■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
きょうは、法案審議、私は特に地域再生法の改正案について質問をさせていただきたいと思っております。
午前中からずっと質問がありまして、論点も大体共有できるかというところまで来たんですけれども、私は前回も、増田大臣と地方の元気再生事業についてちょっと議論させていただいたときに、そもそも地域の活性化とか地域再生とは一体何だろうかということについて質問させていただきました。大臣はそのときに御自分の言葉で、例えば雇用の創出であったりとか、コミュニティーが維持できるということであるというふうにお答えくださったんですけれども、そういう視点でこの地域再生法というものを見たときに、この地域再生法が、施行されてもう二年でしょうか、本当に役立っているのだろうかという疑問はなかなか解消できないわけなんです。
きょう審議されておりますのは地域再生法と特区法の改正案ですけれども、特区法の方は特区法の方で、特区の提案自体がだんだん小粒になってきたのではないかという意見が出ていたり、あるいは、地域から提案があってもそれをどう具体化できるのか、そういう相談に中央省庁がなかなか乗ってくれないというようなことが指摘されていたりするわけなんです。地域再生法においても、午前中からの議論を聞いておりましても、これは本当に効果があるのかと、自民党の委員の方からもそういう質問があったと思いますけれども、ここのところは、やはり今回の改正法をきっかけに、一度しっかりチェックをする必要があると思っています。
私がこの地域再生法の改正の中で込めたい思いというのは二つありまして、一つは、やはり分権をこれで進めていきたいということです。増田大臣御自身も、内閣府の中での分権推進担当というお立場でもいらっしゃいますし、やはり本当の意味での構造改革というのは今の日本の国と地方のあり方を変えることだろうと。
もう一つは、地域間格差の是正ということです。これまで都市再生ということに少し偏重してきたのではないかという反省からこの地域再生法が出てきたというふうにもお聞きをしたんですけれども、そういう点でも、この地域間格差の是正ということも今回の改正法の中で見ていきたいというふうに考えています。
まず、一点目の分権の推進というところから伺いたいと思いますけれども、大臣は、地方の自立を高めるとか地方の自主性を高めるというために、あるいは本来の地方分権を進めるために、何が大事だ、何が肝要だというふうにお考えになっているでしょうか。
■増田国務大臣
分権の関係についてお尋ねでございますが、これを進めていく上で、制度的には、やはり国と地方の大きな役割というのをもう一度見直しをして、それに合った形で法制度もつくり直す。国それから地方、地方とまとめて申し上げていますが、それぞれの権限を決めていく、それから財源も地方の方に譲り渡していく。さらには、財源を譲り渡すということは、それをチェックする議会ももっときちんと仕事が果たせるようにその部分の制度の見直しをする。いろいろ細かな点を省きますと、制度的にはやはりそういうことを形として行っていかなければならないと思っています。
ただ、それは必ずやっていかなければならないことですが、今、委員のお話、御質問をされるその中で考えておりましたが、やはり何をしていかなければならないかというふうに思いますと、長らく私も自治体の首長をやっておりまして、地方自治に関係している者として、物事をいろいろな分野で決めていくといういわゆる集権的な発想に地方公共団体というのは長らくなれ親しんできたということがございますので、考えをめぐらす、発想していく、そういう面での自立心ということが本当に十分なのかどうか。
ともすると、最後にはどうしてもやはり国に頼りたがる。先ほど別な委員からの御質問がございましたけれども、そういう発想の面でどうしても他人頼りになっているのではないかというところも危惧されますので、精神的なと言ったらいいのかどうか言葉の正確性はわかりませんが、そういう発想とか精神面でやはりひとり立ちをするという気概を持って、今申し上げました制度的な面での分権を進めていくということが必要ではないかというふうに思います。
■西村(智)委員
