■西村(智)委員
民主党の西村智奈美です。
特区法の改正案について質問をさせていただきたいと思います。
今回の特区法と市場化テスト法の改正案で、私は、主に社会教育機関の施設の整備と管理の権限移譲の点について質問したいと思いますけれども、まず、事実関係の確認から先にさせていただきたいと思います。
社会教育機関の施設の管理と整備の権限の移譲ということの提案については、早いところですと第九次の提案から上がっていたというふうに聞いております。第九次といいますと平成十八年になりますけれども、これまでの、特区の提案から認定といいますか法改正に至るまでは、大体今までは数カ月というペースで行われていたというふうに聞いていますけれども、今回これが、平成十八年に初めて提案があったところから平成二十年の決定まで時間がかかったという、その理由についてまずは伺いたいと思います。
■惣脇政府参考人(文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)
社会教育に関する特区要望につきましては、御指摘のとおり七件ほど出てきているわけでございます。このうちには、社会教育に関する事務全体を首長に移譲するという特区要望が含まれているわけでございます。そういうことがございましたので、中央教育審議会におきまして検討をすることといたしたわけでございます。
中央教育審議会では十九年の六月から審議を開始いたしておりまして、昨年、平成二十年の二月に「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」という包括的な答申が出されたわけでございます。その中で、社会教育に関する事務につきましては教育委員会が所管することが適当であるという答申になっておりますが、その中でも、社会教育機関の施設の管理及び整備に関しましては、学校施設と同様に特区における対応を検討する必要がある、こういう旨の提言がなされたわけでございます。
この答申を踏まえまして、昨年の十月に、第十三次の特区提案に対する政府の対応方針が決まりましたので、今回の法改正を行うこととした、こういうことでございます。
■西村(智)委員
社会教育の事務についての提案も含まれていたので中教審の審議を行っていただいた、その答申を待っていたということの答弁でしたけれども、これは私は、中教審の答申を実は待つまでもないものであったのではないかというふうに考えるんです。つまり、社会教育の政治的中立性の要請は、これはもう言うまでもなく認められているところでありますし、社会教育関連法の審議の中でもそのことは恐らく議論があったんだと思います。ですので、中教審の答申を待つまでもなかったのではないかと思いますが、文科省がそこまで慎重になられたというのでありますから、それはそれで経過として認めましょう。
認めた上で、それでは、その政治的中立性ということについて伺いたいんですけれども、今回の特区法であります。第二十九条の条文で、これは学校教育施設の管理それから整備の権限と条文的には同じですけれども、このように記載をされています。「教育活動の適切な実施に支障を及ぼすおそれがないと認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたとき」、こういうふうに書かれているわけでありますけれども、ちょっと条文の意味の確認をしたいと思います。
この「教育活動の適切な実施に支障を及ぼすおそれがない」というのは、これはどういう意味でしょうか。
■惣脇政府参考人
社会教育につきましては、これは、学校または家庭において行われる教育を除いて、広く社会において行われる教育を指すということでございますが、このような社会教育につきまして、近年、人々の学習需要が高まっており、その内容が多様化、高度化しているということとともに、個人の要望や社会の要請にこたえるということがございます。このような幅広い要請に公平中立に対応していくことが必要ということであるというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
ちょっと聞きたかったことと違うんですけれども。
つまり、ここの社会教育機関における「教育活動の適切な実施に支障を及ぼすおそれがない」というのは、これは政治的中立性を含むというふうに解釈してよろしいんでしょうか。また、そのおそれがあるかどうかというのを判断する主体はだれになるんですか。
■惣脇政府参考人
具体的には、「教育活動の適切な実施に支障を及ぼすおそれがない」ということにつきましては、地方公共団体の実情に照らして認定をするということになると考えております。
■西村(智)委員
それはどなたが判断するんですか。この条文では「内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたとき」、このように書かれているわけですけれども、地方自治体が支障がないと判断して、それで申請して、国が最終的な判断をする、こういうことですか。
