■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
大臣所信に対する質疑ということで、きょうは時間をいただきました。まず冒頭、官房長官に要請したいことがございます。
私の選挙区は実は新潟市でございまして、拉致被害者である横田めぐみさんがまさに拉致された現場が選挙区なんですけれども、先日アメリカの北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除のニュースは本当に突然という印象でありましたし、麻生総理のもとにその連絡が来たのが解除のたった三十分前ということで、これは軽視されているのではないかという思いがいたしました。
とにもかくにも、これは政府一丸となって解決に向かって努力をしていただくべき課題でありますので、この国家的犯罪に対して毅然とした態度で解決に向かって努力をいただけるように、強く要請を冒頭いたします。
そこで、質問に入らせていただきます。
まず最初の質問は、十月三十日に総理が発表されたいわゆる生活対策についてでございますが、今まで余り質問が出てこなかったんですけれども、私はこれは大変大きな問題があると思っております。そのことについて、順次質問していきたいと思います。
まず、きょう午前中ですか、定額給付金というものについて、その概要がほぼまとまったというふうに伺っております。
ちょっと時間をさかのぼりまして、官房長官にお伺いしたいんですけれども、まず、十月の三十日、この生活対策の記者発表を麻生総理御自身がされました。これは、私見ていて、総理自身が自分がやるんだということの決意を示す、その意気込みのあらわれかとも思ったんですけれども、本来だったら、この手の記者会見というのは官房長官がされるものではないかと思うんですね。なぜこれは総理が行ったのでしょうか。
■河村国務大臣(内閣官房長官)
麻生総理は、今回の金融危機を非常に厳しいものだ、これまでの経験からしても、恐らく歴史上にも残るような、百年に一度と言われる危機の中にある、こういう中で、国民生活の暮らしを守るために政府としても難しいかじ取りが必要であるし、やはり政府のリーダーシップが必要であるという思いがあったと思います。こうした思いでみずから記者会見を行ったものでありまして、この生活対策について国民に直接自分で訴えたいという強い思いだったと思います。特に、自分の考え方、内容を理解いただくことがまず大事だ、このように考えてああいう形で記者発表された、このように考えております。
■西村(智)委員
その記者会見が行われたのがちょうど二週間くらい前ということになりますでしょうか。この二週間というものを外野から見させていただきましたが、政府・与党内は大変な混乱だったようでございます。制度設計がきちんとされていないうちに、この定額給付金をやる、しかも全世帯に対して行うということだけが先に出てしまったので、では一体その中身は何なのかということの議論で大変混乱をいたしました。
これは外から見ておりますと、総理が、そういう意味では全く制度設計もできていないうちに、しかも閣内の大臣の意見集約もできていないうちに発表してしまったということで、一体本当に総理の指導力というのはあるのかということで大変疑わしく見られた、これは事実だと思いますし、それに対して国民も、世論調査で各社明らかにしておりますように、大変さめた見方をしている。
この点について、官房長官はどうお感じになりますか。総理にそのような指導力がないということを明らかにしてしまったことについて責任があるとお感じにはなりませんか。
■河村国務大臣
今御指摘をお伺いしながら、外で見るのと内で見るのとそんなに違うのかと思いながら伺いましたが、確かに、いろいろな意見が出たことも事実でありますが、麻生総理は、この定額減税をやるんだという大方針をまず立てたわけであります。それに沿って具体的な方策については詰めていくという段階をとったわけでございまして、確かに、制度設計が細かく決まった後に総理がそれに乗っかって発表するというのじゃなくて、大方針を立てたということでやったわけです。
