■西村(智)委員
民主党・無所属クラブの西村智奈美です。
私は民主党の中で子ども・男女共同参画調査会の事務局長を務めておりますので、きょうは、少子化問題について絞って質問をしたいと思います。
先ほど来、子育て応援特別手当について、菅委員そして前原委員から質問があったところであります。私もそのことについて伺うつもりですが、まずその前に、少子化についてどう考えるか、そしてまた子育て支援策というのがいかにあるべきか、この二点について財務大臣と総理から、それぞれどういうふうにお考えなのか伺いたいと思います。
少子化については、今、日本の合計特殊出生率は一・二六とか二七という数字をさまよっております。日本の人口構造や産業構造を維持するためには少なくとも二・〇八が必要だと言われていたにもかかわらず、一・五八を切ってからは、もう本当に坂を転げるようにこの出生率が下がってきております。
この原因は何なのか。いろいろな人がいろいろな研究をしておりますけれども、やはり、日本の社会全体が子育てに対して余り優しいとは言えないのではないか、そのことによって女性たちが子供を産み控えているのではないかということが指摘をされておりますし、私も肌感覚で感じているところは、まあ、そういったところだろうなと思っております。
この点について、財務大臣と総理の見解を伺いたいと思います。
■与謝野国務大臣
明治維新のときの日本の人口は三千万、昭和二十年、日本が戦争に敗れたときの人口は七千万、現在は一億二千五百万でございますから、まあ、この百何十年かの間に随分人口はふえ、今、少子化が叫ばれている段階でございますが、私の直観ですから余り根拠はないんですが、多分、日本という国は五、六千万の人口だと大変快適な国じゃないかと私は思っております。
ただ、そういう五、六千万の平衡状態に至るまでの間、どうやって日本の福祉制度を支えていくのか、こういう話になりますと、その移行期間、過渡期の間は物すごく大変なことが起きるということがあります。
それで、政府が少子化について、たくさん子供をつくりなさいというようなことを言う立場にはないので、政府や政治ができることは、産みやすく育てやすい社会を用意しておく、あとは女性、御夫婦の間で自主的に御判断いただくということに尽きるのではないか、私はそのように思っております。
■麻生内閣総理大臣
やはり、西村先生、子供を産んだらいい、楽しいという話を余り言わないんですな、この国は。違うかしら。そういう、子供を産んだらこんなにすばらしいよという話をあなたにしてくれる友達というのはどれくらいいらっしゃいますか。産んだら大変よという話ばかりしませんか。僕は正直そこが今一番問題なんじゃないのかなと思っております。これは正直なところです。
したがって、私は四十三で結婚して、ちゃんと子供は二人産みましたから、一応最低限の義務は果たしたことになるのかもしれませんよ。なるのかもしれませんけれども、しかし、今、現実問題として、子供を産んだら成長を見て、私自身は、もう娘も二十になりましたし、その上のも二十三にもなりましたから、今は見ていて結構おもしろいです。成長は、嫌なところばかり親に似たりして、全然おもしろくないところもいっぱいありますが、私自身は正直言って楽しくやらせてもらっていると思っています。
だから、子供を産んだらいいことがありますよという話も、正直、今から結婚する人には結構言っている方だと自分自身は思いますけれども、いつも、そう言われるのは麻生さんだけですよと言われたりすると、よっぽどほかの人は大変だ大変だという話しかしていないんだなと、私はそう思ってしまうんです。しかし、フランスやらイギリスにいたころ、みんな子供は楽しいという話をイギリス人もフランス人もしていましたから。
その意味では、私は、日本は一コンマに特殊合計出生率が下がってきておりますけれども、まあ韓国より高い、中国より高い、台湾より高い、香港より高い。よく比較すれば、もっと低いところはいっぱいありますので、そういったところの話をよくされますけれども、私どもとしては、そういった合計出生率の話という数字の話よりは、子供を産んだら楽しいという話と、やはり子供を育てやすいような経済環境とか、また社会環境というものが非常に大事なのではないのかなと思っております。いずれにしても、子供の声が聞かれない地域というのはかなり寂しいものだと、私自身はそう思います。
■西村(智)委員
