■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
一般質疑で時間をいただきました。
先日の参議院の共生社会調査会において、ドメスティック・バイオレンスの件について審議があったと伺っております。もともとの発端、そのきっかけとなったのは、総務省でやられたいわゆる政策評価の報告書を受けてのことだというふうに承知をしているんですけれども、私も見せていただきました、総務省行政評価局が行ったこの政策評価。非常に具体的なポイント、現場の実態に即した勧告ポイントが含まれておりまして、非常に評価できる政策評価だったというふうに考えております。
非常にいい内容が含まれているこの勧告を今後どのようにフォローアップしていかれるのか、そのことをまず冒頭、総務省に伺いたいと思います。
■新井政府参考人(総務省大臣官房審議官)
政策評価についてお褒めの言葉をいただきまして、ありがとうございます。
本政策評価の結果に基づく勧告につきましては、行政機関が行う政策の評価に関する法律第十七条第二項の規定に基づきまして、関係府省が勧告に基づいてとった措置について、まずは半年後、すなわち本年十一月二十六日までに報告を求め、報告内容につきましては公表することといたしております。また、関係府省が本勧告に基づいてとったその後の措置につきましては、おおむね勧告から一年半後に報告を再度求めまして、公表することといたしております。
総務省といたしましては、このような措置を講ずることにより、勧告事項が関係施策に適切に反映されるよう、しっかりフォローしてまいる所存でございます。
■西村(智)委員
平成十三年にDV防止法ができてから初めての政策評価ということでありましたので、このくらいの内容はやはり勧告していただかないと、約十年間の取り組みの総括というのはできなかったというふうに思います。
さてそこで、先ほど私は評価すると申し上げたんですけれども、やはり、これは実感も含め申し上げるんですけれども、例えば保護命令制度、これはDV防止法の中でも極めて重要な要素だと思いますが、この保護命令制度に係る警察の取り組みについての評価、報告がありませんでした。
これはいろいろなところで言われておりますけれども、警察におけるDVの相談件数というのは毎年伸びてきていますけれども、実際の対応においては、やはり地域による差があるのではないかというふうに言われております。実際にそういう差が本当にあるのかないのか。また、そのことによって、警察対応の後に、危険に脅かされる当事者が本当にいなくなっているのかどうかということの検証がやはり必要ではないかというふうに私は考えるんですけれども、警察の対応について、今回の政策評価の中で検証を行わなかった理由、また、今後、これについてはやはりやっていくべきではないか、検証していくべきではないかと私は考えるんですけれども、この点はいかがですか。
■新井政府参考人
今回の政策評価におきましては、警察の取り組みにつきましても評価の対象とし、警察庁本庁と二十七都道府県警察本部を抽出し、調査したところでございます。
また、政策評価の一環といたしまして、警察の相談者に対する対応につきましての被害者アンケートも実施しております。その結果といたしまして、どこに相談をしたかという問いに対しましては、五六%の方が警察と回答しておりまして、各種相談機関のうちで最も高い割合を占めているところでございます。また、警察に相談した対応の際には、二三%の方が満足、二一%の方が大体満足としておりますが、他方で、二四%の方が不満、一二%の方が少し不満との調査結果になっているところでございます。しかしながら、警察が受け付けた相談件数が増加している等の状況は見られましたが、改善を要する具体的な事例等については把握できなかったことから、勧告するには至っておりません。
なお、御指摘の、警察対応後は危険に脅かされる当事者がいなくなっているかどうか等の検証ということがございましたが、これにつきましては、被害者の相談後の状況を個別に追跡することが必要となりますが、個人の状況を、長期間にわたり、プライバシーの保護に配慮してフォローしていくという難しい点もあることから、今回の政策評価では調査をしておりません。
必要に応じ、今後、勉強してまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
ぜひ検討をお願いいたします。
さらに申し上げますけれども、今回の政策評価書のその後の調査によりましても、市区町村で配偶者暴力相談支援センターの設置が大変おくれているということが明らかになっております。
DV防止法では、市区町村に配偶者暴力相談支援センターの設置について、努力義務ということになっておりますけれども、全国でわずか十二団体、十二市区町村にとどまっている。都道府県で先駆的な県などは、都道府県がたくさんのセンターを県内に設置しているというところはあるんですけれども、これも政策評価の中からこのように言われておりました。市町村が受け付けた被害者からの相談件数が未把握など、政策効果を測定するための基礎的指標の把握が不十分である、こういうふうに政策評価の中でも指摘をされておりまして、市町村によってDV防止に対しての取り組みに大きな地域間格差があることは明らかだと思います。