そうしますと、最終的な責任はどこが負うことになるのでしょうか。判断の責任。
■惣脇政府参考人
まず、当該地方公共団体において、社会教育施設における「教育活動の適切な実施に支障を及ぼすおそれがない」という判断をしていただいて、申請していただくわけでございますが、その申請を受けて特区として認定するかどうかにつきましては、内閣総理大臣が判断をするということになります。
■西村(智)委員
最終的な判断権限者はだれかということの答弁がありませんでした。
自治体が支障がないと判断して申請をする、最終的に国が判断する。これは、では最終的には国が判断するということになる、そういう確認をさせていただいてよろしいんでしょうか。
■惣脇政府参考人
そういう条件で特区を認定するということでございますので、そういうことでございます。
■西村(智)委員
その第二十九条の二に、「地方公共団体の長は、」その「規則で定めるところにより、あらかじめ、当該地方公共団体の教育委員会の意見を聴かなければならない。」と記載されております。
これはよく言われることですけれども、「聴かなければならない。」と書いてあって、結局意見を聞きっ放しになるのではないか、こういう懸念があるんですけれども、これについてはどうお答えになりますか。
■惣脇政府参考人
社会教育機関の施設の建物の管理及び整備につきましても、その機関における教育活動と密接な関連を有するものがございますので、そのものにつきましてはあらかじめ教育委員会の意見を聞くということで、その旨の調整が図られるようにするということでございます。
■西村(智)委員
いや、だから、「意見を聴かなければならない。」ということで、そういう旨の調整が行われることになっておりますと、どこにどう書いてあるんですか。聞きっ放しになってもいいということですか。
■惣脇政府参考人
意見を聴取するということである以上、それに対応した調整をしていただきたいということでございます。法律上、確かに、同意を得るということまでは要件にはなってございません。
■西村(智)委員
この程度の書き方でいいのかなと思います。
それでは、こんなところで足踏みしているわけにもいきませんので先に進めますが、率直に伺います。この特区法の改正によって、社会教育に限って申し上げたいんですけれども、社会教育にどういうよい効果、どういうよい影響を期待できるのでしょうか。
■惣脇政府参考人
今回の特区の対象は、施設、建物の管理、整備ということでございますので、建物の整備につきまして、地域における総合的な視野を持った地方公共団体の長の明確な責任のもとに、公共施設全体の整備方針や計画を策定し、従来よりも総合的かつ計画的に社会教育機関の施設と公共施設の整備を進めることが可能になるというふうに考えております。
具体的な例を申し上げますと、例えば、耐震化事業でありますとかバリアフリー化などにつきまして、地方公共団体として計画的に整備するのに資するのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
建物の運営、建物の管理については、それは多少メリットはあるかもしれませんね。
ですけれども、私が今伺ったのは、社会教育の前進、社会教育の進展にとってどういう効果が期待できるのかということを聞いたわけです。きのうもレクで申し上げましたけれども、社会教育というのは、何も建物がするんじゃなくて人がするわけですよね。その社会教育に携わる人々がより社会教育を前進させることができるような、そういう環境になるとすれば、それは社会教育にとって大変効果があるというふうに判断できるんですけれども、今の御答弁ですと、建物の維持管理のみですということだというふうに受けとめたいと思います。
続けて、質問は、この提案は、実は既に多くの地方自治体が、地方自治法百八十条の七という規定を使って、補助執行ないし事務委任という形で実行している自治体があります。特区法によって、そのまま管理権限を移すことを今回は提案しているわけですけれども、言ってみれば、実質的に、地方自治法百八十条の七で、補助執行や委任事務、これが可能ですよね。実際にどのくらいの自治体がこの地方自治法百八十条の七を使っていますか。
■惣脇政府参考人
社会教育に関する事務の一部を首長部局で執行している教育委員会の数でございますが、まず事務委任の方につきましては、都道府県・指定都市が三、指定都市を除く市町村が二十でございます。
それから、補助執行によってこういう事務を行っている自治体でございますが、都道府県・指定都市にありましては六、指定都市を除く市町村にありましては三十八でございます。
■西村(智)委員
