■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
楠田委員の質問でも、市村委員の質問でも、この地域力再生機構法案について二委員の疑問は晴れてはいないようですし、私も、伺っていて、やはりなぜこれを株式会社でやらなければならないのか、そしてまた、そのスキームもいろいろ伺っていかなければならないところがあるなというふうに感じております。
質問が重ならないように気をつけながらというふうに思いますけれども、まず一点、この法案提出時の趣旨説明で、地域経済の立て直しがこの立法の目的であるというふうに大臣から御説明があったかと思うんです。しかし、政府からいただいた資料、何種類か見させていただきましたが、再生の見込みのないものは支援対象としないというふうに一方では説明をされていらっしゃるわけです。
これもいただいた資料ですけれども、支援対象となる中規模企業、中規模企業という言葉は私も初めて聞きました、中規模企業のイメージとか三セクのイメージという図があったんです。それを見ましても極めて限られた範囲しか対象になっていないということなんですけれども、これで本当に地域経済の立て直しにつながるのだというふうに大臣はお考えですか。
■大田国務大臣
地域力再生機構だけで地域経済の立て直しをすることはできないと思っております。地域経済立て直しのためには、幾つかの政策を組み合わせていくことが必要です。中小企業再生支援協議会というものもスタートし、拡充されてきております。
私どもが感じましたのは、今ないスキームがある。それは、人材を全国的に還流させていく仕組みであり、それから、地域の中の重要な企業でありながら過大な債務を抱えて再生が先送りされているというもの、つまり、地域の中で波及効果が大きい、ここがうまく再生すれば雇用を生み出せるという部分について、これまでの地域再生の仕組みの中で抜けておりました。ここについてやっていこうというのが地域力再生機構の趣旨でございます。
■西村(智)委員
これだけでは地域力というものの再生はできないということになりますと、それでは、法案に「地域力再生機構」とついているのは、これはいささか過大広告に過ぎるのではないかというふうに思いますけれども、この名称はどうしてこういうふうになったんですか。それは改めるべきだと大臣はお考えになりませんか。
■大田国務大臣
地域力というのは地域の総合的な経済力をあらわします。地域力再生機構は、この地域力を上げるための必要条件だと考えております。しかし、十分条件ではありません。これだけで再生できるほど地域経済というものは小さくはありませんけれども、今この地域力再生機構ができなければ、本当の意味の総合的な経済力の浮揚はない。
なぜかといいますと、地域の中で本当に影響力の大きい重要なところ、ここが再生すれば雇用を生むであろうところが不良債権を抱えたまま先送りされている。これは地域の中核的な企業ですから、これが再生されなければ地域力の浮揚はありません。そういう意味で不可欠であるということで、地域力再生のための不可欠な機構としてこの機構を提案している次第です。
■西村(智)委員
詭弁だと思います。
今のお話を私は素直に聞きまして、地域力を再生したい機構とかいうことであればわかるんですけれども、これで本当に地域力が再生するかのような、先ほど楠田委員でしたか、質問の中で述べておられましたけれども、これが通るとバラ色の未来が見えてくるような、何かそういう誤解を与える名称だと思うのですね。
ですから、私は、法案のスキームもさることながら、まずこの名称について大変大きな疑問を持っているということでございまして、大臣はこれを改めるおつもりはないということですけれども、やはりこの法律は、いろいろなものをごっちゃにして一つの法律として成立をさせたいというがために、いろいろな無理が生じている部分があるのではないかと思うんです。その点については後で質問させていただきたいと思います。
もう一つ質問は、地域間格差の問題が先ほども出ていました。
今回の法案は、言ってみれば手挙げ方式、手を挙げたところ、地域金融機関なり自治体なりが手を挙げた、そこに対してデューデリを行って、事業再生計画をつくって、それでスタートしましょうということなんですけれども、産業再生機構のときもそうでしたが、ある地域では非常にその対象となる企業なりが集中しているんですけれども、ほかの地域では全く対象となるところがなかったというような、全国的なばらつきといいますか、そういうものがあるわけなんです。地域力再生のために不可欠だと大臣がおっしゃったこの機構でも、そういうある程度のばらつきは出てくるのではないかと私は考えています。
