■西村(智)委員
おはようございます。民主党の西村智奈美です。
公文書管理法案の質疑、きょうからスタートということになりました。行政情報公開法の制定からちょうど十年、もう本当に長い時間がかかったなという感じがいたします。それぞれの立場でそれぞれの方々が努力をされてきて、きょうの審議に至ったんだろうというふうに理解をしております。そのことについては、心からの敬意を表したいと思います。
私は、公文書管理法というのは、いわゆる十年前の情報公開法とセットで、車の両輪でやはり制定されるべきだったし、運用もそのようにされるべきであるというふうに考えております。
行政情報公開法の運用の中では、情報公開請求をしても、例えば、文書が不存在であるという理由で不開示になったり、いろいろなことがあるわけですけれども、今回の公文書管理法が制定されると、そのような事態はこれからもう決して生じないんだろうというふうに確信をし、そういう法律案になるように、私たち民主党としても修正のポイントなどをまとめさせていただいたところであります。
きょうは、この法案の言ってみれば基礎、土台となっておりますいわゆる公文書管理の在り方等に関する有識者会議の最終報告をベースに質問をしてまいりたいと私は考えております。
「「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」 ~今、国家事業として取り組む~」、非常にすばらしいタイトルがついている最終報告でありまして、この最終報告を私も読んで、これだったらいい公文書管理法案ができるかなというふうに非常に期待をしておりました。
ところがであります。この最終報告に盛り込まれていたことがすっぽりと抜け落ちていたり、また、極めて中途半端なままで終わっている項目が大変多くありますので、そのことについて、まず一つ一つ伺っていきたいと思います。
まず、小渕大臣に伺います。
この最終報告の最初には「公文書の意義」ということで記載があります。公文書というのは「未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産である。」というふうに書かれているとともに、「公文書は「知恵の宝庫」であり、国民の知的資源でもある。」というふうに書かれています。
政府として、この最終報告に書かれている記載と同じような認識を持っておられるかどうか、伺います。
■小渕国務大臣
国の活動や歴史的な事実の正確な記録である公文書は、民主主義の根幹を支える基本的なインフラであります。過去、歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産であると認識をしております。そして、これを適切に管理し、後世に伝えていくことは国の重要な責務であると考えております。
そのため、今般、統一的な文書管理のライフサイクルを通じた管理ルールや、歴史公文書等の保存及び利用のルール等について定める本法案を提出させていただいたところであります。
■西村(智)委員
貴重な共有財産だというふうにおっしゃっていただきましたし、説明責任も果たされるべきだというお言葉をいただきました。
そういたしますと、やはり法案の中では、いわゆる国民の知る権利についての保障がきちんとされるべきだったのではないかと思います。説明責任の裏返しは、これは国民の知る権利というものがあるというふうに考えますし、民主党の考えとしては、やはり、公文書は国民共有の財産であるということと同時に、国民主権、そしてまた知る権利を保障することを明記すべきだというふうに考えておりますけれども、この点についてはなぜ盛り込まれなかったのでしょうか。
■小渕国務大臣
いわゆる知る権利につきましては、その内容や憲法上の位置づけについて学術上さまざまな理解の仕方があり、また、請求権的な権利としての知る権利は最高裁判所の判例において認知されるに至っていないとのことであります。
そのため、本法案におきましては、あえてそのような文言を使わず、情報公開法と同様に、「国民主権の理念にのっとり、」や「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」という文言を用いているところであります。
■西村(智)委員
それではやはり明確になっていないと私は思うんですね。ここは意見がなかなかかみ合わないところだというふうに思いますが、私たちとしてはやはり、知る権利というのは明記できるし、明記すべきだというふうに考えております。そこは主張として申し上げます。
次に、有識者会議の四ページに、いわゆる行政文書の定義について記載があります。ここからは行政文書の定義に関する質問なんですけれども、公文書管理に当たっては、ここは極めて重要なポイントの一つであると考えております。その行政文書の定義について、最終報告の中では、「経緯も含めた意思形成過程や事務・事業の実績を合理的に跡付けることができる」ように文書を作成、保存しなさい、こういう方向性が書かれておりますけれども、この点について、公文書管理法案の中ではこの意思形成過程についてどのように示されているのでしょうか。
■増原副大臣
御指摘の有識者会議の最終報告における文書作成の方向性でありますが、我々としましては、それを踏まえて第四条に、意思決定について文書を作成することを法律上義務づけるということにいたしております。
その具体的な範囲につきましては、有識者で構成する、新たに設けます公文書管理委員会の御意見を伺いながら政令で定めることを予定しておりまして、今後、本国会での御審議あるいは最終報告の提言に沿って検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
■西村(智)委員
