での条件となっているわけではないことを付言いたします。
■黒岩委員
ちょっと、耳で聞いただけではきっとわかりづらいと思うんですね。これは私は結構丁寧に答えていただいて、4つのパターンがあるそうです。
ひとつのパターンは、その船長の、ならず者船長ですよ、その旗国と日本が協議をして、この旗国に、要するに自分の旗国の権利を放棄させるんだそうですね。そうするとこの船はどうなるかというと、無国籍船になりますから、無国籍船は我が国だろうがどこだろうがもう自由に検査できるというのが1番目のパターン。
2番目は、この船というのはどこかにいずれ寄港するんですよ、しなかったら生きていけないわけですから。これが、例えば今言った旗国、自分の国に戻れば、これはもう旗国が国連決議において検査しなければいけませんよと。旗国じゃない第3国に行った場合も、国連加盟国であったら、これは国連決議の網がかかっていますから、絶対に検査するんですね。
私は最後に聞いたんですよ。では、国連加盟国以外のところに寄港したらどうなんだと。そうしたら、国連非加盟国というのは世界にひとつしかない。バチカン市国なんですね。これは内陸国で、海がないんですよ。だから、このバチカン市国に寄港する可能性もない。本当に私はつくづく感心しました、よくできたものだと。こんな机上の論理でいろいろな場合分けをしても、最終的には貨物検査ができるというところにこの国連決議、そして今回の貨物検査法というのはスキームとして網がかかっているんですね。すばらしいんですよ。
そこで、これだけすばらしいスキームをつくったわけですけれども、じゃ、この1年間で世界の7つの海、このすべての海でどれだけ貨物検査の事例があったのかと聞いたら、これは私が答えますね、たったの4件なんです。これはどういうことかというと、結局は、もう海に出ちゃった、公海に出ちゃった、そこで一々旗国の同意を取りつけて検査に行くなんてことは実際上はできないわけですよ。
となると、これはもとに戻りますけれども、国連決議とそして検査法の立法趣旨、制度趣旨というのは、あくまでも、私が先ほど何点か述べた国際的な抑止力をもって、まずは未然に防ぐ。そして、重要なことは、これは外交のさまざまなルートを使って特定貨物の情報を入手していくんだと。そして、先ほど申し上げた四件というのは、検査は海で行われていません、すべて港なんです。やはり水際で処理をしない限りには、実はこの特定貨物を物理的に移動させることは防ぐことはできないわけです。
ですから、西村さん最後に、これはある意味決意表明で聞きたいわけですけれども、この国連決議ができました。1年たっていますけれども、当然、各国との連携、協調というのは深まっているだろうし、北朝鮮の特定貨物に対する国際的な圧力、プレッシャーをかけていく機能性というのは十分に機能しているんだと思いますし、それに対する意気込みをどうかお聞かせください。
■西村大臣政務官
黒岩委員から、安保理決議1874違反として貨物検査が実施された事例が幾つあるのかという御質問通告をいただいておりましたので、制裁委員会を通じて確認しました。5件でございました。
それで、我が国は、国際社会が国連安保理決議1874の着実かつ全面的な実施が重要であるという立場から、これまでも制裁委員会における情報交換、議論等に非常に積極的に参画してきております。
また、政府としては、さまざまな機会をとらえて、今回の安保理決議1874を受けての諸外国の対応についても、関係国や国連との間で意見交換や情報収集を行ってきております。これはもう非常な量のものがありますけれども、実際に検査等の措置を実施するに際しても、対象船舶及び積載貨物に関する情報の交換を含めて、外交ルートを通じて各国と緊密に連携し、協力していくこととなりますし、また、そうしていきたいというふうに考えております。
今後とも、関係国との緊密な連携、そして関係省庁との連携、これが非常に重要であるというふうに認識しておりますので、今回の法律を受けて、またこの連携を密にし、そして着実な履行に全力で努めてまいりたいと考えております。
■黒岩委員
力強い御答弁、ありがとうございました。
政府に対しては、毅然たる北朝鮮に対する態度を心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
■川内委員長
次に、川島智太郎君。
■川島委員
民主党の川島智太郎でございます。
きょうはまず、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件について、幾つかの御質問をさせていただきます。
平成16年の通常国会にて成立した特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法により、特定船舶の入港を禁止する措置をとることを可能とし、その後、平成18年7月5日の北朝鮮による弾道ミサイル発射、同年10月9日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表があり、平成18年10月14日から、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づき、北朝鮮船籍すべての船舶の入港を禁止する措置を実施したところであります。
そして今般、政府は、現在の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、引き続き今回の措置の延長になったものだと理解しておりますが、改めて、本措置の目的と、北朝鮮に対して具体的にどれくらいの効果がこれまであったのか、またはその評価について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
■前原国務大臣
政府といたしましては、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置を講ずることによりまして、北朝鮮に対し、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動を求めることが我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があると認め、本措置を講じているところでございます。