ひとり立ちする気概を持つこと、その前提として、国から地方に権限とか財源をきちんと移譲する、またあわせて議会の機能も高めるということなんですけれども、そういう視点で、私もそういう意味では全く大臣と認識は同じです。
そういうことが分権を進めるために必要だといいますか、地域のあり方を変えるためにも必要だという中で、この地域再生法が一体どのくらいそういった分権に貢献できてきたのだろうか、ここのところは私はちょっと疑問でございます。
この法律が制定された当時の村上大臣が、この法律によって縦割り行政を打破し、地方の自主性、裁量性の向上という面で画期的なものであるというふうに答弁をされておられたんですけれども、この二年間で、いわゆる地域の自主性とか地域の自立というのは果たしてどれほど高まってきたんでしょうか。そこのところを伺いたいと思います。
また、今回の改正案で、さらに地方の自主性を高めるためにどういう工夫がされているのか、大臣の言葉で答えていただければと思います。
■増田国務大臣
なかなかつらい質問でございまして、と申し上げますのは、これは、行政の中の縦割りをなくすという意味では、地域再生計画をつくって、そしてそういう部分に穴をあけるようなものは中に盛り込まれていると思うんです。
ただ、それは、中央省庁の中で余りにも自治体から見て使い勝手が悪かったところを直していくといったような内容が盛り込まれているわけですが、中央省庁の中をそういうふうに変えていくということが、この法律全体の中で、分権ということ、あるいは地域の力、再生力を高めていくということに具体的にどれだけ寄与してきたのかということについては、またこれは別の視点で考えていかなければならない問題である。
そういたしますと、この法律そのものが、例えば地方に新たに権限を移譲するとか、そういうことを制度として措置しているものではございませんで、税制の特例とか交付金をこれによって交付することができるといったようなことでございますので、その面では地域に役立っているというふうに思いますけれども、総体として地域の自立心を高めるといったことにどれだけつながっているのかというのは、個々の、本当の具体のプロジェクトをずっと時間をかけて見ていかないとなかなか計測できない部分もあると思います。
ただ、事務方から、千件ぐらい認定の案件があるんですが、例えば山梨でワインをつくるということについて人材育成などをするための地域再生計画を認定してございますけれども、そうしたものが地域に大変効果があって、そして地域の自主性とか自立、創意工夫をまとめ上げるのにその後もつながっているというような説明を聞いております。
ですから、効果をどういうふうに見るかということでもございますが、地域の自主的な創意工夫をこうやって計画にまとめ上げて国から一定の評価を得ようということでは、地域のさまざまな工夫が出ているのではないか。
しかし、正直なところ、制度ができ上がりましてまだそれほど長い時間がたっているものではございませんので、毎年毎年きちんと評価をしなければいけないというふうに思っておりますけれども、地域全体の効果ということについてはもう少し長い視点で私も考えていかなければならないというふうに思っております。
■西村(智)委員
最初の方はとてもすっきりとしていてわかりやすい答弁だったのですけれども、長くなるにつれて、一体大臣の真意はどこにあるのかなと、だんだんわからなくなってくるような答弁でありました。つまり、定量的に計測ができないから効果がわからないというような御発言だったのかなと思うんですけれども、これは事業評価のことについて関係してくるので、また後でもう一回伺いたいと思います。
そうしましたら、少しこの質問の一区切りをつけるために伺うんですけれども、大臣はこの地域再生法を今後どういうふうに展開していきたいというふうにお考えなのでしょうか。私の今の質問に対して、それは地方分権には余り寄与してこなかったと率直な言葉もいただいたんですけれども、今後の方向性について聞かせてください。
■増田国務大臣
先ほどいろいろなことを申し上げましたが、要は、知事時代にこの法律ができたときに見ておりましたものは、国が最後に認定するということは、今の地域の疲弊の中において一定の効果が出てくるわけですけれども、最後までずっとこういう手段で地域が活性化してくるというものでもないだろうと。