地域間格差が一方で解決しなければならない課題としてありながら、手を挙げたところが偏ってしまったとか、本当はここに手を挙げてほしかったのに手が挙がらなかったとか、そういうことで結果的に新たな地域間格差を生むことになりやしないかということを懸念しているんですけれども、これが生じたときに、機構としてはどう道義的な責任をとることになるのか、あるいは立法者として大臣はどう責任をお感じになるのか、それを聞きたいと思います。
■大田国務大臣
過大な債務というおもしが取れることの経営への影響というのは大きいと私は考えております。このおもしを取っていくというのが地域力再生機構の役割です。
地域の中で、地域にとって重要で、なおかつ過大な債務を抱えているところが全くない、そういう三セクも全くないということであれば、それはそれでいいんだというふうに思います。もしそういうのを抱えていて、今までその出口がなかったんですね、過大な債務を抱えて、再生すれば雇用を生むんだけれども、そこをどういう枠組みで再生していくのか、債権者の利害が複雑に絡んでいて一歩先に進めない状況、そこに対して選択肢を設けるというのが地域力再生機構ですから、全体としてこのおもしになっているところを底上げしていくというのが地域力再生機構の役割です。
■西村(智)委員
答弁を伺って私が感じますのは、大臣はこの法案をつくって世に送り出すところまでは一生懸命やられるけれども、これは株式会社ですから、経営委員会ですか、そこのところに任せるということになってしまって、そこから先は大臣の手を離れてしまうわけですよね。仮にそこで地域間格差が新たに生じたとしても、もう政府の方は責任を負えないということになってしまうわけなんです。ところが、今回の株式会社には政府の出資もありますし、政府保証もあるということから、本当にこれは慎重に審議をしていかなければならない。そういう目でこの法案を見ますと、ちょっとずさんだなということが幾つかあるのではないかというふうに考えております。
次のお伺いは、支援の対象としているものの種別についてです。
中規模企業という初めて聞く言葉……(大田国務大臣「中核」と呼ぶ)中核企業ですか。資料の方には中規模企業と書いてあるんですよ。いろいろな言葉を乱造しないでほしいと思うんですけれども、中核企業とそれから三セクが対象としてイメージされているということなんですけれども、これは先ほどの市村委員の質問にもありましたが、三セクというのは利潤性、利益性だけではない。これはちょっとまた後で私も委員の御高説を聞かなくちゃいけないと思うんですけれども、言ってみれば、三セクというのは公益性などというものもあるということだったり、三セクといいますのは結局自治体絡みですから、その先にある議会とか納税者とか地域住民とか、いろいろな利害関係者がいるわけですよね。こういうふうに考えると、企業と三セクというのは異質なものだと私は思うんです。
これを二つ並べて対象にしたその理由について伺いたいと思います。
■大田国務大臣
企業と三セクは、設立の形態、設立の趣旨、設立の経緯も違います。
違いますけれども、事業の再生という点で見たときに、支援対象となる三つの基準、つまり、地域にとって重要であること、二番目に過大な債務を抱えていること、三番目に三年以内の事業再生が可能であること、事業再生という観点から見たときにこの三つの共通点がございます。それから、再生の手法として見ましたときにも、債権放棄という形での財務の再構築、それから再生のための人材を派遣して再生させていくという事業再構築の手法、この手法としても共通しております。
したがいまして、企業と三セクはそれぞれ設立形態は違いますけれども、事業再生という面で見たときに共通点があるということです。
ただ、もちろん、三セクについては、先生がおっしゃいましたように、地方議会の判断あるいは住民への説明、そういったものは自治体として当然負うということになります。しかし、地域力再生機構に再生案件というものを持ち込まれて、そこで支援するかどうかの判断、そして支援するときの手法、それについては共通点があるということです。
■西村(智)委員
共通点は確かにあると思います。大臣の御認識は、三セクで危なくなっているところは、地域力、地域経済の足を引っ張っているという前提に立たれているわけですよね。そこのところでは共通点はあると思うんですよ。ですが、やはり決定的な違いは、組織の生い立ちとか利害関係者の数とか多様性であると思っています。