入港禁止措置の効果につきましては、本措置とあわせて実施をしております北朝鮮との輸出入禁止措置など、これまで実施してきた各種措置を通じて、我が国と北朝鮮の間の人、物、金の往来は相当程度縮小してきておりまして、北朝鮮の厳しい経済状況をあわせて考えた場合、北朝鮮に対して一定の効果を及ぼしているものと考えております。
■川島委員
本措置は、北朝鮮に対する我が国の姿勢の一つだと思います。対話と圧力ということがよく言われますが、対話をするためにも圧力が必要ですし、圧力をかける目的は対話のためでもあります。そのためにも、本措置が実効性を伴わなければなりません。
そこで、本措置が施行されて以降、北朝鮮からの本措置の解除について要請があったのかどうかをお伺いしたいと思います。
■西村大臣政務官
端的にお答えいたしますと、そのような事実はございません。
■川島委員
今回の措置が北朝鮮に効果があるとは言えていないのかもしれませんね。今後において、大臣のお考えを再度お聞きしたいと思います。
■前原国務大臣
失礼いたしました。
効果がないわけではないと思います。つまりは、効果があっても、北朝鮮が効果があると認めるということは、彼らにとってはメンツもつぶれるし、また屈辱的なことであるわけで、効果があったとしても言ってこない、そういった外交をずっと北朝鮮はやってきたんだろうと思います。
我々としては、国際的な協調の中で、こういった毅然とした姿勢をとり続けて、そして北朝鮮にメッセージを発し続けるということが大事であると思いますので、先ほど御答弁いたしましたように、北朝鮮の厳しい経済状況を考えると、一定程度の効果はある、そういう強い意思を持って続けることが大事である、このように考えております。
■川島委員
実効性の確保という観点から、さらにお尋ねしたいと思います。
本措置の目的である経済制裁の実効性を確保するためには、現実問題として、関係各国との協力が必要であると考えられます。北朝鮮をめぐる問題は、一国では解決いたしません。例えば、今回の措置の延長によって、北朝鮮は引き続き日本の物資の輸出入ができないこととなりますが、第3国を経て迂回することで、実質、物資の輸入はできるわけで、まず、こうした事例を確認できているかどうかをお伺いしたいと思います。
■高橋大臣政務官
北朝鮮との輸出入については、第3国経由のものも含めて禁止をしているのは御存じのとおりでございますけれども、国内の事業者に対して、迂回輸出入が外為法違反であることの周知というのは徹底をしております。ところが、違反と知りながら、偽装して北朝鮮との輸出入を行う事業者というのがあるのも事実でございまして、取り締まりにつきましては、警察、税関等の関係機関と連携をしまして、厳格に対応させていただいております。
ただ、過去に、最近でも、ミサイル運搬が可能なタンクローリーの違法な迂回輸出をしようとしたものがありまして、こういうものを防止したりとか、あと、化粧品などのぜいたく品を不正輸出した事業者などを摘発しております。ウニとかアサリとか、そういうものについても北朝鮮から不正輸入をしようとしているところがありましたけれども、こういうところにつきましては、行政制裁を実施して、北朝鮮だけじゃなくて、ほかの国にも輸出入が何年かはできないような、そういう厳しい措置も実施をしております。
それと、アジア諸国の輸出管理関連部局及び産業界に対してセミナーを行いまして、日本はこういう第3国経由で輸出入ができないということも、そういうところにお知らせをさせていただいておりまして、連携強化をさせていただいております。
政府としましては、これらの措置を総合的に講じまして、北朝鮮との間で違法輸出入が行われることがないよう、今後も関係省庁と連携をしていきたいというふうに思っております。
■川島委員
きのう韓国の各紙が、韓国海軍の哨戒艦天安の沈没原因について調査している軍と民間の合同調査団が、沈没海域で、中国、旧ソ連などの旧共産圏製と見られる魚雷のスクリュー破片を発見したと報じております。さらに、朝鮮日報は、北朝鮮による魚雷攻撃を裏づける決定的な物証が確保されたとして、韓国政府が、20日の最終調査結果発表後、対北朝鮮制裁に着手する方針と伝えております。
そこで、こうした情報について、関係各国の協力という観点から、韓国政府またアメリカ政府から何らかの情報提供を受けているのかどうか、お伺いしたいと思います。
■西村大臣政務官
韓国哨戒艦沈没事案に関してでございますが、本件事案については、韓国、米国と緊密に意思疎通を行っているところでございます。
16日に、日中韓外相会談が開催をされましたけれども、その際に行われました日韓外相会談におきまして、柳明桓外交通商部長官から岡田外務大臣に対して、調査の現状等について説明がありました。その内容について申し上げることは、相手国との信頼関係にかんがみて差し控えたいと存じますが、緊密に意思疎通を行っているということは申し上げたいと思います。
■川島委員
そうすると、我々の知らない情報が今かなり流れてきているということでよろしいんでしょうか。
■西村大臣政務官
我々のとおっしゃいますけれども、そこはどこまで御承知かという問題もありますし、緊密に意思疎通を行いつつ、そしてやはり日米韓で連携をしていくことが大事であろうというふうに思いますので、その点は常に確認をできているというふうに考えております。
■川島委員
以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
■川内委員長
次に、岩屋毅君。
■岩屋委員
自民党の岩屋毅です。
前原大臣、私、やはりこれはタイミングを失していると思いますよ、きょうようやくこの法案の審議をして、採決まで行くということですけれども。
事の起こりは、言うまでもない、2006年10月9日に北朝鮮が核実験をやった。国連決議1718ができた。2009年5月25日、2回目の実験があった。それを受けて、これは日本のイニシアチブだったんですね、日本のイニシアチブでこの決議1874というのが6月12日にできた。これを受ける国内法を早くつくらないかぬということで我々は案をつくって、当時国会に出して、衆議院は通過したけれども、審議未了、廃案ということになったわけですね。