何かきのう聞いた数字と違うんですけれども、そうすると、今の答弁だと大体七十くらいの自治体でということになりますか、そうですね。そのくらいの自治体で、実際に、現行においても、地方自治法の百八十条の七によって社会教育機関の施設の管理や整備を行っているところがある。
実際に、内閣府の方から文科省に対して問い合わせがあったときに、文科省の方から二度にわたってそのことを回答していますね。地方自治法百八十条の七で、補助執行ないしは事務委任が可能ですというふうに答えておられるんです。現行法の中でも可能であるわけなんですけれども、特区法でこれをわざわざカバーすることの意義というのは、どういうふうに説明していただけるのでしょうか。特区法のそもそもの趣旨は、法律でカバーできないところ、それを特例的に何とかしようということが趣旨だったと承知しておりますけれども、その理由について伺いたいと思います。
■惣脇政府参考人
御指摘のとおり、地方自治法に定める補助執行ないし事務委任によりまして、教育委員会の事務の一部につきまして首長の部局で執行することができるわけでございますけれども、これはあくまでも首長部局の職員等に対して委任ないし補助執行ということでございまして、権限自体が教育委員会から首長に移るわけではないわけでございます。
今回の特区法の改正によりますれば、権限自体が首長に移るということから、より一層、総合的かつ計画的な整備などにつきまして迅速な事務処理が可能になる、こういうふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
迅速な事務処理が可能になるということではありますけれども、もう既に地方自治体で、それこそ苦労して、条例などをつくってやっているところはあるわけですよね。そういったところに、特区法でおっかぶせて持ってくるというのは、私は、特区法の趣旨からしてもおかしいんじゃないかな、ちょっと合わないところはあるのではないかなというふうに考えているんです。
これは、どなたにお答えをいただけばいいのかわかりませんけれども、今回の特区法で、社会教育機関の管理それから整備の権限を首長部局に移すことが可能になるということでありますけれども、これによって、実際に手を挙げてくる自治体というのはどのくらいあると見込んでおられるのでしょうか。
■惣脇政府参考人
先ほど御答弁申し上げましたように、社会教育全体も含めた特区提案につきましては七件ほど上がってきたわけでございますが、このうち二件につきましては、施設につきましてその権限の移譲の提案であったということでございますので、幾つか申請が上がってくるものと考えております。
■西村(智)委員
まあ幾つかは上がってくるでしょう。それは実際に提案を出しているところが二つあるわけですから。
ただ、二つのところの自治体も、もしかしたら地方自治法の百八十条の七でできるということを、もしかしたらですよ、これはわかりませんけれども、御存じないかもしれませんよね。本当に的確な情報が伝わっていれば、提案はもしかしたら上がってこなかったかもしれないとも思います。
また、公民館の施設が全国で今約一万七千ですか、そのうちどのくらいの数のものが上がってくるかわかりませんけれども、学校施設の管理及び整備に関する事務、これが同じく特区法によって首長部局にも移管できますというふうになってからもう既に二年近くはたっているのでしょうか、この間どのくらいの活用があったのか伺いますし、それを踏まえて、あわせて、もう一度、この社会教育施設の管理監督に関する権限移譲がどのくらい上がってくると想定しているのか、その見込みを伺いたいと思います。
■惣脇政府参考人
学校施設に関する特区につきましては現時点ではまだ実例がないわけでございますが、この点につきましては、特区制度を活用するかどうかは、地域の実情に応じて地方公共団体が判断するというものでございます。
しかしながら、今回、社会教育についてもあわせて権限移譲が可能になりますれば、学校施設と社会教育施設もあわせて、さらにそのほかの公の施設との一体的な利用でありますとか、先ほど申し上げました耐震化などの総合的な整備の検討が促進されるものというふうに考えているところでございます。
ちなみに、社会教育施設につきましては、首長部局との複合化につきましては、例えば公民館であれば約一七%、図書館の場合は約三二%が複合施設になってございますので、このような場合に、耐震化やバリアフリー化のための整備の観点からの活用ということも考えられるのではないか、このように考えております。
■西村(智)委員
学校教育施設の今のところの活用は実績はない、複合施設となっているところがあるのでそこから上がってくるのを期待している、このような非常に漠とした見通しでこの特区法の改正を図っていくという段階なわけです。