私は、ここはもっとすっきりと、要するに、企業を再生させたいのか、三セクを再生させたいのか、どちらの方にウエートがあるのか、そこは伺いませんけれども、私からすると三セクの方なんですね。三セクの再生をするために、営利企業の方は、民間の取り組みが随分なされておりますから、経産省の方の中小企業の委員会など、RCCなどもありますし、そちらの方にもう少しやっていただく、あるいは民間ファンドを活用するということで切り離した方がもっとすっきりしたんじゃないかなというふうに思うんですね。
そこで、続いて幾つか聞いていきたいと思うんです。
ここは順番どおりに、通告したとおりにやらせていただきますが、債権放棄するという点については共通するというふうに大臣はおっしゃいました。三セクについても債権放棄もあり得るということなんですが、一般的に、債権放棄を受けるというときには企業の経営者は退陣いたしますよね。先ほど大臣は、当然三セクの経営者も退陣してもらうんだというふうにおっしゃいました。そこは確認させていただいてよろしいですか。
■大田国務大臣
三セクの経営者は退陣することになります。
■西村(智)委員
きのうのレクの段階では、そこはあいまいだったんですよ。それは法案成立後に、あるいは経営委員会のつくる事業再生計画の中でケース・バイ・ケースですというようなお話だったんですけれども、では、そこは確認させていただいたということです。
なぜならば、昨年末の経済財政諮問会議でそういった議論がなされておりまして、当然三セクの経営者も退陣すべきだというようなお話があった、議長もそれを確認されたというふうに聞いております。
そこで、お伺いは二つです。
この法案の中には、そういったいわゆる経営者の責任論というようなものが一行も、一条文も書かれておりません。どこで担保するんでしょうか。
■大田国務大臣
経営者の責任というのは当然厳しく問われなくてはなりません。
ただ、中小企業の場合に、この経営者だから企業がもっているというものはあると思います。特に地域においては、その人がやっていることによって企業価値が保全されるというものはあると思います。したがいまして、ここは画一的、硬直的であってはいけない。
恐らく事務方が御説明したのは、もしかするとそこがごっちゃになっていたのかもしれませんけれども、中小企業の経営者の場合は必ず退陣ということではなく、退陣した場合に企業価値が下がるような場合には、画一的、硬直的ではなく、そのケースで責任のとり方を判断していくということになります。
ただし、三セクの場合は特定の経営者だから企業価値が維持されるということはございませんので、三セクに関しては退陣するということになります。その具体的な再生のあり方については、まず再生計画の中で示され、それを再生委員会が判定するということになります。
■西村(智)委員
大臣、御存じだと思うんですが、三セクの経営者の何割かは自治体からの出向などの役員によって占められております。総務省が毎年詳細な三セク等に関する調査結果を出しておりますけれども、それを見ても明らかです。
三セクというのは今非常に大きな赤字で苦しんでいると言われますけれども、ふえたのは、バブル経済のはじけた後といいますか、バブル経済の前後ですね。いわゆる政府の景気対策が後押しをするような格好で、この時期につくられた三セクというのは非常に多いわけです。このときに甘い見通しで三セクがつくられて、そして、自治体も損失補償を契約したりして、それで、どんどんと自治体の方も赤字がふえていくし、三セクの方も債務超過が大変ふえるということです。
要するに、今の経営者は道義的な責任はやはりとっていただかないとならないと思いますけれども、しかし、本当の経営責任というのは、さかのぼって、もとの経営者になってくるんだろうと思うんですね。あるいは、そのときにかかわっていた利害関係者。ここはだれとは申しません。そこは、突き詰めて考えれば、情報を得ることができなかった納税者にも、それは責任は負わせることはできないんですけれども、やはり情報開示が徹底的に行われていなかったことについては行政の責任は当然のことあるわけですし、それを開示してこなかった議会の責任もあると思います。
ですので、ここのところは、現時点での経営者が退陣していただく、それは判断だと思いますので、私はそれについては今の時点では申し上げることはないんですけれども、トータルでの責任をだれがどう分担して、そしてこの三セクを再建するのですということをどこかで明らかにしていただかないと。夕張の事例を御存じですよね。再生計画で、残っている住民の方々が非常に質の下がった行政サービスの中で本当に苦労して、今再生計画を実施しているわけです。ああいう方々の思いを考えたときに、私は、ここのところは最低限やはり法律の中でしっかりと明らかにしてもらわないと、三セクの再生なりには協力はいただけないのではないかというふうに思うんですけれども、この点はどういうふうにお考えですか。