この公文書管理法案の中でも極めて重要なポイントだと思われる行政文書の定義について、政令で定める、そして今後の議論にゆだねたいというのは、余りにも見えない法案であると思うんですね。本来であれば、行政文書の定義、それは事細かく書くことは難しいのかもしれませんけれども、最低限の基準なりを示して、法定化した上で法案審議に付することは必要なのではないかというふうに考えております。ですから、政令に任せるという空手形ではとても、なかなか納得できないということは申し上げておきます。
行政文書の作成についてでありますけれども、私もよく、行政文書の作成、作成と、言葉を聞いていますと、とかく行政機関の中だけでつくられる文書についてのみが対象範囲として頭の中に浮かぶんですけれども、本来、行政文書というのはもっと広い定義なのではないか。つまり、今政府がいろいろな意思形成を行う過程において、行政機関などが民間の例えばリサーチ会社などに委託事業を行っているケースはかなり多くあると思うんです。
ただ、その報告の中では、調査のもとになるデータが示されていなかったりいたしまして、結局、そのことによって、意思形成にかかわるトラブルといいますか、そういったものが少なくないというふうに考えているんですけれども、意思形成過程にかかわる委託調査によるデータは極めて重要なものだと思いますけれども、作成だけではなくていわゆる取得、この取得義務に関してはどういうふうにお考えでしょうか。
■増原副大臣
御指摘の点につきましては、委託元である各省庁が、委託事業の成果物の活用や適正な事業執行が行われたかどうかを確認するためなどの必要性を的確に判断して文書等を取得することが適当であると考えております。
このため、政令等の文書管理ルール上の委託事業に係るもとデータの取り扱いにつきましては、これはそれぞれ、昨年の予算委員会でもありましたように、道路関係でBバイCについての委託の分がありました。かなり膨大なデータとなっておりますが、あるいは、そうでない、簡易なデータもあるんだろうと思います。
いずれにしましても、その取り扱いにつきましては、有識者で構成する公文書管理委員会の意見も伺いながら、そのあり方について今後検討していく必要があると思います。いろいろなケースがあります。
それから、先ほどの公文書の件ですが、私も、大蔵省にいましたときに財政演説の草稿をつくった立場でありますが、案件それぞれ、最終的にはそこでは財政演説が公文書になるわけでありますけれども、その前に、まず、私は企画官であったんですが、係長クラスから、パーツをそれぞれ割り振って、出させます。それを私が全部まとめてたたき台をつくる。それが課長のところに行って赤字がたくさん入る。局長のところに行って入る。さらには、あのときは渡辺美智雄大蔵大臣でしたが、大変な赤字が入りました。
だから、どれをもって意思決定の過程で、どこまでを公文書とするかというのは、かなり難しい問題であると思っております。
■西村(智)委員
難しい問題であるということは承知の上です。有識者会議の報告はもう既に出ているんですよ。有識者会議の最終報告を踏まえてこれからその取得データについては検討するというのは、どういうことですか。
今すぐここで、取得データについても、これは取得義務がある、行政文書の範囲に含めるというふうに副大臣がおっしゃってくだされば、それは入るんですよ。どうですか。答えてください。
■増原副大臣
委託事業につきましては、委託をすれば、そのデータは全部委託をした者の、要は行政庁のものになると思います。そのうちどこまでを公文書という形にしていくかという議論ではないでしょうか。そこのところはケース・バイ・ケースによっていろいろあるのではないかということから、公文書管理委員会の意見も伺って決めていきたい、こういうことであります。
■西村(智)委員
有識者会議の意見というのはこの最終報告に尽きているんですよ。
その有識者会議の最終報告の中で「経緯も含めた意思形成過程や事務・事業の実績を合理的に跡付けることができる文書が作成・保存されるようにする。」というふうに書いてあるんですよ。だから、そうすべきなんです。ですから、委託データ、調査結果のもとデータなども、これは取得義務を課すべきだというふうに強く主張をしたいと思います。
先ほどの長い答弁でちょっと時間が限られてきましたので、先に進みます。
その行政文書の定義でありますけれども、行政情報公開法と同一の定義であるということで説明を受けました。行政文書の定義では、「当該行政機関の職員が組織的に用いるもの」というふうにされておりますけれども、「組織的に用いる」というのはどういう意味でしょうか。
何か、政府の説明を聞いていても極めてあいまいでありまして、私は、個人的なメモであっても、例えば二人以上で回覧したもの、閲覧したものであれば、これは組織共用文書として行政文書の定義に加えるべきではないか、範囲に加えるべきではないかと考えますが、いかがですか。
■増原副大臣
個人的なメモの件でございますけれども、委員が言われている個人的なメモというのはどういうケースを言われているのかということになると思います。外交上の交渉の話なのか、各省折衝の話なのか、あるいは、ある国会議員から調査依頼が来たときにメモった話なのか、これはいろいろケースがあると思いますよ、先ほどの委託事業と同じでして。
それを、一体どこまで含めるようにすべきか。これは、意思形成にかかわってくる、そしてそれが組織的に使われるというものであれば、個人的なメモも行政文書に該当することは当然あり得る、そのように考えております。
■西村(智)委員
私の考えですと、先ほど副大臣がおっしゃられた三つとも、すべて組織共用文書に含まれることになると思います。
民主党は、この点についても、個人的なメモであっても、二人以上で回覧、閲覧したものについては、組織共用文書として行政文書の定義に含めるという考えであります。
ですので、その点についてはここでは明確な御答弁はいただけなかったのかなというふうには思いますけれども、ここのところは、今後の審議の過程でもまた明らかにしていきたいというふうに考えています。
次に、最終報告の五ページ、六ページ、文書ファイルの点について伺いたいと思います。