今はやはり待ったなしの状況で対応が迫られていますので、それに対してできるだけ使い勝手をよくする、あるいは地元の発想とか発意というものを中に制度として組み込む必要があると思いますが、これをずっと続けるというよりは、いずれかの段階で、あえて国がこういう認定をして、そしてそれに対してお金を渡していくというよりも、地域の創意工夫が本当にそのままストレートに地域の事業に結びついていくような、そういう制度になっていけばいいなと。
これは、国でどうしてもやらなければいけないいろいろな仕事というのはいっぱいあるわけですけれども、しかし、この地域をよくしていく、活性化をさせていくということはまさに地方の仕事そのものでありますので、こういった法律をずっと未来永劫続けるというより、日々中身は工夫していくにしても、いずれは、国に計画を認定していただいて、そしていろいろな特典が出てくるというよりも、地域がみずからまさに責任を持ってその部分はやっていくという制度に切りかえていかなければいけない、こういうふうに思っております。
■西村(智)委員
大変満足のいく御答弁をいただきました。
私たち民主党は一括交付金というのをずっと提案しておりまして、国が余りひもをつけずに一括して分野ごとに交付金を地方に渡して、そしてそこで自由に地方の裁量で使っていただく。おっしゃっていただいたように、地方の活性化というのは、本来、地域、その地方の責務だと思いますので、ぜひそうした方向で今後省の中でも議論をしていっていただけますようにお願いをいたします。
それで、法案の具体的な中身に入るんですけれども、一つ目のポイントとして、この法案で、地域協議会を地方自治体の発意だけでつくるのではなくて、言ってみれば、民間が地方自治体を突き上げてつくらせることが今回の改正によって可能になるんだろうというふうに承知をいたしたんですけれども、これによって期待される効果ですとか、立法の趣旨は一体何でしょうか。
■増田国務大臣
地域で地域再生に本当につながるようなことをやっていく上では、まだまだ地方公共団体がその中で果たしていく役割は大変大きいわけでありますけれども、なかなか地方公共団体の方でそういったことに腰を上げないという場合もございます。ですから、地域での発意というものをきちんと制度的に今回位置づけまして、そして、その発意を公共団体の方にこの手続によってした場合には、公共団体は必ず何らかの形でそれに対して応答していかなければならないということになるわけでありますので、公共団体も、地域再生についてどういう考え方で臨んでいかなければならないかということを地域に説明していくことになると思うんですね。
したがって、地域の民意というものをできるだけ公共団体に酌み取らせることができると同時に、公共団体も、この地域をどうしていこうとしているのか、すなわち、提案についてイエスという場合には、それは協議会の形になっていくと思いますし、あるいは計画をつくっていくということになると思いますが、提案に対してノーという場合には、やはり公共団体の別の考え方を住民の皆さん方に言わなければいけないというふうに思いますので、そういう意味で、公共団体もいろいろと真剣に考えて努力をしていくんだろう。提案する方はもちろん真剣に考えるでしょうし、こういうことで、きちんとそのあたりは制度的に位置づけをする。
それから、地域にいる皆さん方にもそうしたことがちゃんとよくわかるようにするためには、やはり法律に基づく手続にしておけばいい。先ほど別の委員の方から、公共団体の返事は文書でされるのですかという話がありましたが、私は、これはもう文書できちんとやればいいと思うんですね。そうすれば一番住民にも伝わりますから。
ですから、そういう形で、両面にとって地域づくりを真剣に考えることにもつながっていくというふうに思っております。
■西村(智)委員
地方自治体により一層の責任を持ってもらうための措置だというふうに理解をいたしました。
ポイントの二つ目について伺いたいと思います。
利子補給制度の創設についてなんですけれども、これを創設したその趣旨、そしてまた期待される効果、これについても伺いたいと思います。
■上西政府参考人