この点について、市町村の役割をさらに重視するという観点から、市町村の基本計画策定について、これを努力義務ではなくて義務とすることが必要ではないかというふうに考えております。市町村自身に責任を持ってもらうということが必要なのではないかと考えますけれども、この点について、内閣府の見解はいかがでしょうか。
■板東政府参考人(内閣府男女共同参画局長)
ただいま議員の方から御指摘がございましたように、住民に身近な基礎自治体でございます市町村の役割というのは、配偶者暴力の防止、それから被害者の保護、支援ということに対しても極めて重要であるということで、十九年の法改正におきましては、議員立法でございますけれども、この市町村の役割の強化というのが図られたということで、ただいま御指摘がございましたように、基本計画の策定、それから配偶者暴力相談支援センターの設置につきましての努力義務というのが規定をされたところでございます。
ただいまの状況でございますけれども、御指摘のように、まだセンターの設置、それから計画の策定というのが十分ではない状況でございますけれども、これは法改正のときにも御議論になっておりますけれども、市町村の規模とか行政執行体制、取り組みの程度、それから今御指摘のございました都道府県における取り組みのあり方、そういった地域の実情はさまざまであるというところもございまして、一律に義務を課すということについては難しいということで、努力義務になったというふうに承知をしているところでございます。
ただいまお話がございました基本計画につきましては、現在、まだ十九市町村だけの策定ということでございますけれども、これにつきましては、内閣府においてもさまざまな御相談を受けているという状況でございまして、ことしになってからも十五の市区町村で策定をしたという状況がございまして、今検討されているところ、作業を進めているところは相当数あるものというふうに把握しているところでございます。
この計画策定が進みますように、我々といたしましてもさまざまな情報提供をしていきたいということで、先進事例や策定状況につきましても調査をしたり、ホームページや、それからDVに関する全国会議におきましても、これは市町村の関係者も参加していただいておりますけれども、情報提供をするなど、積極的な支援を進めているところでございまして、これを引き続き行ってまいりたいと思っております。
また、計画の策定につきまして支援をするということで、昨年度から、特別交付税の算定の中にも計画策定に必要な費用につきまして盛り込ませていただいたところでございます。
そういうさまざまな支援の手段を通じまして、市町村の計画策定を支援していきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
努力をしていただいていることはわかりました。わかりましたけれども、今お話を伺っていても、非常に遅々とした取り組みだなと。これは市町村の努力にゆだねなければならないわけですけれども、それにしても余りにスピードが遅いのではないかという感じは否めないと思いますので、ぜひ今後とも、内閣府としては、積極的な基本計画の策定を促していただきたい。
また、これはおっしゃっていただいたように議員立法の法律でありますので、不断の見直しを、これは参議院の調査会が中心になって行ってきたことではありますけれども、今後も、議員の側で、立法府の側で、しっかりと一つの課題として取り組んでいかなければならないことだと考えております。
さて、そこで、ここからは、議員立法である法律ですので、立法府の側から改善をしなければならない法律であるということは重々承知の上で、とはいいながら、近年大変大きな問題となっておりますいわゆるデートDV、配偶者間ではなく、また同居をしている親密な関係というものでもない、しかし、例えば中学生や高校生や大学生など若い人たちを中心に、親密な関係にあって交際をしている相手からドメスティック・バイオレンスを受けている事例がふえているということについて質問をしたいと思います。
この実態は、実はもう政府の方は既に把握をしておられます。内閣府がことしの三月に、男女間における暴力に関する調査報告書というのをまとめられまして、ここにおいて、既に多くの方が知っておられるとおりでありますけれども、いわゆるデートDVを受けたことのある人の割合が約一四%、若い世代の中で一四%もおられる。身体的暴行、心理的攻撃、また性的強要、無理やり性行為を強いるというような、いずれかの被害を受けたことがあった人が、女性では一三・六%、男性で四・三%ということであります。
この実態を、もう何年も前からパンフレットなどにはこの報告も含まれて、周知をされておりましたけれども、このデートDVに対して、政府としてはどういう対応をとってこられたのか、また、これからどういう対応をとっていこうとされるのか。やはり、こうしたことはあってはならないこと、なくしていかなければならないことだと思いますので、政府としての取り組みは何らかされてきたし、これからもされていくのだろうというふうに思いますけれども、対応について伺います。