五ページのところになりますが、「一連の業務プロセスに係る文書が、その個々のプロセスごとに別のファイルに編集され、異なる保存期間で保存されるため、後から一連の業務プロセスの全体像を把握することが困難な場合がある。」というふうに書かれております。これについては、政府はどういうふうに認識しておられますか。有識者会議と同じ課題があるというふうに考えておられますか。
■増原副大臣
基本的には、有識者会議と同じような認識を持っております。
本法案につきましては第五条の方で、統一的な保存期間基準を定めた政令を策定することにいたしております。また、その有識者会議の最終報告におきましても、「業務遂行上の必要性に対応するとともに、一連の業務プロセスに係る文書の一覧性を高める観点から保存期間が設定されるようにする。」という方向性も示されております。
これを踏まえて、保存期間基準につきましては、業務遂行上の必要性、一連の業務プロセスに係る文書の一覧性の確保等の観点から、公文書管理委員会の御意見をお伺いしながら、今後検討してまいります。
■西村(智)委員
そこは非常に大きな問題だと思うんですね。
有識者会議が指摘している点は、「一連の業務プロセスに係る文書が、その個々のプロセスごとに別のファイルに編集され、異なる保存期間で保存されるため、後から一連の業務プロセスの全体像を把握することが困難な場合がある。」というふうに書いてあります。つまり、一つのファイルの中に、いわゆる決裁文書と意思形成過程に係る文書が一緒に保存されている。恐らくそれは、決裁文書と意思形成過程の文書ですから、保存期間が異なるということになると、一冊のファイルの中に異なる保存期間のものが含まれるということになるわけですね。ところが、法案の第五条の二項では、括弧書きで、「(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)」と書かれているんです。これは矛盾しますよね。
そういたしますと、先ほど私が読み上げた有識者会議の指摘の点というのは解消されないのではないかと思うんです。有識者会議の最終報告に忠実にこの法案をつくるのであるとすれば、この括弧書きの中は削除しなければならないというふうに考えるんですが、いかがですか。
■増原副大臣
西村委員御指摘の点につきまして、私も、法案を読んだときにあれっと思ったんですよ。正直申し上げまして、思いました。
それで、これはこういうことなんです。例えば、審議会の答申が出ました、こういうものは十年です、閣議決定なり閣議了解、そういうものは大体三十年と保存期間が定められておりますと。これをいかに一覧性のあるものにするかということが、実はベースにそういうものがあってこの五条二項があるというふうにお考えいただきたいと思います。審議会の答申を受けて政省令をつくります、閣議了解をしますというようなケースであれば、十年と三十年であれば、両者を一緒にして三十年にする、こういうことなんです。
保存期限というものを、一応それぞれの事項ごとに今つくっています。それを今度は一つの一覧性のあるものにしてまとめていくとき、その必要があるものという意味でこの五条二項が書かれておりまして、そういう意味で、まとめたときは全体を三十年として保存期間にする、こういう趣旨であります。「単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、」というふうになっておりますので、ここの括弧書きのところは、そういう意味をより強調している、こういうことでございます。
■西村(智)委員
それでしたら、国民にきちんと説明責任を果たすということにはならないのではないですか。保存期間の異なるものが一つのファイルの中にあって、十年のものと三十年のものがあったら、そのファイルの保存期間は三十年ということになるんですか。(増原副大臣「そうです」と呼ぶ)その間は利用できないということですか。ほかの文書については利用できないということですか。(増原副大臣「それはどういう意味ですか」と呼ぶ)閲覧できないのかという意味ですが。
■増原副大臣
保存期限でありますから、破棄しないということなんですね。閲覧できるかどうかというのはまた別の話でありまして、破棄しないということでありまして、従来は十年で破棄していたものを、これは意思決定の全体の一覧性を確保するために三十年にしておりますということで、破棄しないということであって、保存期限ですから、その点はちょっと御趣旨とは違うのかなと思います。
■西村(智)委員
それでしたら、次の点について伺います。
行政文書ファイルの管理簿についてでありますけれども、情報公開で情報公開請求をする場合に、ファイル管理簿の上での文書の名前のつけ方が極めてずさんであるために、これが役に立たないという指摘を受けておると思います。私たちでも、ヒアリングをする中でそういうお話を承りました。
ファイルの名前と管理簿上の名前を一致させておかなければ全く役に立たないというふうに考えておりますけれども、今後そういった問題が発生しないために、具体的に内閣府ではどういう対応を考えておられるのか、具体的な対応策をお答えください。
■増原副大臣
御指摘のようないろいろな問題につきまして我々も重々承知をいたしております。
したがいまして、今のような御指摘を踏まえまして、新たな公文書管理法のもとでは、国民へのわかりやすさを意識したファイル名の設定など、行政文書ファイル管理簿の記載方法につきまして、先ほど来申し上げておりますが、委員会の審議、調査も経ましてマニュアル等で定めてまいりたい、そのように考えております。国民によりわかりやすく、アクセスしやすいような形にしてまいりたい、そのように考えております。
■■西村(智)委員
またここから先も検討なんですね。具体的な問題がわかっておられるのに、また有識者会議の最終報告などを受けて検討ということでは、とても、政府の国民に対する説明責任を果たそうという姿勢が欠けているのではないかというふうに指摘をさせていただきたいと思います。