■藤岡内閣府政策統括官
若干技術的な問題でございますので、お答えを申し上げます。
地域力再生機構の処理と申しますのは、いわゆる事業再生における私的整理の世界でございます。私的整理と申しますのは、いわゆる法的整理と違いまして、関係者が全員の合意のもとで事業再生計画をつくって、債権放棄なりを考えるということでございます。
大臣から申し上げましたのは、これはこの研究会の中でも議論になりました。三セクの実態を考えるに、まさに委員がおっしゃいますように、さまざまな事情はあるんですが、ただ、やはり債務超過に陥っているような状況であれば基本的には経営者は責任を問われるだろうなということで……(西村(智)委員「そこは私はいいんですよ」と呼ぶ)ここなんですが、おっしゃるように、原則としてやはり退陣ということ、これが基本だということでございます。ですからそういうことを申し上げたわけで、委員がおっしゃいますように、例えば、さまざまな事情がありますねと、関係者の中でもしそういうような合意が得られれば、また違う結論も出てくる可能性があるということでございます。
ただ、今まで、ファクツといたしまして、そういうような原則を外すような事態というのが専門家の中では余り考えられなかったということから、まさに経営者は退陣となると申し上げたわけでございます。
片や、今度、個人企業の場合でございます。個人企業の関係は、これは産業再生機構でも多々例を見てございます。この場合は、基本は、やはり債務超過で債権放棄をお願いするわけですから、これは経営者責任というものは問われるわけでございます。ただ、問われるにしても、例えば法的整理、民事再生あるいは会社更生のような、いわゆる経営者の責任を問われる、そういうわけではございませんで、これもやはり、関係者の中で合意を得られるのであれば、その範囲内で対応をするということになるわけです。
もちろん経営者責任はございます。ございますが、実例を見ますと、その中では、例えば旅館の経営者で非常に有為な人材におきましては、そういう旅館の業務に携わっていただいているという事実、これは事実としてございますので、そういう意味で、単純に、一律に経営責任なら退陣という結論にはならないということでございます。
■西村(智)委員
いや、ちょっと勘違いしておられるんです。私が申し上げたいのは三セクのことなんですよ。三セクのそれまでの放漫経営の責任を一言も問わないうちにこの再生計画がスタートするというのは、地域住民にとってはやりきれないのではないですか。
■大田国務大臣
地域力再生機構の中では、まさに私的整理の観点から、債権放棄をした人に対してしっかりと責任をとらなきゃいけないということで、経営者の退陣、それから、自治体が株式を持っている場合はその株主権の消却をいたします。これは当然、自治体にとっては不利益になります。
したがって、その責任がどこにあるのか、先生がおっしゃるようにさかのぼって、あのときの首長にあるのではないか、あるいはあのときの経営者にあるのではないか、これは地域力再生機構の枠を超えて、地方議会の中で判断されることになると思います。それを含めて、今、三セクの改革というのに自治体が取り組んでいるということでございます。
■西村(智)委員
地方議会の中でそういった問題が議論されるのではないか、あるいは経営計画の中でそういったことも議論されるのではないかと。されるのではないかという言い方では、納税者の思いを本当に酌み取っていないのではないかというふうに考えるんですよ。もう大臣としてのお答えはいただきましたけれども、私は、三セクは特に利害関係者が多いわけですから、そこのところはもう少し丁寧にやるべきだというふうに思っています。
質問を続けさせていただきます。
私は、先ほど来三セク、三セクと繰り返し申し上げておりますけれども、問題は三セクばかりではないのです。自治体が出資している三セク以外にも、三公社それから公益法人、地方法人ですか、そういったところでの債務の問題がこれまた非常に大きいわけでして、例えば損失補償の契約残高などを見ますと、三セクの合計で二兆円。二兆円という額でもこれはかなり大きいなと思うんですけれども、何と、地方三公社の方で合計しますと六兆五百五十五億円なんですよ。三公社の方がばかでかい債務残高があるわけなんです。