そして、現場、市町村の声もしっかり聞いた上で一番いい方法にまとまっていくのが望ましいことだという、特にこれは生活者にかかわる問題でありますから、いろいろな意見が出るのは当然であって、その中でやはり一番いい方法を選んでいく、その方向を目指そうというのが方針だったと思いますので、私は、総理の意向は一貫しておって、決して指導力がどうであったとか、あるいは閣内が不一致であったとか、全くそういうことではないわけでありまして、いろいろな意見をまとめて、最終的に一番いい方向で決定していこうということです。ましてや、官邸の方がすべてを決めて、そのとおりというわけにはいきません。そういうプロセスはとりません。
だから、まさに今回のプロセスは、適切なプロセスを経て一番いい方法で決まっていった、私はこのように考えております。
■西村(智)委員
では、その一番いい方法で決まってきたという定額給付金の中身について、きょうの午前中に決まった内容をここで明らかにしていただきたいと思います。
■河村国務大臣
これにつきましては、まず、国民一人当たり一万二千円を定額として、その上に加算が、六十五歳以上のお年寄り、それから十八歳以下の子供といいますか、この方々に八千円をプラスするというものであります。これに要する全額を全国それぞれの市町村に交付するというものであります。
所得制限を設けるかどうかは、各市町村がそれぞれの実情に応じて交付要領において決定する。所得制限を設ける場合の下限は所得一千八百万とする。この所得とは、収入から必要経費を控除した後の金額ということになっています。所得制限を設定した市町村において支給された給付金が返還請求に基づき返還された場合は、当該返還された給付金は返還に関する事務費の一部に充てることができる。
これが生活給付金の概要でございます。
■西村(智)委員
所得制限を課すかどうかについても自治体の判断にゆだねるということですか。ちょっと確認をさせてください。
■河村国務大臣
自治体の判断にゆだねるということであります。
■西村(智)委員
個人単位の所得制限になるのでしょうか、それとも世帯単位の所得制限になるのでしょうか。また、どのくらいの額にするかも含めて、全部市町村の設定する交付要領にゆだねるということになるんでしょうか。
■河村国務大臣
これは個人単位でございます。
それから、下限は一千八百万という方針、この所得制限を設けるかどうかは各市町村がそれぞれの実情に応じて交付要項によって決定する、こういうことであります。
■西村(智)委員
この所得制限の有無については随分いろいろな議論がありまして、私たちも、いろいろな政策、例えば手当などについて検討するときにこの所得制限の有無についてはいろいろ検討するんですけれども、今回は、とにかく総理が全世帯に対してやるというふうに明言をしておりました。それが二転三転してきて、こうやって最後は自治体の判断にゆだねるということは、余りにも無責任なやり方ではないか、国の政策としてやるにしては余りに無責任なやり方ではないかと私は思います。
与謝野担当大臣にお伺いをしたいんですけれども、与謝野大臣は、この間、高額所得者は給付金を辞退するということではどうかという案が出てきたときに、それに対して、そういったやり方というのは制度ではないというふうに発言をしておられました。
結局、辞退するという仕組みになるのかどうか、これは自治体の判断ですので、それもわかりませんね。自治体によっては、やはり高額所得者からは辞退してもらうという方式にしましょうというところも恐らく出てくると思います。出てくる可能性はあると思います。
与謝野大臣から見て、きょう午前中決まったこの定額給付金の方法というのは、これは制度だというふうにお認めになりますか。
■与謝野国務大臣(経済財政政策担当)
この制度の原則は、全員に支給するという制度でございます。例外的に、各市町村が自分たちの町では所得制限を設けた方がいいと考えた場合には設けられるという、地方自治体の御判断に任せる、地方自治体に主体性を持って御判断をいただく、そういう制度でございます。
■西村(智)委員
市町村が主体性を持って所得制限をするかどうかを判断する、しかし、その結果として辞退する人が出てくる、こういうことになったときに、では、その当該市町村の中で行われている定額給付金は、これは制度でしょうか、制度ではないでしょうか。
■与謝野国務大臣
所得制限を設けましたら、それは制度でございます。
辞退を促すというのは、あなたにはもらう権利があるけれども遠慮してくださいと。これは制度ではないということを申し上げております。
■西村(智)委員