利子補給金の制度の創設についての経緯ということでございますけれども、これは、念頭に置いておりますのは、従前、日本政策投資銀行におきまして、この地域再生計画の中で低利融資等というものを支援の手段として用いてきたということがございます。このたび、この日本政策投資銀行がことしの十月から民営化に移行するということになりまして、この民営化に移行した後の形態におきましても何らかの支援措置を絶やさないということのために、形を変えて、利子補給という形での支援措置といいますか、支援の手段を持たせていただきたい、そういう趣旨でございます。
■西村(智)委員
政策投資銀行が民営化されることに伴って、政策投資銀行が行っていた低利融資事業を引き継ぐというような形で今回の利子補給制度がつくられた、こういう理解でよろしいんでしょうか。
そういたしましたら、この利子補給を受ける金融機関が協議会の一員たることが要件となっているわけなんですけれども、この理由についてはお答えいただけますでしょうか。
■上西政府参考人
これにつきましては、この協議会というものが地域再生の計画づくりの中で非常に大きな役割を果たしていくわけでございまして、金融機関がここに入るということによりましてその計画に参画をしていくと、金融機関の持っている例えばノウハウといったものがそこで発揮をされるということで、地方公共団体が組織をいたしますこの協議会におきまして有効な地域再生のための計画がつくり上げられていく、そういったことで、金融機関もこの協議会の一員となることを期待しているところでございます。
■西村(智)委員
改正法の第五条第三項第五号に、地域再生支援貸付事業を行う金融機関を内閣府令で定めるということになっているわけなんですけれども、この内閣府令の検討状況と、それから内閣府令で定める金融機関の範囲などをお答えいただきたいのと、あわせて、第二十二条においての内閣府令の検討状況及び指定金融機関の範囲をそれぞれ答えていただきたいと思います。
つまり、地域再生支援貸付事業を行う金融機関を内閣府令で定めて、さらにその中から内閣府令で指定金融機関を定めて、そこに対して利子補給を行う、こういうことなんでしょうか。
■上西政府参考人
制度的なことでございますけれども、具体的にこの利子補給金の支給対象となります金融機関につきましては、先ほども申し上げましたように、地域再生協議会の構成員であること等一定の要件を満たして制度の適正な運営を確保するということで、そういった要件を求めることとしておりますけれども、この対象となる金融機関の種類につきましては、これは地域の実情に合わせて、地方銀行を初め幅広いものを認めることができるように措置してまいりたいと思っております。
具体的には、政策投資銀行以外にも、地方銀行でありますとか、地元の信用金庫等々の金融機関が入っていただけるような、そういった形で府令を定めていきたいと思っております。
そして、個々の指定要件につきましては、それぞれの金融機関が地域再生に資する事業を行う事業者に貸し付けを行っていくわけでありますので、これが効果的、確実に実施できるように、そういったことを担保するための指定の要件を規定する、そういうことを考えているところでございます。
■西村(智)委員
第五条の金融機関と第二十二条の指定金融機関の範囲の関係について教えていただけますか。
■上西政府参考人
お答え申し上げます。
若干説明が雑駁でございましたけれども、五条五号の方は、これは金融機関の範囲といいますか種類を定めるということで、具体的には、したがって、銀行であるとか信用金庫であるとか、そういったものを列挙して、そういったものを対象とするということをこちらの方で定める。そして、個々の計画におきます指定金融機関につきましては、二十二条一項の方に基づいて指定をしていく、そういうことでございます。
■西村(智)委員
つまり、金融機関の中から指定をする、こういうことでよろしいんですね。
ちょっと時間がありませんので飛ばします。
法案が出てきて、この内閣府令がなかなか見えてこないというのは、ちょっと作業として遅いんじゃないかなと思います。これはもう既に、来年からの予算案に反映されるわけですよね。国会の審議ででも、本来でしたらもうちょっと具体的に聞きたいんですけれども、検討状況ということでお答えいただくのみでありましたけれども、できれば、こうした政省令などは法案と一緒に出していただくのが筋ではないかというふうに思っております。