本当は、この種の法案というのはやはり間髪を入れずにつくって、北朝鮮に対して、国際社会に対してメッセージを発する、日本が言い出しっぺなんですから。そういう意味でいうと、いろいろな政局事情とか政治環境とかありましたけれども、やはりこういうことは与党も野党もない、一致協力して、早く、迅速に対応するということが大事だったのではないかということを、私は非常に残念に思っているところであります。
それでは聞きますが、これまで、特定の国連決議を表題にした立法例というのは過去にありますか。
■西村大臣政務官
過去においては国際連合決議等という文言が入った法律もございますが、今回の貨物検査法案のように、法律の名称に特定の国連安保理決議の番号を用いた法律はないと承知をしております。
■岩屋委員
そうでしょう。だから、過去に例があるのは、国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品の無償譲渡に関する法律というのがあるだけなんですよ。こういう決議の番号を引用したというのはないので、なぜそこでそういう無理をするのかなと私は疑問に思っているわけですよ。
本法案というのは時限立法じゃないですよね。北朝鮮をめぐる情勢、この北東アジア周辺の情勢というのは、これからも大きく変わる可能性がありますよね。さっきも質問に出ていました韓国船事案というのもあるし、場合によってはまた新たな国連決議というものが採択される可能性がある。私はかなりその可能性は高いと思いますよ。
終わります。
■川内委員長
次に、竹内譲君。
■竹内委員
公明党の竹内でございます。
この貨物検査法等につきまして、昨年の秋にも御議論がございましたので、中身についてはほぼ承知をしております。そこで、きょうは、まず北朝鮮をめぐる外交、安保上の問題についてお尋ねをしたいと思います。
まず、3月26日に起こりました韓国哨戒艦沈没事件について、事実関係並びに韓国及び我が国の認識を外務省にお尋ねしたいと思います。
■西村大臣政務官
3月26日、韓国海軍の哨戒艦天安が、黄海のペンニョン島の南西約2・5キロメートルの海上で沈没をいたしました。4月15日に艦尾、そして24日に艦首を引き揚げております。乗員104名おりましたけれども、そのうち58名は事案発生直後に救助されましたが、残りの46名は死亡をいたしております。
4月16日に軍民合同調査団が、内部爆発より外部爆発の可能性が高い旨を発表しておりまして、同25日、同調査団が、爆発原因について、一つは内部爆発の可能性はないこと、二つは金属疲労の可能性はないこと、三つは、原因は外部爆発であり、水中での非接触爆発の可能性が高いことを発表しております。
韓国政府の認識につきましては、これも、現在、韓国政府が引き続き詳細な原因究明に係る調査分析を行っているものと承知しておりまして、日本政府としてコメントすることは差し控えたいと存じます。
■竹内委員
あす、軍民合同調査団の調査報告が出るんですよね。4カ国も入っているということで、韓国政府としては、北朝鮮製魚雷という確実な物証は確保されていないとしながらも、明日の軍民合同調査団調査報告では、攻撃したのは北朝鮮との文言が含まれる可能性がかなり高い、こういうふうな情報を得ておるんですが、これについてはいかがですか、そういう情報はありますか。
■西村大臣政務官
現在、韓国政府が行っている原因究明に係る調査分析について御質問がございましたけれども、現在も韓国政府により引き続き詳細な調査分析を行っているものと承知をいたしております。
この点については、16日に行われました日韓外相会談において、柳明桓外交通商部長官から岡田外務大臣に対して調査の現状等について説明はございましたが、会談の具体的な中身につきまして述べることは差し控えたいと思います。
まだ調査結果が出る前でございますので、予断を持ってコメントすることは差し控えたいと存じます。
■竹内委員
何か岡田外務大臣は、既に新聞でも、韓国を支持する考えを伝えたと。韓国の柳外相は、日本独自の対北朝鮮制裁の強化や国連安全保障理事会での協力に取り組むよう日本側に求めた、これに対して岡田外務大臣は、韓国を支持する考えを伝えた、こういうふうに既に出ておりますけれども、ここの事実関係はいかがですか。
■西村大臣政務官
岡田外務大臣からは、日韓外相会談のときに、改めてこの46名の犠牲者及びその御家族にお見舞いを申し上げております。そしてまた、それにつきまして柳明桓長官から調査の現状等について説明があったことに対しては、韓国政府として各国の専門家が参加した客観的な調査を実施していることを評価したいこと、また、我が国として、極めて困難な状況の中で毅然かつ冷静に対応されている韓国に敬意を表すること、そして、韓国を支持し、必要な協力を惜しまないということを伝達いたしております。
■竹内委員
最初からそういうふうに言っていただいたらありがたいんですけれども。
日韓外相会議概要、アジア大洋州局地域政策課からも既に情報をいただいておりまして、岡田外相はもっと具体的に言っていますよね。「岡田外相から、仮に、北朝鮮の関与が明らかとなれば、何もなかったかのように六者会合を行うことにはならない旨述べた。」とまではっきり書いてあるわけでございます。この点は、まず確認をさせていただいたということにしたいと思います。
そこで、そういう答え方でいくとなかなか難しいんでしょうが、これは北朝鮮の関与が疑われているわけでございますが、もしそうであるとすれば、北朝鮮は何ゆえこの時期にこのような重大な事件を起こしたと考えられるか、この点についてお答えください。
■西村大臣政務官
今まさに韓国政府が行っている調査分析は、その原因等についてなされているものであると承知をしておりますし、また、その点、日本政府としても、どういった調査報告が出されるのか、冷静に見守っている最中でございますので、現在、原因は何かということについて冷静に見守りつつ、そして、その事案がなぜに起こったのかということについても、現時点で日本政府としては予断を持って申し上げることはできないということを御理解いただきたいと思います。
■竹内委員
あすの軍民調査団の報告をもって、しっかりとした原因分析、それからその理由、北朝鮮のねらい、こういうものについてしっかりとしたものを持っていただきたいと思うわけでございます。
次に、金正日総書記の最近の訪中についてお伺いします。