そうしますと、辞退してくださいということを交付要領で決めた自治体で行われている、その市町村の中でのものは、制度ではないということですか。
■与謝野国務大臣
高額所得者は遠慮してほしいという場合には、きちんと制度としてその線引きを決めなければ、極めて不透明な制度になると私は思っております。
■西村(智)委員
ちょっと待ってください。不透明な線引きであるから制度ではないということですね。
■与謝野国務大臣
全員に支給するというのが原則で、自治体が所得制限は設けないという場合には、すべての方に受け取りの権利が生ずる。生じた権利に対して遠慮してくれということは言えないと私は思っております。
■西村(智)委員
ですから、そこの中でのやり方というのは制度ではないと。権利が生じているにもかかわらずそれを辞退してくれというのは、これは制度ではありませんね。
ということは、与謝野大臣の考え方からすると、つまりは、考え方として、全国的にどの市町村もそういった辞退する仕組みをつくってはいけない、そうあるべきではないという考え方でよろしいんですね。
■謝野国務大臣
辞退するのであれば、はっきり、ここから上は辞退してください、すなわち所得制限を設けるということであります。
■西村(智)委員
ちょっとなかなかあれですね、はっきりと、与謝野大臣が考えておられることが制度、制度になるのかどうかですけれども、私は、このように定額給付金を政府がまさに生活対策の本当に目玉として打ち出してきて、それを二兆円規模で給付しますと言いながらも、そのやり方について市町村にお任せをしますというのは、やはり余りに無責任なやり方であるし、官房長官は先ほど、自治体が主体的に何でも決めることができるはずだからというようなことをおっしゃいましたけれども、だったら、もっと別のやり方があると私は思うんですね。
例えば地方六団体、少なくとも首長などのつくっている団体などは、この提案について同意はされているんですか。
■与謝野国務大臣
世帯単位でお金を給付する、これは秋田市の例をとりますと、秋田市で十三万世帯ある。秋田市の市長様の記者会見を見ますと、窓口で処理できる件数は一日四百件ぐらいだろう、これらの十三万世帯の人たちが仮に一遍に窓口に押し寄せたということになると大変なことになる、かてて加えて、所得制限なぞを設けて納税証明書とかいろいろな手続とかそういうものをやったら、支給事務自体が物すごく煩雑になって大混乱が起きる、だから所得制限は実務上難しいというのが地方団体の御意見でございました。
そこで、一方では、今回発表された制度は、原則全員に給付する、そういう制度になっています。自治体の中では、やはりそれでもうちの村、うちの町の実情に応じて事を考えると所得制限をした方がいいと考える自治体が仮にあるとすれば、それは自主的に、主体的に所得制限を設けていただいても結構でございますという制度で、原則は全員に給付するという制度になっています。
■西村(智)委員
いや、答弁してくださいよ。地方団体の同意は得ているんですか。例えば自治体ごとに交付要領をつくって、所得制限を設けるとか設けないとか、辞退するとかしないとか、それはそこで決めてくださいということについてです。
■与謝野国務大臣
これは総務大臣に聞いていただかなければならない質問なんですけれども、私が聞いているところでは、総務省はきちんと地方団体と話し合いをしながら、地方団体が可能であるような方法を検討しながらやってきた案だと思っております。
■西村(智)委員
つまりは、まだそういった意味では、この交付要領というやり方でいいですねと確認がとれているわけではないんですね。
非常に急いでこの定額給付金のスタートを切りたいと考えておられるのはわかるんですけれども、逆に、急ぐがゆえに制度設計が非常に混乱をしてしまって、なおのこと混乱が大きくなってしまうのではないか。これはまた地方団体とのすり合わせが仮にうまくいかなかったりすれば、また先に延びていってしまうことになりますし、とても年度内ということでは手当てができなくなってしまう。ここは非常に大きな問題のある制度であると思いますので、やはり考え直す必要があると私は思います。