私も、合計特殊出生率というその数字だけを取り上げて、それが高いからいいとか低いからよくないとか言うつもりはありません。また、日本の人口が減っていくということも受け入れるというのは、これは我が国の選択する道のうちの一つだろうと思います。ですけれども、問題は、先ほど財務大臣も総理もおっしゃいましたけれども、やはり産み育てやすい社会をつくるということに尽きるのではないか。あとはカップルの判断に任せるということだと思うんです。
総理、イギリスとフランスで子育てが楽しいという話を聞くのは、それは理由があることだと思うんですよね。日本でなぜ子育てが楽しいという話ばかりではないか。もちろん、子供が社会に出てくる、たくさんいるということは、これは本当に社会のにぎわいになりますし、明るくなる。子供は未来への投資、社会全体の宝だと言われておりますから、それは非常に子供がいること自体が社会の財産であるわけですけれども、しかし、イギリスやフランスでなぜ子育てが楽しいと言われているかといえば、やはりそれなりの子育て支援策を国としてきちんとやっているから楽しいと思える、そういう子育てが可能になっているからだと思うんです。そこのところをまず一つ御認識をいただいておきたいと思います。
そこで、今回の補正予算の中で、子育て応援特別手当、三歳から五歳まで、三万六千円、一回こっきり、これを支給するということになりました。第一子からということになるんですか。これは今回、政府の補正予算は約十四兆円ということですけれども、子供ですとか教育関係の対策費は大体三千六百五十一億円、全体の中でも二・六%と非常に小さいわけなんです。その中でも、政府の方は今回、この子育て応援特別手当を一つの目玉だというふうに言っておられるようです。
財務大臣に聞きますけれども、この子育て応援特別手当によって見込まれる経済効果、これはどのくらいでしょうか。
■与謝野国務大臣
まず、民主党の言っておられるような子ども手当ができたら、お金があったらそういうこともやったらいいと思うんですけれども、民主党の言うとおりやられますと、それだけで五兆円以上かかりますので。
今回の子育て応援特別手当というのは、現下の大変な不況下で、個人の所得がそれぞれみんな減っている、特に子育て世帯は大変でしょうというので、年に三万六千円というのは決して大きい額とは言えませんけれども、何とか支援策になるだろうというので、予算に計上したわけでございます。
■西村(智)委員
そうしますと、経済政策というよりは、子育てのための手当ということで支給されるということですか。そういうことでありますと、果たしてこれが本当に子育て支援になるのかどうかということを伺っていかなければなりません。
先ほど、三歳から五歳までというふうに年齢制限が区切られていると財務大臣が答弁しましたら、枝野委員が、二歳児で二人いる場合はどうなるんだ、それも大変だというふうにおっしゃいましたけれども、それぞれのその根拠ですね、つまり、なぜ三万六千円なのか、あるいは、なぜ三歳から五歳までなのか、そしてなぜ一回こっきりなのか。
これは、何度役所に聞いても私は納得できる答弁というのは一度も返ってきたためしがないんですけれども、一つ一つ伺いたいと思います。なぜ三万六千円という額なのでしょうか。
■舛添国務大臣
これは、住民税の非課税世帯の保育所の基準額が月額六千円でありますので、その半分、つまり月額三千円を補助するということで、三千円掛け十二カ月、三万六千円、こういう計算でございます。
■西村(智)委員
その説明、私は初めて聞きました。
この六千円、住民税の非課税世帯における保育所の料金が六千円、その半分だから三千円。なぜ半分なんですか。なぜ全額じゃないんですか。
■舛添国務大臣
国会の場でも、その説明を私は何度かしたことを記憶しております。これは議事録をよくごらんになればどこかに書いてあると思います。
そして、全額というのも一つの考え方かもしれないですけれども、補助をする、やはりみずからの努力にも頼らないといけない、そういう意味で半額ということを決定させていただいたと。
■西村(智)委員
幼児教育期の子育て世帯を支援するということですから、六千円の保育費の半分を補助対象としている、手当の額としたということについては、これは合理的な説明では全くないというふうに思います。
また、三歳から五歳までということについてでありますけれども、これはなぜ三歳から五歳までなのでしょうか。
■舛添国務大臣
小学校に入る前の三年間、これは保育園に通おうと幼稚園に通おうと、ここに焦点を当てたというのは、それは、赤ん坊のとき、乳飲み子のとき、それから小学校へ入ってから、さまざまな補助があります。そういう意味で、一番、全体的に見て、特に、お父さん、お母さんの立場で子育てをやっていると、ここ足りないなというところがこの年齢層なので、そこに焦点を当てたということでございます。
