■西村(智)委員
おはようございます。民主党の西村智奈美です。
鳩山大臣が所信表明の中で地方分権について非常に強い意欲を示しておられますけれども、私は、この間の定額給付金の政策策定の流れ、そして、今実際に実施段階に移っているわけですけれども、定額給付金の流れを見ておりまして、これはやはり地方分権の流れに逆行するのではないかと感じることが非常に多くございます。きょうは、特にその中で、DV被害者に対する定額給付金の支給問題について取り上げて、大臣の見解を伺いたいと思っています。
DV被害者の方々は、非常に精神的にも、もちろん肉体的にもという方はおられますけれども、追い込まれた状況の中でその被害を訴え、また救済を求めるということになるわけですが、実際に被害を受けている方々などの状態は非常にシビアでございます。
政府は、今回、この定額給付金のDV被害者への支給に際しては、いわゆる警察に相談するなどのことをやって、支援措置を受けて住民票を新しい住所に移している人に対しては、その措置をきちんとやるように、そしてまた、自治体にもそういったことを周知するようにということで対応をされたというふうに伺っておりますけれども、実際にその後も、当事者団体あるいは支援者の団体の方から、これではとてもDV被害者の方々に定額給付金は行き渡らないから、現住所で給付できるようにしてくれという要望があったというふうに承知をしております。
それを受けて、鳩山大臣は、参議院の予算委員会、これは一月の二十六日でした、そしてまた一月二十九日の衆議院の本会議において、それぞれこのように御答弁されておられます。
定額給付金、DV被害者で新しい居住地に住民登録をしていない方々についての救済措置についてでありますけれども、「一つの方法としては、どうしても住民登録ができないというケースの場合に、この補正で」、この補正でというのは第二次補正、「成立をいたします地域活性化・生活対策臨時交付金を充てなさいと、充ててくださいという要請はできると思います。」これが二十六日であります。
二十九日の衆議院本会議では、ちょっと途中を省きますが、「二次補正に入っております六千億円の」、これは正確に言うと六千億円ではありませんが、「地域活性化・生活対策臨時交付金、これで同様の」、定額給付金と同様のということだと思います、その「お金をそういうお気の毒な方には給付していただくように、自治体に要請をしようと思っております。」と大臣は答弁をされました。
その後どういうふうに要請を行ったのか、御答弁をお願いします。
■鳩山国務大臣
御承知のように、今の住所地に住民登録をしても、加害者と言っていいのでしょうか、DV被害者に対して言えば。加害者には絶対わからないようにするという仕組みでございますから、そういう形で、二月一日付ということは二月の十六日ぐらいまでに住民登録をきちんとしていただければ、これは定額給付金がお配りできるわけでございます。
ただ、私自身は想像がつかないぐらいの恐怖の中におありの方、心理的な部分は幾ら想像しても想像できるものではないと思いますが、そういう方は、どんなに、前の、加害者にはわからないようにするといってもやはり恐怖にさいなまれるということがあって、今住んでいるところには住民登録ができない、こういう方が多いのだろう、そう思いまして、そういう方には、定額給付金という極めて簡素な仕組みにしたものですから、定額給付金をお配りすることができないので、いわゆる六千億円の地域活性化・生活対策臨時交付金。
従来、こういう交付金というのは、何かメニューを示して、どのメニューをやりますかという形だったんですが、今度は、全く自治体が自分でメニューをつくって交付金をお渡しするという仕組みでございますので、DV被害者で定額給付金の対象にならない方にそのお金を、定額給付金並みのお金を充てるということをやられたらどうですかという要請はいたしました。要請をしたのは、いわゆる自治体衛星通信機構によるテレビ。加入していない市町村がありますから、そういうようなところには個別の連絡等で、すべてにそうした事柄は漏れなく要請はしたわけでございます。
実際、その要請を受けて、では六千億の生活対策臨時交付金を使ってやりましょうと言っておられるところが、五団体は報告を受けております。それぞれ、例えば、DV被害者支援事業とはっきりおっしゃったところもありますけれども、もう少しぼかした表現で、子育て応援特別手当とか、いろいろな名前で充てているところもあります。
ただ、私の地元の久留米市は、この六千億のものは使わないけれども、単独事業としてDV被害者にお配りをするというようなことを決めたようでございまして、現在はそんなところでございます。
■西村(智)委員
大臣は要請をされたというふうに今答弁されたんですけれども、私が聞いているところでは、要請はしていないんですよ。
大臣がおっしゃったように、地域衛星通信ネットワークですか、通称LASCOMというのだそうですけれども、そこを通じて放送はされているんですけれども、きのうレクに来られた方は、そこで、この地域活性化・生活対策臨時交付金によって、DV被害者への同様のお金の給付、財源をそこから充てることができるというふうに説明をしましたと。これは、聞くと、要請じゃなくて単なる案内しかしていないんですよね。この交付金を充てることができますよという案内しかしていないんですよ。