官房長官にもう一点伺いたいんですけれども、きのう記者会見で麻生総理が消費税の引き上げについて、当初、十月三十日の段階では三年後の引き上げというふうに言っていたのを、昨日は二年後の、うまくいけば二年後に法案を提出する。消費税の引き上げというようなことが、二年後の法案で三年後ごろの引き上げということになりますと、本当に定額給付金は、生活対策なのか経済対策なのか、そこもはっきりしないんですけれども、本当に消費に回ってほしいと思われていると思いますけれども、消費税が引き上げになるということが見えれば、消費者の心理としては使わないでとっておこうということになってしまうのではないか。
実際に、地域振興券のときには、地域振興券という形で配られたものであったにもかかわらず消費に回った分は約三割ぐらいではないかと当時の経済企画庁長官が話しておられますし、そういったことは非常に懸念をされるんですけれども、これで本当に消費に回る、経済の刺激策になるというふうに官房長官は断言できるんでしょうか。
■河村国務大臣
二年云々の前段の話からでございますが、御案内のように、総理は今の日本経済は全治三年はかかるということを言っておるわけであります。したがいまして、まず三年、全治した段階で、経済の状況、環境が整った時点にはお願いをしたいという言い方をしておるわけでございまして、今回二年というのは、全治三年の見込みがついて、経済情勢がよくなったときに法案を出せば、それが通ってそれから実施ということになるとやはり三年になりますので、何か、二年たったらすぐというふうにとられるとしたらこれは大きな間違いで、総理がかねてから言っていることと別にそごを来しておるわけではないわけであります。
ただ、おっしゃるように、この定額給付金がそのまま貯金に回るのではないかという御心配もありますけれども、しかし、これはスタートは生活対策ということでスタートしたものでありますから、国民にとって少しでもそれが役に立つようにという思いでございます。したがって、これには当然、内需効果をあらわす、経済対策にもつながるであろうということも踏まえてこの設計をしていったわけでございますから、これがすべて消費に回らないということにはならないと私ども思っております。
これはこれから、それが給付された段階で国民の皆さんがどうお使いになるか、それぞれの皆さんのお考えでありますけれども、我々としては、生活者のためにという思いと、あわせて、それがまた内需にもつながっていくことも期待をしていることも事実であります。
■西村(智)委員
今のお話を聞いていると、ますます社会政策なのか経済政策なのかわからなくなってくるんですね。ここはきちんと政策目的を明確にしておくべきだったと思いますし、お話を伺っていると、本当にどちらを主眼に、目的に置いてつくられているものなのかはっきりしない、こういう目的のあいまいな政策は恐らく成果は生み出さないだろうと思いますので、非常に大きな問題があると思います。ぜひ考え直していただきたいと私は思います。
この生活対策の中では、子育てに関する手当について含まれておりまして、子育て応援特別手当というんだそうですが、これは資料といいますか、資料といっても抜き刷りなんですが、生活対策の八ページにあります「出産・子育て支援の拡充」というところの黒ポツの二つ目、「子育て応援特別手当(仮称)の支給」というところですけれども、これについて伺いたいと思います。
小渕大臣の所信表明の中で、この「出産・子育て支援の拡充」の四つの黒ポツのうち、一つの黒ポツの「安心こども基金(仮称)」、これについてはかなり具体的な内容も含めて言及があったんですけれども、この子育て応援特別手当については触れられていなかったんです。これはなぜ触れなかったんでしょうか。
■小渕国務大臣(少子化対策担当)
ただいま御指摘ありましたように、生活対策におきましては、出産・子育て支援の拡充として四点、安心こども基金創設による子育て支援サービスの緊急整備、子育て応援特別手当(仮称)の支給、安心・安全な出産の確保、中小企業の子育て支援促進等の四つの項目を盛り込んでおります。
先日の委員会におきましては、その一つ目の安心こども基金(仮称)を例示として言及いたしましたが、安心こども基金の創設などの施策を講ずることとしているとして、すべてを含めた形で少子化対策の推進について述べたところです。
■西村(智)委員
この文章の末尾は、「など」ということで、例示があって、「など」として、それによって「子育てを支える社会的基盤の整備に取り組んでまいります。」こう大臣は結んでおられるんですよ。そうしますと、子育てを支える社会的基盤の整備ということに子育て応援特別手当が含まれているという理解でよろしいんですかね。