■西村(智)委員
今のが明快な説明ですか。いや、とてもそうは思わない。聞いている方々も、これで納得だというふうに思われる方は極めて少ないのではないかと思います。
保育所でしたら、三歳から五歳までではなくて、三歳未満児だって通園をしておりますよね。なぜ、ゼロ歳から二歳は対象に含まなかったのでしょうか。
また、幼児教育時における公的助成が少ないんだというお話も午前中の委員の質疑の中でありましたけれども、これとて見れば、実際、日本が公教育において支出している公的な部分は非常に少ない、全体的に、日本が子育てに対して、あるいは教育費に対してかけているお金というのは少ないわけですから、なぜここだけを対象にしてやったかというのは明確な説明はなかったというふうに思います。
なぜ、ゼロ歳から二歳、そして小学校就学期などは含まなかったのですか。
■舛添国務大臣
私は、今まさにその年の子供を、孫じゃないですよ、私の子供ですよ、子育て中でありまして、上の女の子は今小学校三年です。下は幼子、要するに幼稚園の年長さんです。ですから、二人をずっと赤ちゃんのときから育ててきて、やはり、うちの場合は幼稚園ですけれども、三歳、四歳、五歳、つまり年少さん、年中さん、年長さんとくるわけです。ここは本当に補助も何もないんですよ。めちゃくちゃお金がかかりますよ。赤ん坊のときは抱いて行ったりできる。それで、結局、じゃ、幼稚園にだれが送るんだとか、めちゃくちゃ金がかかりますよ。
ですから、それは、それぞれの家庭の選択はありますけれども、私の子育て体験からいっても、三歳から五歳までの期間というのは非常に相対的に大変だということも改めてつけ加えておきたいと思います。
■西村(智)委員
これは、後で厚生労働省にきちんと調査したものを出していただきたいと思います。ゼロ歳から二歳までの子供にかける保育費ないし教育費と、それから、三歳から五歳までにかかる教育費、保育費ですね、どちらでもいいですけれども、それがどのくらいの比較になっているのか。私は、決して三歳から五歳だけがゼロ歳から二歳に比べて重たいなどということはないと思っています。その辺は実態をぜひ調査していただきたい。要求をしておきます。
また、今回の三万六千円、三歳から五歳についてでありますけれども、所得制限は課さないということになっているわけですね。
今ほどの答弁でも明らかになったように、なぜ三歳から五歳か、なぜ三・六万円か、なぜ一回限りかということは明確な答弁はなかったと思います。なので、この補正予算の中で、子育て応援特別手当ということを実施する緊急性というのは一体どこにあったのだろうか。すべてのお子さんに対してやるということでありますから、中には、年収二百万円の親御さんもいらっしゃるでしょうし、年収二千万とか二億とかいう方もいらっしゃると思うんですね。全員にこの手当を給付するということの緊急性、補正予算ですから、緊急性はどこにあったのでしょうか。
■与謝野国務大臣
所得制限をかけるかどうかというのも当然議論をいたしましたが、恐らく、三歳から五歳のお子さんを持っている方というのは、舛添さんみたいな例外的な方は除いて、おおむね二十代から三十代ぐらいではないかと。その方々はそんなに高い所得の方はおられないはずなので、所得制限をかけるという実質的な意義はない、こういうことで所得制限をかけませんでした。
■西村(智)委員
これは補正予算の財政規律という点からしても極めて問題だと思うんですね。補正予算は、財政法上は、緊急性のあるものにつける、編成するということになっています。
今の経済状況は大変だということは、これは私も認識を共有しておりますけれども、とかく、この点については、先ほど来、こちらの方から、民主党も全員にばらまくんじゃないかというような話が出ていましたが、全く理念はこの政府の言っている子育て応援特別手当とは異なります。後でこれはちゃんと説明をいたしますけれども。
私は、今回のこの子育て応援特別手当というのは、やはり補正予算の中に盛り込むのは極めて無理筋なものだったのではないかなというふうに思うんですね。
厚労大臣と財務大臣にずっとお伺いをしておりましたので、ちょっと少子化担当大臣にお伺いをいたしたいと思います。