■小渕国務大臣(男女共同参画担当)
ただいま委員が御指摘をされましたいわゆるデートDVにつきましては、やはり、DVというものがおつき合いの段階に広がっている、若年化していることについて大変重く受けとめておるところであります。
二十年度の調査につきましては、今委員の方から御指摘いただきましたとおりでありまして、交際相手からの暴力を受けた人は、女性で一三・六%、男性で四・三%ということでありまして、この数字を見ても、大変深刻な被害があることがわかっております。
しかし、なかなか難しいところは、普通のDVと比べまして、この実態というものが表面化されていないということ、また、おつき合いの段階でありますので、愛情表現として受け入れてしまうようなメンタリティーになりやすいこと、また、周囲からも、嫌なら別れればよいのではないかと思われがちで、悩みを相談しにくい雰囲気にあることなど、さまざまな問題が挙げられているわけであります。
しかし、恋人間とはいえ、こうした暴力というものは決して許されることではありません。内閣府といたしましては、平成十九年度のシンポジウムにおきまして、これまでDVを取り上げていたシンポジウムの中でこうしたデートDVを取り上げて、世の中の関心を高めるための取り組みを行ったところであります。また、有識者による検討会を開催いたしまして、若年層に対する予防啓発教材の作成に努めているところであります。
しかし、何よりも大切だと思いますのは、そうした実態をしっかり調査し、把握していくことであるかと思います。実態の調査とともに、そうした啓発活動をあわせてやってまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
おつき合いの段階なので実態把握が難しいというのは、確かにおっしゃるとおりだと思うんですね。だからこそ、そこに問題の難しさがあると思うんですけれども。
後でまた質問したいと思いますが、やはり、若い人たちの間では、暴力を振るうことは愛情のあらわれだという見方もあるわけですし、また、嫌なら別れればよいというのも、実際には、相手が謝ったら、それでもう暴力を振るったことも許してもいいのではないかと考える若い人も実は少なくありません。若年層特有の、といいますか、そういった心理的なこともいろいろ背景にあって、実態把握は非常に難しいことなんですけれども、だからこそ、逆に申し上げますと、若いときから、年齢の余り高くならないときから、きちんとした性教育、人権教育なども年齢に合わせてきちんと行って、性暴力を防止するためのいわゆる予防教育というものがやはりどうしても必要なんだろうなというふうに考えるんです。
実態についてということでちょっと伺いますけれども、警察では、こういった恋人や親密な関係にある人からの暴力、DVに対してどのように対処をしておられるのか、その実態を伺いたいと思います。
■佐藤国務大臣(国家公安委員会委員長)
配偶者暴力防止法における配偶者に、婚姻の届けをしていない、いわゆる事実婚は含まれますが、恋人や交際相手は含まれないため、これらの人たちからの暴力に同法を適用することはできないということになっておりまして、確かに、先生おっしゃられるように、隘路というところになっているのではないかと思います。
しかしながら、恋人などからの暴力については、警察では、刑罰法令に抵触する事案については被害者の意思を踏まえて検挙その他の措置を講じ、そこまでに至らない事案についても被害者に対する防犯指導、加害者への指導、警告など、事案に応じた適切な措置を講じているところでございます。
恋人などからの暴力について、ストーカー規制法を適用して対応した事例もございますが、統計をとってございませんので、同法に基づく警告、検挙件数は不明でございます。
ちなみに、平成二十年度中に警察が取り扱ったストーカーの事案でございますけれども、一万四千六百五十七件のうち、交際相手やかつて交際していた者からのつきまとい等に関する事案は七千三百二十件、全体の四九・九%となっております。
■西村(智)委員
ストーカー規制法で対応いただいているケースもあるというお話でしたけれども、ストーカー規制法は、基本的にはつきまといなどへの対応しかできなくて、暴力には対処するようになっていない、要するに、恋人間の暴力には対処するようになっておりません。法律の穴の部分だと思いますけれども。
法律はこういう状況であるということがある上で、質問なんですけれども、やはり、とはいえ、生命に危険が及ぶような、そういった重篤なケースもデートDVにはあると思われます。そういったケースに対して、DV防止法で言うところの保護命令の適用や、一時保護、これを適用できないものかというふうに考えるんですけれども、この点について、法務省と厚労省はいかがでしょうか。
■團藤政府参考人(法務省大臣官房審議官)
保護命令の関係についてお答え申し上げます。