大臣がおっしゃっているように、これを本当に要請しているのかどうか。私がきのうレクで聞いたように、単なる案内にとどまっているのかどうか。この点については確認をされていらっしゃいますか。
■鳩山国務大臣
私は、事務方からは要請をしたというふうに聞いておりますが、地方自治ですから、強制はできないし、命令もできません。要請とかいわゆる助言ということだと思いまして、私は要請をするように指示をいたしましたが、今の西村先生のお話を聞きますと、何か助言、広報に近いものにとどまっていたとしたら、それはちょっと問題があるなという感じもします。
■西村(智)委員
大臣は、要請する、要請するつもりですと答弁をされておられます。ですけれども、きのうのレクで、私、確認しました。案内じゃないですかと言ったら、諾とおっしゃるんですよ、そうだと。これは案内ですよね、要請していませんよねと確認をいたしました。
案内の仕方も、LASCOMで確かに放映している、放映といいますか、通信ですから、通信を行っているんですけれども、交付金の申請スケジュールにはとても間に合わないような日程でこれが通信をされているはずなんです。その日程についてどなたかお答えいただけますか。何日に交付金の概要を決めて、何日に自治体に対して説明を行い、そして、LASCOMの通信が何日に行われて、何日に締め切りを迎えているのか。
■上西政府参考人(内閣府地域活性化推進担当室室長代理)
日程的なことについて事務方より御説明を申し上げます。
この臨時交付金、生活対策に盛り込まれまして、第二次補正予算において措置をされましたので、この第二次補正予算の閣議決定、昨年の十二月の二十日でございますが、それを受けまして、昨年十二月の二十二日に都道府県を対象といたしましてその説明会を開催いたしました。そこで、実施計画の検討を進めることや説明内容の各管内市町村への周知をお願いしたところでございます。
その後、第二次補正予算が一月の二十七日に成立をしましたので、これを受けまして、二月の十二日までに実施計画を提出するように地方公共団体に通知をいたしました。この間も、事前の実施計画の御相談には私ども対応していたところでございまして、提出の二月の十二日までに交付対象のすべての地方公共団体から実施計画を提出いただいたところでございます。
■西村(智)委員
十二月の二十日にこの交付金が閣議決定をされて、その日のうちに各都道府県の窓口には、恐らく、そのため、それによる説明資料が配付をされているはずであります。十二月の二十二日に各担当者を集めての説明会が行われて、二月の十二日がその交付金の申請計画の締め切り日だという説明があった。
では、LASCOMで初めて、その交付金がDV被害者へのいわゆる定額給付金と同様のお金に使うことができるという放映、通信がなされたのは何日ですか。
■岡崎政府参考人(総務省大臣官房総括審議官)
私どもの方のこのDV被害者、給付金の関係でございますけれども、これにつきましても、十二月以来数次にわたりまして、原則としての例の住所を移すやり方等については通知していたわけでありますが、大臣の御答弁もありましたので、自治体衛星通信機構で単独の給付につきまして言及いたしましたのは二月六日の放送でございます。
■西村(智)委員
大臣、お聞きいただけましたか。二月の十二日が計画の締め切りなのに、二月の六日にようやくLASCOMで通信をされているんですよ。それまで全く何もなしです。では、どういうふうに要請を行ったのですかと聞いても、私には、案内のような内容で説明があり、大臣のそちらのお手持ちのペーパーには、要請をしたという説明がされているようでありますけれども、これは、この期間の短さからしても、極めて不十分な周知、要請だと言わざるを得ないと思います。
また、先ほど大臣は、LASCOMに加盟していない自治体が少なからずあるということも含めて答弁をくださいました。つまり、このネットワークに加盟していない自治体には個別に連絡をしたというふうにもおっしゃっているんですけれども、私が調べたところでは、LASCOMの自治体カバー率は恐らく九〇%くらいなんですね。九〇%くらいで、ほかの自治体に全部個別に周知するといいますと、千八百自治体あるうちの百八十ですから、これは懇切丁寧に説明をしたとはとても思えませんし、どういう要請をしたか、とにかく情報が全く残っていないんですよ。これは大臣、どう思われますか。
■鳩山国務大臣
私は、DV被害者の方に対して、要するに、住民登録を新しくできないという非常にお気の毒な方々に対して定額給付金は配れないから、生活対策臨時交付金で対応していただければありがたい、そういう方法がありますよということで要請をするように指示したところでございまして、確かに二月六日放送なんですね。これは、ほかのものよりは、テレビでございますからスピードがある。ただ、二月十二日までには生活対策のメニューを自治体側から示さなくちゃいけない、この期間が余りにも短かったなというふうには、正直、報告を受けたとき思いました。