やはり、今回のこの手当は、理念がなかなか明らかになっていないということですので、選挙向けのばらまきではないかというふうに言われているんです。これは本当にゆゆしき問題だと思っておりますけれども、少子化担当大臣として、この子育て応援特別手当、本当にこれでいいんでしょうか。一回限りの、三歳から五歳までの三・六万円、これでいいんですか。
■小渕国務大臣
少子化対策を考える上で、経済的な負担を軽減していくということはやはり大事な対策の一つであると思います。その面で、幼稚園や保育所に通う御家族の御負担を軽減するということから、一定の効果があるものと思っております。
ただ、ちょっと、今回の補正予算について、ぜひとも全体を見ていただきたいのですけれども、子育て支援に関しては、この子育て応援特別手当だけでなく、困難を抱えた家庭ですとか、あるいは地域のさまざまな子育て支援に対する国としての支援ですとか、もちろん保育サービスの拡充ですとか、かなり総合的にやっております。子育て支援というのは、経済的な支援だけでなく、やはり総合的にやっていくことが大切ではないかと思っております。
ただ、一回限り、これで十分かと言われれば、なかなか十分でない部分も確かにあると思います。子供については、やはり将来への投資ということで、中期プログラムの見直しなども含めながら、抜本的な少子化対策というものを考えていかなければならないと思っておりますが、今回のこれは、それへの第一歩になると思っております。
■西村(智)委員
十分ではない部分もあると、非常に正直な御答弁をいただいたと思います。
そして、この子育て応援特別手当ですか、これをまた給付する作業がスタート、まあ、この補正がどうなるかわかりませんけれども、スタートするというときには、また自治体にその給付の事務作業をお任せすることになるのでしょうか。総務大臣、確認します。
■鳩山国務大臣
同じように、自治体を通じてという形だと思います。
■西村(智)委員
総務大臣、覚えておられることと思いますが、私は、総務委員会で鳩山大臣と、定額給付金のドメスティック・バイオレンス被害者への給付について質問をしたことがありました。
ドメスティック・バイオレンスというのは、配偶者や恋人による身体的または精神的な暴力や暴言も含むというものでありますけれども、この件数は、DV被害防止法の改正などもあって、被害件数がどんどんふえてきております。
これは大変悲惨なケースが多くて、夫の暴力によって、本当に着のみ着のまま子供と一緒に逃げてきた、住民票を移せば、そこで新しい自治体で住民サービスがいろいろ受けられるんだけれども、なかなかそれができないケースというのがあるんです。やはり追いかけられてくるのが怖いとか、また、住民票が、実際には総務省からのいろいろな通知もあって、加害者である男性には渡らないようにという手はずにはなっているんですけれども、そこをちょっとミスがあって渡ってしまったりということもありました。現住所で給付されないということで、そうすると、逃げてしまったDV被害者や子供さんの分も定額給付金はその世帯主のところに入るんですね。
私は、このことを大変懸念をいたしました。いろいろ問題が起きてくるのではないか、法的にも問題になってくるのではないかと思っておりましたら、案の定、DV被害者への給付金が世帯主のところに振り込まれるのを差しとめてくれという差しとめ請求が出されております。
というような問題が起きてきておりますけれども、今回のこの子育て応援特別手当も、その支給事務を自治体に任せるということになると、これはまた定額給付金と同じ問題が起きるのではないかというふうに懸念をいたしますけれども、その点についてどうお考えでしょうか。また同じことが起きるかもしれないとわかっているのに、自治体に給付事務を任せるということになるのでしょうか。
■鳩山国務大臣
私は、今の三歳、四歳、五歳の三万六千円の件については、自治体を通じてお配りするということで、それ以外の配り方がないからそういうやり方をするんだと思っておりまして、DV被害者の方の定額給付金の件については、西村委員とは随分やりとりいたしまして、実際に、そっちの話をいいですか、ちょっと。もうその話は必要ないんですか。
仮処分命令の申し立てが六人、六件あっているんですね。これはまだ審尋をちょっとやっている程度ですから、結論が出るのは時間がかかるかもしれませんが、もちろん、この結果が出れば、法治国家ですから、仮処分の結果については従わなければなりません。