つまり、自治体にとってみれば、秋ですか、財政健全化法の指標が示されるということで、いよいよこれからというところで、三セクもさることながら、この三公社、法人、これをどうするかというそのトータルの考えがあってしかるべきだろう。地域力再生機構で救えるところは救う、再生できるところは再生できるということですけれども、それ以外に、もう本当にどうしたらいいのかわからないような三セクや公社、これをどうするのかという、そのトータルの姿を示していただきたいというふうに考えているんですけれども、総務省の方は、これからこの問題にどういうふうに取り組んでいくつもりなんでしょうか。
■二之湯大臣政務官
お答えいたします。
第三セクター及び地方公社等の経営状況は、御質問のとおり非常に厳しい状況が続いておると認識をしておるわけでございます。第三セクター及び地方公社等の経営が個別の地方公共団体の財政や地域経済に大変大きな影響を及ぼしかねないということは、否定できない事実であるわけでございます。
このため、第三セクター及び地方公社に関しましては、一つは、統廃合や完全な民営化あるいは経営改善等について積極的に取り組んでいくこと、二つ目には、問題を先送りすることなく抜本的な経営改善策の検討を行って、必要に応じ法的整理の実施等も含めた抜本的な見直しを検討することを、第三セクターに関する指針、集中改革プラン等で重ねて要請したところでございます。
また、今般発表いたしました健全化法の損失補償債務等の負担見込み額や地方公社の債務の算定基準等は、地方公共団体に対する影響を明らかにし、その存続も含めたあり方の検討を促すことになるものであります。
さらにまた、今後経営が著しく悪化し、特に改革が必要と判断する第三セクター等に関し、年限を区切って集中的な取り組みを地方公共団体に行ってもらうために、新たなガイドラインを策定することを検討いたしております。
債務調整等に関する調査研究会の中間まとめも踏まえ、地域力再生機構の活用はもとより、第三セクターや地方公社の改革についてどのような措置が必要かについて、総務省としても今後鋭意検討してまいりたい、このように思っております。
■西村(智)委員
総務省には、第三セクターの債務残高を増嵩させてきたことの責任はきっちりととっていただきたいと思います。
元来、財政援助制限法によりまして自治体の三セクへの債務保証はできなかったとされていたのが、これはもう随分昔の話になるんだと思うんですが、一九五四年に自治省が通達を出して、損失補償は財政援助制限法の規制するところではないという解釈を出して、そこからでしょう、損失補償が安易に契約されるようになったのは。
そういう赤字をふやしてきたことの責任を総務省の方はどういうふうにお考えになっておられるのか。ちょっと質問の順番が変わって、質問を一つ削りましたが、どうでしょうか。
■二之湯大臣政務官
第三セクター等に対する損失補償の件でございますけれども、これは、当面財政負担を伴わないメリットがあるということ、さらにまた、経営破綻時の巨額の債務、財政負担を負うリスクもありますけれども、地方自治法上、地方公共団体の自主的な判断で債務負担行為に関する議会の議決を経て設定される、こういうことで、基本的には地方公共団体の判断とリスクで行われてきたものと認識しておるわけでございます。
総務省といたしましては、損失補償が当面の財政負担を伴わない一方で大きなリスクがあるということも踏まえ、平成十一年の第三セクターに関する指針、平成十五年の同指針の改定を初め、繰り返し、リスクを踏まえて厳しく評価し慎重な検討を行うよう求めてきたところでございます。
ただ、第三セクターの経営の悪化には、バブル崩壊以降の評価の著しい下落等の我が国経済全体の問題が影響している面もございますし、第三セクターや損失補償を活用した地域振興につきましては、一つは、プラザ合意以後の内需拡大の必要性や日米構造改革協議に基づく公共投資基本計画やリゾート法の制定等の政府の政策、また、バブル崩壊後の政府の景気対策など、経済全体の問題の一環という面も否定できないと考えております。
いずれにいたしましても、第三セクター等の損失補償のあり方が地方財政や地域経済さらには地域金融システムに与える影響なども踏まえて、地域力再生機構の活用等、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
政務官、そろそろ建前の議論は私もやめにしたいと思うんですけれども、政務官は全国市議会議長会の会長でいらっしゃいましたよね。京都で長く市議会の議員と議長までもお務めになった。私も、短い間ですけれども地元の県議会で議員をさせていただきました。