ただ、このときに、同じ放送でプレミアムつき商品券のプレミアム部分についてもやっていただいたらどうですかということで要請をいたしましたところ、そちらの方の反応は、約三百団体が、では、生活対策臨時交付金を使ってプレミアム振興券を、あるいは商品券を出そう、こういう反応があったわけでございますので、要請の仕方が多少通知に近いようなものであったとすれば、反省しなければならない部分はあると正直思います。
■西村(智)委員
プレミアムつきのことについては、もうそれまでにかなり、先駆的な自治体がやるということで報道もありましたし、自治体の方でそれなりに機運はあったと思うんですよ。ところが、そういう要請があったから、逆に言えば、交付金の給付事務についてもそういう説明が盛り込まれたというのが流れだと私は思います。
ですけれども、DV被害者への定額給付金と同様のお金として充てることができるということについては、何せ大臣が二回も、予算委員会と本会議で答弁をされておられることですから、ここはしっかりと大臣の責任でやらせるということがあってしかるべきだったのではないかというふうに思いますけれども、この点について大臣はどうお感じですか。
■鳩山国務大臣
あなたの御指摘は確かに鋭いと思いますよ。つまり、プレミアムつき商品券というか振興券でしょうか、これは話題になっておったわけですね。宣言したというか、うちはやるぞというようなところが幾つか名乗り出て、新聞にも報道されたりしておりました。ですから、今回のこの本当にお気の毒なDV被害者の方々に関して、少なくとも私が答弁した日よりも、二月六日というのは随分遅いですよね。
だから、今後、今後というか、こういうことについてはできるだけ早く、答弁したということは、ぜひ使っていただいたらどうですかということを私が言っているので、それは私がもっときちんと指示すればよかったということではありますが、そこから、自治体衛星通信でしょうか、それを使ったテレビ放送までに間があり過ぎるなという印象はあります。もっと早くやるべきではなかったかなと思います。
■西村(智)委員
これは政府参考人に伺うことかもしれません。大臣はもっと早くやってほしかったと答弁をされています。この点について、政府参考人はどういうふうに考えていますか。
■岡崎政府参考人
一月二十九日に大臣の御答弁がありまして、実は、この定額給付金についてのテレビでの説明というものは、一月二十九日、まさにその日の放映が第一回でございまして、そのビデオは既に撮ってあったものでございますから、次の放映機会であります二月六日に放送したということになったわけでございます。一月二十九日にはこの中身は別のことを解説いたしましたので、二月六日になってしまったということでございます。
■西村(智)委員
一月二十九日には、確かに定額給付金解説シリーズ1というのが放映されています。ところが、二月三日にも放映のチャンスはありましたよね。一回目を再放送しているじゃないですか。チャンスはあったでしょう。チャンスがあったのにどうして放映しなかったんですか。何かいいかげんな答弁でごまかさないでくださいよ。チャンスはあったのに、どうしてやらなかったんですか。
■岡崎政府参考人
衛星通信機構とのお話し合いで、週に一回、放映のビデオを撮りまして、それを二度放映する、つまり、二月三日はもともと再放送の予定だったものですから、次の新しい解説シリーズの第二回のときにこの説明をした。したがいまして、放映自体は二月六日に放映されたということでございます。
■西村(智)委員
大臣、LASCOMのホームページに、番組をホームページでも見られるように時折アップしていくんです。これが、今回、定額給付金解説シリーズについては今までに何回放映されているのかわからない。今私が持っているので言いますと、第四回目までやられたことは確実なんですけれども、一回もアップされていないんですね。だから、どういう要請の仕方、どういう内容の放送であったのかということを確認できないんです。
これは、外郭団体とはいえ、やはり総務省が大臣の指示を受けて放映する中身ですから、いわゆる行政情報、非常に大事な共有すべき情報として、やはりそこはきちんとみんなで見られる形にして、本当にこのやり方でよかったのかどうかということをチェックしていくべきだと思っています。
この点については、もう時間も迫ってきておりますし、ほかにもやりたいことがありますけれども、私は、こういう本当にずさんなやり方、これについては本当に憤りを持っています。
しかし、それ以上に考えるのは、やはり定額給付金という制度そのものが、非常に政策目的があいまいなまま、極めて中途半端な形でスタートしてしまったがゆえに、これほど事務も混乱しているということでもあると思っていますので、今でも私は定額給付金には反対ですし、二度とこういうめちゃくちゃな政策がないように、まあ、恐らくこの先は総選挙ということになってきますので、こういったおかしな政策がにわか仕立てで出てくるということはもうないと思いますけれども、ぜひ気をつけていただきたいと思います。
ちょっと時間がないので、次の質問に移ります。