■小渕国務大臣
この四つの対策について含んでおります。
■西村(智)委員
さてそこで、この子育て応援特別手当についてでありますけれども、先日、民主党の調査会でこの制度についてのヒアリングを行いました。この制度といいますか、ここに書かれている四つの項目についてヒアリングを行いました。その際に提示された資料は、きょう、一枚目の生活対策の中の抜粋、まさに「出産・子育て支援の拡充」と書いてある、ここの項目を、紙を縦のものから横にしたような、ちょっと組みかえたような資料が示されたんですね。
そこで、これしか出ていなかったものですから、具体的な中身についていろいろと質問をいたしました。幼児教育期というのは何歳から何歳までか。そうしたら、三歳から六歳まで、そういう答弁が厚労省から返ってまいりました。あと、そのほかの具体的な中身については検討中とかいうことで、まだ答弁がなかったんです。
あらあら、こうやって生活対策で緊急にやるという政策項目なのに、まだ検討中とは、これは間に合うというか、本当にこれで時間的に大丈夫なのかなと思っておりましたら、官邸のホームページに、この生活対策よりも詳しい中身が子育て応援特別手当についてありまして、それが二枚目の1の2の黒ポツの二番目です。「第二子から、年間三・六万円の「子育て応援特別手当」」。厚労省の資料になかった項目がどうしてここに出ているんだろう、厚労省と官邸の間で一体どういう情報のやりとりになっているのかなと思ったんですけれども、この官邸のホームページに書いてある項目というのは、一体どこでどなたがお決めになったものですか。
■北村政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官)
お答えを申し上げます。
委員御指摘の内容でございます。これは、政府・与党として決定されたものでございます。
■西村(智)委員
政府・与党ということは、与党も入って、厚労省も入って官邸も入って、両者が合意のもとで決められたということですか。
■北村政府参考人
ただいま申し上げましたように、政府・与党として決定されたものでございますので、政府の中には厚生労働省も当然入っております。
いずれにいたしましても、政府・与党として決定されたものでございます。
■西村(智)委員
そうしますと、別に細かいことを重箱の隅をつくつくとつっつくようなことはしたくないんですけれども、例えば、幼児教育期、三歳から六歳とか、第二子から行うとか、年間三・六万円とかというのは、まさに子育て応援特別手当の基本的な項目事項ですよね。それが官邸のホームページに出ていたり、厚労省からの説明にはなかったりというようなことというのは、これはちょっとやり方としては非常にまずいと思います。これを見まして、本当に一体実現可能なのかということを改めて感じましたし、こうやっていろいろなところでいろいろな資料が勝手につくられるというのは、やはりよくないんじゃないかなというふうに思っております。
そこで、厚労省が政府・与党として一体でどちらの項目も確認をしている、決めたということですので、では、子育て応援特別手当の現時点での検討状況、具体的な中身をお答えいただきたいと思います。目的と、この三・六万円という根拠と、所得制限は課すのか、支給方法はどうするのか、必要経費など、具体的なことすべてお答えください。
■北村政府参考人
お答えを申し上げます。
御指摘の子育て応援特別手当でございます。これは、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、特に幼児教育期における子育てを支援するために、単年度の緊急措置として実施するものでございます。
支給額につきましては、先ほどお話がございましたけれども、第二子以降の児童につきましては一人当たり三・六万円ということでございますが、そのほかの詳細な内容あるいは実務的な取り扱いなどにつきましては現在鋭意検討しているところでございます。手当の支給が円滑に行われるよう、具体化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
■西村(智)委員