形としては中国側の要請となっておるわけでございますけれども、4年4カ月ぶりに金正日総書記が中国を訪問した。破格の扱いで、党政治局常務委員九人全員がそろって出迎え、また視察同行、会談、会食もやったということでございます。破格の扱いであったというふうに言われているわけでございます。
ここで中朝両首脳は、当初、中朝国境の島の開発や対北朝鮮食糧支援などについて話し合うのではないか、また、それによって北朝鮮は数十億ドル規模の支援を得たという情報もありましたけれども、日本政府の認識をお伺いしたいと思います。
■西村大臣政務官
金正日国防委員長の訪中につきましては、中朝双方がメディアを通じてそれぞれ公表しているほか、我が国としても、中国を含めた関係国との間で連携をし、情報共有は行っておりますけれども、その内容について述べることは差し控えたいと存じます。
その上であえて申し上げますと、御指摘の、中国が北朝鮮に対して数十億ドル規模の経済支援を約束したという情報については、当方としては承知をしておりません。
■竹内委員
重要な答えだと思うんです。
2009年10月、温首相が北朝鮮を訪問したときに発表されたのは、中朝国境の橋の建設、それから2億元、約27億円の無償支援などを公表しているんですね。しかし、今回は具体的な説明はないんです。それから、金総書記による六者協議予備会合への支持表明もなかった、こういう違いがあるわけでございます。
そこで、中国側は、今回の首脳会談において5項目の提案などもしておるわけでございますが、今回の会談で中国側の得たものはいかなるものであるとお考えでしょうか。
■西村大臣政務官
中国側が得たものは何かという御質問でございますけれども、実は、この点についても中朝双方の公式発表はございません。
中国の新華社電といたしまして、先般の金正日国防委員長と胡錦濤国家主席との会談のときに、胡主席から5つの提案を行った旨報道されておりますけれども、それに対して、北朝鮮側の報道は、その5つの提案については言及をしていないと承知をしております。
中朝間のやりとりについて当方がコメントするのは適当ではないというふうに思いますので、これ以上は差し控えたいと考えております。
■竹内委員
適切ではなくて、分析をしてほしいんです。つまり、5項目出したと。それで、報道で、中国報道が先に行われているわけですね。1日おくれて北朝鮮が報道している。そこに違いがあるわけですよね。
特に中国側は、今政務官おっしゃったように、胡主席提案の政府間の戦略的な意思疎通の強化とか、それから、温首相が示した中国の改革・開放の経験を紹介していく意向というようなことが中国側の報道としては出ておるわけでございますが、一日おくれた北朝鮮の報道では、そういう部分が全く欠落しているということでございます。
私どもとしては、政府間の戦略的な意思疎通の強化というのは、これは推測ですが、恐らく核実験や哨戒艦沈没事件などを勝手に起こすなということであろうと思いますし、また、中国の改革・開放の経験を紹介していく意向というようなところは、裏では先軍政治を批判して、中国の改革・開放に学べということであろう、こういうふうに読み取っておるわけでございますけれども、これらの報道を通じて、北朝鮮は中国側の五項目の提案をどのように受けとめたと考えられるか。また、北朝鮮は中国の改革・開放政策を学ぶ意図はあると考えられるのか。この辺につきまして、認識はございますか。
■西村大臣政務官
先ほども申し上げたとおり、さきの金正日国防委員長の訪中につきましては、中朝とも正式な発表を行っておりません。
しかし、その中で、中国新華社電におきましては、温家宝国務総理が、金正日国防委員長との会談で、中国の改革・開放及び国家建設の経験を紹介したいと発言したとされております。これに対して、北朝鮮側は、報道では、温総理のかかる発言については言及がありませんでした。
ただし、中朝間のやりとりや北朝鮮側の意図につきましては、我が国政府としてコメントするのは適切ではないと思っておりますので、差し控えたいと思います。
いずれにしても、我が国としては、北朝鮮における民主化や改革・開放が進んで、北朝鮮が本当に国際社会の責任ある一員となることを期待しております。
■竹内委員
私どもの考えは、今回の首脳会談で、中国としては、後継者問題とか経済の改革・開放にも口を出すということを示したんじゃないかというふうに思っております。その上で、ひょっとすれば、今回の後継者の問題につきまして了承したのではないか、こういう感じを持っております。
それから、北朝鮮につきましては、こういう報道から、とはいいながら、内政介入だ、内政干渉だという不満を非常に持っているのではないか、経済政策等についても一々指図は受けないという意思表示を示しているのではないか、こういうふうに推測をしているところでございます。実際に、金正日総書記は、北京での滞在日程を一日早く切り上げていたというふうに言われておりますし、そういう意味では、なかなか、北朝鮮にとっては十分満足のいくものであったかどうか疑問の点も多いという認識を私どもは持っております。
外務省として、しっかりとその辺を分析して、対北朝鮮外交を進めていただきたいと要請するものでございます。
それで、時間がだんだんなくなってきたわけでございますが、六カ国協議について進めたいと思います。
韓国の哨戒艦沈没事件などもあったわけでございますが、この六カ国協議、安易な復帰を求めるのではなくて、日本独自の対北朝鮮制裁の強化や国連安全保障理事会での協力に取り組むことが今後必要だというふうに考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
■西村大臣政務官
韓国の哨戒艦沈没事案から、今度はその関係ということでしょうか、6者会合の再開について御質問をいただきました。
この件につきましては、現在、韓国政府が引き続き詳細な原因究明に係る調査を行っております。6者会合は重要であると認識しておりますけれども、それは哨戒艦沈没事案の調査結果によって左右されると考えます。この点については、岡田外務大臣も記者会見等で、仮にという仮定の話ではありますけれども、仮に北朝鮮の関与が疑われるということであれば、六者会合をすぐさま、すんなりそのまま開催するということにはならないのではないかという見解が示されているところでございます。
■竹内委員