きょうは、小渕大臣にお越しいただいております。公文書管理について、小渕大臣が担当大臣となられたということでありますけれども、私たち民主党の中でも、今この公文書管理については作業チームをつくっておりまして、論点整理、どうしてもこの公文書管理に必要なポイントは何かということで論点整理をしている最中なんですけれども、率直に言いまして、私は、この公文書管理というのは、行政改革の中でも極めて重要な柱を占めるんだというふうに考えています。
一方では公務員制度改革というのがありますけれども、この公文書管理のあり方そのものが、つまりは、最後の行政改革と言ったらいいのか、最初の行政改革と言ったらいいのか、本当に大事な柱を占めるんだと思いますけれども、小渕大臣は、公文書管理の要、ポイント、これは何だというふうにお考えになっておられますか。これから法案審議、法案が今月の上旬に閣議決定されていますので、その審議の際には大臣が答弁に立たれるわけですけれども、この公文書管理の本当の意味での要、ポイント、ここは何だというふうに小渕大臣はお考えになっていますか。
■小渕国務大臣
お答えいたします。
委員が御指摘のとおり、本当に公文書の管理については大変重要なことであると考えております。国の意思決定に関して、しっかりとした公文書を作成し、管理をし、そして保存をしていく。そして、現在また将来の国民にしっかりと正確に伝えていくこと、これは本当に重要な国の責務であるというふうに考えております。そうした考えのもとで、今回国会に公文書管理法案を提出したところであります。
具体的な内容でありますけれども、まず大事なのは、各府省において、今ばらばらな管理のルールになっていますので、そうしたことをしっかり統一するということと、内閣総理大臣が各府省における文書管理の状況をしっかりチェックをする、歴史的公文書を国立公文書館に移管することを原則とするなどを規定しております。
国の公文書管理のあり方がこれによりまして抜本的に改善されるものと考えておりますので、一日も早い法案の成立に御理解と御協力をよろしくお願いしたいと考えております。
■西村(智)委員
先ほど私、LASCOMの放映番組がどこにも記録が残っていないというお話をしました。これは、行政、要するに政府内部ではなくて外郭団体ですから、またちょっと問題は別なんですけれども、やはり行政情報、どこでどういうふうに意思決定がされたかということを見える形で文書を作成して残していく、そして、それを廃棄するときにも、省庁の中で判断するのではなくて、きちんと第三者の目でそれを責任を持ってやっていくという仕組みが私は大事なんだと思っています。細かい点については、これからももっともっといろいろ議論を審議の過程でさせていただきたいと思います。
最後に一点、子育て応援特別手当について伺いたいと思います。
きょう、厚労省の方から来ていただいておりますけれども、子育て応援特別手当、単年度、これは第二次補正、年間三万六千円分を支給するということなんですけれども、実は、厚労省が示した提示額と各自治体から交付申請をされている額が異なる。それで、少なくない自治体で厚労省が提示している額の方が市町村の交付申請額よりも少ないという実態があると思うんですけれども、この点についてはどういうふうに把握しているのか、またその理由は何か、伺いたいと思います。
■北村政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官)
お答えを申し上げます。
子育て応援特別手当の関係でございます。
先般、各自治体からの申請に基づき交付決定を行ったところでございます。各自治体におきましては順次支給を行っていくところとなりますけれども、当初の補助金申請の前提となる対象者数よりも実際の対象者数、先ほどお話ありましたように、市町村における見積もり数から仮に増加したような場合、こういうふうな自治体につきましては、自治体からの申請に基づきまして追加で補助金を交付することとしております。
いずれにいたしましても、各自治体におきまして子育て応援特別手当の支給が円滑に行われますように、各自治体個別に御相談をいたしまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
■西村(智)委員
いや、何で額が異なるんですか。その理由と実態については調査していられますか。
■北村政府参考人
お答えを申し上げます。
各自治体によって、申請をしたときに用いた数字が、実際に抽出をして出した数字でございましたり、あるいは一定の、例えば児童手当などの支給児童数、そういったものに基づいて推計して出したものであったり……(西村(智)委員「それは自治体が」と呼ぶ)厚生労働省の方の積算がそういうふうなものでございまして、それよりも、自治体が実際に抽出をして、小さい自治体などではそういうこともできますので、そういう場合にはこちらの方の見込みの数字よりも少なかったというふうなケースもあるわけでございます。
ただし、先ほど申し上げましたように、実際に数が、今後、支給対象者が見込みよりも増加した、そういうふうな自治体があった場合には、追加で補助金を交付するということにしております。
■西村(智)委員
終わります。