何も決まっていないんですよね。何も決まっていないのに、支給だけは円滑にやりたいと言われましても、はい、そうですかと言うことはできないわけでございまして、厚労省にもう一点伺いますけれども、同じような子育て期の監護している親などに対して支給されている児童手当がありますけれども、これは児童手当との関係はどうなるんですか。児童手当法の改正で三歳から六歳まで一時的に加算するというのが私は法的根拠もしっかりしてよいのではないかというふうに思うんですけれども、その点についてどうですか。
■北村政府参考人
お答えを申し上げます。
子育て応援特別手当でございます。先ほど申し上げさせていただきましたとおり、これは、現下の厳しい経済情勢にかんがみまして、特に幼児教育期における子育てを支援するために、単年度の緊急措置ということで実施するものでございます。一方で、児童手当でございます。こちらの方は、広く子育て家庭における生活の安定、また児童の健全育成、資質の向上に資するということを目的として支給しているものでございます。各種の子育てに対する基本的な支援策の一環ということで実施しているものでございます。
そういう意味で、この二つ、両者は、子育てに対する支援という意味では、ある意味、委員がおっしゃられておられるような意味で同じという面もあるかもしれませんが、その趣旨は異なっているものというふうに考えておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
■西村(智)委員
同じだということも認めてくださっていますよね。
私は、児童手当について、私たち民主党の方からは子ども手当法案を提出しておりますので、そちらの方で考え方はきちんと示しておりますけれども、本来、やはり子育てというのは、政府・与党の都合に合わせて単年度限りで終わるものではありません。今年度限りの特別な手当ということで支払われるということなんですけれども、来年度からゼロになってしまうということについては、一人の子供の育ちとかそういったものを支えるものではなく、やはりこれは、単に政府の、為政者の都合でやっているというふうに見られても仕方がないのではないかというふうに思います。
厚労省にこの点について伺いますが、逆に、来年度からも同程度の支援はきちんとするんですということであればこれはまた話は別なんですけれども、そういう予定はあるんですか。
■北村政府参考人
お答えを申し上げます。
子育てに対する支援につきましては、児童手当などの経済的支援に加えまして、働き方の改革による仕事と生活の調和、すなわちワーク・ライフ・バランスの実現、あるいはまた多様な保育サービスの充実などを含めた各種の支援策、こういったものを総合的に推進していくことが重要であるというふうに私ども考えてございます。
今般の子育て応援特別手当につきましては、先ほどから申し上げましたように、現下の厳しい経済状況にかんがみ、単年度の緊急措置として、幼児教育期における子育てを支援するために実施するものでございます。総合的な取り組み、先ほど私が申し上げましたような子育て支援のための総合的な取り組みを一方で進めつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみて、単年度の緊急措置ということで、趣旨などが違うということで御理解を賜りたいというふうに思います。
■西村(智)委員
結局のところ、子育て支援、あるいは小渕担当大臣の方から社会的な基盤の整備が大事だというようなお話がありましたけれども、やはり一人の子供の育ちという点で、子供のライフサイクルといいますか、そういったもので見ていけば、やはり単年度限りというのは、これはおかしいと思うんですよ。そこのところはよくよく、厚労省は今後の検討でよく含んで考えていただきたいと思います。
ちょっと時間がなくなってきまして、最後に一点、甘利大臣に公務員制度改革について伺いたいと思いますが、まず最初に、先ほど甘利大臣の答弁の中で、あたかもお父さんとか、何か公務員が、お父さんが公務員だとされると、お父さん、そういうことを言わないでというような御発言がちょっと答弁の中であったんですけれども、公務員はお父さんとか父親ばかりではないと思います。つまり、前回の通常国会で与野党の修正協議で成立した基本法には、「男女共同参画社会の形成に資する」ということがちゃんと第二条に書かれておりますので、女性の職員の登用や任用にも取り組んでいくということも重要であると思いますので、その点御留意をいただいて、先ほどの答弁でちょっと気になりましたので一言申し上げて。