■増原副大臣
西村委員、それは違うんじゃないでしょうか。今現在そういったような問題がある、したがって、このたび新たな法律をつくって、きちっとしたものをつくっていこうということでありますから、ちょっとそれは委員の御指摘とは違うと思いますよ。
やはり、国民から見てわかりやすく、どのように持っていくかということですから、私が答弁申し上げたのは。国民の期待にこたえていないという御指摘は、ちょっとそれは私はいただけないと思います。
■西村(智)委員
先ほど来、今後検討しますという御答弁が非常に多いわけですよ、行政文書の定義についても。しかし、本来、有識者会議の最終報告がここまで出ていて、しかも法律案を出されているわけですから、できる限りこの法案の中で法定化をして、本当にこれで政府は説明責任を果たすんだという姿勢をもっと強く打ち出すべきであるというふうに私は考えているんです。ですから、そういう点から先ほどのことは申し上げました。これは副大臣にも御理解をいただきたいと思います。
次に、最終報告の九ページと十ページ目、移管と廃棄についての記載がございますので、その点について伺いたいと思います。
最終報告の中で、移管と廃棄については、「移管・廃棄基準の具体化・明確化を図り、移管基準に適合するものについては、原則移管とするとともに、公文書管理担当機関の判断を優先する仕組みを確立する。」というふうに記載をされています。
この点について、政府の認識はいかがでしょうか。
■増原副大臣
本法案につきましては、歴史資料として重要な公文書はすべて移管する、第五条五項及び第八条一項、これを明確に規定いたしております。
また、確実な移管、廃棄の措置を担保するために、あらかじめ移管または廃棄の措置の設定を行います。これは五条第五項です。
当該措置につきまして行政文書ファイル管理簿に記載され、これは第七条であります、定期的に内閣総理大臣への報告が行われるとともに、公表も行います、第九条。さらには、改正行政機関情報公開法第二十二条一項となっております。
さらに、この報告等によって移管、廃棄の設定に問題があると考えられる場合には、内閣総理大臣が実地調査や勧告を行い、改善を行っていく、第九条三項、第三十一条となっております。
これらの措置により、公文書管理担当機関の判断に沿った適正な移管、廃棄の措置が講じられるもの、そのように考えております。
■西村(智)委員
要約いたしますと、つまり政府案では、行政機関の長が政令で定めるところによって移管をして、それ以外のものは廃棄する、こういうことになっているわけですね。
有識者会議が求めていたのは、公文書管理担当機関の判断を優先する仕組みをつくるということであったはずです。ですので、そういったことからいたしましても、公文書担当機関、これは、担当大臣ないしは内閣府などに置いた場合は内閣総理大臣ということになるんだと思いますが、公文書管理担当機関がチェックする仕組みにすべきではないか。
私たち民主党の考えでは、当面、公文書管理については政治的なリーダーシップが必要だと考えますので、内閣総理大臣に移管、廃棄の最終責任を負ってもらうというふうに考えているんですけれども、政府案ではそのようなことは検討されなかったんでしょうか。なぜ公文書管理担当機関がチェックする仕組みにしなかったんでしょうか。
■増原副大臣
委員御指摘の公文書管理機関というのは、内閣府も入れば公文書館も入ればあるいは公文書管理委員会も入ります。ある意味では、関係省庁も全部入ります。政令できちっとルールを定めれば、これは各省庁ということではなくて、政府全体という形になってまいります。
毎年それをチェックしていく規定をこのたび入れております、先ほど申し上げましたように。内閣総理大臣への定期的な報告、さらにそれを受けて、もちろんそれも公表いたしますが、さらに実地調査や勧告、これを行うことにいたしておりますので、実質的にそれは担保できるというふうに考えたものであります。
■西村(智)委員
今のは大変苦しい答弁だったと思いますね。公文書管理担当機関というのが政府全体という説明は、今初めて私伺いました。公文書管理担当機関のあり方については、有識者会議の中でもこれといった結論は実は出ていません。
私たちもいろいろ考えました。公文書管理庁という独立した庁を置くか、それとも内閣府の中に局とか置くか、外局として置くか、担当大臣を置くか置かないかということまで含めていろいろ考えてきたんですけれども、これは政府全体で各行政機関の長で任せてきたから、今のように文書があるとかないとか、それから勝手に捨てられてしまったとか、保存期間前なのに捨てられた文書もありましたね、たくさん。こういった問題が起きているわけであって、だからこそ有識者会議は公文書管理担当機関がきちんとチェックする仕組みにしなさいよということを言っていたはずなんですよ。
そういったことからいたしますと、今の答弁というのは非常に理解に苦しむんですけれども、ですから、ここは私たちの主張としては、やはり内閣府の中にきちんと庁なりを置いて、最終的に総理が最終責任をとって移管、廃棄を行うという仕組みにすべきだ、この主張だけはさせていただきたいと思います。
次に、移管後の利用についてなんですけれども、これも有識者会議最終報告の十ページから十一ページで、こういうふうに書かれていますね。「一般の国民や海外からの利用がまだまだ十分とは言えない。」というふうに指摘をされております。
この点について伺いたいと思うんですけれども、一般の国民や海外からの利用がまだまだ十分ではないということからいたしますと、公文書というのは、国民共有の財産であるのと同時に、これからデジタルアーカイブということにもなってくるでしょうから、海外からのアクセスを容易にするということは必要だと思いますし、公文書管理において国際的な知見というのも大変貴重、重要だと思っております。