ですから、やはり韓国哨戒艦沈没事件をなぜ起こしたのかということの原因の分析が非常に重要だと思うんですね。北朝鮮が支援を得たいときになぜこんなことをやったのか、また、総書記が訪中するようなタイミングでなぜこんなことをしたのか、その辺につきまして、非常にここが重要なポイントになってくるんだろうというふうに思うわけでございます。
この関連で申し上げますと、仮に明日、韓国哨戒艦沈没に北朝鮮の関与が明言された場合に、中国は北朝鮮への支援を続けると思われるでしょうか。
■西村大臣政務官
これもまた、日中韓外相会談のときに韓国で行われた日中外相会談におきまして、岡田外務大臣から中国のヨウケツチ外交部長に対して、韓国側の調査の結果を冷静に見守ることが重要である旨を指摘し、また、ヨウケツチ部長からも同様の認識が示されたところでございます。
■竹内委員
最後に、北朝鮮問題の日本外交における優先順位についてお尋ねをしておきたいと思うわけでございます。
どう見ても、新政権としては普天間問題、また密約問題などが優先されてきたというふうに思います。そういう意味では、これまでとは違って、北朝鮮問題の優先順位が低いのではないか、このように思うわけでございます。そういう意味で、まず、要望としては、北朝鮮外交をもっと優先順位を上げてもらいたいと思うわけでございます。
私も、拉致問題対策委員会の理事でございますが、最近、漆原国対委員長にかわりまして、公明党の拉致問題対策委員長も拝命をしたところでございます。最後に、拉致問題について、外務省として、政権交代後どのような交渉を行い、その結果、現状としてどのような状況にあるのか、そして、今後の方針と見通しについて報告を求めたいと思います。
■西村大臣政務官
ほかの問題にスポットが当たるというのは、事実としてそういう状況にはあると思いますが、対北朝鮮政策が我が国の重要外交案件のひとつであるということは疑う余地はございません。
現在、拉致問題について、2008年8月の日朝協議の合意に従って、北朝鮮による調査の早急なやり直しが必要であるという認識でおりまして、現在、ボールは北朝鮮側にあるというふうに認識をしております。この調査のやり直しが早期に開始されて、生存者の帰国につながるような成果が早期に得られるように、引き続き北朝鮮側に強く求めていく考えでございます。
そして、日朝平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して国交正常化を図るという方針には変わりはございません。この諸懸案の一日も早い解決に向けて、具体的な行動を北朝鮮側から引き出すべく、引き続き、国連安保理決議等に基づく措置を着実に実施して、関係国と連携して最大限努力をしていきたいと考えております。
この点については、現政権におきましても非常に強い意欲と意思を持って取り組んでいるところでございますので、その点、どうか委員からも御理解をいただきたいと思います。
■竹内委員
最後に一言だけ申し上げて、終わります。
私も、前回も申し上げましたように、昨年の12月に中国へ行きました折に、全人代の常務委員の主要なメンバーと拉致、核、ミサイルについて話し合いを行いました。そして、核とミサイルは当然でございますけれども、拉致問題についても中国として何らかの協力をお願いしたいと。そういう角度で、中国の取り込みといいますか、中国との関係が非常に重要になってくると思いますので、ぜひともいろいろな角度で政府としてもしっかりと拉致問題に取り組んでいただきたい、このことを申し上げて、終わります。
■川内委員長
次に、赤嶺政賢君。
■赤嶺委員
日本共産党の赤嶺政賢でございます。
きょうは、貨物検査法について質問をさせていただきます。
鳩山内閣が提出した貨物検査法案は、総選挙前の第171回国会に麻生内閣が提出し、審議未了、そして廃案となった北朝鮮特定貨物検査法案から九条二項、いわゆる自衛隊関与条項を削除し、法律名を変更しただけで、その他の、法の目的、定義、各条文、提出理由まで全く同じものであります。
法案は、国連安保理決議1718、1874を踏まえ、海上保安庁が、我が国の領海のみならず、公海上で北朝鮮特定貨物の検査、提出命令、保管、回航命令などの措置を実施できることを規定しております。
そこで、まず外務省に、公海上での貨物検査にかかわって、安保理決議1874の各国の履行状況について聞きます。
安保理決議1874が昨年6月12日に採択されてから、来月で1年になります。この間に、公海上で貨物検査が行われた事例は何件ありますか。
■西村大臣政務官
委員のお尋ねは、違反の可能性がある、おそれとして提起されて調査を行った事例というふうに理解してよろしいでしょうか。5件でございます。
■赤嶺委員
今、5件というお話がありましたが、決議は主文15で、自国の領域または公海上で貨物の検査、押収、処分をしたときは、関連する詳細が含まれた報告を委員会に提出することを要求しております。
私は、先ほど、公海上で何件あったかということを伺ったわけですが、5件というのは公海上ということで間違いないんでしょうか。そして、報告というのは何カ国から提出があったのか、そのうち公海上での貨物検査に関する報告、これは何カ国あったのか、もう一度伺います。
■西村大臣政務官
先ほど答弁申し上げましたのは、国連安保理1718委員会におきまして国連安保理決議1874号違反の可能性のあるケースが提起され、同委員会として調査を行っている事例として5件でございます。
■赤嶺委員
ですから、公海上でそのうち何件あったかということを聞いているわけです。
■西村大臣政務官
お尋ねでございますが、我が国は、国際社会が国連安保理決議1874等を着実かつ全面的に実施することが重要であるという立場から、1718委員会における情報交換、議論等には積極的に参画をしておりますが、具体的な事例に関しては、事実関係を含めて、この委員会において調査が行われているところでありまして、この委員会における関係国間の申し合わせにより、これ以上の詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
■赤嶺委員
外務省は差し控えるということでしたが、先ほど前原大臣は答弁していたように思いますが、いかがですか。
■前原国務大臣