配偶者暴力防止法第十条所定の保護命令でございますが、これは、配偶者からの身体に対する暴力または生命に対する脅迫によりまして被害者がその生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、被害者の申し立てによりまして、加害者である配偶者に対し、接近禁止命令、退去命令、電話等禁止命令、子または親族への接近禁止命令を発令する制度でございます。
ここで対象となります配偶者でございますが、これにつきましては、婚姻の届け出をいたしました配偶者のほか、事実上婚姻関係と同様の関係にある者を含むと同法でされております。ただ、この事実上の婚姻関係に至っていない、先ほど御指摘の恋人らなどにつきましては、この配偶者に含まれないということになりますので、この配偶者暴力防止法上の保護命令の発令対象ということにはならないのではないかと考えておるところでございます。
■伊岐政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官)
一時保護の部分につきましての御説明を申し上げたいと思います。
都道府県には婦人相談所という施設がございますが、こちらにおきましては、これまでも、配偶者からの暴力被害者のみならず、生活を営む上で困難な問題を有しておられ、かつその問題を解決すべき機関がほかにないために、現に保護、援助を必要とする状態にあると認められた方、こういう方についても、相談のほか、一時保護の対象としてきたところでございます。
御指摘のような事例につきましても、都道府県への通知において、恋人からの暴力被害女性といった例示をして都道府県の方にも通知をしつつ、保護、援助の対象とするよう、またそれに積極的に取り組むよう、都道府県の方に促しているところでございます。
■西村(智)委員
厚労省の方に一点確認なんですけれども、配偶者暴力相談支援センターにデートDVの被害者が相談に行った場合、このときは一時保護の対象になるんでしょうか。どういう道筋でこの一時保護が可能になるのか。例えば、センターから婦人相談所の方にそれが伝達されるとかいうことになるのかどうか、また、そういったこともあわせて周知をされているのか、そこを伺います。
■伊岐政府参考人
先ほど申し上げました婦人相談所そのものも配偶者暴力相談支援センターの機能を担っているわけでございます。したがいまして、もちろん配偶者暴力相談支援センターとして御相談を受けるというケースもあろうかと思いますし、また、同じセンターとして機能を担っておられるほかの機関においても、横の連携のもとに、婦人相談所の方に御連絡をちょうだいして、そちらで一時保護をするという可能性はあるかと存じます。
■西村(智)委員
可能性はあるかと思いますという答弁でした。非常にレアケースだというふうに受けとめました。
という答弁を伺いますと、なおのこと、このデートDVの被害者が、どこに相談に行くか、そしてまたどういう形で保護を受けるか、あるいは暴力から逃れ、そして加害者側にもきちんとそういったことが伝わるという支援体制を整えることができるかという点については、少し不安、少しといいますかかなり不安があるんですけれども、そうしますと、やはり法律の条文の方に、文言の方に戻ってこざるを得ません。
DV防止法は、先ほど法務省の方からもお話があったように、配偶者のみが対象となっております。ここにはいわゆる恋人などは含まれない。これを私は、やはり配偶者等などとしてデートDVにも対応できるように法改正すべきではないかというふうに考えております。
何度も申し上げますけれども、これは議員立法の法律だということはよくわかっておりますけれども、この点について内閣府の見解を伺っておきたいと思います。
■板東政府参考人
先ほど議員立法というお話がございましたけれども、法改正の際の御議論におきましても、配偶者以外と申しますか、恋人、交際相手からの暴力の問題についても御議論があったところでございます。保護命令違反については刑罰がつくということもあるわけでございまして、恋人あるいは交際相手という定義づけというのは非常に難しいのではないかという御議論もあったというふうに承知をしております。その結果、配偶者には事実婚を含めるということにはなっているわけでございますけれども、それに至らない単なる恋人あるいは同棲関係、交際相手といったものは対象としないというふうになったと承知をしているところでございます。
先ほどからいろいろな御説明があったところでございますけれども、内閣府の方におきましても、女性に対する暴力に関する専門調査会、これは男女共同参画会議のもとにございますが、そこにおいて、配偶者以外の、今お話がございました交際相手からの暴力の問題についてもいろいろな意味の対応が重要だという御指摘はいただいておりますけれども、これは継続しての検討の対象ということになっているところでございます。
若年者に対する予防啓発の必要性につきましては先ほど大臣からお答え申し上げたところでございますけれども、そういった交際相手からの暴力の問題については、若年者に対する予防啓発についての取り組みを今充実強化させていただいており、こういったところについても防止を図っていきたいというふうに努めているところでございます。
■西村(智)委員
今後の課題だというふうに受けとめます。