国際的には、既に、利用制限は原則として三十年を超えないといういわゆるマドリッド原則があるんですけれども、これをきちんと記載して、この移管後の利用促進というものを図るべきではないかというふうに考えます。この三十年原則を法定化することについての是非、法定化されておりませんけれども、法定化すべきであると私は考えておりますが、この点についての意見を伺います。
■増原副大臣
西村委員の御質問は二つあったと思います。一点は、要は、移管後の利用について、一般国民含め、海外も含めて、より強力に推進すべきではないかということと、マドリッド原則ですか、その三十年ルールというのをどのように考えておるか、日本もすべきではないか。二点あったと思います。
一点目につきましては、利用者にとっては行政手続法の関係規定が適用されるわけでありますので、利用制限に関する不服申し立て、取り消し訴訟といったような手当ても既に用意してございます。それから、海外の場合になりますと、どうしてもデジタルアーカイブズが非常に重要になってくるということでございますので、この点についてはしっかりこれからもやっていきたいというふうに考えております。これは法の第二十三条の方に位置づけております。
それから、国際ルールの三十年ということでありますが、先生御指摘の部分は、ICAのマドリッド大会、一九六八年の部分だと思いますが、文書閲覧開始まで三十年を超えないものとすべきであるとの勧告が出されておることは私どもも承知しておりますが、三十年たったら一律に全面公開するということは、それは必ずしも、実務的なケース、いろいろな各国のケースを見ても、そのようになっているわけではございません。
本法においては時の経過を踏まえる規定を置いておりまして、これによってこれからさらに積極的な公開を行っていきたい、そのように考えております。
ちなみに、ICAでありますが、これは、いわゆる国際機関というよりも、国際公文書館会議ですね。ですから、国連のもとにある国際機関というわけではありませんで、また、各国によってもその取り扱いはいろいろあるということを申し上げておきたいと思います。
■西村(智)委員
戦後の外交史を知る上で、私たち日本人が、日本で公開される日本の行政文書によって知るのではなく、アメリカで公開されるアメリカの行政文書によって知ることができるのはなぜかといえば、やはりここが違いなんだと思うんです。つまり、三十年原則というのをきちんと踏まえて、アメリカは、年月がたったからということで公開をする。しかし、日本は相も変わらず、やれいろいろな障害があるとかなんとか理由をつけて、なかなかそういった分野での情報というのは公開されていかないんですね。
ですから、このままでいけば、やはり政治的な意思といいますか、今回、公文書管理法ができるんだ、法案が出ているんだということをきっかけにして行政文書の情報公開を進めるんだという本当に強い意思がないと、この点はやはり前に進んでいかないんだと思うんですよ。
ですから、ここは私としては強く主張したいと思います。ぜひ、この三十年原則を踏まえて、より適切な公文書の管理と情報公開はやるべきだというふうに考えます。今の副大臣の答弁では、私は、正直言うと納得はしていないんですけれども、その点を主張させていただきます。
次に、同じく移管後の利用について、第十六条の関係で伺いたいと思います。
法案の第十六条では、「特定歴史公文書等」、つまり、行政文書の中から歴史公文書が選択をされて、その中から国立公文書館に移管されたものが特定歴史公文書等ということになるわけですけれども、その特定歴史公文書等の利用権について記載をされている。私は、「これを利用させなければならない。」という十六条の書きぶりは非常に評価をいたしております。
ただ、この一のハとニのところなんですけれども、政府案では、「公にすることにより、」ちょっと省略をいたしますけれども、「おそれがあると当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」はそこから除くことができるというふうに書かれているわけですね。
一方では利用原則、やはり国民に対する説明責任を果たさなければならないというふうに考え、利用原則というものを掲げていながら、一方で、こういうおそれがあるというふうに当該の行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報は利用できませんよというのは、ある種これは非常にきつい利用制限なのではないかというふうに考えるんですけれども、ここのところは改めるべきではないか。
つまり、行政機関の長がおそれがあるかどうかということを判断するという、その判断の主体は削除すべきではないかというふうに考えていますが、いかがでしょうか。
■増原副大臣
要は、その「相当の理由」に全部尽きるんだろうと私は思っておりますが、外交文書あるいはいろいろなジャンルの文書によっていろいろ違いは出てくるんだろうと思いますけれども、できるだけそういうものはやはり制約すべきではないかと私は思っております。
そして、先ほどもいろいろありましたけれども、要は、有識者会議の報告でも、合理的な理由とか、ある意味ではそういう一般論、抽象論がついている。そこのところをより具体的にどう落としていくかということではないかと思っております。
特に、外交とか犯罪とか、将来予測等の専門的、技術的な判断、こういったものが必要になってくるということになりますと、やはり現在の情報公開法と同様に、これらに知見のある行政機関の長の第一義的な判断を重視するという規定ぶりとしたところであります。
■西村(智)委員
おそれがあるものはあるでしょう。それは私も認めます。例えば警察あるいは外務省の情報、防衛省の情報、出せないものもあると思います。