次の質問に移りますけれども、先ほど市村委員からも質問のありました再チャレンジ支援寄附金税制についてであります。
今回、間接型が廃止されて、直接型は、先ほどの答弁ですと、社会的に意味があることなので残すということだったんですけれども、間接型が廃止される理由、直接的な理由について伺います。
■上西政府参考人
お答え申し上げます。
これは先ほども御議論のあったところでございますけれども、今回の改正の趣旨は、いわゆる間接型につきまして、公益法人制度改革に係ります寄附金税制との整合性を図っていく、そういうものでございます。
具体的には、公益法人制度改革に基づきまして、十二月一日から、公益認定を受けた公益社団、財団法人についてこの寄附金税制の特例措置が受けられることになる。これによって、十二月一日以降は、地域再生法に基づく特定地域雇用等促進法人と申しますけれども、これとならなくても、公益認定を受けて公益社団、財団法人となることによって現行制度と同等の寄附金税制の特例措置を受けることができますので、今回の改正におきまして、現行のいわゆる間接型の課税の特例につきましては、所要の経過措置を設けました上でこれを削除する、そういうことにしております。
■西村(智)委員
この再チャレンジ支援寄附金税制、直接型、間接型合わせてなんですけれども、これらに係る地域再生計画の認定件数はこれまでに何件でしょうか。
■上西政府参考人
お答え申し上げます。
この制度を利用しました地域再生計画につきましては、現在、一件が認定を受けておるところでございます。
■西村(智)委員
一件ですので、率直に申し上げて、これは少ないんだと思うんですね。たしか去年度まではなかったというふうに聞いていますので、ことしの、おとといあたりの認定であったということなのでしょうか、これは想像ですが。
それで、実は私も、いただいた「地域再生のために」というパンフレットで地域再生法のお勉強をさせていただきました。支援策の一覧が二十二ページから二十六ページまで、本当に細かく出ております。
この中で、今回の再チャレンジ支援寄附金税制などのように、使われていない支援策があるのではないか、あるいは、とても使い勝手がよいということでみんなが集中をして、より拡充するべき支援策があるのではないかというふうに考えて、支援策ごとの認定件数とそれからその金額、支援策ごとに一体幾らの事業が実施されてきたのかということを調べたいと思ってお願いをしたんですけれども、驚くべきことに、そういった調査を行っていないという答えが返ってまいりました。
これは、今後の支援策の過不足を知るという上でもやるべき調査、把握すべき実態だと思うんですけれども、やっていないということなんです。これでは漫然と地域再生法の運用が続いていくということになりかねない。
これは、きっちりと全体の評価を個々の支援策ごとに行う必要があるのではないかというふうに考えるのですけれども、大臣に答弁いただきたいと思います。いかがでしょうか。
■増田国務大臣
今お話ございましたとおり、評価というのは、公共団体の方にアンケートをしたり、ヒアリングして聞いているという段階にとどまっているようであります。それは委員の御指摘のとおりでございます。
支援制度が非常に多岐にわたっておりまして、今、一つの例として、税の関係の支援制度についての提供実績の御質問だったかと思いますが、確かに、使い勝手等の問題があるんだと思いますけれども、認定件数が極めて少ないというか、一件ということにとどまっている。
評価をきちんと行わなければ、その有用性ということもわかりませんし、それから改善点ということにもつながってきませんので、私も、今の委員の御指摘ごもっともだと思いますので、できるだけ細かく、そして支援制度が本当に有効かどうかということがわかるような形で評価をしなければいけないというふうに思います。
今年度、新しい年度になりましたけれども、事務方の方にそのことはきちんと話をして、そして、実施をしているもの、あるいは十九年度に実施をされたものについてもきちんと評価をいたしたいというふうに思います。
■西村(智)委員