ただ、定額給付金は世帯主に配るということでやってまいりましたから、したがって、DV被害者が、支援措置で、ちゃんと住所を新しく移しておいてくださればいいんですが、そうでない方々も大勢おられるのはわかっておりますので、DV被害者に対して独自に給付をすることを決めた都市が全部で二百八十七団体あるわけでございまして、これは指示はできませんけれども、技術的な助言はできますので、こうした団体がふえていくことを期待いたしておりますし、その場合に、今度、一兆円、この補正予算に入っておりますいわゆる地域活性化、経済危機の克服のための一兆円を使っていただこうと思っております。
■西村(智)委員
その基金も非常に使い勝手がよくないし、締め切り時間は過ぎてしまっていたということもありましたので、これはやはり、また同じことを繰り返すことになるのではないかと私は懸念をしております。
実際に、ある自治体の中では、DV被害者に対して定額給付金を支給するというところも出ているようでありますので、ぜひこれは、そういった自治体も出てきているということも含めて、今からでも遅くはありません、この手続等については考え直していただきたいと思います。
そして、もう一回この子育て応援特別手当について伺いたいと思います。問題は、年齢も額もありますけれども、一番の問題は、一回限りということだと思うんです。
子育ては一年では終わりません。政府・与党の都合に合わせて、子育ては一年では終わりません。これから先もうずっと続いていく、恒常的な仕組みだということがあって初めて子育てにおいて安心感が生まれるのではないか。そういう点からすると、この一回こっきりというのは全くナンセンスだと思います。この仕組みは、恒常的にやるというのであれば私もそれはいいなというふうに思いますけれども、なぜ一回だけなんですか。一回限りで本当に子育て支援になるんでしょうか、財務大臣。
■与謝野国務大臣
毎年出すのなら賛成する、一回限りだと反対する、この理屈もなかなか難しい理屈だと私は思います。
財源が豊富であれば毎年やってもいいわけですが、苦しいお台所の中からせめてものことをやろう、そういう発想であるということも御理解をいただければと思います。
■西村(智)委員
これは最初、与党の中では、子育て応援特別手当は三年以内という話も聞こえてきていたんですね。それが、とりあえず一回になったということなんですけれども、そうしたら、では、来年も続けるんだとどなたかが明言してくださるんですか。(発言する者あり)では、やじらないでください。
三年以内で行うということが与党の中からも出てきていた。ところが、決まったときには、この説明では、子育て応援特別手当は臨時異例の措置だとわざわざ明記しているんです。臨時異例の措置ということは、これは、では、もう来年からはやらないということを政府は宣言しているに等しいと思います。定額給付金に次ぐばらまき政策ではありませんか。
■与謝野国務大臣
ばらまきの批判は当たらないと思います。
臨時異例と書いたのは私自身でございまして、来年これが続けられるような財源が別に当てがあるわけではありませんので、やはりそういう御要望に関しては、一年限りであるならばこれは認めてもいいだろうということで政府・与党で合意したというのが本当のことでございます。
■西村(智)委員
一回限りのばらまき子育て応援特別手当をやって、そして将来世代にまた、今回の補正で四十四兆円ですか、国債が発行される、そのツケ回しが行くということになるわけです。
私たちは、こうした政府の一回限りの政策、安心感を全く生み出さない政策とは百八十度方向性が異なっていまして、私たちが主張している子ども手当というのは、これはもう恒常的な政策です。年間三十一万二千円の子ども手当を支給する。
この財源についてはどうなんだと、まあ、またあちらの方からいろいろ声が飛んでいますけれども、財務大臣、それは財務大臣がやれば、これは財源はどうなんだというふうには聞かれない。野党がこういう提案をしたときだけ、なぜか知らないけれども、自民党の側から、財源はどうなんだというふうに集中砲火を浴びるわけなんです。
ですけれども、私たちは、この財源の手当てということについてはきちんとやるとマニフェストに書きますから。マニフェストに書いて、予算の組み替えをしっかりと行う。それは恐らく政府・与党にはできないことだと思います。天下りも容認する、特殊法人特別会計の改革は中途半端、十二・六兆円の天下り団体に対する随契や補助金、こういったものにしっかりとメスを入れていくことによって予算の組み替えを行うということを、これは明確に主張しているわけであります。