先ほど、小渕大臣から、DVの若年化というのは非常に懸念されるところである、いろいろやられているという答弁の中に、教材を作成しておられるというお話がありました。検討会が設置をされて、そこにおいて予防教育教材について検討がされているというふうに伺いましたけれども、この予防啓発教材は、大体何部ぐらい刷って、どういうところに配付をして、どういうふうに活用をされる予定になっているのか、確認をしたいと思います。
■板東政府参考人
ただいま御質問の予防啓発教材についてでございますけれども、今、有識者による検討会において検討中でございますけれども、主に全国の高等学校とか大学、あるいは男女共同参画センター、女性センターなどで、若年者を対象とした、暴力を伴わない人間関係の構築とか、あるいは男女の平等なパートナーシップについて意識啓発教育を行う際に使用していただきたいというふうに考えて、作成の準備を進めているところでございます。
具体的に何部作成するかにつきましてはまだ決まっているところではございませんが、今後、検討会の皆様の御意見もお聞かせいただきながら検討していきたいというふうに思っておりますけれども、何部配付するかという、印刷物だけではなく、ホームページなどを通じてネットでも配信をし、利用していただけるようにしていきたいというふうに考えておりますし、できるだけ多くの若者の方々に利用していただけるような、あるいは学校その他の現場で利用していただけるような形にしていきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
内閣府には、この資料、予防啓発教材をつくったら、ぜひ活用していただけるようにしたいというのではなくて、内閣府みずからが、活用をしてもらえるように、そこのところは、本当に乗り込んでいってもこの教材を生かしてしっかりと予防教育をやるべきだという、その先頭に立っていただきたいと私は思うんです。
実は、内閣府でもデートDVについて調査をやられたということなんですけれども、石川県で、ある民間団体がデートDVについて、現役の高校生や大学生に対して、これは実は内閣府の調査よりも調査対象が広くて、約二千百三十人から回答を得たという調査結果があるんですけれども、ここにおいて、何らかの形でのデートDVの被害に遭った経験がある人は約三割だという結果が明らかになりました。
この調査結果について、昨日、私は石川県会議員の広岡立美さんからいただいたんですけれども、ここにおいて特に強調されているのは、やはり、このデートDVが、おっしゃったように非常に若年化しているということであります。デートDVを受けたことのある人のかなりの割合の人が、既に中学生のときからこのデートDVを受けていると。現役の高校生や大学生に対するアンケートですので、実際に受けている人は、高校で受けたとか大学のときに受けたとか、こういうふうに答えている人がいるんですけれども、全体の中でも二割は中学生のときにそういった被害に遭っている。
ということからすると、率直に申し上げて、中学生のときから予防啓発教育をやっていかなければ、先ほど小渕大臣がおっしゃった愛情の裏返しではないかとかそういった考え方、それは認識の問題なんですけれども、そういった認識が、年齢を経て、だんだんそれが本当の重大なDVに発展していく。既に中学や高校や大学の方でもDVは重大だというケースはあると思いますけれども、さらにそれが、そういった認識が固定化して大きくなっていくことによる被害というのは、これはやはりどこかで食いとめなければならないんだと思うんです。
ですので、この教材についてはぜひたくさん刷って、予防教育を義務化するというくらいの決意でもってやっていただきたい。そのことが将来を担う我が国の若い人たちを守っていくということにもなると思いますので、この義務化するということについて、内閣府と文科省の考えを伺いたいと思います。
また、あわせて、若い人たちの性暴力に対する意識調査、これは内閣府でもやってはいただいておりますけれども、もっと実態に目を向ける必要があるのではないかと私は思います。実態に目を向けて、そこに必要な対策を打っていく、そのベースとなる意識調査をやはりここは大々的にやっていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
■板東政府参考人
今御質問がございました予防教育の点につきましては、関係省庁、文部科学省と連携をしながら、積極的に推進をしていきたいというふうに思っております。
それから、性暴力の実態に関してもう少し調査をすべきでないかという御指摘がございました。ことしやりました男女間における暴力に関する調査の中でも、先ほどから御紹介いただきましたように一部実施したところではございますけれども、本年度はさらに若年層を対象にした暴力の被害実態、それからそれに対する支援の状況ということに関します突っ込んだ調査をしたいというふうに考えておりますので、御指摘の性暴力の被害についてはさらに実態を明らかにしていきたいというふうに思っているところでございます。
■徳久政府参考人(文部科学省大臣官房審議官)