率直に申し上げて、私自身も、要するに地方財政にかかわっていた一人として責任は感じております。ですけれども、そういうふうに中央の方から、政府の側からこうすれば使えるお金がふえますよということで、それはもうさんざっぱらやられてきたわけじゃないですか。私たち、自分自身の責任はそれはそれとして感じながらも、非常に巧妙に赤字が膨らませられてきたという思いはあるわけですよ。ここのところをお互いに認めてからでないと、そこからでないと、この三セクや公社の問題というのはスタートしないと思うんですね。本当にそういう決意がおありなのか。
また、大臣にもそこはぜひ言っていただきたい、聞いていただきたいと思うんですけれども、本当にこの問題をどうしようとしているのか。
この地域力再生機構では、残念ながら、三セクの再生、一部ではできるかもしれません、でも、手を挙げたところしかデューデリは行われないんです。本来であったらすべての三セクとか公社とかにデューデリを行って、現状を把握した上でどうするのかということを検討しなくちゃならないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
■二之湯大臣政務官
大変厳しい御意見をいただきまして、私も地方議会の出身者といたしまして、地方の非常に厳しい財政状況は認識しているわけでございます。
今先生おっしゃいましたようなことで、地方経済が再生するか、あるいは三セク初め地方のいろいろな公益法人がそれによって再生するかということについては、大変厳しい見方をいたしておるわけでございます。これにつきまして、本当に地方の声を聞きながら、この地域力再生機構が地方の経済の再生に十分機能するようにひとつ私ども真剣に考えていかなきゃならぬ、このように思っておりますので、その旨は増田総務大臣によく伝えておきたいと思います。
■西村(智)委員
まず情報開示だと思います。わかりやすい形での情報開示。今まで自治体からの、あるいは三セク側からの情報公開というのは、住民にわかりにくく、わからせないように提供している節が結構あった。それは別に地方自治体だけじゃなくて、政府もそうですからね。
ですので、まず自治体に情報開示を行わせる、これは徹底的にやってもらう、そういう強大な権限を与えるべきでないかというふうに考えますけれども、この点については御検討いただけますか。
■二之湯大臣政務官
今の、いわゆる第三セクターに情報開示を議会なりにはっきりとさせるということですね。また、今まで地方議会においても第三セクターがいわゆる審議の対象外にあったということは余りよくないということですね。出資比率が二五%以下であっても、債務保証をしている以上、地方自治体にとってはそれは無視できない問題でございますから、当然、委員おっしゃるように、でき得る限りの情報開示をして、地方議会の監視機能の対象にするような、そういうことにしていかなきゃいかぬ、このように思っております。
■西村(智)委員
財政健全化法の指標がことしの秋に公表されます。ですので、ここはスピーディーにやっていくべきことだと思いますので、どうぞよろしく、ここは強く要請をいたします。
次、機構のあり方にようやく入りたいと思うんですが、時間が迫ってきました。
大田大臣、先ほどから、会社の出資金それから拠出金の話、政府から百億、都道府県から百億、金融機関から百億という話が出ておりますけれども、これは本当に集まるのか。先ほどからの答弁ですと、つくってからまたさらに努力をして、皆さんから理解を得ていきたいということなんですけれども、現時点では余り芳しくないんですね。
これは、現状、どういう見込みで、また、ちょっと質問を圧縮します、最低どのくらいの資本金で株式会社をスタートさせるのか。それから、先ほどもありましたけれども、出資しなかった都道府県が出資している第三セクターとかそこにある事業所などが手を挙げたときには一体どういうことになるのか、この点について伺いたいと思います。
■大田国務大臣
出資金につきましては、国が百億、地方自治体が百億、それから金融機関が百億ということで、合計三百億を想定しております。
まず、金融機関につきましては、全銀協、地銀協、第二地銀協、その他ですけれども、前向きの感触を得ております。私も直接会ってお話しいたしましたが、前向きの感触を得ております。
それから地方自治体につきましても、それぞれの県が判断していく。四十七都道府県、一県につき二億円、そして大きい東京、大阪、愛知のようなところは四億円をお願いしておりますが、これはそれぞれの自治体の判断でございます。それぞれ前向きに、知事会でも、前向きに検討する、ただ拠出についてはそれぞれの自治体の判断だということで回答をいただいております。拠出するかどうかは、地方議会の議決も必要ですので、この法案審議の様子を見ながら御検討いただいているものと思います。
■西村(智)委員