さて、この子育て応援特別手当のほかに、実はいろいろ、今回の政府の子育て支援については非常に時限つきのものが多い、二年とか三年で終わるものがとても多いわけですね。妊産婦の健診費用ですとか、または出産育児一時金の積み上げ、これも三年たったら減っちゃうんです。こういったことでは、とても安心して子供を産み育てようというふうに、なかなか安心感は生まれてこないだろうというふうに思います。
時間がなくなってまいりましたので、ちょっと質問を途中はしょりまして、一人親世帯に対する支援制度について伺いたいと思います。
資料でお配りをしておりますが、我が国の子供のいる世帯の貧困率は極めて高いものがあります。OECDのデータ、よく引き合いに出されるものですけれども、私は、今回は、子供のいる世帯で、働いている一人親、働いていない一人親のデータがわかるものを持ってまいりました。
これは委員の皆さんのお手元にしかないんですが、左側には二〇〇〇年前後の子供のいる世帯の相対的貧困率が書いてあります。これによりますと、働いている一人親というところをごらんください、働いている一人親の相対的貧困率は、日本が六割をちょっと切るという数字になっております。このときはトルコが一位でした。一位というのは不名誉な一位でありますけれども、六割を超えていた。ところが、これが経年変化いたしまして、左側が二〇〇〇年のデータ、右側が二〇〇〇年代中盤のデータ。ごらんいただきますと、日本が有業の一人親で相対的貧困率の一番高い国ということになっております。
さて、そこで、私は、この母子世帯については、やはり経済支援と就労支援、これがセットで行われなければならないというふうにずっと考えておりまして、生活保護の母子加算の削減や児童扶養手当の削減には反対をしておりました。
この生活保護の母子加算についてでありますけれども、これは恐らく骨太方針の二〇〇三とか骨太方針の二〇〇六、このあたりで、社会保障関係費を五年間で一・一兆円削れ、削るんだ、そういう方向性が示されたことの影響であろうと思います。また、三位一体改革によって児童扶養手当の国庫負担率が引き下げられて、自治体により重い負担が行くようになってしまったからということもいろいろあったりいたしまして、特に生活保護の母子加算でありますが、これは物すごい削減をされて、平成十七年から段階的に減らされてきて、ことしの四月にとうとう全廃されてしまったんです。
さて、厚労大臣にお伺いをいたしますが、この生活保護費の母子加算の廃止によって、総額幾らの縮減になっているのでしょうか。
■舛添国務大臣
生活保護の母子加算につきましては、平成十七年度から三年間かけて、まず十六歳から十八歳の児童に係る母子加算を段階的に廃止したところでありまして、その総額は約二十億円となっております。また、十五歳以下の児童に係る母子加算につきましては、平成十九年度より三年間かけて廃止することとしておりまして、その額は三年間で約百八十億円と見込んでおります。
ただ、さまざまな就労支援プログラムや何かでふやしている部分もあるということもつけ加えておきたいと思います。
■西村(智)委員
合計で約二百億円の削減ということなんですね。これは、私は非常に問題なのではないかと思っております。
何が問題かといえば、生活保護の母子加算が削減されたことなどもあって、さらに母子家庭の、あるいは一人親と言ってもよろしいでしょう、一人親、特に母子の方ですけれども、その親の自立がさらにおくれているということになっているのではないかということであります。
私は、この母子加算の約二百億円、これは、今回の政府の補正予算の約十四兆円のばらまきに対して、非常に額は小さいというふうに考えました。母子加算のお母さんが大変な状況だということは、舛添大臣、御存じですね。委員会の中でも何度も質疑をしておられますので、この状況については十分御承知のことだと思います。十四兆円の今回の補正予算のばらまきをやるくらいだったら、二百億円の母子加算の復活はどうしてできなかったんですか。
■舛添国務大臣
なぜこの母子加算について削減ないしは廃止という手をとったかということは、一番大事なのは就業支援、お母さんが一人親であっても一生懸命仕事をして子供を育てている、そういう状況をつくり出す。
ですから、お母さんが、例えば看護師さんになりたい、そういうときにはきちんとこれは手当てをしております。それから、就学手当、つまり、子供が高校生になるよ、ではそこに、学校に入る費用を手当てしようということでありますから。就職の支援をやる、それから生活の支援をやる、それから養育費確保の支援をやる、それから経済的支援をやる、この四本柱で我々のこの一人親家庭への支援のあり方を決めています。私は、そういう理想はいいと思います。
