■西村(智)議員
私は、ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、提出者を代表して趣旨説明を行います。
今や母子世帯数は約百二十万世帯にまでふえていますが、その平均年収は二百十三万円と、平均的なサラリーマン世帯の年収の半分を下回っています。母子家庭の母親の八割以上が就労していますが、職業経験が乏しかったり、子供の世話のために時間的な制約があったりといった理由から、その多くが非正規雇用で、不安定な就業状態にあります。また、DV被害のために就職活動がままならない母親の存在も指摘されております。
そうした中で、二〇〇二年に母子及び寡婦福祉法等が改正され、母子世帯の母への就労支援施策を強化し自立を促進するという趣旨のもと、二〇〇八年四月から、児童扶養手当を五年以上受給している世帯について、その支給額を最大で二分の一まで減額させることとなりました。
給付削減の緩和措置として、正規就業者になるための自立支援事業が実施されることになりましたが、その成果はほとんど上がっておらず、母子世帯の所得の状況が改善されているとは到底言えません。また、子育てしやすい環境の整備も進まないなど、依然として母子世帯は厳しい状態に置かれております。
こうした状況のもと、当事者の方々から手当の削減を取りやめる要望が強まったことから、昨年秋、与党は手当削減の凍結を決定し、ことし二月の政令によりまして、求職のための活動をする母子世帯等には削減措置を適用しないこととしました。
しかし、政令をつくったとしても、政府は今後児童扶養手当を削減するという方針を変更したわけではありません。与党は、就業意欲が見られない者については手当を削減すると言及をしております。このような期限のない政令というあいまいな措置でごまかすのではなく、削減を取りやめることを明確に位置づけるため、法改正が必要です。
そのため、本法案では、母子家庭へ支給される児童扶養手当を減額するとの規定を削除し、手当額を維持することといたします。
以上、母子家庭の置かれている実態を踏まえ、そうした家庭で育つ子供が将来に向かって希望を持ち、安心して学び、生活できるよう、委員各位の御賛同を求め、私の趣旨説明を終わります。
ありがとうございました。(拍手)