しかし、それを判断する主体がなぜその当該の行政機関の長なのか。別の主体が判断してもいいと私は思うんですね。当然のこと、担当の行政機関から意見は聴取はしますよ。意見は聴取しつつ、だけれども、判断を主体的に行うのは、その行政機関の長ではなくて、別の機関が行う。それは、公文書管理委員会というものに意見を聞いてもいいでしょうし、また、その担当課などが意見を聴取して、判断するという手段もあると思いますけれども、ここのところは、やはりここのところを削除しないと、一方で利用原則があるのにその利用を制限するという、何といいますか、冷房と暖房を一緒につけるような、そういうような極めておかしな話になっているわけですから、ここのところは改めるべきだと思います。
次に、先に進みますが、統一的管理について伺いたいと思います。
これも最終報告の中でありますけれども、十二ページから十三ページにかけて、「統一的管理の推進」と記載をされています。その中で、「公文書管理担当機関が、基準の設定・チェック等により適切に関与する仕組みとする。」というふうに記載をされているのと同時に、「保存期間満了時の移管・廃棄の扱いについて、公文書管理担当機関が定める統一的基準に基づき一次的な評価・選別を行う、」となっております。政府としては、この点、どういうふうにお考えでしょうか。
つまり、文書管理の際の基準の設定について、行政機関の長が定めることが望ましいとお考えか、それとも、公文書管理担当機関が統一的に定めることが望ましいか、これはどちらと政府は認識しておられるのですか。
■増原副大臣
私ども、本法案では行政文書に関する統一的な管理ルール、作成は四条、整理が五条、保存が六条、それから行政文書ファイル管理簿は第七条であります、移管または廃棄は第八条でございますが、これについての具体的なルールについては政令で定めるということになっております。当然のことながら、これは内閣府が主導して統一的な基準をつくってやりますということであります。
その上で、各省庁の行政文書管理規則、いわゆる省令になると思いますが、「行政文書の管理が第四条から前条までの規定に基づき適正に行われることを確保するため、行政文書の管理に関する定め」、いわゆる行政文書管理規則、これを設けなければならないと第十条一項で規定しております。したがいまして、その統一ルールの範囲内で各省庁が定めるということになっておるものでございます。
■西村(智)委員
私の質問は、基準は行政機関の長が定めるのが望ましいと思うか、それとも統一的な基準として公文書管理担当機関が定めることが望ましいか、どちらですかと伺ったんですよ。どちらですか。
■増原副大臣
これは、先ほど申し上げましたように、政令をつくるときも、当然のことながら公文書管理委員会の方に諮問をして、そこできちっと協議をし、そしてそれをもとに政令を作成していくということになるわけでありまして、内閣府も今先生御指摘の公文書管理機関でありますし、公文書管理委員会、これも公文書管理機関ということになっておるわけでありまして、そこのところはどれがどれというわけではない、私どもの案は。広義でいえば、それは公文書管理機関であります。先ほど私が申し上げたところであります。
そういう意味で、西村委員の御指摘、非常に、何か別の公文書管理庁というようなものがあって、そこだけが専権的に公文書を管理している公文書管理機関であるというふうに定義づければ、今の西村先生のような頭の整理になるのかもしれませんが、我々としては、先ほど来申し上げているように、内閣府が主導して公文書管理委員会に諮問をして、その意見を聞いて、内閣全体として政令を定めていく、統一ルールは政令のレベルで定める。そして、各省庁それぞれ特別なこともあると思いますが、この規則、今度は省令でそれをさらに裏打ちしたものをその統一ルールの範囲内でつくっていく、このような構成にいたしております。
■西村(智)委員
民主党は、この点については、行政文書管理規則は、今回は内閣総理大臣が責任を持って、しかも、各行政機関に今までのように、そして政府案のようにお任せをする形ではなくて、内閣府令という形で横ぐしをより強力に刺す。今までそれはできてこなかったわけですから、今回、公文書管理法案が提出されたのに合わせて、やはりここはもう少し強力に横ぐしを刺していく。ですから、内閣府令で定める必要があるのではないかと考えております。
ここもこの法案の非常に重要なポイントの一つであります。この点について、もう一回副大臣に見解を伺いたいと思います。先ほど私は、どっちが望ましいと思いますかと伺ったんですよ。政府案の説明は十分、もう二回も聞きましたので、理解をいたしました。どちらがつくるのが望ましいというふうにお考えですか。
■増原副大臣
こういう場で個人的見解を申し上げるのはなかなか難しいのでありますが、要は、やはり、このたびの法案で関係省庁も非常にその責務をきつくいたしております。また、内閣府、内閣総理大臣、それとの、調査や勧告や、そういった行き来もある。かなり全体を厳しくしている状況であります。そういうときに、私どもが提案しているのは、一つの統一的なルールを政令でつくって、あと、各省庁個別事情があると思います、外務省、防衛省、あるいは国家公安委員会とかあると思います、そういうところはそういうところで、今度はそれぞれの特色を加味したものをつくっていくというふうになるんだと思うんです。
先生御指摘のように、政令だけではなくて省令も府令も全部内閣府で一たんつくって、あと、関係省庁がそれ以外のものをつくりたいのであれば個別に協議に来なさいというふうなことになるのかな、先生の御意見ですと。多分そういうことになるんだと思うんですけれども、当然、その場合も公文書管理委員会の意見を全部聞いてやっていくことになると思うんです。
我々は今この法案を出しております。個人的には、どちらがより整合的であるかどうか、ちょっと考えなくてはいかぬところもあると思いますが、ぜひ私どもの現在の立場を御理解賜ればと思う次第でございます。
■西村(智)委員
非常に誠意のある御答弁ありがとうございました。ぜひ、できれば一緒にその点についてはこれからも議論させていただければなというふうに考えております。
行政文書の管理規則について、今度はIT化に向けた方策の関連で伺いたいと思います。