最低どのくらいの資本でスタートさせるのか、ちょっとわからないということですかね。最低は三百億ということですか。そうしますと、法案にこれは三百億と書いてあるんでしょうかね。書いてないですか。法案には書いてない。だから、三百億に満たなくても株式会社は設立をされるということですね。
それで、現時点で、私も幾つかの都道府県に聞いてみたんですけれども、やはり様子見というところがかなりある。増田大臣が、昨年末に、そういう状況を恐らく受けてなんだろうと思うんですけれども、都道府県が出資した際に、その出資金の九〇%を地方債で賄うことを認める方針を明らかにしたということなんですね。これはいかがなものか。中央集権にまた輪をかけて集権的で、これは出資を強制しているものではありませんよという総務省の方からの御説明だったんですけれども、少なくとも出資を促しているわけです。この点については、本当にこれは妥当だというふうにお考えでしょうか。
■榮畑総務省大臣官房審議官
現行の地方財政法の規定では、地方公共団体の出資金につきまして、地方債でその財源とすることが可能でございます。そしてまた、現実に政府関係機関等への出資金についてもこれまで地方債が充てられてきたところでございます。したがいまして、今回の地域力再生機構に対する出資につきましても、これまでと同様に地方債の活用というのが考えられるところでございます。
したがいまして、今般の地域力再生機構への出資自体につきましては地方公共団体ごとに御判断されることになるところでございますが、そういうふうな出資をされるようなときにはこの地方債の活用というのが考えられるというふうに考えておるところでございます。
以上でございます。
■西村(智)委員
いや、今、制度のそういうことでできますという仕組みを説明してくださいと私は申し上げたのではなくて、出資金を出したときに、それを地方債で九〇%まで賄えるというのは、これは少なくとも出資を促していることにはなりますよね。国が株式会社をつくるときに、地方から出資してもらうのに、地方債で起債オーケーですよということをわざわざ裏づけして出してもらうのは、これはやはり地方自治の趣旨からいうとなじまないのではないですかという質問なんです。
■榮畑政府参考人
出資するかどうかというのは、あくまでその地方公共団体ごとに自主的に御判断されて決められるわけでございまして、出資をされるようなときに、では当面の財源として地方債を充てるかどうかということになるわけでございますから、出資自体についての地方公共団体の判断というのをどうのこうのしているところではないというふうに考えております。
■西村(智)委員
先ほど楠田委員と市村委員の質問の中で大田大臣は、この会社をつくったときには、経営委員会という名前で正しかったでしたか、その委員会にお任せをして、赤字が出ないようにやっていただけるものと思っている、こういうことでした。
実際に産業再生機構は四百何十億ですか、黒が出たということなんですけれども、そのときから比べると、もうこれは何度もどなたもが指摘していることですが、産業再生機構ができた当時と今の状況は異なります。また、今回の想定している件数もその当時と比べると非常に少ないし、規模も非常に小さい。
赤字が出ないようにやるというのは、それは株式会社としては当然のことなんですけれども、万が一にも赤字が出たときにどうなるのか。これは赤字が出ないようにやる。それはだれだってやりますよ。だけれども、もし本当に出ちゃったときにはどうするのかということまで含めてお考えになって総務大臣はこういうふうにおっしゃったのか。政務官、どうでしょうか。
■二之湯大臣政務官
私も総務大臣ではありませんのでどう思われたかわかりませんけれども、今先生おっしゃいましたように、先ほどの出資のことも、一方で地方自治体の自由だといいながら、お金を用意しますからということはやや強制的ではないか、そのときに赤字が出たらどうするんだ、こういうこと。こういう問題につきましても、赤字は出ないという想定のもとでこういう経営委員会を運営するわけでございますから、これには相当厳しい経営責任ということを経営者の皆さん方に持っていただいて運営していただく、こういうことになると思いますけれども、これにつきましても、私の方から増田大臣によく申し伝えておきます。
■西村(智)委員
時間ですので終わりますが、やはり責任体制というのが非常に不明確で、採算性について具体的なスキームは何も法律に書かれていないという疑問が残念ながらさらに深まったということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。