私がまだこの委員会の中で発言をしておらず、しかし、昨日の役所の方々へのレクでの話がちゃんと大臣の耳にも入っていたようでちょっと驚いたんですけれども、全くそのとおりだと思います。ぜひそれは、調査、評価、しっかりとやっていただきたいと思います。
あわせて、もう一つお願いなんですけれども、冒頭申し上げましたけれども、私は、地域再生法の中に地域間格差の是正という視点もやはりきちんと持つべきだろうと思っています。そういう意味で、各地の自治体が計画を申請して、それが認定されるというやり方ですので、地域からの発案がなければ何も進まないわけなんですけれども、それにしても、実態として余りにも認定計画のばらつきが地域ごとにあるのではないか。
なぜそれを感じたかといいますと、同じパンフレットの中の支援策一覧の後に続く都道府県別の認定状況というのでございます。この緑色の濃いところが、認定計画の数が多いところなんですね。そうすると、見ると、北海道とか岩手とか長野とか愛知とか、こういったところは多い。
これは、人口の比率と一致していなかったりしますし、その地域の経済状況等、なかなか相関させて見るということもできないものではありますけれども、しかし、国が認定された計画に沿ってそれぞれの支援策が各省庁から実施をされているということなので、考えたくはありませんけれども、この認定計画、認定状況のばらつきによって、もしかしたらさらに地域間の格差が広がってきていることにもなっているかもしれない。それはわからないんです。
だから、それを知るためにもう一つお願いした調査は、粗いんですけれども、都道府県別に認定計画による支援策の全体の金額はどういうふうになっているのかということを知れば、少なくとも、地域間格差に悪影響なのか好影響なのかということは知ることができるんじゃないかということでお願いしたんですけれども、これも把握していないということでした。認定は内閣府でします、だけれども各事業は各省庁にお願いをしていますということで、把握できないとおっしゃったんですね。
こういうやり方も改めるべきではないか、こういうふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。認定計画の総額すらもつかめていないということなんですけれども、ここも、しっかりとした評価を行うために、こういった、やったらやりっ放し、認定したら認定しっ放しというやり方は改めるべきでないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
■増田国務大臣
今の都道府県別のものは、少しお時間をいただいて、どういう形で数値がまとめられるのか、事務方の方に考えさせます。そして、できれば御指摘いただきましたような資料を、つくれればおつくりしてお出ししたい。
要は、認定をしたことが多分いろいろな支援策に結びついていて、支援策が多岐多様でありますので、地域的にそれがうまく使えるものとそうでないものと多分いろいろあるんだろうというふうに思います。ですから、それはとりもなおさず、地域再生を今後考えていく上で有益なところには結びついてくるのであろうというふうに思いますので、私もその地域的なばらつきがどういう原因なのかにわかにはわかりませんけれども、少なくとも、認定をした後どれだけの事業がそれぞれで行われて、そして、でき得れば、それがどういう効果に結びついているのかというのが地域的にわかるようなものがあればより有効な分析ができると思いますので、少しお時間をいただいて、その作業を事務方の方にもやってもらうようにしたいというふうに思います。
■西村(智)委員
よろしくお願いいたします。
次に、先ほど大臣が先回りしておっしゃってくださったことについて私の方から質問させていただきたいと思いますが、事後評価についてです。佐々木委員も指摘をされておられたんですけれども、やはり事後評価がちょっと体制不備であるということです。
午前中の答弁では、事後評価のあり方について、内閣府で今後の方針を検討しますとおっしゃっていました。総務省にもノウハウがあるのでそれも参考にしたいというふうにおっしゃっていました。ただし、ちょっとどういう言い方だったか失念しているんですが、地方自治体としての取り組みも邪魔してはならない、こんなニュアンスだったんじゃないかなと思うんです。