最終報告の十七ページに、「IT化への対応」ということで、「公文書管理担当機関は、紙文書と電子文書を通じた統一的な基準を定める」というふうに書かれているんですけれども、これも行政機関の長に任せることになるのでしょうか。私はやはり、統一ですから、内閣でやるべきではないかというふうに考えております。
この点が第一点と、あわせて次の質問を一緒に伺いますが、実は著作権法の関係です。
IT化については、この後、逢坂委員の方からも質問があると思いますけれども、デジタルアーカイブがこれから進展していきますと、著作権の問題が発生してくると思うんですね。つまり、著作権が発生するものが出てくる。一方で、これは国立公文書館に移管されているわけですから、特定歴史公文書等として扱われるとなりますと、この扱いをどうするかというのは極めて難しい問題になってくるのではないかと思います。これは、ですから、その説明責任ということ、利用原則というものを考えたときには、公文書として優先されることになるのかなというふうに考えるんですけれども、この点についてはどのように検討されておられますか。
■増原副大臣
前者の点につきましては、これから我々は十分、内閣府としまして、全体を統制と言ってはおかしいですけれども、調整していく上では、ある程度積極的に意見を申し上げていきたい。さらには、恐らく受けることになると思います、公文書管理委員会がございますので。当然、内閣総理大臣の調査やあるいは勧告という権限もあるわけですから、そういうものを利用して充実を図っていきたいということであります。
後者の点につきましては、いわゆる例外的なケースとしまして、特定歴史公文書等に著作物が含まれていた場合でありますが、当該著作物についてのみ、それらの複製権とか公衆送信権との関係が論点になり得るというふうに考えております。これは著作権法の第二十一条、二十三条あたりであります。この取り扱いにつきましては、これから関係省庁とも十分よく相談していかなくてはいけない、こういう事項でありますが、方向性としては、できるだけ前向きに持っていくべきであるというふうに考えております。
■西村(智)委員
ありがとうございます。
次に、最終報告の二十ページ、先ほどからも出ておりました公文書管理担当機関のあり方についてであります。有識者会議は、この公文書管理担当機関に、いわば司令塔としての役割を果たせというふうに言っているんですね。
では、政府案としては、この公文書管理担当機関の役割や機能などの強化についてどういうふうにお考えになっておられるのか、司令塔としての役割を担うに足る組織形態や機能、権限の付与のされ方となるのかどうか、なっているのかどうか、そこを伺います。
■増原副大臣
行政全体の司令塔という意味では、今参議院で審議をいただいております消費者庁の設置というのがございまして、これは二百人余りで司令塔的機能を果たすというので、いろいろ、各党の御理解を得ながら、今その審議をしていただいております。
本件についてもそのような御意見を民主党の方々がお持ちであるということは我々も聞いておりますが、公文書管理担当機関のあり方につきましては、ライフサイクルを通じた統一的な、かつ効率的な文書管理を実現するため、ここがポイントだと思いますが、本法案では、政府における公文書管理に関する事務を内閣府に一元化しておる、そういうことにいたしております。
また、国立公文書館が行政文書を含む歴史公文書等の保存に関し専門的な知識を持っておりますので、その助言を行えるようにすること、これが国立公文書館法の第十一条、これもあわせ改正することにいたしておりますけれども、あるいは内閣総理大臣が国立公文書館に実地調査等を行わせることができるようにする、内閣総理大臣の調査権を国立公文書館に委託しましてそれを行うということでございますが、そういうことをするなど、内閣府が国立公文書館と連携して、その専門的な知見を生かしながら公文書管理に当たる、そういう意味ではいわゆる司令塔ということになっております。
■西村(智)委員
聞くところによりますと、内閣府の中に置かれるのは担当部局、いわゆる課レベルだというふうに聞いておりますし、また、先ほど国立公文書館の知見を生かしてというふうにおっしゃいましたが、国立公文書館の職員は、今、四十二名ですよね。他の国の公文書館の例えば数百人規模とか数千人規模とかいうのからいたしますと、これで本当に日本の公文書管理はできるのかというような、大変情けない状況なんです。
ここのところは私たちも、やはり専門職の養成、育成は非常に大事だと考えておりまして、そこは目標数値などをきちんと入れて進めていくべきだと考えておりますし、また、あわせて、本来だったら私たちはやはり公文書管理庁というのを目指していくべきだと思いますが、同時に、その行政機関の中で仕事をする職員一人一人に対する研修、これはきちんと行う必要があると考えております。しかし、今回の法案の中にはそういったことは何も書かれていないのは不満なんですけれども、そういうふうに考えております。
もう一つ、この有識者会議の中で、公文書管理担当機関に関連して、組織のあり方として、国立公文書館を現在の独法形式から特別の法人とすべきであると。つまり、今も国会や裁判所などの記録は移管できるということになっておりますけれども、この移管は進んでいません。ですから、特別の法人として、そのような政府とのいろいろな連携、そしてまた、司法府、立法府からの文書の移管ということをよりスムーズに進めるために特別の法人にするということについて最終報告の中でも提起をされているわけですけれども、この点について政府としてはどうお考えですか。
■増原副大臣
御質問は二つあったと思います。
一つは、その体制が十分であるかどうか。これは消費者庁の場合もいろいろ議論になりまして、いろいろな御意見があったと思います。この行財政改革を非常に厳しくやっているときにどうかという議論もありますが、私はやはり、今の体制は極めて、必要最小限にすぎないといいましょうか、これからもう少しこういった分野について強化をしていかなくてはいけない、そういう分野だというふうに思っております。