これは恐らく大臣に伺うことになるのではないかと思いますけれども、そもそもこの特区法の制定当時の趣旨は、特区を導入することによって、地域の特性に応じた規制の特例措置の適用を受けて、その事業を実施またはそれを促進することによって、経済社会の構造改革を推進するとともに当該地域の活性化を図り、国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与するというのがこの特区法の制定当時の、本来の趣旨であったと思います。
そこで伺うんですけれども、今回、社会教育機関の施設の管理、整備の権限を首長部局に移すことが可能になるということによって、地域経済の活性化にどうしてつながるのか。そのつながることの根拠を教えていただきたいと思います。
■鳩山国務大臣
特区法の第一条、「経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与すること」となっておりまして、法律の目的でございますので、かなり大きく出ているところがあるだろう。これは書き方の問題で、そういう傾向があるんだろうと思っております。
構造改革特区制度というのは、もう何度も御答弁申し上げておりますように、地域発の創意工夫、これを何とか生かしていこう、そして、その結果地域が活性化する、地域が活性化するということは経済的にもプラスだ、こういう判断をいたしております。
今回の特例措置のメリットとしては、より全体的な視野で公共施設の整備が検討できる、あるいは日常的な管理責任や維持管理経費を区分する煩雑さがなくなる、施設の設計、計画の権限と、予算編成、執行の権限とが一致して、耐震改修など計画的に推進できる、こういうことになっておりまして、社会教育施設と首長所管の公の施設との一体的な整備、管理が促進されるということだろうと思っております。
また、千代田区から出ております希望というのは、多分、千代田区役所と図書館と一体のビルでつくりたい、こういうことなんだろう。
こう思うわけでございまして、基本的には、地域の活性化ということが経済の伸展、発展につながるというふうに解釈をするところでございます。
ただ、率直に申し上げて、先ほど大畠先生からも、何だ、随分けちくさい内容だなというふうに御指摘があったけれども、私は、もちろん、総務大臣になり内閣府特命担当大臣になって、何だ、こんなことまだやっていなかったのかというのが率直な印象です。もうとっくにできていて当たり前だったのではないかなというふうに、政府の一員としては反省しなければならない。
それから、ちょっと気になりますのは社会教育施設という言い方で、例えば図書館、博物館等も公民館もとらえているんだと思いますが、少なくとも、文部科学省になる、文部省時点において、社会教育局を廃止して生涯学習局にしたはずだ。社会教育と生涯学習というのは同じか違うかといえば、ダブっていて、若干お互いはみ出す部分もあるかもしれないけれども、社会教育局が生涯学習局になった意味は大きいんです。
社会教育というのはいかにも教えてやるという印象、生涯学習は自発的に学びますという、その概念、主体の変換というのは非常に大きいと思って、図書館とか公民館とか、あるいは博物館というのは、特別な先生が来て地域の住民を集めて教え込む機関ではない、むしろ住民が自発的に学習する場だと思いますので、そろそろ社会教育施設という言葉が古臭くなっているのではないかな、むしろこれも全面的に生涯学習と書きかえるぐらいのことがあってもいいのではないか、そう思います。
■西村(智)委員
私は、生涯学習と社会教育というのはまだやはり違うと思うんですね。まだというか、ますます違ってくると思うんです。
社会教育というのは、住民が自発的に、それこそ自主的な学習活動を地域で、あらゆる場所で行うという趣旨であって、生涯学習というのは、言ってみれば趣味的なものとかそういったものを、カルチャーセンターと言ってはなんですが、そういう場として学ぶということで、これは、先ほど文科の政府参考人が述べられたんですけれども、中教審の答申の中でもそれは実は明確に分けてあるんですね、生涯学習と社会教育は違いますと。
社会教育というのは、これは大変釈迦に説法になりますけれども、教育基本法ができて、言ってみればその社会版ということで社会教育関連法、社会教育法などができてきて、要するに、自発的な、自立した学び、それを確保するということが戦後の法律制定の趣旨でありますので、私は、そこはやはり分けて考えていただきたいと思うんです。
その上で、しかし誠実に御答弁いただいたことには感謝をいたしますし、また、この手の問題、特区法でこれを今までやってこなかったのか、大変ちっちゃい話だなという大臣の御見解については私も……(発言する者あり)大畠さんですか。私も同意をいたすんです。
それで、改めて、この特区法について、ちょっと、やはり私は考え直す時期ではないかなというふうに思うんです。