配偶者暴力防止法に基づく政府の基本方針におきましては、配偶者からの暴力の防止に資するよう、若年層への教育啓発として、学校、家庭、地域において、人権尊重の意識を高める教育や男女平等の理念に基づく教育を促進することとされております。
このような観点から、学校教育におきましては、児童生徒の発達段階に応じまして、社会科、公民科、家庭科、道徳、特別活動等において、男女の平等や男女相互の理解と協力の重要性について指導しているほか、人権教育を通じまして、他者の痛みや感情を受容できるための想像力や感受性、自分の考えや気持ちを相手に適切に伝える能力等の育成を図ることといたしております。
具体的には、中学校公民では人権の尊重、人間の平等の単元の中で、また高等学校家庭科では今日の家族をめぐる諸問題という中でDV問題について具体的に教科書で取り上げられているところでございます。このたび小中高等学校の学習指導要領を改訂いたしましたけれども、引き続き、これらの問題についても同じ観点で取り扱うことといたしているところでございます。
今後とも、すべての児童生徒に対して、DVや性暴力の加害者にも被害者にもならないための予防教育が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
ぜひよろしくお願いいたします。内閣府は余り遠慮しないで、もっとその教材を生かしてもらって、まさにおっしゃった言葉どおりです、加害者にも被害者にもならないための教育をぜひすべての若い人たちに対して行われるように、努力を引き続きお願いいたします。
最後の質問になるかと思いますが、これは先日私たち超党派の議員でお話を伺った中身ですので、一点、質問をしたいと思っております。
裁判員制度がスタートをいたしました。裁判員の選任手続や裁判そのものの中で、性犯罪の被害者のプライバシー保護や二次被害について多くの危惧の声が上がっております。実際に超党派の議員で性犯罪の被害に遭った人からお話を伺ったんですけれども、その方は、十年以上前の事件ですけれども、いまだにフラッシュバックがあって、自分で人前で話すと決意をしてやってこられたんですけれども、やはり途中で、涙で声が出なかったということがありました。
こういった性犯罪について、アメリカの例が非常に参考になるのではないかと思うんですけれども、性暴力対策チームというのがアメリカではつくられる。それは法律で決まっていて、大体州ごとに置かれることになっているんだそうですが、警察官や医療職の方、カウンセラー、弁護士など、こういった専門的なチームをつくりまして、被害者にさらなる精神的負担をかけないように配慮しながら捜査や支援を進めているということだそうであります。非常にいいなと思いますのは、実はカウンセリング料や医療費なども州政府が肩がわりをしていて、被害者に経済的な負担は生じないということなんだそうです。
我が国の現状からすれば、そこまで一足飛びでは無理だとしても、例えば、地域にある女性センターが裁判員制度への対応などとして当事者の二次被害防止のためのサポート体制を組む、こういう仕組みができないかというふうに考えております。プライバシー保護についても、支援マップをつくって、場合によっては告訴する場合の弁護士費用を支援するということも、これはアメリカの性暴力対策チームを参考にしてのアイデアでありますけれども、こういったことをぜひ検討していただきたいと思いますが、内閣府はこの点についていかがでしょうか。
■板東政府参考人
今お話がございました性犯罪被害者のプライバシー保護の問題とか、あるいは二次被害の防止の問題というのは非常に重要なことであるというふうに考えているところでございます。
裁判員制度に係るものに限らないわけでございますけれども、性犯罪被害者の二次被害の防止を図っていくためには、今お話がございました諸外国での対応なども参考にしながら、関係機関の連携のあり方などについて、今後、男女共同参画会議の専門調査会などでもさらに議論をしていきたいというふうに思っているところでございます。
ただ、今御指摘の地域の女性センターでございますけれども、やはり裁判員制度などについての、非常に重大犯罪と申しますか、そういったところに関する支援について責任ある立場になっていくというのはなかなか実際上は困難な点もございますけれども、これについては、性暴力の被害に対応するあり方の問題、あるいは性暴力被害の防止のあり方の問題、こういったこと全般につきまして、さらに今申し上げました専門調査会などの検討も踏まえまして、積極的な取り組みを関係省庁と連携していきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
時間ですが、裁判員制度が始まって、プライバシー保護と二次被害の防止については、これは待ったなしで対策が必要なことだと思います。女性センターのアイデアについては、そこまではできないのではないかという答弁でしたけれども、これは早急にやらなければならない話、実際に裁判員制度はスタートしておりますので、早急にやっていただかなければならない話ですので、ぜひ代替策を検討していただくように強くお願いをして、質問を終わります。
ありがとうございました。