それから、特別の法人でありますが、あの有識者会議の報告では恐らく、恐らくというよりも、行政の公文書だけではなくて、立法府そして司法府、これも入れた全体、国民から見ればもちろんその方がいいんだと思います。一覧性がある、そこに行けば、アプローチすれば全部そこで見られる、こういうことを前提にしたものをつくれという御趣旨なんだろうと思います。
そうした中にあって、我々もいろいろやってまいりましたけれども、政府側としましては、立法府、司法府からの文書の移管に関する協議機関の設置の是非につきましては、それぞれ立法府、司法府の事情や判断もあることから、三権分立の観点から見て、内閣の提出法案の中に、協議機関を設置し両府の参画を義務づける、この規定を入れるということは難しかったということでございます。
それぞれ独立の三権分立になっておりますので、このために、本法案では立法府、司法府との間の協議機関を法定することはしなかったこと、その結果として、特別の法人ではなく独立行政法人になったというところでございまして、御指摘の点、我々も十分わかっておりますので、引き続き、これからもいろいろ立法府、司法府との協議も続けてまいりたい、そのように考えております。
■西村(智)委員
時間からすると最後の質問になるかと思いますけれども、十年前の行政情報公開法が施行されたとき、実は、行政情報公開法の施行目前に霞が関から大量の文書が廃棄されたということが市民団体の調査などによってもわかっております。物すごい、何倍にも膨れ上がっているんですよね、その数字、トン数で見ましたら。こういったことが今回も起きないようにという願いを持って質問をさせていただきたいと思います。
上川前担当大臣が、平成二十年の三月の時点で、有識者会議の議論を行っている間、当分の間は、保有する行政文書の廃棄を一たん中止していただきますようお願いしますと、これは閣僚懇談会において発言をされておられます。
小渕現大臣は、平成二十年の十一月に、この最終報告がまとまったことに関連して、「今後の行政文書の管理に関する取組について」ということで、「行政文書・公文書等の管理・保存に関する関係省庁連絡会議申合せ」ですか、ここにおいてペーパーを出されておられるようでありますけれども、これがどう担保されているのか。これは適正に、行政文書の作成について、保存期間の設定について、保存場所について、あるいは延長、移管または廃棄についてということで、事細かく各省庁にお願いをされておられますけれども、これが本当に担保されているのかどうかということについてはどう確認をされるのでしょうか。
ここで、ぜひ大臣からは断言をしていただきたいんです。情報公開法の施行前のように、霞が関からあんなに大量に、一気に文書が消えるようなことは、私の責任においてありません、しませんということをぜひ言っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
■小渕国務大臣
御指摘のように、昨年の十一月に閣僚懇談会におきまして、この有識者会議の報告を踏まえて法案化の作業を進めていくということ、そして、法制化を待たずに取り組めるものについては、各府省の移管、廃棄の判断に関しては速やかに対応していただきたいということ、また、職員の意識改革、積極的な文書の移管の協力要請などにつきまして発言をさせていただきました。
これを受けまして、十一月の二十五日に関係省庁の連絡会議が開催され、「今後の行政文書の管理に関する取組について」の申し合わせが行われました。
そして、現在、各府省では、この申し合わせに基づき、行政文書の作成から移管、廃棄に至るライフサイクルに沿った文書管理の徹底の取り組みを進めておるところであります。
また、この申し合わせにつきましては、その取り組み状況について毎年度内閣官房が調査を行い、結果を公表することとなっておりまして、現在、昨年度の状況について調査、集計を行っているところであります。この結果がまとまり次第公表をさせていただきますが、大体本年の七月中を目途に公表できるように作業を進めておるところであります。
委員が御指摘のように、前回の轍を踏まないように、今回の法律整備前にそのような廃棄が行われることのないように、徹底して関係省庁に発言してまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
最後に、今回の公文書管理法の制定プロセスというのも、私は、これは後世に残す極めて貴重な資料としていろいろ残していくべきだろうと思います。きのうファクスで送っていただいたこの文書、上川前大臣の閣僚懇談会での発言、そして小渕現大臣の閣僚懇談会での発言等も、これも貴重な発言でありますので行政文書として定義されるべきものだと思いますけれども、その点について一点伺います。
二点目は、これからつくられる政令、そしてさまざまな規則の制定過程も、きちんと後から合理的に裏づけできるように、まさに他の省庁のお手本になるようなファイル作成、そして管理、公開というような、まさに他の省庁のお手本になるような取り組みを進めていただきたいと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
■小渕国務大臣
委員の御指摘は、まさにもっともなお話であるかと思います。
この法律の趣旨というものは、その意思決定の過程をしっかりと行政文書として適切に作成、管理をしていくということでありますので、この法律につきましての意思決定過程もしっかりと文書として管理をしていきたい、そして、委員の御指摘のように、各省庁の今後のモデルケースとなるように努めてまいりたいと考えております。(西村(智)委員「これはどうですか、閣僚懇談会」と呼ぶ)それも含めてしっかりと管理をしていきたいと考えております。
■西村(智)委員
時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。