では、内閣府で一体今どういう事後評価を行っているか。届けていただきましたら、全部で九枚、A4のペーパーでいただいたんですけれども、そのうちのほとんどは事業についての説明ですとか基本的な方針が示されていて、事後評価とタイトルを打ったペーパーは九枚のうちたったの一枚でした。
では、そのうちの一枚は何かといいますと、結局、認定をされた地方自治体に対して、申請はうまくいきましたかとか、実際にその進捗状況はどうですかというようなアンケートをとっただけなんですね。それで果たして評価なのか。それで評価だと言っても私はいいんだと思います。つまり、地方自治体にそこはお任せをしたんだから、自治体の方で責任を持って最後の評価まできちんとやってもらうということで大臣がもし答弁されるんだったら、私はそれでもいいと思います。
しかし、そうしますと、では、内閣府の認定とは一体何なのかという新たな問題、今もある問題なんですけれども、それが大きく出てくるわけなんです。この事後評価、大臣は一体どこが責任を持ってされるのが適当だというふうにお考えですか。国か地方自治体か、あるいは第三者委員会など別の機関か。
■増田国務大臣
この地方再生法に則して言いますと、計画を認定しているのは内閣府でございます。その認定をしたことによってさまざまな特典措置があるわけですけれども、その支援策、例えば交付金を自治体の方にお渡しして、そこでいろいろ事業をやっていただく。道路ですとか汚水処理とかございますけれども、そうした事業を実施するのは、今度はそれぞれの省庁の事業になるものですから、そういう意味で、それぞれの省庁のところでいろいろ具体的に評価をということで、内閣府として余りそこのところをフォローしてこなかったと思うんです。ただ、認定をしたということは紛れもない事実でありますから、やはりその計画を認定したということをきちんと評価する必要があるだろう。
二十年度から例の予算と決算が結びつくようになりましたので、内閣府が認定したということの評価をやはりきちんと内閣府としてまずやることは、これは内閣府の責任だろうというふうに私は思います。そして、内閣府が行った評価について、当然総務省としては、その評価がいいのかどうかということをいろいろ点検する。そういう総務省としての評価も、これは全体の政策評価法の枠組みの中で行う評価でありますから、総務省もそこはきちんと見なければいけない。
午前中、ちょっと自治体のことを申し上げましたのは、地域再生で計画をつくって、数値目標というのは自治体がいろいろおつくりになって、自治体の観点でおつくりになっているんですね。ですから、自治体が、こういった目標が達せられたのでこれは大変自治体としては効果があるというふうにお考えになったり、あるいは、国がせっかく支援してくれたけれども、国としてはそれに効果があるというふうに思っているけれども、自治体はどうも余り効果がないと。そこの違いは、それぞれ自治体としても、つくられた計画として多分自治体の御評価があるんであろうというふうに思うんですが、そこは私は若干、それぞれの主体というか立場が違うので、評価の違いがあってもしかるべきではないかということをちょっと午前中申し上げました。ごちょごちょいろいろ申し上げたので、少しわかりにくかったかもしれません。
ただ、いずれにしても、国が認定をしている、それから国がきちんと何らかの形で支援をしているということがありますので、その部分は国の責任できちんと評価をして、それで翌年度の、またこういった制度がきちんと運営されるかどうかにつなげていかなければならない、このように考えております。
■西村(智)委員
では、評価ではなくて、今度はトータルのガバナンスという観点で質問したいと思うんです。
計画を地方がつくる、それを内閣府が認定するということなんですけれども、今お話を伺っていても、内閣府で評価をして、それをまた総務省が行政評価で行ってということですと、やはり何となくすべてに責任が分散されているような感じがいたします。すべてにといいますか、あらゆるアクターに責任が分散されている。