私が持っている資料でございますけれども、UAEによる貨物検査事案は、入港したコンテナ船を検査した。それから、イタリアによる押収事案というものは、イタリア中部の造船所で製造されていた北朝鮮向け豪華ヨット二隻を押収した。それから、韓国による貨物検査事案は、釜山に入港していたパナマ船籍のコンテナ船を検査した。それから、南アフリカによる貨物検査事案というのは、南アフリカに入港したリベリア船籍貨物船を検査した。それから、タイによる貨物検査事案というのは、これは飛行機でございまして、ドンムアン空港に緊急着陸したグルジア籍貨物機、これはウクライナの企業がチャーターした貨物機を検査した、こういうことでございます。
■西村大臣政務官
先ほど大臣が御紹介をくださったのは、報道ベースでの事例ということで承知をしております。
私が先ほど詳細について申し上げることは差し控えたいと申し上げましたのは、制裁委員会における関係国間の申し合わせにより、そのように申し上げさせていただきました。
■赤嶺委員
今度の検査法案、公海上でもできるようになるということで、前原大臣が答弁していただいたのは全部領海内あるいは陸上であります。この決議に基づいてどんな活動が行われているか、そういうことについて外務省は全く国会に知らせないで、この法案の是非について何か議論しようというのがおかしいんじゃないですか。
各国が自国領域内で検査を実施しているというのが、今の報道で出ている限りであります。カンナム号のときにも、各国が連携してミャンマーが入港を認めなかったため、結局北朝鮮に戻らざるを得ませんでした。各国が協力連携しながらそれぞれの自国領域内で検査を実施すれば、安保理決議に基づく武器の禁輸措置は十分に実行可能であることを示しています。
その点について言えば、日本は、武器どころか、北朝鮮に対する輸出入の全面禁止、そして全船舶の入港禁止の措置を既に実施してきているわけですから、最も厳しい措置で国際的な包囲網に協力しているのではないかということを、まず指摘しておきたいと思います。
次に、禁止物品、この問題について聞きます。
法案第二条に規定する北朝鮮特定貨物をどのように指定するかについて、政府はこれまで、国連の委員会による指定を受けて政令に反映する、こう説明をしてきました。これも外務省に伺いますが、委員会による禁止物品の指定は完了しておりますか。
私の質問は、国連決議一八七四に基づいて禁止物品は何を定めているかということを聞いているんですが。
■西村大臣政務官
1718号による禁止物資が大量破壊兵器関連でございまして、1874号による禁止物資が通常兵器関連でございます。
その通常兵器につきまして、今後、安保理のもとで設置された北朝鮮制裁委員会において、これらの具体的な品目について作業をすることとなっております。
■赤嶺委員
つまり、1874については、何か今後国連に設置された委員会で検討するというお話ですが、安保理決議1874は、おっしゃいましたように、北朝鮮からのすべての武器の輸入、小型武器を除く北朝鮮へのすべての武器の輸出を禁止しているわけですが、禁止物品の指定については、主文24で定めがあります。委員会が30日以内に安保理に報告するよう指示し、委員会が行動しなかった場合には、安保理がその報告の受領から7日以内に措置の調整のための行動を完了する、このように主文24では定めております。
決議採択からやがて一年たとうとしているのに、なぜ委員会や安保理は禁止物品の指定を行っていないんですか。
■西村大臣政務官
なぜこれだけ時間がかかっているのかという御質問であろうかと思いますけれども、現在も引き続き、追加の品目リストについて、北朝鮮制裁委員会について具体的な作業が今まさに進められているということで時間がかかっているということだと理解をしております。
■赤嶺委員
国連決議では、30日以内、それで決められなかったら7日以内ということですから、既に決まっていなきゃいけないものですよね。これはまだ議論中だと。何も決まっていないわけですね。
何も決まっていない、しかしこの法案は出してきた、そういう理解でいいですか。
■三日月大臣政務官
委員御指摘のとおり、法案の第二条で北朝鮮特定貨物について定義を定めておりまして、具体的には、国連安全保障理事会決議1874号に基づき政令で定めることとしております。
その政令で定める検査対象となる品目については、今委員から御紹介いただいた国連の制裁委員会で品目を定めることになっておるんですが、例えば、核関連物資、生物化学兵器関連物資、ミサイル関連物資、そして通常兵器関連物資、これらの品目については既に定められております。
なお、最後に申し上げました通常兵器関連物資については、40カ国が参加いたしますワッセナー・アレンジメント、これは軍需品リストとして、国際社会における取引や管理についての相場観を示すもので、定められているんですけれども、それに基づき我が国において政令において具体的な品目を今後規定していく考えであり、今おっしゃった、まだ決まっていないというのは奢侈品についてでありまして、これについては、制裁委員会において今なお議論が継続をしているところでありまして、その議論の結果を受けて我が国としても定めてまいりたいというふうに考えております。
■赤嶺委員
奢侈品というのは、国連決議でいいますと1718ですよね。私がさっきから議論しているのは1874で、さっき、外務省の答弁のとおりに、国連でもまだ決まっていない。しかし、国土交通省は、相場観としてという言葉をお使いになりましたが、ワッセナー・アレンジメントに基づいて指定するとおっしゃいました。
このワッセナー・アレンジメントというのは、これに基づいて各国が禁止物品を指定する、これは国連の委員会で、そういう方向でいこう、このように確認されているんですか。相場観じゃなくて、国連できちんと確認しているのかどうかと言っているんですよ。
■三日月大臣政務官
繰り返しになりますけれども、通常兵器については、国際輸出の管理レジームでありますワッセナー・アレンジメントに基づいて我が国の政令で定めるという方針を我々は今持っております。それは我が国の方針として定めさせていただいたところであり、米国、英国を含む四十カ国が参加をし、透明性の面、管理の面での取り扱いを規定しているというふうに考え、定めさせていただいているところであります。
■赤嶺委員
つまり、国連で決まっていないから、我が国としては相場観としてワッセナー・アレンジメントに基づいて決めていくと。