それで質問は、先ほど馬淵委員の質問の最後の方に、内閣人事局の制度設計について、いろいろなスケジュールも含めたお話がありました。
私も、顧問会議それからワーキンググループの議事録、大体目を通しましたけれども、やはりワーキンググループの日程が非常に窮屈で、きょうの夜、関係省庁からヒアリングを行って、あしたもう一回議論をやって、あさって、第四回の顧問会議でワーキンググループからの報告ということですから、非常に日程がタイト。しかも、その中で検討されている案は、各省庁にまたがっている機能の中から総務省の二つの局でつくるという案が出ており、それに対して顧問会議のメンバーからは異論が出されということであります。
私たちが懸念していますのは、この内閣人事局というのは、与野党の修正協議の中で特に民主党の修正要求で、政治による人事の一元化ということを強力に打ち出して盛り込んだ条文だと思うんですね。そこが、ある意味今まさに骨抜きになろうとしているのではないかという心配があるわけであります。
この条文そのものは、やはり与野党で修正をして一緒に成立をさせたものでありますから、まさにこのぎりぎりの段階になってからでありますけれども、ここは大臣の政治判断として、これからでも遅くはないと思います、与野党協議でこの内閣人事局の制度設計について話し合う場をつくっていただきたい。それは甘利大臣から先ほど明確な答弁がいただけませんでしたが、このことについて、やるつもりがあるか、あるいはつもりはないか、そのことはお答えをいただきたいと思います。
■甘利国務大臣(規制改革担当)
まず、その前に冒頭のお話ですが、正確に私の話が伝わっていなかったのかもしれません。官民人材交流で、民間企業の人が役所に入っています。その人は男の人なんです。その人が民間企業を離れて役所に行くんだといったときに、子供から、お父さん、どうして民間を離れてわざわざそんな悪い人のところに行くのと言われた、それがつまり子供が持っている役所の印象なんですね。そうであってはいけない、お父さんがいいところに行って私も鼻が高いわと言われるような役所にしなきゃならないという意味で申し上げたのでありまして、その来ている人が女性だったらお母さんになっているわけでございます。
それから、基本法が最終的に修正されたときに、与野党協議で修正をされたということは承知をいたしております。そして、顧問会議でも、あるいはワーキンググループでも、その修正を踏まえて議論をしていただいています。
私は、冒頭、顧問会議に出ましたときに、立法府の意思を超えるようなことは顧問会議もワーキンググループもできませんからねというお話はいたしました。つまり、与野党の修正の趣旨をしっかり受けとめて、その範囲内できちんと議論してくださいと。立法趣旨を超える、立法府が決めたことを超えるようなことを総理の諮問する有識者会議で結論を出すことはできませんからねと言っていることでありますから、民主党さんの趣旨に沿って、今議論をさせていただいているところであります。
そういう契機にありますから、さらに御意見があれば伺いたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
御意見があれば伺いたい、そう思っていただいているのはそれは大変いいんですけれども、そういう場を設けて、改めてこの内閣人事局の設計について協議する場を、では、大臣御自身は設けるおつもりがある、言ってもいいよということは、それは大臣が主催してそういった場を設けることも考えるというふうに理解してよろしいんですか。
■甘利国務大臣
今までも事務方はそうさせていただいていると思いますが、民主党の政調会のところに説明に今までも行っているはずなんですが、そこで御意見があればいただきますということであります。
■西村(智)委員
事務局ではなくて、行っていただきたいのは与野党協議でございます。この制度設計は、本当にこの基本法のまさに核となるところでありますので、甘利大臣、近日中にいわゆる政治判断、これをされるということでありますけれども、与野党協議についてもぜひ大臣の政治力で判断をしていただきたい、そして開催をしていただきたいというふうに思います。
それについて要望をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。