そうすると、それで責任がみんな強化をされるのが望ましいんですけれども、どうもそれぞれのところがみんな最終責任を負わないような格好になってしまうのではないかということを私はやはり一番懸念していまして、せっかく認定をして、例えば基盤強化の交付金などを使ったりして、あるいはいろいろな支援策を使ってお金を投じるわけですから、ガバナンスはやはり最終的にどこがとるのかということは明確に示すべきではないかと思いますけれども、この点について大臣はどうでしょうか。
■増田国務大臣
この法律を運用しているのは内閣府でございますし、担当大臣は私なので、やはり最終的な責任は私のところに帰属をする。
それで、内閣府できちんと認定をしているんだから評価をすると言いましたのは、今仕組みとしては、これは全省庁、それぞれ事業を実施するときにまずそれぞれの省庁が自己評価をするということでございますので、今まで十分な評価がなされておりませんでしたけれども、ちゃんとそこも内閣府として評価をいたします。その上で、自己評価だけですと、ごらんのとおりなかなか甘い評価になって十分でないということで、全省庁がいろいろやることについて、総務省の行政評価局の方がそれぞれの各省の自己評価を点検したりという、これが政策評価法の枠組みになってございますので、その中で総務省も、各省の自己評価、すなわち内閣府の自己評価も改めて別の観点で客観性を持って評価をいたします。
ただ、それは、評価をして、もしその省庁のやったことが不都合があれば、その省庁にいろいろと総務省から意見を言って改善を促すということでありまして、促された上で、ちゃんと適切な措置を各省大臣はとらなければいけない。内閣府として、この地域再生については私がきちんとした措置をとらなければいけないわけでございますので、最終的には私の責任において事業をきちんと行っていく、こういう体系でございます。そこはきちんと明らかにして、適切な運用を図っていきたいというふうに思います。
■西村(智)委員
支援策ごとの事後評価は各省が責任を持ってやっておりますと。実は、私が事後評価のことについて資料を持ってきてくれとお願いしましたら、内閣府の方から返ってきた答えはそういうことでした。そういうことにならないように、ぜひしっかりと大臣の責任で進めていただきたい。強く要望いたします。
先ほど増田大臣の方から、しかしやはり最終的には地方の活性化というのは地域の仕事ではないかというお話がありました。私たち民主党の一括交付金という考え方も、ほんのちょっとですが、紹介をさせていただきました。
本来、地方再生とか地域の活性化というようなことは、大臣、この地域再生法のスキームで本当にいつまでも国がやるべきことなのでしょうか。大臣がおっしゃったように、やはり本当は、権限や財源を地方にきちんとお返しして、その中でやっていっていただくというのが筋ではないか、そのことが地方の自立にもつながるのではないかというふうに考えますけれども、所見を最後に伺います。
■増田国務大臣
やはり、地域を自立の方向に持っていくとかなりのことができますので、そういう意味ではもっともっと地域が元気になってくるだろうというふうに思います。
あと、やはりそれにしても、例えば地域経済も、本当に力を増してくると、今度は海外といろいろな直接の取引をしたりといったようなことがございます。
金融問題、これからグローバル化時代ですから、今の都道府県でも海外と直接いろいろなつながりを持っているところがかなり多くなってきておりますが、例えば地域の大きな企業に対して金融支援をするのかどうかとか、あるいは金融政策がそうした際に影響を及ぼすということも出てきますので、その点についてはやはり国の役割というのもあるというふうに思います。
ただ、かなり極端に中央集権化されている中で、地域をもっと生かすという意味で、やはりもっともっと分権を進めていかなければいけない。
私は、決して国の役割も全くないとも思いませんし、逆に、グローバル化時代ですから、国として適切な形で地域が生きていくように役割を果たしていただきたいなというふうに思いますけれども、大きな流れを見れば、もっともっと地域にいろいろなものを渡していく、そのかわり責任も地域にとっていただくというようなことを行っていくと、もっと地方の人たちもやる気が出てきますし、いい地域づくりにつながるのではないかなと。ですから、目指す方向はやはりそういうところを目指していきたい、このように思っております。
■西村(智)委員
終わります。どうもありがとうございました。