それでは、ほかの国は、先ほど出されたこの禁止について、一八七四でははっきりしていない、我が国は相場観に基づいてやる、この間の各国による武器の検査、押収は、何に基づいて行われたんでしょうか。
■西村大臣政務官
各国、諸外国の対応でございますけれども、国連安保理決議をもとにそれは実施できるということでありますので、国連安保理決議を根拠に行われているものだと理解をしております。
■赤嶺委員
何も決まっていない。国連決議はあるが、何を禁止するかというのは決まっていないのに、国連決議に基づいてやると。だから、全体として非常にあいまいなんですね。非常にあいまいなまま、ここまで来ている。
それでは次に、自衛隊について聞きたいと思います。
まず、国土交通省に確認いたしますが、法案第九条は、二項が削除をされた一方で、一項の関係行政機関による相互の連絡、協力に関する規定はそのまま残っております。この関係行政機関に、防衛省・自衛隊は含まれるんでしょうか。
■三日月大臣政務官
まず、先ほどお問い合わせのあったことで、何も決まっていないように委員御指摘いただきましたけれども、例えば、核関連物資であればプルトニウムでありますとか天然ウラン、そして生物化学兵器関連物資またミサイル関連物資、こういったものについては、もう御承知のとおり、国連安保理決議の中でしっかりと定めることができております。
ただ、通常兵器及び奢侈品というものについては、その範囲が、その合意形成が非常に難しいものですから、我が国として、通常兵器についてはワッセナー・アレンジメントで定め、そして奢侈品については、今なお国連安全保障理事会の制裁委員会で議論されている内容を踏まえて定めていこうという方針をとらせていただいているということでございます。
なお、今お尋ねの法案第9条の関係行政機関というものには、防衛省・自衛隊も含まれます。
■赤嶺委員
国土交通省の答弁と外務省の答弁と、何ら変わるところはないんですよ。何も決まっていないというのは外務省の答弁ですよ。決まっていないから、相場観で皆さん、日本はやっているという話であって、核やミサイルというのは、大量破壊兵器を禁止した決議1718ですよね。1874についてはまだ何も決まっていないという答弁の繰り返しですから、時間の無駄ですから、繰り返していただきたくないと思います。
それでは、防衛省に確認をしますけれども、一項に基づく活動として、具体的にどういう活動を規定しているのか、警戒監視活動による情報提供、あるいは対象船舶の追尾も想定しているというのが去年の七月の政府答弁でありますが、同じ認識でしょうか。
■楠田大臣政務官
先般、副大臣からも答弁がありましたように、我々といたしましては、この関係機関といたしまして、警戒監視活動により収集した情報を関係行政機関に提供するということはまず第一の役割として期待されていると考えております。
また、海上保安庁では対応できない激しい抵抗を受けるような場合も全くないとは言い切れませんので、そうした際に、自衛隊法等の既存の法律に基づきまして、海上警備行動等の所要の措置をとるということもあり得ると考えております。
■赤嶺委員
外務省に伺います。
公海上で貨物検査を実施する場合の国際法上の根拠について、昨年七月の政府答弁は、一般国際法の解釈として、執行管轄権は基本的に自国の領海内に限り認められるが、公海においても、安保理決議に基づき要請がなされている場合や旗国の同意がある場合には、例外的に、その範囲内において他国船舶に対して執行管轄権を行使することは可能というものでありました。
今回の政府案でも同じ整理をしている、このように考えてよろしいでしょうか。
■西村大臣政務官
公海上で貨物検査を行うことについての国際法上の根拠については、先ほど委員が述べたとおりでございます。
■赤嶺委員
そうしますと、公海上での貨物検査は対象となる船舶の旗国の同意を得て行うというのが今回の安保理決議1874の規定であります。その範囲内において例外的に執行管轄権を行使できるということは、旗国の同意が得られない場合は我が国が執行管轄権を行使することはできない、そういうことでよろしいでしょうか。
■西村大臣政務官
御指摘のとおりでございます。
■赤嶺委員
そうしますと、旗国の同意が得られない場合でも対象船舶の監視や追尾ができるというのは、国際法上どういう根拠に基づくものですか。
■西村大臣政務官
公海上であれば、追尾ないしは警戒監視は問題ないというふうに思います。
■赤嶺委員
今、特定貨物検査法案について審議しているわけですから、旗国の同意を得られない場合に、自衛隊が対象船舶の監視や追尾することまで安保理決議1874で授権されているんですか。
■楠田大臣政務官
我々としましては、海上警備行動においては、国際法の条文というよりは、本来、旗国の同意がなくともこれを行うことはできますので、追尾等はできると考えております。
■赤嶺委員
決議1874は、主文16で、旗国の協力が得られない場合に、それを委員会に報告するということまでは規定しております。それ以上の規定はありません。ないけれども、何で自衛隊がそのような活動ができるのか、国際法上の根拠を聞いているわけですが、非常にあいまいであります。
そうなりますと、自衛隊が対象船舶の監視、追尾をする場合に、安保理決議に基づく活動というよりも、通常の軍事活動の一環としての監視、追尾とみなされることはありませんか。
■楠田大臣政務官
先ほどの訂正をさせていただきます。
海上警備行動ではなくて、一般の警戒活動といたしまして、我々自衛隊といたしましては、こうした追尾等の情報収集等は行うことができると考えております。
■赤嶺委員
いずれにしても、その行動が、国連安保理決議では報告にとどめるものが、追尾までできる、情報収集までできる、一般の軍事活動としてそれをやる。そんなことをやったら、相手が商船といえどもトラブルになってしまう、追尾、警戒監視をずっとやっていくわけですから。そういうことになりませんか。
■楠田大臣政務官
我々といたしましては、本来のもともとのこの法律の趣旨といたしまして、基本的には、第一義的に海上保安庁がこの対応に当たる、我々が必要とされる場合というのはそうした著しい反抗等があった場合に限られる、そのように考えておりますので、委員が御指摘されますように、そうした問題が起こらないように対処をしていくということだと考えております。
■赤嶺委員