特区法と今まで掲げてきて、第十何次までか提案が参りました。前回締め切られた第十四次の提案実現はゼロ件だったということを聞いておりますし、目的が地域経済の活性化ということであったのに、先ほど大臣は大変苦しい答弁をされておられましたけれども、要するに、社会教育機関の施設管理を首長部局に移管して、ひいては地域経済が活性化すると、余りそういうふうに考える方はいらっしゃらないと思うんですね。ですので、ここはやはり、特区法のあり方そのもの、特区法の目的そのものをこれからも維持していくのかどうかということを政治判断するべきときに入ってきているのではないかと思うんです。
大臣はこの点いかがお考えでしょうか。
■鳩山国務大臣
生涯学習と社会教育については大変いいことを教えていただいて、私も文部大臣をやったのが十六年ぐらい前なもので大分古びてきておりますので、そういった意味では、新しい知識を教えていただいて大変ありがとうございます。
当然、特区法も、最初は提案も多いし希望も多いし、それは、種切れと言ってはいけませんけれども、やはり思いつく事柄もだんだん減ってきているというのは事実だろうと思うわけでございます。
ただ、先ほど大畠先生から御提案があった、いわば水素特区、それは炭素社会から水素社会へという、地球環境問題解決の最大のキーワードだと思いますけれども、そういう、それこそ人類を救うことができるような先進的な特区というのもまだあり得るかもしれないし、そういった意味では、特区制度の役割というのはまだまだあると思っております。それが地方自治で、地方分権で、地方の創意工夫だからさまざまなものがあるのは事実でございますが、今後の特区制度のあり方というものを中期的に考えるとするならば、これは、それこそ与野党の壁を超えて話し合ってよりよい制度に変えていくということもあってもいいというふうに思います。
■西村(智)委員
地域はやはりそれぞれの抜本的な経済対策などはもちろん打っていきたいんだと思います。打っていきたいけれども、権限も財源も限られているということで、私は、特区法の提案が最近どうも小粒になっていることを見ても、やはり自治体が創意工夫をしにくい状況がずっと続いていることが原因ではないかなと思っていまして、ここはむしろ、大臣は分権の特命担当でもいらっしゃいますので、分権改革をもっと強力に推し進める方が、そして、税財源、権限も含めて地域に渡すということの方がより地域経済の活性化にはつながっていくのではないかと考えております。ぜひ、ここはまた改めて議論の場があれば大変ありがたいと存じます。
さて、そこで最後になりますが、もう一回文科省の方に伺いたいと思います。
私は、随分この間、社会教育の促進については意欲を持っている議員の一人だと思っているんですよ。ところが、今回の議論の経過を見ても、何だかとても押されているような気がしてならない。しかも、社会教育関連三法が改正されて、附帯決議もいろいろつきました。附帯決議の中で、例えば社会教育にかかわる人材確保ということについてもたしか盛り込まれていたはずであります。
しかし、この間、社会教育の主事が物すごく減っていますね。たしか二割とか三割とかいう減少幅だったはずです。先ほども申し上げたとおり、本当に例えば社会教育なりで地域の発展に寄与するとか、また、ひいては地域経済の発展につながるようなものにしていくためには、私は、文科省がやるべきことは、建物の耐震化もそれは大事です、建物の管理の煩雑さをなくすということも、それは何の異議もありませんけれども、しかし、人的な確保をしていかなければこれはどうにもならないのではないかというふうに考えておりまして、この減少傾向にある社会教育主事の配置改善も含めて、今後どういうふうに社会教育の推進に当たっていこうとしておられるのか、その考えを伺いたいと思います。
■惣脇政府参考人
御指摘のとおり、近年、特に町村でございますけれども、社会教育主事の配置数が減少しているわけでございます。
この原因といたしましては、派遣社会教育主事の経費が交付税化されたということでありますとか、地方公共団体の財政状況が逼迫していることでありますとか、また、市町村の行政体制の整備を背景として促進された市町村合併等の影響があるのではないかというふうに聞いているところでございます。
この点につきまして、昨年六月の社会教育法の改正におきましては、社会教育主事の職務といたしまして、新たに「学校が社会教育関係団体、地域住民その他の関係者の協力を得て教育活動を行う場合には、その求めに応じて、必要な助言を行うことができる。」と、学校支援地域本部における社会教育主事の役割というようなことも含めまして、学社連携と言われておりますけれども、高まっております学社連携の重要性にかんがみまして、社会教育主事の果たす役割は大きくなっているというふうに考えているところでございます。
文部科学省といたしましては、学校、家庭、地域相互の連携協力のために、社会教育主事の果たす役割を周知することや、社会教育主事の派遣事業の着実な実施などを促すことによりまして、社会教育主事の配置を促進してまいりたいと考えているところでございます。
■西村(智)委員
ありがとうございました。終わります。