ですから、母子加算についてなぜ厳しいことを言っているかといったら、働く能力がありながら働こうとしないような方はだめですよと。働く能力がなくて、それは病気とかそういう事情の方はきちんと生活保護を含めてやりますよと。ただ、そうじゃない方に対して、どうインセンティブを与えて、働いて自立してもらうか、この理想も追求しないといけない。そういう中での政策であって、本当に困った方々には、それはさまざまな手できめ細かい御支援を、自治体を含めて我々もやっていくということでございます。
■与謝野国務大臣
補正予算全体をばらまきであると断ぜられるのは僣越ではないかと思っております。
なお、一人親家庭への支援については、念のためでございますが、民主党の経済対策には盛り込まれておりません。
■西村(智)委員
先ほど舛添大臣は、就労支援もしっかりとやっているというふうにおっしゃいましたけれども、この就労支援もほんの四十億円程度なんですね。ですから、母子加算が二百億円削減されているのには全く足りません。
また、例えば母子家庭のお母さんが働いてもらえるようにと、それは私も労働に付随して得られる賃金で生活するというのは基本的な形だろうというふうに思いますけれども、しかし、日本の母子家庭のお母さんは、既にもう八五%が働いております。
日本でなぜこの就労支援ということが言われてきたのか。私は、やはりアメリカ型のワークフェア、働かなければ一定の扶助は受けられない、そういう考え方が入ってきたことが一つの原因であろうというふうに思いますし、また、その働いている八五%のお母さん方、どういう働き方をしておられるか、舛添大臣も御存じでしょう、約半分がパートや臨時ですよ。それがこういう雇用環境の中でますます厳しくなっている。
こういうパートや臨時などという働き方を余儀なくされている中で、幾ら働け働けというふうに言っても、これはなかなかうまくいかない。やはり、男女間の賃金格差というものもなくしていかなければなりませんし、また保育所などのサービスもきちんと充実をしていかなければならないと思います。
そういったことを総合的に含めて、この母子家庭への支援というものは考えているわけでございまして、先ほど財務大臣は民主党の中にそういった案は含まれていないというふうに言いましたけれども、私たちは、今回の補正には入っていないかもしれませんけれども、総合的にこういうパッケージとして、母子家庭の母を支援していくということをきちんと考えております。
最後にもう一回お伺いをいたしますけれども、この二百億円の母子加算の復活、これは、もう毎日毎日ダブルジョブをして精神的にも肉体的にも困難な状況にあって、子供と向き合う時間がないという悩みを抱えている方には本当に復活すべきものだというふうに思いますけれども、もう一回、総理、お答えいただけませんか。
■舛添国務大臣
生活保護における母子加算をなぜ考え直したかというと、そうじゃない、生活保護をいろいろもらっていない母子よりも収入状況がよくなっている。相当福祉政策を頑張ってやっていますけれども、片一方では、生活保護を受けないで一生懸命母子で働いて税金を払っている方々がおられるわけです。こういう方に対する声なき声もあるんです。
ですから、そういう声にも耳を傾けて、先ほど菅さんに申し上げましたように、バランスのとれたきめの細かい総合的な政策をやっていきたいと思っております。
■■麻生内閣総理大臣
今、舛添大臣から答弁がありましたように、これはいろいろその地域性もありますし、また周りであったというところも、これは私ども、生活保護世帯率がかなり高い筑豊というところが私の選挙区ですから、今言われるところは、私、新潟より現場というものがかなり身近にあるところにおりますので、今言われましたように、働くということを、やはりある程度きちんと働いている方からの不満というのが出ていることも一部確かですので、その点も考えておいていただければと思っております。
もう一点だけ修復させていただきます。
先ほど、二人子供を産んだので義務は果たしたという話をちょっと申し上げましたけれども、これは正直、産みたいと思っても産めない、もしくはいろいろなことがあって、肉体的な理由で産めないとかいろいろな理由があろうと思いますので、義務という言葉は不適切だと思うので、撤回いたします。
■西村(智)委員
生活保護を受けないで頑張っているお母さんがたくさんいるから母子加算を復活しないという、この根拠づけは全く的外れだということを最後に申し上げて、質問を終わります。