激しい抵抗を受ける場合というのがこの間の榛葉副大臣の答弁でもありますが、公海上で検査が実施できるのは旗国の同意が得られた場合に限られるわけです。検査されては困るような船舶は、そもそも旗国の同意を与えるはずがないわけです。抵抗を受けるような事態も想定されません。そういうところに自衛隊がつきまとって監視、追尾を行うことが海上警備活動を発令するような事態を招くことになりかねない、こういうことを指摘して、質問を終わりたいと思います。
■川内委員長
次に、柿澤未途君。
■柿澤委員
みんなの党の柿澤未途でございます。
まず、やはり、先日の北朝鮮の金正日総書記の訪中についてお伺いをしたいと思います。
金正日総書記は、5月3日に中国に入った、四年ぶりの訪中であります。特別列車で遼寧省丹東から大連へ、5日に北京入りして胡錦濤主席と会談をしたということが報道をされております。
今回の金総書記の訪中の経過と目的について政府はどのように見ているのかということについて、お伺いをしたいと思います。
■西村大臣政務官
報道により金正日国防委員長が中国を訪問したということでありますけれども、その詳細について、双方から正式な発表はありません。
いろいろと関係国との情報収集、情報共有に努めているところでありますけれども、日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
■柿澤委員
差し控えられてしまいましたが、これは、報道によれば、何か予定を切り上げて一日早く帰ったということが言われております。金総書記からの大規模な援助要請について、国連安保理の対北朝鮮制裁枠組みを超える援助はできないということで温家宝総理が断った、それで観劇の日程を取り消して日程を短縮して急いで帰国した、そのように報道されております。破格の援助を期待していたのに拒否をされて、不満を抱いて日程を切り上げて帰ったということが言われている。こうした見方を見ると、これは、経済援助を引き出すことにかなり北朝鮮はデスパレートであるということが見てとれるように思います。
六カ国協議なんですけれども、金総書記は胡錦濤主席との今回の首脳会談で、関係各国とともに六カ国協議再開に向け有利な条件をつくり出したいということを語ったというふうにも言われております。
今回、金総書記の訪中に当たっては、それが明らかになった時点から、六カ国協議に関する北朝鮮側の言及があるのではないかというふうに見られていました。今、韓国海軍の哨戒艦沈没の問題があります。これが北朝鮮の関与が強く疑われている状況ですから、アメリカを六カ国協議の再開の議論に引き入れる、この哨戒艦の問題をうやむやにする、そういうために北朝鮮の側から六カ国協議に踏み込んだ発言があるのではないかというふうに見られておりました。
今回のこの六カ国協議再開に向け有利な条件をつくり出したいという金総書記の発言というものをどう見られておりますでしょうか。
■西村大臣政務官
先ほども申し上げましたけれども、今回の金正日国防委員長の訪中につきましては、中朝双方から正式な発表がなされておりません。報道ベースではいろいろと情報があるようでございますし、また中国の新華社電といたしまして幾つかの情報はあるわけでありますけれども、なかなかそれをもってそれについて何かコメントをするということは、繰り返しになりますけれども、この場では差し控えをさせていただきたいと思っております。
■柿澤委員
なかなか御答弁もいただけないということでありますので、次に進めさせていただきたいと思います。特定船舶承認案件関係でちょっとだけ伺います。
先ほど来、便宜置籍船の話をいたしましたけれども、今回、ここまで行ってきた制裁措置というのを強化する観点から、これまで入港禁止措置の対象船舶を北朝鮮籍としてきたわけですけれども、特定の外国の港に寄港した船舶に対して対象を拡大するなどの措置を考える余地があるのではないかと思います。そういう点について検討されなかったのかということについて。それと、入港禁止措置が行われていることによって、一方で我が国の経済にもいささかの影響を与えている部分があると思います。
松下経済産業副大臣にお見えをいただいていますので、この入港禁止措置が日本の経済に与えている影響というものをお伺いして、時間切れなので、外務省さんと経済産業省さん、それぞれ御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
■松下副大臣
輸入禁止措置当時は、145億円というような輸入等も水産物等でございましたので、一時それがストップしていくということで混乱いたしましたけれども、最近はすっかり落ちついてきている、そう見ております。みんなが知恵を絞って輸入先を変更するなどしたのではないか、こう思っています。
全国商工会議所等に781カ所の相談窓口をつくっておりまして、そこの相談件数を見ましても、全体で126件ほどあったんですが、今は三件ほどでもう少ないということで、落ちついている、こう思っています。
それでも、中小企業に対する支援はしっかりと注意深く丁寧にやっておりまして、セーフティーネット、それをしっかりカバーしながらやっているということでございまして、しっかりやりたいと思っています。
■西村大臣政務官
先ほど黒岩委員からも同様の趣旨の御質問をいただきました。
北朝鮮寄港船の入港禁止措置につきましては、北朝鮮籍船の入港禁止措置のみでは効果が上がらないような場合のみ発動する補完的なものと考えられます。
2号、3号についても対象を拡大すべきではないかという御趣旨かと思いますけれども、現在は、総合的に判断いたしまして、これらの補完的な措置の発動が必要な状況ではなく、逆に、第2号、第3号と拡大することにより、第3国の輸出者及び海運事業者並びに第3国から輸入を行う日本の産業に悪影響を及ぼすおそれがあることから、このような判断になったものと承知をしております。
■柿澤委員
いずれにしても、冒頭の金総書記の訪中が、やはり非常に経済的な支援を強く強く求めて、これが拒否されて怒って帰った、こういうことを見ると、経済制裁が大変効果を発揮しているんだと思います。そうした状況の中ですので、さらに監視の目を強めてこれから対応していくということが大事なのではないかなというふうに考えております。
これにて終わりとさせていただきます。ありがとうございました。