■西村(智)委員
ただいま議題となりました、民主党、社会民主党、国民新党提出の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案について趣旨説明を行います。
わが国では、少子化を食い止め、子どもを産み育てやすい環境を整備することが命題となっており、今回の育児介護休業法の見直しでは、就労している女性、そして男性が、当然の権利として育児休業を取得し、それによる不利益取扱いを受けないようにすることが求められています。しかし、政府案は、育児休業制度がある程度軌道にのっている企業で育児休業を取得できている者に対し、さらに制度を拡充するものであっても、育児休業を理由とした不利益取扱いを受けている人の救済は盛り込まれておらず、不十分な内容となっております。
とりわけ、昨年秋の経済危機を発端とした景気低迷を受けて増えている、いわゆる「育休切り」に象徴される育児休業を理由とした解雇、不利益取扱いの防止策が欠けています。この法案の内容が検討された労働政策審議会雇用均等分科会では、「育休切り」あるいは「介護休業を理由とした解雇や不利益取扱い」等の防止策について議論されていなかったのですから、そうした防止策を法改正に盛り込むことが立法府の責任であると強く感じております。
次に、修正案の概要についてご説明いたします。
第一に、期間雇用者の育児休業及び介護休業の申し出要件を緩和し、休業申し出時点で雇用期間が現行では1年以上必要であるところ、6か月以上であれば休業を申し出ることができるようにします。
第二に、ひとり親家庭における育児に配慮し、母子家庭及び父子家庭についての育児休業期間及び子の看護休暇を延長することとし、育児休業を子が1歳6か月に達するまで、看護休暇を1年間に10日、子が2人以上の場合は20日まで取得できるようにします。
第三に、父親の育児参加を促すために、母親と父親がともに育児休業を取得する場合の特例として、子が1歳1歳6か月に達するまで取得できることとします。
第四に、育児休業または介護休業を理由とした解雇、不利益取扱い等を防止するために、育児休業又は介護休業を申し出た労働者に対して、休業中の待遇、休業後における賃金等の労働条件等を書面で明示することが現行では事業主の努力義務であるところ、義務に変更します。
第五に、所定外労働の制限、所定労働時間の短縮措置の対象となる労働者を小学校就学前の子を養育する労働者まで拡大します。
第六に、始業時刻変更等の措置を小学校就学前の子を養育する労働者に対する事業主の義務とします。
第七に、少しでも早く法改正事項を実施できるよう、紛争の解決、公表及び過料に係る規定は、公布の日から3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとします。ただし、暫定措置として常時100人以下の労働者を雇用する事業主については、公布の日から3年を超えない範囲内において政令で定める日まで、一部の項目は適用しないこととします。
以上が、民主党、社会民主党、国民新党提出の修正案の趣旨及び主な内容でございます。
何とぞ御審議の上、ご賛同くださいますようお願い申し上げます。